JP2019167581A - アルミニウム合金押出管の製造方法 - Google Patents

アルミニウム合金押出管の製造方法 Download PDF

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Toshiya Kondo
俊矢 金銅
英敏 熊谷
Hidetoshi Kumagai
英敏 熊谷
尚希 山下
Naoki Yamashita
尚希 山下
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Abstract

【課題】ろう付後に高い強度を有するアルミニウム合金押出管の製造方法を提供する。【解決手段】Mn:0.40〜1.20質量%以下、Si:0.30質量%以下、Fe:0.30質量%以下、Cu:0.10質量%以下を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる化学成分を有する鋳塊を作製する。次いで、鋳塊を400〜540℃の温度に0.5時間以上保持して均質化処理を行う。その後、鋳塊を熱間押出することによりアルミニウム合金押出管を作製する。【選択図】図1

Description

本発明は、アルミニウム合金押出管の製造方法に関する。
ラジエータ、コンデンサ、エバポレータ、ヒータ、インタークーラ、オイルクーラ等の自動車用熱交換器は、他の金属と比べて軽量であり、かつ、優れた熱伝導性を有するアルミニウム合金から構成されている。この種の熱交換器は、冷媒流路を構成する部品としてアルミニウム合金からなる押出管を有していることがある。また、例えばエバポレータやコンデンサ等の高い強度が求められる自動車用熱交換器においては、押出多穴管と呼ばれる、仕切によって区画された複数の冷媒流路を管内部に有する押出管が使用されることもある。これらの押出管は、フィンやヘッダ等の他の部品とろう付によって接合されている。
押出多穴管に用いられるアルミニウム鋳塊として、例えば、特許文献1には、Mn(マンガン):0.90〜1.30質量%、Fe(鉄):0.05〜0.25質量%、Si(シリコン):0.05〜0.25質量%、Ti(チタン)0.01〜0.02質量%、Cu(銅):0.01質量%以下、Ni(ニッケル):0.01質量%以下、Mg(マグネシウム):0.05質量%以下を含有し、550〜600℃の温度で均質化処理が施された押出用アルミニウム合金鋳塊が記載されている。
米国特許出願公開第2009/0301611号明細書
近年、自動車の燃費を向上させて環境負荷を低減するため、自動車用熱交換器のさらなる軽量化が求められている。かかる観点から、自動車用熱交換器に用いられる押出管においても、軽量化を目的として肉厚を薄くすることが強く望まれている。押出管の肉厚をより薄くするためには、押出管の強度を向上させる必要がある。
しかし、特許文献1の押出用アルミニウム合金鋳塊から作製された押出管は、ろう付後の強度が低い。そのため、例えば熱交換器の使用中に小石のチッピング等によって押出管に貫通穴が生じやすく、冷媒漏れのため熱交換器としての機能を果たすことができなくなるおそれがある。
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、ろう付後に高い強度を有するアルミニウム合金押出管の製造方法を提供しようとするものである。
本発明の一態様は、Mn(マンガン):0.40〜1.20質量%以下、Si(シリコン):0.30質量%以下、Fe(鉄):0.30質量%以下、Cu(銅):0.10質量%以下を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる化学成分を有する鋳塊を作製し、
前記鋳塊を400〜540℃の温度に0.5時間以上保持して均質化処理を行い、
その後、前記鋳塊を熱間押出する、アルミニウム合金押出管の製造方法にある。
前記アルミニウム合金押出管(以下、「押出管」と省略する。)の製造方法においては、前記特定の化学成分を備えた鋳塊を前記特定の温度及び時間に保持して均質化処理を行う。均質化処理における保持温度及び保持時間を前記特定の範囲とすることにより、ろう付後のミクロ組織が微細な結晶粒からなる組織となる高温特性を備えた押出管を得ることができる。そして、ろう付後の押出管のミクロ組織を前記特定の組織とすることにより、ろう付後の強度を向上させることができる。
実施例における、アルミニウム合金押出管としての押出多穴管の斜視図である。
前記アルミニウム合金押出管における化学成分及びその限定理由について説明する。
・Mn(マンガン):Mn:0.40〜1.20質量%以下
Mnは、アルミニウム母相中において、固溶Mn及びAl−Mn系析出物、Al−Mn−Si系析出物等の形態で存在している。Mnは、固溶強化や析出強化によって前記押出管の強度を向上させる作用を有している。また、アルミニウム母相中にAl−Mn系析出物を析出させることにより、ろう付後のミクロ組織を微細な結晶粒からなる組織とすることができる。
Mnの含有量を0.40質量%以上とすることにより、ろう付前の前記押出管の強度を向上させるとともに、ろう付後の押出管のミクロ組織を前記特定の組織とし、ろう付後の強度を向上させることができる。ろう付前の押出管の強度及びろう付後の押出管の強度をより向上させる観点からは、Mnの含有量を0.80質量%以上とすることが好ましい。
Mnの含有量が0.40質量%未満の場合には、ろう付後における前記押出管の強度が低下し、耐圧性及び耐チッピング性の悪化、熱交換器自体の強度の低下を招くおそれもある。
一方、Mnの含有量が過度に多くなると、前記押出管の作製過程において熱間押出を行う際の押出圧力が著しく上昇し、押出加工性の悪化を招くおそれがある。また、この場合には、押出前の鋳塊内に粗大な金属間化合物が形成されやすくなる。この粗大な金属間化合物は、押出欠陥の原因となるおそれがあるため好ましくない。Mnの含有量を1.2質量%以下、好ましくは1.1質量%以下とすることにより、これらの問題を回避することができる。
・Si(シリコン):0.30質量%以下
前記押出管は、任意成分としてSiを含有していてもよい。しかし、Siの含有量が過度に多い場合には、均質化処理によってAl−Mn−Si系析出物が析出しやすくなる。その結果、Al−Mn系化合物の量が減少し、ろう付後の押出管の強度の低下を招くおそれがある。また、Al−Mn−Si系化合物の含有量の増加により、押出加工性の悪化や熱間押出後における前記押出管の表面粗さの増大を招くおそれもある。Siの含有量を0.30質量%以下、好ましくは0.20質量%以下とすることにより、これらの問題を回避することができる。
一方、Siの含有量の少ない押出管を作製するためには、高純度の地金を使用する必要があり、材料コストの増大を招くおそれがある。材料コストの増大を回避する観点からは、Siの含有量を0.010質量%以上とすることが好ましい。
・Fe(鉄):0.30質量%以下
前記押出管は、任意成分としてFeを含有していてもよい。しかし、Feの含有量が過度に多い場合には、均質化処理によってAl−Fe系析出物が析出し、熱間押出後における前記押出管の表面粗さの増大を招くおそれがある。Feの含有量を0.30質量%以下、好ましくは0.20質量%以下とすることにより、押出管の表面粗さの増大を回避することができる。
一方、Feの含有量の少ない押出管を作製するためには、高純度の地金を使用する必要があり、材料コストの増大を招くおそれがある。材料コストの増大を回避する観点からは、Feの含有量を0.010質量%以上とすることが好ましい。
・Cu(銅):0.10質量%以下
前記押出管は、任意成分としてCuを含有していてもよい。しかし、Cuの含有量が過度に多い場合には、押出加工性の悪化を招くおそれがある。Cuの含有量を0.10質量%以下、好ましくは0.050質量%以下とすることにより、押出加工性の悪化を回避することができる。
一方、Cuの含有量の少ない押出管を作製するためには、高純度の地金を使用する必要があり、材料コストの増大を招くおそれがある。材料コストの増大を回避する観点からは、Cuの含有量を0.010質量%以上とすることが好ましい。
・Zr(ジルコニウム):0.030〜0.30質量%
Zrは、アルミニウム母相中において、固溶Zr及びAl−Zr系析出物等の形態で存在している。Zrは、固溶強化や析出強化によってろう付前の前記押出管の強度を向上させる作用を有している。また、アルミニウム母相中にAl−Zr系析出物を析出させることにより、ろう付後の押出管のミクロ組織を前記特定の組織とし、ろう付後の強度を向上させることができる。
Zrの含有量を0.030質量%以上とすることにより、前記押出管のろう付前の強度をより向上させるとともに、前記押出管のろう付後の強度をより向上させることができる。
しかし、Zrの含有量が過度に多くなると、押出前の鋳塊内に粗大な金属間化合物が形成されやすくなる。この粗大な金属間化合物は、押出欠陥の原因となるおそれがあるため好ましくない。Zrの含有量を0.30質量%以下とすることにより、かかる問題を回避することができる。
・Ti(チタン):0.030〜0.30質量%
Tiは、アルミニウム母相中に固溶し、固溶強化によって前記押出管の強度を向上させる作用を有している。また、Tiを含むアルミニウム合金を鋳造すると、包晶反応により、鋳塊内にTiの濃度が比較的高い高濃度領域と比較的低い低濃度領域とが形成される。高濃度領域及び低濃度領域は、鋳塊を熱間押出する際に押出方向に引き伸ばされる。その結果、前記押出管内に、高濃度領域と低濃度領域とが肉厚方向に交互に積層された積層構造が形成される。
低濃度領域は、高濃度領域よりも電位が卑となるため、高濃度領域に比べて腐食されやすい。そのため、このような積層構造を備えた押出管によれば、肉厚方向への腐食の進行をより効果的に抑制し、耐孔食性および耐粒界腐食性を向上させることができる。
従って、Tiの含有量を0.030質量%以上とすることにより、前記押出管の強度をより向上させるとともに、腐食による貫通孔の形成をより効果的に抑制することができる。
一方、Tiの含有量が過度に多くなると、押出前の鋳塊内に粗大な金属間化合物が形成されやすくなる。この粗大な金属間化合物は、押出欠陥の原因となるおそれがあるため好ましくない。Tiの含有量を0.30質量%以下とすることにより、かかる問題を回避することができる。
・Cr(クロム):0.030〜0.30質量%
Crは、アルミニウム母相中において、固溶Cr及びAl−Cr系析出物等の形態で存在している。Crは、固溶強化や析出強化によって前記押出管の強度を向上させる作用を有している。また、アルミニウム母相中にAl−Cr系析出物を析出させることにより、押出管のミクロ組織を前記特定の組織とし、ろう付後の強度を向上させることができる。
Crの含有量を0.030質量%以上とすることにより、前記押出管のろう付前の強度をより向上させるとともに、ろう付後の押出管のミクロ組織を前記特定の組織とし、ろう付後の強度をより向上させることができる。
しかし、Crの含有量が過度に多くなると、押出前の鋳塊内に粗大な金属間化合物が形成されやすくなる。この粗大な金属間化合物は、押出欠陥の原因となるおそれがあるため好ましくない。Crの含有量を0.30質量%以下とすることにより、かかる問題を回避することができる。
・ろう付後のミクロ組織
ろう付後の前記押出管は、微細な結晶粒からなるミクロ組織を有している。ろう付後の前記押出管のミクロ組織を微細な結晶粒からなる組織とすることにより、ろう付後の押出管の強度を向上させることができる。ろう付後の押出管の強度を向上させる観点からは、前記押出管は、600℃の温度に3分間保持した後の平均結晶粒径が120μm以下となる高温特性を有していることが好ましい。
600℃の温度に3分間保持した後の平均結晶粒径が120μmを超える場合には、ろう付後の前記押出管の強度が低くなるおそれがある。
なお、前述した「平均結晶粒径」は、前記押出管の断面に露出した組織の顕微鏡像をASTM E112に規定された切断法によって評価することにより算出される値である。
前記押出管は、前記特定の化学成分を有する鋳塊を作製した後、鋳塊を400〜540℃の温度に0.5時間以上保持して均質化処理を行い、その後、前記鋳塊を熱間押出することにより作製することができる。鋳塊の作製方法は特に限定されることはなく、例えば、連続鋳造、半連続鋳造、DC鋳造等の方法を採用することができる。
均質化処理における鋳塊の保持温度は400〜540℃とし、保持時間は0.5時間以上とする。均質化処理における保持温度及び保持時間を前記特定の範囲とすることにより、鋳塊内にAl−Mn系析出物を微細に析出させることができる。その結果、前記押出管のろう付後の強度を向上させることができる。
均質化処理における保持温度は、420〜520℃であることが好ましい。この場合には、均質化処理においてAl−Mn系析出物を十分に析出させ、押出管のろう付後の強度をより向上させることができる。
均質化処理における保持温度が400℃未満の場合、または、保持時間が0.5時間未満の場合には、Al−Mn系析出物の析出量が不足し、ろう付後の結晶粒が粗大になりやすくなる。その結果、ろう付後の押出管の強度が低くなるおそれがある。
均質化処理における保持温度が540℃を超える場合には、Mn等の元素が固溶するため、Al−Mn系析出物の析出量が不足しやすくなる。その結果、ろう付後の押出管の強度が低くなるおそれがある。
均質化処理における保持時間は、1時間以上であることが好ましい。この場合には、均質化処理においてAl−Mn系析出物を十分に析出させ、押出管のろう付後の強度をより向上させることができる。なお、均質化処理における保持時間の上限は特に限定されることはないが、生産性の悪化を回避する観点からは、24時間以下とすることが好ましい。
均質化処理を行った後、鋳塊を熱間押出することにより押出管を作製する。この際、管内部に単一の冷媒流路を備えた押出管を作製してもよいし、管内部に長手方向に延設された複数の冷媒流路を有する、いわゆる押出多穴管を作製することもできる。
熱間押出の開始時における鋳塊の温度は、例えば、400〜550℃の範囲内から適宜設定することができる。鋳塊の温度が400℃未満の場合には、鋳塊の変形抵抗が高くなり、押出加工性の悪化を招くおそれがある。一方、鋳塊の温度が550℃を超える場合には、熱間押出中に加工発熱によって鋳塊が溶融するおそれがある。また、この場合には、熱間押出中にアルミチップが生成するおそれもある。
前記押出管の製造方法においては、熱間押出を行った後、必要に応じて、前記押出管の外表面にZn(亜鉛)皮膜を形成するZn皮膜形成処理を行ってもよい。Zn皮膜形成処理としては、例えば、Znを溶射する、Zn粉末を塗装する等の手法を採用することができる。
前記押出管の表面にZn皮膜を設けることにより、Zn皮膜の犠牲防食効果によって前記押出管の耐食性をより向上させることができる。前記押出管の耐食性をより向上させる観点からは、Zn皮膜の付着量は1g/m2以上とすることが好ましく、3g/m2以上とすることがより好ましい。Zn皮膜の付着量が1g/m2未満の場合には、Zn皮膜による犠牲防食効果が低くなる。また、この場合には、Zn皮膜を押出管の表面に均一に付着させることが難しい。
一方、Zn皮膜の付着量が多くなると、付着量に見合った犠牲防食効果を得ることが難しくなる。Zn皮膜による犠牲防食効果を得つつ付着量を低減する観点からは、Zn皮膜の付着量を12g/m2以下とすることが好ましく、10g/m2以下とすることがより好ましい。
前記押出管は、例えば、自動車用熱交換器の構成部品として使用することができる。前記押出管を用いて自動車用熱交換器を作製する場合には、例えば、押出管の表面にフラックスを塗布した後、フィンやヘッダ等の他の部品と組み合わせて組立体を作製する。この組立体を580〜620℃程度に加熱してろう付を行うことにより、自動車用熱交換器を作製することができる。
前記押出管及びその製造方法の実施例を以下に説明する。なお、本発明に係るアルミニウム合金押出管及びその製造方法の具体的な態様は以下に示す態様に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜構成を変更することができる。
本例において使用するアルミニウム材の化学成分は、表1に示す通りである。なお、表1中の記号「Bal.」は、当該成分が残余成分(Balance)であることを示す。また、表1中の記号「−」は、当該成分の含有量が0.010質量%以下であることを示す。
Figure 2019167581
また、本例における均質化処理の保持温度及び保持時間は、表2に示す通りである。
Figure 2019167581
本例は、図1に示す断面形状を備えたアルミニウム合金押出管1及びその製造方法の例である。図1に示すように、本例のアルミニウム合金押出管1は、具体的には、複数の冷媒流路13を備えた押出多穴管10である。押出多穴管10は、押出方向に垂直な断面(つまり、ST−LT面)において長円状を呈する外周部11と、外周部の内側に間隔をあけて配置された複数の隔壁部12とを有している。押出多穴管10の内部には、外周部11と隔壁部12とによって区画され、押出多穴管10の長手方向(つまり、押出方向)に延設された複数の冷媒流路13が設けられている。複数の冷媒流路13は、押出多穴管10の幅方向に並んで配置されている。本例の押出多穴管10における、外周部11の平坦部分111の肉厚は0.3mmである。
本例の押出多穴管10は、以下の方法により作製することができる。まず、半連続鋳造により、表1に示す化学成分を有するアルミニウム合金(合金記号A1〜A17)の鋳塊を作製する。得られた鋳塊を、表2に示す保持温度及び保持時間(製造条件記号B1〜B5)で加熱して均質化処理を行う。その後、鋳塊を一旦冷却する。
冷却された鋳塊を再度450℃まで加熱した後、出口側における押出速度が60m/sとなるように熱間押出を行うことにより、押出多穴管10を得ることができる。また、一部の押出多穴管10(表3、試験体C2及びC3)については、熱間押出を行った後、押出多穴管10の表面にZn皮膜を形成するZn皮膜形成処理を行う。
Zn皮膜形成処理としては、具体的には、Zn溶射を採用することができる。また、各試験体におけるZn皮膜の付着量は、表3に示す通りである。以上により、表3に示す試験体C1〜C12、C14、C15、C20〜C24を得ることができる。
なお、表3に示す試験体C13、C16〜C19については、熱間押出において鋳塊の変形抵抗が過度に高くなり、熱間押出を行うことができない。そのため、これらの試験体については、以降の評価を行うことができない。
試験体の表面粗さについては、JIS B0601:2013の規定に基づく最大高さRyの値に基づいて評価することができる。接触式表面粗さ計による各試験体の最大高さRyの測定結果は表3に示した通りである。なお、表3の「最大高さ」欄には、最大高さRyの値が15μm以下の場合には記号「A」、15μmを超える場合には記号「B」を記載した。
表面粗さの評価においては、最大高さRyの値が15μm未以下である記号Aの場合を表面が十分に平滑であるため合格と判定し、15μmを超える記号Bの場合を表面の平滑性が悪いため不合格と判定した。
試験体のろう付後のミクロ組織については、以下の方法により評価することができる。まず、試験体を600℃の温度に3分間保持し、ろう付に相当する加熱を行う。その後、試験材を幅方向に切断し、押出方向に垂直な断面(つまり、LT−ST面)を露出させる。この断面に、エメリー紙による研磨及びバフ研磨を順次行う。次いで、フッ酸3質量%、ホウ酸2質量%を含む水溶液を用いて当該断面に電解エッチングを施し、断面に結晶粒界を現出させる。その後、倍率50倍の偏光顕微鏡を用いて研磨面の顕微鏡像を取得する。
ASTM E112に規定された切断法により、この顕微鏡像における平均結晶粒径を算出することができる。ろう付後の各試験材の平均結晶粒径は、表3に示した通りとなる。なお、表3の「加熱前」欄内の「平均結晶粒径」欄には、平均結晶粒径が120μm以下の場合には記号「A」、120μmを超える場合には記号「B」を記載した。
また、試験体のろう付後の強度については、以下の方法により評価することができる。まず、試験体を600℃の温度に3分間保持し、ろう付に相当する加熱を行う。これらの試験体を用い、JIS Z2241:2011に規定する方法に準じた方法により引張試験を行う。そして、得られた応力−歪曲線に基づいて各試験材の引張強さを算出することができる。各試験材のろう付後の引張強さは、表3中の「引張強さ」欄に示した通りである。
また、表面にZn皮膜が形成された試験体(つまり、試験体C2、C3)のろう付後の耐食性については、以下の方法により評価することができる。まず、試験体を600℃の温度に3分間保持し、ろう付に相当する加熱を行う。これらの試験体について、ASTM−G85−Annex A3に規定されたSWAAT試験を40日間実施する。SWAAT試験後の試験材における貫通孔の有無は、表3の「耐食性」欄に示した通りである。なお、表3の「耐食性」欄には、SWAAT試験後の試験体に貫通孔が形成されない場合には記号「A」、貫通孔が形成される場合には記号「B」を記載した。
Figure 2019167581
表3に示したように、試験体C1〜C11、C20、C21は、前記特定の化学成分を備えた鋳塊に、400〜540℃の温度で0.5時間以上保持する均質化処理を施すことにより作製されている。それ故、これらの試験体のろう付後のミクロ組織は微細な結晶粒からなる組織となる。その結果、ろう付後の試験体の強度を向上させることができる。これらの試験体は、ろう付後においても高い強度を有しているため、自動車用熱交換器の構成部品として好適である。
試験体C12におけるMnの含有量は前記特定の範囲よりも少ないため、Al−Mn系析出物の析出量が不足する。そのため、ろう付後の試験体C12のミクロ組織は、試験体C1〜C11に比べて粗大な結晶粒からなる組織となる、その結果、試験体C12のろう付後の強度は試験体C1〜C11に比べて低くなる。
試験体C13におけるMnの含有量は前記特定の範囲よりも多いため、熱間押出における鋳塊の変形抵抗が過度に高くなる。そのため、前述した通り、試験体C13の熱間押出を行うことはできない。
試験体C14におけるSiの含有量は前記特定の範囲よりも多い。そのため、試験体C14中のAl−Mn−Si系析出物の量が多くなり、熱間押出後の表面粗さが試験体C1〜C11に比べて粗くなる。
試験体C15におけるFeの含有量は前記特定の範囲よりも多い。そのため、試験体C15中のAl−Fe系析出物の量が多くなり、熱間押出後の表面粗さが試験体C1〜C11に比べて粗くなる。
試験体C16におけるCuの含有量は前記特定の範囲よりも多いため、熱間押出における鋳塊の変形抵抗が過度に高くなる。そのため、前述した通り、試験体C16の熱間押出を行うことはできない。
試験体C17におけるTiの含有量は前記特定の範囲よりも多いいため、熱間押出における鋳塊の変形抵抗が過度に高くなる。そのため、前述した通り、試験体C17の熱間押出を行うことはできない。
試験体C18におけるZrの含有量は前記特定の範囲よりも多いため、熱間押出における鋳塊の変形抵抗が過度に高くなる。そのため、前述した通り、試験体C18の熱間押出を行うことはできない。
試験体C19におけるCrの含有量は前記特定の範囲よりも多いいため、熱間押出における鋳塊の変形抵抗が過度に高くなる。そのため、前述した通り、試験体C19の熱間押出を行うことはできない。
試験体C22については、均質化処理における保持温度が前記特定の範囲よりも低いため、Al−Mn系析出物の析出量が不足する。そのため、試験体C22のろう付後のミクロ組織は、化学成分が同一であり、保持時間及び保持温度が前記特定の範囲内である試験体C1〜C3、C20、C21に比べて粗大な結晶粒からなる組織となる。その結果、試験体C22のろう付後の強度はこれらの試験体に比べて低くなる。
試験体C23については、均質化処理における保持温度が前記特定の範囲よりも高いため、Mn等の元素が固溶し、Al−Mn系析出物の析出量が不足する。そのため、試験体C23のろう付後のミクロ組織は、試験体C1〜C3、C20、C21に比べて粗大な結晶粒からなる組織となる。その結果、試験体C23のろう付後の強度はこれらの試験体に比べて低くなる。
試験体C24については、均質化処理における保持温度が前記特定の範囲よりも高いため、Mn等の元素が固溶し、Al−Mn系析出物の析出量が不足する。そのため、試験体C24のろう付後のミクロ組織は、化学成分が同一であり、保持時間及び保持温度が前記特定の範囲内である試験体C4に比べて粗大な結晶粒からなる組織となる。その結果、試験体C24のろう付後の強度はこれらの試験体に比べて低くなる。
1 アルミニウム合金押出管
10 押出多穴管
11 外周部
12 隔壁部
13 冷媒流路

Claims (3)

  1. Mn:0.40〜1.20質量%以下、Si:0.30質量%以下、Fe:0.30質量%以下、Cu:0.10質量%以下を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる化学成分を有する鋳塊を作製し、
    前記鋳塊を400〜540℃の温度に0.5時間以上保持して均質化処理を行い、
    その後、前記鋳塊を熱間押出する、アルミニウム合金押出管の製造方法。
  2. 前記鋳塊は、Zr:0.030〜0.30質量%、Ti:0.03〜0.30質量%、Cr:0.030〜0.30質量%のうち1種または2種以上をさらに含有する、請求項1に記載のアルミニウム合金押出管の製造方法。
  3. 前記熱間押出を行った後に、前記アルミニウム合金押出管の外表面に1〜12g/m2のZn皮膜を形成するZn皮膜形成処理を行う、請求項1または2に記載のアルミニウム合金押出管の製造方法。
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