JP6206942B2 - 円盤状キャリア - Google Patents
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Description
ここで、円盤状キャリアは、一般的には複数のウエハ保持用のホールと、ウエハを研磨するために研磨用砥粒(スラリー)を上定盤と下定盤の間に流し込むための複数のホールが設けられた構造となっている。
しかし、金属露出部から微量ながら金属微粒子が発生し、この金属微粒子がウエハの研磨面に侵入すると、ウエハ表面にスクラッチ傷を発生させたり、金属汚染を生じたりする問題が発生する。
このように特許文献1による構成のウエハ研磨用の円盤状キャリアは、寸法精度の問題、価格面、重量面の問題がある。
ウエハの両面を研磨する研磨装置は、研磨装置に形成されている外周歯車と中央歯車に、研磨装置上に置かれた円盤状キャリアの外周に形成する外周歯車を噛合せて、円盤状キャリアを自転と同時に公転させるようにしてウエハの上下面を同時に研磨する。通常、研磨装置の外周歯車と中央歯車は金属材にて構成されているところから、特許文献2では、これらの歯車部周辺を硬質の樹脂材にて形成したり、あるいは歯車部の表面を硬質の樹脂被覆材で覆ったりして、金属材が樹脂キャリアの外周歯車と直接接触しないようにしてウエハへの金属微粒子による汚染を防止するとしている。
しかし、特許文献2では、円盤状キャリアが金属製のものでは研磨パッドがあたる部分は金属が露出しているので、金属の露出部から金属微粒子が発生し、ウエハ表面にスクラッチ傷が発生したり、金属汚染を生じさせたりする問題がある。
しかし、金属キャリアの表面に樹脂をコーティングして再度、寸法精度の高い金属キャリアを作製する必要が生じるので、特許文献1の場合と同じような問題が生じる。
このように特許文献3による構造で、仮にウエハ研磨用の円盤状キャリアに用いた場合でも、寸法精度の問題、価格面、重量面の問題がある。
上記状況に鑑みて、本発明は、高剛性、長寿命、高寸法精度であり、かつ、低価格、軽重量の円盤状キャリアを提供することを目的とする。
かかる構成によれば、補強材が円盤状キャリアの大きさより小さく、かつ被研磨物用ホールやスラリーを上定盤と下定盤の間に流し込むための研磨砥粒用ホールの位置と重ならなければ任意な形状で良く、そのために高精度な加工を必要としない。
なお、本発明の範囲は、以下の実施例や図示例に限定されるものではなく、幾多の変更及び変形が可能である。
図1は、実施例1の円盤状キャリア1であり、円盤状キャリア1の中に設けられている補強材5の位置関係を示した図である。 図1(1)は、平面図である。図1(2)は、図1(1)におけるA−A断面図である。
円盤状キャリア1の内部には剛性を高めるための無機材からなる補強材5が設けられており、硬質樹脂材6を用いて補強材5を覆うことによって補強材5の露出部を無くした構造となっている。円盤状キャリア1の外周部には外周歯車2が設けられており、研磨装置(図示しない)に形成されている外周歯車と中央歯車に噛合せることにより、被研磨物保持用ホール3に挿入した被研磨物を研磨装置の上定盤と下定盤によって上下に挟み込み、円盤状キャリア1を自転と同時に公転させるようにして被研磨物の上下面を同時に研磨する。
圧縮成形方法において硬質樹脂材6にPEEK材を用いると、キャリアシート7の大きさに相当する金型に粉末やペレットのPEEK材を入れ、金型の縦・横方向及び厚さ方向の中心部に補強材5を埋め込み、金型とPEEK材をPEEK材の溶融温度以上に加熱すると共に、加熱時間を持続することによってPEEK材が溶融するので、溶融されたPEEK材は補強材5の隅々まで行きわたる。その後、金型を所定の時間をかけて冷却した後、金型よりキャリアシート7を取り出すことによって、硬くて強固なキャリアシート7を得ることができる。
フレーム溶射では、ガスと酸素の混合気を燃焼させることでPEEK粉末を溶かし、圧縮空気によりPEEK材の溶融粒子を加熱した補強材5の表面に高速に吹きかけ、PEEK材粒子を補強材5の表面に堆積させてキャリアシート7を得る方法である。まずキャリアシート7の大きさに相当する金型の内壁に、フレーム溶射によりPEEK材の溶融粒子を吹き付け、キャリアシート7の半面を作製する。続いて補強材5をその上に置き、再度PEEK材の溶融粒子を吹き付け、もう一方の半面を作製した後、所定の時間をかけて冷却、金型よりキャリアシート7を取り出すことによって、硬くて強固なキャリアシートを得ることができる。
補強材5は予め設定されたキャリアシート7の中央部に設けられているので、円盤状キャリア1の作製はキャリアシート7のたとえばコーナー部を基準にしてレーザーなどにより切削して行う。
補強材5が埋め込まれたキャリアシート7をレーザー加工や旋盤加工によって円盤状キャリア1に仕上げられていくが、たとえば、炭酸ガスレーザーであればレーザーの熱により、硬質樹脂材6を溶融、切断して外周歯車2、被研磨物保持用ホール 3、研磨砥粒用ホール4を高精度の寸法で加工できる。これにより円盤状キャリア1は、高精度の寸法のものが得られる。
さらに、補強材5の形状が被研磨物保持用ホール3と研磨砥粒用ホール4の位置に重ならない形状であれば、いかなる形状であっても良いので、大きさをコンパクトにすることによって重量の軽い円盤状キャリア1を得ることができる。
また、PEEK材のような耐摩耗性、耐疲労性、耐薬品性のある硬質樹脂材6で補強材5を覆った構成としているので、被研磨物の金属汚染がなくなり、長期にわたって安定に研磨できる円盤状キャリア1が提供できる。
なお、図中、同一符号、同一記号は、同じ機能、同じ効果を示すものである。
2 外周歯車
3 被研磨物保持用ホール
4 研磨砥粒用ホール
5 補強材
6 硬質樹脂材
7 キャリアシート
Claims (3)
- 被研磨物を保持する円盤状キャリアであって、
該円盤状キャリアは、硬質樹脂材から成り、外周歯車と被研磨物保持用ホールと研磨砥粒用ホールとが形成され、
内部に剛性を高めるための無機材からなる補強材が設けられており、
該補強材は、外部を硬質の樹脂材で覆われ露出部を無くした構造を呈し、かつ、形状が円盤状キャリアに設けられる前記被研磨物保持用ホールと、被研磨物を研磨するために研磨用砥粒を流し込むための前記研磨砥粒用ホールの位置に重ならず、外周歯車を有さず、円盤状キャリアの大きさより小さい形状であり、コンパクトな形状にすることにより重量の軽い円盤状キャリアとし得る、
ことを特徴とする円盤状キャリア。 - 前記補強材は、厚さが略一定で、形状が大小2つのリング部材とそれらを半径方向に伸びる部材で繋げたものであることを特徴とする請求項1に記載の円盤状キャリア。
- 前記硬質の樹脂材として、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、フッ素樹脂のそれぞれにおける単体材料、またはこれらの複合材料のいずれかであること、ならびに、前記補強材がステンレス、チタン、アルミニウム、鉄、セラミック、カーボン繊維体、ガラス繊維体のいずれかであることを特徴とする請求項1又は2に記載の円盤状キャリア。
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