JP6207439B2 - 油圧クラッチ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、マニュアルによるクラッチ操作により油圧が作用して油圧クラッチを断接する油圧クラッチ装置に関する。
クラッチレバーやクラッチペダル等をマニュアルにより操作して、油圧クラッチを断接する油圧クラッチ装置は、運転者が手または足によるマニュアルでクラッチ操作するときに、油圧クラッチの半クラッチ状態を上手に利用してクラッチ操作することで、油圧クラッチを円滑に断接することができる。
特に発進時などでは、例えば、クラッチレバーを十分握って油圧クラッチが切断状態にあるときからクラッチレバーを徐々に開放してクラッチ作動油圧を緩やかに下げて油圧クラッチを半クラッチ状態を経て接続状態に滑らかに移行するようにクラッチ操作をしないと機関停止(エンスト)するようなことが起こるので、繊細なクラッチ操作が要求される。
このような運転者のクラッチ操作を容易にするために、クラッチ操作により油圧を発生させるマスタシリンダと油圧を油圧クラッチに作用させるスレーブシリンダとを連通する油路の途中に油圧を吸収して圧力を調整する圧力調整機構を接続する例がある(特許文献1参照)。
特開2013−204788号公報
特許文献1に開示された圧力調整機構は、油路に連通する油圧吸収室にピストンが摺動可能に嵌合し、弾性部材に付勢された揺動部材によりピストンが押圧される構造のものである。
特許文献1の図6に示されたレバー操作量(クラッチ操作量)に対するクラッチ圧力の特性曲線をみると、通常、レバー操作量に対してクラッチ圧力は略比例しており、レバー操作の開始から所定の上昇率で上昇し、あるレバー操作量から急激に上昇率が低下している。
これに対して、該圧力調整機構を用いると、レバー操作の開始からレバー操作量に対するクラッチ圧力(クラッチ作動油圧)の上昇率(勾配)は、通常に比べて低くなっている。
上昇率が低くなったレバー操作量の範囲に半クラッチ状態があるので、レバー操作量に対するクラッチ圧力の変動は小さく抑えられ、クラッチの断接を円滑に行えるようにしている。
しかし、実際に半クラッチ状態を現出するクラッチ圧力の範囲は、レバー操作の開始からクラッチ圧力の上昇率が急激に低下するまでの略一定の上昇率にある全ての範囲ではなく、レバー操作の開始からある程度のレバー操作量の範囲は、クラッチが接続状態とみなせる範囲がある。
したがって、半クラッチ状態を現出するクラッチ圧力の範囲は、レバー操作の開始からクラッチ圧力の上昇率が急激に低下するまでの範囲のうち、少なくともクラッチが接続状態とみなせる範囲を除いた一部の範囲である。
しかるに、特許文献1では、圧力調整機構を設けることで、レバー操作の開始からクラッチ圧力の上昇率が急激に低下するまでの範囲の全体の上昇率(勾配)を小さくしているので、通常よりレバー操作の操作範囲が大きくなって操作性に影響する。
また、通常の油圧系統の油路に圧力調整機構を外部に突出させて設けることになり、油圧系統が複雑化するとともに、配置スペースを別途確保する必要がある。
本発明は、かかる点に鑑みなされたもので、その目的とする処は、簡単かつコンパクトな構造で、クラッチ操作の操作範囲を大きくすることなく、油圧クラッチの円滑な断接を効率的に行うことができる操作性に優れた油圧クラッチ装置を安価に供する点にある。
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、
内燃機関の動力を駆動輪に伝達する駆動系に介設され動力伝達の断接を行う油圧クラッチ(51)を備え、
マニュアルによるクラッチ操作によりマスタシリンダ(17)に生じた油圧がスレーブシリンダ(70)に出力されて、同スレーブシリンダ(70)のシリンダケース(71)内にシリンダ軸線方向に移動可能に収容されたスレーブピストン(72)にクラッチ操作量(S)に応じたクラッチ作動油圧(P)が作用して前記油圧クラッチ(51)に設けられたクラッチスプリング(58)の付勢力に抗して前記スレーブピストン(70)が作動し、同スレーブピストン(70)の作動が伝達ロッド(60)を介して前記油圧クラッチ(51)を断接する油圧クラッチ装置において、
前記スレーブピストン(72)は、前記スレーブシリンダ(70)に入力されたクラッチ作動油圧を受けて前記シリンダケース(71)内をシリンダ軸線方向に移動する入力側ピストン(73)と、同入力側ピストン(73)にシリンダ軸線方向の相対移動を可能に支持され前記伝達ロッド(60)に連結する出力側ピストン(74)と、前記入力側ピストン(73)と前記出力側ピストン(74)とのシリンダ軸方向の間に挟まれて介在する弾性部材(75)とからなり、
前記クラッチ作動油圧(P)が所定の範囲にあるときにのみ、前記入力側ピストン(73)に作用する前記クラッチ作動油圧(P)による押圧力と前記出力側ピストン(74)に作用する前記クラッチスプリング(58)のばね力とにより、前記弾性部材(75)が弾性変形して前記入力側ピストン(73)と前記出力側ピストン(74)とが相対移動することを特徴とする油圧クラッチ装置である。
請求項2記載の発明は、
請求項1記載の油圧クラッチ装置において、
前記入力側ピストン(73)は、入力側ピストン円筒部(73a)と入力側ピストン底壁部(73b)とで有底円筒状に形成され、
前記出力側ピストン(74)は、前記入力側ピストン円筒部(73a)の内側にシリンダ軸線方向に摺動自在に嵌合して収容され、
前記弾性部材(75)は、前記入力側ピストン底壁部(73b)と前記出力側ピストン(74)との間に挟持されることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、
請求項2記載の油圧クラッチ装置において、
前記弾性部材(75)は、前記クラッチ作動油圧(P)が所定の範囲にあるときにのみ、撓むようにばね定数と撓み量を設定した皿ばね(75)であることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、
請求項3記載の油圧クラッチ装置において、
前記入力側ピストン底壁部(73b)と前記皿ばね(75)との間に環状のスプリングシート(78)が介装され、
前記スプリングシート(78)の外周縁には前記皿ばね(75)の外周端部に当接する環状凸部(78p)が形成され、
前記出力側ピストン(74)には前記皿ばね(75)の内周端部に当接する環状凸部(74p)が形成されることを特徴とする。
請求項5記載の発明は、
請求項2ないし請求項4のいずれか1項記載の油圧クラッチのクラッチ装置において、 前記入力側ピストン底壁部(73a)と前記出力側ピストン(74)の互いに対向する中心部位の間に、前記入力側ピストン底壁部(73a)と前記出力側ピストン(74)の互いに近づく相対移動を所定の位置関係で規制する移動規制部材(77)が介装されることを特徴とする。
請求項6記載の発明は、
請求項2ないし請求項5のいずれか1項記載の油圧クラッチ装置において、
前記入力側ピストン円筒部(73a)の開口端部には、前記入力側ピストン円筒部(73a)の内側に収容される前記出力側ピストン(74)の脱落を防止するロック部材(79)が螺合されることを特徴とする。
請求項7記載の発明は、
請求項6記載の油圧クラッチ装置において、
前記スレーブシリンダ(70)の前記シリンダケース(71)が、前記入力側ピストン(73)をシリンダ軸線方向に摺動自在に嵌合するケース円筒部(71a)とケース底壁部(71b)とで有底円筒状に形成され、
前記ケース底壁部(71b)と前記入力側ピストン底壁部(73b)との間に、前記弾性部材(75)の弾性変形による弾性力よりも十分小さいばね力で前記入力側ピストン(73)を付勢するコイルスプリング(80)が圧縮状態で介装され、
前記入力側ピストン底壁部(73b)の円形の外面の中心位置に、前記コイルスプリング(80)の端部を内側から保持するとともに工具を掛合できる多角形突起部(73p)が突出形成されることを特徴とする。
請求項8記載の発明は、
請求項2ないし請求項7のいずれか1項記載の油圧クラッチ装置において、
前記入力側ピストン円筒部(73a)の内側にシリンダ軸線方向に摺動自在に嵌合して収容される前記出力側ピストン(74)には、入力側ピストン底壁部(73b)側の内空間と反対側の外部とを連通するエア抜き孔(74bh)が形成されることを特徴とする。
請求項1記載の油圧クラッチ装置によれば、クラッチ作動油圧(P)が所定の範囲にあるときにのみ、入力側ピストン(73)に作用するクラッチ作動油圧(P)による押圧力と出力側ピストン(74)に作用するクラッチスプリング(58)のばね力とにより、弾性部材(75)が弾性変形して入力側ピストン(73)と出力側ピストン(74)とが相対移動するので、クラッチ作動油圧(P)の極めて限定された所定範囲で弾性部材を弾性変形することができ、このクラッチ作動油圧(P)の限定された所定範囲が、油圧クラッチ(51)の半クラッチ状態を現出するクラッチ作動油圧(P)をマスタシリンダ(17)に発生させるような範囲に相当するように設定することで、クラッチ操作量(S)の変位に対するクラッチ作動油圧(P)の変動を、限定された半クラッチ状態のときにのみ抑制することができ、クラッチ操作の操作範囲を大きくすることなく、クラッチ操作による油圧クラッチ(51)の円滑な断接を効率的に行うことができ、操作性を向上させることができる。
また、スレーブシリンダ(70)内で入力側ピストン(73)と出力側ピストン(74)との間に弾性部材(75)が挟まれる簡単でコンパクトな構造で安価であり、別途配置スペースも必要としない。
請求項2記載の油圧クラッチ装置によれば、入力側ピストン(73)は、入力側ピストン円筒部(73a)と入力側ピストン底壁部(73b)とで有底円筒状に形成され、出力側ピストン(74)は、入力側ピストン円筒部(73a)の内側にシリンダ軸線方向に摺動自在に嵌合して収容され、弾性部材(75)は入力側ピストン底壁部(73b)と出力側ピストン(74)との間に挟持されるので、特別な保持機構を設けることなく、入力側ピストン(73)が出力側ピストン(74)を摺動自在に収容し保持して部品点数の増加を抑え、構造を簡素化して小型化を図ることができる。
請求項3記載の油圧クラッチ装置によれば、弾性部材(75)は、前記クラッチ作動油圧(P)が所定の範囲にあるときにのみ撓むようにばね定数と撓み量を設定した皿ばね(75)であるので、入力側ピストン(73)と出力側ピストン(74)との間に皿ばね(75)を挟む極めて簡素でコンパクトなスレーブピストン(72)を構成することができ、スレーブシリンダ(70)を小型化することができる。
請求項4記載の油圧クラッチ装置によれば、入力側ピストン底壁部(73b)と皿ばね(75)との間に環状のスプリングシート(78)が介装され、スプリングシート(78)の外周縁には皿ばね(75)の外周端部に当接する環状凸部(78p)が形成され、出力側ピストン(74)には皿ばね(75)の内周端部に当接する環状凸部(74p)が形成されるので、平板または平板に近い皿ばね(75)を使用することができ、皿ばね(75)のスプリングシート(78)の環状凸部(78p)への接触位置を容易に変更対応ができて撓み量の調整が容易に行え、弾性部材(75)が弾性変形するクラッチ作動油圧(P)の所定の範囲(半クラッチ)のクラッチ切断側限界を適正かつ容易に設定することができる。
請求項5記載の油圧クラッチ装置によれば、入力側ピストン底壁部(73b)と出力側ピストン(74)の互いに対向する中心部位の間に、入力側ピストン底壁部(73b)と出力側ピストン(74)の互いに近づく相対移動を所定の位置関係で規制する移動規制部材(77)が介装されるので、移動規制部材(77)の厚みによって入力側ピストン底壁部(73b)と出力側ピストン(74)の互いに近づく相対移動を規制する位置関係を調整することで、皿ばね(75)の撓み量を精度良く変更設定することができるため、移動規制部材(77)の厚みを変えることで、弾性部材(75)が弾性変形するクラッチ作動油圧(P)の所定の範囲(半クラッチ)のクラッチ切断側限界を適正かつ容易に設定することができる。
請求項6記載の油圧クラッチ装置によれば、入力側ピストン円筒部(73a)の開口端部には、入力側ピストン円筒部(73a)の内側に収容される出力側ピストン(74)の脱落を防止するロック部材(79)が螺合されるので、入力側ピストン円筒部(73a)の開口端部に螺合されたロック部材(79)により出力側ピストン(74)が入力側ピストン円筒部(73a)内に確実に保持されるとともに、ロック部材(79)の螺合位置により入力側ピストン(73)に対する出力側ピストン(74)の弾性部材(75)を挟んだ相対位置を調整することができ、弾性部材(75)が弾性変形するクラッチ作動油圧(P)の所定の範囲(半クラッチ)のクラッチ接続側限界を適正かつ容易に設定することができる。
請求項7記載の油圧クラッチ装置によれば、ケース底壁部(71b)と入力側ピストン底壁部(73b)との間に、弾性部材(75)の弾性変形による弾性力よりも十分小さいばね力で入力側ピストン(73)を付勢するコイルスプリング(80)が圧縮状態で介装され、スレーブピストン(72)の挙動を抑えるとともに、入力側ピストン底壁部(73b)の円形の外面の中心位置に、コイルスプリング(80)の端部を内側から保持するとともに工具を掛合できる多角形突起部(73p)が突出形成されるので、コイルスプリング(80)の組付けが容易にでき、かつ多角形突起部(73p)に工具を掛合して入力側ピストン(73)を廻り止めして前記ロック部材(79)を入力側ピストン円筒部(73a)の開口端部に螺合することが容易にでき、組立作業性が良い。
請求項8記載の油圧クラッチ装置によれば、入力側ピストン円筒部(73a)の内側にシリンダ軸線方向に摺動自在に嵌合して収容される出力側ピストン(74)には、入力側ピストン底壁部(73b)側の内空間と反対側の外部とを連通するエア抜き孔(74bh)が形成されるので、エアによる摺動抵抗を低減して入力側ピストン(73)と出力側ピストン(74)との間の相対移動を円滑にすることができる。
本発明の一実施の形態に係る自動二輪車の全体側面図である。 同自動二輪車に搭載された内燃機関の断面展開図である。 スレーブシリンダの分解断面図である。 スレーブピストンを小組みしたスレーブシリンダの分解断面図である。 スレーブシリンダの断面図である。 クラッチ操作量Sに対するクラッチ作動油圧Pの特性曲線を示すグラフである。
以下、本発明に係る一実施の形態について図1ないし図6に基づいて説明する。
図1は、本発明を適用した一実施の形態に係る自動二輪車1の側面図である。
なお、本明細書の説明および特許請求の範囲において、前後左右の向きは、本実施の形態に係る自動二輪車1の直進方向を前方とする通常の基準に従うものとする。
図1を参照して、本自動二輪車1の車体フレームFは、車体前部の前輪Wfを軸支するフロントフォーク7を操向可能に支承するヘッドパイプ3から後方斜め下向きに左右一対のメインフレーム4,4が延出し、メインフレーム4,4の後端に連接されて左右一対のセンタフレーム5,5が下方に延び、センタフレーム5,5から後方斜め上向きに左右一対のリヤフレーム6,6が延びている。
センタフレーム5,5に前端を軸支されたスイングアーム8の後部に後輪Wrが軸支される。
メインフレーム4,4およびセンタフレーム5,5に懸架されて内燃機関Eが搭載される。
内燃機関Eの動力は、スイングアーム8内を前後に延びるドライブシャフト9を介して後輪Wrに伝達される。
そして、メインフレーム4,4の上には燃料タンク12が架設され、燃料タンク12の後方でリヤフレーム6,6の上にシート10が設けられる。
車体フレームFおよび内燃機関Eは、車体カバー11により部分的に覆われる。
ヘッドパイプ3に支承され上方に延びたステアリングシャフト14に左右に展開してハンドル15が設けられ、一方のハンドル15のグリップ部15gにクラッチレバー16が設けられている。
クラッチレバー16の握り操作は、グリップ部15gの付け根部分に設けられたマスタシリンダ17を駆動する。
マスタシリンダ17からは油圧ホース18が延出している。
内燃機関Eは、自動二輪車1に搭載された状態で、前方に傾いた前バンク気筒列Bfと後方に傾いた後バンク気筒列Brが、クランクケース20の上クランクケース20Aにシリンダブロック21が前後V型に形成されている。
シリンダブロック21の前後のバンク上部にそれぞれ取付けられた前シリンダヘッド22Fと後シリンダヘッド22Rと、これら前シリンダヘッド22Fと後シリンダヘッド22Rのそれぞれの上部に取付けられた前ヘッドカバー23Fと後ヘッドカバー23Rと、さらに上クランクケース20Aの下端面にその上端面が合わされて下クランクケース20Bが締結される。
図2を参照して、上クランクケース20Aの上部と下クランクケース20Bとによりクランク室20cが形成され、このクランク室20cにはクランク軸30が収容されており、上クランクケース20Aの後部と下クランクケース20Bの後部とによりミッション室20mが形成され、ミッション室20mには図1に図示されるように後述の伝動装置Dが配置され、伝動装置Dを構成する歯車シャフトであるメイン軸41とカウンタ軸42、油圧クラッチ装置50の油圧クラッチである湿式の多板摩擦クラッチ51および常時噛合式の歯車変速機M等が収容配置されている。
図2は、内燃機関Eの断面展開図であり、シリンダブロック21は、後バンク気筒列Brの断面を示している。
後バンク気筒列Brの各気筒のシリンダボア内をピストン31rが摺動し、ピストン31rとクランク軸30のクランクピンとにコンロッド32rが連接されている。
なお、同一クランクピンには、前バンク気筒列Bfのピストン(図示せず)と連接するコンロッド32fがともに軸支されている。
クランク軸30の左端にはACジェネレータ33が配設され、クランク軸30の右端にはプライマリドライブギヤ34が嵌着されている。
歯車変速機Mのメイン軸41には、6速分の駆動歯車m1〜m6が軸支され、カウンタ軸42には、6速分の被動歯車n1〜n6が軸支され、対応する変速段どうしが互いに噛合している。
3速駆動歯車m3と4速駆動歯車m4は、一体となってシフタとしてメイン軸41上を移動し、隣接する5速駆動歯車m5または6速駆動歯車m6に選択的に着脱し、5速被動歯車n5と6速被動歯車n6は、シフタとしてカウンタ軸42上を移動し、それぞれ隣接する4速被動歯車n4または3速被動歯車n3に着脱する。
歯車変速機Mは、これらシフタの移動により変速がなされる。
カウンタ軸42の後方には互いに平行な出力軸43が回転自在に軸支されており、カウンタ軸42の右側部に軸支された中間駆動歯車44と出力軸43に回転自在に軸支された中間被動歯車45aとが噛合している。
出力軸43にはカム式トルクダンパ機構45が設けられている。
カム式トルクダンパ機構45は、出力軸43にスプライン嵌合した雄カム部材45bがスプリング45sに付勢され、雄カム部材45bのカム凸部が中間被動歯車45aに形成されたカム凹部に係合することで構成されており、中間被動歯車45aの回転をカム式トルクダンパ機構45を介して出力軸43に伝達する。
出力軸43の左端部には、駆動傘歯車46が一体に形成され、この駆動傘歯車46は、車体前後方向に延びる前記ドライブシャフト9の前端に一体に設けられた被動傘歯車47に噛合し、これによって出力軸43の回転がドライブシャフト9に伝達される。
次に、油圧クラッチ装置50について説明する。
メイン軸41の右端部に設けられる湿式の多板摩擦クラッチ51は、クランク軸30とメイン軸41との間に介設され、これらの間の動力の伝達を断接する。
多板摩擦クラッチ51は、メイン軸41に回転自在に軸支されたクラッチアウタ52が、クランク軸30に嵌着されたプライマリドライブギヤ34に噛合するプライマリドリブンギヤ35をダンパ36を介して保持して、クランク軸30からの動力がクラッチアウタ52に入力される。
多板摩擦クラッチ51は、このクラッチアウタ52と、クラッチアウタ52の内方に設けられたメイン軸41と一体に回転するクラッチセンタ53と、クラッチアウタ52とクラッチセンタ53のそれぞれに一体に回転するように係合保持される複数のクラッチ板54と、各クラッチ板54を押圧するプレッシャプレート55とを備えて構成されている。
クラッチアウタ52とプレッシャプレート55の間には、相対回転差が生じた際に、プレッシャプレート55を軸方向に移動させるスリッパー用のカム機構56が設けられている。
プレッシャプレート55は、メイン軸端に固定された円筒部材57のフランジ部との間に介装されたクラッチスプリング58によりクラッチセンタ53側(左側)に付勢されて、複数のクラッチ板54を圧接して多板摩擦クラッチ51を接続状態に保持する。
メイン軸41は、軸心に軸孔が穿孔されており、同軸孔を伝達ロッド60が軸方向に摺動自在に貫通している。
伝達ロッド60のメイン軸41から突出した右端部にベアリング61を介して回転自在にクラッチ作動プレート62が支持され、円盤状をしたクラッチ作動プレート62の外周端がプレッシャプレート55に嵌着されている。
したがって、クラッチスプリング58によりプレッシャプレート55が左側に付勢されて多板摩擦クラッチ51を接続状態にあるときに、プレッシャプレート55とともにクラッチ作動プレート62がクラッチスプリング58の付勢力に抗して伝達ロッド60により右方に移動させられると、複数のクラッチ板54の圧接が解放されて多板摩擦クラッチ51は切断状態となる。
伝達ロッド60のメイン軸41から突出した左端部には、スレーブシリンダ70が設けられている。
スレーブシリンダ70は、前記したマスタシリンダ17と油圧ホース18で連結されている(図1参照)。
図3ないし図5を参照して、スレーブシリンダ70は、シリンダケース71がケース円筒部71aとケース底壁部71bとで有底円筒状に形成され、ケース円筒部71aとケース底壁部71bとの連結部に油圧を入力する入力孔71cが形成され、この入力孔71cには接続管19が嵌入されており(図2参照)、この接続管19に油圧ホース18が接続される。
ケース円筒部71aに形成されたフランジ部71fには、シリンダケース71をクランクケース20にボルト85により取り付けるためのボルトボス部71dが周方向3カ所に形成されている。
このシリンダケース71内にシリンダ軸線Lcの方向に移動可能に収容されるスレーブピストン72は、スレーブシリンダ70に入力されたクラッチ作動油圧を受けてシリンダケース71内をシリンダ軸線方向に移動する入力側ピストン73と、同入力側ピストン73にシリンダ軸線方向の相対移動を可能に支持され伝達ロッド60に連結する出力側ピストン74と、入力側ピストン73と出力側ピストン74とのシリンダ軸方向の間に挟まれて介在する弾性部材である皿ばね75とからなる。
入力側ピストン73は、入力側ピストン円筒部73aと入力側ピストン底壁部73bとで有底円筒状に形成され、入力側ピストン円筒部73aの両端部の外径が拡径して、その両端拡径部の外周面に形成された溝条にOリング76が嵌合される。
入力側ピストン円筒部73aの開口端部の内周面には雌ねじ73sが形成されている。
入力側ピストン底壁部73bの外面には環状の凹部73hが形成されて中央に六角形突起部73pが六角柱状に突出形成されている。
入力側ピストン底壁部73bの内面には中央に円穴73dが形成されており、同円穴73dには円板状のシム77が嵌合保持される。
シム77の厚さは円穴73dの深さより大きいので、シム77は円穴73dより幾らか突出する。
このシム77の突出量は、シム77の交換により調節することができる。
出力側ピストン74は、入力側ピストン円筒部73aの内径に略等しい外径の扁平外筒部74aと前記伝達ロッド60の左端部が嵌入する内筒部74cがシリンダ軸線Lcを同軸に重なり、扁平外筒部74aと内筒部74cとの間の環状空間の左開口を環状底壁部74bが塞ぎ、内筒部74cの左端開口を中央底壁部74dが塞いでいる。
円形の中央底壁部74dは環状底壁部74bより軸方向左方に突出し、中央にエア抜き孔74dhが穿孔され、環状底壁部74bにも周方向に複数エア抜き孔74bhが穿孔されている。
環状底壁部74bの内周縁に環状凸部74pが左方に若干突出して形成されている。
入力側ピストン73の入力側ピストン底壁部73bと出力側ピストン74の間に挟まれる皿ばね75は、平坦な中空円板状をなし、皿ばね75の外径は入力側ピストン円筒部73aの内径に略等しく、皿ばね75の内径は出力側ピストン74の中央底壁部74dの外径に略等しく、皿ばね75の内周端部は出力側ピストン74の環状凸部74pに当接する。
この皿ばね75と入力側ピストン底壁部73bとの間にはスプリングシート78が介装される。
スプリングシート78は、中空円板状をなし、外径が皿ばね75の外径と等しく、内径は皿ばね75の内径より大きい。
そして、スプリングシート78の外周縁には皿ばね75の外周端部に当接する環状凸部78pが形成されている。
入力側ピストン73の入力側ピストン円筒部73a内にスプリングシート78,皿ばね75,出力側ピストン74の順に嵌挿した後に入力側ピストン円筒部73aの開口端部の雌ねじ73sにロック部材79が螺合して出力側ピストン74の脱落を防止してスレーブピストン72が小組みされる。
ロック部材79は、外周面に入力側ピストン円筒部73aの雌ねじ73sに螺合する雄ねじ79sが形成された扁平円筒部79aの右端部にフランジ部79fが形成されており、扁平円筒部79aの右側内周面には星形多角形の工具掛合孔79hが形成されている。
フランジ部79fの外径は入力側ピストン73の入力側ピストン円筒部73aの外径に略等しい。
スレーブピストン72を小組みする手順は、入力側ピストン73の入力側ピストン底壁部73bの内面の円穴73dにシム77を嵌合しておき、入力側ピストン円筒部73a内にスプリングシート78を嵌挿して環状凸部78pを右方にして入力側ピストン底壁部73bの内面に当接し、次いで皿ばね75を嵌挿してから、出力側ピストン74を摺動可能に嵌入し、最後にロック部材79を入力側ピストン円筒部73aの開口端部の雌ねじ73sに螺合する。
入力側ピストン73にロック部材79を螺合するときは、一方の入力側ピストン73を六角形突起部73pにレンチなどの工具を掛合して固定し、他方のロック部材79を工具掛合孔79hに工具を掛合して回転させることで螺合する。
このようにして、スレーブピストン72が小組みされると、図4に示すように、皿ばね75は、入力側ピストン底壁部73bの内面に当接したスプリングシート78と出力側ピストン74との間に挟まれて、皿ばね75の外周端部にスプリングシート78の環状凸部78pが当接し、皿ばね75の内周端部に出力側ピストン74の環状凸部74pが当接して、皿ばね75を僅かに弾性変形させた状態にあり、スプリングシート78の環状凸部78pより内側の面と皿ばね75との間に隙間を有するとともに、出力側ピストン74の環状凸部74pより外側の環状底壁部74bと皿ばね75との間に隙間を有する。
また、入力側ピストン底壁部73bの円穴73dに嵌合したシム77に対向する出力側ピストン74の中央底壁部74dは、シム77との間に所定の間隔を形成している。
入力側ピストン73の入力側ピストン底壁部73bに対して出力側ピストン74は、中央底壁部74dがシム77に接するまで、皿ばね75の弾性変形に伴うばね力に抗して近づけることができる。
シム77を交換して、その厚みを変えることで、入力側ピストン73に対する出力側ピストン74の相対的な移動距離は調整することができる。
こうして小組みされたスレーブピストン72は、シリンダケース71のケース円筒部71a内に、コイルスプリング80を介して摺動自在に嵌入される。
シリンダケース71のケース底壁部71bとスレーブピストン72側の入力側ピストン底壁部73bとの間に油室90が形成される。
油室90は入力孔71cに連通している。
この油室90内に収まるコイルスプリング80は、円錐らせん形状に形成されたもので、一方の小径端部が入力側ピストン73の六角形突起部73pに嵌め込まれて保持された状態でスレーブピストン72とともにケース円筒部71a内に挿入されて、コイルスプリング80は、他方の大径端部がシリンダケース71のケース底壁部71bに当接し、一方の小径端部がスレーブピストン72側の入力側ピストン底壁部73bに当接して、ケース底壁部71bと入力側ピストン底壁部73bに挟まれてスレーブピストン72を右方に付勢する。
シリンダケース71のケース円筒部71aは、有底円筒状の取付ハウジング81が嵌合されて、取付ハウジング81を介してクランクケース20に取り付けられる。
取付ハウジング81は、ハウジング円筒部81aとハウジング底壁部81bとで有底円筒状なし、ハウジング円筒部81aの外周面には周方向3カ所にボルトボス部81dが膨出して形成され、円形のハウジング底壁部81bの中心に円孔81hが形成されている。
取付ハウジング81のハウジング円筒部81aは、内径がケース円筒部71aの外径に略等しく、取付ハウジング81のハウジング円筒部81aに外嵌して蓋をするように取付ハウジング81を嵌合する。
シリンダケース71のケース円筒部71aに形成されたフランジ部71fに、取付ハウジング81のハウジング円筒部81aの端面が対向しており、両者間にシール部材82が介装されて、シリンダケース71のボルトボス部71dと取付ハウジング81のボルトボス部81dとを同軸に合わせて、シリンダケース71に取付ハウジング81が嵌合する。
取付ハウジング81のハウジング底壁部81bは、ケース円筒部71aの開口を蓋するように覆う。
取付ハウジング81は、クランクケース20の左側の側壁におけるメイン軸41を軸支する部分に取り付けられる。
このとき、メイン軸41の軸孔を貫通する伝達ロッド60のクランクケース20の側壁より左方に突出した左端部を、取付ハウジング81のハウジング底壁部81bの円孔81hに挿通し、さらにスレーブピストン72のロック部材79の工具掛合孔79hに挿通して、出力側ピストン74の内筒部74cに嵌入する。
そして、同軸に合わせたシリンダケース71のボルトボス部71dと取付ハウジング81のボルトボス部81dを、ボルト85が貫通してクランクケース20の側壁に螺合し緊締して、スレーブシリンダ70がクランクケース20の側壁に取り付けられる。
伝達ロッド60は、多板摩擦クラッチ51を接続状態にするクラッチスプリング58のばね力により左方に付勢されており、伝達ロッド60が嵌合した出力側ピストン74も左方にクラッチスプリング58のばね力を受けている。
一方で、入力側ピストン73は、コイルスプリング80のばね力を受けて右方に付勢されているが、入力側ピストン73のばね力はクラッチスプリング58のばね力および皿ばね75のばね力に比べて十分小さく、スレーブピストン72の挙動を抑える程度のものである。
このように、クランクケース20の側壁に取り付けられたスレーブシリンダ70は、入力孔71cに嵌入された接続管19から油圧ホース18が延出し、ハンドル15のグリップ部15gに設けられたクラッチレバー16により操作されるマスタシリンダ17と油圧ホース18により連結されている。
クラッチレバー16が操作されてマスタシリンダ17に生じた油圧は、油圧ホース18を介してスレーブシリンダ70の油室90に入力される。
油室90に入力されたクラッチ作動油圧は、スレーブシリンダ70の入力側ピストン73に作用し、さらに皿ばね75を介して出力側ピストン74に作用して、クラッチスプリング58のばね力に抗して出力側ピストン74および伝達ロッド60を右方に移動すると、伝達ロッド60は多板摩擦クラッチ51のクラッチ作動プレート62を右方に移動して、多板摩擦クラッチ51の接続状態を解除して切断状態とすることができる。
クラッチレバー16の操作量であるクラッチ操作量Sとマスタシリンダ17に生じスレーブシリンダ70の油室90に入力されるクラッチ作動油圧Pとの対応関係を、図6に示す。
スレーブピストンが一体に形成された従来の油圧クラッチ装置における特性曲線A´を破線で示し、本スレーブピストン72を用いた本実施の形態に係る油圧クラッチ装置50における特性曲線Aを実線で示している。
マスタシリンダ17に油圧を発生させるピストンにはクラッチレバー16の操作が、内蔵されたばねを介して作用するので、そのばねの特性がクラッチ作動油圧Pに概ね反映されている。
従来の油圧クラッチ装置も本実施の形態に係る油圧クラッチ装置のマスタシリンダ17を使用している。
なお、クラッチ操作量Sに対するクラッチ作動油圧Pの特性曲線には、履歴効果(ヒステリシス)が見られ、クラッチ作動油圧Pが上昇するときの上昇特性曲線に比べ下降するときの下降特性曲線は、同じクラッチ操作量Sに対するクラッチ作動油圧Pが低く、上昇特性曲線を下方へ略平行移動した特性曲線を示している。
従来の油圧クラッチ装置の場合、破線の特性曲線A´を参照して、クラッチ操作量Sが0(多板摩擦クラッチ51が完全に接続状態)から大きくなると、クラッチ作動油圧Pは初め緩やかに上昇した後、略一定の上昇率(勾配)で上昇して、最大圧力に近づいたところで急に上昇率が低下しており、このときは、すでに多板摩擦クラッチ51は完全に切断状態にある。
従来の油圧クラッチ装置の場合、破線の特性曲線A´は、略一定の上昇率(勾配)で上昇しているクラッチ作動油圧Pの範囲は、広範囲であるが、図6に示すように、多板摩擦クラッチ51が半クラッチ状態を現出する半クラッチ作動油圧範囲Phは、図6に示すように、そのうちの一部の限定された範囲である。
従来の油圧クラッチ装置の場合、この半クラッチ作動油圧範囲Phにおいても、その前後と変わらず略一定の上昇率を示しており、クラッチ操作量Sの変位に対するクラッチ作動油圧Pの変動は変わらず、よって半クラッチ状態にあってもクラッチ操作が多板摩擦クラッチ51に敏感に作用して、多板摩擦クラッチ51のより円滑な断接が期待できない。
これに対して、本油圧クラッチ装置50の場合、クラッチ作動油圧(P)が半クラッチ作動油圧範囲Phにあるときにのみ、スレーブシリンダ70におけるスレーブピストン72の入力側ピストン73に作用するクラッチ作動油圧Pによる押圧力と出力側ピストン74に作用するクラッチスプリング58のばね力とにより、皿ばね75が弾性変形して入力側ピストン73と出力側ピストン74とが相対移動するように設定している。
そのため、本油圧クラッチ装置50の場合の実線で示す特性曲線Aは、図6に示すように、半クラッチ作動油圧範囲Phでのみ、その前後に比べて上昇率(勾配)が小さくなって傾斜が緩やかになっている。
よって、クラッチ操作量Sの変位に対するクラッチ作動油圧Pの変動を、限定された半クラッチ状態のときにのみ小さく抑制されており、クラッチ操作による多板摩擦クラッチ51のより円滑な断接を効率的に行うことができ、操作性を向上させることができる。
半クラッチ作動油圧範囲Ph以外では、特性曲線Aの上昇率は大きいので、クラッチ操作の操作範囲を大きくすることがなく、操作性を良好に維持することができる。
また、スレーブシリンダ70内で入力側ピストン73と出力側ピストン74との間に皿ばね75が挟まれる簡単でコンパクトな構造で安価であり、別途配置スペースも必要としない。
入力側ピストン73は、入力側ピストン円筒部73aと入力側ピストン底壁部73bとで有底円筒状に形成され、出力側ピストン74は、入力側ピストン円筒部73aの内側にシリンダ軸線方向に摺動自在に嵌合して収容され、皿ばね75はスプリングシート78とともに入力側ピストン底壁部73bと出力側ピストン74との間に挟持されるので、特別な保持機構を設けることなく、入力側ピストン73が出力側ピストン74を摺動自在に収容し保持して部品点数の増加を抑え、構造を簡素化して小型化を図ることができる。
入力側ピストン底壁部73bと皿ばね75との間に環状のスプリングシート78が介装され、スプリングシート78の外周縁には皿ばね75の外周端部に当接する環状凸部78pが形成され、出力側ピストン74には皿ばね75の内周端部に当接する環状凸部74pが形成されるので、平板または平板に近い皿ばね75を使用することができ、皿ばね75のスプリングシート78の環状凸部78pへの接触位置を容易に変更対応ができて撓み量の調整が容易に行え、弾性部材(75)が弾性変形するクラッチ作動油圧(P)の所定の範囲(半クラッチ)のクラッチ切断側限界を適正かつ容易に設定することができる。
入力側ピストン底壁部73bと出力側ピストン74の互いに対向する中心部位の間に、入力側ピストン底壁部73bと出力側ピストン74の互いに近づく相対移動を所定の位置関係で規制するシム77が介装されるので、シム77の厚みによって入力側ピストン底壁部73bと出力側ピストン74の互いに近づく相対移動を規制する位置関係を調整することで、皿ばね(75)の撓み量を精度良く変更設定することができるため、シム77の厚みを変えることで、皿ばね75が弾性変形するクラッチ作動油圧Pの半クラッチ作動油圧範囲Phのクラッチ切断側限界を適正かつ容易に設定することができる。
入力側ピストン円筒部73aの開口端部には、入力側ピストン円筒部73aの内側に収容される出力側ピストン74の脱落を防止するロック部材79が螺合されるので、入力側ピストン円筒部73aの開口端部に螺合されたロック部材79により出力側ピストン74が入力側ピストン円筒部73a内に確実に保持されるとともに、ロック部材79の螺合位置により入力側ピストン73に対する出力側ピストン74の皿ばね75を挟んだ相対位置を調整することができ、皿ばね75が弾性変形する半クラッチ作動油圧範囲Phのクラッチ接続側限界を適正かつ容易に設定することができる。
ケース底壁部71bと入力側ピストン底壁部73bとの間に、皿ばね75の弾性変形による弾性力よりも十分小さいばね力で入力側ピストン73を付勢するコイルスプリング80が圧縮状態で介装され、スレーブピストン72の挙動を抑えるとともに、入力側ピストン底壁部73bの円形の外面の中心位置に、コイルスプリング80の端部を内側から保持するとともに工具を掛合できる六角形突起部73pが突出形成されるので、コイルスプリング80の組付けが容易にでき、かつ多角形突起部73pに工具を掛合して入力側ピストン73を廻り止めしてロック部材79を入力側ピストン円筒部73aの開口端部に螺合することが容易にでき、組立作業性が良い。
入力側ピストン円筒部73aの内側にシリンダ軸線方向に摺動自在に嵌合して収容される出力側ピストン74には、入力側ピストン底壁部73b側の内空間と反対側の外部とを連通するエア抜き孔74bhが形成されるので、エアによる摺動抵抗を低減して入力側ピストン73と出力側ピストン74との間の相対移動を円滑にすることができる。
S…クラッチ操作量、P…クラッチ作動油圧、
E…内燃機関、D…伝動装置、M…歯車変速機、
1…自動二輪車、15…ハンドル、16…クラッチレバー、17…マスタシリンダ、18…油圧ホース、19…流入接続管、20…クランクケース、30…クランク軸、41…メイン軸、
50…油圧クラッチ装置、51…多板摩擦クラッチ、52…クラッチアウタ、53…クラッチセンタ、54…クラッチ板、55…プレッシャプレート、58…クラッチスプリング、60…伝達ロッド、62…クラッチ作動プレート、
70…スレーブシリンダ、71…シリンダケース、71a…ケース円筒部、71b…ケース底壁部、72…スレーブピストン、73…入力側ピストン、73a…入力側ピストン円筒部、73b…入力側ピストン底壁部、73p…六角形突起部、74…出力側ピストン、74bh…エア抜き孔、75…皿ばね、76…Oリング、77…シム、78…スプリングシート、79…ロック部材、
80…コイルスプリング、81…取付ハウジング、90…油室。

Claims (8)

  1. 内燃機関の動力を駆動輪に伝達する駆動系に介設され動力伝達の断接を行う油圧クラッチ(51)を備え、
    マニュアルによるクラッチ操作によりマスタシリンダ(17)に生じた油圧がスレーブシリンダ(70)に出力されて、同スレーブシリンダ(70)のシリンダケース(71)内にシリンダ軸線方向に移動可能に収容されたスレーブピストン(72)にクラッチ操作量(S)に応じたクラッチ作動油圧(P)が作用して前記油圧クラッチ(51)に設けられたクラッチスプリング(58)の付勢力に抗して前記スレーブピストン(70)が作動し、同スレーブピストン(70)の作動が伝達ロッド(60)を介して前記油圧クラッチ(51)を断接する油圧クラッチ装置において、
    前記スレーブピストン(72)は、前記スレーブシリンダ(70)に入力されたクラッチ作動油圧を受けて前記シリンダケース(71)内をシリンダ軸線方向に移動する入力側ピストン(73)と、同入力側ピストン(73)にシリンダ軸線方向の相対移動を可能に支持され前記伝達ロッド(60)に連結する出力側ピストン(74)と、前記入力側ピストン(73)と前記出力側ピストン(74)とのシリンダ軸方向の間に挟まれて介在する弾性部材(75)とからなり、
    前記クラッチ作動油圧(P)が所定の範囲にあるときにのみ、前記入力側ピストン(73)に作用する前記クラッチ作動油圧(P)による押圧力と前記出力側ピストン(74)に作用する前記クラッチスプリング(58)のばね力とにより、前記弾性部材(75)が弾性変形して前記入力側ピストン(73)と前記出力側ピストン(74)とが相対移動することを特徴とする油圧クラッチ装置。
  2. 前記入力側ピストン(73)は、入力側ピストン円筒部(73a)と入力側ピストン底壁部(73b)とで有底円筒状に形成され、
    前記出力側ピストン(74)は、前記入力側ピストン円筒部(73a)の内側にシリンダ軸線方向に摺動自在に嵌合して収容され、
    前記弾性部材(75)は、前記入力側ピストン底壁部(73b)と前記出力側ピストン(74)との間に挟持されることを特徴とする請求項1記載の油圧クラッチ装置。
  3. 前記弾性部材(75)は、前記クラッチ作動油圧(P)が所定の範囲にあるときにのみ、撓むようにばね定数と撓み量を設定した皿ばね(75)であることを特徴とする請求項2記載の油圧クラッチ装置。
  4. 前記入力側ピストン底壁部(73b)と前記皿ばね(75)との間に環状のスプリングシート(78)が介装され、
    前記スプリングシート(78)の外周縁には前記皿ばね(75)の外周端部に当接する環状凸部(78p)が形成され、
    前記出力側ピストン(74)には前記皿ばね(75)の内周端部に当接する環状凸部(74p)が形成されることを特徴とする請求項3記載の油圧クラッチ装置。
  5. 前記入力側ピストン底壁部(73a)と前記出力側ピストン(74)の互いに対向する中心部位の間に、前記入力側ピストン底壁部(73a)と前記出力側ピストン(74)の互いに近づく相対移動を所定の位置関係で規制する移動規制部材(77)が介装されることを特徴とする請求項2ないし請求項4のいずれか1項記載の油圧クラッチのクラッチ装置。
  6. 前記入力側ピストン円筒部(73a)の開口端部には、前記入力側ピストン円筒部(73a)の内側に収容される前記出力側ピストン(74)の脱落を防止するロック部材(79)が螺合されることを特徴とする請求項2ないし請求項5のいずれか1項記載の油圧クラッチ装置。
  7. 前記スレーブシリンダ(70)の前記シリンダケース(71)が、前記入力側ピストン(73)をシリンダ軸線方向に摺動自在に嵌合するケース円筒部(71a)とケース底壁部(71b)とで有底円筒状に形成され、
    前記ケース底壁部(71b)と前記入力側ピストン底壁部(73b)との間に、前記弾性部材(75)の弾性変形による弾性力よりも十分小さいばね力で前記入力側ピストン(73)を付勢するコイルスプリング(80)が圧縮状態で介装され、
    前記入力側ピストン底壁部(73b)の円形の外面の中心位置に、前記コイルスプリング(80)の端部を内側から保持するとともに工具を掛合できる多角形突起部(73p)が突出形成されることを特徴とする請求項6記載の油圧クラッチ装置。
  8. 前記入力側ピストン円筒部(73a)の内側にシリンダ軸線方向に摺動自在に嵌合して収容される前記出力側ピストン(74)には、入力側ピストン底壁部(73b)側の内空間と反対側の外部とを連通するエア抜き孔(74bh)が形成されることを特徴とする請求項2ないし請求項7のいずれか1項記載の油圧クラッチ装置。
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