以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1.本実施形態に係る熱サイクル装置の全体構成
図1は、本実施形態に係る熱サイクル装置1の斜視図である。図2は、本実施形態に係る熱サイクル装置1の本体10の分解斜視図である。図3は、図1のA−A線における垂直断面図である。図3において、矢印gは重力の作用する方向を表す。
本実施形態に係る熱サイクル装置1は、反応液140と、反応液140とは比重が異なり、かつ、反応液140とは混和しない液体130とが充填され、対向する内壁に反応液140が近接して移動する流路110を含む反応容器100(詳細は「2.本実施形態に係る熱サイクル装置に装着される反応容器の構成」の項で後述される)を装着する装着部15と、装着部15に反応容器100が装着された場合に、流路110の第1領域111を加熱する第1加熱部21と、装着部15に反応容器100が装着された場合に、第1領域111とは異なる流路110の第2領域112を加熱する第2加熱部22と、装着部15、第1加熱部21及び第2加熱部22の配置を、装着部15に反応容器100を装着した場合に、重力の作用する方向における流路110の最下点の位置が第1領域111内となる第1の配置と、重力の作用する方向における流路110の最下点の位置が第2領域112内となる第2の配置との間で切換える駆動機構30と、を含む。また、第1加熱部2
1及び第2加熱部22の少なくとも一方は、温度の異なる複数の動作モードを有する。
図1に示される例では、熱サイクル装置1は、本体10と駆動機構30とを含んで構成されている。図2に示されるように、本体10は、装着部15、第1加熱部21及び第2加熱部22を含んで構成されている。
装着部15は、反応容器100を装着する構造である。図1及び図2に示される例では、熱サイクル装置1の装着部15は、挿入口151を有し、挿入口151から反応容器100を差し込んで装着するスロット構造である。図2に示される例では、装着部15は、第1加熱部21の第1ヒートブロック21b及び第2加熱部22の第2ヒートブロック22bを貫通する穴に反応容器100を差し込む構造となっている。第1ヒートブロック21b及び第2ヒートブロック22bについては後述する。本体10に設けられる装着部15の数は複数であってもよく、図1及び図2に示される例では、10個の装着部15が本体10に設けられている。また、図2及び図3に示される例では、装着部15が第1加熱部21及び第2加熱部22の一部として構成されているが、駆動機構30を動作させた場合に両者の位置関係が変化しない限り、装着部15と第1加熱部21及び第2加熱部22とは別の部材として構成されていてもよい。
なお、本実施形態においては、装着部15がスロット構造である例を示したが、装着部15は反応容器100を保持できる構造であればよい。例えば、反応容器100の形状に合わせた窪みに反応容器100をはめ込む構造や、反応容器100を挟んで保持する構造を採用してもよい。
第1加熱部21は、装着部15に反応容器100を装着した場合に、反応容器100の流路110の第1領域111を加熱する。図3に示される例では、第1加熱部21は、本体10において、反応容器100の第1領域111を加熱する位置に配置されている。
第1加熱部21は、熱を発生させる機構と、発生した熱を反応容器100に伝える部材とを含んでもよい。図2に示される例では、第1加熱部21は、熱を発生させる機構としての第1ヒーター21aと、発生した熱を反応容器100に伝える部材としての第1ヒートブロック21bを含んで構成されている。
熱サイクル装置1においては、第1ヒーター21aはカートリッジヒーターであり、導線19によって図示しない外部電源に接続される。第1ヒーター21aとしてはこれに限らず、カーボンヒーター、シートヒーター、IHヒーター(電磁誘導加熱器)、ペルチェ素子、加熱液体、加熱気体などを使用できる。第1ヒーター21aは第1ヒートブロック21bに挿入されており、第1ヒーター21aが発熱することで第1ヒートブロック21bが加熱される。第1ヒートブロック21bは、第1ヒーター21aから発生した熱を反応容器100に伝える部材である。熱サイクル装置1においては、第1ヒートブロック21bは、アルミニウム製のブロックである。カートリッジヒーターは温度制御が容易であるので、第1ヒーター21aをカートリッジヒーターとすることで、第1加熱部21の温度を容易に安定させることができる。したがって、より正確な熱サイクルを実現できる。
ヒートブロックの材質は熱伝導率、保温性、加工しやすさ等の条件を考慮して適宜選択できる。例えば、アルミニウムは熱伝導率が高いので、第1ヒートブロック21bをアルミニウム製とすることで、反応容器100を効率よく加熱できる。また、ヒートブロックに加熱ムラが生じにくいので、精度の高い熱サイクルを実現できる。また、加工が容易なので第1ヒートブロック21bを精度よく成型でき、加熱の精度を高めることができる。したがって、より正確な熱サイクルを実現できる。なお、ヒートブロックの材質は、例えば銅合金を使用してもよく、複数の材質を組み合わせてもよい。
第1加熱部21は、装着部15に反応容器100を装着した場合に、反応容器100に接触していることが好ましい。これによって、第1加熱部21によって反応容器100を加熱した場合に、第1加熱部21と反応容器100とが接触しない構成よりも第1加熱部21の熱を反応容器100に安定して伝えることができるので、反応容器100の温度を安定させることができる。本実施形態のように、装着部15が第1加熱部21の一部として形成されている場合には、装着部15が反応容器100と接触することが好ましい。これによって、第1加熱部21の熱を反応容器100に安定して伝えることができるので反応容器100を効率よく加熱できる。
第2加熱部22は、装着部15に反応容器100を装着した場合に、第1領域111よりも挿入口151に近い反応容器100の流路110の第2領域112を、第1の温度とは異なる第2の温度に加熱する。図3に示される例では、第2加熱部22は、本体10において、反応容器100の第2領域112を加熱する位置に配置されている。第2加熱部22は、第2ヒーター22a及び第2ヒートブロック22bを含む。本実施形態における第2加熱部22の構成は、加熱される反応容器100の領域及び加熱する温度が第1加熱部21と異なる以外は、第1加熱部21と同様である。なお、第1加熱部21と第2加熱部22とで異なる加熱機構を採用してもよい。また、第1ヒートブロック21bと第2ヒートブロック22bとが異なる材質であってもよい。
第1加熱部21及び第2加熱部22は、装着部15に反応容器100を装着した場合に、流路110に対して、反応液140が移動する方向に温度勾配を形成する温度勾配形成部として機能する。ここで、「温度勾配を形成する」とは、所定の方向に沿って温度が変化する状態を形成することを意味する。したがって、「反応液140が移動する方向に温度勾配を形成する」とは、反応液140が移動する方向に沿って温度が変化する状態を形成することを意味する。「所定の方向に沿って温度が変化する状態」は、例えば、所定の方向に沿って温度が単調に高く又は低くなっていてもよいし、所定の方向に沿って、温度が高くなる変化から低くなる変化へ、又は、低くなる変化から高くなる変化へ、途中で変化していてもよい。熱サイクル装置1の本体10においては、第1加熱部21が装着部15の挿入口151から相対的に遠い側、第2加熱部22が装着部15の挿入口151から相対的に近い側に配置されている。
また、第1加熱部21と第2加熱部22とは、互いに離間して本体10に設けられている。これによって、互いに異なる温度に制御された第1加熱部21と第2加熱部22とが互いに影響を及ぼしにくくなるので、第1加熱部21及び第2加熱部22の温度が安定しやすくなる。第1加熱部21と第2加熱部22との間にスペーサーを設けてもよい。熱サイクル装置1の本体10においては、第1加熱部21及び第2加熱部22は、その周囲を固定部材16、フランジ17及びフランジ18で固定されている。フランジ18は軸受31で支持されている。なお、所望の反応精度が確保できる程度に温度勾配が形成される限り、加熱部の数は2以上の任意の数であってもよい。
第1加熱部21及び第2加熱部22の少なくとも一方は、温度の異なる複数のモード(動作モード)を有する。これによって、温度条件の異なる複数の熱サイクルや、温度条件が途中で変更されるような熱サイクルなど、多様な熱サイクルを実現できる熱サイクル装置1を実現できる。
第1加熱部21及び第2加熱部22の温度は、図示しない温度センサー及び後述される制御部40によって制御される。第1加熱部21及び第2加熱部22の温度は、反応容器100が所望の温度に加熱されるように設定されることが好ましい。第1加熱部21及び第2加熱部22の温度の制御の詳細については、「3.熱サイクル装置の制御例」の項で
詳述される。なお、第1加熱部21及び第2加熱部22の温度は、反応容器100の第1領域111及び第2領域112が所望の温度に加熱されるように制御されていればよい。例えば、反応容器100の材質や大きさを考慮することで、第1領域111及び第2領域112の温度をより正確に所望の温度に加熱できる。本実施形態においては、温度センサーによって第1加熱部21及び第2加熱部22の温度を測定する。本実施形態の温度センサーは熱電対である。なお、温度センサーとしてはこれに限らず、例えば測温抵抗体やサーミスタを使用してもよい。
駆動機構30は、装着部15、第1加熱部21及び第2加熱部22の配置を、装着部15に反応容器100を装着した場合に、重力の作用する方向における流路110の最下点の位置が第1領域111内となる第1の配置と、重力の作用する方向における流路110の最下点の位置が第2領域112内となる第2の配置との間で切換える。本実施形態においては、駆動機構30は、装着部15、第1加熱部21及び第2加熱部22を、重力の作用する方向に対して垂直な成分を有し、かつ、装着部15に反応容器100を装着した場合に流路110を反応液140が移動する方向に対して垂直な成分を有する回転軸Rの周りに回転させる機構である。
「重力の作用する方向に対して垂直な成分を有する」方向は、「重力の作用する方向に対して平行な成分」と「重力の作用する方向に対して垂直な成分」とのベクトル和で表した場合における、重力の作用する方向に対して垂直な成分を有する方向である。
「流路110を反応液140が移動する方向に対して垂直な成分を有する」方向は、「流路110を反応液140が移動する方向に対して平行な成分」と「流路110を反応液140が移動する方向に対して垂直な成分」とのベクトル和で表した場合における、流路110を反応液140が移動する方向に対して垂直な成分を有する方向である。
第1実施形態に係る熱サイクル装置1においては、駆動機構30は、装着部15、第1加熱部21及び第2加熱部22を、同一の回転軸Rの周りに回転させている。また、本実施形態においては、駆動機構30は図示しないモーター及び駆動軸を含み、駆動軸と本体10のフランジ17とが接続されて構成されている。駆動機構30のモーターを動作させると、駆動軸を回転軸Rとして本体10が回転される。本実施形態においては、回転軸Rの方向に沿って10個の装着部15が設けられている。なお、駆動機構30としては、モーターに限らず、例えばハンドル、ぜんまい等を採用できる。
熱サイクル装置1は、制御部40を含んでいてもよい。制御部40は、第1加熱部21及び第2加熱部22を制御する。制御部40は、さらに駆動機構30を制御してもよい。制御部40は、さらに測定部50を制御してもよい。制御部40による制御例については、「3.熱サイクル装置の制御例」の項で詳述される。制御部40は、専用回路によって実現して後述される制御を行うように構成されていてもよい。また、制御部40は、例えばCPU(Central Processing Unit)がROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等の記憶装置に記憶された制御プログラムを実行することによってコンピューターとして機能し、後述される制御を行うように構成されていてもよい。この場合、記憶装置は、制御に伴う中間データや制御結果などを一時的に記憶するワークエリアを有していてもよい。また、制御部40は、時間を計測するためのタイマーを有していてもよい。また、制御部40は、上述した図示しない温度センサーの出力に基づいて第1加熱部21及び第2加熱部22を所望の温度に制御してもよい。
熱サイクル装置1は測定部50を含んでいてもよい。測定部50は、所定の波長の光の強度を測定する。本実施形態においては、測定部50として蛍光検出器を採用している。これによって、例えば、特定のDNAと相補的に結合することによって所定の波長の光の
強度が変化する蛍光プローブを反応液140に含ませることで、リアルタイムPCRのような蛍光測定を伴う用途に熱サイクル装置1を使用できる。測定部50の数は測定が問題なく行える限り任意である。図1に示される例では、1個の測定部50をスライド52に沿って移動させて蛍光測定を行う。
測定部50の位置は、第2加熱部22に近い側よりも第1加熱部21に近い側が好ましい。これによって、反応容器100を装着部15に装着する際に作業の障害となりにくくなる。また、測定部50は、反応容器100の第1領域111を含む領域からの光を測定するように設けられていてもよい。第1加熱部21の温度をPCRのアニーリング及び伸長温度(アニーリング及び伸長反応が進行する温度)にした場合に、蛍光プローブが発する特定のDNAの量に相関する所定の波長の光の強度を測定できる。したがって、リアルタイムPCRにおいて適切な蛍光測定ができる。また、後述される蓋(封止部120)付きの反応容器100を用いる場合には、蓋に近い側となる第2領域112よりも、蓋から遠い側となる第1領域111の方が、測定部50と反応液140との間に存在する部材が少ないので、より適切な蛍光測定ができる。
上述のように、熱サイクル装置1をリアルタイムPCRに用いる場合には、PCRに必要な熱サイクルを反応液140に施す期間中においては、測定部50を第1加熱部21に近い側に設け、第1加熱部21をPCRのアニーリング及び伸長温度(50℃〜75℃程度)にすることが好ましい。この場合、挿入口151に近い第2加熱部22をPCRのアニーリング及び伸長温度よりも高い熱変性温度(90℃〜100℃程度)にする。
熱サイクル装置1は、反応容器100を第1加熱部21及び第2加熱部22に対して所定の位置に保持する構造を含むことが好ましい。これによって、第1加熱部21及び第2加熱部22によって反応容器100の所定の領域を加熱できる。より具体的には、反応容器100を構成する流路110の、第1領域111を第1加熱部21によって、第2領域112を第2加熱部22によって、加熱できる。本実施形態においては、第1ヒートブロック21b及び第2ヒートブロック22bに設けられた貫通孔(装着部15の直径)の大きさを適切に設定することによって、第1加熱部21及び第2加熱部22に対して反応容器100を所定の位置に保持している。
第1ヒートブロック21bは、フィン210を有する構造であってもよい。これによって、第1加熱部21の表面積が大きくなるので、第1加熱部21の温度を高い温度から低い温度に変更する場合に要する時間が短くなる。
熱サイクル装置1は、第1加熱部21及び第2加熱部22に対して送風するファン500を含んでいてもよい。送風することによって、第1加熱部21と第2加熱部22との間での熱の移動を抑制できる。したがって、互いに異なる温度に制御された第1加熱部21と第2加熱部22とが互いに影響を及ぼしにくくなるので、第1加熱部21及び第2加熱部22の温度が安定しやすくなる。
2.本実施形態に係る熱サイクル装置に装着される反応容器の構成
図4は、本実施形態に係る熱サイクル装置1に装着される反応容器100の構成を表す断面図である。図4において、矢印gは重力の作用する方向を表す。
反応容器100は、反応液140と、反応液140とは比重が異なり、かつ、反応液140とは混和しない液体130(以下、「液体130」という)とが充填され、反応液140が対向する内壁に沿って移動する流路110を含む。本実施形態においては、液体130は、反応液140よりも比重が小さく、かつ、反応液140とは混和しない液体である。なお、液体130として、例えば、反応液140とは混和せず、かつ、反応液140
よりも比重が大きい液体を採用してもよい。図4に示される例では、反応容器100は流路110及び封止部120を含む。流路110には、反応液140と、液体130とが充填され、封止部120によって封止されている。
流路110は、対向する内壁に沿って反応液140が移動するように形成されている。ここで、流路110の「対向する内壁」とは、流路110の壁面の、向かい合う位置関係にある2つの領域を意味する。「沿って」とは、反応液140と流路110の壁面との距離が近い状態を意味し、反応液140が流路110の壁面に接触する状態を含む。したがって、「対向する内壁に沿って反応液140が移動する」とは、「流路110の壁面の、向かい合う位置関係にある2つの領域の両方に対して距離が近い状態で、反応液140が移動する」ことを意味する。換言すれば、流路110の対向する2つ内壁間の距離は、反応液140が該内壁に沿って移動する程度の距離である。
反応容器100の流路110がこのような形状であると、流路110内を反応液140が移動する方向を規制できるので、流路110内を反応液140が移動する経路をある程度規定できる。これによって、流路110内を反応液140が移動する所要時間を、ある程度の範囲に制限できる。したがって、流路110の対向する2つ内壁間の距離は、流路110内を反応液140が移動する時間のバラツキによって生じる、反応液140に対して施される熱サイクル条件のバラツキが、所望の精度を満たせる程度、すなわち、反応の結果が所望の精度を満たせる程度であることが好ましい。より具体的には、流路110の対向する2つの内壁間の反応液140が移動する方向に対して垂直な方向における距離が、反応液140の液滴が2つ以上入らない程度であることが望ましい。
図4に示される例では、反応容器100の外形は円錐台状であり、中心軸に沿う方向(図4における上下方向)を長手方向とする流路110が形成されている。流路110の形状は、流路110の長手方向に対して垂直な方向の断面、すなわち流路110のある領域における反応液140が移動する方向に対して垂直な断面(これを流路110の「断面」とする)が円形となる円錐台状である。したがって、反応容器100においては、流路110の対向する内壁は、流路110の断面の中心を挟んで対向する流路110の壁面上の2点を含む領域である。また、「反応液140が移動する方向」は、流路110の長手方向となる。
なお、流路110の形状は錐台状に限られず、例えば、柱状であってもよい。また、流路110の断面の形状は円形に限らず、多角形や楕円形など、対向する内壁に沿って反応液140が移動できる限り任意である。例えば、反応容器100の流路110の断面が多角形の場合には、「対向する内壁」は、流路110に内接する断面が円形の流路を仮定した場合に、該流路の対向する内壁であるものとする。すなわち、流路110に内接する、断面が円形の仮想流路の対向する内壁に沿って反応液140が移動するように流路110が形成されていればよい。これによって、流路110の断面が多角形の場合にも、第1領域111と第2領域112との間を反応液140が移動する経路をある程度規定できる。したがって、反応液140が第1領域111と第2領域112との間を移動する所要時間を、ある程度の範囲に制限できる。
反応容器100の第1領域111は、第1加熱部21によって加熱される、流路110の一部の領域である。第2領域112は、第2加熱部22によって加熱される、第1領域111とは異なる流路110の一部の領域である。図4に示される例では、第1領域111は、流路110の長手方向における一方の端部を含む領域であり、第2領域112は、流路110の長手方向における他方の端部を含む領域である。図4に示される例では、流路110のうち封止部120に相対的に遠い側の端部を含む点線で囲まれた領域が第1領域111であり、流路110のうち封止部120に相対的に近い側の端部を含む点線で囲
まれた領域が第2領域112である。本実施形態に係る熱サイクル装置1は、第1加熱部21が反応容器100の第1領域111を加熱し、第2加熱部22が反応容器100の第2領域112を加熱することによって、反応容器100の流路110に対して、反応液140が移動する方向に温度勾配を形成する。
流路110には、液体130と、反応液140とが充填されている。液体130は、反応液140とは混和しない、すなわち混ざり合わない性質であるため、図4に示されるように、反応液140は液体130の中に液滴の状態で保持されている。反応液140は、液体130よりも比重が大きいため、流路110の重力の作用する方向における最下部の領域に位置している。液体130としては、例えば、ジメチルシリコーンオイル又はパラフィンオイルを使用できる。反応液140は、反応に必要な成分を含む液体である。例えば、反応がPCRである場合には、反応液140には、増幅対象となるDNA、DNAを増幅するために必要なDNAポリメラーゼ(PCR酵素)、プライマー、特定のDNA配列と相補的に結合することによって所定の波長の光(蛍光プローブが発する光)の強度が変化する蛍光プローブ等が含まれる。また例えば、反応がRT−PCRである場合には、反応液140には、逆転写酵素、逆転写の鋳型となるRNA、逆転写されたcDNAを増幅するために必要なDNAポリメラーゼ(PCR酵素)、プライマー、特定のDNA配列と相補的に結合することによって所定の波長の光の強度が変化する蛍光プローブ等が含まれる。例えば、液体130としてオイルを用いてPCRを行う場合には、反応液140は上述の成分を含む水溶液であることが好ましい。
3.熱サイクル装置の制御例
図5は、本実施形態に係る熱サイクル装置1の機能ブロック図である。制御部40は、第1加熱部21に対して制御信号S1を出力することによって第1加熱部21の温度を制御する。制御部40は、第2加熱部22に対して制御信号S2を出力することによって第2加熱部22の温度を制御する。制御部40は、駆動機構30に対して制御信号S3を出力することによって駆動機構30を制御する。制御部40は、測定部50に対して制御信号S4を出力することによって測定部50を制御する。
次に、本実施形態に係る熱サイクル装置1の制御例について説明する。以下では、装着部15、第1加熱部21及び第2加熱部22の配置を、装着部15に反応容器100を装着した場合に、重力の作用する方向における流路110の最下点の位置が第1領域111内となる第1の配置と、重力の作用する方向における流路110の最下点の位置が第2領域112内となる第2の配置との間で回転させる制御を例にとり説明する。
図6(A)は、第1の配置における、図1(A)のA−A線を通り回転軸Rに垂直な面における断面を模式的に示す断面図、図6(B)は、第2の配置における図1(A)のA−A線を通り回転軸Rに垂直な面における断面を模式的に示す断面図である。図6(A)及び図6(B)において、白抜き矢印は本体10の回転方向、矢印gは重力の作用する方向を表す。
図6(A)に示されるように、第1の配置は、装着部15に反応容器100が装着された場合に、第1領域111が重力の作用する方向における流路110の最下部に位置する配置である。図6(A)に示される例では、第1の配置では、液体130よりも比重が大きい反応液140は第1領域111に存在する。また、図6(B)に示されるように、第2の配置は、装着部15に反応容器100が装着された場合に、第2領域112が重力の作用する方向における流路110の最下部に位置する配置である。図6(B)に示される例では、第2の配置では、液体130よりも比重が大きい反応液140は第2領域112に存在する。
このように、駆動機構30が、装着部15、第1加熱部21及び第2加熱部22を、第1の配置と、第1の配置とは異なる第2の配置との間で回転させることによって、反応液140に対して熱サイクルを施すことができる。
本実施形態によれば、装着部15、第1加熱部21及び第2加熱部22の配置を切り換えることで、反応容器100が第1の配置に保持された状態と、反応容器100が第2の配置に保持された状態とを切り換えることができる。第1の配置は、反応容器100を構成する流路110の第1領域111が、重力の作用する方向における流路110の最下部に位置する配置である。第2の配置は、反応容器100を構成する流路110の第2領域112が、重力の作用する方向における流路110の最下部に位置する配置である。すなわち、反応液140の比重が液体130に比べて大きい場合には、重力の作用によって第1の配置においては反応液140を第1領域111に、第2の配置においては反応液140を第2領域112に保持できる。第1領域111は第1加熱部21によって加熱され、第2領域112は第2加熱部22によって加熱されるので、第1領域111と第2領域112とは異なる温度とすることができる。したがって、第1の配置又は第2の配置に反応容器100を保持する間、反応液140を所定の温度に保持できるので、加熱時間を容易に制御可能な熱サイクル装置1を提供できる。
制御部40は、第1加熱部21を第1温度、及び第1温度とは異なる第2温度に制御し、第2加熱部22を第1温度及び第2温度とは異なる第3温度に制御してもよい。
すなわち、制御部40は、第1加熱部21を第1温度に制御するモードと第2温度に制御するモードとを有し、第2加熱部22を第3温度に制御する。第1温度、第2温度、第3温度は互いに異なるので、第1加熱部21及び第2加熱部22によって、少なくとも3種類の温度を組み合わせた熱サイクルを実現できる。
駆動機構30は、第1の配置から第2の配置へと回転させる場合と、第2の配置から第1の配置へと回転させる場合とで、反対方向に装着部15、第1加熱部21及び第2加熱部22を回転させてもよい。これによって、回転によって生じる導線19などの配線の捩れを低減するための機構が不要となる。したがって、小型化に適した熱サイクル装置1を実現できる。また、第1の配置から第2の配置へと回転させる場合の回転数、及び、第2の配置から第1の配置へと回転させる場合の回転数は、1回転未満(回転角度が360°未満)であることが好ましい。これによって、配線が捩れる程度を軽減できる。また、図1及び図2に示されるように、フランジ18が導線19を巻き取れる構成にしてもよい。
次に、熱サイクル装置1の制御方法の具体例について、ホットスタート工程(ホットスタートPCR酵素を用いるPCRにおいて、ホットスタート酵素を熱によって活性化させる工程)を含むRT−PCRでリアルタイム測定を行う場合を例にとり説明する。なお、反応液140には特定のDNAと相補的に結合することによって所定の波長の光の強度が変化する蛍光プローブが含まれているものとする。図7は、本実施形態に係る熱サイクル装置1の制御方法の具体例を説明するためのフローチャートである。以下では装着部15に反応容器100を装着した後にステップS100を行う例について説明するが、ステップS100の後に装着部15に反応容器100を装着してもよい。
本具体例において、まず、制御部40は、第1加熱部21を第1温度に制御し、装着部15、第1加熱部21及び第2加熱部22の配置が第1の配置で第1時間を経過した場合に、第1加熱部21を第1温度よりも高い第2温度に制御し、第2加熱部22を第2温度よりも高い第3温度に制御し、装着部15、第1加熱部21及び第2加熱部22の配置を、第1の配置から第2の配置へと切換えるように駆動機構30を制御する第1処理を行う。
より具体的には、まず、制御部40は、第1加熱部21に対して制御信号S1を出力することによって、第1加熱部21の温度を第1温度に制御する(ステップS100)。本具体例において、第1温度は逆転写酵素によって逆転写反応が進行する温度である。「逆転写酵素によって逆転写反応が進行する温度」は逆転写酵素の種類に依存する温度であるが、一般的には20℃以上70℃以下程度の範囲内であり、特に40℃以上50℃以下程度の範囲内において反応が進行しやすいことが一般的である。また、本具体例においては、初期動作時における装着部15、第1加熱部21及び第2加熱部22の配置は第1の配置である。したがって、反応液140は第1領域111に保持される。すなわち、反応液140は第1温度に保持される。
なお、ステップS100において、制御部40は、第2加熱部22に対して制御信号S2を出力することによって、第2加熱部22の温度を逆転写酵素が失活しない温度に制御してもよい。「逆転写酵素が失活しない温度」は、逆転写酵素の種類に依存する温度であるが、一般的には20℃以上70℃以下程度の範囲内である。また、一般的には、70℃を超える温度では、逆転写酵素が失活したり劣化しやすくなったりする。第2加熱部22の温度を逆転写酵素が失活しない温度に制御することによって、装着部15に反応容器100を装着する際に、逆転写酵素が失活するような温度に反応液140が曝されることがなくなる。
ステップS100の後に、制御部40は、ステップS100が終了してから(第1加熱部21が第1温度に達してから)第1時間を経過したか否かを判定する(ステップS102)。本具体例において、第1時間は逆転写反応に必要となる時間である。第1時間を経過していないと制御部40が判定した場合(ステップS102でNOの場合)には、制御部40はステップS102を繰り返す。
第1時間を経過したと制御部40が判定した場合(ステップS102でYESの場合)には、制御部40は、第1加熱部21に対して制御信号S1を出力することによって、第1加熱部21の温度を第2温度に制御し、第2加熱部22に対して制御信号S2を出力することによって、第2加熱部22の温度を第2温度に制御する(ステップS104)。本具体例においては、第2温度はPCRにおけるアニーリング及び伸長温度である。「PCRにおけるアニーリング及び伸長温度」は、核酸を増幅することに用いられる酵素(本具体例ではDNAポリメラーゼ)の種類に依存する温度であるが、一般的には50℃以上70℃以下程度の範囲内である。本具体例においては、第3温度はPCRにおける熱変性温度である。「PCRにおける熱変性温度」は、核酸を増幅するための酵素の種類に依存する温度であるが、一般的には90℃以上100℃以下程度の範囲内である。
ステップS104の後に、制御部40は、駆動機構30に対して制御信号S3を出力することによって、装着部15、第1加熱部21及び第2加熱部22の配置を第1の配置から第2の配置へと切換えるように駆動機構30を制御する(ステップS106)。上述のように、ステップS104までは装着部15、第1加熱部21及び第2加熱部22の配置が第1の配置になっているので、ステップS102を行うことで、装着部15、第1加熱部21及び第2加熱部22の配置を第2の配置とする。装着部15、第1加熱部21及び第2加熱部22の配置が第2の配置である場合には、反応液140は第2領域112に保持される。すなわち、反応液140は、第3温度に保持される。
ステップS106の後に、制御部40は、制御部40は、装着部15、第1加熱部21及び第2加熱部22の配置が第2の配置で第2時間を経過させる第2処理を行う。
より具体的には、ステップS106の後に、制御部40は、ステップS106が終了し
てから第2時間を経過したか否かを判定する(ステップS108)。本具体例において、第2時間はPCR酵素の活性化(ホットスタート)に必要となる時間である。第2時間を経過していないと制御部40が判定した場合(ステップS108でNOの場合)には、制御部40はステップS108を繰り返す。
第2時間を経過したと制御部40が判定した場合(ステップS108でYESの場合)には、制御部40は、装着部15、第1加熱部21及び第2加熱部22の配置が第2の配置で第3時間を経過した場合に、駆動機構30に対して制御信号S3を出力することによって、装着部15、第1加熱部21及び第2加熱部22の配置を、第2の配置から第1の配置へと切換えるように駆動機構30を制御する第3処理を行う。
より具体的には、まず、制御部40が、ステップS108が終了してから第3時間を経過したか否かを判定する(ステップS110)。本具体例において、第3時間は、PCRにおけるDNAの熱変性に必要となる時間である。第3時間を経過していないと制御部40が判定した場合(ステップS110でNOの場合)には、制御部40はステップS110を繰り返す。第3時間を経過したと制御部40が判定した場合(ステップS110でYESの場合)には、制御部40は、駆動機構30に対して制御信号S3を出力することによって、装着部15、第1加熱部21及び第2加熱部22の配置を、第2の配置から第1の配置へと切換えるように駆動機構30を制御する(ステップS112)。装着部15、第1加熱部21及び第2加熱部22の配置が第1の配置である場合には、反応液140は第1領域111に保持される。すなわち、ステップS112の結果、反応液140は、第2温度に保持される。
本具体例によれば、第1処理と第2処理及び第3処理とでは、第1加熱部21の温度が異なっている。このように、温度条件の異なる第1処理と第2処理及び第3処理を行うことによって、PCRの前に逆転写反応を行うことができるので、RT−PCRに適した熱サイクル装置1を実現できる。
また、ホットスタート工程を含むPCRを行う場合において、PCR酵素を活性化させる温度は、熱変性温度と同程度である。したがって、第2処理を行うことによって、PCR酵素を活性化させる工程であるPCRのホットスタートを含んだ熱サイクルを実現できる。
本具体例においては、第3処理の後に、制御部40は、測定部50に対して制御信号S4を出力することによって、所定の波長の光の強度(本具体例においては輝度)を測定するように測定部50を制御する。より具体的には、ステップS112の後に、測定部50が蛍光測定を開始する(ステップS114)。測定部50をスライド52上で移動させながら、複数の反応容器100についての蛍光測定を行なう。なお、PCRの結果は、蛍光測定を行わず、例えば電気泳動などの別の方法によって確認することもできる。
第3処理の後に所定の波長の光の強度を測定するように測定部50を制御することによって、反応液140がアニーリング及び伸長温度に保持されている期間に、特定のDNAの量に相関する所定の波長の光の強度を測定できる。したがって、リアルタイムPCRに適した熱サイクル装置1を実現できる。
第3処理の後に、制御部40は、装着部15、第1加熱部21及び第2加熱部22の配置が第1の配置で第4時間を経過した場合に、駆動機構30に対して制御信号S3を出力することによって、装着部15、第1加熱部21及び第2加熱部22の配置を、第1の配置から第2の配置へと切換えるように駆動機構30を制御する第4処理と、第3処理とを所定回数繰り返して行なってもよい。
より具体的には、まず、ステップS114の後に、制御部40は、ステップS112が終了してから第4時間を経過したか否かを判定する(ステップS116)。本具体例において、第4時間はPCRにおけるアニーリング及び伸長に必要となる時間である。第4時間を経過していないと制御部40が判定した場合(ステップS116でNOの場合)には、制御部40はステップS116を繰り返す。第4時間を経過したと制御部40が判定した場合(ステップS116でYESの場合)には、制御部40は、所定のサイクル数に達したか否かを判定する(ステップS118)。
所定のサイクル数に達していないと制御部40が判定した場合(ステップS118でNOの場合)には、制御部40は、駆動機構30に対して制御信号S3を出力することによって、装着部15、第1加熱部21及び第2加熱部22の配置を第1の配置から第2の配置へと切換えるように駆動機構30を制御する(ステップS120)。ステップS120の後に、ステップS110からステップS118までを繰り返す。制御部40が所定のサイクル数に達したと判定した場合(ステップS118でYESの場合)には、処理を終了する。なお、本具体例ではサイクル数に基づいて処理の終了を決定したが、ステップS118の前に、ステップS114で測定される所定の波長の光の強度が所定値に達したか否かを判定するステップを加え、光の強度が所定値に達した場合にはステップS118を行わずに処理を終了してもよい。
第3処理では第2の配置で第3時間を経過するまで反応液140が第3温度に保持され、第4処理では第1の配置で第4時間を経過するまで反応液140が第2温度に保持される。このように、第4処理と第3処理(より具体的には、ステップS120とステップS110からステップS118)を繰り返すことによって、PCRに適した熱サイクルを所定回数繰り返して行うことができる。
4.実施例
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されない。
本実施例では、熱サイクル装置1を用いてホットスタート工程を含むRT−PCRでリアルタイム測定を行なった例について説明する。
図8は、本実施例における反応液140の組成を示す表である。図8において、「SuperScript III Platinum」は「SuperScript III Platinum One-Step Quantitative RT-PCR System with ROX(「Platinum」は登録商標、ライフテクノロジーズ社製)」であり、P
CR酵素と逆転写酵素が含まれている。RNAとしては、ヒト鼻腔拭い液(ヒトサンプル)から抽出したRNAを用いた。なお、当該ヒトサンプルについては、市販のキット(「エスプラインインフルエンザA&B−N(「エスプライン」は登録商標)」、富士レビオ株式会社製)を用いてイムノクロマトグラフィーを行った結果、インフルエンザA型が陽性であった。なお、イムノクロマトグラフィーにおける「A型陽性」は、下記インフルエンザA型(InfA)を特異的に判別するものではない。
図9は、インフルエンザA型(InfA)、豚インフルエンザA型(SW InfA)、豚インフルエンザH1型(SW H1)及びリボヌクレアーゼP(RNase P)に対応するフォワードプライマー(F primer)、リバースプライマー(R primer)及びプローブ(Probe)の塩基配列を示す表である。いずれも、「CDC protocol of realtime RTPCR for swine influenzaA(H1N1)」(World Health Organization、2009年4月30日改訂1版)に記載されている塩基配列と同一である。図9に示される4種類のプローブ(Probe)は、いずれも核酸の増幅に伴い測定される蛍光輝度が増加する。
実験手順は、図7に示されるフローチャートの通りであり、第1温度は45℃、第2温度は58℃、第3温度は98℃、第1時間は60秒、第2時間は10秒、第3時間は5秒、第4時間は30秒、熱サイクル処理のサイクル数は50回とした。また、装着部15に装着される反応容器100は4個(サンプルA〜サンプルD)とした。
サンプルAは、インフルエンザA型(InfA)に対応するフォワードプライマー、リバースプライマー及び蛍光プローブを含む。サンプルBは、豚インフルエンザA型(SW InfA)に対応するフォワードプライマー、リバースプライマー及び蛍光プローブを含む。サンプルCは、豚インフルエンザH1型(SW H1)に対応するフォワードプライマー、リバースプライマー及び蛍光プローブを含む。サンプルDは、リボヌクレアーゼP(RNase P)に対応するフォワードプライマー、リバースプライマー及び蛍光プローブを含む。
図10は、本実施例における、熱サイクル処理のサイクル数と測定された輝度との関係を示すグラフである。図10の横軸は熱サイクル処理のサイクル数、縦軸は輝度の相対値を表す。
図10に示されるように、サンプルA〜サンプルDのいずれも、熱サイクル処理のサイクル数が20回〜30回程度となる辺りから輝度が大きく上昇していることが分かる。これによって、RNAを鋳型として逆転写されたcDNAが増幅されていることが分かる。サンプルDは内在性コントロールの実験であり、サンプルDで輝度が上昇していることから、ヒトサンプル由来のDNA(cDNA)が増幅されたことが確認できた。さらに、サンプルA〜サンプルDでcDNAが増幅されたことから、ヒトサンプルにはインフルエンザA型、豚インフルエンザA型、豚インフルエンザH1型の全てのRNAが含まれていたことが分かった。この結果は、イムノクロマトグラフィーの結果とも合致している。したがって、本実施形態に係る熱サイクル装置1を用いてホットスタート工程を含むRT−PCRでリアルタイム測定を行うことができることが確認された。
なお、上述した実施形態及び変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば各実施形態及び各変形例は、複数を適宜組み合わせることが可能である。
本発明は、上述した実施形態及び実施例に限定されるものではなく、さらに種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。