JP6208450B2 - 耐食性に優れた薄肉熱交換器用アルミニウム合金クラッド材及びその製造方法、前記アルミニウム合金クラッド材を用いた熱交換器の製造方法 - Google Patents

耐食性に優れた薄肉熱交換器用アルミニウム合金クラッド材及びその製造方法、前記アルミニウム合金クラッド材を用いた熱交換器の製造方法 Download PDF

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本発明は、特にラジエータ、ヒーターコア、コンデンサ、インタークーラなどの熱交換器材用のチューブ材として好適に使用される耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材及びその製造方法に関する。
アルミニウム合金は軽量且つ高伝導性を備えている為、自動車用熱交換器、たとえば、ラジエータ、コンデンサ、エバポレータ、ヒーターコア、インタークーラなどに用いられている。
このような熱交換器において、近年、自動車の軽量化の一環としてチューブ材等の薄肉高強度化(たとえば0.3mm以下)が要求されるようになり、その為心材にSiやCu等の合金元素を増量して添加し、心材の強度の向上が図られている。しかしながら、今後更なる薄肉高強度化を要求されたとき、この方策だけでは要求を満足することが困難になる。
この対案として、心材や犠牲材、ろう材にMgを添加することによる強度の向上が挙げられるが、ノコロックろう付法において、材料にMgが添加されているとろう付性が悪くなるという問題が生じる。
そこで、皮材のクラッド厚さを薄肉化することにより心材の厚さを増やし、材料全体の強度の向上を図る手法が重要となる。しかしながら、ただ犠牲材の厚さを薄くしたら、耐食性が低下してしまうと考えられる。
特許文献1には犠牲材のSi、Fe含有量を規制することにより、円相当径が1.0μm以上の第2相粒子を2×10?個以下となる高強度・高耐食性アルミニウム合金クラッド材が提案されている。しかしながら、円相当径が1.0μm以下であればろう付加熱後にカソードとならないわけではなく、またSi、Feの含有量を規制するだけでは析出物を微細に析出させることは困難である。
特許文献2には、犠牲材にMgを添加し、Znの含有量を6〜12%とした高強度・高耐食性アルミニウム合金クラッド材が提案されている。しかしながら先述の通り材料にMgを添加するとろう付性を低下させる恐れがある。更に、犠牲材へのZnの添加量を増量させただけではカソードとなる第2相粒子による腐食が抑制されず、耐食性の向上への効果が薄いと考えられる。
特許文献3には、心材と犠牲材の電位差を規定することにより耐食性を確保したアルミニウム合金クラッド材の提案がされている。しかしながら、ここでの犠牲材のZn含有量は5.0%以下であり、材料が薄肉化していくにつれ、心材犠牲材間の電位差を確保することができないと考えられる。また、犠牲材に均熱処理を行っているため、犠牲材における析出物の粗大化が起こり、耐食性を低下させる。
特開平11−293372 特開平9−67633 特開平6−212332
本発明では、特に薄肉のラジエータチューブ材等として用いるアルミニウム合金クラッド材において、犠牲材を薄肉化しても、ろう付後に高い耐食性を有するアルミニウム合金クラッド材を開発したものである。
本発明者らは上記課題について研究した結果、特定の合金組成を有する犠牲材の金属組織を制御することで、この目的に適合するアルミニウム合金クラッド材が得られることを見出した。
すなわち、請求項1に記載の第1の発明は、心材の両面に犠牲材がクラッドされたクラッド材において、犠牲材厚さをXμm、犠牲材のZn濃度をx%、心材厚さをYμm、心材のCu濃度をy%としたときに
Figure 0006208450
かつ X≦45
を満たし、かつ、ろう付前の犠牲材の金属組織が円相当径0.1μm以上の第二相粒子の密度が1.0×10 個/mm 以下であることを特徴とする熱交換器用アルミニウム合金クラッド材である。
請求項2に記載の第2の発明は、心材の両面に犠牲材がクラッドされたクラッド材において、犠牲材にSi:0.2%以下、Fe:0.2%以下、Mn:0.05〜0.4%のうち1種以上を含有し、且つ犠牲材厚さをXμm、犠牲材のZn濃度をx%、心材厚さをYμm、心材のCu濃度をy%としたときに
Figure 0006208450
かつ X≦45
を満たし、かつ、ろう付前の犠牲材の金属組織が円相当径0.1μm以上の第二相粒子の密度が1.0×10 個/mm 以下であることを特徴とする熱交換器用アルミニウム合金クラッド材である。
請求項3に記載の第3の発明は、請求項1乃至2に記載のアルミニウム合金クラッド材において、ろう付前の犠牲材表面から心材方向へ5μmの深さにおいてのCu濃度がy/10%以下であることを特徴とする熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。
請求項4に記載の第4の発明は、請求項1乃至記載のアルミニウム合金クラッド材の犠牲材を鋳造、熱間圧延により製造する方法において、均熱処理を行わないことを特徴とする熱交換器用アルミニウム合金クラッド材の製造方法である。
請求項5に記載の第5の発明は、請求項1乃至記載のアルミニウム合金クラッド材を製造する方法において、クラッド圧延後の最終焼鈍を320℃以下で1〜10時間行うことを特徴とする熱交換器用アルミニウム合金クラッド材の製造方法である。
請求項6に記載の第6の発明は、請求項乃至記載発明で製造されたアルミニウム合金クラッド材を用いて作製したチューブ材をろう付工法により組み付けるアルミニウム合金製熱交換器の製造方法において、ろう付加熱を590〜610℃で保持時間を5分以内の条件で施すことを特徴とするアルミニウム合金製熱交換器の製造方法である。
本発明のアルミニウム合金クラッド材の構成は、ろう材・心材・犠牲材の三層材、および犠牲材・心材・犠牲材の三層材である。(図1)
先ず、本実施形態のアルミニウム合金クラッド材の成分元素の添加理由及び添加範囲について説明する。
犠牲材におけるZn、及び心材におけるCuは、犠牲材を心材に比べて電気的に卑にして、犠牲材が心材に対して陰極防食効果を発揮させるものである。
ろう付加熱後の犠牲材表面のZn量について、素板の犠牲材厚さと犠牲材Zn濃度の関係を調べた結果、その値はXx/60で近似することができることを見出した(犠牲材の板厚X[μm]、犠牲材のZn濃度x [%])。
また、ろう付加熱後の犠牲材表面のCu量は素板における心材のCu濃度、心材厚さ及び犠牲材厚さに依存し、さらにCu濃度と心材厚さの関係を表した図2に示されるように領域Aと領域Bの面積が等しくなることからろう付加熱後の犠牲材表面のCu量はy(Y−2X)/(Y+2X)で近似できることを見出した(心材の厚さY[μm]、心材のCu濃度y[%])。
よって、心材犠牲材間の電位差は心材及び犠牲材表面のCu量の差に影響を受け、Cuの電位への寄与はZnに比べて半分であることから、心材と犠牲材間の電位差は
Figure 0006208450
で表すことができると考えた。
ろう付加熱後の心材と犠牲材表面の電位差は80〜300mVであるのが望ましい。これは、電位差が80mV以下では犠牲陽極効果が小さい為防食の効果が低く、また300mV以上あると犠牲材の消耗速度が大きく、長期にわたる犠牲陽極効果が得られない。このろう付加熱後の電位差を得る為の設計として、
Figure 0006208450
という関係で限定した。この関係式の値が2.0よりも小さいとろう付加熱後の心材中央と犠牲材表面の電位差が80mVよりも小さくなる為犠牲陽極効果が小さく、防食ができず、4.2よりも大きいとろう付加熱後の心材中央と犠牲材表面の電位差が300mVを越え、犠牲材の消耗速度が大きくなり、長期にわたる犠牲陽極効果が得られなくなる。より望ましくは、
Figure 0006208450
である。
また、たとえば板厚0.3mm以下の薄肉材において、犠牲材の厚さが45μm以上あると材料強度が顕著に低下してしまう。このため、犠牲材の厚さは45μm以下に規定した。
犠牲材
犠牲材において、SiはFeと共にAl−Si−Fe系化合物を形成し、この化合物が腐食反応のカソードとして作用する。このため、Siは0.2%以下であることが望ましい。なお、Siの含有量の一層好ましい範囲は0.1%以下である。0.05%未満では、高純度アルミニウム地金を使用しなければならずコスト高となる。
Feは、Siと共にAl−Fe、Al−Si−Fe系化合物を形成し、この化合物が腐食反応のカソードとして作用する。このため、Feは0.2 %以下であることが望ましい。なお、Feの含有量の一層好ましい範囲は0.1%以下である。0.05%未満では、高純度アルミニウム地金を使用しなければならずコスト高となる。
Mnは、Si、Feと共にAl−Si−Fe−Mn系化合物を形成し、この化合物はAl−Si−Feによるカソード反応を抑制する作用がある。この化合物の組成はAl12(MnFe)Siである為、0.05%以下ではカソード反応の抑制の効果が小さく、0.4%以上では犠牲材の孔食電位を貴にしてしまう。このためにMnの添加量は0.05〜0.4%に限定した。なお、Mn含有量の一層好ましい範囲は0.05〜0.2%である。
心材
心材において、Cu以外の成分は通常の3000系合金であればよく、特に規定するものではないが、より望ましい組成を以下に記す。
Mnは添加することにより耐食性、ろう付性及び強度を向上させることができる。そのためのMn添加量は0.05〜2.0%であることが望ましい。0.05%未満ではその効果が不十分であり、2.0 %を超えて含有すると巨大化合物を生成し加工性の低下を生じるため好ましくない。より好ましいMn含有量は0.3〜1.5 %である。
Siは添加することによりMn−Si系微細析出物による強度向上を見込むことができる。そのためのSi添加量は0.2〜2.5%であることが好ましい。0.2%未満ではその効果が不十分であり、2.5 %を超えて含有すると、心材の融点が低下する為、実用的ではない。より好ましいSi含有量は0.3〜1.0%である。
Tiは添加することにより、微細化材として働き、心材強度の向上を見込むことができる。そのためのTi添加量は0.05〜0.2 %であることが好ましい。0.05%未満ではその効果が不十分であり、0.2%を超えて含有しても効果の向上は見込めず、コストアップにつながる為望ましくない。より好ましいTi添加量は0.1〜0.15%である。
ろう材としては、Al−Si系合金を用い、従来と同様である。たとえば、A4045合金等が使用できる。
また、本発明に含有される成分は、残部Alと不可避的不純物である。不可避的不純物は各々が0.05%以下であり、総量で0.15%以下が望ましい。
ろう材
ろう材に用いられるアルミニウム材は特に限定されるものではないが、通常のろう付において用いられるAl−Si系合金ろう材が好適に用いられる。例えば、JIS4343、4045、4047の各アルミニウム合金(Al−7〜13%Si)を用いるのが好ましい。
心材―犠牲材間の電位差
次に、本発明のアルミニウム合金クラッド材のろう付加熱前の金属組織及び、ろう付加熱後の心材―犠牲材間の電位差について説明する。
円相当径0.1μm以上の第2相粒子(たとえば、Al−Mn、Al−Mn−Si、Al−Fe−Si、Al−Fe−Mn−Si系化合物)は、比較的サイズが大きいため、ろう付加熱時に固溶して消失しにくい。このため、ろう付加熱後にも犠牲材中に第2相粒子が残存し、これが腐食の起点となってしまう。したがって、本発明における円相当径0.1μm以上の第2相粒子の好ましい密度は5.0×10個/mm以下である。より好ましい密度は、1.0×10個/mm以下である。
円相当径0.1mm以上の第2相粒子の密度は、犠牲材表面のSEM観察によるSEM像を画像解析することで、ろう付過熱前の第2相粒子の密度を求めた。
また、ラジエータのチューブ材の内面耐食性を向上させるためには、皮材を心材に対して犠牲陽極的に作用させることが最も有効である(犠牲陽極材)。ノコロックろう付は、大気圧下で行われるため、Znの蒸発は殆どないが、ろう付加熱により心材に拡散するため、表面濃度が低下し、犠牲材表面の電位が貴になる。同様に心材のCuはろう付加熱により犠牲材への拡散が起こり、犠牲材の電位を貴にする。以上から、ろう付加熱を行うと、心材と犠牲材の電位差が減少することがわかる。このため、耐食性を確保する為に、ろう付加熱前の焼鈍等の入熱によるZn及びCuの拡散を抑えることが重要である。ろう付加熱前の犠牲材表面から5μm地点でのCu濃度がy/10%以下であればろう付加熱後の心材中央と犠牲材表面でのCu濃度の差をy/3%以上確保することができる。にすることができる。したがって、本発明における犠牲材表面から5μm地点でのCu濃度はy/10%以下である。より好ましい密度はy/15%以下である。
この材料にろう付加熱を施すと、先述の通りCu及びZnが拡散し、心材と犠牲材間の電位差が減少する。ろう付加熱後の心材と犠牲材間の電位差は80mV以下では犠牲陽極効果が弱い為耐食性が得られず、300mV以上では犠牲材の消耗速度が大きく、長期にわたる犠牲陽極効果が得られない。したがって、本発明における心材中央と犠牲材表面の電位差は80〜300mVである。より好ましくは、100〜200mVである。
本発明のアルミニウム合金クラッド材の製造方法について説明する。
まず上述の要件を満たす成分組成を有するアルミニウム合金素材を融解し、DC(Direct Chill)鋳造法により犠牲材の鋳塊を作製する。DC鋳造法では、溶湯の冷却速度が0.5〜20℃/secと非常に速い為、その組織は析出物は微細であり、固溶量は過飽和になっている。この鋳塊に均熱処理を行うと、過飽和に固溶していた元素が析出し、析出物は粗大化する方向に組織が変化する。しかしながら、上述の通り犠牲材に粗大な析出物が多数存在すると、ろう付過熱後に析出物が残存し、そこが腐食の起点となってしまう為望ましくない。そのため、犠牲材には均熱処理を施さないことが重要である。 犠牲材の鋳塊は均熱処理を行わずに加熱し、熱間圧延を行うことにより所定の板厚まで薄くする。この熱間圧延時にも過飽和の固溶元素が析出してしまう恐れがあるため、490℃以下の加熱で熱間圧延を行うことが望ましい。
同様に、心材についても均熱を行わないことが望ましい。これは、均熱を行うことにより心材中に析出物が生じ、この析出物がCuを多量に含んでしまうため、固溶Cuの量が減少し、Cuの濃度差による心材と犠牲材の電位差が得られなくなってしまう為である。
ろう材はの製造方法は特に限定されないが、DC鋳造法によって鋳造し、鋳塊を必要に応じて面削、熱間圧延を施して所定の板厚まで薄くする。
続いて、得られた板材および鋳塊を多層積層し、最終板厚に圧延加工する工程(クラッド圧延)の最後に最終焼鈍を行う。上述の通り、この焼鈍による心材Cuの拡散は、犠牲材表面から5μmの地点において0.05%以下である必要がある。これはすなわち焼鈍の熱履歴をT(t)とし、温度Tの時のCuの拡散係数をD(T)としたとき、
∫D(T(t))dt≦7.0×10−12
である必要がある。このD(T)は
D(T)=Dexp(−Q/kT)
であり、300℃付近の温度Tに対して指数関数的に増加していく。そのため焼鈍温度が320℃以上では焼鈍時間が短くても
∫D(T(t))dt≦7.0×10−12
となってしまう。
したがって、本発明における焼鈍条件は320℃以下で1〜10時間である必要がある。より好ましい焼鈍条件は320℃以下で1〜6時間である。
同様にろう付加熱時にもCu及びZnの拡散を抑える必要があり、ろう付加熱後の心材中央と犠牲材表面の電位差を80〜300mVにしなければならない。ろう付工法での到達温度が590℃以下だとろう材の溶融が不十分であり、満足なろう付が行われない恐れがあり、610℃以上ではCu及びZnの拡散が進み、心材中央と犠牲材表面の電位差を80mV確保することができない。また同様に、保持時間が5分を超えると、Cu及びZnの拡散が進む為、心材中央と犠牲材表面の電位差が80mVを下回ってしまう。
したがって、本発明におけるろう付加熱条件は、到達温度590〜610℃で、保持時間が5分以内である。より好ましくは、到達温度595〜605℃、且つ保持時間が4分以内である。
次に、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれに制限されるものではない。
表1に示す合金組成を有する犠牲材を、表2に示す製造方法でそれぞれ製造した。なお、表1の合金組成において、「−」は検出限界以下であることを示すものであり、「残部」は不可避的不純物を含む。
まず、DC鋳造法により表1の犠牲材及び、これと張り合わせる心材(Al−0.7Si−0.6Cu−1.5Mn−0.12Ti)及びろう材(4045)を鋳造した。その後、犠牲材およびろう材の鋳塊を500℃まで加熱を行った後、所定の板厚まで圧延を行い、面削を行った心材鋳塊の両端に組み付けを行った。これを再び500℃まで加熱を行い、熱間圧延により所定の板厚まで圧延し、クラッド材を作製した。続いて、得られた板材を冷間圧延し、表2の構成の板厚において最終焼鈍を行った。(調質:H2n)
Figure 0006208450

Figure 0006208450
そして、作製した各クラッド材を供試材(試験材No.1〜33)とし、600℃で3minろう付加熱を行った。その後、各供試材に対して、心材−犠牲材間の電位差・犠牲材における円相当径0.1μm以上の第2相粒子の密度・耐食性に関する評価を下記に示す方法で行い、それらの結果を表3・4に示した。
〔a〕ろう付加熱前の犠牲材における第2相粒子密度(個/mm
円相当径0.1μm以上の第2相粒子の密度は、犠牲材表面のSEM観察を行うことで調査した。観察は各サンプル3視野ずつ行い、それぞれの視野のSEM像を画像解析することで、ろう付加熱前の第2相粒子の密度を求めた。表記した密度は、各3視野より求めた値の平均値である。
〔b〕犠牲材表面から心材方向へ5μmの深さにおいてのCu濃度(%)
供試材の断面にEPMA分析を行うことによりCu濃度のラインプロファイルを得た。ここから犠牲材表面から心材方向へ5mmの深さにおけるCuの濃度を見積もった。評価としては、Cu濃度がy/10%以下ならば「○」とし、y/10%以上であれば「×」とした。
〔c〕心材―犠牲材間の電位差(mV)
供試材を600℃×3minでろう付加熱した後、50℃/minの冷却速度で冷却してサンプルとした。そして各サンプルに対し、25℃の5 %NaCl水溶液中でクラッド材の心材、及び犠牲材の自然電位(vsAg/AgCl)の測定を行った。このとき心材の電位は、NaOHにより犠牲材表面から100 μmエッチングを行った後に測定を行った。評価としては、電位差が80mV以上あれば「○」とし、80mV以下であれば「×」とした。
〔d〕自己耐食性評価
供試材を600 ℃×3minでろう付加熱した後、50℃/minの冷却速度で冷却してサンプルとした。その後、下記の方法により犠牲材側の腐食試験を行い、内面の耐食性を評価した。
腐食液:OY水(NaCl0.329g、NaSO0.084g、CuCl・2HO 0.0026g、FeCl・6HO 0.142 gに蒸留水を加え1kg・pH 2.9〜3.1)
方法:OY水を88℃の温度に保持し、750時間浸漬試験を行った後、その最大孔食深さの測定を行った。
腐食試験による最大孔食深さが40μm未満を合格、最大孔食深さが40μm以上を不合格とした。
Figure 0006208450
Figure 0006208450
本発明例である、試験材No.1〜13、19〜27は、ろう付加熱前の犠牲材おける円相当径0.1μm以上の第2相粒子の密度が1.0×10個以下であり、またろう付加熱後の心材−犠牲材間の電位差は80mV以上あり、最大孔食深さも40μm以下であり、結果、犠牲防食効果が確保される結果となった。
試験材No.14、15、29〜31は犠牲材のZn量と心材のCu量が発明の範囲外であり、Cu濃度が本発明の範囲外であったため電位差が80mV以下及び/または耐食性が悪かった。
試験材No.16〜18は犠牲材の組成が発明の範囲外であったため電位差が80mV以下であり、耐食性が悪かった。
試験材No.28は犠牲材の金属組織が発明の範囲外であったため耐食性が悪かった。
本発明ブレージングシートの構造を示す断面図1 犠牲材2 心材3 ろう材(犠牲材) Cu濃度と心材厚さの関係を表す略式図

Claims (6)

  1. 心材の両面に犠牲材がクラッドされたクラッド材において、犠牲材厚さをXμm、犠牲材のZn濃度をx%、心材厚さをYμm、心材のCu濃度をy%としたときに
    Figure 0006208450
    かつ X≦45
    を満たし、かつ、ろう付前の犠牲材の金属組織が円相当径0.1μm以上の第二相粒子の密度が1.0×10 個/mm 以下であることを特徴とする熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。
  2. 心材の両面に犠牲材がクラッドされたクラッド材において、犠牲材にSi:0.2%以下、Fe:0.2%以下、Mn:0.05〜0.4%のうち1種以上を含有し、且つ犠牲材厚さをXμm、犠牲材のZn濃度をx%、心材厚さをYμm、心材のCu濃度をy%としたときに

    Figure 0006208450
    かつ X≦45
    を満たし、かつ、ろう付前の犠牲材の金属組織が円相当径0.1μm以上の第二相粒子の密度が1.0×10 個/mm 以下であることを特徴とする熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。
  3. 請求項1乃至2記載のアルミニウム合金クラッド材において、ろう付前の犠牲材表面から心材方向へ5μmの深さにおいてのCu濃度がy/10%以下であることを特徴とする熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。
  4. 請求項1乃至記載のアルミニウム合金クラッド材の犠牲材を鋳造、熱間圧延により製造する方法において、均熱処理を行わないことを特徴とする熱交換器用アルミニウム合金クラッド材の製造方法。
  5. 請求項1乃至記載のアルミニウム合金クラッド材を製造する方法において、クラッド圧延後の最終焼鈍を320℃以下で1〜10時間行うことを特徴とする熱交換器用アルミニウム合金クラッド材の製造方法。
  6. 請求項乃至記載発明で製造されたアルミニウム合金クラッド材を用いて作製したチューブ材をろう付工法により組み付けるアルミニウム合金製熱交換器の製造方法において、ろう付加熱を590〜610℃で保持時間を5分以内の条件で施すことを特徴とするアルミニウム合金製熱交換器の製造方法。
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