JP2012214059A - 内燃機関の制御装置、およびそれを搭載する車両 - Google Patents
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Abstract
【課題】低温環境下において、アイドル運転時における振動の増加を抑制する。
【解決手段】車両100は、エンジン160により発生する駆動力とモータジェネレータ130,135により発生する駆動力とを利用して車両駆動力を発生する。ECU300は、低温環境下でのエンジン160の停止期間が基準値を下回る場合はアイドル回転速度を第1のアイドル回転速度に設定する一方で、停止期間が基準値を上回る場合はアイドル回転速度を第1のアイドル回転速度よりも大きい第2のアイドル回転速度に設定するとともに、アイドル回転速度の増加に応じてエンジン160に配分される駆動力を増加させる。ECU300は、第2のアイドル回転速度に設定されている場合に、エンジン160に配分される駆動力を低下させるときには、第2のアイドル回転速度を維持しつつエンジン160の出力トルクを低下させる。
【選択図】図1
【解決手段】車両100は、エンジン160により発生する駆動力とモータジェネレータ130,135により発生する駆動力とを利用して車両駆動力を発生する。ECU300は、低温環境下でのエンジン160の停止期間が基準値を下回る場合はアイドル回転速度を第1のアイドル回転速度に設定する一方で、停止期間が基準値を上回る場合はアイドル回転速度を第1のアイドル回転速度よりも大きい第2のアイドル回転速度に設定するとともに、アイドル回転速度の増加に応じてエンジン160に配分される駆動力を増加させる。ECU300は、第2のアイドル回転速度に設定されている場合に、エンジン160に配分される駆動力を低下させるときには、第2のアイドル回転速度を維持しつつエンジン160の出力トルクを低下させる。
【選択図】図1
Description
本発明は、内燃機関の制御装置およびそれを搭載する車両に関し、より特定的には、内燃機関のアイドル回転速度の設定についての制御に関する。
エンジンなどの内燃機関において、エンジン始動後に負荷に駆動力を伝達しない状態で自立運転をする、いわゆるアイドル運転におけるエンジンの回転速度(以下、「アイドル回転速度」とも称する。)は、燃料消費量を低減するために、自立運転が可能な範囲で、できるだけ低回転速度とすることが望ましい。
一方で、エンジンが運転されている間は、エンジンの動作によって振動が生じるが、アイドル運転時の振動を低減するために、アイドル回転速度は、エンジンを含む駆動力伝達系に共振を生じさせる回転速度(以下、「共振回転速度」とも称する。)よりも高くなるように設定される。
特開2006−152877号公報(特許文献1)は、搭載されるエンジンをモータによりクランキングして始動させるハイブリッド車両において、エンジンをクランキングする際に、エンジン回転速度の上昇が抑制されることによって、クランキング時のエンジン回転速度が、駆動力伝達系の共振回転速度と一致する可能性があるときには、エンジンの回転速度が共振回転速度よりも低くなるようにモータを駆動する構成を開示する。
特開2006−152877号公報(特許文献1)に開示された構成によれば、エンジン始動の際のクランキング時に、フリクショントルクの増大やバッテリ出力の低下によるモータの出力低下などによって、エンジン回転速度が共振回転速度に一致する可能性がある場合であっても、駆動力伝達系の共振を抑制することができる。
一般的に、エンジンのアイドル回転速度は、アイドル運転時の振動を低減するために、エンジンからの振動が伝わる駆動力伝達系の共振周波数に対応する回転速度(共振回転速度)と異なる値に設定される。
しかしながら、たとえば、寒冷地などにおいて、低温(たとえば、−15℃以下)の環境下で長期間エンジンが停止されたままの状態で車両が継続されると、駆動力伝達系の共振回転速度が変化する場合がある。そのため、車両が低温環境下でエンジンが停止された状態が継続された場合には、駆動力伝達系の共振回転速度がアイドル回転速度に近づくことにより、アイドル運転時の振動が大きくなるおそれがある。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、低温環境下でエンジンが停止された状態が継続された場合に、アイドル運転時における振動の増加を抑制することである。
本発明による内燃機関の制御装置は、内燃機関および回転電機を含む車両における内燃機関の制御装置である。車両は、内燃機関により発生する駆動力と回転電機により発生する駆動力とを利用して、車両駆動力が出力されるように制御される。内燃機関により発生する駆動力は、内燃機関の回転速度と出力トルクとに基づいて定められる。制御装置は、内燃機関の停止期間をカウントし、停止期間が短い場合は内燃機関のアイドル回転速度を第1のアイドル回転速度にする一方で、停止期間が長い場合は、内燃機関のアイドル回転速度を、第1のアイドル回転速度よりも大きい第2のアイドル回転速度にするとともに、アイドル回転速度の増加に応じて車両駆動力のうち内燃機関に配分される駆動力を増加させる。制御装置は、アイドル回転速度が第2のアイドル回転速度にされている場合に、内燃機関に配分される駆動力を低下させるときには、第2のアイドル回転速度を維持しつつ内燃機関の出力トルクを低下させる。
好ましくは、制御装置は、停止期間が予め定められた基準値を下回る場合は内燃機関のアイドル回転速度を第1のアイドル回転速度にする一方で、停止期間が基準値を上回る場合は、内燃機関のアイドル回転速度を第2のアイドル回転速度にする、請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
好ましくは、車両は、回転電機を駆動するための電力の供給と回転電機で発電された電力の蓄積とが可能に構成された蓄電装置をさらに含む。内燃機関に配分される駆動力は、蓄電装置の充電状態が高くなると低下される。制御装置は、アイドル回転速度が第2のアイドル回転速度にされている場合、充電状態が高いときは、充電状態が低いときに比べて、内燃機関の出力トルクを小さくする。
好ましくは、内燃機関の燃焼を維持することのできる内燃機関の出力トルクの下限値が、内燃機関の回転速度に対応して定められる。制御装置は、アイドル回転速度が第2のアイドル回転速度にされている場合、下限値を下回らない範囲内で内燃機関の出力トルクを低下させる。
好ましくは、制御装置は、第2のアイドル回転速度を維持した状態で出力トルクを下限値まで低下させても、配分が低下された内燃機関の駆動力の目標値まで内燃機関により発生する駆動力を低下できない場合には、アイドル回転速度を第2のアイドル回転速度から低下させることによって、目標値まで内燃機関により発生する駆動力を低下させる。
好ましくは、制御装置は、内燃機関を始動する際の気温に関連する値がしきい値を下回る場合で、かつ停止期間が基準値を上回る場合に、アイドル回転速度を第2のアイドル回転速度にする。
好ましくは、内燃機関は、固定部材を用いて車両に取り付けられる。内燃機関を含む駆動力伝達系の共振周波数は、固定部材の温度が低下すると高くなる特性を有する。
好ましくは、内燃機関は、内燃機関の効率が最適となるような、内燃機関の回転速度と出力トルクとの関係を定める動作線が予め定義されたマップに従って制御される。制御装置は、第1のアイドル回転速度から第2のアイドル回転速度にアイドル回転速度を変更する場合は、動作線に沿うように内燃機関の回転速度および出力トルクを変化させる。
好ましくは、制御装置は、アイドル回転速度が第2のアイドル回転速度にされた状態が予め定められた期間経過したときは、アイドル回転速度を第1のアイドル回転速度に戻す。
本発明による車両は、内燃機関と、回転電機と、内燃機関を制御するための制御装置とを備える。車両は、内燃機関により発生する駆動力と回転電機により発生する駆動力とを利用して、車両駆動力が出力されるように制御される。内燃機関により発生する駆動力は、内燃機関の回転速度と出力トルクとに基づいて定められる。制御装置は、内燃機関の停止期間をカウントし、停止期間が短い場合は内燃機関のアイドル回転速度を第1のアイドル回転速度にする一方で、停止期間が長い場合は、内燃機関のアイドル回転速度を、第1のアイドル回転速度よりも大きい第2のアイドル回転速度にするとともに、アイドル回転速度の増加に応じて車両駆動力のうち内燃機関に配分される駆動力を増加させる。制御装置は、アイドル回転速度が第2のアイドル回転速度にされている場合に、内燃機関に配分される駆動力を低下させるときには、第2のアイドル回転速度を維持しつつ内燃機関の出力トルクを低下させる。
好ましくは、内燃機関は、固定部材を用いて車両に取り付けられる。内燃機関を含む駆動力伝達系の共振周波数は、固定部材の温度が低下すると高くなる特性を有する。
本発明によれば、低温環境下でエンジンが停止された状態が継続された場合に、アイドル運転時における振動の増加を抑制することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
[車両の全体構成の説明]
図1は、本実施の形態に従う車両100の全体ブロック図である。図1を参照して、車両100は、蓄電装置110と、システムメインリレー(System Main Relay:SMR)115と、駆動装置であるPCU(Power Control Unit)120と、モータジェネレータ130,135と、動力伝達ギヤ140と、駆動輪150と、内燃機関であるエンジン160と、制御装置であるECU(Electronic Control Unit)300とを備える。また、PCU120は、コンバータ121と、インバータ122,123と、コンデンサC1,C2とを含む。
図1は、本実施の形態に従う車両100の全体ブロック図である。図1を参照して、車両100は、蓄電装置110と、システムメインリレー(System Main Relay:SMR)115と、駆動装置であるPCU(Power Control Unit)120と、モータジェネレータ130,135と、動力伝達ギヤ140と、駆動輪150と、内燃機関であるエンジン160と、制御装置であるECU(Electronic Control Unit)300とを備える。また、PCU120は、コンバータ121と、インバータ122,123と、コンデンサC1,C2とを含む。
蓄電装置110は、充放電可能に構成された電力貯蔵要素である。蓄電装置110は、たとえば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池または鉛蓄電池などの二次電池、あるいは電気二重層キャパシタなどの蓄電素子を含んで構成される。
蓄電装置110は、電力線PL1および接地線NL1を介してPCU120に接続される。そして、蓄電装置110は、車両100の駆動力を発生させるための電力をPCU120に供給する。また、蓄電装置110は、モータジェネレータ130,135で発電された電力を蓄電する。蓄電装置110の出力はたとえば200V程度である。
SMR115に含まれるリレーは、蓄電装置110とPCU120とを結ぶ電力線PL1および接地線NL1にそれぞれ介挿される。そして、SMR115は、ECU300からの制御信号SE1に基づいて、蓄電装置110とPCU120との間での電力の供給と遮断とを切換える。
コンバータ121は、ECU300からの制御信号PWCに基づいて、電力線PL1および接地線NL1と電力線PL2および接地線NL1との間で電圧変換を行なう。
インバータ122,123は、電力線PL2および接地線NL1に並列に接続される。インバータ122,123は、ECU300からの制御信号PWI1,PWI2にそれぞれ基づいて、コンバータ121から供給される直流電力を交流電力に変換し、モータジェネレータ130,135をそれぞれ駆動する。
コンデンサC1は、電力線PL1および接地線NL1の間に設けられ、電力線PL1および接地線NL1間の電圧変動を減少させる。また、コンデンサC2は、電力線PL2および接地線NL1の間に設けられ、電力線PL2および接地線NL1間の電圧変動を減少させる。
モータジェネレータ130,135は交流回転電機であり、たとえば、永久磁石が埋設されたロータを備える永久磁石型同期電動機である。
モータジェネレータ130,135の出力トルクは、減速機や動力分割機構を含んで構成される動力伝達ギヤ140を介して駆動輪150に伝達されて、車両100を走行させる。モータジェネレータ130,135は、車両100の回生制動動作時には、駆動輪150の回転力によって発電することができる。そして、その発電電力は、PCU120によって蓄電装置110の充電電力に変換される。
また、モータジェネレータ130,135は動力伝達ギヤ140を介してエンジン160とも結合される。そして、ECU300により、モータジェネレータ130,135およびエンジン160が協調的に動作されて必要な車両駆動力が発生される。さらに、モータジェネレータ130,135は、エンジン160の回転により発電が可能であり、この発電電力を用いて蓄電装置110を充電することができる。本実施の形態においては、モータジェネレータ135を専ら駆動輪150を駆動するための電動機として用い、モータジェネレータ130を専らエンジン160により駆動される発電機として用いるものとする。
エンジン160は、ECU300からの制御信号DRVにより回転速度、バルブの開閉タイミングおよび燃料流量等が制御され、車両100を走行するための駆動力を発生する。
なお、図1においては、エンジン160および2つのモータジェネレータ130,135を用いて走行するハイブリッド車両の構成が例として示されるが、本実施の形態は、モータジェネレータが1つの場合、あるいは2つより多くのモータジェネレータを設ける構成としてもよい。
エンジン160には、エンジン160の冷却水の温度を検出するための温度センサ165が設けられる。温度センサ165は、検出した冷却水温度TWに関する信号をECU300に出力する。
また、車両100は、外気温を検出するための温度センサ170と、車体の振動を検出するための振動センサ180とをさらに備える。温度センサ170は、検出した外気温に関する信号TAをECU300に出力する。振動センサ180は、たとえば、加速度センサであり、検出した車体の振動加速度ACCに関する信号をECU300へ出力する。
ECU300は、いずれも図1には図示しないがCPU(Central Processing Unit)、記憶装置および入出力バッファを含み、各センサ等からの信号の入力や各機器への制御信号の出力を行なうとともに、車両100および各機器の制御を行なう。なお、これらの制御については、ソフトウェアによる処理に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で処理することも可能である。
ECU300は、蓄電装置110に備えられる電圧センサ,電流センサ(いずれも図示せず)からの電圧VBおよび電流IBの検出値に基づいて、蓄電装置110の充電状態SOC(State of Charge)を演算する。また、ECU300は、図示しない速度センサから、車速SPDに関する信号を受ける。
ECU300は、ユーザの操作によって入力される、車両を始動させるためのイグニッション信号IGを受ける。ECU300は、イグニッション信号IGの受信に応答して、SMR115を閉成して、蓄電装置110からの電力をPCU120へ伝達する。それに代えて、あるいは、それに加えて、ECU300は、制御信号DRVを出力してエンジン160を始動する。
なお、図1においては、制御装置として1つのECU300を設ける構成としているが、たとえば、PCU120用の制御装置や蓄電装置110用の制御装置などのように、機能ごとまたは制御対象機器ごとに個別の制御装置を設ける構成としてもよい。
[実施の形態1]
一般的に、エンジンのアイドル回転速度は、アイドル運転時の振動を低減するために、エンジンからの振動が伝わる駆動力伝達系の共振周波数に対応する回転速度(共振回転速度)と異なる値に設定される。
一般的に、エンジンのアイドル回転速度は、アイドル運転時の振動を低減するために、エンジンからの振動が伝わる駆動力伝達系の共振周波数に対応する回転速度(共振回転速度)と異なる値に設定される。
しかしながら、たとえば、寒冷地などにおいて、低温(たとえば、−15℃以下)の環境下で長期間エンジンが停止されたままの状態で車両が継続されると、駆動力伝達系の共振回転速度が変化する場合がある。そのため、車両が低温環境下でエンジンが停止された状態が継続された場合には、駆動力伝達系の共振回転速度がアイドル回転速度に近づくことにより、アイドル運転時の振動が大きくなるおそれがある。
たとえば、上述のような車両において、エンジンを車体に取り付ける場合には、エンジンが駆動されることによって生じる振動が直接車体に伝達されないようにするために、たとえば、ゴムのような弾力性を有する固定部材(マウント)を介して取り付けられるのが一般的である。
エンジンを含む駆動力伝達系の共振周波数は、取付けに用いられるこのマウントの弾性係数により変化する。そして、寒冷地などにおいて、極低温環境下で長期間エンジンが停止されたままの状態で車両が放置されたような場合、マウントの特性によってはマウントが硬化してしまい、駆動力伝達系の共振回転速度が変化する場合がある。マウントが硬化する、すなわち弾性係数が小さくなると、一般的に共振周波数が高くなることが知られている。そのため、このように車両が低温環境下で長期間放置されたような場合には、駆動力伝達系の共振回転速度がアイドル回転速度に近づいてしまい、アイドル運転時の振動が大きくなるおそれがある。
そこで、実施の形態1においては、車両が低温環境下においてエンジンが停止されたままの状態とされた停止期間に応じてアイドル回転速度を変化させることによって、アイドル運転時に駆動力伝達系に共振が生じることを抑制するアイドル速度変更制御を行なう。
図2は、実施の形態1におけるアイドル速度変更制御の概要を説明するための図である。図2の横軸には、低温環境下においてエンジンが停止されたままの状態とされた停止期間(以下、「放置時間」とも称する。)TIMが示され、縦軸にはエンジンを含む駆動力伝達系が共振を生じる共振回転速度Frが示される。
図1および図2を参照して、極低温環境下においては、上述のように、マウントの硬化によって、駆動力伝達系の共振回転速度Frは、放置時間TIMが長くなるにつれて、図2中の実線の曲線W1に示されるように高くなり、ある特定の共振回転速度付近で飽和する。
そして、共振回転速度Frが、常温におけるエンジン160のアイドル回転速度NE_idle(たとえば、1300rpm)(図2中の破線の直線W2)と一致する点P10またはその付近に到達した状態において、エンジン160が始動されてアイドル運転されると、特に始動直後においては、エンジン160により生じる振動により駆動力伝達系が共振してしまう可能性がある。
実施の形態1においては、たとえば、図2に示すような特性を有するマウントでは、共振回転速度Frがアイドル回転速度NE_idleに対応する回転速度に近づく、放置時間t3(たとえば、72時間)となったことに応答して、アイドル回転速度の設定値を、図2中の破線における直線W3のように、常温時のアイドル回転速度NE_idleよりも大きいアイドル回転速度NE_idle#(たとえば、1500rpm)に変更する。これにより、アイドル回転速度を駆動力伝達系の共振回転速度から遠ざけることができるので、駆動力伝達系の共振を防止することができる。
図1に示したようなハイブリッド車両においては、ドライバ要求トルクに基づいてエンジン指令パワーおよびモータジェネレータの目標トルクが決定されるように制御されることが可能である。そのため、本実施の形態のアイドル速度変更制御をハイブリッド車両に適用する場合には、エンジン効率が最適となるように、アイドル回転速度の変化に応じてエンジン指令パワーを変更することが望ましい。
図3は、ハイブリッド車両にアイドル速度変更制御を適用した場合の、エンジンの回転速度およびトルクの設定手法の概要を説明するための図である。図3においては、横軸にエンジンの回転速度NEが示され、縦軸にはエンジンへのトルクTRが示される。
図1および図3を参照して、図3中の曲線W20は、エンジン160の特性から、効率が最適となる回転速度NEとトルクTRとの関係を示す動作線である。
常温におけるアイドル回転速度が、回転速度NE_idleであるとすると、上述の動作線W20から点P1で示される動作ポイントとなるように、トルクTRが設定される。この点P1となるような要求パワーPW1を達成するための、回転速度NEとトルクTRとの関係が、図3中の曲線W10で示される。
このとき、アイドル速度変更制御において、単純にエンジン回転速度NEのみを回転速度NE_idle#まで変化させた場合、エンジン160への要求パワーの配分が同じであると、曲線W10に沿ってトルクTRが変化し、点P2で示される動作ポイントでエンジン160が駆動される。
この点P2の動作ポイントは、効率が最適となる場合の動作線W20上ではないので、エンジン160としては効率が低下することになる。
そのため、図1のようなハイブリッド車両において、アイドル回転速度を変化させる場合には、変更後の動作ポイントが動作線W20上となるように、エンジン160への要求パワーの配分が変更される。たとえば、図3の例においては、動作線W20上で回転速度がNE_idle#となる点P3でエンジン160が駆動されるように、エンジン160への要求パワーがPW1からPW2へ変更される。
一方で、ハイブリッド車両では、蓄電装置のSOCが高くエンジンの駆動により発電される電力を十分に蓄えられない場合や、車両全体に要求される駆動力が低下された場合などには、エンジンに配分される駆動力を低下せざるをえない状態が生じ得る。
そうすると、図3で説明したような、アイドル回転速度の設定を高くすることにあわせてエンジンの駆動力を増加して、最適なエンジン効率の維持と駆動力伝達系の共振の防止とを両立することができなくなってしまうおそれがある。
このような場合に、実施の形態1におけるアイドル速度変更制御においては、アイドル運転時の駆動力伝達系の共振を防止することを優先する。すなわち、エンジン効率が悪化することを容認しつつ、アイドル回転速度を高く設定した状態で所望の要求パワーとなるようにトルクを設定する。
図4は、上記の制御を説明するための図であり、図3と同様にエンジン回転速度NEとトルクTRとの関係が示される。
図1および図4を参照して、図3と同様に、駆動力伝達系の共振を防止するために、アイドル回転速度を、常温時の回転速度NE_idleから回転速度NE_idle#に増加させる場合、エンジン160に対する駆動力が制限されていないときには、アイドル回転速度変更後の動作ポイントが、最適なエンジン効率となる動作線W20上になるように、すなわち図4中の点P30から点P31になるように、要求パワーがPW11(曲線W30)からPW12(曲線W31)へ変更される。
ところが、エンジン160に対する駆動力が制限されてしまい、図4の破線の曲線W32で示されるような要求パワーPW20とする必要が有る場合には、アイドル速度変更制御においては、アイドル回転速度NE_idle#を維持した状態で、要求パワーPW20となるように、動作ポイントが図7中の点P32となるようにトルクTRを設定する。
次に、図5および図6を用いて、実施の形態1におけるアイドル速度変更制御の構成を説明する。
図5は、実施の形態1においてECU300で実行されるアイドル速度変更制御を説明するための機能ブロック図である。図5の機能ブロック図に記載された各機能ブロックは、ECU300において、ハードウェア的あるいはソフトウェア的な処理によって実現される。
図1および図5を参照して、ECU300は、カウント部310と、アイドル速度設定部320と、エンジン制御部330とを含む。
カウント部310は、ユーザ操作によるイグニッション信号IGと、温度センサ165,170からの水温TWおよび外気温TAとを受ける。カウント部310は、これらの情報に基づいて、低温環境下においてエンジンが始動されないままの状態とされた放置時間TIMを算出する。カウント部310は、算出した放置時間TIMを、アイドル速度設定部320へ出力する。
アイドル速度設定部320は、カウント部310からの放置時間TIMと、温度センサ165,170からの水温TWおよび外気温TAと、振動センサ180からの振動加速度ACCと、図示されない速度センサからの車速SPDと、エンジン160の要求パワー低下を示す信号PDWNとを受ける。アイドル速度設定部320は、図2で説明したように、これらの情報に基づいて、アイドル運転時のアイドル回転速度の基準値NR_idleを設定し、設定した基準値NR_idleをエンジン制御部330へ出力する。
エンジン制御部330は、アイドル速度設定部320からのアイドル回転速度の基準値NR_idle、制御フラグFLG、およびエンジン160の要求パワー低下を示す信号PDWNを受ける。エンジン制御部330は、アイドル運転時には、エンジン160の回転速度が、基準値NR_idleに従った回転速度になるように制御信号DRVを生成し、エンジン160を制御する。また、エンジン制御部330は、車両走行時には、ユーザによるアクセルペダルの操作等から定まるトルクTRが出力されるように制御信号DRVを生成して、エンジン160を制御する。
さらに、エンジン制御部330は、制御フラグFLGにより、駆動力伝達系の共振を防止するためにアイドル回転速度が変更されていることが示されている状態で、信号PDWNによりエンジン160の要求パワーの低下が指示された場合には、図4で説明したように、アイドル回転速度が高く設定された状態を維持しつつ、要求される要求パワーを達成するようにトルクTRを変更する。そして、エンジン制御部330は、これらの指令値の基づいてエンジン160を制御する。
図6は、実施の形態1において、ECU300で実行されるアイドル速度変更制御処理の詳細を説明するためのフローチャートである。図6および後述される図8に示されるフローチャートは、ECU300に予め格納されたプログラムがメインルーチンから呼び出されて、所定周期で実行されることによって処理が実現される。あるいは、一部または全部のステップについては、専用のハードウェア(電子回路)で処理を実現することも可能である。
図1および図6を参照して、ECU300は、ステップ(以下、ステップをSと略す。)100にて、ユーザ操作によるイグニッション信号IGにより、走行可能状態であるReady−ON状態であるか否かを判定する。
Ready−ON状態でない場合(S100にてNO)は、エンジン160は始動されないので、ECU300は処理を終了する。
Ready−ON状態である場合(S100にてYES)は、ECU300は、S110にて、次に、低温環境下における放置時間TIMが予め定められた基準値αより大きいか否かを判定する。
放置時間TIMが基準値α以下の場合(S110にてNO)は、ECU300は、駆動力伝達系の共振回転速度が、アイドル回転速度付近に到達していないと判断する。そしてECU300は、S190に処理を進め、アイドル回転速度の変更を行なわずに処理を終了する。
放置時間TIMが基準値αより大きい場合(S110にてYES)は、処理がS120に進められ、エンジン160が始動されたときの冷却水温度TWが、予め定められたしきい値TWAよりも小さいか否かを判定する。これは、エンジン160を始動する時点で車両が低温環境下であったか否かを判定するものである。なお、S120においては、低温環境下であることの指標として、実際のエンジン160の温度を反映する冷却水温度TWを用いているが、これに代えて、たとえば、温度センサ170からの外気温TAのような他の信号を用いて判定してもよい。
冷却水温度TWがしきい値TWA以上の場合(S120にてNO)は、ECU300は、たとえば昼間などで外気温が高い状態であり、マウントの硬化状態が緩和(軟化)されている可能性が高く、駆動力伝達系の共振回転速度がアイドル回転速度付近に到達していないと判断する。そして、ECU300は、処理をS180に進めて、アイドル回転速度の変更を行なわずに処理を終了する。
一方、冷却水温度TWがしきい値TWAより小さい場合(S120にてYES)は、ECU300は、低温環境下にあり、駆動力伝達系の共振回転速度がアイドル回転速度付近に到達している可能性が高いと判断する。そして、ECU300は、S130にて、アイドル速度変更制御の制御フラグFLGをオンに設定する。さらに、ECU300は、S140にて、アイドル回転速度の基準値NR_idleを常温での回転速度NE_idle(たとえば、1300rpm)よりも大きい回転速度NE_idle#(たとえば、1500rpm)に変更するとともに、図3で説明したようなマップにしたがってエンジン160の効率が最適となるようにエンジン160への要求パワーを変更する。
次に、ECU300は、S150にて、エンジン160への出力パワーの低下要求があるか否かを判定する。
この低下要求は、たとえば、蓄電装置110のSOCから判定される。具体的には、蓄電装置110のSOCが所定のしきい値より大きくなると、SOCが大きくなるにつれてエンジン160への要求パワーが小さくなるように設定される。
エンジン160への出力パワーの低下要求がある場合(S150にてYES)は、処理がS160に進められ、ECU300は、アイドル回転速度NE_idle#を保持しつつ、低下された要求パワーとなるようにトルクTRを変更してエンジン160を制御する。その後、処理はS170に進められる。
一方、エンジン160への出力パワーの低下要求がない場合(S150にてNO)は、S160の処理がスキップされて、ECU300は、S140で設定したアイドル回転速度およびトルクに従ってエンジン160を制御する。そして、処理がS170に進められる。
ECU300は、S170にて、車両の駆動状態に基づいて、アイドル回転速度の変更制御を行なう期間すなわち制御継続時間が、予め定められたしきい値γより大きいか否かを判定する。
制御継続時間がしきい値γ以下の場合(S170にてNO)は、ECU300は、エンジン160のアイドル運転によって生じる振動エネルギおよび熱エネルギによるマウントの軟化がまだ十分でないと判断する。そのため、処理がS180に進められ、ECU300は、アイドル速度変更制御を継続して、常温の場合よりも高いアイドル回転速度NE_idle#を維持する。
制御継続時間がしきい値γより大きい場合(S170にてYES)は、ECU300は、エンジン160のアイドル運転によって生じる振動エネルギおよび熱エネルギによって、エンジン160を支えるマウントの硬化が緩和されたと判断する。すなわち、ECU300は、駆動力伝達系の共振回転速度が低減されて、常温におけるアイドル回転速度NE_idleから遠ざかっているものと判断する。そして、処理がS190に進められ、ECU300は、アイドル速度変更制御を停止してアイドル回転速度を常温におけるアイドル回転速度NE_idleに戻すとともに、制御フラグFLGをオフに設定する。
以上のような処理に従って制御を行なうことによって、車両が低温環境下に長時間さらされることに起因してエンジンを支持するマウントが硬化し、それによって駆動力伝達系の共振回転速度が大きくなることで、アイドル運転時に共振が生じてしまうことを抑制することができる。また、振動の発生を予測してアイドル回転速度を変更するので、共振による振動が発生する機会を少なくすることができる。さらに、ハイブリッド車両においてエンジンの駆動力を低下せざるを得ない状態の場合であっても、アイドル回転速度を高い設定した状態が優先的に維持されるので、アイドル運転時の共振をより確実に抑制することができる。
なお、図6においては、エンジン始動時の水温TWがしきい値TWAよりも小さいときにアイドル速度変更制御を実施する構成としているが(S120)、このステップS120の処理は任意的であり、エンジン始動時の水温TWにかかわらず、放置時間TIMが基準値αより大きい場合にはアイドル速度変更制御を実施するようにしてもよい。
[実施の形態2]
上述の実施の形態1においては、ハイブリッド車両が長時間低温環境下にさらされた状態からエンジンを始動する際に、駆動力伝達系の共振を抑制するためにアイドル回転速度が通常より高く設定された場合であってエンジンの出力パワーが制限されたときには、高いアイドル回転速度を維持したまま要求パワーを低減する構成について説明した。
上述の実施の形態1においては、ハイブリッド車両が長時間低温環境下にさらされた状態からエンジンを始動する際に、駆動力伝達系の共振を抑制するためにアイドル回転速度が通常より高く設定された場合であってエンジンの出力パワーが制限されたときには、高いアイドル回転速度を維持したまま要求パワーを低減する構成について説明した。
しかしながら、高いアイドル回転速度を維持したまま、どこまでも要求パワーを低減することは実際には可能ではない。たとえば、要求パワーを極端に低下させた場合には、エンジン筒内に噴射される燃料や空気の量が低下するために、エンジン筒内での燃焼が不安定な状態となり、燃焼状態が維持できずに失火してしまう可能性がある。
そのため、図7の破線の曲線W40に示されるように、エンジンの回転速度に対して、エンジン筒内での失火が生じないようなトルクの下限値が一般的に設定される。
たとえば、図7において、アイドル回転速度が高く設定された動作ポイント点P31の状態において、出力パワーがPW11となるような低下要求を受けた場合には、実施の形態1に従えば、アイドル回転速度NE_idle#を維持したまま点P32Aの動作ポイントとなるようにトルクが設定されるべきである。しかしながら、この点P32Aの動作ポイントは、失火限界のトルクを示す曲線W40よりも低いトルクであるので、エンジンの燃焼を安定的に継続させるために、この動作ポイントを採用することはできない。
そのため、実施の形態2においては、ハイブリッド車両において、低温環境下での長期放置に起因する共振の防止のためにアイドル回転速度を上昇させた後、出力パワーが制限された場合には、まず、実施の形態1で示したのと同様に、共振の発生の抑制を優先して、高いアイドル回転速度を維持したままトルクを低下させる。そして、トルクが失火限界を示す動作ポイント(点P32B)における要求パワーよりもさらに出力パワーが制限されている場合には、エンジンの燃焼を優先し、所望の要求パワーとなるまで、失火限界を示す曲線W40に沿ってアイドル回転速度およびトルクの両方を低下させる(点P32C)。
このようにすることによって、エンジンの失火を生じない範囲内で、できるだけアイドル回転速度を高く設定することが可能となる。
図8は、実施の形態2において、ECU300で実行されるアイドル速度変更制御処理の詳細を説明するためのフローチャートである。図8は、実施の形態1の図6のフローチャートに、ステップS161,S162が追加されたものとなっている。図8において、図6と重複するステップについての説明は繰り返さない。
図1および図8を参照して、低温環境下での放置時間TIMが基準値αよりも大きく(S110にてYES)、エンジン始動時の水温TWがしきい値TWAよりも小さい(S120にてYES)場合は、ECU300は、駆動力伝達系の共振を抑制するためにアイドル回転速度の変更が必要と判断し、制御フラグFLGをオンに設定する(S130)とともに、最適動作線に沿ってアイドル回転速度およびエンジン要求パワーを増加させる(S140)。
S150において、エンジン160の出力パワーの低下要求が有る場合(S150にてYES)は、ECU300は、S160にて、まず、アイドル回転速度を高く設定した状態で、トルクTRを低下させる。
その後、S161にて、ECU300は、低下したトルクTRが、図7における曲線W40で示されるような、失火限界を示す下限トルクより大きいか否かを判定する。
トルクTRが失火限界を示す下限トルクより大きい場合(S161にてYES)は、ECU300は、低下したトルクTRを用いてエンジン160を制御し、S170に処理を進める。
一方、トルクTRが失火限界を示す下限トルク以下の場合(S161にてNO)は、現在のアイドル回転速度においては、エンジン160を安定的に燃焼させるために、それ以上トルクを低下させることはできない。そのため、処理がS162に進められて、ECU300は、失火限界下限トルクを下回らないように、図7の曲線W40に沿って、トルクTRとともにアイドル回転速度を低下させる。このようにして、ECU300は、要求されている出力パワーを達成する動作ポイントを定めてエンジン160を制御する。
その後、当該アイドル回転速度変更制御の継続時間が所定のしきい値γに到達するまで、設定したアイドル回転速度およびトルクを用いてアイドル運転を実行する(S170〜S190)。
以上のような処理に従って制御を行なうことによって、エンジンの適切な燃焼状態を維持しながら、低温環境下に長時間さらされた場合にマウントの硬化に伴って生じ得る、駆動力伝達系の共振を抑制することが可能となる。
なお、以上の説明においては、マウントの硬化によって駆動力伝達系の共振回転速度が変化する場合を例として説明したが、マウントによる要因に限らず、車両が低温環境下にさらされた場合おいて、駆動力伝達系の共振回転速度が変化する場合には、本発明を適用することが可能である。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
100 車両、110 蓄電装置、115 SMR、120 PCU、121 コンバータ、122,123 インバータ、130,135 モータジェネレータ、140 動力伝達ギヤ、150 駆動輪、160 エンジン、165,170 温度センサ、180 振動センサ、300 ECU、310 カウント部、320 アイドル速度設定部、330 エンジン制御部、C1,C2 コンデンサ、NL1 接地線、PL1,PL2 電力線。
Claims (11)
- 内燃機関および回転電機を含む車両における内燃機関の制御装置であって、
前記車両は、前記内燃機関により発生する駆動力と前記回転電機により発生する駆動力とを利用して、車両駆動力が出力されるように制御され、
前記内燃機関により発生する駆動力は、前記内燃機関の回転速度と出力トルクとに基づいて定められ、
前記制御装置は、前記内燃機関の停止期間をカウントし、前記停止期間が短い場合は前記内燃機関のアイドル回転速度を第1のアイドル回転速度にする一方で、前記停止期間が長い場合は、前記内燃機関のアイドル回転速度を、前記第1のアイドル回転速度よりも大きい第2のアイドル回転速度にするとともに、前記アイドル回転速度の増加に応じて前記車両駆動力のうち前記内燃機関に配分される駆動力を増加させ、
前記制御装置は、前記アイドル回転速度が前記第2のアイドル回転速度にされている場合に、前記内燃機関に配分される駆動力を低下させるときには、前記第2のアイドル回転速度を維持しつつ前記内燃機関の出力トルクを低下させる、内燃機関の制御装置。 - 前記制御装置は、前記停止期間が予め定められた基準値を下回る場合は前記内燃機関のアイドル回転速度を前記第1のアイドル回転速度にする一方で、前記停止期間が前記基準値を上回る場合は、前記内燃機関のアイドル回転速度を前記第2のアイドル回転速度にする、請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
- 前記車両は、前記回転電機を駆動するための電力の供給と前記回転電機で発電された電力の蓄積とが可能に構成された蓄電装置をさらに含み、
前記内燃機関に配分される駆動力は、前記蓄電装置の充電状態が高くなると低下され、
前記制御装置は、前記アイドル回転速度が前記第2のアイドル回転速度にされている場合、前記充電状態が高いときは、前記充電状態が低いときに比べて、前記内燃機関の出力トルクを小さくする、請求項2に記載の内燃機関の制御装置。 - 前記内燃機関の燃焼を維持することのできる前記内燃機関の出力トルクの下限値が、前記内燃機関の回転速度に対応して定められ、
前記制御装置は、前記アイドル回転速度が前記第2のアイドル回転速度にされている場合、前記下限値を下回らない範囲内で前記内燃機関の出力トルクを低下させる、請求項3に記載の内燃機関の制御装置。 - 前記制御装置は、前記第2のアイドル回転速度を維持した状態で前記出力トルクを前記下限値まで低下させても、配分が低下された前記内燃機関の駆動力の目標値まで前記内燃機関により発生する駆動力を低下できない場合には、前記アイドル回転速度を前記第2のアイドル回転速度から低下させることによって、前記目標値まで前記内燃機関により発生する駆動力を低下させる、請求項4に記載の内燃機関の制御装置。
- 前記制御装置は、前記内燃機関を始動する際の気温に関連する値がしきい値を下回る場合で、かつ前記停止期間が前記基準値を上回る場合に、前記アイドル回転速度を前記第2のアイドル回転速度にする、請求項2〜5のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置。
- 前記内燃機関は、固定部材を用いて前記車両に取り付けられ、
前記内燃機関を含む駆動力伝達系の共振周波数は、前記固定部材の温度が低下すると高くなる特性を有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置。 - 前記内燃機関は、前記内燃機関の効率が最適となるような、前記内燃機関の回転速度と出力トルクとの関係を定める動作線が予め定義されたマップに従って制御され、
前記制御装置は、前記第1のアイドル回転速度から前記第2のアイドル回転速度に前記アイドル回転速度を変更する場合は、前記動作線に沿うように前記内燃機関の回転速度および出力トルクを変化させる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置。 - 前記制御装置は、前記アイドル回転速度が前記第2のアイドル回転速度にされた状態が予め定められた期間経過したときは、前記アイドル回転速度を前記第1のアイドル回転速度に戻す、請求項1〜8のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置。
- 車両であって、
内燃機関と、
回転電機と、
前記内燃機関を制御するための制御装置とを備え、
前記車両は、前記内燃機関により発生する駆動力と前記回転電機により発生する駆動力とを利用して、車両駆動力が出力されるように制御され、
前記内燃機関により発生する駆動力は、前記内燃機関の回転速度と出力トルクとに基づいて定められ、
前記制御装置は、前記内燃機関の停止期間をカウントし、前記停止期間が短い場合は前記内燃機関のアイドル回転速度を第1のアイドル回転速度にする一方で、前記停止期間が長い場合は、前記内燃機関のアイドル回転速度を、前記第1のアイドル回転速度よりも大きい第2のアイドル回転速度にするとともに、前記アイドル回転速度の増加に応じて前記車両駆動力のうち前記内燃機関に配分される駆動力を増加させ、
前記制御装置は、前記アイドル回転速度が前記第2のアイドル回転速度にされている場合に、前記内燃機関に配分される駆動力を低下させるときには、前記第2のアイドル回転速度を維持しつつ前記内燃機関の出力トルクを低下させる、車両。 - 前記内燃機関は、固定部材を用いて前記車両に取り付けられ、
前記内燃機関を含む駆動力伝達系の共振周波数は、前記固定部材の温度が低下すると高くなる特性を有する、請求項10に記載の車両。
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