JP6207879B2 - エンジンマウント制御装置及び車両 - Google Patents

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Description

本発明は、エンジンを車体に支持するエンジンマウントに組み込まれたアクチュエータを駆動させることで前記車体へのエンジン振動の伝達を抑制するエンジンマウント制御装置及び当該エンジンマウント制御装置を備える車両に関する。
特許文献1では、エンジン始動時等に発生する過渡振動を、その振動の始まりから効果的に抑制できる能動型防振支持装置を提供することを目的としている([0005]、要約)。この目的を達成するため、特許文献1では、ステップS13においてアクティブ・マウントMF、MRに所定のDC電流が印加される。ステップS18では仮想電流波形が設定され、ステップS19、S20では初発インジェクション気筒の点火タイミングに対応する制御が開始される(要約)。
より具体的には、特許文献1では、ステップS15により決められたロール共振の振動数及びステップS16で決められたロール共振の振動ゲインに基づいて仮想電流波形を設定する([0067]〜[0068]、図7のS18)。そして、初発インジェクション気筒の点火タイミングに対応する制御の開始時期であると判定した場合(S19:YES)、ステップS20において、アクティブ・マウントMF、MRへの駆動電流を、DC電流から仮想電流波形に切り換え、その後は、ステップS18において設定した仮想電流波形に応じてアクティブ・マウントMF、MRを駆動制御する([0070])。
ステップS19、S20における制御の開始によって、アクティブ・マウントMFでは、時刻tCFにおいてDC電流値IiFから最初の仮想電流波形に移行し、最初の仮想電流波形の山PF1と、それに続く2番目の仮想電流波形との間の谷BF(電流値0A)と、2番目の仮想電流波形の山PF2とが、初爆からのロール共振に伴うアクティブ・マウントMFにおける荷重変化の山−谷−山に合致するように制御する([0071]、図8(c))。
同様に、ステップS19、S20における制御の開始によって、アクティブ・マウントMRでは、時刻tCRにおいてDC電流値IiRから最初の仮想電流波形に移行し、最初の仮想電流波形に続く2番目の仮想電流波形との間の谷BR1(電流値0A)と、2番目の仮想電流波形の山PRと、2番目の仮想電流波形に続く3番目の仮想電流波形との間の谷BR2とが、初爆からのロール共振に伴うアクティブ・マウントMRにおける荷重変化の谷−山−谷に合致するように制御する([0073]、図9(c))。
特開2009−216146号公報
上記のように、特許文献1では、仮想電流波形(目標電流波形)の設定(S18)をした後、仮想電流波形の山−谷がロール共振に伴うアクティブ・マウントMF、MRにおける荷重変化の山−谷に合致するように制御している。
しかしながら、特許文献1では、制御の開始時期であると判断したこと(S19:YES)のみをトリガにして仮想電流波形に基づく出力を行っている。このため、当該出力の後にエンジン回転数の変動が生じた場合、仮想電流波形の位相と実際のロール共振の位相がずれて振動抑制効果を十分に得られないおそれがあった。
本発明は上記のような課題を考慮してなされたものであり、エンジン回転数の変動があった場合でも振動抑制効果を効果的に発揮することが可能なエンジンマウント制御装置及び車両を提供することを目的とする。
本発明に係るエンジンマウント制御装置は、エンジンを車体に支持するエンジンマウントに組み込まれたアクチュエータを電流により駆動させることで前記車体へのエンジン振動の伝達を抑制するものであって、前記エンジンの始動又は再始動時に発生するロール共振に対応した目標電流波形を設定し、前記ロール共振の開始時点で前記目標電流波形の電流を前記アクチュエータに出力し、前記ロール共振の開始時点より後の所定のタイミングにおいて前記目標電流波形の位相と実際のロール共振の位相に偏差がある場合、前記目標電流波形の位相を前記実際のロール共振の位相に合わせるように前記目標電流波形を補正することを特徴とする。
本発明によれば、ロール共振の開始後に目標電流波形の位相と実際のロール共振の位相に偏差がある場合、目標電流波形の位相を実際のロール共振の位相に合わせるように目標電流波形を補正する。これにより、目標電流波形が前提としているエンジン回転数の変化と、実際のエンジン回転数の変化にずれが生じた場合でも、ロール共振の開始後に目標電流波形を修正し、エンジン振動(ロール共振)の伝達をより精度よく抑制することが可能となる。
前記エンジンマウント制御装置は、前記エンジンの内部で回転するクランクシャフトの回転位置であるクランク回転位置を検出するクランク回転位置検出手段が検出した前記クランク回転位置を取得し、前記エンジンの始動又は再始動の際、前記クランク回転位置に基づいて前記ロール共振の開始時点を判定し、前記ロール共振の開始時点からエンジン回転数に変化がない場合の前記目標電流波形における波形の頂点若しくは最下点又は変曲点の電流が出力される前記クランク回転位置に対応させて前記所定のタイミングを設定してもよい。
上記によれば、ロール共振の開始時点をクランク回転位置に基づいて判定することから、例えば、エンジン回転数に基づいて判定する場合と比較して、高精度にロール共振の開始時点(すなわち、制御開始タイミング)を判定することが可能となる。
また、目標電流波形の位相と実際のロール共振の位相に偏差を判定する所定のタイミングをクランク回転位置に対応させて設定するため、実際のロール共振の位相を簡易に特定し、目標電流波形の位相と実際のロール共振の位相に偏差を高精度に検出することが可能となる。
前記エンジンマウント制御装置は、前記偏差を検出するように設定された回転位置である偏差判定基準回転位置に前記クランク回転位置が到達したとき、前記目標電流波形の電流値が、前記偏差判定基準回転位置に対応して出力されるべき基準電流に到達していない場合、前記基準電流に対応する位相まで前記目標電流波形の位相を進めるように前記目標電流波形を補正し、前記クランク回転位置が前記偏差判定基準回転位置に到達する前に、前記目標電流波形の電流値が前記基準電流に到達した場合、前記クランク回転位置が前記偏差判定基準回転位置に到達するまで前記基準電流を維持して前記目標電流波形を遅延させるように補正してもよい。
これにより、クランク回転位置の偏差判定基準回転位置を基準として目標電流波形の位相を実際のロール共振の位相に合わせるように目標電流波形を補正することとなる。従って、目標電流波形の補正を高精度に行うことが可能となる。
前記エンジンマウント制御装置は、前記クランク回転位置が前記偏差判定基準回転位置に到達したとき、前記目標電流波形の電流値が前記基準電流に到達していない場合、前記基準電流に対応する位相まで前記目標電流波形の位相を進めるように前記目標電流波形を補正すると共に、その後の前記目標電流波形の振幅を当初に設定されていた前記目標電流波形の振幅よりも増大させるように補正してもよい。
基準電流に対応する位相まで目標電流波形の位相を進めるように目標電流波形を補正する場合、本来出力されるべき電流の一部を出力しないこととなり、アクチュエータの出力(積算値)が不足する可能性がある。上記構成によれば、目標電流波形の補正に伴う出力電流の不足分を、振幅の増大により補償することで、防振性能を高めることが可能となる。
本発明に係る車両は、前記エンジンマウント制御装置を備えることを特徴とする。
本発明によれば、ロール共振の開始後に目標電流波形の位相と実際のロール共振の位相に偏差がある場合、目標電流波形の位相を実際のロール共振の位相に合わせるように目標電流波形を補正する。これにより、目標電流波形が前提としているエンジン回転数の変化と、実際のエンジン回転数の変化にずれが生じた場合でも、ロール共振の開始後に目標電流波形を修正し、エンジン振動(ロール共振)の伝達をより精度よく抑制することが可能となる。
本発明の一実施形態に係る車両の概略構成図である。 ACM電子制御装置の始動時制御の全体的な流れを示すフローチャートである。 目標電流波形補正処理のフローチャート(図2のS8の詳細)である。 目標電流波形補正処理で行う処理の第1説明図である。 目標電流波形補正処理で行う処理の第2説明図である。
A.本実施形態
1.構成
[1−1.概要]
図1は、本発明の一実施形態に係る車両10の概略構成図である。図1に示すように、車両10は、駆動源としてエンジン12及び走行モータ14を有するいわゆるハイブリッド車両である。後述するように、車両10は、走行モータ14を有さないいわゆるエンジン車両であってもよい。
エンジン12は、その回転軸が車幅方向とされた状態において、エンジンマウント302f、302rを介して車体16に支持されている。後に詳述するように、エンジンマウント302f、302rは、エンジン12からの振動(以下「エンジン振動」ともいう。)をアクチュエータ306により能動的に抑制する能動型防振支持装置300の一部を構成する。
本実施形態の走行モータ14は、バッテリ18からの電力に基づいて車両10の走行駆動力を生成する(すなわち、図示しない車輪に駆動力を伝達する)ことに加え、エンジン12のモータリング(クランキング)に用いられるモータ(電動機)である。
車両10は、能動型防振支持装置300に加え、イグニションスイッチ20(以下「IGSW20」という。)と、エンジン12の制御に関連するエンジン制御系100と、走行モータ14の制御に関連するモータ制御系200とを有する。さらに、車両10は、アクセルペダル24の操作量(以下「アクセルペダル操作量θap」という。)を検出するアクセルペダルセンサ22と、ブレーキペダル28の操作量(以下「ブレーキペダル操作量θbp」という。)を検出するブレーキペダルセンサ26とを有する。なお、車両10の基本的な構成要素については、特許文献1と同様のものを用いることができる。
[1−2.エンジン制御系100]
エンジン制御系100は、エンジン12に関連する構成要素として、クランクセンサ102と、上死点センサ104(以下「TDCセンサ104」ともいう。)と、スタータモータ106と、燃料噴射電子制御装置108(以下「FI ECU108」という。)とを有する。
クランクセンサ102は、図示しないクランクシャフトの回転位置(以下「クランク回転位置θcrk」又は「回転位置θcrk」という。)を検出し、クランク回転位置θcrkを示す信号(クランクパルス信号Scrk)をFI ECU108に出力する。TDCセンサ104は、図示しないエンジンピストンが上死点に来たこと(上死点タイミング)を検出し、上死点タイミングを示す信号(以下「TDC信号Stdc」という。)をFI ECU108に出力する。なお、各センサ102、104の出力は、FI ECU108以外のECU(例えば、後述するACM電子制御装置304)に直接出力してもよい。
スタータモータ106は、エンジン12のモータリングに用いられるモータ(電動機)であり、図示しない低電圧バッテリからの電力に基づいてエンジン12に対してのみ駆動力を伝達する。本実施形態のスタータモータ106は、直流式であるが、交流式であってもよい。エンジン12のモータリング時には、走行モータ14及びスタータモータ106のいずれか一方が選択されて用いられる。
FI ECU108は、クランクパルス信号Scrk、TDC信号Stdc等の各種入力信号に基づいてエンジン12を制御する。例えば、FI ECU108は、クランクパルス信号Scrkに基づいてエンジン12の回転数(以下「エンジン回転数Ne」という。)[rpm]を算出して用いる。後述するACM電子制御装置304と同様、FI ECU108は、図示しない入出力部、演算部及び記憶部を有する。
[1−3.モータ制御系200]
図1に示すように、モータ制御系200は、走行モータ14に関連する構成要素として、レゾルバ202と、SOCセンサ204と、モータ電子制御装置206(以下「モータECU206」又は「MOT ECU206」という。)とを有する。
レゾルバ202(回転位置センサ)は、走行モータ14の図示しないロータの回転位置(以下「走行モータ回転位置θmot_d」、「モータ回転位置θmot_d」又は「回転位置θmot_d」という。)を検出し、回転位置θmot_dを示す信号(以下「走行モータ回転位置信号Sθmot_d」という。)をMOT ECU206に出力する。本実施形態におけるレゾルバ202の角度分解能は、クランクセンサ102の角度分解能よりも高い。すなわち、クランクセンサ102がD1°毎に回転位置θcrkを検出し、レゾルバ202がD2°毎に回転位置θmot_dを検出できる場合、D1>D2となる。
SOCセンサ204は、バッテリ18の残容量(SOC)を検出してMOT ECU206に出力する。
モータECU206は、回転位置θmot_d、SOC等の各種入力信号に基づいて走行モータ14を制御する。後述するACM電子制御装置304と同様、モータECU206は、図示しない入出力部、演算部及び記憶部を有する。
なお、本実施形態では、例えば、車両10の車速V、要求加速度、走行モータ14用のバッテリ18のSOC等の指標に応じてエンジン12及び走行モータ14の駆動の要否を判定する。例えば、車速Vが低速域(例えば、0〜20km/h)であるとき、走行モータ14のみを用いることを通常とする。また、車速Vが中速域(例えば、21〜80km/h)又は高速域(例えば、81km/h以上)であるとき、エンジン12を用いることを通常とし、要求加速度が高い場合、エンジン12に加えて走行モータ14を駆動させる。但し、バッテリ18のSOCが低い場合は、図示しないオルタネータを作動させるため、車速Vが低速域であっても、エンジン12を作動させてもよい。
[1−4.能動型防振支持装置300]
図1に示すように、能動型防振支持装置300は、前述のエンジンマウント302f、302rに加え、ACM電子制御装置304(以下「ACM ECU304」という。)を有する。
エンジンマウント302f、302rは、例えば、特許文献1の図1と同様、車両10の前後方向に互いに離間して配置される。各エンジンマウント302f、302rは、例えば、特許文献1の図2と同様、その内部にアクチュエータ306を有する。アクチュエータ306は、例えば、ソレノイドにより構成することができる。或いは、アクチュエータ306は、エンジン12の負圧を図示しない弁により調節する構成とすることも可能である。
以下では、エンジンマウント302f、302rを、能動的にエンジン振動を抑制するアクティブ・コントロール・マウントの意味でACM302f、302rともいう。ACM ECU304における「ACM」もアクティブ・コントロール・マウントの意味である。
ACM ECU304は、エンジンマウント302f、302rのアクチュエータ306を制御するものであり、入出力部310、演算部312及び記憶部314を有する。ACM ECU304がアクチュエータ306を駆動させることにより、車体16へのエンジン振動の伝達を抑制するための振動抑制制御を行う。
2.ACM ECU304の制御
以下では、エンジン12の始動時又は再始動時において能動型防振支持装置300がエンジン振動を抑制するために行う制御(以下「始動時制御」という。)に関連して行う制御について説明する。
本実施形態のACM ECU304は、始動時制御と通常制御の両方を行う。始動時制御は、エンジン12の始動時又は再始動時に発生するいわゆるロール固有振動(ロール共振)を抑制するための制御である。通常制御は、エンジン12が爆発工程を伴って作動中である際のエンジン振動を抑制するための制御である。
[2−1.始動時制御の全体的な流れ]
図2は、ACM ECU304の始動時制御の全体的な流れを示すフローチャートである。ステップS1において、ACM ECU304は、FI ECU108からエンジン始動信号Sst1を受信したか否かを判定する。エンジン始動信号Sst1は、エンジン12の始動条件又は再始動条件が成立した場合にFI ECU108が出力する信号であり、エンジン12が始動又は再始動することを通知する。
エンジン12の始動条件としては、例えば、IGSW20に対するオン操作を挙げることができる。また、再始動条件としては、例えば、アイドリング停止時におけるアイドリング停止解除操作(例えば、アクセルペダル24の踏み込み操作)が行われたことを挙げることができる。
エンジン始動信号Sst1を受信していない場合(S1:NO)、ステップS1を繰り返す。エンジン始動信号Sst1を受信した場合(S1:YES)、ステップS2において、ACM ECU304は、一方のACM302f、302r(ここでは、前側のACM302f)に対しては事前通電をして、ACM302f、302rの出力開始に備える。
ステップS3において、ACM ECU304は、FI ECU108から停止時エンジン回転位置θstp(以下「回転位置θstp」ともいう。)を受信したか否かを判定する。回転位置θstpは、エンジン12の停止時のクランク回転位置θcrkであり、エンジン12の停止時にFI ECU108が記憶しておくものである。
停止時エンジン回転位置θstpを受信(取得)していない場合(S3:NO)、ステップS3を繰り返す。停止時エンジン回転位置θstpを受信した場合(S3:YES)、ステップS4に進む。
ステップS4において、ACM ECU304は、ステップS3で取得した停止時エンジン回転位置θstpに応じてACM出力パラメータを設定する。ここにいうACM出力パラメータとは、エンジン12のロール共振を抑制するためのアクチュエータ306の動作を実現するためのパラメータである。ACM出力パラメータには、例えば、アクチュエータ306への出力電流Iacmの波形である目標電流波形Pit(電流値及び周波数)及びトリガタイミング(ACM302f、302rの作動を開始するタイミング)が含まれる。
アクチュエータ306への目標電流波形Pitの基本的な態様は、例えば、特開2011−252553号公報又は特許文献1と同様に設定することができる。
目標電流波形Pitは、エンジン回転数Neの単位時間当たりの変化量(以下「エンジン回転数変化量ΔNe」という。)[rpm/s]が一定であることを前提としている。
ステップS5において、ACM ECU304は、FI ECU108を介してクランクセンサ102からクランク回転位置θcrkを取得する。なお、クランクセンサ102がクランク回転位置θcrkを出力することができるのは、エンジン12のモータリング(クランキング)が開始された後である。従って、ACM ECU304は、モータリングが開始されるまで、クランク回転位置θcrkの取得を待つこととなる。
ステップS6において、ACM ECU304は、エンジン回転数Neがロール共振を発生させる周波数領域(以下「ロール共振領域Rr」という。)又はその近傍まで上昇したか否かを判定する。本実施形態において当該判定は、クランク回転位置θcrkに基づいて判定する。
すなわち、モータリング開始からロール共振が発生するまでの時間は、モータリング開始からロール共振が発生するまでのクランク回転位置θcrkの変化と相関がある。そこで、ロール共振領域Rr内又はそれよりも若干小さい値に対応するクランク回転位置θcrk(ここでは、クランクパルスの数)の閾値(以下「作動開始回転位置θstt」又は「回転位置θstt」という。)を予め設定しておく。そして、クランク回転位置θcrkが回転位置θstt以上となったか否かに応じて、ロール共振が発生するタイミング(トリガタイミング)を判定することができる。
なお、後述するように、別の方法を用いてステップS6の判定を行うことも可能である。
クランク回転位置θcrkが作動開始回転位置θstt以上でない場合(S6:NO)、ステップS5に戻る。クランク回転位置θcrkが回転位置θstt以上である場合(S6:YES)、ステップS7において、ACM ECU304は、振動抑制制御(ACM302f、302rの作動)を開始する。すなわち、ACM ECU304は、目標電流波形Pitに基づき、ACM302f、302rに対する目標電流(以下「目標ACM電流Iacmft、Iacmrt」という。)を特定し、目標ACM電流Iacmft、Iacmrtに応じた電流をACM302f、302rに出力する。
ステップS8において、ACM ECU304は、振動抑制制御の開始後(目標電流波形Pitに基づく目標ACM電流Iacmft、Iacmrtの出力開始後)に目標電流波形Pitを補正する目標電流波形補正処理を実行する(詳細は、図3〜図5を参照して後述する。)。
[2−2.目標電流波形補正処理]
(2−2−1.概要)
目標電流波形補正処理は、振動抑制制御の開始後(換言すると、目標電流波形Pitに基づく目標ACM電流Iacmft、Iacmrtの出力開始後)において、エンジン回転数変化量ΔNeが変動した場合に当該変動を補償するために目標電流波形Pitを補正する処理である。換言すると、目標電流波形補正処理では、目標電流波形Pitの位相と実際のロール共振の位相との偏差(以下「偏差ΔP」という、)を補償する処理である。
本実施形態において、目標電流波形Pitの位相は、目標電流波形Pitにおける電流値(目標ACM電流Iacmft)を用いて判定する。なお、ここでの目標ACM電流Iacmftは、前側のACM302fに対する目標入力電流である。
また、実際のロール共振の位相は、クランク回転位置θcrk(相対値)を用いて判定する。すなわち、クランクパルスをカウントしていくことで、実際のロール共振の位相を推定することが可能となる。
(2−2−2.具体的な流れ)
図3は、目標電流波形補正処理(図2のS8の詳細)のフローチャートである。図4及び図5は、目標電流波形補正処理で行う処理の第1及び第2説明図である。具体的には、図4は、クランク回転位置θcrkが偏差判定基準回転位置θref(後述)に到達したとき、目標電流波形Pitの電流値が基準電流Iref(後述)に到達していない場合における処理を説明するためのタイムチャートである。図5は、クランク回転位置θcrkが偏差判定基準回転位置θrefに到達する前に、目標電流波形Pitの電流値が基準電流Irefに到達した場合における処理を説明するためのタイムチャートである。
図3のステップS11において、ACM ECU304は、偏差判定基準回転位置θref(以下「基準回転位置θref」ともいう。)を設定する。上記のように、本実施形態では、実際のロール共振の位相をクランク回転位置θcrkにより判定する。基準回転位置θrefは、目標電流波形Pitの位相と実際のロール共振の位相との偏差ΔPを判定するタイミングを、実際のロール共振の位相を基準として設定するものである。
ステップS12において、ACM ECU304は、基準電流Irefを設定する。上記のように、本実施形態では、目標電流波形Pitの位相を前側のACM302fに対応する目標ACM電流Iacmftにより判定する。これは、前側のACM302fについては事前通電(図2のS2)が行われ、振動抑制制御の開始時点(S7)における目標ACM電流Iacmftがゼロよりも大きい値を取っていることを考慮したものである。基準電流Irefは、目標電流波形Pitの位相と実際のロール共振の位相との偏差ΔPを判定するタイミングを、目標電流波形Pitの位相を基準として設定するものである。本実施形態における基準電流Irefはゼロアンペアとする。
なお、ステップS11、S12は、図3のフローチャートで設定する代わりに(すなわち、振動抑制制御の開始(S7)後に設定する代わりに)、振動抑制制御の開始(S7)の前(例えば、図2のステップS4)において設定しておいてもよい。
ステップS13において、ACM ECU304は、FI ECU108を介してクランクセンサ102からクランク回転位置θcrkを取得する。
ステップS14において、ACM ECU304は、その時点における(今回の演算周期で用いる)目標ACM電流Iacmftを取得する。ステップS15において、ACM ECU304は、今回の演算周期におけるクランク回転位置θcrkが基準回転位置θref以上であるか否かを判定する。これにより、目標電流波形Pitの位相と実際のロール共振の位相との偏差ΔPを判定するタイミングを、クランク回転位置θcrk(すなわち、実際のロール共振の位相)の側面から判定することができる。
クランク回転位置θcrkが基準回転位置θref以上である場合(S15:YES)、ステップS16において、ACM ECU304は、今回の演算周期における目標ACM電流Iacmftが基準電流Irefを上回るか否かを判定する。これにより、目標電流波形Pitの位相と実際のロール共振の位相との偏差ΔPを判定するタイミングが来ているにもかかわらず、目標ACM電流Iacmftが基準電流Irefに到達していない状態、すなわち、目標ACM電流Iacmftがゼロアンペアまで下がっていない状態(図4参照)を判定することが可能となる。
目標ACM電流Iacmftが基準電流Irefを上回る場合(S16:YES)、偏差ΔPを判定するタイミングが来ている(トリガが入った)にもかかわらず、目標ACM電流Iacmftが基準電流Irefに到達していない状態である(図4参照)。この場合、ステップS17において、ACM ECU304は、目標電流波形Pitの位相を進めると共に目標電流波形Pitの振幅を増大させるように目標電流波形Pitを補正する(詳細は、図4を参照して後述する。)。
一方、目標ACM電流Iacmftが基準電流Irefを上回らない場合(S16:NO)、本実施形態では基準電流Irefをゼロアンペアとしているため、目標ACM電流Iacmftは基準電流Irefと等しいと考えられる。このため、ACM ECU304は、目標電流波形Pitを補正せずにそのまま用いる(S18)。
ステップS15に戻り、クランク回転位置θcrkが基準回転位置θref以上でない場合(S15:NO)、ステップS19において、ACM ECU304は、目標ACM電流Iacmftが基準電流Irefと等しいか否かを判定する。これにより、目標電流波形Pitの位相と実際のロール共振の位相との偏差ΔPを判定するタイミングが来ているにもかかわらず、クランク回転位置θcrk(すなわち、実際のロール共振の位相)が基準回転位置θrefに到達していない状態(図5参照)を判定することが可能となる。
目標ACM電流Iacmftが基準電流Irefと等しい場合(S19:YES)、偏差ΔPを判定するタイミングが来ている(トリガが入った)にもかかわらず、クランク回転位置θcrkが基準回転位置θrefに到達していない状態である(図5参照)。この場合、ステップS20において、ACM ECU304は、目標電流波形Pitの位相を遅らせるように目標電流波形Pitを補正する(詳細は、図5を参照して後述する。)。その後、ステップS13に戻る。
一方、目標ACM電流Iacmftが基準電流Irefと等しくない場合(S19:NO)、目標電流波形Pitの位相と実際のロール共振の位相との偏差ΔPを判定するタイミングが来ていないと考えられる。このため、ステップS13に戻る。
(2−2−3.目標ACM電流Iacmftが基準電流Irefに到達する前にクランク回転位置θcrkが基準回転位置θrefに到達した場合の処理の例)
図4は、目標電流波形補正処理で行う処理の第1説明図である。図4において、上側の目標ACM電流Iacmft、Iacmrtは、図3のステップS17における補正のうち目標電流波形Pitの位相を進める処理を説明するものである。図4において、下側の目標ACM電流Iacmft、Iacmrtは、図3のステップS17における補正において、目標電流波形Pitの位相を進めた後、目標電流波形Pitの振幅を増大する処理を説明するものである。
なお、図4及び図5では、補正前の目標ACM電流Iacmft、Iacmrtを実線で示し、補正後の目標ACM電流Iacmft、Iacmrtを破線で示している。
また、図4及び図5では、目標電流波形補正処理に関する2つのタイミング(トリガ)を下向きの矢印A1、A2で表している。いずれもクランク回転位置θcrk(すなわち、実際のロール共振の位相)に基づいて設定されるものである。具体的には、1つ目の矢印A1(1回目のトリガ)は、振動抑制制御を開始するトリガ(図2のS6:YES)を示す。2つ目の矢印A2(2回目のトリガ)は、クランク回転位置θcrkが基準回転位置θrefに到達したことを示すトリガ(図3のS15:YES)を示す。
まず目標電流波形Pitの位相を進める処理(図4の上側)から説明する。ACM ECU304は、FI ECU108からエンジン始動信号Sst1を受信したため(図2のS1:YES)、前側のACM302fに対して事前通電を行う(図2のS2、図4の時点t1)。
クランク回転位置θcrkが作動開始回転位置θstt以上になると(図2のS6:YES)、ACM ECU304は、振動抑制制御を開始し(S7)、目標電流波形Pitに基づく目標ACM電流Iacmftに対応する電流の出力をACM302f、302rに対して開始する(図2のS7、図4の時点t2)。
その後、目標ACM電流Iacmftは、徐々に減少する。そして、図4の時点t4においてゼロに到達する予定であったが、その前の時点t3においてクランク回転位置θcrkが基準回転位置θrefに到達した(図3のS15:YES)。すなわち、エンジン回転数変化量ΔNeが想定されていたよりも大きかったため、クランク回転位置θcrkが想定よりも早く基準回転位置θrefに到達した。
そこで、ACM ECU304は、目標電流波形Pitの位相を進め、時点t3において目標ACM電流Iacmftが基準電流Iref(=0A)と等しくなるようにする。これに伴い、後ろ側のACM302rの目標ACM電流Iacmrtの位相も進め、時点t3において目標ACM電流Iacmrtが極大点(頂点)と等しくなるようにする。
また、上記のように目標電流波形Pitの位相を進めた場合、目標電流波形Pitの位相を進めなければACM302f、302rに入力されていたはずの電流(積分値)の一部が入力されなくなる。そこで、本実施形態では、図4の下側に示すように、時点t3以後(すなわち、目標電流波形Pitの位相を進めた後)の目標電流波形Pitの振幅をACM302f、302rのいずれについても増大させる。図4の下側における矢印A3〜A5は、補正後の目標電流波形Pitの振幅が増大される様子を示している。
(2−2−4.クランク回転位置θcrkが基準回転位置θrefに到達する前に目標ACM電流Iacmftが基準電流Irefに到達した場合の処理の例)
図5は、目標電流波形補正処理で行う処理の第2説明図である。図5は、図3のステップS20における補正として、目標電流波形Pitの位相を遅らせる処理を説明するものである。ACM ECU304は、FI ECU108からエンジン始動信号Sst1を受信したため(図2のS1:YES)、前側のACM302fに対して事前通電を行う(図2のS2、図5の時点t11)。
クランク回転位置θcrkが作動開始回転位置θstt以上になると(図2のS6:YES)、ACM ECU304は、振動抑制制御を開始し(S7)、目標電流波形Pitに基づく目標ACM電流Iacmftに対応する電流の出力をACM302f、302rに対して開始する(図5の時点t12)。
その後、目標ACM電流Iacmftは、徐々に減少し、ゼロに到達する(図3のS19:YES、図5の時点t13)。目標ACM電流Iacmftがゼロに到達した時点で、クランク回転位置θcrkが基準回転位置θrefに到達するように想定されていたが、エンジン回転数変化量ΔNeが想定されていたよりも小さかった。このため、クランク回転位置θcrkが想定よりも遅く基準回転位置θrefに到達した(時点t14)。
そこで、ACM ECU304は、目標電流波形Pitの位相を遅らせ、時点t13からt14までにおいて目標ACM電流Iacmftが基準電流Iref(=0A)と等しくなるように維持すると共に、目標ACM電流Iacmrtを極大点で維持する。
そして、クランク回転位置θcrkが基準回転位置θrefに到達すると(図3のS15:YES)、目標電流波形Pitの変化を再開する(S18)。
なお、図4の処理(図3のS17)の場合と異なり、上記のように目標電流波形Pitの位相を遅らせた場合、目標ACM電流Iacmft、Iacmrtの値に影響はない。このため、図4の処理(図3のS17)の場合と異なり、図5の処理(図3のS20)では、目標電流波形Pitの振幅を変化させない。
3.本実施形態の効果
以上説明したように、本実施形態によれば、ロール共振の開始後(図2のS6:YES)に目標電流波形Pitの位相と実際のロール共振の位相に偏差ΔPがある場合(図3のS16:YES又はS19:YES)、目標電流波形Pitの位相を実際のロール共振の位相に合わせるように目標電流波形Pitを補正する(S17又はS20)。これにより、目標電流波形Pitが前提としているエンジン回転数Neの変化と、実際のエンジン回転数Neの変化にずれが生じた場合でも、ロール共振の開始後に目標電流波形Pitを修正し、エンジン振動(ロール共振)の伝達をより精度よく抑制することが可能となる。
本実施形態において、ACM ECU304は、クランクセンサ102(クランク回転位置検出手段)が検出したクランク回転位置θcrkを取得し、エンジン12の始動又は再始動の際、クランク回転位置θcrkに基づいてロール共振の開始時点を判定し(図2のS6)、ロール共振の開始時点(S6:YES)からエンジン回転数Neに変化がない場合の目標電流波形Pitにおける波形の最下点の電流(基準電流Iref=0A)が出力されるクランク回転位置θcrkに対応させて偏差ΔPの判定タイミング(所定のタイミング)を設定する(S15)。
上記によれば、ロール共振の開始時点をクランク回転位置θcrkに基づいて判定することから、例えば、エンジン回転数Neに基づいて判定する場合と比較して、高精度にロール共振の開始時点(すなわち、制御開始タイミング)を判定することが可能となる。
また、目標電流波形Pitの位相と実際のロール共振の位相に偏差ΔPを判定する所定のタイミングをクランク回転位置θcrkに対応させて設定するため、実際のロール共振の位相を簡易に特定し、目標電流波形Pitの位相と実際のロール共振の位相の偏差ΔPを高精度に検出することが可能となる。
本実施形態において、ACM ECU304は、偏差ΔPを検出するように設定された回転位置θcrkである偏差判定基準回転位置θrefにクランク回転位置θcrkが到達したとき(S15:YES)、目標ACM電流Iacmft(目標電流波形Pitの電流値)が、基準回転位置θrefに対応して出力されるべき基準電流Irefに到達していない場合(S16:YES)、基準電流Irefに対応する位相まで目標電流波形Pitの位相を進めるように目標電流波形Pitを補正する(S17、図4の上側)。また、クランク回転位置θcrkが基準回転位置θrefに到達する前に、目標ACM電流Iacmftが基準電流Irefに到達した場合(S19:YES)、クランク回転位置θcrkが基準回転位置θrefに到達するまで基準電流Irefを維持して目標電流波形Pitを遅延させるように補正する(S20、図5)。
これにより、クランク回転位置θcrkの基準回転位置θrefを基準として目標電流波形Pitの位相を実際のロール共振の位相に合わせるように目標電流波形Pitを補正することとなる。従って、目標電流波形Pitの補正を高精度に行うことが可能となる。
本実施形態において、ACM ECU304は、クランク回転位置θcrkが偏差判定基準回転位置θrefに到達したとき(S15:YES)、目標ACM電流Iacmft(目標電流波形Pitの電流値)が基準電流Irefに到達していない場合(S16:YES)、基準電流Irefに対応する位相まで目標電流波形Pitの位相を進めるように目標電流波形Pitを補正すると共に(図4の上側)、その後の目標電流波形Pitの振幅を当初に設定されていた目標電流波形Pitの振幅よりも増大させるように補正する(図4の下側)。
基準電流Irefに対応する位相まで目標電流波形Pitの位相を進めるように目標電流波形Pitを補正する場合(図4の上側)、本来出力されるべき電流の一部を出力しないこととなり、アクチュエータ306の出力(積算値)が不足する可能性がある。上記構成によれば、目標電流波形Pitの補正に伴う出力電流Iacmの不足分を、振幅の増大により補償することで、防振性能を高めることが可能となる。
B.変形例
なお、本発明は、上記実施形態に限らず、本明細書の記載内容に基づき、種々の構成を採り得ることはもちろんである。例えば、以下の構成を採用することができる。
1.適用対象
上記実施形態では、能動型防振支持装置300(ACM ECU304)をハイブリッド車両である車両10に適用したが、走行モータ14を有さないエンジン車両としての車両10に能動型防振支持装置300を適用してもよい。或いは、能動型防振支持装置300の適用対象は、車両10に限らず、エンジン12を備える移動体(船舶や航空機等)に用いることもできる。或いは、能動型防振支持装置300を、エンジン12を備える製造装置、ロボット又は家電製品に適用してもよい。
2.エンジン12
上記実施形態では、エンジン12を走行用(車両10の走行駆動力を生成するもの)としたが、例えば、走行モータ14を駆動力生成手段とする車両10であれば、エンジン12は、図示しない発電機を作動させるためのみに用いられるものであってもよい。
3.走行モータ14及びスタータモータ106(電動機)
上記実施形態では、走行モータ14及びスタータモータ106の両方をモータリング用の電動機として用いたが、例えば、スタータモータ106を省略することも可能である。また、走行モータ14を有さないエンジン車両として車両10を構成する場合、スタータモータ106のみを前記電動機として用いることができる。
4.クランクセンサ102及びレゾルバ202
上記実施形態では、クランクセンサ102の角度分解能は、レゾルバ202よりも低いものとした。しかしながら、クランクセンサ102の角度分解能は、レゾルバ202と同じ又はそれ以上としてもよい。
5.ACM ECU304における制御
[5−1.クランク回転位置θcrk及びエンジン回転数Ne]
上記実施形態では、停止時エンジン回転位置θstp等のエンジン12の回転位置としてクランク回転位置θcrkを用いた。しかしながら、レゾルバ202が検出したモータ回転位置θmot_dをエンジン12の回転位置として用いてもよい。
同様に、エンジン回転数Neの算出についてもクランク回転位置θcrkの代わりに、レゾルバ202が検出したモータ回転位置θmot_dを用いて算出してもよい。
上記実施形態では、クランクセンサ102(エンジン12自体の回転位置センサ)よりもレゾルバ202の方が高精度である。このため、より精度の良い停止時エンジン回転位置θstp及びエンジン回転数Neを用いることが可能となる。
スタータモータ106にも回転位置センサが設けられる場合、同様のことを行ってもよい。
[5−2.振動抑制制御]
上記実施形態では、クランク回転位置θcrkを用いて制御抑制制御の開始タイミングを判定した(図2のS6)。しかしながら、例えば、目標電流波形補正処理(S8)に着目すれば、開始タイミングの判定方法はこれに限らない。例えば、エンジン回転数Ne(クランク回転数)や停止時エンジン回転位置θstpを用いて開始タイミングを判定してもよい。
エンジン回転数Neを用いる場合、エンジン回転数Neがロール共振領域Rr又はその近傍値に到達したことを所定のエンジン回転数閾値との比較により判定することで、振動抑制制御の開始タイミングを判定することができる。また、停止時エンジン回転位置θstpを用いる場合としては、例えば、特開2011−252553号公報に記載の方法を用いることができる。
[5−3.目標電流波形補正処理]
上記実施形態では、前側のACM302fに対する目標ACM電流Iacmftを用いて目標電流波形Pitの位相を判定した(図3のS16、S19)。しかしながら、目標電流波形Pitの位相を判定可能な指標であれば、これに限らない。例えば、後ろ側のACM302rに対する目標ACM電流Iacmrtを用いて目標電流波形Pitの位相を判定してもよい。或いは、目標ACM電流Iacmftの代わりに、目標ACM電流Iacmftの位相自体を判定してもよい。すなわち、目標ACM電流Iacmftの値毎に位相の値(電気角等)を設定しておき、設定した位相を用いる。
上記実施形態では、クランク回転位置θcrkを用いて実際のロール共振の位相を判定した(図3のS15)。しかしながら、実際のロール共振の位相を判定可能な指標であれば、これに限らない。例えば、走行モータ14によりエンジン12のモータリングを行う場合、レゾルバ202の検出値(モータ回転位置θmot_d)を用いて実際のロール共振の位相を判定してもよい。
上記実施形態では、目標電流波形Pitの位相と実際のロール共振の位相の比較を1回のみ行うことを前提としていたが(図4及び図5参照)、当該比較を複数回行ってもよい。なお、当該比較を複数回行う場合、目標電流波形Pitの位相を示す目標ACM電流Iacmftが異なるタイミングで同じ値を取ることがある。例えば、目標ACM電流Iacmftがゼロとなる前後で同じ値を取ることがある。この場合、目標ACM電流Iacmftがゼロとなった時点で位相をリセットする等の対応を取ることで、目標電流波形Pitの位相を正確に判定することができる。
上記実施形態では、目標電流波形Pitの位相と実際のロール共振の位相の比較に際して、目標ACM電流Iacmftの基準電流Irefをゼロ[A]とした(図3のS16、S19)。しかしながら、当該比較を行う観点からすれば、基準電流Irefはゼロでなくてもよい。例えば、目標電流波形Pitにおける極大点(頂点)又は変曲点の値を基準電流Irefとして設定することが可能である。但し、基準電流Irefをゼロ又は極大点(頂点)以外の値とする場合、アクチュエータ306の通電が不十分となる可能性がある。この場合、図4の下側で説明したように、位相の比較後における目標電流波形Pitの振幅を増大させることが好ましい。
上記実施形態では、クランク回転位置θcrkが偏差判定基準回転位置θrefに到達したとき(図3のS15:YES)、目標ACM電流Iacmft(目標電流波形Pitの電流値)が、基準電流Irefに到達していない場合(S16:YES)、目標電流波形Pitの位相を進めると共に、目標電流波形Pitの振幅を増大させた(S17、図4)。しかしながら、例えば、目標電流波形Pitの位相を実際のロール共振の位相に合わせるように目標電流波形Pitを補正する点に着目すれば、振幅の増大を行わないことも可能である。
上記実施形態では、始動時処理(エンジン12の初爆前)に目標電流波形補正処理を実行することを前提としていた。しかしながら、例えば、目標電流波形Pitの位相を実際のロール共振の位相に合わせるように目標電流波形Pitを補正する観点からすれば、特許文献1のように初爆後に目標電流波形補正処理(図3)を適用してもよい。
10…車両 12…エンジン
16…車体
102…クランクセンサ(クランク回転位置検出手段)
302f、302r…エンジンマウント(ACM)
304…ACM ECU(エンジンマウント制御装置)
306…アクチュエータ Ne…エンジン回転数
Pit…目標電流波形
Iacmft…目標ACM電流(目標電流波形の電流値)
θcrk…クランク回転位置 θref…偏差判定基準回転位置
ΔP…偏差

Claims (2)

  1. エンジンを車体に支持するエンジンマウントに組み込まれたアクチュエータを電流により駆動させることで前記車体へのエンジン振動の伝達を抑制するエンジンマウント制御装置であって、
    前記エンジンの始動又は再始動時に発生するロール共振に対応した目標電流波形を設定し、
    前記エンジンの内部で回転するクランクシャフトの回転位置であるクランク回転位置を検出するクランク回転位置検出手段が検出した前記クランク回転位置を取得し、
    前記エンジンの始動又は再始動の際、前記クランク回転位置に基づいて前記ロール共振の開始時点を判定し、
    前記ロール共振の開始時点で前記目標電流波形の電流を前記アクチュエータに出力し、
    前記ロール共振の開始時点からエンジン回転数に変化がない場合の前記目標電流波形における波形の頂点若しくは最下点又は変曲点の電流が出力される前記クランク回転位置であり、前記目標電流波形の位相と実際のロール共振の位相との偏差を判定するタイミングに対応する前記クランク回転位置である偏差判定基準回転位置を設定し、
    前記クランク回転位置が前記偏差判定基準回転位置に到達したとき、前記目標電流波形の電流値が、前記偏差判定基準回転位置に対応して出力されるべき基準電流に到達していない場合、前記基準電流に対応する位相まで前記目標電流波形の位相を進めるように前記目標電流波形を補正すると共に、その後の前記目標電流波形の振幅を当初に設定されていた前記目標電流波形の振幅よりも増大させるように補正し、
    前記クランク回転位置が前記偏差判定基準回転位置に到達する前に、前記目標電流波形の電流値が前記基準電流に到達した場合、前記クランク回転位置が前記偏差判定基準回転位置に到達するまで前記基準電流を維持して前記目標電流波形を遅延させるように補正する
    ことを特徴とするエンジンマウント制御装置。
  2. 請求項に記載のエンジンマウント制御装置を備える車両。
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