JP6210572B1 - 銅合金線棒材およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】強度、導電率および切削性の特性をバランスよく向上させた銅合金線棒材およびその製造方法を提供する。【解決手段】本発明の銅合金線棒材は、所定の合金組成を有し、溶質原子Snの濃度が周期的に変動する微細な構造形態を持ち、結晶粒の(001)面にて母相中のSn濃度を面分析して測定したときのSn濃度の最大値と最小値の差が、4〜18質量%の範囲にあり、(001)[100]方位に沿って測定したときのSnの周期的な濃度ゆらぎの平均波長が、1〜15nmであり、前記線棒材の長手方向に垂直な断面において、粒径が0.05〜1.0μmの第二相粒子の平均個数密度が0.1〜1.0個/μm2である。【選択図】図1

Description

本発明は、銅合金線棒材およびその製造方法に関し、特に電気電子部品や、精密機器、自動車の金属部品として使用するのに好適な銅合金線棒材の改良に関する。
例えばコネクタ、スイッチ、ソケットなどの電気電子部品に使用される銅合金材料としては、りん青銅や黄銅等の固溶強化型合金が使用されていた。しかし、近年、電子部品の著しい軽薄・短小化に伴って、これらの材料では必要とされる強度を満足できない場合が多い。そのため、特に信頼性が要求される部品には、強度の高いベリリウム銅、チタン銅等の高強度型銅合金の需要が増えているが、ベリリウム銅は、ベリリウム化合物が毒性を有することや、コストが高いといった問題点があり、チタン銅は、耐食性が低く、塩水噴霧試験で容易に腐食するといった問題があり、例えば近年登場したスマートウォッチや眼鏡型端末といったウェアラブル機器などの、人体と接触し野外での使用が想定される製品の部品としては不適当である。従って毒性が無く、強度や耐食性に優れたCu−Ni−Sn系の銅合金があらためて注目されている。また、Cu−Ni−Sn系の銅合金は、時効処理による第二相の析出によって強度を向上させる時効硬化型合金として知られている(例えば特許文献1〜5等)。
特許文献1には、仕上げ加工前の組織調整を目的として、単相域となる800℃以上の温度での熱処理と、室温で2相の出現が可能となる600〜770℃の温度範囲での熱処理の2段熱処理で行うとともに、疲労特性をさらに向上させるために、加工率0〜60%の範囲で行なう仕上げ加工後に、350〜500℃の温度範囲で時効熱処理を行い、常温状態でマトリックス(第一相)中に第二相を均一に分散させた組織を得ることで、機械的特性および導電性を実用レベルに保ちながら、安価に成形性が良好で疲れ特性に優れたCu−Ni−Sn合金の製造方法が記載されている。
特許文献2には、最終仕上げ加工前に、730〜770℃の熱処理と、急冷処理と、55〜70%の冷間加工と、400〜500℃の熱処理とを順次施し、2相領域となる温度で熱処理を行うことで、引張強度、0.2%耐力、硬度および疲労強度のいずれの特性とも改善したCu−Ni−Sn系合金が記載されている。
特許文献3には、最終冷間圧延前の溶体化処理において、結晶粒径を微細化しつつ、第二相粒子の析出を抑えることにより、高強度で、良好な曲げ加工性を有するNi−Sn系銅合金が記載されている。
特許文献4には、圧延材を780〜900℃で加熱して急冷する溶体化処理を行う工程と、加工率6〜12%で圧延加工する工程と、270〜400℃で加熱する時効処理を行う工程とを備え、溶体化処理後の所定の断面における圧延材の平均結晶粒径を6μm未満とすることにより、高い強度と優れた曲げ加工性を得ることができる銅合金が記載されている。
特許文献5には、溶体化処理材を、300℃以上500℃以下の温度範囲で時効処理を行った後に、加工率が60%を超え99%以下の冷間加工を行ない、その後、300℃以上500℃以下の温度範囲で時効処理を行うことで、高密度の転位を固定化させ、機械的強度をより高め、耐熱性の劣化を抑制したCu−Ni−Sn系合金が記載されている。
特開平2−88750号公報 特開2002−266058号公報 特開2009−242895号公報 国際公開第2014/016934A1号パンフレット 国際公開第2014/196563A1号パンフレット
ところで、近年は、腕時計の方式で手首に装着できるウェアラブルデバイス(例えばスマートウォッチ)や、モバイル機器の小型化・高機能化に伴って、使用部品についても小型化するとともに使用個数も増加する傾向にあり、従来から、Cu−Ni−Sn合金が用いられている部品にも、省スペース化のため細線化が求められるようになり、より高強度で曲げ加工性に優れた材料を開発することが必要になってきた。上記のような従来技術によれば、熱処理過程において、粒径微細化および第二相粒子の個数を規定することで、高強度化や曲げ加工性の向上を図っているが、強化機構の主体であるスピノーダル変調構造、すなわち固溶元素濃度が母相内で周期的に変動する変調構造の制御に関しては考慮が払われていなかったため、特許文献1〜4に記載のCu−Ni−Sn合金では、適正な変調構造を有していなかった。また、特許文献5では、スピノーダル変調構造に関する検討については行っているが、周期性の制御は行っていないため、適正な変調構造を有していなかった。そのため、特許文献1〜5に記載されたCu−Ni−Sn合金材は、強度の向上が十分ではなかった。
さらに、特許文献1〜5に記載されたCu−Ni−Sn合金材においては、切削性に関しては考慮が払われておらず、切削性の向上に寄与すると考えられる第二相粒子については、強度向上に不要なものとして寧ろその発生を抑制されており、十分な切削性が得られていなかった。
本発明は、変調構造の周期性、母相の結晶粒および第二相粒子の適正化を図り、変調構造の特性を有効に発揮させ、切削屑の起点となる第二相粒子を分散させることで、特に強度、導電率および切削性の特性をバランスよく向上させた銅合金線棒材およびその製造方法を提供することを目的とする。
Cu−Ni−Sn系合金は、スピノーダル分解によるSnの変調構造の形成にて強度を向上させる時効硬化型合金である。本発明者らが鋭意検討を行ったところ、中間熱処理、溶体化熱処理、時効熱処理およびこれら熱処理の間で行う冷間加工の各条件を適正に制御することによって、時効後に強固なスピノーダル変調構造を適正な構造に発達させることができるという知見を得た。また、発達させた変調構造は、特定方向に固溶した溶質原子であるSnの濃度が周期性を持っており、前記特定方向に沿って測定したときのSnの周期的な濃度ゆらぎの平均波長が数nm〜数十nm程度であることを見出した。さらに、時効温度が高くなるにつれて前記Sn濃度の周期も増大して強度が増加する傾向にあるが、前記Snの周期的な濃度ゆらぎの平均波長を1〜15nmの範囲に限定するとともに、Sn濃度の最大値と最小値の差を4〜18質量%の範囲に限定することによって、組織形態が適正に保たれ強度が高くなり、加えて、粒径が0.05〜1.0μmの第二相粒子の平均個数密度を0.1〜1.0個/μmとすることによって、特に切削性が向上し、その結果、特に強度、導電率および切削性の特性をバランスよく向上できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の要旨構成は以下のとおりである。
(1) 3.0〜25.0質量%Ni、3.0〜9.0質量%Sn、0〜0.20質量%Fe、0〜0.10質量%Si、0〜0.30質量%Mg、0〜0.50質量%Mn、0〜0.10質量%Zn、0〜0.15質量%Zrおよび0〜0.10質量%Pを含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる合金組成を有する銅合金線棒材であって、
溶質原子Snの濃度が周期的に変動する微細な構造形態を持ち、
結晶粒の(001)面にて母相中のSn濃度を面分析して測定したときのSn濃度の最大値と最小値の差が、4〜18質量%の範囲にあり、
(001)[100]方位に沿って測定したときのSnの周期的な濃度ゆらぎの平均波長が、1〜15nmであり、
前記線棒材の長手方向に垂直な断面において、粒径が0.05〜1.0μmの第二相粒子の平均個数密度が0.1〜1.0個/μmであることを特徴とする、銅合金線棒材。
(2) 前記結晶粒の(001)面にて母相中のSn濃度を面分析したときのSn濃度の標準偏差が1〜4質量%である、上記(1)に記載の銅合金線棒材。
(3) 前記断面において、不連続析出セル組織の面積率が20〜80%である、上記(1)または(2)に記載の銅合金線棒材。
(4) 前記Fe、Si、Mg、Mn、Zn、ZrおよびPからなる群から選ばれる少なくとも1成分の含有量の合計は、0.60質量%以下である、上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の銅合金線棒材。
(5) 引張強度が1000MPa以上である、上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の銅合金線棒材。
(6) 上記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の銅合金線棒材の製造する方法であって、
前記銅合金線棒材を与える合金組成からなる銅合金素材に、鋳造[工程1]、均質化熱処理[工程2]、熱間加工[工程3]、第1冷間加工[工程4]、中間熱処理[工程5]、第2冷間加工[工程6]、溶体化熱処理[工程7]、第3冷間加工[工程8]、時効処理[工程9]をこの順に施し、
前記中間熱処理は、加熱温度が300〜850℃、該加熱温度での保持時間が10〜300秒間および平均冷却速度が50℃/秒以上であり、
前記第2冷間加工は、加工率が50〜90%であり、
前記溶体化熱処理は、溶体化温度が650〜900℃、該溶体化温度での保持時間が5〜300秒間および平均冷却速度が50℃/秒以上であり、
前記第3冷間加工は、加工率が70〜99%であり、および、
前記時効処理は、時効処理温度が300〜500℃および該時効処理温度での保持時間が0.1〜15時間であることを特徴とする銅合金線棒材の製造方法。
本発明によれば、特に強度、導電率および切削性の特性をバランスよく向上させた銅合金線棒材を提供することが可能になった。この銅合金線棒材は、電気電子部品、精密機器、自動車等に使用される金属部品に使用するのに適している。また、本発明に従う銅合金線棒材の製造方法によれば、上記銅合金線棒材を好適に製造することができる。
図1は、本発明の銅合金線棒材の長手方向に垂直な断面をバフ研磨して酸化膜を除去した後、硝酸20質量%のメタノール溶液にて電解研磨することで観察用試料を作製し、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて結晶粒の(001)面を観察したときのものであって、図1(a)が回折パターン、図2(b)がTEM写真である。 図2は、(200)面のX線回折チャートであって、サイドバンドのピークの主回折線からの角度の変位Δθ(Δθ、Δθ)を示す。 図3(a)は、本発明の銅合金線棒材の長手方向に垂直な断面をバフ研磨して酸化膜を除去した後、クロム酸:水=1:1の液にて数秒研磨面を腐食することで観察用試料を作製し、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて断面観察したときのSEM写真であり、図3(b)は、SEM写真を画像処理したものである。
以下、本発明の銅合金線棒材の好ましい実施形態について、詳細に説明する。
本発明に従う銅合金線棒材は、3.0〜25.0質量%Ni、3.0〜9.0質量%Sn、0〜0.20質量%Fe、0〜0.10質量%Si、0〜0.30質量%Mg、0〜0.50質量%Mn、0〜0.10質量%Zn、0〜0.15質量%Zrおよび0〜0.10質量%Pを含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる合金組成を有する銅合金線棒材であって、溶質原子Snの濃度が周期的に変動する微細な構造形態を持ち、結晶粒の(001)面にて母相中のSn濃度を面分析して測定したときのSn濃度の最大値と最小値の差が、4〜18質量%の範囲にあり、(001)[100]方位に沿って測定したときのSnの周期的な濃度ゆらぎの平均波長が、1〜15nmであり、前記線棒材の長手方向に垂直な断面において、粒径が0.05〜1.0μmの第二相粒子の平均個数密度が0.1〜1.0個/μmであることを特徴とする。
ここで、上記合金組成に含有範囲が挙げられている成分のうち、含有範囲の下限値が「0質量%」と記載されている成分はいずれも、必要に応じて任意に添加される任意添加成分を意味する。すなわち所定の添加成分が「0質量%」の場合、その添加成分は含まれないことを意味する。
また、本発明でいう「銅合金線棒材」とは、「銅合金線材」および「銅合金棒材」の総称であり、その長手方向に垂直な径(直径、太さ)が0.3〜100mm程度の線状または棒状の銅合金材を指す。なお、以下説明を容易にするために、銅合金線棒材の長手方向に垂直な径は、銅合金線材および銅合金棒材の別にかかわらず、総称して「線径」と称する。また、本発明において銅合金線材は、線径が0.3〜5mmであることが好ましく、0.5〜3mmであることがより好ましい。また、銅合金棒材は、線径が5〜100mmであることが好ましく、6〜50mmであることがより好ましい。
<合金組成>
本発明の銅合金線棒材の合金組成とその作用について示す。
(必須添加成分)
本発明の銅合金線棒材は、3.0〜25.0質量%Niおよび3.0〜9.0質量%Snを含有している。
[3.0〜25.0質量%Ni]
Niは、Snとともにスピノーダル分解を生じさせて強度を向上させるための作用を有する重要な元素である。かかる作用を発揮するには、Ni含有量は3.0質量%以上含有することが必要である。一方、Ni含有量が25.0質量%よりも多いと、金属間化合物が生成しやすくなり、生成した金属間化合物が残存すると、それが起点となって冷間加工時に割れが生じ、冷間加工性が著しく劣化する。このため、Ni含有量は、3.0〜25.0質量%の範囲とし、好ましくは9.0〜20.0質量%とした。
[3.0〜9.0質量%Sn]
Snは、Niとともにスピノーダル分解を生じさせて強度を向上させるための作用を有する重要な元素である。かかる作用を発揮するには、Sn含有量は3.0質量%以上含有することが必要である。一方、Sn含有量が9.0質量%よりも多いと、金属間化合物が生成しやすくなり、生成した金属間化合物が残存すると、それが起点となって冷間加工時に割れが生じ、冷間加工性が著しく劣化する。このため、Sn含有量は、3.0〜9.0質量%の範囲とし、好ましくは5.0〜8.0質量%とした。
(任意添加成分)
本発明の銅合金線棒材は、NiおよびSnの必須の添加成分に加えて、さらに、任意添加元素として、0.02〜0.20質量%Fe、0.01〜0.10質量%Si、0.01〜0.30質量%Mg、0.01〜0.50質量%Mn、0.01〜0.10質量%Zn、0.01〜0.15質量%Zrおよび0.01〜0.10質量%Pからなる群から選ばれる少なくとも1成分を含有させることができる。
[0.02〜0.20質量%Fe]
Feは、導電率、強度、応力緩和特性、めっき性等の製品特性を改善する作用を有する元素である。かかる作用を発揮させるには、Fe含有量を0.02質量%以上とすることが好ましい。しかしながら、Feを0.20質量%より多く含有させても、効果が飽和するだけではなく、かえって導電率を低下させる傾向がある。このため、Fe含有量は、0.02〜0.20質量%とする。
[0.01〜0.10質量%Si]
Siは、半田付け時の耐熱剥離性や耐マイグレーション性を向上させる作用を有する元素である。かかる作用を発揮させるには、Si含有量を0.01質量%以上とすることが好ましい。しかしながら、Si含有量が0.10質量%を超えると、導電性を低下させる傾向がある。このため、Si含有量は、0.01〜0.10質量%とする。
[0.01〜0.30質量%Mg]
Mgは、応力緩和特性を向上させる作用を有する元素である。かかる作用を発揮させるには、Mg含有量を0.01質量%以上とすることが好ましい。しかしながら、Mg含有量が0.30質量%を超えると、導電性を低下させる傾向がある。このため、Mg含有量は、0.01〜0.30質量%とする。
[0.01〜0.50質量%Mn]
Mnは、母相に固溶して伸線などの加工性を向上させると共に、粒界反応型析出の急激な発達を抑制し、粒界反応型析出によって生じる不連続性析出セル組織の制御を可能にする効果を有する元素である。かかる作用を発揮させるには、Mn含有量を0.01質量%以上とすることが好ましい。しかしながら、Mnを0.50質量%より多く含有させても、効果が飽和するだけではなく、導電率の低下や曲げ加工性への悪影響を及ぼす傾向がある。このため、Mn含有量は、0.01〜0.50質量%、好ましくは0.25〜0.50質量%とする。
[0.01〜0.10質量%Zn]
Znは、曲げ加工性を改善するとともに、Snめっきやはんだめっきの密着性やマイグレーション特性を改善する作用を有する元素である。かかる作用を発揮させるには、Zn含有量を0.01質量%以上とすることが好ましい。しかしながら、Zn含有量が0.10質量%を超えると、導電性を低下させる傾向がある。このため、Zn含有量は、0.01〜0.10質量%とする。
[0.01〜0.15質量%Zr]
Zrは、主に結晶粒を微細化させて、銅合金線棒材の強度や曲げ加工性を向上させる作用を有する元素である。かかる作用を発揮させるには、Zr含有量を0.01質量以上とすることが好ましい。しかしながら、Zr含有量が0.15質量%を超えると、化合物を形成し、導電率及び銅合金線棒の伸線などの加工性が著しく低下する傾向がある。このため、Zr含有量は、0.01〜0.15質量%とする。
[0.01〜0.10質量%P]
Pは、導電率を損なわずに強度、応力緩和特性等の製品特性を改善する作用を有する元素である。かかる作用を発揮させるには、P含有量を0.01質量%以上とすることが好ましい。しかしながら、Pを0.10質量%より多く含有させても、特性を改善する効果が飽和するだけではなく、化合物を形成して、熱間加工性が低下する傾向がある。このため、P含有量は、0.01〜0.10質量%とする。
[Fe、Si、Mg、Mn、Zn、ZrおよびPからなる群から選ばれる少なくとも1成分を合計で0.60質量%以下]
Fe、Si、Mg、Mn、Zn、ZrおよびPからなる群から選ばれる少なくとも1成分の含有量の合計は、0.60質量%以下であることが好ましい。
上記任意添加成分の少なくとも1成分の含有量の合計が0.60質量%以下であれば、加工性や導電率の低下が生じにくい。このため、上記任意添加成分の含有量の合計は、0.60質量%以下とする。
[残部:Cuおよび不可避不純物]
上述した成分以外の残部は、Cuおよび不可避不純物である。ここでいう不可避不純物は、製造工程上、不可避的に含まれうる含有レベルの不純物を意味する。不可避不純物は、含有量によっては導電率を低下させる要因にもなりうるため、導電率の低下を加味して不可避不純物の含有量をある程度抑制することが好ましい。不可避不純物として挙げられる成分としては、例えば、Ag、Pb、S等が挙げられる。
<銅合金線棒材中の溶質原子Snの存在状態(スピノーダル変調構造)>
本発明の銅合金線棒材は、溶質原子Snの濃度が周期的に変動する微細な構造形態を持ち、結晶粒の(001)面にて母相中のSn濃度を面分析して測定したときのSn濃度の最大値と最小値の差が、4〜18質量%の範囲であり、かつ(001)[100]方位に沿って測定したときのSnの周期的な濃度ゆらぎの平均波長が、1nm以上15nm以下である。
本発明者らは、Cu−Ni−Sn系合金に関し、強度、切削性および導電率をバランスよく向上させるため鋭意検討を行なったところ、(I)中間熱処理、溶体化熱処理、時効熱処理、およびこれら熱処理の間で行う冷間加工の各条件を適正に制御することによって、時効後に強固なスピノーダル変調構造を適正な構造に発達させることができること、(II)発達させた変調構造は、特定方向に固溶した溶質原子であるSnの濃度が周期性を持っており、前記特定方向に沿って測定したときのSnの周期的な濃度ゆらぎの平均波長が数nm〜数十nm程度であること、および(III)時効温度が高くなるにつれて前記Snの周期的な濃度ゆらぎの平均波長も増大して強度が増加する傾向があること、については既に前述した。
そして、本発明者らがさらに検討を行なった結果、(001)[100]方位に沿って測定したときの前記Snの周期的な濃度ゆらぎの平均波長を1nm以上15nm以下の範囲に限定することによって、強度を有効に向上させることができ、また、結晶粒の(001)面にて母相中のSn濃度を面分析して測定したときのSn濃度の最大値と最小値の差を4〜18質量%の範囲に限定することによって、組織形態が適正に保たれる結果、高強度を具備させることができ、線棒材の長手方向に垂直な断面において、粒径が0.05〜1.0μmの第二相粒子の平均個数密度を0.1〜1.0個/μmに限定することによって、適度に分散した第二相粒子が切削屑の起点となり良好な切削性を備えるだけでなく、強度、導電率および切削性をバランスよく向上させることができることを見出した。なお、ここでいう適正な組織形態とは、Sn濃度を測定した時の最大値と最小値の差が4〜18質量%となる範囲で、結晶粒界を起点にNi―Sn系析出物が存在することで、導電率が向上している金属組織を示す。
なお、結晶粒の(001)面にて母相中のSn濃度を面分析して測定したときのSn濃度の最大値と最小値の差の測定方法は、以下の方法で行うことができる。すなわち、各試験片について、試験片である線棒材の長手方向に垂直な断面を、硝酸20質量%のメタノール溶液にて電解研磨することで観察用試料を作製し、結晶粒の(001)面を観察した。観察には透過型電子顕微鏡(TEM)を用い、検出(Sn濃度の分析)は、エネルギー分散形X線分光器(EDS)を用い、電子線のスポット径20nmで行った。観察は観察倍率を200,000倍で行い、(001)[100]方向、及び(001)[010]方向に、それぞれ100nm間隔で5点ずつ測定を行い、計25点の測定箇所におけるSn濃度を分析した。なお、析出物の影響による測定誤差を防ぐため、析出物が存在しない位置を測定箇所として選択した。そして、25点の測定箇所で測定したSn濃度のデータから、最小値および最大値を求め、その差を算出した。同様の分析を異なる観察視野で3回繰り返し、それらの平均を算出してSn濃度の最大値と最小値の差の測定値とした。図1(a)および(b)は、本発明の銅合金線棒材から観察用試料を作製し、結晶粒の(001)面を、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したときのものであって、図1(a)が回折パターン、図1(b)がTEM写真を示したものである。図1(b)を見ると、(001)[100]方向に、スピノーダル変調構造特有の周期的な濃淡が存在しているのがわかる。本発明では、この濃淡の周期性を規定することで強度、曲げ加工性および導電率をバランスよく向上させた銅合金線棒材を得ることができる。
また、Snの周期的な濃度ゆらぎの平均波長の測定方法は、X線回折法や電子線回折法により求めることができる。一例として、Snの周期的な濃度ゆらぎの平均波長をX線回折法により測定する場合について以下で説明する。観察用試料としては、端子等の利用状態での特性を反映するために時効処理後の材料を用いて組織観察を実施した。線棒材の長手方向に垂直な断面を切り出し、軽くバフ研磨して表面の酸化層を取り除き、X線回折装置を用いて(200)回折のサイドバンドを観察した。その回折線を模式的に示した回折チャートの一例を図2に示す。図2に示したように、主回折線(200)とその両側のサイドバンドについて、主回折線の回折角θ、回折線のミラー指数h、k、l、格子定数a、サイドバンドのピークの主回折線からの角度の変位をΔθとし、得られたX線サイドバンドに対して、下記(1)式に示すDaniel−Lipsonの式を用いて、変調構造の波長λ(すなわちSnの周期的な濃度ゆらぎの平均波長)を得た。なお、本発明では、Snの濃度が周期的に変動する微細な構造形態を取っており、これに起因してX線回折の主回折線(基本反射)に近接して両側に副極大を持つ回折強度が現れている。これを本発明の合金に現れるX線サイドバンドとした。
λ=(h・a・tanθ)/{(h+k+l)・Δθ} ・・(1)
なお、図2に示したようにサイドバンドが非対称である場合は、高角度側のピークから求めたΔθを上記(1)式のΔθに代入して算出したSnの周期的な濃度ゆらぎの波長λと、低角度側のピークから求めたΔθを上記(1)式のΔθに代入して算出したSnの周期的な濃度ゆらぎの波長λとを平均したλをSnの周期的な濃度ゆらぎの平均波長とする。例えば、図2から求められるSnの周期的な濃度ゆらぎの平均波長λは、低角度側が6.4nm、高角度側が7.4nmであった場合、6.9nmとなる。
加えて、Snの周期的な濃度ゆらぎの平均波長を電子線回折法により測定する場合には、X線サイドバンドの場合と同様に、Daniel−Lipsonの式を用いて、電子線サテライトからSnの周期的な濃度ゆらぎの平均波長λを算出してもよい。
また、本発明では、結晶粒の(001)面にて母相中のSn濃度を面分析して測定したときのSn濃度の標準偏差が1〜4質量%であることが好ましい。Sn濃度の標準偏差が1質量%未満だと、Sn濃度の変化が小さすぎるため、強度向上の効果が発揮されず、4質量%超えだと、Sn濃度の変化が大きくなりすぎ、粗大な第二相粒子が析出しやすくなるため、逆に強度や曲げ加工性が低下する恐れがある。なお、Sn濃度の標準偏差の算出方法は、上述した測定条件より得られた計25点のSn濃度のデータより算出することによって行なうことができる。
銅合金線棒材の長手方向に垂直な断面において、粒径が0.05〜1.0μmの第二相粒子の平均個数密度は、0.1〜1.0個/μmであることが必要である。なお、本発明において「第二相粒子」とは、析出相γ((Cu,Ni)Sn)を指す。また、線棒材の長手方向は、線棒材を製造する際の加工方向に対応する。所定の粒径をもつ第二相粒子が、上記断面に所定量存在することにより、優れた切削性を実現できる。
なお、上記断面において、粒径が0.05〜1.0μmの第二相粒子の平均個数密度の測定方法は、以下の方法で行うことができる。すなわち、線棒材の長手方向に垂直な断面をFIBにて切断することで、断面を露出した後、断面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察する。なお、観察視野30μm×30μmとする。個々の第二相粒子について、第二相粒子を取り囲む最小円の直径をそれぞれ写真上で測定し、粒径0.05〜1.0μmの第二相粒子の個数を測定し、その個数密度(個/μm)を算出する。
上記断面において、不連続析出セル組織の面積率は、20〜80%であることが好ましく、より好ましくは25〜60%である。なお、本発明において、「不連続析出セル組織」とは、析出相γ((Cu,Ni)Sn)と、溶質濃度の低下した母相とが形成した組織を指す。このような不連続析出セル組織は、切削性の向上に寄与するため、その面積率を上記範囲とすることにより、優れた切削性を実現できる。
なお、上記断面において、不連続析出セル組織の面積率の測定方法は、以下の方法で行うことができる。すなわち、各試験片について、試験片である線棒材の長手方向に垂直な断面を、湿式研磨、バフ研磨により鏡面に仕上げた後、クロム酸:水=1:1の液で数秒研磨面を腐食した後、走査型電子顕微鏡(SEM)の二次電子像を用いて、400〜1000倍の倍率で写真を撮影する。撮影した画像を、画像寸法計測ソフト(Pixs2000_Pro、株式会社イノテック製)を用い、Rmaxの値を150に設定して、2値化して画像を作成し、これを解析して、母相の面積値を算出する。図3は、本発明の銅合金線棒材を、SEMを用いて断面観察したときの一例である。図3(a)は、SEM写真であり、図3(b)は、SEM写真を画像処理したものである。図3(a)の黒色部は時効処理後の母相であり、白色部は析出相γ((Cu、Ni)Sn)と溶質濃度の低下した母相とで形成された不連続析出セル組織である。母相の面積を算出する際には、上記画像寸法計測ソフトを用いて、図3(a)のSEM写真の黒色部を2値化して、図3(b)に示すように赤色部とし、赤色部を母相として計測し、それ以外の領域をセル組織の面積として求める。画像全体の面積値と赤色部の面積値との差分値を、不連続析出セル組織の面積値とし、差分値と画像全体の面積値の比率を、不連続析出セル組織の面積率として算出する。不連続析出セル組織は切削性の向上に寄与するが、強度への寄与は小さいため、観察視野における面積率は20〜80%の範囲であることが望ましい。
[銅合金線棒材の製造方法]
次に、本発明の銅合金線棒材の好ましい製造方法について説明する。
本発明の銅合金線棒材は、3.0〜25.0質量%Niおよび3.0〜9.0質量%Snを含有させ、さらに必要に応じて、任意添加成分であるFe、Si、Mg、Mn、Zn、ZrおよびPについては適宜含有させ、残部がCuと不可避不純物から成る合金組成を有する銅合金素材を用意し、この銅合金素材に、鋳造[工程1]、均質化熱処理[工程2]、熱間加工[工程3]、第1冷間加工[工程4]、中間熱処理[工程5]、第2冷間加工[工程6]、溶体化熱処理[工程7]、第3冷間加工[工程8]、時効処理[工程9]をこの順に施すことによって製造される。特に本発明の銅合金線棒材を製造するには、中間熱処理[工程5]、第2冷間加工[工程6]、溶体化熱処理[工程7]、第3冷間加工[工程8]および時効処理[工程9]の各条件を厳しく管理することが好ましい。
Cu、NiおよびSnの原料を、鋳造機内部(内壁)が好ましくは炭素製の、例えば黒鉛坩堝にて、溶解し鋳造する[工程1]。溶解するときの鋳造機内部の雰囲気は、酸化物の生成を防止するために真空もしくは窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気とすることが好ましい。鋳造方法には特に制限はなく、例えば横型連続鋳造機やアップキャスト法などを用いることができる。そして、鋳塊時に生じた凝固偏析や晶出物は粗大なので均質化熱処理[工程2]でできるだけ母相に固溶させて小さくし、可能な限り無くすことが望ましい。これは曲げ割れの防止に効果があるからである。具体的には、鋳造工程の後に、800〜1000℃に加熱して1〜24時間均質化熱処理を行い、続いて熱間加工[工程3]を実施するのが好ましい。均質化熱処理後の熱間加工は省略可能であるが、例えば、処理温度850℃程度、加工率50%以上で行ってもよい。また、熱間加工後の材料は水冷する。このようにして、直径8〜35mmφ程度の荒引線を製造する。さらに、必要に応じて、銅合金線棒材の表皮の酸化皮膜や変質層を除去するための面削工程を設けても良い。これは通常公知の方法により行うことができる。なお、熱間加工については、伸線加工、もしくは押出加工のどちらでも特に制限は無い。
熱間加工後、第1冷間加工[工程4]を行う。これにより、直径12.0mmφ以下の細線に加工する。この第1冷間加工の加工率は70%以上であることが好ましい。なお、加工率R(%)は下記(2)式で定義される(以下において同じ。)
R=(r −r)/r ×100 ・・(2)
上記(2)式中、rは加工前の直径(線径)であり、rは加工後の直径(線径)である。
また、冷間加工については、伸線加工、押出加工、三方ロール等を用いた圧延加工のいずれでも特に制限は無いが、好ましくは伸線加工である。なお、以下で説明する冷間加工についても同様である。
本発明の銅合金線棒材は、第1冷間加工[工程4]と溶体化熱処理[工程7]の間に、加熱温度が300〜850℃、保持時間が10〜300秒間および平均冷却速度が50℃/秒以上の中間熱処理[工程5]に続いて、加工率が50〜90%の第2冷間加工[工程6]を行なう。中間熱処理は、溶体化熱処理温度より低い温度で熱処理を行うと共に、冷却速度を50℃/秒以上とすることにより、粗大な析出物の発生を抑制しつつ、材料を完全に再結晶させず、部分的に再結晶させた亜焼鈍組織を得ることができる。第2冷間加工では、90%以下の比較的低い加工率の加工によって、微視的に不均一な歪みを材料に導入することができる。しかしながら、第2冷間加工の加工率が50%未満である場合には、再結晶組織の発達が遅く所望の再結晶組織を得ることが出来ず、90%超の場合には、再結晶粒成長が著しく、Snの十分な固溶と結晶粒微細化の両立が困難となる。そのため、第2冷間加工の加工率50〜90%とする。このような2つの工程を第1冷間加工と溶体化熱処理の間で行うことによって、溶体化熱処理時にSnを十分に固溶させるとともに、再結晶粒成長を抑制することが可能になり、時効処理で微細な結晶粒を維持しつつ、十分に固溶したSnによる変調構造が形成される結果、高い強度を得ることができる。中間熱処理のより好ましい範囲は600〜750℃で15秒〜45秒間である。第2冷間加工の加工率のより好ましい範囲は55〜85%、更に好ましい範囲は60〜80%である。
従来、上記中間熱処理のような熱処理は、次工程の加工での荷重を低減するために材料を再結晶させて強度を落とすために行われていた。また、加工は線径を細くすることが目的であり、通常の加工機の能力であれば90%を超える加工率を採用するのが一般的である。本発明における中間熱処理および第2冷間加工を行なう目的は、これら一般的な内容とは異なり、Snの濃度分布の有意な変調構造の周期性を持たせるためである。
次いで、第2冷間加工後に、溶体化温度が650〜900℃、該溶体化温度での保持時間が5〜300秒間および平均冷却速度が50℃/秒以上である溶体化熱処理[工程7]を行う。溶体化熱処理では、NiやSnの濃度によって必要な温度条件が変わるため、NiおよびSnの濃度に応じて適切な温度条件を選択する必要がある。溶体化温度が650℃以上であると、時効処理工程において十分な強度が得られ、また、溶体化温度が900℃以下であれば、材料が必要以上に軟化せず形状制御が適正に行うことができる。なお、溶体化熱処理[工程7]後の結晶粒が粗大であると、第1の時効処理[工程9]において結晶粒界に生じる不連続析出セルが十分に分散しないため、切削性が低下する傾向にある。従って、溶体化熱処理[工程7]後(好ましくは、第3冷間加工前[工程8])の結晶粒径は100μm以下であることが好ましく、更に好ましくは80μm以下である。
溶体化処理の後、加工率が70〜99%の第3冷間加工[工程8]を行う。この第3冷間加工は、加工による転位の導入で強度を高くするとともに、時効後の強度も高くするために行い、この加工率の冷間加工を施すとSn濃度分布が本発明の範囲内となり好ましい。第3冷間加工は、加工硬化により強度の向上にも寄与する。特に、加工率が70%未満だと時効後に所望の強度が得られず、加工率が99%を超えると更なる強度が望めない一方、曲げ加工性が劣化する問題点がある。また、第3冷間加工の加工率は、時効処理における第二相粒子、および第二相粒子と溶質濃度の低下した母相とが形成した不連続析出セル組織の発達に影響を与える。特に、本発明で規定する固溶Snの濃度分布バラツキ、第二相粒子、および不連続析出セル組織を満たすためには、加工率を70%以上、好ましく80%以上、より好ましくは90%以上とする。しかしながら、従来一般的な冷間加工では70%未満の加工率を採用しており、この場合には、時効ピークで均一に分散した第二相粒子および不連続析出セル組織が発生しないため、所望の切削性を得ることが出来ない。
本発明においては、従来技術とは異なり、時効処理前の材料組織の形態を加工組織とすることで、時効処理によって強度低下を招かない範囲で不連続析出セル組織を均一に発生させ、スピノーダル分解による銅合金線棒材の強度向上を行いつつ、切削性を向上させることができる。本発明における「加工組織」とは、再結晶組織ではない、加工率70%以上の冷間加工(すなわち第3冷間加工)が施された金属組織である。
第3冷間加工後に、時効処理温度が300〜500℃および該時効処理温度での保持時間が0.1〜15時間である時効処理[工程9]を行う。時効処理温度が300℃以上であると、スピノーダル分解を促進されて十分な強度が得られ、また、時効処理温度が500℃以下であると、第二相粒子を過大に粗大化させず、強度が維持される。本発明においては、従来の技術とは異なり、溶体化処理で結晶粒径が微細かつ、Snを十分に固溶させているため、時効によってスピノーダル分解を促進させて、得られる銅合金線棒材の強度を向上できる。特に、時効処理温度が300未満であると、スピノーダル分解が起こらず強度が得られない。また、時効処理温度が500℃超であると、強度に寄与しない不連続析出セルが増えすぎて、強度が低下する傾向がある。
<銅合金線棒材の特性>
本発明の銅合金線棒材は、例えば軸受部品として使用する場合には、引張強度が1000MPa以上であることが好ましく、1100MPa以上がより好ましく、更に好ましくは1250MPa以上である。
また、本発明の銅合金線棒材は、銅合金線として、または該銅合金線にすずめっきを施しためっき線として、または複数本の銅合金線やめっき線を撚り合わせて得られる撚線として使用することができるとともに、さらに、それらにエナメルを塗布したエナメル線や、さらに樹脂被覆した被覆電線としてとして使用することもできる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の概念および特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含み、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
以下に、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
(実施例1〜14および比較例1〜22)
まず、DC(Direct Chill)法により、表1に示す合金組成を有する銅合金を溶解して、これを鋳造して、直径が200mmの荒引線を得た。次にこれら荒引線を900℃に加熱し均質化処理を行い、この温度で2時間保持後、直径30mmに熱間伸線し、速やかに冷却した。次いで表面を1mm研削して酸化被膜を除去した後、第1冷間加工として加工率80%以上の冷間伸線を施した。この後、表2に示す条件で中間熱処理を行い、次いで第2冷間加工として表2に示す加工率で冷間伸線を実施した。その後、表2に示す条件で溶体化熱処理を行い、次いで、第3冷間加工として表2に示す加工率で冷間伸線を施した。次に、不活性ガス雰囲気中で、表2に示す条件で時効処理を施して、銅合金線棒材(直径1〜3mm)を製造した。
このようにして製造した銅合金線棒に対して、各実施例および各比較例とも、以下に示す試験及び評価を実施した。なお、下記評価1については、溶体化処理[工程7]後で、第3冷間加工[工程8]の前の銅合金線棒材から切り出した試料を使用し、下記評価2〜8については、最後の時効処理[工程9]後の銅合金線棒から切り出した試料を使用して、それぞれ試験及び評価を実施した。また、結晶粒の平均結晶粒径、結晶粒の(001)面にて母相中のSn濃度を面分析して測定したときのSn濃度の最大値と最小値の差および標準偏差、(001)[100]方位に沿って測定したときのSnの周期的な濃度ゆらぎの平均波長、線棒材の長手方向の断面における第二相粒子の個数密度および不連続析出セル組織の面積率の測定、ならびに銅合金線棒材の引張強度、導電率および切削性に関する特性評価については、以下の方法で行なった。
1.平均結晶粒径
線棒材の長手方向に垂直な断面を湿式研磨、バフ研磨により鏡面に仕上げた後、クロム酸:水=1:1の液で数秒間、研磨面を腐食した後、SEMの二次電子像を用いて400〜1000倍の倍率で写真を撮り、断面の平均結晶粒径(μm)をJIS H0501−1986の切断法に準じて測定した。撮影には、走査型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製、SEMEDX TypeM)を用いた。この測定を、任意の5つの断面で行い、その平均値(N=5)を求めた。結果を表3に示す。
2.結晶粒の(001)面にて母相中のSn濃度を面分析して測定したときのSn濃度の最大値と最小値の差および標準偏差の算出方法
各線棒材について、硝酸20質量%のメタノール溶液にて電解研磨することで観察用試料を作製し、結晶粒の(001)面を観察した。観察には透過型電子顕微鏡(TEM、日本電子株式会社製、JEM−3010)を用い、検出(Sn濃度の分析)は、付属のエネルギー分散形X線分光器(EDS)を用い、電子線のスポット径20nmで行った。観察は観察倍率を200,000倍で行い、(001)[100]方向、及び(001)[010]方向に、それぞれ100nm間隔で5点ずつ測定を行い、計25点の測定箇所におけるSn濃度を分析した。なお、析出物の影響による測定誤差を防ぐため、析出物が存在しない位置を測定箇所として選択した。そして、25点の測定箇所で測定したSn濃度のデータから、最小値および最大値を求め、その差を算出した。同様の分析を異なる観察視野で3回繰り返し、それらの平均を算出してSn濃度の最大値と最小値の差の測定値とした。また、Sn濃度の標準偏差は、上述した測定条件より得られた75点(3つの観察視野で各々25点)のSn濃度のデータより算出した。Sn濃度の最大値と最小値の差の測定値と標準偏差の算出値を表3に示す。
3.(001)[100]方位に沿って測定したときのSnの周期的な濃度ゆらぎの平均波長の測定
Snの周期的な濃度ゆらぎの平均波長の測定方法は、X線回折法により求めた。観察用試料としては、端子等の利用状態での特性を反映するために時効処理後の材料を用いて組織観察を実施した。線棒材からその長手方向に垂直な断面を切出し、軽くバフ研磨して表面の酸化層を取り除き、X線回折装置(株式会社リガク製、RINT2500)を用いて(200)回折のサイドバンドを観察した。その回折線を模式的に示した回折チャートの一例を図2に示す。図2に示したように、主回折線(200)とその両側のサイドバンドについて、主回折線の回折角θ、回折線のミラー指数h、k、l、格子定数a、サイドバンドのピークの主回折線からの角度の変位をΔθとし、得られたX線サイドバンドに対して、下記(1)式に示すDaniel−Lipsonの式を用いて、変調構造の波長λ(すなわちSnの周期的な濃度ゆらぎの平均波長)を得た。Snの周期的な濃度ゆらぎの平均波長を表3に示す。なお、X線回折測定の結果、変調構造が確認できなかった線棒材については、Snの周期的な濃度ゆらぎの平均波長を測定することはできないため、表3では「*」と表記した。
λ=(h・a・tanθ)/{(h+k+l)・Δθ} ・・(1)
4.第二相粒子の個数密度
線棒材の長手方向に垂直な断面をFIBにて切断することで、断面を露出した後、鏡面仕上げをした断面をSEM観察し、観察視野30μm×30μmを撮影した。撮影には、走査型電子顕微鏡(同上)を用いた。個々の第二相粒子について、第二相粒子を取り囲む最小円の直径をそれぞれ写真上で測定し、粒径0.05〜1.0μmの第二相粒子の個数を測定し、粒径0.05〜1.0μmの第二相粒子の個数密度(個/μm)を算出した。この測定を、任意の5つの断面で行い、その平均値(N=5)を求めた。結果を表3に示す。
5.不連続析出セル組織の面積率
線棒材の長手方向に垂直な断面を切断し、湿式研磨、バフ研磨により鏡面に仕上げた後、クロム酸:水=1:1の液で数秒研磨面を腐食した後、SEMの二次電子像を用いて400〜1000倍の倍率で写真を撮影した。撮影には、走査型電子顕微鏡(同上)を用いた。撮影した画像を、画像寸法計測ソフト(Pixs2000_Pro、株式会社イノテック製)を用い、Rmaxの値を150に設定して、図3(a)に示すような画像処理後の画像を作成し、これを解析して、母相である黒色部の面積値を算出した。画像全体の面積値と黒色部の面積値との差分値を、不連続析出セル組織の面積値とし、差分値と画像全体の面積値の比率を、不連続析出セル組織の面積率(%)として算出した。この測定を、任意の5つの断面で行い、その平均値(N=5)を求めた。結果を表3に示す。
6.引張強度
JIS Z 2241:2011に準じて3本測定し、その平均値(MPa)を表3に示す。なお、本実施例では1000MPa以上を合格レベルとした。
7.導電率
導電率は、JIS H0505−1975に基づく四端子法を用いて、20℃(±1℃)に管理された恒温槽中で、各試験片の2本について導電率を測定し、その平均値(%IACS)を表3に示す。このとき端子間距離は100mmとした。なお、本実施例では6.5%IACS以上を合格レベルとし、7.0%IACS以上をより良好と評価した。
8.切削性
汎用旋盤を用いて切削実験を行い、切削屑の形態を観察した。切削屑が10mm未満に分断されるものは良「◎」、切削屑10mm以上に分断されるものは可「○」、切削屑が分断されず、螺旋状につながっているものは不良「×」とした。結果を表3に示す。実用上問題が生じないのは良および可であるため、本実施例では「◎」および「○」を合格レベルとした。なお切削条件は、切削速度30m/min、送り速度0.1mm/rev、切り込み代0.2mm、とした。バイトは超硬製のものを用い、切削油は不使用とした。
表3に示す結果から、実施例1〜14に係る銅合金線棒材は、所定の合金組成を有し、溶質原子Snの濃度が周期的に変動する微細な構造形態を持ち、結晶粒の(001)面にて母相中のSn濃度を面分析して測定したときのSn濃度の最大値と最小値の差が4〜18質量%の範囲にあり、(001)[100]方位に沿って測定したときのSnの周期的な濃度ゆらぎの平均波長が1〜15nmであり、線棒材の長手方向に垂直な断面において、粒径が0.05〜1.0μmの第二相粒子の平均個数密度が0.1〜1.0個/μmであるため、引張強度、導電率および切削性の全ての特性がバランスよく優れていることが確認された。
また、実施例1〜3、6、7、9〜11および13に係る銅合金線棒材は、その長手方向に垂直な断面において、不連続析出セル組織の面積率が20〜80%の範囲内にあるため、切削屑の分断性に優れ良好な切削性が得られることが確認された。
また任意添加元素成分の総和が0.6質量%以下である実施例1〜13に係る銅合金線棒材は更に導電率が優れていることが確認された。
これに対し、比較例1〜22に係る銅合金線棒材は、合金組成、結晶粒の(001)面にて母相中のSn濃度を面分析して測定したときのSn濃度の最大値と最小値の差、(001)[100]方位に沿って測定したときのSnの周期的な濃度ゆらぎの平均波長、および線棒材の長手方向に垂直な断面における粒径が0.05〜1.0μmの第二相粒子の平均個数密度の少なくとも一つが適正範囲外であるため、実施例1〜14に係る銅合金線棒材に比べて、引張強度、導電率および切削性のいずれか1つ以上の特性が劣っており、これらの特性のバランスが十分でないことが確認された。
なお、実施例1〜14に係る銅合金線棒材は、塩水噴霧試験による耐食性についても問題がないことを確認した。

Claims (6)

  1. 3.0〜25.0質量%Ni、3.0〜9.0質量%Sn、0〜0.20質量%Fe、0〜0.10質量%Si、0〜0.30質量%Mg、0〜0.50質量%Mn、0〜0.10質量%Zn、0〜0.15質量%Zrおよび0〜0.10質量%Pを含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる合金組成を有する銅合金線棒材であって、
    溶質原子Snの濃度が周期的に変動する微細な構造形態を持ち、
    結晶粒の(001)面にて母相中のSn濃度を面分析して測定したときのSn濃度の最大値と最小値の差が、4〜18質量%の範囲にあり、
    (001)[100]方位に沿って測定したときのSnの周期的な濃度ゆらぎの平均波長が、1〜15nmであり、
    前記線棒材の長手方向に垂直な断面において、粒径が0.05〜1.0μmの第二相粒子の平均個数密度が0.1〜1.0個/μmであることを特徴とする、銅合金線棒材。
  2. 前記結晶粒の(001)面にて母相中のSn濃度を面分析したときのSn濃度の標準偏差が1〜4質量%である、請求項1に記載の銅合金線棒材。
  3. 前記断面において、不連続析出セル組織の面積率が20〜80%である、請求項1または2に記載の銅合金線棒材。
  4. 前記Fe、Si、Mg、Mn、Zn、ZrおよびPからなる群から選ばれる少なくとも1成分の含有量の合計は、0.60質量%以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の銅合金線棒材。
  5. 引張強度が1000MPa以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の銅合金線棒材。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の銅合金線棒材の製造する方法であって、
    前記銅合金線棒材を与える合金組成からなる銅合金素材に、鋳造[工程1]、均質化熱処理[工程2]、熱間加工[工程3]、第1冷間加工[工程4]、中間熱処理[工程5]、第2冷間加工[工程6]、溶体化熱処理[工程7]、第3冷間加工[工程8]、時効処理[工程9]をこの順に施し、
    前記中間熱処理は、加熱温度が300〜850℃、該加熱温度での保持時間が10〜300秒間および平均冷却速度が50℃/秒以上であり、
    前記第2冷間加工は、加工率が50〜90%であり、
    前記溶体化熱処理は、溶体化温度が650〜900℃、該溶体化温度での保持時間が5〜300秒間および平均冷却速度が50℃/秒以上であり、
    前記第3冷間加工は、加工率が70〜99%であり、および、
    前記時効処理は、時効処理温度が300〜500℃および該時効処理温度での保持時間が0.1〜15時間であることを特徴とする銅合金線棒材の製造方法。
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