JP5534962B2 - エンジン始動制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両のエンジン始動制御装置に関し、特に、エンジンを車体に支承する能動型防振支持装置と組み合わせて用いられるエンジン始動制御装置に関する。
近年、環境保護のために排出する二酸化炭素の量を削減するために、アイドリング・ストップが自動で行える車両が多くなってきた。このような車両では、アイドリング・ストップのたびに、エンジンを始動しなければならず、そのたびの過渡振動は運転者に違和感を与える場合があった。
また、エンジン駆動とモータ駆動が可能なハイブリッド車においては、アイドリング・ストップに加えて、モータのみでも走行が可能なために、走行中にもエンジンを停止したり、始動させたりする場合があり、エンジン始動の機会は一層増えており、エンジン始動の際に発生する過渡振動が、運転者に違和感を与えやすい状況にあった。
このような課題を課決する方法として、特許文献1に記載されているようなハイブリッド車両において、ジェネレータ・モータの発生トルクを制御することによりエンジン始動時の車体へのエンジン振動の伝達を抑制する技術が開示されている。
特開2009−257130号公報(図1参照)
しかしながら、特許文献1に開示された技術は、エンジン始動時のロール振動をジェネレータ・モータのトルクで打ち消す技術であり、エンジンが初爆した時の初爆エネルギが、エンジン温度等の影響を受けてばらついたり、経年変化によりばらついたりすることに対しては対処できないという課題があった。
さらに、エンジンを支承するアクティブ・コントロール・マウント(ACM:Active Control Mount)及びそのアクチュエータの伸縮を制御するACM_ECU(Active Control Mount_Electric Cntorol Unit)を備えた能動型防振支持装置の場合は、エンジンの初爆による振動を車体に伝達しないように抑制するため、アクチュエータを伸縮させて振動の伝達を減衰抑制する動作をさせるが、アクチュエータを伸縮させるゲインを、エンジンの状態、例えば、トランスミッションの油温をパラメータにして予め記憶させておいて、トランスミッションの油温に応じたゲインでエンジンの初爆に対するアクチュエータの伸縮を制御することも考えられる。
しかし、初爆エネルギが、エンジン温度や経年変化等によるばらつきを生じ、アクティブ・コントロール・マウントのゲインにマッチした初爆エネルギとなる保証が必ずしもない。
その結果、アクティブ・コントロール・マウントのアクチュエータの動作のゲインと初爆エネルギが、マッチせず車体への初爆の振動が十分抑制できないという課題がある。
そこで、本発明は、能動型防振支持装置と組み合わせて、エンジンの始動時に発生する初爆によるエンジン振動が車体に伝達することを抑制できるエンジン始動制御装置を提供することを目的とする。
請求項1に係る発明のエンジン始動制御装置は、エンジンの振動状態に応じて防振制御手段がアクチュエータを伸縮駆動し、エンジンの振動の車体への伝達を抑制する能動型防振支持装置により支持されたエンジンを搭載した車両におけるエンジンの始動を制御するエンジン始動制御装置であって、エンジンの始動における初爆を制御する際に、能動型防振支持装置による初爆振動の振幅を抑制するための電流制御指令値にもとづいてエンジンの初爆エネルギを増減させることを特徴とする。
請求項1に記載された発明によれば、エンジンの始動における初爆を制御する際に、能動型防振支持装置による初爆振動の振幅を抑制するための電流制御指令値にもとづいてエンジンの初爆エネルギを増減させることができるので、能動型防振支持装置のアクチュエータの予め設定された防振動作の振幅により吸収可能な初爆のエンジン振動に制御することができる。
請求項2に係る発明のエンジン始動装置は、請求項1に記載の発明の構成に加え、初爆エネルギは、点火時期及び空燃比の内の少なくとも1つを制御することにより増減させることを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、点火時期及び空燃比の内の少なくとも1つを制御することにより初爆エネルギを増減させるので、効果的に初爆エネルギの調整ができる。
空燃比の調整は、例えば、燃料噴射量の調整により容易に行うことができる。
請求項3に係る発明のエンジン始動装置は、請求項1に記載の発明の構成に加え、エンジンの始動の際のエンジンの初爆エネルギを推定する初爆エネルギ推定手段と、推定された初爆エネルギにもとづいて、エンジンから能動型防振支持装置への入力振動値を推定する入力振動推定手段と、推定された入力振動値と、能動型防振支持装置からの電流制御指令値にもとづく要求入力振動値との差分を演算する振動値差分演算手段と、演算された差分にもとづいて、第1の初爆エネルギ補正量を演算する第1初爆エネルギ補正量算出手段と、演算された差分を減少させるように演算された第1の初爆エネルギ補正量により初爆エネルギを補正する初爆エネルギ制御手段と、を備えることを特徴とする。
請求項3に記載された発明によれば、入力振動推定手段により推定された入力振動値と、能動型防振支持装置からの電流制御指令値にもとづく要求入力振動値との差分に応じた第1の初爆エネルギ補正量を第1初爆エネルギ補正量算出手段において演算することができる。その結果、初爆エネルギ制御手段は、第1の初爆エネルギ補正量により初爆エネルギを、例えば、空燃比や、点火時期を調整することによって調整し、能動型防振支持装置側の要求入力振動値に適合した初爆エネルギとし、車体へエンジン始動時の振動が伝達されるのを抑制することができる。
請求項4に係る発明のエンジン始動装置は、請求項3に記載の発明の構成に加え、初爆エネルギ制御手段は、点火時期及び空燃比の内の少なくとも1つを制御することにより初爆エネルギを増減させることを特徴とする。
請求項4に記載された発明によれば、初爆エネルギ制御手段は、点火時期及び空燃比の内の少なくとも1つを制御することにより初爆エネルギを増減させるので、効果的に初爆エネルギの調整ができる。
空燃比の調整は、例えば、燃料噴射量の調整により容易に行うことができる。
請求項5に係る発明のエンジン始動装置は、請求項3又は請求項4に記載の発明の構成に加え、さらに、エンジンに設けられ、初爆による能動型防振支持装置への実入力振動値を検出する実入力振動検出手段と、推定された入力振動値と検出された実入力振動値とを比較して、第2の初爆エネルギ補正量を演算する第2初爆エネルギ補正量算出手段と、を備え、初爆エネルギ制御手段は、演算された第2の初爆エネルギ補正量にもとづいて初爆エネルギを補正することを特徴とする。
請求項5に記載の発明によれば、実入力振動検出手段により実入力振動値を検出し、入力振動推定手段により入力振動値を推定し、第2初爆エネルギ補正量算出手段において推定された入力振動値と検出された実入力振動値とを比較して、第2の初爆エネルギ補正量を演算することができる。これにより、初爆エネルギ推定手段におけるエンジンの始動の際のエンジンの初爆エネルギの推定値に誤差があったり、入力振動推定手段における初爆エネルギにもとづいて、エンジンから能動型防振支持装置への入力振動値の推定演算に誤差があったりしても、その誤差を補正して、エンジン始動時の振動が車体に伝達されないように初爆エネルギの補正ができる。
請求項6に係る発明のエンジン始動装置は、請求項5に記載の発明の構成に加え、さらに、第2初爆エネルギ補正量算出手段において演算された第2の初爆エネルギ補正量を記憶する第2補正量記憶手段を備え、第2初爆エネルギ補正量算出手段において、推定された入力振動値と検出された実入力振動値との差分が、所定値以上の差異を生じたときに、初爆エネルギ制御手段は、次回始動時に第2補正量記憶手段に記憶された第2の初爆エネルギ補正量にもとづいて初爆エネルギを補正することを特徴とする。
請求項6に記載の発明によれば、推定された入力振動値と検出された実入力振動値との差分が、所定値以上の差異を生じたときに、初爆エネルギ制御手段は、次回以降の始動時に第2補正量記憶手段に記憶された第2の初爆エネルギ補正量にもとづいて初爆エネルギを補正するので、初爆エネルギの推定誤差、初爆エネルギから入力振動値の演算誤差が、実際に検出された実入力振動値と所定値以上の差分を生じない場合は、第2の初爆エネルギ補正量にもとづいた初爆エネルギの補正をしないので、第2の初爆エネルギ補正量の誤学習を防止できる。
請求項7に係る発明のエンジン始動装置は、請求項3から請求項6のいずれか1項に記載の発明の構成に加え、さらに、能動型防振支持装置が固定された車体側に設けられ、能動型防振支持装置から車体側に伝達された実振動伝達値を検出する実伝達振動検出手段と、予め設定された目標実伝達振動値と検出された実振動伝達値とを比較して第3の初爆エネルギ補正量を演算する第3初爆エネルギ補正量算出手段と、第3初爆エネルギ補正量算出手段において演算された前記第3の初爆エネルギ補正量を記憶する第3補正量記憶手段と、を備え、第3初爆エネルギ補正量算出手段において、目標実伝達振動値と検出された実振動伝達値の差分が、所定値以上の差異を生じたときに、初爆エネルギ制御手段は、次回以降の始動時に第3補正量記憶手段に記憶された第3の初爆エネルギ補正量にもとづいて初爆エネルギを補正することを特徴とする。
請求項7に記載の発明によれば、予め設定された目標実伝達振動値と検出された実振動伝達値の差分が、所定値以上の差異を生じたときに、初爆エネルギ制御手段は、次回始動時に第3補正量記憶手段に記憶された第3の初爆エネルギ補正量にもとづいて初爆エネルギを補正するので、能動型防振支持装置の電流制御指令値によるアクチュエータの動作による振動吸収特性が経年変化した場合は、目標実伝達振動値と検出された実振動伝達値の差分が所定値を超えるので、第3の初爆エネルギ補正量にもとづいた初爆エネルギの補正をして、能動型防振支持装置の振動吸収特性の経年変化にも対応して、エンジン始動時の振動の車体への伝達を抑制することができる。
本発明によると、能動型防振支持装置と組み合わせて、エンジンの始動時に発生する初爆によるエンジン振動が車体に伝達することを抑制できるエンジン始動制御装置を提供することができる。
実施形態に係る能動型防振支持装置及びエンジン始動制御装置を備えた車両の斜視図である。 実施形態に係る能動型防振支持装置のアクティブ・コントロール・マウントの構造を示す縦断面図である。 能動型防振支持装置を備えた車両におけるACM_ECU、及び実施形態に係るエンジン始動制御装置を適用したエンジン・AT_ECU、モータECU及びバッテリECUの間の信号取り合いを説明するブロック図である。 エンジン・AT_ECUの機能構成ブロック図である。 図4におけるエンジン始動時制御部211aにおいて用いられる初爆エネルギ演算マップの説明図であり、(a)は、点火時期と初爆エネルギの関係の説明図、(b)は、空燃比(A/F)と初爆エネルギの関係の説明図、(c)は、インテーク・マニホールド圧と初爆エネルギの関係の説明図である。 入力振動値演算マップにおける初爆エネルギと入力振動値との関係の説明図である。 第1初爆エネルギ補正量演算マップにおける要求入力振動値と入力振動値との差分ΔGV1と、第1の初爆エネルギ補正量ΔEFExp1との関係の説明図である。 第2初爆エネルギ補正量演算マップにおける入力振動値と実入力振動値との差分ΔGV2と、第2の初爆エネルギ補正量ΔEFExp2との関係の説明図である。 第3初爆エネルギ補正量演算マップにおける目標実伝達振動値と実伝達振動値との差分ΔGV3と、第3の初爆エネルギ補正量ΔEFExp3との関係の説明図である。 初爆エネルギの差を補正する補正パラメータを演算する初爆エネルギ制御量補正演算マップの構成説明図である。 第2の初爆エネルギ補正量ΔEFExp2、第3の初爆エネルギ補正量ΔEFExp3を蓄積する初爆エネルギ補正量マップの構成の説明図である。 ACM_ECUの機能構成ブロック図である。 初爆オフセット時間テーブルの説明図である。 第1の初爆振動マップの説明図である。 エンジン始動制御とACM制御の流れを示す全体フローチャートである。 エンジン始動の際の初爆振動に対するACM制御(初爆振動抑制制御)の流れを示す詳細フローチャートである。 エンジン・AT_ECUにおけるエンジン発動開始の制御の流れを示す詳細フローチャートである。 エンジン・AT_ECUにおけるエンジン発動開始の制御の流れを示す詳細フローチャートである。 エンジン・AT_ECUにおけるエンジン発動開始の制御の流れを示す詳細フローチャートである。 初爆エネルギのばらつきによる車体へのエンジン振動の伝達の説明図であり、(a)は、ACM側の要求入力振動値と初爆エネルギが適合した場合の説明図、(b)は、ACM側の要求入力振動値に適合した初爆エネルギよりも大きい初爆エネルギが発生した場合の説明図である。 エンジン始動の際の始動から初爆までの時間とインテーク・マニホールド圧の関係を示す説明図であり、(a)は、始動から最初のインジェクション信号を発するまでのタイミングの変動を示す説明図、(b)は、(a)に対応したエンジン回転速度の時間推移を示す説明図、(c)は、(a)に対応したインテーク・マニホールド圧の時間推移を示す説明図である。 第2の初爆振動マップの説明図である。
以下、本発明の実施形態について、適宜図を参照しながら詳細に説明する。
《能動型防振支持装置の全体構成》
先ず、図1から図3を参照しながら能動型防振支持装置101とそれに組み合わせる本発明の実施形態に係るエンジン始動制御装置を適用したエンジン・トランスミッション制御ECU73(図3参照、以下「エンジン・AT_ECU73」と称する)の全体構成について説明する。
図1は、能動型防振支持装置を備えた車両の斜視図であり、図2は、実施形態に係る能動型防振支持装置のアクティブ・コントロール・マウントの構造を示す縦断面図である。
図3は、能動型防振支持装置を備えた車両におけるACM_ECU、及び実施形態に係るエンジン始動制御装置を適用したエンジン・AT_ECU、モータECU及びバッテリECUの間の信号取り合いを説明するブロック図である。
図1に示すように、車両Vの前方部には、エンジン1が搭載され、エンジン1のオートマティック・トランスミッション3(以下、単に「AT(Automatic Transmission)3」と称する)の連結側に、車両駆動用のモータ2を介設させて、AT3が結合されている。モータ2の回転軸(図示せず)は、クランクシャフト(図示せず)に連結されているとともに、AT3の入力軸(図示せず)にも連結されている。
これにより、車両Vは、エンジン駆動と、モータ駆動と、エンジン駆動時のモータ2によるモータアシストが可能なハイブリッド車両となっている。また、モータ2は、回生発電機、エンジン1の始動時のスタータとしても機能する。
アクティブ・コントロール・マウントM,Mは、エンジン1の前後方向に2つ配置され、アクティブ・コントロール・マウント制御ECU(Electric Control Unit)71(図3参照)の制御により上下方向に伸縮駆動することが可能で、車両Vのエンジン1を車体フレームに弾性的に支承する。以下では、アクティブ・コントロール・マウント制御ECU71は、ACM(Active Controll Mount)_ECU71と称し、特許請求の範囲に記載の「防振制御手段」に対応する。
なお、以下ではアクティブ・コントロール・マウントM,Mを特に区別する必要がない場合は、単にアクティブ・コントロール・マウントMと記載する。また、図1では、代表的に1つのアクティブ・コントロール・マウントMのみを表示している。
アクティブ・コントロール・マウントM,Mは、エンジン1の重心の高さより低い位置に取り付けられ、エンジン1の前後方向のロール振動の伝達を抑制するとともに、エンジン1を車両Vの車体に弾性支持(支承)する。
エンジン・AT_ECU73は、エンジン回転速度Neや出力トルク等、エンジン1を制御するとともに、AT3の入力軸(図示せず)と出力軸(図示せず)間の接続/切断の制御や、変速比の制御等、AT3の制御をする。そして、エンジン・AT_ECU73は、エンジン・AT_ECU73からの指令に従って、エンジン・AT_ECU73と協調しながら前記したモータ2に対して、エンジン始動、モータ駆動、エンジン駆動時のモータアシスト、回生発電等のモードで動作させるモータ制御ECU74(図3参照、以下では、単に「モータECU74」と称する)、バッテリ制御ECU75(図3参照、以下では、単に「バッテリECU75」と称する)等と、信号線や、通信回線、例えば、CAN(Controller Area Network)通信線207等で接続されている。
エンジン・AT_ECU73は、ACM_ECU71ともクランクパルス信号線201(以下、「CRKパルス信号線201」と称する)、TDC(Top Dead Center)パルス信号線203、気筒休止信号線205、CAN通信線207で接続されている。
(ACMの構成)
ここで、アクティブ・コントロール・マウントMは、例えば、特開2009−216146号公報の段落[0025]〜[0043]、並びに図2、図3に記載のような構成であり、詳細な説明は省略する。
ちなみに、駆動回路121A(図3参照)は、アクティブ・コントロール・マウントM(図2参照)が備えるコイル19b(図2参照)に電流を通電するスイッチング回路であり、コイル19bに実際に流れる電流値を検出する電流センサ123A(図12参照)を含んでいる。駆動回路121Aは、後記するACM_ECU71に含まれるマイクロコンピュータ71a(図3参照)に制御され、駆動回路121Aがバッテリから供給される直流電源を、コイル19bに供給可能となっている。駆動回路121B(図3参照)も同様な構成である。
アクティブ・コントロール・マウントMのコイル19bが励磁されると加振板19a(図2参照)を下方に変位させ、コイル19bが無励磁になると加振板19aが上方に変位する。ここで、アクティブ・コントロール・マウントMのコイル19bとそれにより駆動される加振板19aが、能動型防振支持装置101における特許請求の範囲に記載の「アクチュエータ」を構成する。
以上のように、ACM_ECU71は、コイル19bへ通電する電流値を制御することでエンジン1のロール振動を車体フレームに伝えないように防振機能を発揮することができる。
《ECU間の信号取り合い》
次に、図3から図14を参照しながら能動型防振支持装置101を備えた車両VにおけるACM_ECU71、エンジン・AT_ECU73、モータECU74及びバッテリECU75の間の信号取り合いを説明する。
図4は、エンジン・AT_ECUの機能構成ブロック図である。
図3に示すようにエンジン1の各気筒には、燃料インジェクタ(図示せず)が設けられ、エンジン・AT_ECU73の燃料インジェクタ駆動回路125により駆動される。エンジン1の各気筒の点火プラグ(図示せず)には、エンジン・AT_ECU73のイグナイタ制御回路126から、各気筒の点火時期(クランク角)にパルス電流が供給される。
また、エンジン1には、気筒休止運転用の油圧バルブ(図示せず)を作動させる気筒休止運転用ソレノイド(図示せず)が複数設けられており、エンジン・AT_ECU73のソレノイド駆動回路127により駆動される。
図3に示すようにエンジン1には、クランクパルスセンサSa(以下、「CRKセンサSa」と称する)、TDC(Top Dead Center)センサSbが設けられ、それぞれからのパルス信号がエンジン・AT_ECU73のマイクロコンピュータ73aに入力される。
また、エンジン1の各気筒へ吸気を導入するインテーク・マニホールド1aには、インテーク・マニホールド圧を検出する圧力センサSPIMが設けられ、その検出されたインテーク・マニホールド圧を示す信号は、マイクロコンピュータ73aに入力される。
図3に示すようにモータ2は、モータECU74のマイクロコンピュータ74aを介して、インバータ・コンバータ74bによって力行動作をするように、又は、回生ブレーキとして発電動作をするように制御される。インバータ・コンバータ74bは、HV(High Voltage)バッテリ4との電気的接続を切断したり接続したりするマイクロコンピュータ74aによって制御されるスイッチを内蔵している。そして、モータ2には、モータ回転角を検出する回転角センサSMAが設けられ、マイクロコンピュータ74aが、そのモータ回転角信号と、HVバッテリ4からインバータ・コンバータ74bへの入力電圧、インバータ・コンバータ74bからモータ2への出力電流値を用いて、モータ2の力行動作時の回転速度や出力トルクを制御する。また、マイクロコンピュータ74aは、そのモータ回転角信号と、インバータ・コンバータ74bからHVバッテリ4への出力電圧、出力電流値を用いて、モータ2の回生ブレーキ動作時のジェネレータトルクを制御する。
回転角センサSMAとしては、例えば、レゾルバが用いられる。
AT3には、入力軸(図示せず)に直結したトルクコンバータ3aや、CVT機構(図示せず)、又は変速ギア(図示せず)や、CVT機構のプーリ間隙を制御、又は変速ギア間の断続動作を制御するクラッチ用の油圧回路を動作させる油圧回路制御部3bを有し、エンジン・AT_ECU73のマイクロコンピュータ73aを介して、運転者のアクセルペダルの踏み込み量を及びセレクトレバーの位置に応じて制御される。
AT3には、AT油温TTOを検出するAT油温センサSTTOが設けられ、その信号は、エンジン・AT_ECU73に入力される。
さらに、ACM_ECU71、エンジン・AT_ECU73、モータECU74及びバッテリECU75等の間は、バス型のCAN通信線207で接続されている。モータECU74は、CAN通信のためのCAN通信部74cを有しており、マイクロコンピュータ74aが外部とCAN通信線207で通信可能な構成となっている。
ちなみに、バッテリECU75は、HVバッテリ4の充放電を制御するECUである。バッテリECU75は、HVバッテリ4の充電率を監視し、必要に応じモータECU74を介してエンジン・AT_ECU73に充電要求を出力し、また、過充電を防止するためモータECU74を介してエンジン・AT_ECU73に充電動作停止を要求する。
《エンジン・AT_ECUの概略構成》
次に、図4を参照してエンジン・AT_ECU73の概略構成について説明する。エンジン・AT_ECU73は、ECU電源回路(図示せず)、ROM73a、RAM(図示せず)、バス(図示せず)等を含むマイクロコンピュータ73a、不揮発メモリ73c、各種センサからの信号接続用のインタフェース回路(図示せず)や、燃料インジェクタ駆動回路125、イグナイタ制御回路126、ソレノイド駆動回路127、信号検出回路(実入力振動検出手段)128、信号検出回路(実伝達振動検出手段)129、スロットルバルブ5の開度を制御するスロットルバルブ駆動回路130、CAN通信部73b等を含んで構成されている。
マイクロコンピュータ73aには、エンジン1の冷却水温度Tを検出する冷却水温度センサSTW、吸気温度を検出する吸気温度センサSTA、吸気流量を検出するエアフローメータSFA、車速を検出する車速センサS、スロットルバルブ5の開度を検出するスロットルバルブ・ポジション・センサSThp、排気ガス中の酸素濃度を検出する酸素濃度センサSO2、運転者が踏み込むアクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセルペダル・ポジション・センサSAC等の各種信号が入力される。
また、エンジン1には、アクティブ・コントロール・マウントMで支持されるブラケット部分近傍に、エンジン1の実ロール振動(実入力振動値)を検出する加速度センサである実入力振動センサ(実入力振動検出手段)SA1が設けられている。それからの信号が信号検出回路128に入力されており、ローパスフィルタ処理により、例えば、エンジンの初爆によるロール振動の信号をマイクロコンピュータ73aに入力する。さらに、車体のアクティブ・コントロール・マウントMを支持する車体フレーム部分の近傍には、エンジン1のロール振動が車体に実際に伝達された実伝達振動値を検出する加速度センサである実伝達振動センサ(実伝達振動検出手段)SA2が設けられている。それからの信号が信号検出回路129に入力されており、ローパスフィルタ処理により、例えば、エンジンの初爆による実伝達振動の信号をマイクロコンピュータ73aに入力する。
そして、エンジン・AT_ECU73は、ACM_ECU71との専用信号線である、CRKパルス信号線201、TDCパルス信号線203、気筒休止信号線205で接続されている。また、エンジン・AT_ECU73は、モータECU74との間をCAN通信線207で接続され、モータ要求トルク、ジェネレータ要求トルク、をモータECU74のマイクロコンピュータ74aに出力し、逆に、モータECU74からモータ回転速度、電流値、HVバッテリ4の充電要求等が入力される。
図4に示すようにエンジン・AT_ECU73のマイクロコンピュータ73aは、ROM73aに内蔵されたプログラムを読み出して実行することにより実現される機能部であるエンジン回転速度演算部210、要求出力演算部211、気筒数切替制御部212、燃料噴射制御部213、点火時期制御部214、AT制御部215、スロットル制御部216、及びエンジン制御パラメータ送受信部217等を含んで構成されている。
エンジン回転速度演算部210は、CRKセンサSaからの信号にもとづいてエンジン回転速度Neを算出し、要求出力演算部211に出力する。
要求出力演算部211は、主に、スロットルバルブ・ポジション・センサSThpからの信号や車速センサSからの信号、エンジン回転速度演算部210で算出されたエンジン回転速度Ne、セレクトレバー(図示せず)のポジション信号、及びAT3の油圧回路制御部3bからの動作信号により、現在の減速段を検知し、現在のエンジン出力トルクを推定し、エンジン1へのエンジン要求トルクと、モータ2へのモータ要求トルクを、算出する。
また、要求出力演算部211は、エンジン要求トルクに応じた吸気量を算出し、スロットル制御部216にスロットルバルブ5の目標開度を出力する。
なお、前記した要求出力演算部211におけるエンジン要求トルクに応じた吸気量の算出に当たっては、例えば、冷却水温度センサSTWからのエンジン冷却水の水温、スロットルバルブ・ポジション・センサSThpからのスロットル開度、吸気温度センサSTAからの吸気温度、エアフローメータSFAからの吸気流量、圧力センサSPIMからの吸気圧(インテーク・マニホールド圧)等を示す信号が用いられる。
ちなみに、要求出力演算部211は、イグニッション・スイッチ信号(以下、IG−SW信号と称する)によるエンジン1の始動制御、アイドリング状態中のアイドルストップ制御、アイドルストップ中のアクセルペダル・ポジション・センサSACからの信号等による自動のエンジン始動制御を行う。
要求出力演算部211は、このエンジン1の始動制御とき、エンジン1による始動振動を制御するため、エンジン始動時制御部211aを有している。エンジン始動時制御部211aについての詳細な機能の説明は、後記する。
気筒数切替制御部212は、例えば、IG−SW信号や、要求出力演算部211におけるアイドルストップ後のエンジン始動信号、アクセルペダル・ポジション・センサSACからの信号、エンジン回転速度Neや、車速や、要求出力演算部211で算出された現在の推定されたエンジン出力トルクやエンジン要求トルク等を用いて、エンジン始動状態、エンジン出力トルクの小さい巡航状態を判別し、そのようなエンジンの運転状態と判別したとき、予め設定されたエンジン回転速度Neやエンジン要求トルク等をパラメータにしたROM73aに予め格納された気筒数決定マップ(図示せず)にもとづいて、エンジン1における運転状態の気筒数を切替え、バルブ休止機構の油圧アクチュエータ(図示せず)を動作させる気筒休止ソレノイド(図示せず)を通電状態にして、全筒休止の気筒休止状態、つまり、モータ駆動状態としたり、3気筒運転、4気筒運転、及び全筒運転のいずれかに切り替えたりする制御を行う。
また、気筒数切替制御部212は、気筒休止状態にしたとき、気筒休止対象の気筒を示す信号である気筒休止信号を、気筒休止信号線205を介してACM_ECU71に出力する。気筒数切替制御部212は、図4では信号の矢印線を省略してあるが、気筒休止状態にしたとき、気筒休止対象の気筒を示す信号である気筒休止信号を、燃料インジェクタ駆動回路125やイグナイタ制御回路126にも出力する。
ちなみに、エンジン始動時は、全気筒運転状態とする。
燃料噴射制御部213は、例えば、エンジン始動信号や、エンジン要求トルク、エンジン回転速度Neに応じて、燃料噴射量、具体的には、燃料噴射時間を設定し、CRKセンサSaやTDCセンサSbからパルス信号のタイミングとエンジン回転速度Neに応じて予め設定されROM73aに格納された噴射開始のタイミングマップ(図示せず)にもとづいて、運転状態の気筒の燃料インジェクタに対して燃料噴射の制御を行う。
また、燃料噴射制御部213は、酸素濃度センサSO2からの排気ガス中の酸素濃度の信号にもとづいて、燃料噴射量を調節し、排気ガス規制に適合するような燃焼状態に調節する。
ちなみに、エンジン始動時制御部211aは、エンジン始動時にエンジン回転速度演算部210からのエンジン回転速度Neにもとづき、モータリングによるエンジン回転速度Neが点火速度NeIEに達していることを確認して、CRKパルス信号、TDCパルス信号にもとづいて、初爆の気筒を決め、燃料噴射制御部213、点火時期制御部214に出力し、当該の気筒から順次燃料噴射を開始させる制御を行う。
点火時期制御部214は、エンジン始動信号や、エンジン要求トルク、エンジン回転速度Neに応じて、CRKセンサSa、TDCセンサにもとづいて、予め設定されROM73aに格納された点火タイミングマップ(図示せず)にもとづいて各気筒の点火時期を設定し、イグナイタ制御回路126に点火時期信号を出力する。
なお、エンジン始動時には、点火時期制御部214は、前記したエンジン始動時制御部211aによる点火時期の制御を特別に受ける。その詳細な説明は、後記する。
AT制御部215は、セレクトレバー・ポジション・センサSSpからのセレクトレバー位置を示す信号、車速センサSからの車速信号、AT3の油圧回路制御部3bからの動作信号、現在の推定されたエンジン出力トルク、アクセルペダル・ポジション・センサSACからの信号等にもとづいてAT3の油圧回路制御部3bを制御して、AT3の減速段の切替制御をしたりする。
ちなみに、前記したエンジン制御パラメータ送受信部217は、ACM_ECU71へエンジン回転速度演算部210で算出したエンジン回転速度Neや、アクセルペダル・ポジション・センサSACからの信号をCAN通信で出力したり、他のECU、例えば、電動パワステアリングECU(図示せず)等にエンジン回転速度Neや、車速や、エンジン推定出力トルク等のパラメータをCAN通信で出力したり、車両挙動安定化制御システムECU(図示せず)から、加速時アンダステアを検出してエンジンの出力トルク抑制の指示信号を受信したりする。
スロットル制御部216は、要求出力演算部211から出力されたスロットルバルブ5の目標開度にスロットルバルブ5の開度を制御するために、スロットルバルブ・ポジション・センサSThpの信号にもとづいてスロットルバルブ・アクチュエータ(図示せず)を駆動するスロットルバルブ駆動回路130を介して制御する。
(初爆エネルギ制御データ部)
前記したROM73aには、エンジン始動時の初爆エネルギを制御するための初爆エネルギ制御データ部73aを有している。この初爆エネルギ制御データ部73aには、予め実験的に求められた各種データ、例えば、初爆エネルギ演算マップ641(図5参照)、入力振動値演算マップ642(図6参照)、第1初爆エネルギ補正量演算マップ(第1初爆エネルギ補正量算出手段)643(図7参照)、第2初爆エネルギ補正量演算マップ(第2初爆エネルギ補正量算出手段)644A(図8参照)、第3初爆エネルギ補正量演算マップ(第3初爆エネルギ補正量算出手段)644B(図9参照)、初爆エネルギ制御量補正演算マップ(初爆エネルギ制御手段)646(図10参照)を有しており、前記したエンジン始動時制御部211aにおいて用いられる。
図5は、図4におけるエンジン始動時制御部211aにおいて用いられる初爆エネルギ演算マップの説明図であり、(a)は、点火時期と初爆エネルギの関係の説明図、(b)は、空燃比(A/F)と初爆エネルギの関係の説明図、(c)は、インテーク・マニホールド圧と初爆エネルギの関係の説明図である。
初爆エネルギ演算マップ641の概要を、図5の(a)から(c)に示す特性図で説明する。図5の(a)においてマップデータ641aの横軸は、クランク角で示した点火時期を示し、縦軸が初爆エネルギを示す。点火時期が圧縮行程のTDCを所定のクランク角だけ経過後に設定された所定の標準の点火時期(クランク角)に対して遅角するほど初爆エネルギがほぼ単調に緩やかに減少し、所定の標準の点火時期に対して進角するほど初爆エネルギがほぼ単調に緩やかに減少する特性が示されている。図5の(b)においてマップデータ641bの横軸は、空燃比(A/F)を示し、縦軸が初爆エネルギを示す。空燃比が理論的空燃比で最大になり、空燃比が理論的空燃比より大きい(リーン)になるほど、又、空燃比が理論的空燃比より小さい(リッチ)になるほど初爆エネルギが減少する特性が示されている。図5の(c)においてマップデータ641cの横軸は、インテーク・マニホールド圧を示し、縦軸が初爆エネルギを示す。インテーク・マニホールド圧が増加するほど初爆エネルギが増大する特性が示されている。
そして、初爆エネルギ演算マップ641は、エンジン始動時制御部211aにおいて、予め設定されている標準の燃料噴射量及び標準の点火時期(クランク角)に対して、そのときのエンジン状態の空燃比、インテーク・マニホールド圧PIMにもとづいて、初爆エネルギ演算マップ641を用いて初爆エネルギEFExp1〔単位:J〕を推定演算する。
なお、空燃比は、燃料噴射量、エンジン温度をほぼ示す冷却水温度センサSTWからの冷却水温度T、インテーク・マニホールド圧PIMから容易に算出され、インテーク・マニホールド圧PIMは、圧力センサSPIMからの信号により得られる。
つまり、通常運転の場合と異なり前記したように初爆時の空燃比は、特殊な演算方法を行う。
図6は、入力振動値演算マップにおける初爆エネルギと入力振動値との関係の説明図である。入力振動値演算マップ642は、図6に示すように、横軸に初爆エネルギEFExp1を、縦軸をアクティブ・コントロール・マウントM,M(図3参照)に入力される入力振動値GEst(ゲイン、〔単位:m/s〕)としたものであり、パラメータとして、AT油温TTO、始動から噴射までの時間tIinj、点火時期(クランク角)等をとり、検出されたAT油温TTO、始動から噴射までの時間tIinj、及び初爆のために設定された点火時期(クランク角)に応じた入力振動値GEstをエンジン始動時制御部211aにおいて推定演算可能にするマップである。
図7は、第1初爆エネルギ補正量演算マップにおける要求入力振動値と入力振動値との差分ΔGV1と、第1の初爆エネルギ補正量ΔEFExp1との関係の説明図である。
第1初爆エネルギ補正量演算マップ643は、図7に示すように、横軸に要求入力振動値GReqと入力振動値GEstとの差分ΔGV1(=GReq−GEst)を、縦軸を第1の初爆エネルギ補正量ΔEFExp1としたものであり、パラメータとして、AT油温TTO、始動から噴射までの時間tIinj、点火時期(クランク角)等をとり、検出されたAT油温TTO、始動から噴射までの時間tIinj、及び初爆のために設定された点火時期(クランク角)に応じた第1の初爆エネルギ補正量ΔEFExp1をエンジン始動時制御部211aにおいて演算可能にするマップである。
図8は、第2初爆エネルギ補正量演算マップにおける入力振動値と実入力振動値との差分ΔGV2と、第2の初爆エネルギ補正量ΔEFExp2との関係の説明図である。
第2初爆エネルギ補正量演算マップ644Aは、図8に示すように、横軸に入力振動値GEstと実入力振動値GRealとの差分ΔGV2(=GEst−GReal)を、縦軸を第2の初爆エネルギ補正量ΔEFExp2としたものであり、パラメータとして、AT油温TTO、始動から噴射までの時間tIinj、点火時期(クランク角)等をとり、検出されたAT油温TTO、始動から噴射までの時間tIinj、及び初爆のために設定された点火時期(クランク角)に応じた第2の初爆エネルギ補正量ΔEFExp2をエンジン始動時制御部211aにおいて演算可能にするマップである。
ちなみに、実入力振動値GRealは、前記したエンジン1の実ロール振動を検出する実入力振動センサSA1(図4参照)から得られる。
図9は、第3初爆エネルギ補正量演算マップにおける目標実伝達振動値と実伝達振動値との差分ΔGV3と、第3の初爆エネルギ補正量ΔEFExp3との関係の説明図である。
第3初爆エネルギ補正量演算マップ644Bは、図9に示すように、横軸に目標実伝達振動値GT0と実伝達振動値GTRealの差分ΔGV3(=GT0−GTReal)を、縦軸を第3の初爆エネルギ補正量ΔEFExp3としたものであり、パラメータとして、AT油温TTO、始動から噴射までの時間tIinj、点火時期(クランク角)等をとり、検出されたAT油温TTO、始動から噴射までの時間tIinj、及び初爆のために設定された点火時期(クランク角)に応じた第3の初爆エネルギ補正量ΔEFExp3をエンジン始動時制御部211aにおいて演算可能にするマップである。差分ΔGV3が、正の場合は、目標実伝達振動値GT0よりも実伝達振動値GTRealの方が小さいことを意味し、第3の初爆エネルギ補正量ΔEFExp3の値は0(ゼロ)とする。差分ΔGV3が、負の場合は、目標実伝達振動値GT0よりも実伝達振動値GTRealの方が大きいことを意味し、第3の初爆エネルギ補正量ΔEFExp3の値は負(減少側)とする。
ちなみに、実伝達振動値GTRealは、前記したエンジン1のロール振動が車体に実際に伝達された伝達振動を検出する実伝達振動センサSA2(図4参照)から得られる。
図10は、初爆エネルギの差を補正する補正パラメータを演算する初爆エネルギ制御量補正演算マップの構成説明図である。
初爆エネルギ制御量補正演算マップ646は、エンジン始動時制御部211aにおいて第1の初爆エネルギ補正量ΔEFExp1に、必要に応じて第2の初爆エネルギ補正量ΔEFExp2、第3の初爆エネルギ補正量ΔEFExp3を加算して演算されたトータル初爆エネルギ補正量ΔEFExpTから、初爆エネルギを所定の値にするために燃料噴射量と点火時期を調整するために予め実験的に求められたマップデータである。例えば、横行欄646aは、トータル初爆エネルギ補正量ΔEFExpTの離散的な数値の正、負の領域それぞれに対し、閾値ΔEth1,ΔEth2が設定されており、トータル初爆エネルギ補正量ΔEFExpTが負の値の閾値ΔEth2を超えて正の値の閾値ΔEth1未満の領域では、燃料噴射量の制御のみにより初爆エネルギを調整する領域(「FI制御領域」)とし、その閾値ΔEth1を含む負側、又は、閾値ΔEth2を含む正側の領域は、燃料噴射量の制御に加え、点火時期の制御を追加して初爆エネルギを調整する領域(「点火時期追加制御領域」)としてある。
このように、FI制御領域と点火時期追加制御領域とを用意したのは、初爆エネルギの補正を燃料噴射量だけで対応して燃料噴射量が少なくなりリーンな状態になり過ぎると、着火ミスを生じるおそれがあること、逆に、初爆エネルギの補正を燃料噴射量だけで対応して燃料噴射量が多くなりリッチな状態になり過ぎると、着火ミスや排気ガスに不燃炭化水素を多く生じるおそれがあるからである。
そして、縦軸欄646bには、離散的な冷却水温度Tの数値が記載された欄となっている。横行欄646aと縦軸欄646bのクロスする欄646cには、燃料噴射量の補正量が記載され、横行欄646aと縦軸欄646bのクロスする欄646dには、燃料噴射量の補正量と点火時期の補正量が記載されている。
これにより、エンジン1のその状態における冷却水温度Tと、演算されたトータル初爆エネルギ補正量ΔEFExpTとから内挿補間演算により、初爆における標準の燃料噴射量に対する補正量と、標準の点火時期に対する補正量とが算出可能になっている。
(初爆エネルギ補正量マップ)
次に、図11を参照しながらエンジン始動時制御部211aにおいて不揮発メモリ(第2補正量記憶手段、第3補正量記憶手段)73c(図4参照)に蓄積される初爆エネルギ補正量マップ645A,645Bについて説明する。図11は、第2の初爆エネルギ補正量ΔEFExp2、第3の初爆エネルギ補正量ΔEFExp3を蓄積する初爆エネルギ補正量マップの構成の説明図である。
初爆エネルギ補正量マップ645A,645Bの構成は基本的に同じ構成であり、例えば、初爆エネルギ補正量マップ645Aでは、横行欄645aを離散的な数値のAT油温TTO(単位:℃)とし、縦軸欄645bを離散的な数値のクランク角(単位:deg.)とし、横行欄645aと縦軸欄645bのクロスする欄645cには、第2の初爆エネルギ補正量ΔEFExp2が蓄積される。
同様に、初爆エネルギ補正量マップ645Bでは、横行欄645aを離散的な数値のAT油温TTO(単位:℃)とし、縦軸欄645bを離散的な数値のクランク角(単位:deg.)とし、横行欄645aと縦軸欄645bのクロスする欄645dには、第3の初爆エネルギ補正量ΔEFExp3が蓄積される。このとき、パラメータとして、離散的な始動から噴射までの時間tIinjを組み合わせ蓄積する。
なお、この離散的な第2、第3の初爆エネルギ補正量ΔEFExp2,ΔEFExp3の欄645c,645dそれぞれへの蓄積に当たっては、所定の数の最寄りの第2、第3の初爆エネルギ補正量ΔEFExp2,ΔEFExp3を蓄積し、古いデータは削除するようにし、エンジン始動回数による移動平均値〈ΔEFExp2〉,〈ΔEFExp3〉が、初爆エネルギの補正に用いられるようにすると安定した第2、第3の初爆エネルギ補正量ΔEFExp2,ΔEFExp3による初爆エネルギの補正となる。
《ACM_ECUの概略構成》
次に、図12から図14を参照しながらACM_ECU71の概略構成を説明する。図12は、ACM_ECUの機能構成ブロック図である。
図12に示すようにACM_ECU71は、エンジン・AT_ECU73から、CRKパルス信号線201を介してCRKパルス信号を、TDCパルス信号線203を介して各気筒の上死点のタイミングを示すTDCパルス信号、気筒休止信号線205を介してV型6気筒のエンジン1が全筒運転している状態、つまり、休気筒無しの状態を示す信号、2気筒休止運転の状態を示す信号、3気筒(片バンクの3気筒)休止運転の状態を示す信号、全気筒休止運転の状態を示す信号を受信する。
以下では、休気筒無しの状態を示す信号、2気筒休止運転の状態を示す信号、3気筒休止運転の状態を示す信号、全筒休止運転の状態を示す信号をまとめて、「気筒休止信号」と称する。
ちなみに、CRKパルスは、6気筒エンジンの場合、クランクシャフトの1回転につき60回、つまりクランク角の6deg.毎に1回出力される。
また、ACM_ECU71は、エンジン・AT_ECU73から、CAN通信線207を介して、エンジン回転速度Ne信号、アクセルペダル・ポジション・センサ信号、エンジン始動のためのモータリングスタート信号、エンジン始動の際の初回の燃料噴射信号およびその初回の燃料噴射の対象となる気筒番号を示す信号、エンジン停止を示す信号等が入力される。
逆に、ACM_ECU71からは、初爆振動のゲイン及び期間を決定した後、その内容を示す電流制御指令値を、CAN通信線207を介して、エンジン・AT_ECU73に送信する。
ACM_ECU71は、マイクロコンピュータ71a、CAN通信部71b、バッテリ電源を供給されてマイクロコンピュータ71aによりPWM制御されて駆動電流をアクティブ・コントロール・マウントM,Mに供給するスイッチング素子を含む駆動回路121A,121B、駆動回路121A,121Bからの出力電流値を検出する電流センサ123A,123Bを含んで構成されている。
ACM_ECU71の各機能構成ブロックの機能は、ROM(図示せず)に記憶されたプログラムをマイクロコンピュータ71aが実行することで実現される。具体的には、CAN通信制御部231、CRKパルス間隔演算部232、エンジン回転モード判定部233、振動状態推定部234、位相検出部235、駆動電流演算部236、駆動制御部238A,238B、モータリング時ロール固有振動制御部241、初爆振動制御部243、エンジン停止時振動制御部245を含んで構成されている。
(CAN通信制御部)
CAN通信制御部231は、CAN通信部71bが受信した信号、例えば、エンジン回転速度Neを示す信号や、アクセルペダル・ポジション・センサSACからの信号、モータリングスタート信号、モータ2の回転角信号、AT2のAT油温TTO、初回のインジェクション信号、初回のインジェクション信号に対応する気筒判別信号(以下、「初爆気筒を示す信号」と称する)をエンジン回転モード判定部233に出力する。
(CRKパルス間隔演算部)
CRKパルス間隔演算部232は、マイクロコンピュータ71aの内部クロック信号とエンジン・AT_ECU73からのCRKパルス信号及びTDCパルス信号により、CRKパルスの間隔を算出する。
CRKパルス間隔演算部232で算出されたCRKパルス間隔は、エンジン回転モード判定部233と振動状態推定部234に入力される。
(エンジン回転モード判定部)
エンジン回転モード判定部233には、エンジン・AT_ECU73からのエンジン始動時のモータリングスタート信号や初回のインジェクション信号や初爆気筒を示す信号、エンジン回転速度Ne信号、気筒休止信号、アクセルペダル・ポジション・センサSACからの信号、CRKパルス間隔等が入力される。
エンジン回転モード判定部233は、これらの信号にもとづいて、エンジン1の回転モードを、エンジン始動の際のモータ2によるエンジン1のモータリング状態(エンジン1がモータ2で回転させられて自発回転、つまり、発動するまでの間の期間でのエンジン運転状態)と判定したり、エンジンの発動と判定したり、その後アクセルペダル・ポジション・センサSACからの信号とエンジン回転速度Neにもとづいてアイドリング状態と判定したり、気筒休止信号にもとづいてエンジン1の運転状態が全筒運転状態か、2筒休筒運転状態か、3筒休筒運転状態か、全筒休筒運転(モータ駆動による走行状態)か、を判定したりする。そして、エンジン回転モード判定部233は、前記のように判定したエンジン1の回転モードに対応するフラグ信号を、振動状態推定部234及び位相検出部235に出力する。
エンジン回転モード判定部233は、判定したエンジン1の回転モードに対応して必要になるCAN通信制御部231からの信号を、振動状態推定部234、位相検出部235、モータリング時ロール固有振動制御部241、初爆振動制御部243に転送する。例えば、全筒運転状態や休筒運転状態と判定した場合は、エンジン回転モード判定部233は、エンジン回転速度Neを示す信号を振動状態推定部234、位相検出部235に出力し、エンジン始動時のモータリング状態と判定した場合には、エンジン回転速度Neを示す信号とモータ2の回転角信号とAT油温TTOをモータリング時ロール固有振動制御部241に転送する。エンジン1の発動開始と判定した場合には、エンジン回転速度Neを示す信号や初回のインジェクション信号や初爆気筒を示す信号やAT油温TTO等を初爆振動制御部243に転送する。
(振動状態判定部)
振動状態推定部234は、エンジン回転モード判定部233からの回転モードの判定がアイドリング状態や、全筒運転状態、休筒運転状態(2筒休筒運転状態、3筒休筒運転状態、全筒休筒運転状態)の場合、その判定にもとづいて、CRKパルス間隔からクランク軸の回転変動を検出することとし、回転変動のP−P値(ピークから次のピークまでの間隔)から、エンジン振動の大きさ、エンジン振動の周期を求め、位相検出部235にクランク軸の回転変動のピークのタイミングを、駆動電流演算部236にエンジン振動の周期及び大きさ、を出力する。このとき、振動状態推定部234は、エンジン振動の大きさ、エンジン振動の周期を、エンジン回転モード判定部233から入力された、エンジン1の回転モードのフラグ信号に応じて、ROM(図示せず)に予め記憶させた振動周波数データ234aにもとづいて、算出する。
これは、全筒運転状態と休筒運転状態では、エンジン振動の1次振動、2次振動の振動周波数と、エンジン回転速度Neとの関係が異なることや、1次振動成分の振幅と2次振動成分の振幅との比が異なるからである。
(位相検出部)
位相検出部235は、アイドリング状態や、全筒運転状態、休筒運転状態の場合は、振動状態推定部234からのクランク軸の回転変動のP−P値、回転変動のピークのタイミングと、エンジン・AT_ECU73からのCRKパルス信号、各気筒のTDCパルス信号と、にもとづいて、クランク軸の回転変動のピークのタイミングとTDCのタイミングを比較し、TDC毎の基準パルスから求めた位相の算出を行い、駆動電流演算部236に出力する。
(モータリング時ロール固有振動制御)
モータリング時ロール固有振動制御部241は、予めロール固有振動のゲイン決定マップ及びロール固有振動の期間決定マップがROM(図示せず)に記憶されたデータ部241aを有する。
ちなみに、ロール固有振動のゲイン決定マップ及びロール固有振動の期間決定マップを総称して、以下、単に「ロール固有振動マップ」と称する。
そして、モータリング時ロール固有振動制御部241は、エンジン回転モード判定部233からの回転モードの判定がエンジン始動の際のモータリング状態の場合、モータ2のモータ角信号の受信タイミングに合わせて、駆動電流演算部236に予め決められた所定のゲインでエンジン振動の伝達を抑制するように駆動電流波形を生成させる。
そして、モータリング時ロール固有振動制御部241は、エンジン回転速度Neが予め決められた閾値Neth(図示省略)に達したとき、ロール固有振動の開始を検出したと判定し、データ部241aのロール固有振動マップ(図示省略)にもとづいて、ロール固有振動のゲイン及び期間を決定し、ACM制御データを、駆動電流演算部236に入力し、モータ角信号に同期させて、エンジン振動の伝達を抑制するように駆動電流波形を生成させる。
ここで言う、ACM制御データとは、ロール固有振動の振幅を抑制するためゲインと制御期間を示すデータである。
ロール固有振動マップは、前記したようにロール固有振動のゲイン決定マップ及びロール固有振動の期間決定マップのデータを含む。ロール固有振動のゲイン決定マップは、例えば、特願2009−119287の図6に示すようにロール固有振動のゲイン曲線X1にもとづくものであり、横軸に、Nethに達したときのAT油温TTOを示し、右側の縦軸にロール固有振動のゲインを示す。ロール固有振動のゲイン曲線X1は、エンジン始動時のモータリング状態におけるエンジン回転速度Neが、ロール固有振動を生じ始める所定の閾値Nethに達したときのAT油温TTOが高いほどロール固有振動のゲインは小さい値となり、エンジン回転速度Neの所定の閾値Nethに達したときのAT油温TTOが低いほどロール固有振動のゲインは大きい値となるように対応付けられている。
また、ロール固有振動の期間決定マップは、前記特願2009−119287の図6に示すようにロール固有振動マップのロール固有振動の期間曲線Y1にもとづくものであり、横軸に、Nethに達したときのAT油温TTOを示し、左側の縦軸にロール固有振動の期間を示す。ロール固有振動の期間曲線Y1は、エンジン始動時のモータリング状態におけるエンジン回転速度Neが、ロール固有振動を生じ始める所定の閾値Nethに達したときのAT油温TTOが高いほどロール固有振動の期間は短い値となり、エンジン回転速度Neの所定の閾値Nethに達したときのAT油温TTOが低いほどロール固有振動の期間は長い値となるように対応付けられている。
これは、モータリング状態で、ロール固有振動が始まるエンジン回転速度より少し手前の所定の閾値Nethに達したときのAT油温TTOが低いと、連れ回しを受けるAT3のトルクコンバータ3aにおける抵抗が大きく、その回転抵抗がロール固有振動を増幅して、ロール固有振動のゲインを大きくしたり、ロール固有振動の期間を長くしたり作用するためであると考えられる。
モータリング時ロール固有振動制御部241は、ロール固有振動の伝達を抑制する制御期間経過後のモータリング状態では、再び、モータ2のモータ角信号の受信タイミングに合わせて、駆動電流演算部236に予め決められた所定のゲインでエンジン振動の伝達を抑制するように駆動電流波形を生成させる。
(初爆振動制御部)
図12にもどって、初爆振動制御部243は、初回のインジェクション信号受信のタイミングから、その当該気筒における初爆によって、エンジン振動となって現れるまでの遅れ時間である初爆オフセット時間tIoffsetが、例えば、ルックアップテーブル形式で予めROM(図示せず)に記憶されたデータ部243aと、予め初爆振動のゲイン決定マップ及び期間決定マップが予めROM(図示せず)に記憶されたデータ部243bとを有する。
ちなみに、ルックアップテーブル形式の初爆オフセット時間tIoffsetを「初爆オフセット時間テーブル647」と称し、初爆振動のゲイン決定マップ及び初爆振動の期間決定マップを総称して、以下、単に「第1の初爆振動マップ649」(図14参照)と称する。
そして、初爆振動制御部243は、初回のインジェクション信号を受信したとき、エンジン1の発動開始を検出したと判定し、前記したデータ部243aの初爆オフセット時間テーブル647(図13参照)にもとづいて、初爆オフセット時間tIoffsetを決定する。図13は、初爆オフセット時間テーブルの説明図である。
図13を参照しながら、初爆オフセット時間テーブル647について説明する。図13に示すように、初爆オフセット時間テーブル647は、横軸の離散的なエンジン回転速度Ne(rpm)の値に対応させて、初爆オフセット時間tIoffsetが検索可能に構成されている。そして、初爆振動制御部243において、参照されるエンジン回転速度Neの値に対して補間演算をして、初爆オフセット時間tIoffsetを算出する。
初爆オフセット時間テーブル647は、エンジン回転速度Neが高いほど初爆オフセット時間tIoffsetを短くし、逆に、エンジン回転速度Neが低いほど初爆オフセット時間tIoffsetを長く設定する傾向を持つ。
そして、初爆振動制御部243は、初回のインジェクション信号を受信したとき、エンジン1の発動開始を検出したと判定し、前記したデータ部243bの第1の初爆振動マップ649(図14参照)にもとづいて、初爆振動のゲイン及び期間を決定し、ACM制御データを、駆動電流演算部236に入力し、エンジン振動の伝達を抑制するように駆動電流を生成させる。
ここで言う、ACM制御データとは、初爆振動の振幅を抑制するためのゲイン(要求入力振動値GReq)と制御期間を示すデータである。
このACM制御データは、CAN通信線207を介してエンジン・AT_ECU73に電流制御指令値として出力される。
ここで、図14を参照しながら、第1の初爆振動マップ649について説明する。図14は、第1の初爆振動マップの説明図である。
第1の初爆振動マップ649は、前記したように初爆振動のゲイン決定マップ及び初爆振動の期間決定マップのデータを、AT油温TTOをパラメータとして構成されたものである。初爆振動のゲイン決定マップは、例えば、図14に示すように初爆振動のゲイン曲線X2にもとづくものであり、横軸に、始動から初回のインジェクション信号受信までの時間(図14では、「始動から噴射までの時間tIinj」と表示)を示し、右側の縦軸に初爆振動のゲイン(要求入力振動値)GReqを示す。初爆振動のゲイン曲線X2は、始動から初回のインジェクション信号受信までの時間tIinjが長いほど初爆振動のゲインGReqは小さい値となり、始動から初回のインジェクション信号受信までの時間が短いほど初爆振動のゲインGReqは大きい値となるように対応付けられている。
また、初爆振動の期間決定マップは、第1の初爆振動マップ649の初爆振動の期間曲線Y2にもとづくものであり、始動から初回のインジェクション信号受信までの時間(図14では、「始動から噴射までの時間tIinj」と表示)を示し、左側の縦軸に初爆振動の期間を、例えば、TDCパルス信号間の区間数で示す。初爆振動の期間曲線Y2は、始動から初回のインジェクション信号受信までの時間tIinjが長いほど初爆振動の期間は短い値となり、始動から初回のインジェクション信号受信までの時間tIinjが短いほど初爆振動の期間は長い値となるように対応付けられている。
そして、この第1の初爆振動マップ649における初爆振動のゲインGReq及び期間は、初回のインジェクション信号受信及び初爆気筒を示す信号を受信したタイミングにおけるAT油温TTOの影響を受けるため、第1の初爆振動マップ649は、離散的なAT油温TTOをパラメータとした複数のマップを集成して構成されている。
これは、初爆のタイミングにおけるAT油温TTOが低いと、初爆時のAT3のトルクコンバータ3aにおける反動力が大きく、その反動力が初爆振動を増幅して、初爆振動のゲインGReqを大きくしたり、初爆振動の期間を長くしたり作用するためであると考えられる。
(エンジン停止時振動制御部)
図12に戻ってエンジン停止時振動制御部245は、エンジン回転モード判定部233が、CAN通信制御部231を介して、エンジン・AT_ECU73のマイクロコンピュータ73aからのエンジン停止信号を受信して、エンジン停止時振動の開始を検出したときに、前回停止時に学習したエンジン停止時のロール固有振動から振動の抑制制御を行う。
この制御は、例えば、特開2009−47199号公報に記載の技術により、前回のエンジン停止時にロール固有振動を学習して、不揮発メモリに記憶したエンジン振動の周期、振動ゲイン及び振動期間にもとづきエンジン停止時振動の伝達を抑制制御する。
(駆動電流演算部)
次に駆動電流演算部236について説明する。駆動電流演算部236は、エンジン回転モード判定部233においてエンジン1の運転状態の判定が、アイドリング状態、全筒運転、気筒休止運転のいずれかと判定されたとき、それを受けて、振動状態推定部234からの振動の振幅、周期、並びに、位相検出部235からの位相とにもとづいて、振動の周期毎に前方アクティブ・コントロール・マウントMと後方アクティブ・コントロール・マウントMにおいてエンジン振動波形を相殺できるマウント動作となるように、TDC毎の基準パルスから求めた位相により、前方アクティブ・コントロール・マウントMと後方アクティブ・コントロール・マウントMそれぞれに対して駆動電流波形を生成する。そして、生成されたそれぞれの駆動電流波形をPWM制御の所定の周期でサンプリングしてACM駆動目標電流値とし、駆動制御部238A,238Bそれぞれに出力する。
ちなみに、この駆動電流演算部236における駆動周期内のデューティ信号の集合体を用いて行う制御は、特開2002−139095号公報の発明の詳細な説明の段落[0030],[0031]及び図5、図6を参照されたい。
次に、エンジン回転モード判定部233からの回転モードの判定がエンジン始動の際のモータリング状態の場合の、駆動電流演算部236の機能を説明する。
その場合、駆動電流演算部236は、モータ2のモータ角信号の受信タイミングに合わせて、所定のゲインでエンジン振動の伝達を抑制するように駆動電流波形を生成させ、駆動周期内のデューティ信号の集合体を生成して、駆動制御部238A,238Bそれぞれに出力する。
具体的には、モータリング時ロール固有振動制御部241において、エンジン回転速度Neが、ロール固有振動が発生する所定の閾値Nethを超えたと判定されたとき、ロール固有振動の開始を検出したと判定し、前記したデータ部241aのロール固有振動マップ(図示せず)にもとづいて、ロール固有振動の期間とゲインを決定し、ACM制御データを、駆動電流演算部236に入力する。それを受けて、駆動電流演算部236は、モータ角信号に同期させて、エンジン振動の伝達を抑制するように振動の周期毎に前方アクティブ・コントロール・マウントMと後方アクティブ・コントロール・マウントMに対する駆動電流波形を生成し、生成したそれぞれの駆動電流波形をPWM制御の所定の周期でサンプリングしてACM駆動目標電流値とし、駆動制御部238A,238Bそれぞれに出力する。
次に、エンジン回転モード判定部233からの回転モードの判定がエンジン始動の際の発動開始を検出した場合の、駆動電流演算部236の機能を説明する。
その場合、初爆振動制御部243が、エンジン回転モード判定部233を介して初回のインジェクション信号を受信したとき、前記したデータ部243aの初爆オフセット時間テーブル647(図13参照)にもとづいて初爆オフセット時間tIoffsetを決定し、次いで、前記したデータ部243bの第1の初爆振動マップ649(図14参照)にもとづいて、初爆振動のゲイン及び期間を決定し、ACM制御データを、駆動電流演算部236に入力する。それを受けて、駆動電流演算部236は、初爆オフセット時間tIoffsetに合わせて、エンジン振動の伝達を抑制するように振動の周期毎に前方アクティブ・コントロール・マウントMと後方アクティブ・コントロール・マウントMに対する駆動電流波形を生成する。そして、生成したそれぞれの駆動電流波形をPWM制御の所定の周期でサンプリングしてACM駆動目標電流値とし、駆動制御部238A,238Bそれぞれに出力する。
次に、エンジン回転モード判定部233からの回転モードの判定がエンジン停止を検出した場合の、駆動電流演算部236の機能を説明する。
その場合、エンジン停止時振動制御部245が、エンジン回転モード判定部233を介してエンジン停止信号を受信したとき、前回学習したエンジン停止時振動の周期、振動ゲイン、振動期間にもとづいて、ACM制御データを、駆動電流演算部236に入力する。それを受けて、駆動電流演算部236は、エンジン停止時振動の伝達を抑制するように振動の周期毎に前方アクティブ・コントロール・マウントMと後方アクティブ・コントロール・マウントMに対する駆動電流波形を生成する。そして、生成したそれぞれの駆動電流波形をPWM制御の所定の周期でサンプリングしてACM駆動目標電流値とし、駆動制御部238A,238Bそれぞれに出力する。
(駆動制御部と駆動回路)
駆動制御部238Aは、駆動電流演算部236で生成されたアクティブ・コントロール・マウントM用のPWM制御の前記ACM駆動目標電流値に応じたPWMデューティ信号を生成し、駆動回路121Aへ出力する。駆動回路121AはPWMデューティ信号に応じて通電制御し、アクティブ・コントロール・マウントMのコイル19b(図2参照)に給電する。電流センサ123Aは、駆動回路121Aから給電される電流値を計測して、駆動制御部238Aに入力する。
駆動制御部238Aは、アクティブ・コントロール・マウントM用のACM駆動目標電流値と計測された電流値の偏差を取り、偏差に応じて、次のPWM制御の周期の新たなACM駆動目標電流値に対するPWMデューティ信号を補正して駆動回路121Aへ出力する。
このように、駆動制御部238Aは、ACM駆動目標電流値に対するPWMデューティ信号をフィードバックして出力することにより、アクティブ・コントロール・マウントMのコイル19bに給電する。
駆動制御部238Bも駆動制御部238Aと同様に、アクティブ・コントロール・マウントMを制御する。アクティブ・コントロール・マウントMをアクティブ・コントロール・マウントMに、駆動回路121Aを駆動回路121Bに、電流センサ123Aを電流センサ123Bに、駆動制御部238Aを駆動制御部238Bに読みかえることで説明を省略する。
《エンジン始動制御の流れとACM制御の流れ》
次に、図15から図21を参照しながらエンジン始動制御の流れとACM制御の流れを示すフローチャートについて、特に、本実施形態の特徴である初爆振動の制御の流れについて説明する。
図15は、エンジン始動制御とACM制御の流れを示す全体フローチャートである。
ところで、エンジン1は燃焼室における混合気の爆発がピストンを押し下げる力を、コネクティングロッドを介してクランクシャフトの回転運動に変換するもので、エンジン1本体にはクランクシャフトの回転の反作用としてのクランクシャフト回りのロールモーメントが作用することになる。このロールモーメントが変動する周波数はエンジン回転速度Neに応じて変化するため、特定のエンジン回転速度Neにおいてロールモーメントの変動する周波数がエンジン1のロール固有振動周波数に一致した場合には、乗員にとって不快な車体振動が発生する。
一般に、前記ロール固有振動周波数は、エンジン1の通常の運転領域でのエンジン回転速度Ne(アイドリング回転速度以上の回転速度)における振動周波数よりも低いため、エンジン1の始動時及び停止時のエンジン回転速度Neがアイドリング回転速度未満の所定の回転速度のときにエンジン1のロール固有振動が発生し、エンジン1が大きく振動して、その振動が車体に大きく伝達される。これは運転者がエンジン1を始動しようとしてスタータを作動させた時に、大きくブルブルと車体が揺れる動きに相当する。そこで、次に説明するように本実施形態では、エンジン1の始動時の初爆以前のモータリング状態から効果的にエンジン1のロール固有振動に起因する車体振動を防止するように能動型防振支持装置101を制御する。
また、エンジン1の初爆直後には、それまでモータリングによるエンジン振動だけであったものに、エンジン1の各気筒における混合気の爆発によるクランクシャフトの回転の反作用としてのクランクシャフト回りのロールモーメントが加わる。エンジン1の始動の際のエンジン運転状態は全気筒運転であり、例えば、V型6気筒エンジンの場合は、通常「エンジン3次振動」と呼ばれる、クランクシャフトの1回転において3回の気筒爆発を伴うエンジン振動が発生し始める。
図20の(a)の上段の図は、エンジン始動時におけるエンジン回転速度Neの時間推移の説明図であり、図20の(a)の中段の図は、エンジン始動時におけるエンジン振動の時間推移の説明図である。時間0においてモータリング状態が開始され、エンジン回転速度Neが所定の閾値Nethを超えると、ロール固有振動(図20の(a)では省略)が開始し、それが収束して、エンジン回転速度Neが閾値である点火速度NeIEに達すると初回のインジェクション信号が出力される。そして、エンジン1が自力運転を開始、つまり、発動(点火)して、エンジン1の全筒運転が開始され、初爆振動により図20の(a)の中段の図中の破線表示のエンジン振動(ACM入力振動)が始まる。そして、エンジン1の初爆振動がアクティブ・コントロール・マウントMにより図20の(a)の中段の図中の実線表示の振動に減衰されて車体に伝わる。
ロール固有振動は、エンジン回転速度Neが所定の閾値Nethを超えたとき、所定の振動周期で、そのときのAT油温TTOで決まる振動ゲイン、振動期間のロール固有振動を生じる。
また、エンジン1において初回のインジェクション信号が出力されると、図14に示すように、エンジン始動から初爆までの時間とそのときのAT油温TTOで決まる初爆振動のゲインGReq、振動期間の初爆振動を生じる。
(全体フローチャート)
先ず、図15を参照しながら、適宜、図4、図12、図16を参照してACM制御の流れを示す全体フローチャートについて説明する。図15は、エンジン始動制御とACM制御の流れを示す全体フローチャートである。
この制御は、エンジン・AT_ECU73においてはROM73aに格納されたプログラムをマイクロコンピュータ73a(図4参照)で実行するときに実現される機能部である要求出力演算部211、燃料噴射制御部213、点火時期制御部214等において行われ、ACM_ECU71においては、ROMに格納されたプログラムをマイクロコンピュータ71a(図12参照)で実行するときに実現される機能部であるエンジン回転モード判定部233、振動状態推定部234、位相検出部235、駆動電流演算部236、駆動制御部238A,238B、モータリング時ロール固有振動制御部241、初爆振動制御部243、エンジン停止時振動制御部245において行われる。
なお、この全体フローチャートの右側には、エンジン・AT_ECU73の主にエンジン1の始動から停止時の制御方法(ステップS01〜S12)を併記して、エンジン・AT_ECU73からACM_ECU71への信号、ACM_ECU71からエンジン・AT_ECU73への信号を分かり易く示している。エンジン・AT_ECU73は、運転者による運転の開始・終了にともなうエンジン1の始動・停止以外に、自動のアイドリング・ストップにともなうエンジン1の始動・停止や、ハイブリッド車両の走行中のエンジン1の始動・停止等、運転者の意思とは関係なく、エンジン1を繰り返し始動・停止させている。
このエンジン・AT_ECU73による繰り返しのエンジン1の始動・停止に、同期して、能動型防振支持装置101の防振制御方法(ステップS21〜S29)が実施される。
先ず、エンジン・AT_ECU73におけるマイクロコンピュータ73aによる繰り返しのエンジン1の始動・停止の制御(ステップS01〜S12)について説明する。
ステップS01では、要求出力演算部211のエンジン始動時制御部211a(図4参照)が、エンジン1(図4参照)を始動回転させるため、モータ2(図4参照)によるモータリング制御を行う。マイクロコンピュータ73aが送信したモータリングスタート信号が、モータECU74のマイクロコンピュータ74aで受信されると、マイクロコンピュータ74aによるインバータ・コンバータ74b(図4参照)の制御により、モータ2(図4参照)が回転してモータリングが始まり、エンジン1が始動回転を始め、図20の(a)の上段のグラフに示すように、エンジン回転速度Neが上昇する。
なお、モータリングスタート信号は、ACM_ECU71(図4参照)へも送信され、そのマイクロコンピュータ71aがモータリングスタート信号を受信すると、マイクロコンピュータ71aが防振制御をスタートさせる。そして、ステップS02では、エンジン始動時制御部211aが、タイマtをスタートさせる。
そして、モータリング状態でエンジン回転速度Neが閾値Nethを超えると、一時的なロール固有振動が発生する(図20の(a)の中段のグラフでは、ロール固有振動については省略してある)。
ステップS03では、エンジン始動時制御部211aは、エンジン回転速度Neが点火速度(閾値)NeIEに達したか否か(Ne≧NeIE?)をチェックする。エンジン回転速度Neが点火速度NeIEに達した場合(Yes)は、ステップS04へ進み、達していない場合(No)は、ステップS03を繰り返す。
ステップS04では、CRKパルスやTDCパルス等にもとづいて、エンジン始動時制御部211aが、初爆気筒を決定する。その決定された初爆気筒の識別子(初爆気筒を示す信号)を燃料噴射制御部213、点火時期制御部214に出力する。
ステップS05では、CRKパルスとTDCパルス等にもとづいて、燃料噴射制御部213が、初回のインジェクション信号及び決定された初爆気筒の識別子を燃料インジェクタ駆動回路125(図4参照)へ、点火時期制御部214が、決定された初爆気筒の識別子をイグナイタ制御回路126へ送信する。そして、タイマtにより始動(モータリングスタート信号の発信)から初回のインジェクション信号及び初爆気筒を示す信号を発信するまでの時間tIinjを取得する。その後、タイマtをリセットする。
なお、初回のインジェクション信号は、及び初爆気筒を示す信号は、ACM_ECU71へも送信される。
ステップS06では、エンジン始動時制御部211aは、ACM_ECU71から要求入力振動値GReqに対応する情報を含む電流制御指令値を受信する。
ステップS07では、エンジン始動時制御部211aは、エンジン発動開始の制御を行う。具体的には、初爆気筒に点火させ、初爆させ、順次、次の気筒を点火させる。図20の(a)の中段の破線で示したエンジン1の振動波形のように、点火(初爆)によって過渡的に振幅が大きくなった過渡振動が、発生する。初爆以降は、ステップS08では、要求出力演算部211は、モータECU74を介したモータリング制御を終了し、エンジン1を駆動するための通常の制御を行う。この通常の制御の中には、部分休筒運転、全筒休止運転(低巡航速度時のモータ駆動運転)、アイドリング状態中のアイドリング・ストップも含む。
エンジン発動開始の制御の詳細については、図17から図19の詳細フローチャートの説明で後記する。
ステップS09では、要求出力演算部211は、全筒休止、又はアイドリング・ストップの制御をするか否かをチェックする。全筒休止、又はアイドリング・ストップの制御をする場合(Yes)は、ステップS11へ進み、そうでない場合(No)は、ステップS10へ進む。
ステップS10では、要求出力演算部211は、IG−SWがOFFか否かをチェックする。IG−SWがOFFの場合(Yes)は、ステップS11へ進み、そうでない場合(No)は、ステップS08へ戻る。ステップS11では、エンジン停止信号をCAN通信で送信する。
ステップS12では、エンジン1を停止する。
これで、一連のエンジン1の始動・停止の制御が終了するが、エンジン1の全筒休止運転、又はアイドリング・ストップの場合は、ステップS01に戻り、エンジン1の始動・停止が繰り返し実施されることになる。
一方、ACM_ECU71におけるマイクロコンピュータ71aは、マイクロコンピュータ73aにおけるステップS01の実施に伴って、能動型防振支持装置101の防振制御をスタートさせる。
ステップS21では、エンジン回転モード判定部233(図12参照)は、CAN通信制御部231(図12参照)を介して、エンジン・AT_ECU73のマイクロコンピュータ73aからのモータリングスタート信号を受信する。その結果、ステップS22では、エンジン回転モード判定部233は、エンジン1の始動のモータリング状態と判定し、タイマtをスタートさせる。ステップS23では、モータリング時ロール固有振動制御部241(図12参照)に、モータリング時のロール固有振動の伝達を抑制するACM制御をさせる。モータリング時のロール固有振動の伝達を抑制するACM制御については、前記特願2009−119287の明細書の段落[0110]〜[0118]の記載及び図10から図12のフローチャートに詳細に記載されているので省略する。
ステップS24では、エンジン回転モード判定部233は、CAN通信制御部231を介して、エンジン・AT_ECU73のマイクロコンピュータ73aからの初回のインジェクション信号及び初爆気筒を示す信号を受信したか否かをチェックする。受信した場合(Yes)は、ステップS25へ進み、受信しなかった場合は、ステップS24を繰り返す。
ステップS25では、エンジン回転モード判定部233は、エンジン1の初爆振動制御開始と判定し、初爆振動制御部243において、タイマtをスタートさせ、ステップS26では、エンジン回転モード判定部233は、初爆振動の伝達を抑制するACM制御をさせる。ステップS26における詳細な初爆振動の伝達を抑制するACM制御については、図16に示すフローチャートで詳細に説明する。
ステップS27では、エンジン回転モード判定部233は、通常のACM制御を振動状態推定部234(図12参照)、位相検出部235(図12参照)にさせる。ここで、通常のACM制御とは、エンジン1のアイドリング状態、全筒運転状態、部分休筒運転状態のエンジン振動の抑制制御を意味する。
ステップS28では、エンジン回転モード判定部233は、CAN通信制御部231を介して、エンジン・AT_ECU73のマイクロコンピュータ73aからのエンジン停止信号を受信したか否かをチェックする。受信した場合(Yes)は、ステップS29へ進み、受信しなかった場合は、ステップS27を繰り返す。
ステップS29では、エンジン停止時振動制御部245(図12参照)が、前回のエンジン停止時にロール固有振動を学習して、不揮発メモリに記憶したエンジン振動の周期、振動ゲイン、振動期間にもとづきエンジン停止時振動の伝達を抑制制御する(「エンジン停止時振動の伝達を抑制するACM制御」)。
以上で、一連のエンジン振動の伝達を抑制するACM制御を終了する。
次に、図16を参照しながら、適宜、図4、図12から図14を参照して、図15に示したフローチャートのステップS26におけるエンジン始動の際の初爆振動に対するACM制御(初爆振動抑制制御)の方法について説明する。図16は、エンジン始動の際の初爆振動に対するACM制御(初爆振動抑制制御)の流れを示す詳細フローチャートである。
この制御は、ROMに格納されたプログラムをマイクロコンピュータ71a(図12参照)で実行するときに実現される機能部である駆動電流演算部236、駆動制御部238A,238B、初爆振動制御部243において行われる。
ステップS31では、初爆振動制御部243は、エンジン回転モード判定部233を介して、タイマtにもとづき、始動から(エンジン・AT_ECU73からのモータリングスタート信号を受信してから)、図15の全体フローチャートのステップS24において初回のインジェクション信号及び初爆気筒を示す信号を受信するまでの時間tIinjを取得する。ステップS32では、初爆振動制御部243は、タイマtをリセットする。ステップS33では、初爆振動制御部243は、CAN通信制御部231及びエンジン回転モード判定部233を介してAT油温TTOとエンジン回転速度Neを取得する。そして、ステップS34では、初爆振動制御部243は、ステップS33で取得されたエンジン回転速度Neを参照し、初爆オフセット時間テーブル647(図13参照)にもとづいて初爆オフセット時間tIoffsetを取得する。
ステップS35では、初爆振動制御部243は、時間tIinjとステップS33で取得されたAT油温TTOとを参照して、データ部243b(図12参照)の第1の初爆振動マップ649(図14参照)にもとづいて、初爆振動のゲイン及び期間を決定する。
ステップS36では、初爆振動制御部243は、ステップS35で決定された初爆振動のゲイン(加速度)及び期間を示す電流制御指令値を生成し、ステップS37ではその電流制御指令値を、CAN通信制御部231及びCAN通信部71bを介してエンジン・AT_ECU73に送信する。
ステップS38では、初爆振動制御部243は、タイマtがtIoffset以上か否か(タイマt≧tIoffset?)をチェックする。タイマtがtIoffset以上の場合(Yes)は、ステップS39へ進み、そうでない場合(No)は、ステップS38を繰り返す。
ステップS39では、初爆振動制御部243は、ステップS34で決定された初爆オフセット時間tIoffsetに達したタイミングで、ステップS35で決定された初爆振動のゲイン及び期間と、エンジン振動の伝達を抑制するACM制御データを駆動電流演算部236へ出力する。駆動電流演算部236は、前方アクティブ・コントロール・マウントMと後方アクティブ・コントロール・マウントMに対する駆動電流波形を生成し、生成したそれぞれの駆動電流波形をPWM制御の所定の周期でサンプリングしてACM駆動目標電流値とし、駆動制御部238A,238Bそれぞれに出力する。そして、ステップS40では、初爆振動制御部243は、タイマtをリセットし、図15の全体フローチャートのステップS27へ進む。
ここでは、図14の第1の初爆振動マップ649にもとづいて決定される初爆振動のゲインは、初爆振動の期間とともに、始動から初回のインジェクション信号及び初爆気筒を示す信号を受信するまでの時間tIinj並びにAT油温TTOを参照して一意に決められ、その期間終了後の制御については説明していないが、その後の初爆振動のゲインを、例えば、イクスポネンシャルに減衰する初爆振動のゲインとして、滑らかにこの初爆振動の抑制制御を終了させることが好ましい。
次に、図17から図19を参照しながら、適宜、図4から図16を参照して、図15に示したフローチャートのステップS07におけるエンジン発動開始の制御の方法、特に、初爆エネルギの制御の方法について説明する。図17から図19は、エンジン・AT_ECUにおけるエンジン発動開始の制御の流れを示す詳細フローチャートである。
この制御は主にエンジン始動時制御部211a(図4参照)において行われる。
ステップS51では、図15の全体フローチャートにおけるステップS06において受信した電流制御指令値にもとづいて、要求入力振動値GReqを取得する。ここで、要求入力振動値GReqは、図16の詳細フローチャートのステップS35で決定された初爆振動のゲイン(加速度)である。
ステップS52では、標準の初爆用の燃料噴射量にもとづいて空燃比(A/F)を演算する。
なお、前記したように空燃比(A/F)は、燃料噴射量、エンジン温度をほぼ示す冷却水温度T、インテーク・マニホールド圧PIMから容易に算出される。
ステップS53では、標準の初爆用の点火時期、ステップS52において演算された空燃比(A/F)、インテーク・マニホールド圧PIM、冷却水温度T等にもとづいて、初爆エネルギ演算マップ641(図5参照)により初爆エネルギEFExp1を演算する。
次いで、ステップS54では、ステップS53において演算された初爆エネルギEFExp1からアクティブ・コントロール・マウントM,Mに入力される入力振動値GEstを演算する。この演算は、初爆エネルギ制御データ部73a(図4参照)に含まれる図6に例示した入力振動値演算マップ642から容易に演算できる。
ステップS55では、ステップS51で取得された要求入力振動値GReqとステップS54で演算された入力振動値GEstの差ΔGV1を演算する(ΔGV1=GReq−GEst)。
ステップS56では、差ΔGV1に応じて第1の初爆エネルギ補正量ΔEFExp1を、初爆エネルギ制御データ部73a(図4参照)に含まれる第1初爆エネルギ補正量演算マップ643(図7参照)にもとづいて演算する。
ステップS57では、トータル初爆エネルギ補正量ΔEFExpTを第1の初爆エネルギ補正量ΔEFExp1と置く(ΔEFExpT=ΔEFExp1)。
ステップS58では、不揮発メモリ73cに記憶されたフラグIFLAGAが立っているか否か、つまり、IFLAGA=1か否かをチェックする。IFLAGAは、初爆エネルギEFExp1から推定されるアクティブ・コントロール・マウントM,Mに入力される入力振動値GEstと実入力振動センサSA1で検出された実入力振動値GRealとの差の絶対値|ΔGV2|が所定の閾値ε1以上であるか否かを判定した結果を示すフラグであり、不揮発メモリ73cに記憶された初期設定はIFLAGA=0である。エンジン1の経年特性変化により、後記するステップS74において、|ΔGV2|≧ε1のとき、IFLAGA=1となり、不揮発メモリ73cに書き込まれる。
IFLAGA=1の場合(Yes)は、ステップS59へ進み、IFLAGA≠1の場合(No)は、結合子(A)に従って、図18のステップS60へ進む。
ステップS59では、ステップS57において演算されたトータル初爆エネルギ補正量ΔEFExpTに第2の初爆エネルギ補正量ΔEFExp2を加算する(ΔEFExpT=ΔEFExpT+ΔEFExp2)。
この第2の初爆エネルギ補正量ΔEFExp2は、AT油温TTO、点火時期(クランク角)、始動から噴射までの時間tIinjを参照して、不揮発メモリ73cに蓄積された初爆エネルギ補正量マップ645A(図11参照)にもとづいて、容易に演算できる。ここで、第2の初爆エネルギ補正量ΔEFExp2としては、初爆エネルギ補正量マップ645Aの前記したAT油温TTO、点火時期(クランク角)、始動から噴射までの時間tIinjのパラメータから求まる各欄645cに所定個数含まれるΔEFExp2の移動平均値〈ΔEFExp2〉を内挿補間演算することによって、求まった値を第2の初爆エネルギ補正量ΔEFExp2と称する。
その後、結合子(A)に従って、図18のステップS60へ進む。
ステップS60では、不揮発メモリ73cに記憶されたフラグIFLAGBが立っているか否か、つまり、IFLAGB=1か否かをチェックする。IFLAGBは、アクティブ・コントロール・マウントM,Mにエンジン振動が入力され、車体に実際に伝達された伝達振動を検出する実伝達振動センサSA2(図4参照)から得られる実伝達振動値GTRealと目標実伝達振動値GT0の差ΔGV3(=GT0−GTReal)が所定の負の閾値−ε2以下であるか否かを判定した結果を示すフラグである。不揮発メモリ73cに記憶された初期設定はIFLAGB=0であるが、アクティブ・コントロール・マウントM,Mの経年特性変化により、後記するステップS76において、ΔGV3≦−ε2のとき、IFLAGB=1となり、不揮発メモリ73cに書き込まれる。
IFLAGB=1の場合(Yes)は、ステップS61へ進み、IFLAGA≠1の場合(No)は、ステップS62へ進む。
ステップS61では、ステップS57、又は、ステップS59において演算されたトータル初爆エネルギ補正量ΔEFExpTに第3の初爆エネルギ補正量ΔEFExp3を加算する(ΔEFExpT=ΔEFExpT+ΔEFExp3)。
この第3の初爆エネルギ補正量ΔEFExp3は、AT油温TTO、点火時期(クランク角)、始動から噴射までの時間tIinjを参照して、不揮発メモリ73cに蓄積された初爆エネルギ補正量マップ645B(図11参照)にもとづいて、容易に演算できる。ここで、第3の初爆エネルギ補正量ΔEFExp3としては、初爆エネルギ補正量マップ645Bの前記したAT油温TTO、点火時期(クランク角)、始動から噴射までの時間tIinjのパラメータから求まる各欄645dに所定個数含まれるΔEFExp3の移動平均値〈ΔEFExp2〉を内挿補間演算することによって求まった値を第3の初爆エネルギ補正量ΔEFExp3と称する。
ステップS62では、初爆エネルギを増減させる補正パラメータ(燃料噴射量、点火時期)の補正量を初爆エネルギ制御量補正演算マップ646(図10参照)にもとづいて演算する。
ステップS63では、ステップS62おいて得られた補正パラメータの補正量を反映して、初爆エネルギ演算マップ641(図5参照)により初爆エネルギEFExp1を再演算する。
ステップS64では、標準の初爆用の燃料噴射量及び点火時期に対してステップS62おいて得られた補正パラメータの補正量による補正を行って設定し、燃料噴射制御部213に補正された燃料噴射量を、点火時期制御部214に補正された点火時期を出力する。ステップS65では、燃料噴射制御部213及び点火時期制御部214が、設定された初爆用の燃料噴射量及び点火時期にもとづいて、エンジン1の初爆の実行をする。
ステップS66では、エンジン始動時制御部211aが、補正前の入力振動値GEst、補正後のGEst、その両者の差分ΔGEstをAT油温TTO、時間tIinj、点火時期(クランク角)とともに不揮発メモリに履歴として記憶する。このとき、年月日を含む時刻情報を付加して記憶させると都合が良い。
この履歴は、補正前の入力振動値GEstと補正後のGEstとを記憶させることにより何時から変化が大きくなったか等、エンジン始動時の振動抑制機能に不具合がある場合に原因調査するときに寄与させるものである。ステップS66の後、結合子(B)に従って、図19のステップS67へ進む。
ステップS67では、エンジン始動時制御部211aが、実入力振動センサSA1から実入力振動値GRealを取得するとともに、実伝達振動センサSA2から実伝達振動値GTRealを取得する。
ステップS68では、入力振動値GEstと実入力振動値GRealとの差分ΔGV2を演算する(ΔGV2=GEst−GReal)。
ステップS69では、目標実伝達振動値GT0と実伝達振動値GTRealとの差分ΔGV3を演算する(ΔGV3=GT0−GTReal)。ここで、目標実伝達振動値GT0は、予め設定された固定値である。
ステップS70では、差分ΔGV2から第2の初爆エネルギ補正量ΔEFExp2を第2初爆エネルギ補正量演算マップ644A(図8参照)にもとづいて演算する。このとき、パラメータとしてAT油温TTO、始動から噴射までの時間tIinj、点火時期(クランク角)を用いて内挿補間演算により第2の初爆エネルギ補正量ΔEFExp2を求める。
次いで、ステップS71では、ステップS70において演算された第2の初爆エネルギ補正量ΔEFExp2を不揮発メモリ73cの初爆エネルギ補正量マップ645A(図11参照)に蓄積する。このとき、パラメータとしてAT油温TTO、始動から噴射までの時間tIinj、点火時期(クランク角)を用いて、該当する欄645c(図11参照)に第2の初爆エネルギ補正量ΔEFExp2を蓄積する。
ステップS72では、差分ΔGV3から第3の初爆エネルギ補正量ΔEFExp3を第3初爆エネルギ補正量演算マップ644B(図9参照)にもとづいて演算する。このとき、パラメータとしてAT油温TTO、始動から噴射までの時間tIinj、点火時期(クランク角)を用いて内挿補間演算により第3の初爆エネルギ補正量ΔEFExp3を求める。
次いで、ステップS73では、ステップS72において演算された第3の初爆エネルギ補正量ΔEFExp3を不揮発メモリ73cの初爆エネルギ補正量マップ645B(図11参照)に蓄積する。このとき、パラメータとしてAT油温TTO、始動から噴射までの時間tIinj、点火時期(クランク角)を用いて、該当する欄645d(図11参照)に第3の初爆エネルギ補正量ΔEFExp3を蓄積する。
ステップS74では、差分ΔGV2の絶対値が所定の閾値ε1以上か否かをチェックする。所定の閾値ε1以上の場合(Yes)は、ステップS75へ進み、所定の閾値ε1未満の場合(No)は、ステップS76へ進む。ステップS75では、IFLAGA=1として、不揮発メモリ73cに記憶する。
ステップS76では、差分ΔGV3が所定の閾値−ε2以下か否かをチェックする。所定の閾値−ε2以下の場合(Yes)は、ステップS77へ進み、所定の閾値−ε2より大の場合(No)は、ステップS08へ進む。ステップS77では、IFLAGB=1として、不揮発メモリ73cに記憶する。
ここで、閾値ε1の値は、例えば、入力振動値GEstの20%程度の値、閾値ε2の値は、例えば、目標実伝達振動値GT0の20%程度の値とする。
以上で一連のエンジン発動開始の制御を終了する。
図17から図19のフローチャートにおいてステップS52,S53が特許請求の範囲に記載の「初爆エネルギ推定手段」に、ステップS54が「入力振動推定手段」に、ステップS55が「振動値差分演算手段」に、ステップS56が「第1初爆エネルギ補正量算出手段」に、ステップS67が「実入力振動検出手段」及び「実伝達振動検出手段」に、ステップS68、S70が「第2初爆エネルギ補正量算出手段」に、ステップS71が「第2補正量記憶手段」に、ステップS69、S72が「第3初爆エネルギ補正量算出手段」に、ステップS73が「第3補正量記憶手段」に、ステップS57〜S62,S64、S65が「初爆エネルギ制御手段」に対応する。
本実施形態によれば、ACM_ECU71(図12参照)の主に初爆振動制御部243(図12参照)におけるエンジン始動の際の初爆振動に対するACM制御により、エンジン回転モード判定部233(図12参照)が、初回のインジェクション信号及び初爆気筒を示す信号を受信して初爆振動状態と判定し、初爆振動制御部243が、始動(モータリングスタート信号の受信)から初回のインジェクション信号及び初爆気筒を示す信号を受信するまでの時間tIinjを取得するとともに、そのときのAT油温TTOを取得する。そして、初爆振動制御部243は、その時間tIinjと取得されたAT油温TTOを参照して、第1の初爆振動マップ649にもとづいて決定された初爆振動のゲイン及び期間に応じて初爆振動の伝達を抑制する。
従って、例えば、時間tIinjが短い場合は、初爆振動のゲインが大きくなり易く、初爆振動の期間が長く続く傾向を考慮して初爆振動の抑制制御を行うことができる。
逆に、時間tIinjが長い場合は、初爆振動のゲインがあまり大きくならず、初爆振動の期間も短い傾向を考慮して初爆振動の抑制制御を行うことができる。
さらに、例えば、AT油温TTOが低くて粘性が高く、トルクコンバータ3aの抵抗が大きい場合は、初爆振動が大きくなり易く、振動期間が長く続く傾向を考慮して初爆振動の伝達を抑制できる。逆に、AT油温TTOが高くて粘性が低く、トルクコンバータ3aの抵抗が小さい場合は、初爆振動があまり大きくならず、振動期間が短い傾向を考慮して初爆振動の伝達を抑制できる。
このとき、初爆振動制御部243は、ステップS34(図16参照)で、エンジン回転速度Neを参照して、初爆オフセット時間テーブル647(図13参照)にもとづいて初爆オフセット時間tIoffsetを決定し、ステップS38(図16参照)では、初爆オフセット時間tIoffsetに達したタイミングをチェックし、ステップS39においてステップS35(図16参照)で決定された初爆振動のゲイン及び期間と、エンジン振動の伝達を抑制するACM制御データを駆動電流演算部236へ出力する。従って、初爆振動の開始の周期に合わせて適切なタイミングに初爆振動の抑制制御ができる。
また、本実施形態によれば、図20の(a),(b)に示すように初爆エネルギEFExp1がエンジン温度(冷却水温度Tで検出)や、インテーク・マニホールド圧によって変化する場合も、エンジン始動時制御部211aにおいて初爆エネルギ演算マップ641(図5参照)を用いて推定演算し、アクティブ・コントロール・マウントM,Mに入力される入力振動値GEstを入力振動値演算マップ642(図6参照)にもとづいて演算する。さらに、エンジン始動時制御部211aは、入力振動値GEstと、ACM_ECU71側から入力される電流制御指令値から取得された要求入力振動値GReqとの差分ΔGV1を算出し、差分ΔGV1から第1の初爆エネルギ補正量ΔEFExp1を算出する。そして、初爆エネルギ制御量補正演算マップ646にもとづいて、燃料噴射量や点火時期(クランク角)を標準の初爆用の燃料噴射量や点火時期から補正して、要求入力振動値GReqに応じた所定の初爆エネルギに調節して初爆の制御を行う。
その結果、アクティブ・コントロール・マウントM,MがACM_ECU71により設定された初爆振動のゲイン(要求入力振動値GReq)がAT油温TTOや、時間tIinjに応じて予め固定設定されたものであるが、差分ΔGV1が生じる場合にも、エンジン・AT_ECU73側で初爆エネルギを調節して、車体側に伝達される振動を目標値内にすることができる。つまり、ACM_ECU71により設定された初爆振動のゲインに応じた駆動電流波形が駆動電流演算部236(図12参照)において生成された後でも、エンジン始動時制御部211aにおける初爆エネルギの調整により、車体側に伝達される振動を目標値内にすることができる。
また、エンジン1の経年変化により入力振動値演算マップ642(図6参照)にもとづく推定された入力振動値GEstがずれた場合でも、入力振動値GEstと実入力振動値GRealとの差分ΔGV2の絶対値が所定の閾値ε1以上の場合は、不揮発メモリ73cに学習された第2の初爆エネルギ補正量ΔEFExp2を加算したトータル初爆エネルギ補正量ΔEFExpTにもとづいて、初爆エネルギ制御量補正演算マップ646により燃料噴射量や点火時期(クランク角)の補正量を演算し、標準の初爆用の燃料噴射量や点火時期から補正して、要求入力振動値GReqに応じた所定の初爆エネルギに調節して初爆の制御を行う。
従って、エンジン1の経年変化により初爆振動の入力振動値GEstの誤差が増加する場合にも、第2の初爆エネルギ補正量ΔEFExp2を考慮した初爆エネルギの調整により、車体側に伝達される振動を目標値内にすることができる。
なお、所定の閾値ε1が適切に設定されることにより、初爆エネルギ補正量マップ645A(図11参照)の各欄645cに十分な第2の初爆エネルギ補正量ΔEFExp2のデータが蓄積され、各欄645cに最寄の所定個数蓄積された第2の初爆エネルギ補正量ΔEFExp2のデータにより移動平気均〈ΔEFExp2〉が算出でき、パラメータであるAT油温TTO、点火時期(クランク角)、始動から噴射までの時間tIinjによる内挿補間演算により目的の移動平気均〈ΔEFExp2〉を求めて、図17のステップS59で用いられる第2の初爆エネルギ補正量ΔEFExp2とすることができる。
ちなみに、差分ΔGV2の絶対値が所定の閾値ε1以上の場合、つまり、IFLAGA=1が立てられ不揮発メモリ73cに記憶されたときに、次回のエンジン始動の際に、不揮発メモリ73cに蓄積して学習された第2の初爆エネルギ補正量ΔEFExp2を用いるので、それまで十分な第2の初爆エネルギ補正量ΔEFExp2のデータを初爆エネルギ補正量マップ645Aに蓄積できるので誤学習を防止できる。
さらに、アクティブ・コントロール・マウントM,Mの経年変化により車体への振動減衰特性が変化した場合でも、目標実伝達振動値GT0と実伝達振動値GTRealとの差分ΔGV3が所定の閾値−ε2以下の場合は、不揮発メモリ73cに学習された第3の初爆エネルギ補正量ΔEFExp3を加算したトータル初爆エネルギ補正量ΔEFExpTにもとづいて、初爆エネルギ制御量補正演算マップ646により燃料噴射量や点火時期(クランク角)の補正量を演算し、標準の初爆用の燃料噴射量や点火時期から補正して、要求入力振動値GReqに応じた所定の初爆エネルギに調節して初爆の制御を行う。
従って、アクティブ・コントロール・マウントM,Mの経年変化により振動伝達減衰特性が劣化する場合にも、初爆エネルギの調整により、車体側に伝達される振動を目標値内にすることができる。
なお、所定の閾値ε2が適切に設定されることにより、初爆エネルギ補正量マップ645B(図11参照)の各欄645dに十分な第3の初爆エネルギ補正量ΔEFExp3のデータが蓄積され、各欄645dに最寄の所定個数蓄積された第2の初爆エネルギ補正量ΔEFExp3のデータにより移動平気均〈ΔEFExp2〉が算出でき、パラメータであるAT油温TTO、点火時期(クランク角)、始動から噴射までの時間tIinjによる内挿補間演算により目的の移動平気均〈ΔEFExp2〉を求めて、図18のステップS61で用いられる第3の初爆エネルギ補正量ΔEFExp3とすることができる。
ちなみに、差分ΔGV3が所定の閾値ε2以下の場合、つまり、IFLAGB=1が立てられ不揮発メモリ73cに記憶されたときに、次回のエンジン始動の際に、不揮発メモリ73cに蓄積して学習された第3の初爆エネルギ補正量ΔEFExp3を用いるので、それまで十分な第3の初爆エネルギ補正量ΔEFExp3のデータを初爆エネルギ補正量マップ645Bに蓄積できるので誤学習を防止できる。
従って、従来技術では図20の(b)に示すように初爆エネルギがばらつくと、図20の(b)の下段の図のX部に示すようにアクティブ・コントロール・マウント(ACM)M,Mの初爆振動抑制のための振動低減入力値(電流波形)所定値に設定されているので、中段の図に示した破線のY部に示すようにエンジン振動の振幅や加速度が増加し、実線に示すZ部のように車体に伝達されるACM減衰後の振動が大きくなるという問題が解消される。
《第1の変形例》
次に、図21、図22を参照しながら、適宜、図13を参照して、本実施形態の第1の変形例について説明する。
図21は、エンジン始動の際の始動から初爆までの時間とインテーク・マニホールド圧の関係を示す説明図であり、(a)は、始動から最初のインジェクション信号を発するまでのタイミングの変動を示す説明図、(b)は、(a)に対応したエンジン回転速度の時間推移を示す説明図、(c)は、(a)に対応したインテーク・マニホールド圧の時間推移を示す説明図である。図22は、第2の初爆振動マップの説明図である。
図21の(a)に示すように初爆振動制御部243(図12参照)において検出するモータリングスタート信号受信から初回のインジェクション信号受信までの時間tIinj(図21の(a)では、「始動から噴射までの時間tIinj」と表示)の例、tIinj1=0.4sec,tIinj2=0.8sec,tIinj3=1.2secという変化に応じて、図21の(b)に示すように初爆によるエンジン回転速度Neのピーク時間texp1,texp2,texp3がずれ、図21の(c)に示すように、インテーク・マニホールド圧PIMは、エンジン始動の際スロットルバルブが閉じられているので、時間tIinjが長くなるほどインテーク・マニホールド圧PIMも低下する。
そこで、図21に示した時間tIinjとAT油温TTOをパラメータとして用いた初爆振動のゲイン及び期間を決定する第1の初爆振動マップ649の代わりに、インテーク・マニホールド圧PIMとAT油温TTOをパラメータとして用いた図22に示すような第2の初爆振動マップ650で代替可能なことが分かる。
この場合、図12における初爆振動制御部243のデータ部243bには、第2の初爆振動マップ650が予め記憶されている。
ここで、図22を参照しながら、第2の初爆振動マップ650について説明する。第2の初爆振動マップ650は、前記したように初爆振動のゲイン決定マップ及び初爆振動の期間決定マップのデータを、AT油温TTOをパラメータとして構成されたものである。初爆振動のゲイン決定マップは、例えば、図22に示すように初爆振動のゲイン曲線X3にもとづくものであり、横軸に、インテーク・マニホールド圧PIM(図22では、「インテーク・マニホールド圧PIM(mmHg)」と表示)を示し、右側の縦軸に初爆振動のゲインを示す。
初爆振動のゲイン曲線X3は、インテーク・マニホールド圧PIMの負圧が大きいほど初爆振動のゲインは小さい値となり、インテーク・マニホールド圧PIMの負圧が小さいほど初爆振動のゲインは大きい値となるように対応付けられている。
また、初爆振動の期間決定マップは、第2の初爆振動マップ650の初爆振動の期間曲線Y3にもとづくものであり、左側の縦軸に初爆振動の期間を、例えば、TDCパルス信号間の区間数で示す。初爆振動の期間曲線Y3は、インテーク・マニホールド圧PIMの負圧が大きいほど初爆振動の期間は短い値となり、インテーク・マニホールド圧PIMの負圧が小さいほど初爆振動の期間は長い値となるように対応付けられている。
このような第2の初爆振動マップ650を用いた本変形例においては、図15におけるフローチャートのステップS22と図16におけるステップS32とを削除し、図16におけるステップS31を「初爆振動制御部243は、CAN通信制御部231及びエンジン回転モード判定部233を介してインテーク・マニホールド圧PIMを取得する。」と読み替える。また、ステップS35を「初爆振動制御部243は、ステップS31で取得されたインテーク・マニホールド圧PIMとステップS33で取得されたAT油温TTOとを参照して、データ部243b(図5参照)の第2の初爆振動マップ650にもとづいて、初爆振動のゲイン及び期間を決定する。」と読み替える。
本変形例によっても、前記した実施形態と同様に、インテーク・マニホールド圧PIMの負圧が大きい場合、つまり時間tIinjが長い場合は、初爆振動のゲインがあまり大きくならず、初爆振動の期間が短くなる傾向を考慮して初爆振動の抑制制御を行うことができる。
逆に、インテーク・マニホールド圧PIMの負圧が低い場合、つまり時間tIinjが短い場合は、初爆振動のゲインが大きくなり易く、初爆振動の期間も長い傾向を考慮して初爆振動の抑制制御を行うことができる。
さらに、例えば、AT油温TTOが低くて粘性が高く、トルクコンバータ3aの抵抗が大きい場合は、初爆振動が大きくなり易く、振動期間が長く続く傾向を考慮して初爆振動の伝達を抑制できる。逆に、AT油温TTOが高くて粘性が低く、トルクコンバータ3aの抵抗が小さい場合は、初爆振動があまり大きくならず、振動期間が短い傾向を考慮して初爆振動の伝達を抑制できる。
このとき、初爆振動制御部243は、エンジン回転速度Neを参照して、初爆オフセット時間テーブル647(図13参照)にもとづいて初爆オフセット時間tIoffsetを決定し、初爆オフセット時間tIoffsetに達したタイミングで、初爆振動のゲイン及び期間と、エンジン振動の伝達を抑制するACM制御データを駆動電流演算部236へ出力する。従って、初爆振動の開始の周期に合わせて適切なタイミングに初爆振動の抑制制御ができる。
なお、本実施形態及びその第1の変形例では、第1の初爆振動マップ649、第2の初爆振動マップ650の構成は、初爆気筒の識別子(初爆気筒を示す信号)をパラメータにしていないが、V型6気筒エンジンの場合、初爆気筒により、初爆振動のゲイン及び期間が異なることから、初爆気筒の識別子(初爆気筒を示す信号)をさらにパラメータとして加えて、初爆振動のゲイン及び期間を決定することが望ましい。
また、本実施形態及びその第1の変形例では、第1の初爆振動マップ649、第2の初爆振動マップ650において、初爆振動のゲインをAT油温TTO、時間tIinj、又はAT油温TTO、インテーク・マニホールド圧PIMをパラメータにして予め記憶させて用いることにしたがそれに限定されるものではない。
所定値に固定した初爆振動のゲインとしても良い。なぜならば、エンジン・AT_ECU73側で固定した初爆振動のゲインに応じた初爆エネルギの補正を行い車体に入力される実伝達振動値GTRealを目標値内に抑制することができるからである。
《第2の変形例》
さらに、本実施形態においては、図17のフローチャートにおいて、ステップS55でステップS51にて取得された要求入力振動値GReqとステップS54にて演算された入力振動値GEstの差ΔGV1を演算(ΔGV1=GReq−GEst)し、ステップS56で差ΔGV1に応じた第1の初爆エネルギ補正量ΔEFExp1を、初爆エネルギ制御データ部73a(図4参照)に含まれる第1初爆エネルギ補正量演算マップ643(図7参照)にもとづいて演算し、その後、ステップS57で直接ΔEFExpT=ΔEFExp1として用いているが、それに限定されるものではない。
ステップS56で演算された第1の初爆エネルギ補正量ΔEFExp1のうち、イグニッションキーをスイッチオンして一連の走行を開始して以降のアイドリング・ストップ後のエンジン始動時毎に演算された第1の初爆エネルギ補正量ΔEFExp1をRAMに履歴として蓄積記憶させることにしても良い。
この変形例の場合、イグニッションキーをスイッチオン後のエンジン始動の際、及び1回目のアイドリング・ストップからのエンジン再始動の際の第1の初爆エネルギ補正量ΔEFExp1の演算は、図17のフローチャートにおけるステップS51〜S56の時間順序で実行されるが、2回目以降のアイドリング・ストップからのエンジン再始動の際にはステップS51〜S53の後、ステップS57へ進む。
そして、ステップS57においては、走行開始後の2回目以降のアイドリング・ストップ後のエンジン再始動の際の第1の初爆エネルギ補正量ΔEFExp1としては、RAMに蓄積された時間的に最寄りの第1の初爆エネルギ補正量ΔEFExp1を用いてΔEFExpT=ΔEFExp1とするか、または、所定数、例えば、N回のアイドリング・ストップの回数を越えた場合には、RAMに蓄積された時間的に最寄りの所定数N個の第1の初爆エネルギ補正量ΔEFExp1の値の移動平均値<ΔEFExp1>を第1の初爆エネルギ補正量として算出して、ΔEFExpT=<ΔEFExp1>とする。
このように、イグニッションキーをスイッチオンして一連の走行を開始してから第2回目以降のアイドリング・ストップ後のエンジン再始動の際の第1の初爆エネルギ補正量ΔEFExp1の演算は、図17のフローチャートにおけるステップS54〜S56のタイミングではなく、図18のフローチャートにおけるステップS65以降で、かつ、図19のステップS08より前の適当なタイミングにおいてステップS54〜S56の処理の内容を行い、その結果を前記したように履歴としてRAMに蓄積記憶させる。
このようにすることにより、一連の走行を開始して、2回目以降のアイドリング・ストップからのエンジンの再始動の際の第1の初爆エネルギ補正量としてRAMに蓄積記憶された時間的に最寄りの第1の初爆エネルギ補正量ΔEFExp1、または時間的に最寄りの所定個数N個の第1の初爆エネルギ補正量の移動平均値<ΔEFExp1>値を用いる方がより短時間の制御処理時間内にステップS57で用いることができ、エンジン始動の際の初爆エネルギの制御がより高速で簡便に学習で実行できる。
このように一連の走行を開始して、2回目以降のアイドリング・ストップからのエンジンの再始動の際の第1の初爆エネルギ補正量ΔEFExp1をRAMに蓄積記憶されたものを利用しても、その第1の初爆エネルギ補正量の設定の精度に誤差が大きく生じないのは、例えば、運転者が一度走行を開始してから、市街地走行になり、信号機待ちの都度、度々アイドリング・ストップとなり、信号が青に変化する毎に、アクセルペダルが踏まれてアイドリング・ストップからのエンジン再始動がなされるケースでは、ほぼ2回目以降のアイドリング・ストップからのエンジン再始動の際の標準の初爆用の点火時期、演算された空燃比(A/F)、燃料噴射量、インテーク・マニホールド圧PIM、エンジン温度をほぼ示す冷却水温度T等がほぼ1回目のアイドリング・ストップからのエンジン始動の際のものと同じ環境状態となり、初爆エネルギ演算マップ641(図5参照)により演算される初爆エネルギEFExp1も、ほぼ1回目のアイドリング・ストップからのエンジン再始動の際に演算された初爆エネルギEFExp1の値に近いものになる。
その結果、走行を開始してからのアイドリング・ストップの回数を計数し、2回目以降のアイドリング・ストップからのエンジン再始動の際は、履歴蓄積された最寄りの第1の初爆エネルギ補正量ΔEFExp1、または最寄りの所定個数N個の第1の初爆エネルギ補正量の移動平均値<ΔEFExp1>の値をステップS57で用いても十分な精度であることになる。
なお、エンジン1の始動時は、その日の朝とか昼中とか夕方とかさまざまであり、空気温度が大きく変化しており、また、エンジン1の停止の長さにより冷却水温度Tも大きく変化するので、初爆エネルギEFExp1は、その都度大きく変化する。しかも、第1の初爆エネルギ補正量ΔEFExp1がRAMに履歴として蓄積記憶させてある構成なので、イグニッションキーをスイッチオフすることによってエンジン・AT_ECU73が電源オフされると、RAMに履歴として蓄積記憶された第1の初爆エネルギ補正量ΔEFExp1はクリアされる。その結果、イグニッションキーをスイッチオンして新たな一連の走行開始後のアイドリング・ストップからのエンジン再始動時に誤って前回走行時の第1の初爆エネルギ補正量ΔEFExp1のデータが誤用されることはない。
1 エンジン
2 モータ
19a 加振板(アクチュエータ)
19b コイル(アクチュエータ)
71 ACM_ECU(防振制御手段)
73 エンジン・AT_ECU(エンジン始動制御手段)
73a マイクロコンピュータ
73a ROM
73a 初爆エネルギ制御データ部
73b CAN通信部
73c 不揮発メモリ(第2補正量記憶手段、第3補正量記憶手段)
101 能動型防振支持装置
125 燃料インジェクタ駆動回路
126 イグナイタ制御回路
127 ソレノイド駆動回路
128 信号検出回路(実入力振動検出手段)
129 信号検出回路(実伝達振動検出手段)
130 スロットルバルブ駆動回路
201 CRKパルス信号線
203 TDCパルス信号線
205 気筒休止信号線
207 CAN通信線
210 エンジン回転速度演算部
211 要求出力演算部
211a エンジン始動時制御部(初爆エネルギ制御手段)
212 気筒数切替制御部
213 燃料噴射制御部
214 点火時期制御部
217 エンジン制御パラメータ送受信部
232 CRKパルス間隔演算部
233 エンジン回転モード判定部
234 振動状態推定部
235 位相検出部
236 駆動電流演算部
238A,238B 駆動制御部
243 初爆振動制御部
641 初爆エネルギ演算マップ
642 入力振動値演算マップ
643 第1初爆エネルギ補正量演算マップ(第1初爆エネルギ補正量算出手段)
644A 第2初爆エネルギ補正量演算マップ(第2初爆エネルギ補正量算出手段)
644B 第3初爆エネルギ補正量演算マップ(第3初爆エネルギ補正量算出手段)
646 初爆エネルギ制御量補正演算マップ(初爆エネルギ制御手段)
645A 初爆エネルギ補正量マップ(第2補正量記憶手段)
645B 初爆エネルギ補正量マップ(第3補正量記憶手段)
M,M,M アクティブ・コントロール・マウント
Sa CRKセンサ
Sb TDCセンサ
A1 実入力振動センサ(実入力振動検出手段)
A2 実伝達振動センサ(実伝達振動検出手段)

Claims (7)

  1. エンジンの振動状態に応じて防振制御手段がアクチュエータを伸縮駆動し、前記エンジンの振動の車体への伝達を抑制する能動型防振支持装置により支持された前記エンジンを搭載した車両における前記エンジンの始動を制御するエンジン始動制御装置であって、
    前記エンジンの始動における初爆を制御する際に、前記能動型防振支持装置による初爆振動の振幅を抑制するための電流制御指令値にもとづいて前記エンジンの初爆エネルギを増減させることを特徴とするエンジン始動制御装置。
  2. 前記初爆エネルギは、点火時期及び空燃比の内の少なくとも1つを制御することにより増減させることを特徴とする請求項1に記載のエンジン始動制御装置。
  3. 前記エンジンの始動の際の前記エンジンの初爆エネルギを推定する初爆エネルギ推定手段と、
    前記推定された初爆エネルギにもとづいて、前記エンジンから前記能動型防振支持装置への入力振動値を推定する入力振動推定手段と、
    前記推定された入力振動値と、前記能動型防振支持装置からの前記電流制御指令値にもとづく要求入力振動値との差分を演算する振動値差分演算手段と、
    前記演算された差分にもとづいて、第1の初爆エネルギ補正量を演算する第1初爆エネルギ補正量算出手段と、
    前記演算された差分を減少させるように前記演算された第1の初爆エネルギ補正量により前記初爆エネルギを補正する初爆エネルギ制御手段と、を備えることを特徴とする請求項1に記載のエンジン始動制御装置。
  4. 前記初爆エネルギ制御手段は、点火時期及び空燃比の内の少なくとも1つを制御することにより前記初爆エネルギを増減させることを特徴とする請求項3に記載のエンジン始動制御装置。
  5. さらに、前記エンジンに設けられ、前記初爆による前記能動型防振支持装置への実入力振動値を検出する実入力振動検出手段と、
    前記推定された入力振動値と前記検出された実入力振動値とを比較して、第2の初爆エネルギ補正量を演算する第2初爆エネルギ補正量算出手段と、を備え、
    前記初爆エネルギ制御手段は、前記演算された第2の初爆エネルギ補正量にもとづいて前記初爆エネルギを補正することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のエンジン始動制御装置。
  6. さらに、前記第2初爆エネルギ補正量算出手段において演算された前記第2の初爆エネルギ補正量を記憶する第2補正量記憶手段を備え、
    前記第2初爆エネルギ補正量算出手段において、前記推定された入力振動値と前記検出された実入力振動値との差分が、所定値以上の差異を生じたときに、
    前記初爆エネルギ制御手段は、
    次回以降の始動時に前記第2補正量記憶手段に記憶された前記第2の初爆エネルギ補正量にもとづいて前記初爆エネルギを補正することを特徴とする請求項5に記載のエンジン始動制御装置。
  7. さらに、前記能動型防振支持装置が固定された前記車体側に設けられ、前記能動型防振支持装置から前記車体側に伝達された実振動伝達値を検出する実伝達振動検出手段と、
    予め設定された目標実伝達振動値と前記検出された実振動伝達値とを比較して第3の初爆エネルギ補正量を演算する第3初爆エネルギ補正量算出手段と、
    前記第3初爆エネルギ補正量算出手段において演算された前記第3の初爆エネルギ補正量を記憶する第3補正量記憶手段と、を備え、
    前記第3初爆エネルギ補正量算出手段において、前記目標実伝達振動値と前記検出された実振動伝達値の差分が、所定値以上の差異を生じたときに、
    前記初爆エネルギ制御手段は、
    次回以降の始動時に前記第3補正量記憶手段に記憶された前記第3の初爆エネルギ補正量にもとづいて前記初爆エネルギを補正することを特徴とする請求項3から請求項6のいずれか1項に記載のエンジン始動制御装置。
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