JP6678899B2 - キクイモ葉抽出物およびそれを含有する食品・医薬品組成物 - Google Patents

キクイモ葉抽出物およびそれを含有する食品・医薬品組成物 Download PDF

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Description

本発明は、花粉症の症状軽減作用を有するキクイモ葉抽出物およびそれを含有する食品・医薬品組成物に関する。より詳細には、少なくとも、1−(3’,4’−ジヒドロキシシンナモイル)シクロペンタン−2,3−ジオール(DCCD)を0.3%(w/w)以上含むことを特徴とするキクイモ葉抽出物およびそれを含有する食品・医薬品組成物に関する。
また本発明は、さらに、下記分析条件のHPLC分析
分析条件:
カラム:Inertsil ODS−3(4.6μm×250mm、5μm)
溶出溶媒:A液:B液のグラジェント混合溶媒
(A:B=0分〜(100:0)→15分〜(85:15)→25分〜(50:50)→34分〜(30:70)→40分〜(0:100))
A液(メタノール:酢酸:超純水=10:2:88(v/v/v))
B液(メタノール:酢酸:超純水=90:2:8(v/v/v))
測定波長:UV 280nm
カラム温度:40℃
流速:1.0ml/分
検体量:20μl(50mg/ml)
において溶出時間約18分のピークを示す成分A、溶出時間約19分のピークを示す成分Bおよび溶出時間約28分のピークを示す成分Cを含むことを特徴とするキクイモ葉抽出物およびそれを含有する食品・医薬品組成物に関する。
キクイモ(Helianthus tuberosus)は、キク科(Compositae)ヒマワリ属の多年草で、主成分のイヌリンが血糖低下作用を有することが知られており、また、成分の殆どが食物繊維で、通常のイモ類と異なりデンプンを殆ど含まないことなどから低カロリーの健康食品用素材として注目されている。
キクイモまたはキクイモ抽出物を用いた医薬品組成物としてこれまで、キクイモエキス他の活性物質を含むメイラード反応生成物分解剤(特許文献1)、ラクトバシルス属微生物で発酵させた菊芋抽出物を有効成分として含む糖尿病の予防および治療用薬学組成物(特許文献2)、キクイモから抽出した有効成分を配合した皮膚または毛髪用外用剤(特許文献3)などが報告されている。
また、キクイモ抽出物を含む食品としては、例えば、キクイモの絞り汁にレモン果汁や梅の濃縮果汁を配合した糖尿病患者の甘味源となる飲料(特許文献4)、杜仲の葉などの漢方薬成分を含有する植物を焙煎して得られる焙煎体に、整腸作用を得るためにキクイモなどの根茎を焙煎して得られる焙煎体とを混合した健康茶(特許文献5)、イヌリンを主成分とするキクイモ、アップルペクチン成分および蜂蜜を含有する、ダイエット、成人病予防、糖尿病予防などを目的とする健康飲料(特許文献6)などが提案されている。これらのキクイモ抽出物はいずれも、キクイモの主成分のイヌリンの作用効果に注目したものである。
上記のように、これまでに提案されているキクイモ抽出物は、殆どがキクイモ塊茎の抽出物であり、キクイモ塊茎以外の部分の抽出物についてはあまり報告されていない。また、キクイモに含まれる成分についても、イヌリン以外については殆ど報告されていない。
その中で、Web上で、「ダイエットに効く健康茶」として、陰干しし、焙煎したキクイモ葉の粉砕物に熱湯を注いで5分間おいて飲む「菊芋の葉茶」が掲載され(非特許文献1)、また、ザルの上で2〜3日乾燥したキクイモ葉を通常の緑茶のように、熱湯を注いで、5分間おいて飲む菊芋「葉」茶が掲載され、「どうも葉にもイヌリンが含まれていて体にいいらしい(ダイエットにも?)」と記載されている(非特許文献2)。これは、単に、塊茎に含まれるイヌリンが葉にも含まれていて、葉茶でも同様なダイエット効果を発揮するだろうという推測に過ぎず、作用効果は全く確認されていない。なお、本発明者らは、葉にはイヌリンはほとんど含まれないことを確認しており、この菊芋「葉」茶が塊茎に含まれているイヌリンと同じ作用効果を発揮するとは認められない。また、これには葉茶の含有成分について全く記載も示唆もされていない。
本発明者らは先に、イヌリンをほとんど含まない、あるいは極めて僅かしか含まないキクイモ塊茎の含水アルコール抽出物で、IgE抗体およびヒスタミンの産生抑制作用を示し、花粉症の症状軽減効果を有する抽出物を提案している(特許文献7)。
他方、イヌリン以外のキクイモ成分について、キクイモからジカフェオイルキナ酸(DCQA)を抽出、精製する方法(特許文献8)およびシキミ酸を含むキクイモ抽出物(特許文献9)などが報告されている。しかしながら、本願発明のような、DCCDおよび上述したようなHPLC分析で特徴的なピークを示す複数の成分を含有するキクイモ葉抽出物についてはこれまで全く報告されていない。
特開2014−205709号公報 特開2012−224613号公報 特開2007−246446号公報 国際公開第01/17379号 特開平4−8270号公報 特開2014−226063号公報 特開2014−73992号公報 中国特許出願公開第101747195号公報 特表2017−500882号公報
cookpad、ダイエットに効く健康茶・・「菊芋の葉茶」、[2018-6-13検索],<https://cookpad.com/recipe/3905649> cookpad、「菊芋""茶」, [2018-6-13検索], <https://cookpad.com/recipe/2252038>
キクイモは主成分のイヌリンの作用効果が注目されており、イヌリンを多く含む塊茎を利用する一方で、葉部はほとんど利用されずに廃棄されているのが現状である。かかる現状に対し、本発明者らは、キクイモをより有効に利用することを目的に、ほとんど利用されずに廃棄されている葉に含まれる含有成分およびその有用性を解明すべく検討を進めた。
植物に含まれる物質は部位によって異なっているのが一般的であり、さらに、植物から得られる物質の種類や性質は生育環境(産地)や収穫時期によっても大きく異なる。また、抽出物の場合、抽出成分の種類および含有量は、製造方法、例えば、加熱方法、乾燥方法、抽出方法(抽出溶媒、温度、時間など)および精製方法などによっても大きく変動する。
本発明の課題は、キクイモの葉に含まれる機能性物質を解明し、それを効率的に含む抽出物を得る抽出方法を確立し、さらに、該キクイモ葉抽出物を有効成分として含有する食品・医薬品組成物を提供することにある。
本発明者らは、かかる課題を解決するために鋭意研究を重ねる中で、ある条件下で抽出したキクイモ葉抽出物が花粉症の症状軽減作用を有することを見出し、さらに、その抽出物の含有成分として、少なくとも1−(3’,4’−ジヒドロキシシンナモイル)シクロペンタン−2,3−ジオール(DCCD)が0.3%(w/w)以上含まれていることを見出した。
さらにまた、当該抽出物に、下記分析条件のHPLC分析
分析条件:
カラム:Inertsil ODS−3(4.6μm×250mm、5μm)
溶出溶媒:A液:B液のグラジェント混合溶媒
(A:B=0分〜(100:0)→15分〜(85:15)→25分〜(50:50)→34分〜(30:70)→40分〜(0:100))
A液(メタノール:酢酸:超純水=10:2:88(v/v/v))
B液(メタノール:酢酸:超純水=90:2:8(v/v/v))
測定波長:UV 280nm
カラム温度:40℃
流速:1.0ml/分
検体量:20μl(50mg/ml)
において溶出時間約18分のピークを示す成分A、溶出時間約19分のピークを示す成分Bおよび溶出時間約28分のピークを示す成分Cが含まれていることを解明し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下に関する。
[1]温風乾燥または少なくとも5日間の天日干しにより乾燥したキクイモ葉の抽出物であって、少なくとも、1−(3’,4’−ジヒドロキシシンナモイル)シクロペンタン−2,3−ジオール(DCCD)を0.3%(w/w)以上含み、花粉症の症状軽減作用を有するキクイモ葉抽出物。
[2]さらに、少なくとも、下記分析条件のHPLC分析
分析条件:
カラム:Inertsil ODS−3(4.6μm×250mm、5μm)
溶出溶媒:A液:B液のグラジェント混合溶媒
(A:B=0分〜(100:0)→15分〜(85:15)→25分〜(50:50)→34分〜(30:70)→40分〜(0:100))
A液(メタノール:酢酸:超純水=10:2:88(v/v/v))
B液(メタノール:酢酸:超純水=90:2:8(v/v/v))
測定波長:UV 280nm
カラム温度:40℃
流速:1.0ml/分
検体量:20μl(50mg/ml)
において溶出時間約18分のピークを示す成分A、溶出時間約19分のピークを示す成分Bおよび溶出時間約28分のピークを示す成分Cを含むことを特徴とする、前記[1]に記載のキクイモ葉抽出物。
[3]温風乾燥または少なくとも5日間の天日干しにより乾燥した乾燥キクイモ葉または乾燥キクイモ葉粉砕物を用いて抽出したものである、前記[1]または[2]に記載のキクイモ葉抽出物。
[4]乾燥キクイモ葉または乾燥キクイモ葉粉砕物を、熱水を用いて10分間加熱抽出してなる、前記[3]に記載のキクイモ葉抽出物。
[5]乾燥キクイモ葉粉砕物を、100倍量の熱水中で10分間加熱抽出してなる、前記[4]に記載のキクイモ葉抽出物。
[6]乾燥キクイモ葉粉砕物を、100倍量の熱水中で10分間加熱抽出し、抽出液を放冷後、減圧濾過し、濾液を6,000×g、4℃で20分間遠心分離して得られる上清を凍結乾燥してなる、前記[5]に記載のキクイモ葉抽出物。
[7]キクイモ葉を温風乾燥または少なくとも5日間の天日干しにより乾燥した後、粉砕してなる、前記[1]乃至[6]のいずれか一項に記載のキクイモ葉抽出物の製造用乾燥キクイモ葉粉砕物。
[8]抽出の際の不溶物をろ過できる素材のパックに入れたパック状、または、粉末の溶解、溶出を促進する素材等と混合してタブレット状に成形してなる、前記[7]に記載の乾燥キクイモ葉粉砕物。
[9]前記[1]乃至[6]のいずれか一項に記載のキクイモ葉抽出物を活性成分として含有する、食品または医薬品組成物。
[10]花粉症症状軽減用である、前記[9]に記載の食品または医薬品組成物。
[11]キクイモ葉を温風乾燥または少なくとも5日間天日干しにより乾燥させてなる、キクイモ茶葉。
[12]花粉症症状軽減用である、前記[11]に記載のキクイモ茶葉。
本発明のキクイモ葉抽出物は、顕著な花粉症症状軽減作用を有しており、花粉症等のアレルギー症状軽減用の食品・医薬品組成物の原料として用いることができる。
図1は、異なる収穫時期におけるキクイモ葉部熱水抽出物の収量を示すグラフである。Aは、4系統別の抽出物の比較を示し、Bは、収穫時期別の抽出物の比較を示す。 図2は、11月に収穫したドイツ系統のキクイモ塊茎から調製した抽出物をHPLC分析に供した結果を示すチャートであり、AおよびBは、夫々、塊茎メタノール抽出物および塊茎熱水抽出物HPLC分析を示す。また、DCCDは1−(3’,4’−ジヒドロキシシンナモイル)シクロペンタン−2,3−ジオールを示し、CGAはクロロゲン酸を示す。 図3は、11月に収穫したドイツ系統のキクイモ葉部から調製した抽出物をHPLC分析に供した結果を示すチャートであり、葉部熱水抽出物のHPLC分析を示す。また、DCCDは1−(3’,4’−ジヒドロキシシンナモイル)シクロペンタン−2,3−ジオールを示す。 図4は、11月に収穫したドイツ系統の塊茎部および葉部中のDCCD量を示すグラフである。 図5は、系統別によるDCCD含量の比較を示すグラフである。Aは、4系統別の葉部熱水抽出物の比較を示し、Bは、収穫時期別の葉部熱水抽出物の比較を示す。 図6は、加工方法別によるDCCD含量の比較を示すグラフである。Aは、天日乾燥と凍結乾燥の比較を示し、Bは、加工方法別のDCCD含量(%)を示す。 図7は、BALB/cマウスを用いた動物試験の実験スケジュールの概要を示す図である。 図8は、無処置群(Control)、感作対照群(CryJ1)およびキクイモ葉部抽出物投与群(CryJ1+0.025%およびCryJ1+0.05%)、各群の摂取35日後のひっかき回数を示す図である。縦軸は15分あたりのひっかき回数(回)であり、値は、平均値±標準誤差、グラフ中、「*」および「**」印は、Studentのt−検定によりそれぞれp<0.05、p<0.01で感作対照群に対して有意差があることを表す。 図9は、無処置群(Control)、感作対照群(CryJ1)およびキクイモ葉部抽出物投与群(CryJ1+0.025%およびCryJ1+0.05%)、各群の摂取35日後の血清中のCry j 1特異的IgE抗体価を示す図である。縦軸は490nmにおける吸光度を示し、値は、平均値±標準誤差、グラフ中、「*」および「**」印は、Studentのt−検定によりそれぞれp<0.05、p<0.01で感作対照群に対して有意差があることを表す。
本発明者らは、キクイモの有効利用拡大のために、キクイモの葉部に含まれる機能性物質を解明し、それを効率的に含む抽出物を得る抽出方法を確立すべ研究を行った結果、ある条件下で抽出したキクイモ葉抽出物が花粉症症状軽減作用を示し、1−(3’,4’−ジヒドロキシシンナモイル)シクロペンタン−2,3−ジオール(DCCD)が0.3%(w/w)以上含まれていることを見出した。また、含有成分として、さらに、下記分析条件のHPLC分析
分析条件:
カラム:Inertsil ODS−3(4.6μm×250mm、5μm)
溶出溶媒:A液:B液のグラジェント混合溶媒
(A:B=0分〜(100:0)→15分〜(85:15)→25分〜(50:50)→34分〜(30:70)→40分〜(0:100))
A液(メタノール:酢酸:超純水=10:2:88(v/v/v))
B液(メタノール:酢酸:超純水=90:2:8(v/v/v))
測定波長:UV 280nm
カラム温度:40℃
流速:1.0ml/分
検体量:20μl(50mg/ml)
において溶出時間約18分のピークを示す成分A、溶出時間約19分のピークを示す成分Bおよび溶出時間約28分のピークを示す成分Cが含まれていることを見出した。
また、含有成分のDCCDの含量がキクイモの系統、収穫時期によって異なり、キクイモ葉の乾燥条件によっても大きく変動することを確認し、これらの知見の下に、好適な抽出方法を確立した。
さらにまた、本発明のキクイモ葉抽出物は、上記のとおり、含有成分として上記HPLC分析において特徴的なピークを示す成分A、成分Bおよび成分Cを含むものであるところ、これらの成分は、本発明者らが先に報告した、IgE抗体およびヒスタミンの産生抑制作用を示すキクイモ塊茎の含水アルコール抽出物(特許文献7)には全く含まれていない。一方、当該キクイモ塊茎の含水アルコール抽出物に含まれているクロロゲン酸(CGA)は、本発明のキクイモ葉抽出物には全く含まれていない。これらのことから、本発明のキクイモ葉抽出物と当該キクイモ塊茎の含水アルコール抽出物とは、含有成分において全く別異の抽出物であることが確認された。
本発明はこのような知見に基づくものである。
本発明は、一態様において、温風乾燥または少なくとも5日間程度の天日干しにより乾燥したキクイモ葉の抽出物であって、含有成分として少なくとも、1−(3’,4’−ジヒドロキシシンナモイル)シクロペンタン−2,3−ジオール(DCCD)を0.3%(w/w)以上含み、花粉症の症状軽減作用を有するキクイモ葉抽出物に関する。
本発明はまた、さらに、下記分析条件のHPLC分析
分析条件:
カラム:Inertsil ODS−3(4.6μm×250mm、5μm)
溶出溶媒:A液:B液のグラジェント混合溶媒
(A:B=0分〜(100:0)→15分〜(85:15)→25分〜(50:50)→34分〜(30:70)→40分〜(0:100))
A液(メタノール:酢酸:超純水=10:2:88(v/v/v))
B液(メタノール:酢酸:超純水=90:2:8(v/v/v))
測定波長:UV 280nm
カラム温度:40℃
流速:1.0ml/分
検体量:20μl(50mg/ml)
において溶出時間約18分のピークを示す成分A、溶出時間約19分のピークを示す成分Bおよび溶出時間約28分のピークを示す成分Cを含み、花粉症の症状軽減作用を有するキクイモ葉抽出物に関する。
本発明はまた、温風乾燥または少なくとも5日間程度の天日干しにより乾燥した乾燥キクイモ葉または乾燥キクイモ葉粉砕物を、熱水を用いて抽出してなるキクイモ葉抽出物、例えば、当該乾燥キクイモ葉粉砕物を、約100倍量の熱水中で、約10分間加熱抽出し、抽出液を放冷後、減圧濾過して得られる濾液を、6,000×g、4℃で20分間遠心分離して得られる上清を凍結乾燥して得られる、キクイモ葉抽出物に関する。
本発明のキクイモ葉抽出物は、花粉症の症状軽減効果を有し、健康飲料などの食品組成物として利用できる。また、花粉症の症状軽減用の医薬組成物として利用することもできる。
本発明はまた、キクイモ葉を温風乾燥または少なくとも5日間程度の天日干しにより乾燥した後、所望の方法で粉砕してなる、キクイモ葉抽出物の製造用乾燥キクイモ葉粉砕物に関する。
さらに本発明は、抽出の際の不溶物をろ過できる素材のパックに入れたパック状、または、粉末の溶解、溶出を促進する素材等と混合してタブレット状に成形してなる、乾燥キクイモ葉粉砕物に関する。
さらにまた本発明は、例えば、上記のようにして得られるキクイモ葉抽出物を有効成分として含有する食品または医薬品組成物、例えば、花粉症の症状軽減用として好適な食品または医薬組成物に関する。
本発明のキクイモ葉抽出物の製造に用いるキクイモ葉は、葉熱水抽出物のDCCDの含有量が0.3%(w/w)以上になるものであれば特に制限されず、生産地に関しても、日本系統(阿智系統)、フランス系統(No.1、No.2)、ドイツ系統のいずれでも用いることができるが、フランス系統のものは、No.1、No.2ともに、DCCDの含有量が比較的低く、更に、収穫時期が遅くなるに従い低下する傾向がある。また、ドイツ系統のものは収穫時期による変動が大きく、例えば9月収穫で極端に低下する傾向がある。日本系統(阿智系統)のものは、ドイツ系統でDCCD含量の低下が認められた9月収穫でも低下が少なく、11月収穫のものは極めて高いDCCD含有量を示す。
本試験結果から、日本系統(阿智系統)のものが比較的DCCD含有量が高いことから好ましく、中でも、11月収穫のものが最も好ましいことが確認された。
また、キクイモ葉抽出物の製造原料のキクイモ葉の乾燥方法によっても葉熱水抽出物のDCCDの含有量が変動することを確認した。
天日乾燥と凍結乾燥を比較した場合、例えば、フランス系統(No.1、No.2)のものは天日乾燥したものの方が凍結乾燥したものよりも高いDCCD含量を示したのに対して、ドイツ系統および日本系統(阿智系統)のものは、天日干ししたものの方が凍結乾燥より低い値を示すものの、日本系統(阿智系統)のものは変動が少ないことが確認された。
キクイモ葉抽出物の製造に用いるキクイモ葉の乾燥方法によるDCCD含量の変動についてさらに検討すべく、例えば、フランス系統(No.1)のものを用いて、凍結乾燥、天日干し、温風乾燥、焙煎を比較した結果、温風乾燥によりDCCD量が減少し、焙煎処理によりさらに低下し、凍結乾燥の場合最もDCCD量が低下することが確認できた。これらのことから、キクイモ葉抽出物の製造に用いるキクイモ葉の乾燥方法は、天日干しまたは温風乾燥がよく、より好ましくは、天日干しである。天日干しは、少なくとも5日間程度の天日干しが好ましく、さらに少なくとも14日間程度の天日干しが最も好ましい。
温風乾燥の温度としては、例えば、35℃〜90℃であってもよく、好ましくは40℃〜80℃、とくに好ましくは、60℃〜80℃である。温度は、一定の温度でも、乾燥中に適宜温度を変化させてもよい。温風乾燥の時間は、温度との関係で適宜選択できるが、例えば、15分〜5時間程度であってもよく、好ましくは、30分〜4時間程度である。
好ましい温風乾燥の条件としては、60℃〜80℃で30分〜4時間であり、とくに好ましくは、最初に80℃で30分間、次に60℃で2時間、さらに80℃で1時間の三段階を1つの乾燥工程とすることである。かかる乾燥工程により、キクイモ葉の緑色を保ちながら乾燥させることができる。
本発明のキクイモ葉抽出物の製造原料として用いるキクイモ葉は、何れの産地および収穫期のものでも用いることができるが、日本系統(阿智系統)のものが好ましく、その中でも11月収穫のものがより好ましい。
本発明のキクイモ葉抽出物の製造原料として用いる乾燥キクイモ葉粉砕物は、キクイモ葉を天日干しまたは温風乾燥で十分に、例えば、天日干しの場合少なくとも5日間程度乾燥した後、所望の方法で粉末化、例えば、液体窒素で急速凍結した後、粉砕機で粉砕する事により製造することができる。
このようにして製造した乾燥キクイモ葉粉砕物は、粉末のまま本発明のキクイモ葉抽出物の製造に用いることができるが、抽出の際の不溶物の混入を低減するために、不溶物をろ過できるような素材のパックに入れて使用してもよく、更に、例えば、粉末の溶解、溶出を促進する素材等と混合してタブレット状に成形して使用してもよい。
本発明のキクイモ葉抽出物は、上記のようにして得られる乾燥キクイモ葉粉砕物を、熱水中で抽出することにして得ることができる。例えば、約100倍量の熱水中で、約10分間加熱抽出することにより得ることができる。
抽出液そのものでなく、保存に適した抽出物を得たい場合は、例えば、上記で得られる抽出液を放冷後、減圧濾過し、濾液を、6,000×g、4℃で20分間遠心分離して得られる上清を凍結乾燥することにより製造することができる。
このようにして製造される本発明のキクイモ葉抽出物は、優れた花粉症症状軽減効果を発揮するものであり、各種の食品組成物あるいは医薬品組成物の活性成分として用いることができる。
食品の場合、抽出物そのものを、または、適当な食品添加物と組み合わせて、各種の機能性健康食品として用いることができる。
また、医薬品とする場合は、適当な医薬品添加剤と組み合わせて、通常の調剤の手法に従って各種の剤形として用いることができる。このような剤形としては、例えば散剤、顆粒剤、カプセル剤、丸剤、錠剤等の固形製剤、水剤、懸濁剤、乳剤等の液剤等の経口投与剤が挙げられる。
本発明の抽出物を医薬品組成物の活性成分として使用する場合の投与量は、患者の年齢、体重、性別、症状の程度、投与方法などの種々の要因によって異なるが、成人で、1日当たり、概ね、1〜1000mgの範囲で選択することができる。また、症状改善の度合いによって、適宜増減することもできる。投与回数としては、1日1回〜数回に分けて投与することができる。
本発明の抽出物を食品として使用する場合の摂取量は、上記医薬品の経口投与の場合に準じて選択することができる。但し、飲食物の場合は医薬品とは異なり、投与用量および投与回数が特に制限されないことから、特に重篤な症状を発生しない限りにおいて、健康維持という目的、並びに、呈味性、嗜好性を考慮して、上記の範囲に限定されずに摂取量を選択してもよい。
本発明は、一態様において、キクイモ葉を温風乾燥または少なくとも5日間天日干しにより乾燥させてなる、キクイモ茶葉に関する。
本発明のキクイモ茶葉は、DCCDを十分に含むキクイモ葉抽出物や、さらに上記の成分A〜Cを含むキクイモ葉抽出物を製造することに好適である。
また本発明のキクイモ茶葉は、花粉症症状軽減用として用いることができる。
以下に、本発明の実施の態様について、実施例を挙げて説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
1.材料
キクイモ塊茎および葉は長野県阿智村から提供された4種類(阿智、フランスNo.1、フランスNo.2、ドイツ)の系統を使用した。
2.塊茎部および葉部からのキクイモ熱水抽出物の調製
塊茎部抽出物の調製法は、キクイモを土が残らないように水洗いし、スライサーでスライスしたものを室温において完全に乾燥させ、ミキサーにより15秒間粉末化した。その後、沸騰させた500mlの蒸留水に粉末5gを加え、10分間加熱し熱水抽出を行った。1時間放冷し、6,000×g、4℃において20分間遠心分離を行い、得られた上清を凍結乾燥し、これをキクイモ塊茎部抽出物とした。
葉部抽出物の調製においては、前処理として、細切した葉を乳鉢に入れ、液体窒素を注ぎ込み速やかに乳棒ですり潰した。すり潰した葉はファルコンチューブに入れ、−80℃で保存した。葉粉砕物5gを沸騰した蒸留水(D.W.)500ml中に加え、10分間加熱し抽出を行った。その後1時間放冷したのち、濾紙(アドバンテック、東京)No.5を使用し減圧濾過を行った。その後6,000×g、4℃において20分間遠心分離を行い、得られた上清を凍結乾燥し、これをキクイモ葉部抽出物とした。
3.HPLC分析
塊茎部と葉部由来のキクイモ熱水抽出物のHPLC分析は、それぞれの試料を溶媒A(メタノール:酢酸:超純水=10:2:88(v/v/v))に50mg/mlとなるように調製し、表1(A)および(C)に示した条件に供して行った。キクイモ抽出物中の活性成分(以下、DCCD)を定量するために、クロロゲン酸を用いて希釈系列(0.4、0.6、0.8、1.0、2.0mg/ml)を作製し、それぞれを表1(A)および(C)に示す条件でHPLC分析に供し、クロロゲン酸のピーク面積と濃度から検量線を作成した。また乾燥葉粉末1gから抽出される抽出物の量を算出した。
実験1.異なる収穫時期におけるキクイモ葉部熱水抽出物の収量
収穫時期によるキクイモ葉熱水抽出物の収量の変動を確認すべく、7月、9月、11月にそれぞれ収穫したキクイモ葉から熱水抽出物を調製し、得られた抽出物の収率(乾燥重量)を比較した。結果を図1に示す。
図1に示すとおり、4系統(日本系統(阿智系統)、フランス系統(No.1、No.2)、ドイツ系統)の熱水抽出物収量に大きな差はなく、また、収穫時期による変動も少ないものの、すべての系統において、7月に収穫した葉が比較的高い熱水抽出物収量を示すことが確認された。
実験2.キクイモ抽出物のHPLC分析
キクイモ葉抽出物の活性成分を確認し、さらに、キクイモ塊茎および葉部から調製した抽出物の含有成分を比較すべく、11月に収穫したドイツ系統のキクイモを用いて、塊茎のメタノール抽出物および熱水抽出物並びに葉の熱水抽出物のHPLC分析を行った。なお、キクイモ塊茎のメタノール抽出物は特許文献7記載の方法に準じて製造した。
HPLC分析は以下の条件で行った(表1参照)。
分析条件:
カラム:Inertsil ODS−3(4.6μm×250mm、5μm)
溶出溶媒:A液:B液のグラジェント混合溶媒
(A:B=0分〜(100:0)→15分〜(85:15)→25分〜(50:50)→34分〜(30:70)→40分〜(0:100))
A液(メタノール:酢酸:超純水=10:2:88(v/v/v))
B液(メタノール:酢酸:超純水=90:2:8(v/v/v))
測定波長:UV 280nm
カラム温度:40℃
流速:1.0ml/分
検体量:20μl(50mg/ml)
HPLC分析の結果を図2および図3に示す。図2は、キクイモの塊茎メタノール抽出物(A)および塊茎熱水抽出物(B)のHPLC分析を示す。図3は、本発明のキクイモ葉抽出物(葉部熱水抽出物)のHPLC分析を示す。
なお、HPLCピークの化合物を同定するため,既知化合物を標品として比較検討を行った。その結果、活性成分であるピーク(図2および図3においてDCCDと表記したピーク)については、EI−MS解析を行った結果、m/z 271にピークが検出されたため、分子量は約271であることが示された。加えて立体構造を明らかにするためにNMR解析を行った。その結果を以下に示す。
1H NMR (500 MHz, CD3OD): δ = 7.56 (1H, d, J = 15.7 Hz), 7.04 (1H, s), 6.95 (1H, d, J = 7.0 Hz), 6.26 (1H, d, J = 15.7 Hz), 5.34 (1H, brs), 4.17 (1H, brs), 3.67 (1H, brs), 2.20 (2H, m), 2.06 (2H, m).
13C NMR (125 MHz, CD3OD): δ = 168.78, 149.56, 147.01, 146.81, 127.84, 122.94, 116.49, 115.37, 115.20, 73.86, 72.13, 71.76, 39.24, 38.36
NMRとMSの結果から,活性成分であるピークは、下記化学式で表される1-(3’,4’-dihydroxycinnamoyl)cyclopentane-2,3-diol(DCCD)と同定された。
同じ抽出物の量で比較した結果、葉部熱水抽出物と塊茎熱水抽出物の比較では、葉部熱水抽出物は活性成分のDCCDの含有量が極めて高かった。
また、葉部熱水抽出物と塊茎メタノール抽出物の比較では、塊茎メタノール抽出物には、DCCDとほぼ同じ程度のクロロゲン酸(CGA)が含まれており、さらに、本発明の葉熱水抽出物に特徴的に含まれる、分析条件(実験2の分析条件)のHPLC分析において溶出時間約18分のピークを示す成分A、溶出時間約19分のピークを示す成分Bおよび溶出時間約28分のピークを示す成分Cは全く含まれていない。
他方、葉部熱水抽出物には、塊茎部メタノール抽出物に含まれているクロロゲン酸(CGA)が全く含まれていない。
以上から、本発明の葉部熱水抽出物は、塊茎部メタノール抽出物と含有成分において全く異なっている別異の抽出物であることが明らかとなった。
続いて、クロロゲン酸(CGA)を用いた検量線を作成し、外部標準法により抽出物中のDCCD量を算出した。11月に収穫したドイツ系統の塊茎部および葉部中のDCCD量を図4に示す。葉部から調製した熱水抽出物中のDCCD量は0.627%と塊茎部から調製したもの(0.304%)と比較して2.06倍多く含まれていることが確認された。
実験3.系統別によるDCCD含量の比較
キクイモの系統および収穫時期によるキクイモ葉熱水抽出物のDCCD量の変動を確認すべく、4系統(日本(阿智)、フランス(No.1、No.2)およびドイツ)のキクイモの、各時期(7月、9月、11月)に収穫された葉部から調製した熱水抽出物のDCCD含量について、系統別および収穫時期別に比較した。
その結果、実験1の熱水抽出物収量では系統および収穫時期で大きな差はなかったのに対して、DCCD収量では系統および収穫時期による変動が確認された。
フランス系統ではNo.1およびNo.2ともに収穫時期が遅くなるにつれてDCCD量が減少することが示され、特に、フランスNo.1系統では11月収穫したものは7月収穫と比べて0.208%減少した。また、これらとは対照的に、阿智系統において7月収穫時ではDCCDが0.582%含まれていたが、収穫時期が遅くなるにつれてDCCD量が増加し、11月の時点では1%を超える含量を示した。(図5)
実験4.加工方法別によるDCCD含量の比較
キクイモ葉の加工条件によるキクイモ葉熱水抽出物のDCCD量の変動を確認すべく、加工条件(天日干し、温風乾燥および焙煎)がDCCD含量に及ぼす影響について検討した。天日干し、温風乾燥および焙煎は、次のとおりの方法で行った。
天日干し:キクイモから収穫した葉を、14日間、天日により乾燥した。
凍結乾燥:キクイモから収穫した葉を、冷凍庫内で凍結後、凍結乾燥機で凍結乾燥した。
温風乾燥:キクイモから収穫した葉を、最初に80℃で30分間、次に60℃で2時間、さらに80℃で1時間温風乾燥した。
焙煎:キクイモから収穫した葉を、100℃に熱したフライパンで5分程度焙煎した。
まず、4系統(日本(阿智)、フランス(No.1、No.2)およびドイツ)のキクイモ葉を用いて、天日干しと凍結乾燥によるDCCD量の変動を確認すべく、14日間天日乾燥した葉と凍結乾燥した葉を用いて抽出を行った際のDCCD含量の変化を確認した。結果を図6Aに示す。その結果、フランス系統では天日乾燥の方が凍結乾燥したものよりも高いDCCD含量を示した。阿智系統では違いは認められなかったのに対して、ドイツ系統では、天日干しの方がやや低い値を示した。
乾燥方法によるDCCD量の変動をさらに確認すべく、フランス系統(No.1)のキクイモ葉を用いて、凍結乾燥、天日干し、温風乾燥、焙煎を比較した(図6B)。その結果、温風乾燥によりDCCD量が減少し、焙煎処理によりさらに低下し、凍結乾燥することで最も低下することが確認された。
フランス系統(No.1)のキクイモ葉の場合、乾燥条件によって活性成分のDCCD量が変動し、温風乾燥、焙煎、凍結乾燥と乾燥方法が過激(急激)になるにつれてDCCD量が低下することが分かった。
実験5.キクイモ葉部抽出物のアレルギー軽減効果
BALB/cマウスを用いた動物試験において、スギ花粉アレルゲンCry j 1感作によって誘導される血中抗体価を測定した。
すなわち、5週令の雌性BALB/cマウス(Charles River社)24匹を1群6匹ずつの4群に分け、その内の1群を無処置群(Control)とし、残る3つの群に、スギ花粉アレルゲンCry j 1感作処置をして、無添加飼料群(感作対照群)(Cryj1)、キクイモ葉部抽出物0.025%(w/w)添加飼料群(Cryj1+0.025%)、およびキクイモ葉部抽出物0.05%(w/w)添加飼料群(Cryj1+0.05%)とした。
マウスは、Alum(Thermo社)とともにCry j 1(日本生化学バイオビジネス社)溶液(15μg/150μl)を0日後と7日後と14日後の3回、腹腔内注射して感作した。さらに21日後から14日間連日、1日1回、Cry j 1溶液(0.4μg/10μl)をマウスの鼻腔内に注入して経鼻感作を行った。無処置群(Control)、感作対照群(Cryj1)には基本飼料(MF飼料、オリエンタル酵母社)を、キクイモ葉部抽出物投与群には、キクイモ葉部抽出物添加飼料(基本飼料の内、キクイモ葉部抽出物を0.025%および0.05%添加したもの)を給餌し、35日目まで継続し、試験期間中、5日間隔で15分あたりのひっかき回数を測定した(図7)。
さらに、試験終了後、腹部大静脈より採血し、血清中のCry j 1特異的IgE抗体価をELISA法で測定した。
なお、飼料摂取期間中は感作を維持させるため、1週間に1回、Cry j 1溶液(0.4μg/10μl)をマウスの鼻腔内に注入した。
結果を図8および9に示す。
35日目において、キクイモ葉部抽出物投与群のくしゃみ回数が感作対照群(Cryj1)と比較して顕著に低下した。
さらに、キクイモ葉部抽出物群の血清中のCry j 1特異的IgE抗体価は、感作対照群(Cryj1)と比較して有意に低い値を示した。(p<0.01)
本実験結果は、本発明のキクイモ葉部抽出物が、顕著なIgE抗体の産生抑制作用を有し、優れた花粉症症状軽減効果を発揮することを示すものである。
本発明のキクイモ葉抽出物は、顕著な花粉症の症状軽減効果を有しており、これを活性成分として含有させることにより、機能性健康食品あるいは花粉症等の症状緩和・治療用医薬品を製造することができる。

Claims (5)

  1. 乾燥キクイモ葉または乾燥キクイモ葉粉砕物の熱水抽出物であって、少なくとも、1−(3’,4’−ジヒドロキシシンナモイル)シクロペンタン−2,3−ジオール(DCCD)を0.3%(w/w)以上含み、さらに、少なくとも、下記分析条件のHPLC分析
    分析条件:
    カラム:Inertsil ODS−3(4.6μm×250mm、5μm)
    溶出溶媒:A液:B液のグラジェント混合溶媒
    (A:B=0分〜(100:0)→15分〜(85:15)→25分〜(50:50)→34分〜(30:70)→40分〜(0:100))
    A液(メタノール:酢酸:超純水=10:2:88(v/v/v))
    B液(メタノール:酢酸:超純水=90:2:8(v/v/v))
    測定波長:UV 280nm
    カラム温度:40℃
    流速:1.0ml/分
    検体量:20μl(50mg/ml)
    において溶出時間約18分のピークを示す成分A、溶出時間約19分のピークを示す成分Bおよび溶出時間約28分のピークを示す成分Cを含むことを特徴とする、キクイモ葉抽出物を活性成分として含有する、花粉症の症状軽減用食品または医薬品組成物
  2. 前記キクイモ葉抽出物が、乾燥キクイモ葉または乾燥キクイモ葉粉砕物を、熱水を用いて10分間加熱抽出してなるものである、請求項1に記載の花粉症の症状軽減用食品または医薬品組成物
  3. 前記キクイモ葉抽出物が、乾燥キクイモ葉粉砕物を、100倍量の熱水中で、10分間加熱抽出してなるものである、請求項2に記載の花粉症の症状軽減用食品または医薬品組成物
  4. 前記キクイモ葉抽出物が、乾燥キクイモ葉粉砕物を、100倍量の熱水中で10分間加熱抽出し、抽出液を放冷後、減圧濾過し、濾液を6,000×g、4℃で20分間遠心分離して得られる上清を凍結乾燥してなるものである、請求項3に記載の花粉症の症状軽減用食品または医薬品組成物
  5. 乾燥キクイモ葉粉砕物が、キクイモ葉を乾燥した後、粉砕し、抽出の際の不溶物をろ過できる素材のパックに入れたパック状、または、粉末の溶解、溶出を促進する素材等と混合してタブレット状に成形してなるものである、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の花粉症の症状軽減用食品または医薬品組成物
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