JP2014228076A - 車両及びエンジンマウント制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】電動機の温度を考慮することで防振性能を向上することが可能な車両及びエンジンマウント制御装置を提供する。【解決手段】車両のエンジンマウント制御装置は、エンジンの始動又は再始動時にアクチュエータによる振動抑制制御を開始する際、エンジンの回転情報に基づく所定の動作開始タイミング及び動作周波数でアクチュエータを駆動させ、電動機の温度が高くなるほど、前記動作開始タイミングを遅くすること及び前記動作周波数の変化率を低くすることの少なくとも一方を行う。【選択図】図3
Description
本発明は、アクチュエータを有するエンジンマウントと、前記アクチュエータを制御するエンジンマウント制御装置を備える車両及びエンジンマウント制御装置に関する。
特許文献1では、エンジン始動時のロール固有振動が車体に伝達されないように適切に振動伝達抑制制御ができる能動型防振支持装置を提供することを目的としている([0006]、要約)。この目的を達成するため、特許文献1のACM_ECU71は、モータリング状態の開始を検出したとき、モータリング時ロール固有振動制御部241において、CAN通信線207を介してエンジン・AT_ECUからエンジン始動前のクランク角を取得する。そして、取得したエンジン始動前のクランク角に応じたロール固有振動の振動開始時期、入力振動荷重、振動周波数、振動の期間をデータ部241aのロール固有振動特性データに基づいて算出し、駆動電流演算部236に駆動電流波形を生成させる。駆動制御部238A、238Bは、駆動電流波形に基づいてアクティブ・コントロール・マウントMF、MRを制御する(要約)。
前記駆動電流波形は、特許文献1の図12に示すフローチャートに基づいて生成される(図12のS36、[0102]〜[0107])。また、駆動電流波形の出力開始タイミング(ロール固有振動の振動開始時期)は、上記のように、エンジン始動前のクランク角に応じて算出される(要約、図12のS34、[0106]等)。
特許文献1では、上記のような方法で駆動電流波形の設定及び駆動電流波形の出力開始タイミング(ロール固有振動の振動開始時期)を設定しているが、モータリング用の電動機の温度の影響が考慮されていなかった。
すなわち、走行用モータやスタータモータ等の電動機を用いてエンジンを始動させる際、電動機の温度により電動機の出力にばらつきが生じ、それによりエンジン回転数の上昇の傾き(速度)が変化してしまう。特許文献1では、このような現象が考慮されていないため、電動機の温度によっては、設定した駆動電流波形やその出力開始タイミングと実際のロール固有振動の周波数や発生タイミングとの間にズレが生じ、防振制御に影響を与える虞があった。
本発明は上記のような課題を考慮してなされたものであり、電動機の温度を考慮することで防振性能を向上することが可能な車両及びエンジンマウント制御装置を提供することを目的とする。
本発明に係る車両は、エンジンと、前記エンジンのモータリング時に前記エンジンに駆動力を伝達する電動機と、前記エンジンの振動を抑制するアクチュエータを備えると共に前記エンジンを車体に支持するエンジンマウントと、前記アクチュエータを駆動させることで前記車体へのエンジン振動の伝達を抑制する振動抑制制御を行うエンジンマウント制御装置と、前記電動機の温度を検出する温度検出手段とを備えるものであって、前記エンジンマウント制御装置は、前記エンジンの始動時又は再始動時に前記アクチュエータによる前記振動抑制制御を開始する際、前記エンジンの回転情報に基づく所定の動作開始タイミング及び動作周波数で前記アクチュエータを駆動させ、前記温度検出手段から取得した前記電動機の温度が高くなるほど、前記動作開始タイミングを遅くすること及び前記動作周波数の変化率を小さくすることの少なくとも一方を行うことを特徴とする。
一般に、電動機はその温度が高いほど出力が低下するため、電動機によるモータリング時のエンジン回転数は立ち上がりが遅くなる。これに伴い、エンジンの始動時又は再始動時に発生するエンジン振動の発生タイミングが遅くなり又はエンジン振動の周波数の変化率が小さくなる。
本発明によれば、電動機の温度が高いほど、モータリング時におけるアクチュエータの動作開始タイミングを遅くすること及び動作速度を低くすることの少なくとも一方を行う。これにより、エンジン振動の発生タイミング又は周波数にアクチュエータの動作を合わせ易くなる。従って、エンジン振動とアクチュエータの動作の乖離を抑制し、防振性能を向上することが可能となる。
前記動作開始タイミング及び前記動作周波数は、前記エンジンのロール固有振動が発生するエンジン回転数又はクランク回転位置に基づいて設定され、前記エンジンマウント制御装置は、前記温度検出手段から取得した前記電動機の温度が高いほど、前記振動抑制制御における前記アクチュエータの出力を増加させてもよい。
エンジンのロール固有振動は、所定のエンジン回転数領域で発生することが知られている。電動機の温度が高くなることで電動機の出力が低下した場合、エンジン回転数の上昇が遅くなるため、ロール固有振動が発生するエンジン回転数領域をエンジン回転数が通過するのも遅くなり、それに伴い振動の振幅も増加する。換言すると、前記エンジン回転数領域を抜けるのが遅い程、エンジン振動の振幅が増加する。
上記構成によれば、電動機の温度が高いほどアクチュエータの出力を増加させるため、エンジン回転数が前記エンジン回転数領域を通過するのが遅くなることに伴って振動の振幅が増加しても、これに対応することが可能となる。従って、ロール固有振動を適切に抑制することが可能となる。
前記車両は、前記電動機として、前記車両の走行駆動力を生成する走行モータと、前記エンジンのモータリングのみに用いられるスタータモータとを備え、前記走行モータ又は前記スタータモータのいずれか一方で前記モータリングが行われ、直近のモータリングに用いる予定である前記走行モータ又は前記スタータモータの一方が、前記モータリングに用いることが不適な高温状態にあると判定された場合、直近のモータリングに他方を用いてもよい。
上記構成によれば、モータリングに用いることが不適な高温状態にある電動機によるモータリングを避けることが可能となる。このため、モータリングによるエンジン回転数の立ち上がりが遅くなることを抑制することで、ロール固有振動を適切に抑制することが可能となる。また、より温度の低い電動機によるモータリングにおいて、電動機の温度に応じてアクチュエータの動作開始タイミング又は動作周波数を調整することで、さらに防振性能を向上することが可能となる。
前記エンジンマウント制御装置は、イグニッションスイッチのオン操作によるエンジン始動時に前回のイグニッションスイッチのオフ操作からの経過時間が所定の時間閾値を下回ると判定した場合、若しくは、アイドリング停止から前記エンジンを再始動すると判定した場合、又は前記エンジンのラジエータの冷却水温が所定の温度閾値を上回ると判定した場合、前記アクチュエータの前記動作開始タイミング、前記動作周波数及び出力を前記電動機の温度に基づいて前記振動抑制制御の開始前に設定してもよい。
これにより、電動機の温度が比較的高いと考えられる場面で、アクチュエータの動作開始タイミング、動作周波数及び出力を電動機の温度に応じて設定することが可能となる。また、電動機の温度が比較的高いと考えられる場面を判定した後、振動抑制制御の開始前に当該設定を行うため、エンジンの始動時又は再始動時のエンジン振動を適切に抑制することが可能となる。
本発明に係るエンジンマウント制御装置は、エンジンと前記エンジンのモータリング時に前記エンジンに駆動力を伝達する電動機とを備える車両において前記エンジンを車体に支持するエンジンマウントに組み込まれた前記アクチュエータを駆動させることで前記車体へのエンジン振動の伝達を抑制する振動抑制制御を行うものであって、前記エンジンマウント制御装置は、前記エンジンの始動時又は再始動時に前記アクチュエータによる前記振動抑制制御を開始する際、前記エンジンの回転情報に基づく所定の動作開始タイミング及び動作周波数で前記アクチュエータを駆動させ、温度検出手段から取得した前記電動機の温度が高くなるほど、前記動作開始タイミングを遅くすること及び前記動作周波数の変化率を低くすることの少なくとも一方を行うことを特徴とする。
本発明によれば、電動機の温度が高いほど、モータリング時におけるアクチュエータの動作開始タイミングを遅くすること及び動作周波数を低くすることの少なくとも一方を行う。これにより、エンジン振動の発生タイミング又は周波数にアクチュエータの動作を合わせ易くなる。従って、エンジン振動とアクチュエータの動作の乖離を抑制し、防振性能を向上することが可能となる。
A.一実施形態
1.構成
[1−1.概要]
図1は、本発明の一実施形態に係る車両10の概略構成図である。図1に示すように、車両10は、駆動源としてエンジン12及び走行モータ14を有するいわゆるハイブリッド車両である。後述するように、車両10は、走行モータ14を有さないいわゆるエンジン車両であってもよい。
1.構成
[1−1.概要]
図1は、本発明の一実施形態に係る車両10の概略構成図である。図1に示すように、車両10は、駆動源としてエンジン12及び走行モータ14を有するいわゆるハイブリッド車両である。後述するように、車両10は、走行モータ14を有さないいわゆるエンジン車両であってもよい。
エンジン12は、その回転軸が車幅方向とされた状態において、エンジンマウント302f、302rを介して車体16に支持されている。後に詳述するように、エンジンマウント302f、302rは、エンジン12からの振動(以下「エンジン振動」ともいう。)をアクチュエータ306により能動的に抑制する能動型防振支持装置300の一部を構成する。
本実施形態の走行モータ14は、バッテリ18からの電力に基づいて車両10の走行駆動力を生成する(すなわち、図示しない車輪に駆動力を伝達する)ことに加え、エンジン12のモータリング(クランキング)に用いられるモータ(電動機)である。
車両10は、能動型防振支持装置300に加え、イグニションスイッチ20(以下「IGSW20」という。)と、エンジン12の制御に関連するエンジン制御系100と、走行モータ14の制御に関連するモータ制御系200とを有する。なお、車両10の基本的な構成要素については、特許文献1と同様のものを用いることができる。
[1−2.エンジン制御系100]
エンジン制御系100は、エンジン12に関連する構成要素として、クランクセンサ102と、上死点センサ104(以下「TDCセンサ104」ともいう。)と、ラジエータ水温センサ106と、スタータモータ108と、スタータモータ温度センサ110と、燃料噴射電子制御装置112(以下「FI ECU112」という。)とを有する。
エンジン制御系100は、エンジン12に関連する構成要素として、クランクセンサ102と、上死点センサ104(以下「TDCセンサ104」ともいう。)と、ラジエータ水温センサ106と、スタータモータ108と、スタータモータ温度センサ110と、燃料噴射電子制御装置112(以下「FI ECU112」という。)とを有する。
クランクセンサ102は、図示しないクランクシャフトの回転位置(以下「クランク回転位置θcrk」という。)を検出し、クランク回転位置θcrkを示す信号(クランクパルス信号Scrk)をFI ECU112に出力する。TDCセンサ104は、図示しないエンジンピストンが上死点に来たこと(上死点タイミング)を検出し、上死点タイミングを示す信号(以下「TDC信号Stdc」という。)をFI ECU112に出力する。なお、各センサ102、104の出力は、FI ECU112以外のECU(例えば、後述するACM電子制御装置304)に直接出力してもよい。
ラジエータ水温センサ106は、図示しないラジエータの冷却水の温度(以下「冷却水温Twtrという。」を検出し、冷却水温Twtrを示す信号(以下「冷却水温信号Stwtr」という。)をFI ECU112に出力する。
スタータモータ108は、エンジン12のモータリングに用いられるモータ(電動機)であり、図示しない低電圧バッテリからの電力に基づいてエンジン12に対してのみ駆動力を伝達する。本実施形態のスタータモータ108は、直流式であるが、交流式であってもよい。エンジン12のモータリング時には、走行モータ14及びスタータモータ108のいずれか一方が選択されて用いられる。
スタータモータ温度センサ110(温度検出手段)は、スタータモータ108の温度(以下「スタータモータ温度Tmot_s」、「モータ温度Tmot_s」又は「温度Tmot_s」という。)を検出し、温度Tmot_sを示す信号(以下「スタータモータ温度信号Stmot_s」という。)をFI ECU112に出力する。ここにいう温度Tmot_sは、スタータモータ108の中でも、例えば、コイル又は磁石の温度を指す。また、後述するように、温度Tmot_sは、必ずしも実測値である必要はなく、推定値であってもよい。
本実施形態におけるスタータモータ温度センサ110は、電流センサとして構成される。すなわち、スタータモータ108の温度Tmot_sが高い場合、スタータモータ108では電流が流れ難くなる。換言すると、モータ温度Tmot_sが高い場合、スタータモータ108を流れる電流(以下「スタータモータ電流Ism」又は「モータ電流Ism」という。)は少なくなる。そこで、本実施形態では、スタータモータ電流Ismの大きさに応じてスタータモータ温度Tmot_sを検出又は推定する。換言すると、電流センサである温度センサ110からモータ電流Ismの値を通知されたFI ECU112は、当該モータ電流Ismの値を温度Tmot_sとして又は温度Tmot_sに換算して用いる。
FI ECU112は、クランクパルス信号Scrk、TDC信号Stdc、冷却水温信号Stwtr、スタータモータ温度信号Stmot_s等の各種入力信号に基づいてエンジン12を制御する。例えば、FI ECU112は、クランクパルス信号Scrkに基づいてエンジン12の回転数(以下「エンジン回転数Ne」という。)[rpm]を算出して用いる。後述するACM電子制御装置304と同様、FI ECU112は、図示しない入出力部、演算部及び記憶部を有する。
[1−3.モータ制御系200]
図1に示すように、モータ制御系200は、走行モータ14に関連する構成要素として、走行モータ温度センサ202と、SOCセンサ204と、モータ電子制御装置206(以下「モータECU206」又は「MOT ECU206」という。)とを有する。
図1に示すように、モータ制御系200は、走行モータ14に関連する構成要素として、走行モータ温度センサ202と、SOCセンサ204と、モータ電子制御装置206(以下「モータECU206」又は「MOT ECU206」という。)とを有する。
走行モータ温度センサ202(温度検出手段)は、走行モータ14の温度(以下「走行モータ温度Tmot_d」、「モータ温度Tmot_d」又は「温度Tmot_d」という。)を検出し、温度Tmot_dを示す信号(以下「走行モータ温度信号Stmot_d」という。)をMOT ECU206に出力する。ここにいう温度Tmot_dは、走行モータ14の中でも、例えば、コイル又は磁石の温度を指す。また、後述するように、温度Tmot_dは、必ずしも実測値である必要はなく、推定値であってもよい。以下では、スタータモータ温度Tmot_sと走行モータ温度Tmot_dを合わせてモータ温度Tmotと総称する。
スタータモータ温度センサ110の場合と同様、本実施形態における走行モータ温度センサ202は、電流センサとして構成される。すなわち、走行モータ14の温度Tmot_dが高い場合、走行モータ14では電流が流れ難くなる。換言すると、モータ温度Tmot_dが高い場合、走行モータ14を流れる電流(以下「走行モータ電流Idm」又は「モータ電流Idm」という。)は少なくなる。そこで、本実施形態では、走行モータ電流Idmの大きさに応じて走行モータ温度Tmot_dを検出又は推定する。換言すると、電流センサである温度センサ202からモータ電流Idmの値を通知されたMOT ECU206は、当該モータ電流Idmの値を温度Tmot_dとして又は温度Tmot_dに換算して用いる。
SOCセンサ204は、バッテリ18の残容量(SOC)を検出してMOT ECU206に出力する。
モータECU206は、温度Tmot_d、SOC等の各種入力信号に基づいて走行モータ14を制御する。後述するACM電子制御装置304と同様、モータECU206は、図示しない入出力部、演算部及び記憶部を有する。
なお、本実施形態では、例えば、車両10の車速V、要求加速度、走行モータ14用のバッテリ18のSOC等の指標に応じてエンジン12及び走行モータ14の駆動の要否を判定する。例えば、車速Vが低速域(例えば、0〜20km/h)であるとき、走行モータ14のみを用いることを通常とする。また、車速Vが中速域(例えば、21〜80km/h)又は高速域(例えば、81km/h以上)であるとき、エンジン12を用いることを通常とし、要求加速度が高い場合、エンジン12に加えて走行モータ14を駆動させる。但し、バッテリ18のSOCが低い場合は、図示しないオルタネータを作動させるため、車速Vが低速域であっても、エンジン12を作動させてもよい。
[1−4.能動型防振支持装置300]
図1に示すように、能動型防振支持装置300は、前述のエンジンマウント302f、302rに加え、ACM電子制御装置304(以下「ACM ECU304」という。)を有する。
図1に示すように、能動型防振支持装置300は、前述のエンジンマウント302f、302rに加え、ACM電子制御装置304(以下「ACM ECU304」という。)を有する。
エンジンマウント302f、302rは、例えば、特許文献1の図1と同様、車両10の前後方向に互いに離間して配置される。各エンジンマウント302f、302rは、例えば、特許文献1の図2と同様、その内部にアクチュエータ306を有する。アクチュエータ306は、例えば、ソレノイドにより構成することができる。或いは、アクチュエータ306は、エンジン12の負圧を図示しない弁により調節する構成とすることも可能である。
以下では、エンジンマウント302f、302rを、能動的にエンジン振動を抑制するアクティブ・コントロール・マウントの意味でACM302f、302rともいう。ACM ECU304における「ACM」もアクティブ・コントロール・マウントの意味である。
ACM ECU304は、エンジンマウント302f、302rのアクチュエータ306を制御するものであり、入出力部310、演算部312及び記憶部314を有する。ACM ECU304がアクチュエータ306を駆動させることにより、車体16へのエンジン振動の伝達を抑制するための振動抑制制御を行う。
後述するように、本実施形態のACM ECU304は、スタータモータ温度Tmot_s及び走行モータ温度Tmot_dを用いてアクチュエータ306の動作開始タイミング等を補正する。そのため、記憶部314には、アクチュエータ306の動作設定が、スタータモータ温度Tmot_s及び走行モータ温度Tmot_d毎に記憶されている。
2.ACM ECU304の制御
図2は、アイドリング停止時におけるACM ECU304の処理を示すフローチャートである。図3は、アイドリング停止時においてエンジン回転数Ne、エンジン振動及び前側のACM302fへの目標電流Iamcft[A]を、走行モータ温度Tmot_dが低い場合と高い場合とに分けて示したタイムチャートである。後述するように、アイドリング停止時以外の場面にも本発明を適用することができる。
図2は、アイドリング停止時におけるACM ECU304の処理を示すフローチャートである。図3は、アイドリング停止時においてエンジン回転数Ne、エンジン振動及び前側のACM302fへの目標電流Iamcft[A]を、走行モータ温度Tmot_dが低い場合と高い場合とに分けて示したタイムチャートである。後述するように、アイドリング停止時以外の場面にも本発明を適用することができる。
本実施形態のACM ECU304は、始動時制御と通常制御の両方を行う。始動時制御は、エンジン12の始動時又は再始動時に発生するいわゆるロール共振を抑制するための制御である。通常制御は、エンジン12が爆発工程を伴って作動中である際のエンジン振動を抑制するための制御である。図2の処理は主として始動時制御に用いられる。
図3の時点t1よりも手前の時点で車両10がアイドリング停止すると、ステップS1において、ACM ECU304は、FI ECU112からアイドリング停止の通知を受ける。その後、エンジン回転数Neがゼロになった後(時点t1)、ACM ECU304は、エンジン12が完全に停止した状態におけるエンジン12の回転位置である停止時エンジン回転位置θstpをFI ECU112から取得する。
ステップS2において、ACM ECU304は、直近のモータリング(クランキング)に走行モータ14を利用する予定であるか否かを判定する。上記のように、本実施形態においてエンジン12を作動させるのは、車速Vが中速域又は高速域の場合が通常である。このため、通常、エンジン12を始動させる際は、既に走行モータ14が作動している状態となる。そこで、エンジン12のモータリングには、走行モータ14を優先的に利用する。
しかしながら、例えば、走行モータ14用のバッテリ18のSOCが所定の閾値(SOC閾値THsoc)を下回る場合、モータリングにスタータモータ108を用いる。ここにいうSOC閾値THsocは、例えば、バッテリ18のSOCが充電を要するほど低い値に設定される。但し、後述するように、スタータモータ108を優先的にモータリングに用いてもよい。
なお、本実施形態では、走行モータ14又はスタータモータ108のいずれをモータリングに用いるかの判定をACM ECU304が行い、その判定結果をFI ECU112及びモータECU206に出力する。FI ECU112及びモータECU206は、ACM ECU304からの通知に応じて走行モータ14又はスタータモータ108を制御する。但し、走行モータ14又はスタータモータ108のいずれをモータリングに用いるかの判定等は、FI ECU112又はモータECU206が行ってもよい。
さらに、本実施形態のACM ECU304は、バッテリ18のSOCがSOC閾値THsocを上回る場合であっても、走行モータ14が、モータリングに用いることが不適な高温状態にあるか否かを判定し、当該高温状態にあると判定した場合、FI ECU112を介してモータリングにはスタータモータ108を利用させる。ここにいう「モータリングに用いることが不適な高温状態」とは、例えば、走行モータ14の温度Tmot_dが所定の温度閾値(走行モータ温度閾値THtmotd)を上回る場合(Tmot_d>THtmotd)、又は走行モータ14の温度Tmot_dとスタータモータ108の温度Tmot_sの差ΔTmot(=Tmot_d−Tmot_s)が所定の温度差閾値(温度差閾値THΔtmot)を上回る場合(ΔTmot>THΔtmot)を指す。
走行モータ温度閾値THtmotdは、例えば、走行モータ14による駆動を中止しなければならない程の高温よりも若干低い値(換言すると、モータリングによって走行モータ14による車両10の駆動を中止しなければならなくなる可能性がある値)とすることができる。温度差閾値THΔtmotは、例えば、スタータモータ108と比較して走行モータ14が過度の高温となっていると判断可能な値とすることができる。
なお、走行モータ14の温度Tmot_dが走行モータ温度閾値THtmotdを上回る場合としては、そのような状態が瞬間的に発生した場合のみならず、一定時間以上継続したことを条件としてもよい。
ステップS2において、直近のモータリングに走行モータ14を利用する予定であると判定した場合(S2:YES)、ステップS3において、ACM ECU304は、走行モータ14の温度Tmot_dを取得する。但し、ステップS1、S2で温度Tmot_dを取得済みである場合、ステップS3を省略してもよい。
ステップS4において、ACM ECU304は、停止時エンジン回転位置θstp及び走行モータ温度Tmot_dに応じてACM出力パラメータを設定する。ここにいうACM出力パラメータとは、エンジン12のロール固有振動(ロール共振)を抑制するアクチュエータ306の動作を実現するためのパラメータである。例えば、ACM出力パラメータには、アクチュエータ306への出力電流Iacmの波形(電流値及び周波数)及びトリガタイミングが含まれる。
アクチュエータ306への出力電流Iacmの波形及びトリガタイミングの基本的な態様は、特許文献1と同様に設定することができる。例えば、トリガタイミングは、エンジン12のロール固有振動が発生する停止時エンジン回転位置θstp又はエンジン回転数Neに対応させて設定される。なお、本実施形態におけるトリガタイミングは、エンジン12が始動したとの判断(又はモータリングが開始されたとの判断)がFI ECU112から通知されてから振動抑制制御を開始するまでの待機時間Tw[sec]として設定される。
エンジン始動(モータリング開始)からロール共振が発生するまでの時間は、モータリング開始からロール共振が発生するまでのエンジン12の回転位置(クランク回転位置θcrk)の変化と相関がある。そこで、待機時間Twは、秒単位で設定する代わりに、エンジン12の回転位置(ここでは、エンジン12の始動又はモータリングの開始からのクランクパルス数)が、ロール共振領域Rr又は当該領域Rrより下方の値の周波数に到達したと判定するための閾値(ロール共振発生判定閾値)に到達したか否かにより判定してもよい。
また、本実施形態のACM ECU304は、ACM出力パラメータを走行モータ温度Tmot_dに応じて変化させる。すなわち、走行モータ温度Tmot_dが高いと、走行モータ14に電流が流れ難くなり、走行モータ14の出力が低下してしまう。その結果、図3に示すように、走行モータ温度Tmot_dが高い状態で走行モータ14によるモータリングを行うと、エンジン回転数Neの立ち上がりが遅くなる。図3では、温度Tmot_dが相対的に低いときのエンジン回転数Neを破線で示し、温度Tmot_dが相対的に高いときのエンジン回転数Neを実線で示している。
また、エンジン12の始動時又は再始動時におけるエンジン振動(いわゆるロール共振)は、エンジン回転数Neが所定の範囲(以下「ロール共振領域Rr」という。)にあるとき発生する。このため、走行モータ温度Tmot_dが高い状態では、エンジン回転数Neがロール共振領域Rrに到達するまでの時間が相対的に長くなる。
そこで、ACM ECU304は、走行モータ温度Tmot_dが高いほど、アクチュエータ306の動作開始タイミングを遅くさせる。換言すると、待機時間Twを長くする。これにより、ロール共振の発生タイミングと、アクチュエータ306の動作タイミングを合わせ易くなる。
また、エンジン回転数Neの立ち上がりが遅い場合、エンジン回転数Neがロール共振領域Rrに留まる時間が相対的に長くなり、ロール共振によるエンジン振動が相対的に大きくなる。そこで、本実施形態のACM ECU304は、走行モータ温度Tmot_dが高いほど、前側及び後ろ側それぞれのアクチュエータ306に対する出力電流Iacmf、Iacmrを大きくさせ、アクチュエータ306の出力を増加させる。これにより、ロール共振によるエンジン振動が相対的に大きくなっても、エンジン振動を効果的に抑制することが可能となる。
図2のステップS2に戻り、直近のモータリングに走行モータ14を利用する予定でない(すなわち、スタータモータ108を利用する予定である)と判定した場合(S2:NO)、ステップS5において、ACM ECU304は、スタータモータ108の温度Tmot_sを取得する。但し、ステップS1、S2で温度Tmot_sを取得済みである場合、ステップS5を省略してもよい。
ステップS6において、ACM ECU304は、ステップS4と同様、停止時エンジン回転位置θstp及びスタータモータ温度Tmot_sに応じてACM出力パラメータを設定する。具体的には、ACM ECU304は、スタータモータ温度Tmot_sが高いほど、アクチュエータ306の動作開始タイミングを遅くさせる又は待機時間Twを長くする。さらに、ACM ECU304は、走行モータ温度Tmot_dが高いほど、前側及び後ろ側のアクチュエータ306に対する出力電流Iacmf、Iacmrを大きくさせ、アクチュエータ306の出力を増加させる。
本実施形態では、ステップS1〜S6の処理(演算等)をエンジン12が再始動する前、例えば、図3の時点t2までの間に行う。
ステップS4又はS6の後、ステップS7において、ACM ECU304は、エンジン12が再始動されたか否かを判定する。当該判定は、FI ECU112からの信号(始動信号Sst)に基づき行う。FI ECU112は、アイドリング停止の解除条件が満たされた際、始動信号Sstを出力する。或いは、前記解除条件が満たされた後、モータリングを開始した時点で始動信号Sstを出力してもよい。エンジン12が再始動していない場合(S7:NO)、ステップS7を繰り返す。エンジン12が再始動した場合(S7:YES)、ステップS8に進む。
ステップS8において、ACM ECU304は、一方のACM302f、302r(ここでは、前側のACM302f)に対して事前通電をして、ACM302f、302rの出力開始に備える(時点t2)。また、この際、待機時間Twのカウントを開始する。
ステップS9において、ACM ECU304は、ステップS4又はS6で設定した待機時間Twが経過したか否かを判定する。上記のように、待機時間Twは、FI ECU112からの始動信号Sstの受信後、振動抑制制御の開始までの時間であり、本実施形態では、モータ温度Tmotに応じて可変とする。上記のように、待機時間Twは、秒単位で設定する代わりに、エンジン12の回転位置(エンジン12の始動又はモータリングの開始からのクランクパルス数)が所定の閾値に到達したか否かにより判定してもよい。また、図3の例では、モータ温度Tmotが低い場合、時点t3で待機時間Twが経過し、モータ温度Tmotが高い場合、時点t4で待機時間Twが経過する。
待機時間Twが経過せず、振動抑制制御を開始しない場合(S9:NO)、ステップS9を繰り返す。待機時間Twが経過し、振動抑制制御を開始する場合(S9:YES)、ステップS10において、ACM ECU304は、振動抑制制御(ACM302f、302rの作動)を実行する。
上記のように、振動抑制制御は、エンジン12の停止から初爆までの間に実行する始動時制御と、初爆後(通常時)に実行する通常制御とを含む。図2のステップS4、S6で設定するACM出力パラメータは、始動時制御に用いるものである。
3.本実施形態の効果
以上説明したように、本実施形態によれば、モータ温度Tmotが高いほど、モータリング時におけるアクチュエータ306の動作開始タイミングを遅くする(すなわち、待機時間Twを長くする)。これにより、エンジン振動の発生タイミングにアクチュエータ306の動作を合わせ易くなる。従って、エンジン振動とアクチュエータ306の動作の乖離を抑制し、防振性能を向上することが可能となる。
以上説明したように、本実施形態によれば、モータ温度Tmotが高いほど、モータリング時におけるアクチュエータ306の動作開始タイミングを遅くする(すなわち、待機時間Twを長くする)。これにより、エンジン振動の発生タイミングにアクチュエータ306の動作を合わせ易くなる。従って、エンジン振動とアクチュエータ306の動作の乖離を抑制し、防振性能を向上することが可能となる。
本実施形態において、アクチュエータ306の動作開始タイミング及び動作周波数は、エンジン12のロール固有振動が発生するエンジン回転数Ne又はクランク回転位置θcrkに基づいて設定され、ACM ECU304(エンジンマウント制御装置)は、温度センサ110、202(温度検出手段)により取得されたモータ温度Tmotが高いほど、振動抑制制御におけるアクチュエータ306の出力を増加させる(図3参照)。
エンジン12のロール固有振動は、所定のエンジン回転数領域(ロール共振領域Rr)で発生することが知られている。モータ温度Tmotが高くなることで走行モータ14又はスタータモータ108の出力が低下した場合、エンジン回転数Neの上昇が遅くなるため、エンジン回転数Neがロール共振領域Rrを通過するのも遅くなり、それに伴い振動の振幅も増加する。換言すると、ロール共振領域Rrを抜けるのが遅い程、エンジン振動の振幅が増加する。
本実施形態によれば、モータ温度Tmotが高いほどアクチュエータ306の出力を増加させるため、エンジン回転数Neがロール共振領域Rrを通過するのが遅くなることに伴って振動の振幅が増加しても、これに対応することが可能となる。従って、ロール固有振動を適切に抑制することが可能となる。
本実施形態において、車両10は、走行モータ14とスタータモータ108を備え、走行モータ14又はスタータモータ108のいずれか一方でエンジン12のモータリングが行われる。また、ACM ECU304は、直近のモータリングに用いる予定である走行モータ14が、モータリングに用いることが不適な高温状態にあると判定した場合(図2のS2:NO)、直近のモータリングにスタータモータ108を用いる。
上記構成によれば、モータリングに用いることが不適な高温状態にある走行モータ14によるモータリングを避けることが可能となる。このため、モータリングによるエンジン回転数Neの立ち上がりが遅くなることを抑制することで、ロール固有振動を適切に抑制することが可能となる。また、より温度の低いスタータモータ108によるモータリングにおいて、スタータモータ温度Tmot_sに応じてアクチュエータ306の駆動開始タイミングを調整することで、さらに防振性能を向上することが可能となる。
本実施形態において、ACM ECU304は、アイドリング停止からエンジン12を再始動すると判定した場合(すなわち、図2のフローチャートを用いる場合)、モータ温度Tmotに基づいてアクチュエータ306の動作開始タイミング(待機時間Tw)、動作周波数及び出力を振動抑制制御(図2のS10)の開始前に設定する(図2のS4、S6)。これにより、モータ温度Tmotが比較的高いと考えられる場面で、アクチュエータ306の動作開始タイミング、動作周波数及び出力をモータ温度Tmotに応じて設定することが可能となる。また、モータ温度Tmotが比較的高いと考えられる場面を判定した後、振動抑制制御の開始前に当該設定を行うため、エンジン12の始動時又は再始動時のエンジン振動を適切に抑制することが可能となる。
B.変形例
なお、本発明は、上記実施形態に限らず、本明細書の記載内容に基づき、種々の構成を採り得ることはもちろんである。例えば、以下の構成を採用することができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限らず、本明細書の記載内容に基づき、種々の構成を採り得ることはもちろんである。例えば、以下の構成を採用することができる。
1.適用対象
上記実施形態では、能動型防振支持装置300をハイブリッド車両である車両10に適用したが、例えば、モータ温度Tmotに応じてアクチュエータ306の動作開始タイミング(待機時間Tw)を変化させるとの観点からすれば、これに限らない。例えば、走行モータ14を有さないエンジン車両としての車両10に能動型防振支持装置300を適用してもよい。或いは、能動型防振支持装置300の適用対象は、車両10に限らず、エンジン12を備える移動体(船舶や航空機等)に用いることもできる。或いは、能動型防振支持装置300を、製造装置、ロボット又は家電製品に適用してもよい。
上記実施形態では、能動型防振支持装置300をハイブリッド車両である車両10に適用したが、例えば、モータ温度Tmotに応じてアクチュエータ306の動作開始タイミング(待機時間Tw)を変化させるとの観点からすれば、これに限らない。例えば、走行モータ14を有さないエンジン車両としての車両10に能動型防振支持装置300を適用してもよい。或いは、能動型防振支持装置300の適用対象は、車両10に限らず、エンジン12を備える移動体(船舶や航空機等)に用いることもできる。或いは、能動型防振支持装置300を、製造装置、ロボット又は家電製品に適用してもよい。
2.エンジン12
上記実施形態では、エンジン12を走行用(車両10の走行駆動力を生成するもの)としたが、例えば、モータ温度Tmotに応じてアクチュエータ306の動作開始タイミング(待機時間Tw)を変化させるとの観点からすれば、これに限らない。例えば、エンジン12は、図示しない発電機を作動させるためのみに用いられるものであってもよい。
上記実施形態では、エンジン12を走行用(車両10の走行駆動力を生成するもの)としたが、例えば、モータ温度Tmotに応じてアクチュエータ306の動作開始タイミング(待機時間Tw)を変化させるとの観点からすれば、これに限らない。例えば、エンジン12は、図示しない発電機を作動させるためのみに用いられるものであってもよい。
3.走行モータ14及びスタータモータ108(電動機)
上記実施形態では、走行モータ14及びスタータモータ108の両方をモータリング用の電動機として用いた。しかしながら、例えば、モータ温度Tmotに応じてアクチュエータ306の動作開始タイミング(待機時間Tw)を変化させるとの観点からすれば、スタータモータ108を省略することも可能である。また、走行モータ14を有さないエンジン車両として車両10を構成する場合、スタータモータ108のみを前記電動機として用いることができる。
上記実施形態では、走行モータ14及びスタータモータ108の両方をモータリング用の電動機として用いた。しかしながら、例えば、モータ温度Tmotに応じてアクチュエータ306の動作開始タイミング(待機時間Tw)を変化させるとの観点からすれば、スタータモータ108を省略することも可能である。また、走行モータ14を有さないエンジン車両として車両10を構成する場合、スタータモータ108のみを前記電動機として用いることができる。
上記実施形態では、エンジン12のモータリングを行う電動機として、走行モータ14を優先的に用い、スタータモータ108をその次に用いることとした。しかしながら、例えば、モータ温度Tmotに応じてアクチュエータ306の動作開始タイミング(待機時間Tw)を変化させるとの観点からすれば、スタータモータ108を優先的に用い、走行モータ14をその次に用いることとしてもよい。
4.温度センサ110、202(温度検出手段)
上記実施形態の温度センサ110は、スタータモータ108用の電流センサを流用したが、その他の温度検出手段により、スタータモータ温度Tmot_sを取得してもよい。例えば、スタータモータ108の一部における抵抗値を検出する抵抗値センサを設け、当該抵抗値センサが検出した抵抗値に基づいてスタータモータ温度Tmot_sを取得又は推定することもできる。具体的には、抵抗値が高くなるほど、温度Tmot_sが高いと推定することが可能である。温度センサ202についても同様である。
上記実施形態の温度センサ110は、スタータモータ108用の電流センサを流用したが、その他の温度検出手段により、スタータモータ温度Tmot_sを取得してもよい。例えば、スタータモータ108の一部における抵抗値を検出する抵抗値センサを設け、当該抵抗値センサが検出した抵抗値に基づいてスタータモータ温度Tmot_sを取得又は推定することもできる。具体的には、抵抗値が高くなるほど、温度Tmot_sが高いと推定することが可能である。温度センサ202についても同様である。
また、上記実施形態では、温度センサ110が検出した実測値を用いたが、スタータモータ温度Tmot_sを示す温度情報でありさえすれば、必ずしも実測値である必要はなく、推定値であってもよい。
5.ACM ECU304における制御
[5−1.適用場面]
上記実施形態では、モータ温度Tmotを反映した制御を用いる場面として、車両10がアイドリング停止時の場合について説明した(図2、図3)。しかしながら、その他の場面(特に、走行モータ14又はスタータモータ108が比較的高温になっていると考えられる場面)に適用することも可能である。
[5−1.適用場面]
上記実施形態では、モータ温度Tmotを反映した制御を用いる場面として、車両10がアイドリング停止時の場合について説明した(図2、図3)。しかしながら、その他の場面(特に、走行モータ14又はスタータモータ108が比較的高温になっていると考えられる場面)に適用することも可能である。
例えば、IGSW20のオン操作によるエンジン12の始動時に前回のIGSW20のオフ操作からの経過時間(以下「経過時間Tp」という。)が所定の時間閾値(以下「時間閾値THtp」という。)を下回ると判定した場合、モータ温度Tmotを反映した制御(図2参照)を用いることができる。ここにいう時間閾値THtpは、例えば、車両10の停止後であってもモータ温度Tmot(スタータモータ温度Tmot_s又は走行モータ温度Tmot_d)が比較的高いまま維持されていると考えられる時間(例えば、数分〜1時間のいずれかの値)として設定することが可能である。
或いは、冷却水温Twtrが所定の温度閾値(以下「冷却水温閾値THtwtr」という。)を上回ると判定した場合、モータ温度Tmotを反映した制御(図2参照)を用いてもよい。冷却水温Twtrが比較的高い場合、直接的にはエンジン12の負荷が現時点で大きい又は大きかったことを示すが、これに伴い、走行モータ14の負荷も大きかったこと又はアイドリング停止が比較的多く行われている可能性があることを推定することが可能となる。そこで、このような事情を踏まえて冷却水温閾値THtwtrを設定することにより、モータ温度Tmotを反映した制御(図2参照)を用いる場面を適切に設定することが可能となる。
[5−2.ACM出力パラメータ]
上記実施形態では、ACM出力パラメータ(図2のS4、S6)のうちモータ温度Tmotに応じて変化させる対象を、アクチュエータ306の動作開始タイミング(待機時間Tw)とした。しかしながら、モータ温度Tmotに応じてエンジン回転数Neの立ち上がりが遅くなると、ロール共振領域Rrにおけるエンジン回転数Neの変化率が低下する。この点に鑑み、動作開始タイミング(待機時間Tw)に加え又はこれに代えて、アクチュエータ306の動作周波数の変化率をモータ温度Tmotに応じて変化させてもよい。より具体的には、モータ温度Tmotが高くなるほど、動作周波数の変化率を低くしてもよい。
上記実施形態では、ACM出力パラメータ(図2のS4、S6)のうちモータ温度Tmotに応じて変化させる対象を、アクチュエータ306の動作開始タイミング(待機時間Tw)とした。しかしながら、モータ温度Tmotに応じてエンジン回転数Neの立ち上がりが遅くなると、ロール共振領域Rrにおけるエンジン回転数Neの変化率が低下する。この点に鑑み、動作開始タイミング(待機時間Tw)に加え又はこれに代えて、アクチュエータ306の動作周波数の変化率をモータ温度Tmotに応じて変化させてもよい。より具体的には、モータ温度Tmotが高くなるほど、動作周波数の変化率を低くしてもよい。
10…車両 12…エンジン
14…走行モータ(電動機) 16…車体
20…IGSW 108…スタータモータ(電動機)
110…スタータモータ温度センサ(温度検出手段)
202…走行モータ温度センサ(温度検出手段)
300…能動型防振支持装置
302f、302r…エンジンマウント(ACM)
304…ACM ECU(エンジンマウント制御装置)
306…アクチュエータ Tmot…モータ温度
Tmot_d…走行モータ温度 Tmot_s…スタータモータ温度
Twtr…ラジエータの冷却水温 Ne…エンジン回転数
θcrk…クランク回転位置
14…走行モータ(電動機) 16…車体
20…IGSW 108…スタータモータ(電動機)
110…スタータモータ温度センサ(温度検出手段)
202…走行モータ温度センサ(温度検出手段)
300…能動型防振支持装置
302f、302r…エンジンマウント(ACM)
304…ACM ECU(エンジンマウント制御装置)
306…アクチュエータ Tmot…モータ温度
Tmot_d…走行モータ温度 Tmot_s…スタータモータ温度
Twtr…ラジエータの冷却水温 Ne…エンジン回転数
θcrk…クランク回転位置
Claims (5)
- エンジンと、前記エンジンのモータリング時に前記エンジンに駆動力を伝達する電動機と、前記エンジンの振動を抑制するアクチュエータを備えると共に前記エンジンを車体に支持するエンジンマウントと、前記アクチュエータを駆動させることで前記車体へのエンジン振動の伝達を抑制する振動抑制制御を行うエンジンマウント制御装置と、前記電動機の温度を検出する温度検出手段とを備える車両であって、
前記エンジンマウント制御装置は、
前記エンジンの始動時又は再始動時に前記アクチュエータによる前記振動抑制制御を開始する際、前記エンジンの回転情報に基づく所定の動作開始タイミング及び動作周波数で前記アクチュエータを駆動させ、
前記温度検出手段から取得した前記電動機の温度が高くなるほど、前記動作開始タイミングを遅くすること及び前記動作周波数の変化率を小さくすることの少なくとも一方を行う
ことを特徴とする車両。 - 請求項1記載の車両において、
前記動作開始タイミング及び前記動作周波数は、前記エンジンのロール固有振動が発生するエンジン回転数又はクランク回転位置に基づいて設定され、
前記エンジンマウント制御装置は、前記温度検出手段から取得した前記電動機の温度が高いほど、前記振動抑制制御における前記アクチュエータの出力を増加させる
ことを特徴とする車両。 - 請求項1又は2記載の車両において、
前記車両は、前記電動機として、前記車両の走行駆動力を生成する走行モータと、前記エンジンのモータリングのみに用いられるスタータモータとを備え、
前記走行モータ又は前記スタータモータのいずれか一方で前記モータリングが行われ、
直近のモータリングに用いる予定である前記走行モータ又は前記スタータモータの一方が、前記モータリングに用いることが不適な高温状態にあると判定された場合、直近のモータリングに他方を用いる
ことを特徴とする車両。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両において、
前記エンジンマウント制御装置は、
イグニッションスイッチのオン操作によるエンジン始動時に前回のイグニッションスイッチのオフ操作からの経過時間が所定の時間閾値を下回ると判定した場合、若しくは、
アイドリング停止から前記エンジンを再始動すると判定した場合、又は
前記エンジンのラジエータの冷却水温が所定の温度閾値を上回ると判定した場合、
前記アクチュエータの前記動作開始タイミング、前記動作周波数及び出力を前記電動機の温度に基づいて前記振動抑制制御の開始前に設定する
ことを特徴とする車両。 - エンジンと前記エンジンのモータリング時に前記エンジンに駆動力を伝達する電動機とを備える車両において前記エンジンを車体に支持するエンジンマウントに組み込まれたアクチュエータを駆動させることで前記車体へのエンジン振動の伝達を抑制する振動抑制制御を行うエンジンマウント制御装置であって、
前記エンジンマウント制御装置は、
前記エンジンの始動時又は再始動時に前記アクチュエータによる前記振動抑制制御を開始する際、前記エンジンの回転情報に基づく所定の動作開始タイミング及び動作周波数で前記アクチュエータを駆動させ、
温度検出手段から取得した前記電動機の温度が高くなるほど、前記動作開始タイミングを遅くすること及び前記動作周波数の変化率を低くすることの少なくとも一方を行う
ことを特徴とするエンジンマウント制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013108941A JP2014228076A (ja) | 2013-05-23 | 2013-05-23 | 車両及びエンジンマウント制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013108941A JP2014228076A (ja) | 2013-05-23 | 2013-05-23 | 車両及びエンジンマウント制御装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2014228076A true JP2014228076A (ja) | 2014-12-08 |
Family
ID=52128115
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2013108941A Pending JP2014228076A (ja) | 2013-05-23 | 2013-05-23 | 車両及びエンジンマウント制御装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2014228076A (ja) |
-
2013
- 2013-05-23 JP JP2013108941A patent/JP2014228076A/ja active Pending
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