JP6206477B2 - 発光素子、発光装置および電子機器 - Google Patents

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Description

本発明は、発光素子、発光装置、電子機器に関するものである。
有機エレクトロルミネッセンス素子(いわゆる有機EL素子)は、陽極と陰極との間に少なくとも1層の発光性有機層を介挿した構造を有する発光素子である。このような発光素子では、陰極と陽極との間に電界を印加することにより、発光層に陰極側から電子が注入されるとともに陽極側から正孔が注入され、発光層中で電子と正孔が再結合することにより励起子が生成し、この励起子が基底状態に戻る際に、そのエネルギー分が光として放出される。
このような発光素子における輝度寿命は、発光層が発光する発光色に応じて変化する傾向を示し、具体的には、発光色が短波長になるほど短くなることが知られている。
かかる傾向を示す原因の1つとしては、例えば、以下のようなことが考えられる。
すなわち、発光色が短波長である発光層を備える発光素子ほど、その使用時間の経過に伴って、発光素子内を流れるキャリア(正孔と電子と)のバランスが容易に崩れ、過剰なキャリアが発生する傾向を示すことが判っている。そのために、発光層に隣接して、例えば、正孔輸送層および/または電子輸送層が設けられている場合、これらの層に、発光層を抜けてきた電子または正孔が注入される傾向を示し、これに起因して、かかる層を構成する構成材料の劣化が促進されると推察される。
かかる問題点を解決する発光素子の構成として、短波長(青色)の発光色を発光する発光層の他に、より長波長な赤色の発光色を発光する発光層を設ける構成のものが提案されている。
すなわち、発光素子を、発光層として、短波長の発光色を発光するものと、長波長の発光色を発光するものとを複数備える構成とすることで、発光素子の長寿命化を図ることが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、かかる構成の発光素子では、当然、長波長な発光色(例えば、赤色)も発光するため、発光素子が発光する発光色として短波長の発光色(例えば、青色)のみを必要とする場合には、発光素子に、長波長な発光色を吸収するカラーフィルターを設ける必要が生じるため、発光素子の素子構成の複雑化、および、発光素子を製造する際の工程数の増加を招くという問題がある。
特開2007−115626号公報
本発明の目的のうちいくつかは、色度を変えることなく、長寿命に可視光を発光する発光層を備える発光素子、およびかかる発光素子を備える発光装置および電子機器を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の発光素子は、陽極と、
陰極と、
前記陽極と前記陰極との間に設けられた、可視光を発光する発光層、および、下記式(1)で表わされるチアジアゾール系化合物と、ホスト材料としてのアセン系材料とを含有するキャリア捕捉層とを有し、
前記キャリア捕捉層は、前記発光層よりも前記陰極側に位置し、かつ、前記発光層に接することを特徴とする。
Figure 0006206477
[式(1)中、Aは、それぞれ独立に、ジアリールアミノ基を置換基として有していてもよいアリール基またはジアリールアミノ基を示し、Bは、アリール基またはアリール環を形成する基を示す。
これにより、色度を変えることなく、長寿命に可視光を発光する発光層を備える発光素子とすることができる。
本発明の発光素子では、前記キャリア捕捉層は、前記発光層よりも前記陰極側に位置することにより、発光層を抜けてきた正孔を捕捉して、正孔が陰極側に注入されるのを抑制または防止することができる。そのため、キャリア捕捉層よりも陰極側に位置する層の構成材料の変質・劣化を、的確に抑制または防止することができ、その結果、発光素子の長寿命化が図られる。
本発明の発光素子は、陽極と、
陰極と、
前記陽極と前記陰極との間に設けられた、可視光を発光する発光層、および、上記式(1)で表わされるチアジアゾール系化合物を含有するキャリア捕捉層とを有することを特徴とする。
これにより、色度を変えることなく、長寿命に可視光を発光する発光層を備える発光素子とすることができる。
本発明の発光素子では、前記チアジアゾール系化合物は、下記式(1B)で表わされることが好ましい。
Figure 0006206477
[式(1B)中、Aは、それぞれ独立に、ジアリールアミノ基を置換基として有していてもよいアリール基またはジアリールアミノ基を示す。]
かかる構成のチアジアゾール系化合物は、キャリアを捕捉し得るエネルギー準位を有し、基底状態に戻る際に結果として発する光が近赤外領域にある。したがって、発光層を抜けてきたキャリアを捕捉することができ、可視光の色度を変えることなく、長寿命に可視光を発光する発光層を備える発光素子とすることができる。
本発明の発光素子では、前記チアジアゾール系化合物は、下記式(1C)で表わされることが好ましい。
Figure 0006206477
[式(1C)中、Aは、それぞれ独立に、ジアリールアミノ基を置換基として有していてもよいアリール基またはジアリールアミノ基を示す。]
かかる構成のチアジアゾール系化合物は、キャリアを捕捉し得るエネルギー準位を有し、基底状態に戻る際に結果として発する光が近赤外領域にある。したがって、発光層を抜けてきたキャリアを捕捉することができ、可視光の色度を変えることなく、長寿命に可視光を発光する発光層を備える発光素子とすることができる。
本発明の発光素子では、前記チアジアゾール系化合物は、下記式(1D)で表わされることが好ましい。
Figure 0006206477
[式(1D)中、Aは、それぞれ独立に、ジアリールアミノ基を置換基として有していてもよいアリール基またはジアリールアミノ基を示す。]
かかる構成のチアジアゾール系化合物は、キャリアを捕捉し得るエネルギー準位を有し、基底状態に戻る際に結果として発する光が近赤外領域にある。したがって、発光層を抜けてきたキャリアを捕捉することができ、可視光の色度を変えることなく、長寿命に可視光を発光する発光層を備える発光素子とすることができる。
本発明の発光素子では、前記キャリア捕捉層は、前記発光層よりも前記陽極側に位置することが好ましい。
これにより、発光層を抜けてきた電子を捕捉して、電子が陽極側に注入されるのを抑制または防止することができる。そのため、キャリア捕捉層よりも陽極側に位置する層の構成材料の変質・劣化を、的確に抑制または防止することができ、その結果、発光素子の長寿命化が図られる。
本発明の発光素子では、前記キャリア捕捉層は、さらに、前記チアゾール系化合物の他に、ホスト材料を含有し、
該ホスト材料は、アミン系材料、アントラセン系材料およびナフタセン系材料のうちの少なくとも1種であることが好ましい。
これらの材料は、正孔輸送性に優れ、かつ電子および正孔に対する耐性に優れることから、キャリア捕捉層に、正孔輸送層としての機能を付与しつつ、その長寿命化を図ることができる。
本発明の発光素子では、前記キャリア捕捉層は、前記発光層よりも前記陰極側に位置することが好ましい。
これにより、発光層を抜けてきた正孔を捕捉して、正孔が陰極側に注入されるのを抑制または防止することができる。そのため、キャリア捕捉層よりも陰極側に位置する層の構成材料の変質・劣化を、的確に抑制または防止することができ、その結果、発光素子の長寿命化が図られる。
本発明の発光素子では、前記発光層は、1層であることが好ましい。
かかる構成の発光素子に、本発明の発光素子を適用することができる。
本発明の発光素子では、前記発光層は、前記可視光として青色の発光色を発光することが好ましい。
このように発光層として、青色の発光光を発光するものを発光素子が備える際に、本発明の発光素子を適用することで、寿命が短い発光層である、青色の発光光を発光する発光層の長寿命化を図ることができる。
本発明の発光素子では、前記発光層は、前記可視光として黄色の発光色を発光することが好ましい。
このように発光層として、黄色の発光光を発光するものを発光素子が備える際に、本発明の発光素子を適用することで、寿命が短い発光層である、黄色の発光光を発光する発光層の長寿命化を図ることができる。
本発明の発光素子では、前記発光層は少なくとも2層からなることが好ましい。
かかる構成の発光素子に、本発明の発光素子を適用することができる。
本発明の発光装置は、本発明の発光素子を備えることを特徴とする。
これにより、信頼性に優れる発光装置とすることができる。
本発明の電子機器は、本発明の発光装置を備えることを特徴とする。
これにより、信頼性に優れる電子機器とすることができる。
本発明の発光素子の第1実施形態における縦断面を模式的に示す図である。 本発明の発光素子の第2実施形態における縦断面を模式的に示す図である。 本発明の発光素子の第3実施形態における縦断面を模式的に示す図である。 本発明の発光素子の第4実施形態における縦断面を模式的に示す図である。 本発明の発光素子の第5実施形態における縦断面を模式的に示す図である。 本発明の発光素子の第6実施形態における縦断面を模式的に示す図である。 本発明の発光素子の第7実施形態における縦断面を模式的に示す図である。 本発明の発光装置を適用した照明用光源の実施形態を示す図である。 本発明の発光装置を適用したディスプレイ装置の実施形態を示す図である。 本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。 実施例1〜4の発光素子における発光スペクトルを示す図である。 実施例5〜8の発光素子における発光スペクトルを示す図である。 実施例9、13〜15の発光素子における発光スペクトルを示す図である。 実施例17、10、比較例1、2の発光素子における発光スペクトルを示す図である。 実施例11、12、比較例3、4の発光素子における発光スペクトルを示す図である。 実施例16、比較例5の発光素子における発光スペクトルを示す図である。
以下、本発明の発光素子、発光装置および電子機器を添付図面に示す好適な実施形態について説明する。
<第1実施形態>
まず、本発明の発光素子の第1実施形態について説明する。
図1は、本発明の発光素子の第1実施形態を模式的に示す断面図である。なお、以下では、説明の都合上、図1中の上側を「上」、下側を「下」として説明を行う。
図1に示す発光素子(エレクトロルミネッセンス素子)1は、陽極3と正孔注入層4と正孔輸送層5とキャリア捕捉層6と赤色発光層7Rと中間層8と青色発光層7Bと緑色発光層7Gと電子輸送層9と電子注入層10と陰極11とがこの順に積層されてなるものである。すなわち、発光素子1では、陽極3と陰極11との間に、陽極3側から陰極11側へ正孔注入層4と正孔輸送層5とキャリア捕捉層6と赤色発光層7Rと中間層8と青色発光層7Bと緑色発光層7Gと電子輸送層9と電子注入層10とがこの順で積層された積層体14が介挿されている。
そして、発光素子1は、その全体が基板2上に設けられるとともに、封止部材12で封止されている。
このような発光素子1にあっては、赤色発光層7R、青色発光層7B、および緑色発光層7Gの各発光層に対し、陰極11側から電子が供給(注入)されるとともに、陽極3側から正孔が供給(注入)される。そして、各発光層では、正孔と電子とが再結合し、この再結合に際して放出されたエネルギーによりエキシトン(励起子)が生成し、エキシトンが基底状態に戻る際にエネルギー(蛍光やりん光)を放出する。そのため、赤色発光層7R、青色発光層7B、および緑色発光層7Gがそれぞれ赤色、青色、および緑色の可視光を発光する。これにより、発光素子1は、白色の可視光を発光する。なお、本実施形態では、赤色発光層7R、青色発光層7B、および緑色発光層7Gの3層により、可視光を発光する発光層(可視光発光層)7が構成される。
また、本実施形態では、発光素子1は、赤色発光層7Rと正孔輸送層5との間にキャリア捕捉層6を有しているので、赤色発光層7Rを抜けてきた電子が正孔輸送層5側に注入され、これに起因して、正孔輸送層5および正孔注入層4の構成材料が変質・劣化してしまうのを的確に抑制または防止することができ、その結果、発光素子1の長寿命化を図ることができる。
さらに、本実施形態では、発光素子1は、赤色発光層7Rと青色発光層7Bとの間に中間層8を有しているので、赤色発光層7Rと青色発光層7Bとの間での正孔および電子の移動を調整することができるため、赤色発光層7Rと青色発光層7Bとの間での励起子のエネルギー移動を阻止することができる。その結果、赤色発光層7Rと青色発光層7Bとがそれぞれバランスよく発光することとなり、発光素子1は、可視光として、より確実に白色発光するものとなる。
基板2は、陽極3を支持するものである。本実施形態の発光素子1は、基板2側から光を取り出す構成(ボトムエミッション型)であるため、基板2および陽極3は、それぞれ、実質的に透明(無色透明、着色透明または半透明)とされている。
基板2の構成材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、ポリアミド、ポリエーテルサルフォン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリアリレートのような樹脂材料や、石英ガラス、ソーダガラスのようなガラス材料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
このような基板2の平均厚さは、特に限定されないが、0.1〜30mm程度であるのが好ましく、0.1〜10mm程度であるのがより好ましい。
なお、発光素子1が基板2と反対側から光を取り出す構成(トップエミッション型)の場合、基板2には、透明基板および不透明基板のいずれも用いることができる。
不透明基板としては、例えば、アルミナのようなセラミックス材料で構成された基板、ステンレス鋼のような金属基板の表面に酸化膜(絶縁膜)を形成したもの、樹脂材料で構成された基板等が挙げられる。
また、このような発光素子1では、陽極3と陰極11との間の距離(すなわち積層体14の平均厚さ)は、100〜500nmであるのが好ましく、100〜300nmであるのがより好ましく、100〜250nmであるのがさらに好ましい。これにより、簡単かつ確実に、発光素子1の駆動電圧を実用的な範囲内にすることができる。
以下、発光素子1を構成する各部を順次説明する。
[陽極]
陽極3は、後述する正孔注入層4を介して正孔輸送層5に正孔を注入する電極である。この陽極3の構成材料としては、仕事関数が大きく、導電性に優れる材料を用いるのが好ましい。
陽極3の構成材料としては、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、In、SnO、Sb含有SnO、Al含有ZnO等の酸化物、Au、Pt、Ag、Cuまたはこれらを含む合金等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
特に、陽極3は、ITOで構成されているのが好ましい。ITOは、透明性を有するとともに、仕事関数が大きく、導電性に優れる材料である。これにより、陽極3から正孔注入層4へ効率的に正孔を注入することができる。
また、陽極3の正孔注入層4側の面(図1にて上面)は、プラズマ処理が施されているのが好ましい。これにより、陽極3と正孔注入層4との接合面の化学的および機械的な安定性を高めることができる。その結果、陽極3から正孔注入層4への正孔注入性を向上させることができる。なお、かかるプラズマ処理については、後述する発光素子1の製造方法の説明において詳述する。
このような陽極3の平均厚さは、特に限定されないが、10〜200nm程度であるのが好ましく、50〜150nm程度であるのがより好ましい。
[陰極]
一方、陰極11は、後述する電子注入層10を介して電子輸送層9に電子を注入する電極である。この陰極11の構成材料としては、仕事関数の小さい材料を用いるのが好ましい。
陰極11の構成材料としては、例えば、Li、Mg、Ca、Sr、La、Ce、Er、Eu、Sc、Y、Yb、Ag、Cu、Al、Cs、Rbまたはこれらを含む合金等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて(例えば、複数層の積層体、複数種の混合層等として)用いることができる。
特に、陰極11の構成材料として合金を用いる場合には、Ag、Al、Cu等の安定な金属元素を含む合金、具体的には、MgAg、AlLi、CuLi等の合金を用いるのが好ましい。かかる合金を陰極11の構成材料として用いることにより、陰極11の電子注入効率および安定性の向上を図ることができる。
このような陰極11の平均厚さは、特に限定されないが、100〜10000nm程度であるのが好ましく、100〜500nm程度であるのがより好ましい。
なお、本実施形態の発光素子1は、ボトムエミッション型であるため、陰極11に、光透過性は、特に要求されない。また、トップエミッション型である場合には、陰極11側から光を透過させる必要があるので、陰極11の平均厚さは、1〜50nm程度であるのが好ましい。
[正孔注入層]
正孔注入層4は、陽極3からの正孔注入効率を向上させる機能を有する(すなわち正孔注入性を有する)ものである。
このように陽極3と後述する正孔輸送層5との間に正孔注入層4を設けることにより、陽極3からの正孔性を向上させ、その結果、発光素子1の発光効率を高めることができる。
この正孔注入層4は、正孔注入性を有する材料(すなわち正孔注入性材料)を含んでいる。
この正孔注入層4に含まれる正孔注入性材料としては、特に限定されないが、例えば、銅フタロシアニンや、4,4’,4’’−トリス(N,N−フェニル−3−メチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(m−MTDATA)、N,N’−ビス−(4−ジフェニルアミノ−フェニル)−N, N’−ジフェニル−ビフェニル−4−4’−ジアミン等が挙げられる。
中でも、正孔注入層4に含まれる正孔注入性材料としては、正孔注入性および正孔輸送性に優れるという観点から、アミン系材料を用いるのが好ましく、ジアミノベンゼン誘導体、ベンジジン誘導体(ベンジジン骨格を有する材料)、分子内に「ジアミノベンゼン」ユニットと「ベンジジン」ユニットとの両方を有するトリアミン系化合物、テトラアミン系化合物を用いるのがより好ましい。
このような正孔注入層4の平均厚さは、特に限定されないが、5〜90nm程度であるのが好ましく、10〜70nm程度であるのがより好ましい。
なお、正孔注入層4は、陽極3および正孔輸送層5の構成材料によっては、省略してもよい。
[正孔輸送層]
正孔輸送層5は、陽極3から正孔注入層4を介して注入された正孔をキャリア捕捉層6まで輸送する機能を有する(すなわち正孔輸送性を有する)ものである。
この正孔輸送層5は、正孔輸送性を有する材料(すなわち正孔輸送性材料)を含んで構成されている。
この正孔輸送層5に含まれる正孔輸送性材料には、各種p型の高分子材料や、各種p型の低分子材料を単独または組み合わせて用いることができ、例えば、N,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ジフェニル−4,4’−ジアミン(NPD)、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ジフェニル−4,4’−ジアミン(TPD)、N,N,N’,N’−テトラナフチル−ベンジジン(TNB)等のテトラアリールベンジジン誘導体、テトラアリールジアミノフルオレン化合物またはその誘導体(アミン系材料)等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
中でも、正孔輸送層5に含まれる正孔輸送性材料としては、正孔注入性および正孔輸送性に優れるという観点から、アミン系材料であるのが好ましく、ベンジジン誘導体(ベンジジン骨格を有する材料)であるのがより好ましい。
このような正孔輸送層5の平均厚さは、特に限定されないが、5〜90nm程度であるのが好ましく、10〜70nm程度であるのがより好ましい。
[キャリア捕捉層]
キャリア捕捉層6は、本実施形態では、赤色発光層7Rと正孔輸送層5との間、すなわち赤色発光層7Rよりも陽極3側に位置し、赤色発光層7Rを抜けてきた電子(キャリア)を捕捉して、電子が正孔輸送層5(陽極3)側に注入されるのを抑制または防止する機能を有するものである。
このキャリア捕捉層6は、陽極3と陰極11との間で通電した際に、赤色発光層7Rを抜けてきた電子(キャリア)を捕捉し得るエネルギー準位を有し、基底状態に戻る際に結果として発する光が近赤外領域にある。したがって、電子が注入されることに起因する正孔輸送層5および正孔注入層4の構成材料の変質・劣化を、的確に抑制または防止することができるため、発光素子1の長寿命化が図られる。さらに、キャリア捕捉層6が発光する光が近赤外領域(赤外光)であり、ヒトの目では認識することができないため、発光素子1が発光する可視光の色度が変化してしまうのを確実に防止しることができる。
このキャリア捕捉層6は、本発明では、下記式(1)で表わされるチアゾール系化合物を含有するものである。
Figure 0006206477
[式(1)中、Aは、水素原子、アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、アリールアミノ基、トリアリールアミンを示し、Bは、水素原子、アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、アリールアミノ基、トリアリールアミンを示すか、または環を形成してもよい。]
かかる材料で構成されるキャリア捕捉層6に対して、陰極11側から赤色発光層7Rを抜けてきた電子が供給(注入)されるとともに、陽極3側から正孔が供給(注入)されるため、キャリア捕捉層6では、正孔と電子とが再結合し、これにより、赤色発光層7Rを抜けてきた電子(キャリア)が、キャリア捕捉層6で捕捉されることとなる。また、この再結合に際して放出されたエネルギーによりエキシトン(励起子)が生成し、エキシトンが基底状態に戻る際にエネルギー(蛍光やりん光)を放出するため、キャリア捕捉層6が赤外線を発光する。
ここで、上記式(1)で表わされるチアゾール系化合物を含有するキャリア捕捉層6が発光する赤外線は、近赤外域のものであり、より具体的には、700nm以上1500nm以下の波長域のものである。
このような長波長域の発光光は、ヒトの目では認識することができない。そのため、発光素子1において、このような波長域の発光光がたとえ発光したとしても、認識される発光光は、赤色発光層7R、青色発光層7B、および緑色発光層7Gの3層により発光される白色光となる。
したがって、このように発光素子1の長寿命化のために設ける発光層として、赤外線を発光するものを選択することで、発光素子1は、色度を変えることなく、白色光を発光光として発光することとなる。そのため、白色デバイスとして利用する場合は、目的とする発光光を取り出すためのカラーフィルターを発光素子に設ける必要がないため、素子構成の複雑化、さらには、発光素子を製造する際に工程数が増加してしまうのを確実に防止することができる。
上記式(1)で表わされるチアゾール系化合物としては、上記基Bが、I)水素原子、アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、アリールアミノ基またはトリアリールアミンを示す場合と、II)環を形成する場合とに分類することができ、I)の場合、下記式(1A)で表わされる化合物が挙げられ、II)の場合、下記式(1B)、(1C)、(1D)で表わされる化合物が挙げられる。
まず、I)の場合、すなわち、下記式(1A)で表わされる化合物について説明する。
Figure 0006206477
[式(1A)中、AおよびBは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、アリールアミノ基、トリアリールアミンを示す。]
このようなチアジアゾール系化合物は、キャリアを捕捉し得るエネルギー準位を有し、基底状態に戻る際に結果として発する光が近赤外領域にある。したがって、かかるチアジアゾール系化合物を捕捉材料(発光材料)として含む構成とすることで、キャリア捕捉層6は、キャリアを捕捉するとともに、700nm以上の波長域(近赤外域)での発光、すなわちヒトの目では認識されない発光光を発光するものとなる。
特に、キャリア捕捉層6に用いるチアジアゾール系化合物としては、下記式(2A)または式(3A)で表わされる化合物を用いるのが好ましい。
Figure 0006206477
[式(2A)、(3A)中、Aは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、アリールアミノ基、トリアリールアミンを示す。]
すなわち、前記式(1A)において、Bがそれぞれフェニル基またはメチル基であるのが好ましい。
フェニル基およびメチル基は、それぞれ化学的安定性が比較的高い。そのため、かかる化合物をキャリア捕捉層6に含まれる捕捉材料として用いることにより、キャリア捕捉層6ひいては発光素子1の長寿命化を図ることができる。また、捕捉材料の分子量を比較的小さく抑えることができることから、気相成膜を用いてキャリア捕捉層6を高精度に形成することができる。その結果、この点でも、発光素子1の高効率化および長寿命化を図ることが可能となる。
さらに、キャリア捕捉層6に用いるチアジアゾール系化合物としては、下記式(4A)〜(9A)で表わされる化合物を用いるのが好ましく、具体的には、特に、下記式D−1〜D−3で表わされる化合物を用いるのが好ましい。
Figure 0006206477
Figure 0006206477
[式(4A)〜(9A)中、Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基を示す。また、隣合う2つのRの炭素同士が連結して環状をなしていてもよい。]
Figure 0006206477
次に、II)の場合、すなわち、下記式(1B)〜(1D)で表わされる化合物について、順次、説明する。
まず、下記式(1B)で表わされる化合物について説明する。
Figure 0006206477
[式(1B)中、Aは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、アリールアミノ基、トリアリールアミンを示す。]
このようなチアジアゾール系化合物は、キャリアを捕捉し得るエネルギー準位を有し、基底状態に戻る際に結果として発する光が近赤外領域にある。したがって、かかるチアジアゾール系化合物を捕捉材料(発光材料)として含む構成とすることで、キャリア捕捉層6は、キャリアを捕捉するとともに、700nm以上の波長域(近赤外域)での発光、すなわちヒトの目では認識されない発光光を発光するものとなる。
特に、キャリア捕捉層6に用いるチアジアゾール系化合物としては、下記式(2B)〜(4B)で表わされる化合物を用いるのが好ましく、具体的には、例えば、下記式D−4〜D−6で表わされる化合物を用いるのが好ましい。
Figure 0006206477
Figure 0006206477
Figure 0006206477
[式(2B)〜(4B)中、Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基を示す。また、隣り合う2つのRの炭素同士が連結して環状をなしていてもよい。]
Figure 0006206477
Figure 0006206477
Figure 0006206477
次いで、下記式(1C)で表わされる化合物について説明する。
Figure 0006206477
[式(1C)中、Aは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、アリールアミノ基、トリアリールアミンを示す。]
このようなチアジアゾール系化合物は、キャリアを捕捉し得るエネルギー準位を有し、基底状態に戻る際に結果として発する光が近赤外領域にある。したがって、かかるチアジアゾール系化合物を捕捉材料(発光材料)として含む構成とすることで、キャリア捕捉層6は、キャリアを捕捉するとともに、700nm以上の波長域(近赤外域)での発光、すなわちヒトの目では認識されない発光光を発光するものとなる。
特に、キャリア捕捉層6に用いるチアジアゾール系化合物としては、下記式(2C)〜(4C)で表わされる化合物を用いるのが好ましく、具体的には、例えば、下記式D−7〜D−9で表わされる化合物を用いるのが好ましい。
Figure 0006206477
Figure 0006206477
Figure 0006206477
[式(2C)〜(4C)中、Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基を示す。また、隣り合う2つのRの炭素同士が連結して環状をなしていてもよい。]
Figure 0006206477
Figure 0006206477
Figure 0006206477
次に、下記式(1D)で表わされる化合物について説明する。
Figure 0006206477
[式(1D)中、AおよびBは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、アリールアミノ基、トリアリールアミンを示す。]
このようなチアジアゾール系化合物は、キャリアを捕捉し得るエネルギー準位を有し、基底状態に戻る際に結果として発する光が近赤外領域にある。したがって、かかるチアジアゾール系化合物を捕捉材料(発光材料)として含む構成とすることで、キャリア捕捉層6は、キャリアを捕捉するとともに、700nm以上の波長域(近赤外域)での発光、すなわちヒトの目では認識されない発光光を発光するものとなる。
特に、キャリア捕捉層6に用いるチアジアゾール系化合物としては、高効率化および長寿命化を図れるという観点から、化下記式(2D)〜(4D)で表わされる化合物を用いるのが好ましく、具体的には、特に、下記式D−10〜D−12で表わされる化合物を用いるのが好ましい。
Figure 0006206477
[式(2D)〜(4D)中、Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基を示す。また、隣合う2つのRの炭素同士が連結して環状をなしていてもよい。]
Figure 0006206477
また、キャリア捕捉層6の構成材料としては、前述したようなチアジアゾール系化合物(捕捉材料)に加えて、このチアジアゾール系化合物がゲスト材料(ドーパント)として添加(担持)されるホスト材料を用いるのが好ましい。
このホスト材料は、正孔と電子とを再結合して励起子を生成するとともに、その励起子のエネルギーを発光材料に移動(フェルスター移動またはデクスター移動)させて、チアジアゾール系化合物を励起する機能を有する。そのため、チアジアゾール系化合物のキャリア捕捉効率を高めることができる。このようなホスト材料は、例えば、ゲスト材料である発光材料をドーパントとしてホスト材料にドープして用いることができる。
このようなホスト材料としては、用いるチアジアゾール系化合物に対して前述したような機能を発揮するものであれば、特に限定されないが、例えば、ジスチリルアリーレン誘導体、ナフタセン誘導体(ナフタセン系材料)、2−t−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(TBADN)等のアントラセン誘導体(アントラセン系材料)、ペリレン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(p−フェニルフェノラト)アルミニウム(BAlq)、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体(Alq)等のキノリノラト系金属錯体、アミン誘導体(アミン系材料)、オキサジアゾール誘導体、ルブレンおよびその誘導体、シロール誘導体、ジカルバゾール誘導体、オリゴチオフェン誘導体、ベンゾピラン誘導体、トリアゾール誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、キノリン誘導体、4,4’−ビス(2,2’−ジフェニルビニル)ビフェニル(DPVBi)、3−フェニル−4−(1’−ナフチル)−5−フェニルカルバゾール、4,4’−N,N’−ジカルバゾールビフェニル(CBP)等のカルバゾール誘導体等が挙げられ、これらのうち1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることもできる。
これらの中でも、ホスト材料としては、本実施形態のようにキャリア捕捉層6が、赤色発光層7R(発光層7)と陽極3との間に位置する場合、アセン系材料またはアミン系材料を用いるのが好ましい。
アセン系材料およびアミン系材料は、前述したようなチアゾール系化合物との不本意な相互材用が少ない。また、ホスト材料としてこれらの材料(特にアントラセン系材料、テトラセン系材料およびアミン系材料)を用いると、ホスト材料からチアゾール系化合物へのエネルギー移動を効率的に行うことができる。これは、(a)ホスト材料の三重項励起状態からのエネルギー移動によるチアゾール系化合物の一重項励起状態の生成が可能となること、(b)ホスト材料のπ電子雲とチアゾール系化合物の電子雲との重なりが大きくなること、(c)ホスト材料の蛍光スペクトルとチアゾール系化合物の吸収スペクトルとの重なりが大きくなること等によるものと考えられる。
このようなことから、ホスト材料としてアセン系材料およびアミン系材料を用いると、チアゾール系化合物のキャリア捕捉効率を高めることができる。
また、アセン系材料およびアミン系材料は、電子および正孔に対する耐性に優れる。また、アセン系材料およびアミン系材料は、熱安定性にも優れる。そのため、キャリア捕捉層6の長寿命化を図ることができる。
また、アセン系材料およびアミン系材料は、正孔輸送性に優れることから、本実施形態のようにキャリア捕捉層6が赤色発光層7Rと陽極3との間に位置する場合、キャリア捕捉層6の赤外光の発光に利用されなかった正孔を、赤色発光層7R側に輸送することができるため、発光層7の発光効率を高めることができる。
なお、ホスト材料として、ナフタセン系材料を用いる場合、本実施形態のように、中間層8を備える構成とするのが好ましい。これにより、可視光発光層7の発光効率が低下するのを確実に防止することができる。
なお、アセン系材料は、アセン骨格を有し、かつ、前述したような効果を発揮するものであれば、特に限定されず、例えば、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、ナフタセン誘導体(テトラセン誘導体)、ペンタセン誘導体が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、アントラセン誘導体(アントラセン系材料)またはテトラセン誘導体(テトラセン系材料)を用いるのが好ましい。
テトラセン系材料としては、1つの分子内に少なくとも1つのテトラセン骨格を有し、かつ、前述したようなホスト材料としての機能を発揮し得るものであれば、特に限定されないが、例えば、下記式IRH−1で表わされる化合物を用いるのが好ましく、下記式IRH−2で表わされる化合物を用いるのがより好ましく、下記IRH−3で表わされる化合物を用いるのがさらに好ましい。
Figure 0006206477
[前記式IRH−1中、nは、1〜12の自然数を示し、Rは置換機または官能基を表し、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、アリールアミノ基を示す。また、前記式IRH−2、IRH−3中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、アリールアミノ基を示す。また、R〜Rは、互いに同じであっても異なっていてもよい。]
また、テトラセン系材料は、炭素原子および水素原子で構成されているのが好ましい。これにより、ホスト材料とチアゾール系化合物との不本意な相互作用が生じるのを防止することができる。そのため、チアゾール系化合物が赤外光を発光することによるキャリア捕捉効率を高めることができる。また、電子および正孔に対するホスト材料の耐性を高めることができる。そのため、キャリア捕捉層6の長寿命化を図ることができる。
具体的には、テトラセン系材料としては、例えば、下記式H1−1〜H1−11で表わされる化合物、下記式H1−12〜H1−27で表される化合物を用いるのが好ましい。
Figure 0006206477
Figure 0006206477
また、アントラセン系材料としては、1つの分子内に少なくとも1つのアントラセン骨格を有し、かつ、前述したようなホスト材料としての機能を発揮し得るものであれば、特に限定されないが、例えば、下記式IRH−4で表わされる化合物またはその誘導体を用いるのが好ましく、下記式IRH5〜IRH−8で表わされる化合物を用いるのがより好ましい。
Figure 0006206477
[前記式IRH−4中、nは、1〜10の自然数を示し、Rは置換基または官能基を表し、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、アリールアミノ基を示す。また、前記式IRH−5〜IRH−8中、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、アリールアミノ基を示す。また、R、Rは、互いに同じであっても異なっていてもよい。]
また、アントラセン系材料は、炭素原子および水素原子で構成されているのが好ましい。これにより、ホスト材料とチアゾール系化合物との不本意な相互作用が生じるのを防止することができる。そのため、チアゾール系化合物が赤外光を発光することによるキャリア捕捉効率を高めることができる。また、電子および正孔に対するホスト材料の耐性を高めることができる。そのため、キャリア捕捉層6の長寿命化を図ることができる。
具体的には、アントラセン系材料としては、例えば、下記式H2−1〜H2−16で表わされる化合物、下記式H2−21〜H2−40で表される化合物、下記式H2−51〜H2−70で表される化合物を用いるのが好ましい。
Figure 0006206477
Figure 0006206477
Figure 0006206477
さらに、アミン系材料としては、アミン骨格を有し、かつ、前述したような効果を発揮するものであれば、特に限定されず、例えば、前述した正孔輸送材料のうちのアミン骨格を有する材料を用いることができるが、ベンジジン系アミン誘導体を用いるのが好ましい。
特に、ベンジジン系アミン誘導体のなかでも、2つ以上のナフチル基を導入したものが好ましい。このようなベンジジン系アミン誘導体としては、例えば、下記化学式(22)で表されるようなN,N’−ビス(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル〔1,1’−ビフェニル〕−4,4’−ジアミン(α−NPD)や、下記化学式(23)で表されるようなテトラキス−p−ビフェニリル−ベンジジン、N,N,N’,N’−テトラナフチル−ベンジジン(TNB)などが挙げられる。
Figure 0006206477
Figure 0006206477
なお、このような捕捉材料およびホスト材料を含むキャリア捕捉層6中における捕捉材料(チアゾール系化合物)の含有量(ドープ量)は、0.01〜10wt%であるのが好ましく、0.1〜5wt%であるのがより好ましい。捕捉材料の含有量をこのような範囲内とすることで、発光光として赤外光を発光することによるキャリア捕捉効率を最適化することができる。
また、キャリア捕捉層6の平均厚さは、特に限定されないが、1〜60nm程度であるのが好ましく、3〜50nm程度であるのがより好ましい。
[赤色発光層]
この赤色発光層7Rは、前述した陽極3と陰極11との間に通電することにより、発光光(可視光)として赤色光を発光するものである。
この赤色発光層7Rは、赤色に発光する赤色発光材料を含んで構成されている。
このような赤色発光材料としては、特に限定されず、各種赤色蛍光材料、赤色燐光材料を1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
赤色蛍光材料としては、赤色の蛍光を発するものであれば特に限定されず、例えば、下記化学式(17)で表わされる化合物(ジインデノペリレン誘導体)等のペリレン誘導体、ユーロピウム錯体、ベンゾピラン誘導体、ローダミン誘導体、ベンゾチオキサンテン誘導体、ポルフィリン誘導体、ナイルレッド、2−(1,1−ジメチルエチル)−6−(2−(2,3,6,7−テトラヒドロ−1,1,7,7−テトラメチル−1H,5H−ベンゾ(ij)キノリジン−9−イル)エテニル)−4H−ピラン−4H−イリデン)プロパンジニトリル(DCJTB)、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン(DCM)等を挙げられる。
Figure 0006206477
中でも、赤色発光材料としては、ジインデノペリレン誘導体を用いるのが好ましい。これにより、赤色発光層7Rをより高輝度で赤色発光させることができる。
赤色燐光材料としては、赤色の燐光を発するものであれば特に限定されず、例えば、イリジウム、ルテニウム、白金、オスミウム、レニウム、パラジウム等の金属錯体が挙げられ、これら金属錯体の配位子の内の少なくとも1つがフェニルピリジン骨格、ビピリジル骨格、ポルフィリン骨格等を持つものも挙げられる。より具体的には、トリス(1−フェニルイソキノリン)イリジウム、ビス[2−(2’−ベンゾ[4,5−α]チエニル)ピリジネート−N,C’]イリジウム(アセチルアセトネート)(btp2Ir(acac))、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−12H,23H−ポルフィリン−白金(II)、ビス[2−(2’−ベンゾ[4,5−α]チエニル)ピリジネート−N,C’]イリジウム、ビス(2−フェニルピリジン)イリジウム(アセチルアセトネート)が挙げられる。
また、赤色発光層7R中には、前述した赤色発光材料の他に、赤色発光材料をゲスト材料とするホスト材料が含まれているのが好ましい。
このホスト材料としては、前記キャリア捕捉層6に含まれるホスト材料として説明したのと同様のものを用いることができる。
なお、本実施形態のように、キャリア捕捉層6と赤色発光層7Rとが隣接し、かつキャリア捕捉層6が陽極3側に位置する構成とする場合、赤色発光層7Rのホスト材料としては、ナフタセン系材料を用い、キャリア捕捉層6のホスト材料としては、ナフタセン系材料、アントラセン系材料およびアミン系材料のうちの少なくとも1種を用いるのが好ましい。これにより、キャリア捕捉層6と赤色発光層7Rとの間においてバンドギャップの差を小さくすることができるため、電圧上昇を小さくして、赤色の光をさらにバランスよく発光させることができるようになる。すなわち、キャリア捕捉層6と赤色発光層7Rとを隣接させたとしても、赤色の光をさらにバランスよく発光させることができ、赤色発光層7Rを抜けてきたキャリアはキャリア捕捉層6で捕捉させることができる。
さらに、赤色発光層7Rのホスト材料として、アントラセン系材料を用いた場合には、キャリア捕捉層6のホスト材料としては、アントラセン系材料およびアミン系材料のうちの少なくとも1種を用いるのが好ましい。これにより、前記と同様の効果を得ることができる。
[中間層]
中間層8は、赤色発光層7Rと青色発光層7Bとの層間にこれらに接するように設けられ、赤色発光層7Rと青色発光層7Bとの間でキャリア(正孔および電子)の移動を調整する機能を有するものである。かかる機能により、赤色発光層7Rおよび青色発光層7Bをそれぞれ効率よく発光させることができる。
この中間層8としては、キャリア(正孔および電子)の移動を調整する機能を有するものであれば、いかなる構成を有するものであってもよいが、特に、前述した赤色発光層7Rのホスト材料と同種または同一の材料を含み、かつ、発光性を有する材料を実質的に含まずに構成されているものであるのが好ましい。
このような中間層8の構成材料としては、例えば、前記キャリア捕捉層6のホスト材料として説明したのと同様のものが用いられ、特に、アセン系材料を含むものが好適に用いられる。
かかる材料を用いれば、中間層8の最高被占軌道(HOMO)のエネルギー順位を、赤色発光層7Rおよび青色発光層7Bの双方の最高被占軌道(HOMO)のエネルギー順位よりも低く設定することができ、さらに、中間層8の最低空軌道(LUMO)のエネルギー順位を、赤色発光層7Rおよび青色発光層7Bの双方の最低空軌道(LUMO)のエネルギー順位よりも高く設定することができる。その結果、赤色発光層7Rと青色発光層7Bとの間での励起子のエネルギー移動がより確実に阻止されることとなる。
アセン系材料としては、アセン骨格を有し、かつ、前述したような効果を発揮するものであれば、特に限定されず、例えば、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、テトラセン(ナフタセン)誘導体、ペンタセン誘導体、ヘキサセン誘導体、ヘプタセン誘導体等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、テトラセン(ナフタセン)誘導体を用いるのが好ましい。
テトラセン(ナフタセン)誘導体としては、特に限定されないが、前述したキャリア捕捉層6のホスト材料で説明したナフタセン誘導体と同様のものを用いることができる。
このようなナフタセン誘導体は、バイポーラ性を有する。したがって、中間層8は、赤色発光層7Rから青色発光層7Bへ正孔を円滑に輸送するとともに、青色発光層7Bから赤色発光層7Rへ電子を円滑に輸送することができる。また、中間層8は、電子および正孔に対して優れた耐性を有する。そのため、中間層8の劣化を防止し、その結果、発光素子1の耐久性を向上させることができる。
このような中間層8中におけるアセン系材料の含有量は、特に限定されないが、10〜90wt%であるのが好ましく、30〜70wt%であるのがより好ましく、40〜60wt%であるのがさらに好ましい。
さらに、中間層8の構成材料としては、前述したアセン系材料の他に、アミン系材料(アミン誘導体)を含むのが特に好ましい。
アミン系材料(すなわちアミン骨格を有する材料)は正孔輸送性に優れ、また、前述したアセン系材料(すなわちアセン骨格を有する材料)は、アミン系材料に比較して電子輸送性に優れる。これにより、中間層8は、電子輸送性および正孔輸送性の双方を有するものとなる。すなわち、中間層8は、バイポーラ性を有するものとなる。このように中間層8がバイポーラ性を有すると、赤色発光層7Rから中間層8を介して青色発光層7Bへ正孔を円滑に受け渡すとともに、青色発光層7Bから中間層8を介して赤色発光層7Rへ電子を円滑に受け渡すことができる。その結果、赤色発光層7Rおよび青色発光層7Bにそれぞれ電子および正孔を効率的に注入して発光させることができる。
また、このような中間層8は、バイポーラ性を有するため、キャリア(電子、正孔)に対する耐性に優れている。その上、アセン系材料が励起子に対する耐性に優れていることから、中間層8中で電子と正孔が再結合して励起子が生成しても、中間層8の劣化を防止または抑制することができる。これにより、中間層8の励起子による劣化を防止または抑制し、その結果、発光素子1の耐久性を優れたものとすることができる。
このような中間層8に用いられるアミン系材料としては、キャリア捕捉層6のホスト材料として挙げたのと同様のものを用いることができる。
なお、上記化学式(22)で表されるようなN,N’−ビス(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル〔1,1’−ビフェニル〕−4,4’−ジアミン(α−NPD)や、上記化学式(23)で表されるようなN,N,N’,N’−テトラナフチル−ベンジジン(TNB)等のアミン系材料は、一般に、正孔輸送性に優れており、アミン系材料の正孔移動度は、アセン系材料の正孔移動度よりも高い。したがって、赤色発光層7Rから中間層8を介して青色発光層7Bへ正孔を円滑に受け渡すことができる。
このような中間層8中におけるアミン系材料の含有量は、特に限定されないが、10〜90wt%であるのが好ましく、30〜70wt%であるのがより好ましく、40〜60wt%であるのがさらに好ましい。
また、中間層8の平均厚さは、特に限定されないが、1〜100nmであるのが好ましく、3〜50nmであるのがより好ましく、5〜30nmであるのがさらに好ましい。これにより、駆動電圧を抑えつつ、中間層8が赤色発光層7Rと青色発光層7Bとの間での正孔および電子の移動を確実に調整することができる。
これに対し、中間層8の平均厚さが前記上限値を超えると、中間層8の構成材料等によっては、駆動電圧が著しく高くなったり、発光素子1の発光(特に白色発光)が難しくなったりする場合がある。一方、中間層8の平均厚さが前記下限値未満であると、中間層8の構成材料や駆動電圧等によっては、中間層8が赤色発光層7Rと青色発光層7Bとの間での正孔および電子の移動を確実に調整するのが難しくなるおそれがある。
[青色発光層]
この青色発光層7Bは、前述した陽極3と陰極11との間に通電することにより、発光光(可視光)として青色光を発光するものである。
この青色発光層7Bは、青色に発光する青色発光材料を含んで構成されている。
このような青色発光材料としては、例えば、各種青色蛍光材料および青色燐光材料が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
青色蛍光材料としては、青色の蛍光を発するものであれば、特に限定されず、例えば、下記化学式(24A)または下記化学式(24B)で示されるスチリルアミン系化合物等のスチリルアミン誘導体、フルオランテン誘導体、ピレン誘導体、ペリレンおよびペリレン誘導体、アントラセン誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、クリセン誘導体、フェナントレン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、テトラフェニルブタジエン、4,4’−ビス(9−エチル−3−カルバゾビニレン)−1,1’−ビフェニル(BCzVBi)、ポリ[(9.9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−コ−(2,5−ジメトキシベンゼン−1,4−ジイル)]、ポリ[(9,9−ジヘキシルオキシフルオレン−2,7−ジイル)−オルト−コ−(2−メトキシ−5−{2−エトキシヘキシルオキシ}フェニレン−1,4−ジイル)]、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−コ−(エチルニルベンゼン)]等が挙げられる。
Figure 0006206477
青色燐光材料としては、青色の燐光を発するものであれば、特に限定されず、例えば、イリジウム、ルテニウム、白金、オスミウム、レニウム、パラジウム等の金属錯体が挙げられ、具体的には、ビス[4,6−ジフルオロフェニルピリジネート−N,C’]−ピコリネート−イリジウム、トリス[2−(2,4−ジフルオロフェニル)ピリジネート−N,C’]イリジウム、ビス[2−(3,5−トリフルオロメチル)ピリジネート−N,C’]−ピコリネート−イリジウム、ビス(4,6−ジフルオロフェニルピリジネート−N,C’)イリジウム(アセチルアセトネート)等が挙げられる。
また、青色発光層7B中には、前述した青色発光材料の他に、青色発光材料をゲスト材料とするホスト材料が含まれているのが好ましい。
このようなホスト材料としては、前記キャリア捕捉層6に含まれるホスト材料として説明したのと同様のものを用いることができる。
[緑色発光層]
この緑色発光層7Gは、前述した陽極3と陰極11との間に通電することにより、発光光(可視光)として緑色光を発光するものである。
この緑色発光層7Gは、緑色に発光する緑色発光材料を含んで構成されている。
このような緑色発光材料としては、特に限定されず、各種緑色蛍光材料、緑色燐光材料を1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
緑色蛍光材料としては、緑色の蛍光を発するものであれば特に限定されず、例えば、クマリン誘導体、下記化学式(25)に示すキナクリドン誘導体等のキナクリドンおよびその誘導体、9,10−ビス[(9−エチル−3−カルバゾール)−ビニレニル]−アントラセン、ポリ(9,9−ジヘキシル−2,7−ビニレンフルオレニレン)、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−コ−(1,4−ジフェニレン−ビニレン−2−メトキシ−5−{2−エチルヘキシルオキシ}ベンゼン)]、ポリ[(9,9−ジオクチル−2,7−ジビニレンフルオレニレン)−オルト−コ−(2−メトキシ−5−(2−エトキシルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレン)]等が挙げられる。
Figure 0006206477
緑色燐光材料としては、緑色の燐光を発するものであれば特に限定されず、例えば、イリジウム、ルテニウム、白金、オスミウム、レニウム、パラジウム等の金属錯体が挙げられ、具体的には、ファク−トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(Ir(ppy)3)、ビス(2−フェニルピリジネート−N,C’)イリジウム(アセチルアセトネート)、ファク−トリス[5−フルオロ−2−(5−トリフルオロメチル−2−ピリジン)フェニル−C,N]イリジウム等が挙げられる。
また、緑色発光層7G中には、前述した緑色発光材料の他に、緑色発光材料をゲスト材料とするホスト材料が含まれているのが好ましい。
このホスト材料としては、前記キャリア捕捉層6に含まれるホスト材料として説明したのと同様のものを用いることができる。
また、このような緑色発光層7Gのホスト材料は、赤色発光層7Rのホスト材料と同様に、アセン誘導体(アセン系材料)を用いるのが好ましい。これにより、緑色発光層7Gをより高輝度かつ高効率で赤色発光させることができる。
さらに、この緑色発光層7Gのホスト材料は、前述した青色発光層7Bのホスト材料と同一であるのが好ましい。これにより、双方の発光層7G、7B間においてバンドギャップが生じないため、緑色の光と青色の光とをバランスよく発光させることができるようになる。
[電子輸送層]
電子輸送層9は、陰極11から電子注入層10を介して注入された電子を緑色発光層7Gに輸送する機能を有するものである。
電子輸送層9の構成材料(電子輸送性材料)としては、例えば、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP)等のフェナントロリン誘導体、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq)等の8−キノリノールなしいその誘導体を配位子とする有機金属錯体などのキノリン誘導体、アザインドリジン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ペリレン誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、キノキサリン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ニトロ置換フルオレン誘導体等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、電子輸送層9に用いる電子輸送性材料としては、アザインドリジン誘導体を用いるのが好ましく、特に、アザインドリジン骨格およびアントラセン骨格を分子内に有する化合物(以下、単に「アザインドリジン系化合物」ともいう)を用いるのがより好ましい。
このように、緑色発光層7Gに隣接する電子輸送層9の電子輸送性材料としてアザインドリジン骨格およびアントラセン骨格を分子内に有する化合物を用いているので、電子輸送層9から緑色発光層7Gへ電子を効率的に輸送することができる。そのため、発光素子1の発光効率を優れたものとすることができる。
また、電子輸送層9から緑色発光層7Gへの電子輸送を効率的に行えることから、発光素子1の駆動電圧を低電圧化することができ、それに伴って、発光素子1の長寿命化を図ることができる。
さらに、アザインドリジン骨格およびアントラセン骨格を分子内に有する化合物は電子およびホールに対する安定性(耐性)に優れるため、この点でも、発光素子1の長寿命化を図ることができる。
電子輸送層9に用いる電子輸送性材料(アザインドリジン系化合物)は、1つの分子内に含まれるアザインドリジン骨格およびアントラセン骨格の数がそれぞれ1つまたは2つであるのが好ましい。これにより、電子輸送層9の電子輸送性および電子注入性を優れたものとすることができる。
具体的には、電子輸送層9に用いるアザインドリジン系化合物としては、例えば、下記式ELT−A1〜ELT−A24で表わされるような化合物、下記式ELT−B1〜式ELT−B12で表わされるような化合物、下記ELT−C1〜ELT−C20で表わされる化合物を用いるのが好ましい。
Figure 0006206477
Figure 0006206477
Figure 0006206477
このようなアザインドリジン化合物は、電子輸送性および電子注入性に優れる。そのため、発光素子1の発光効率を向上させることができる。
かかるアザインドリジン化合物の電子輸送性および電子注入性が優れるのは、以下のような理由によるものと考えられる。
前述したようなアザインドリジン骨格およびアントラセン骨格を分子内に有するアザインドリジン系化合物は、その分子全体がπ共役系で繋がっているため、電子雲が分子全体に亘って拡がっている。
そして、かかるアザインドリジン系化合物のアザインドリジン骨格の部分は、電子を受け入れる機能と、その受け取った電子をアントラセン骨格の部分へ送り出す機能とを有する。一方、かかるアザインドリジン系化合物のアントラセン骨格の部分は、アザインドリジン骨格の部分から電子を受け入れる機能と、その受け入れた電子を、電子輸送層9の陽極3側に隣接する層、すなわち緑色発光層7Gへ受け渡す機能とを有する。
具体的に説明すると、かかるアザインドリジン系化合物のアザインドリジン骨格の部分は、2つの窒素原子を有し、その一方(アントラセン骨格の部分に近い側)の窒素原子がsp2混成軌道を有し、他方(アントラセン骨格の部分に遠い側)の窒素原子がsp3混成軌道を有する。sp2混成軌道を有する窒素原子は、アザインドリジン系化合物の分子の共役系の一部を構成するとともに、炭素原子よりも電気陰性度が高く、電子を引き付ける強さが大きいため、電子を受け入れる部分として機能する。一方、sp3混成軌道を有する窒素原子は、通常の共役系ではないが、非共有電子対を有するため、その電子がアザインドリジン系化合物の分子の共役系に向けて電子を送り出す部分として機能する。
一方、かかるアザインドリジン系化合物のアントラセン骨格の部分は、電気的に中性であるため、アザインドリジン骨格の部分から電子を容易に受け入れることができる。また、かかるアザインドリジン系化合物のアントラセン骨格の部分は、緑色発光層7Gの構成材料、特にホスト材料(アセン系材料)と軌道の重なりが大きいため、緑色発光層7Gのホスト材料へ電子を容易に受け渡すことができる。
また、かかるアザインドリジン系化合物は、前述したように電子輸送性および電子注入性に優れるため、結果として、発光素子1の駆動電圧を低電圧化することができる。
また、アザインドリジン骨格の部分は、sp2混成軌道を有する窒素原子が還元されても安定であり、sp3混成軌道を有する窒素原子が酸化されても安定である。そのため、かかるアザインドリジン系化合物は、電子および正孔に対する安定性が高いものとなる。その結果、発光素子1の長寿命化を図ることができる。
また、電子輸送層9は、前述したような電子輸送性材料のうち2種以上を組み合わせて用いる場合、2種以上の電子輸送性材料を混合した混合材料で構成されていてもよいし、異なる電子輸送性材料で構成された複数の層を積層して構成されていてもよい。
電子輸送層9の平均厚さは、特に限定されないが、1.0〜200nm程度であるのが好ましく、10〜100nm程度であるのがより好ましい。
[電子注入層]
電子注入層10は、陰極11からの電子注入効率を向上させる機能を有するものである。
この電子注入層10の構成材料(電子注入性材料)としては、例えば、各種の無機絶縁材料、各種の無機半導体材料が挙げられる。
このような無機絶縁材料としては、例えば、アルカリ金属カルコゲナイド(酸化物、硫化物、セレン化物、テルル化物)、アルカリ土類金属カルコゲナイド、アルカリ金属のハロゲン化物およびアルカリ土類金属のハロゲン化物等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらを主材料として電子注入層10を構成することにより、電子注入性をより向上させることができる。特にアルカリ金属化合物(アルカリ金属カルコゲナイド、アルカリ金属のハロゲン化物等)は仕事関数が非常に小さく、これを用いて電子注入層10を構成することにより、発光素子1は、高い輝度が得られるものとなる。
アルカリ金属カルコゲナイドとしては、例えば、LiO、LiO、NaS、NaSe、NaO等が挙げられる。
アルカリ土類金属カルコゲナイドとしては、例えば、CaO、BaO、SrO、BeO、BaS、MgO、CaSe等が挙げられる。
アルカリ金属のハロゲン化物としては、例えば、CsF、LiF、NaF、KF、LiCl、KCl、NaCl等が挙げられる。
アルカリ土類金属のハロゲン化物としては、例えば、CaF、BaF、SrF、MgF、BeF等が挙げられる。
また、無機半導体材料としては、例えば、Li、Na、Ba、Ca、Sr、Yb、Al、Ga、In、Cd、Mg、Si、Ta、SbおよびZnのうちの少なくとも1つの元素を含む酸化物、窒化物または酸化窒化物等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
電子注入層10の平均厚さは、特に限定されないが、0.1〜1000nm程度であるのが好ましく、0.2〜100nm程度であるのがより好ましく、0.2〜50nm程度であるのがさらに好ましい。
なお、この電子注入層10は、陰極11および電子輸送層9の構成材料や厚さ等によっては、省略してもよい。
[封止部材]
封止部材12は、陽極3、積層体14、および陰極11を覆うように設けられ、これらを気密的に封止し、酸素や水分を遮断する機能を有する。封止部材12を設けることにより、発光素子1の信頼性の向上や、変質・劣化の防止(耐久性向上)等の効果が得られる。
封止部材12の構成材料としては、例えば、Al、Au、Cr、Nb、Ta、Tiまたはこれらを含む合金、酸化シリコン、各種樹脂材料等を挙げることができる。なお、封止部材12の構成材料として導電性を有する材料を用いる場合には、短絡を防止するために、封止部材12と陽極3、積層体14および陰極11との間には、必要に応じて、絶縁膜を設けるのが好ましい。
また、封止部材12は、平板状として、基板2と対向させ、これらの間を、例えば熱硬化性樹脂等のシール材で封止するようにしてもよい。
以上のように構成された発光素子1によれば、キャリア捕捉層6を設けることで、キャリア捕捉層6よりも陽極3側に位置する正孔輸送層5および正孔注入層4に電子が注入されるのを抑制または防止することができ、これらの層4、5の構成材料が変質・劣化するのを的確に抑制または防止することができるため、発光素子1の長寿命化をはかることができる。さらに、キャリア捕捉層6は、捕捉材料として上記式(1)で表わされるチアゾール系化合物を含有するものであるため、発光光として、ヒトの目では認識することができない近赤外域での赤外光を発光することとなるため、認識される発光光は、赤色発光層7R、青色発光層7B、および緑色発光層7Gの3層により発光される白色光となる。そのため、白色デバイスとして利用する場合は、目的とする発光光を取り出すためのカラーフィルターを発光素子に設ける必要がないため、素子構成の複雑化、さらには、発光素子を製造する際に工程数が増加してしまうのを確実に防止することができる。
以上のような発光素子1は、例えば、次のようにして製造することができる。
[1] まず、基板2を用意し、この基板2上に陽極3を形成する。
陽極3は、例えば、プラズマCVD、熱CVDのような化学蒸着法(CVD)、真空蒸着等の乾式メッキ法、電解メッキ等の湿式メッキ法、溶射法、ゾル・ゲル法、MOD法、金属箔の接合等を用いて形成することができる。
[2] 次に、陽極3上に正孔注入層4を形成する。
正孔注入層4は、例えば、CVD法や、真空蒸着、スパッタリング等の乾式メッキ法等を用いた気相プロセスにより形成するのが好ましい。
なお、正孔注入層4は、例えば、正孔注入性材料を溶媒に溶解または分散媒に分散してなる正孔注入層形成用材料を、陽極3上に供給した後、乾燥(脱溶媒または脱分散媒)することによっても形成することができる。
正孔注入層形成用材料の供給方法としては、例えば、スピンコート法、ロールコート法、インクジェット印刷法等の各種塗布法を用いることもできる。かかる塗布法を用いることにより、正孔注入層4を比較的容易に形成することができる。
正孔注入層形成用材料の調製に用いる溶媒または分散媒としては、例えば、各種無機溶媒や、各種有機溶媒、または、これらを含む混合溶媒等が挙げられる。
なお、乾燥は、例えば、大気圧または減圧雰囲気中での放置、加熱処理、不活性ガスの吹付け等により行うことができる。
また、本工程に先立って、陽極3の上面には、酸素プラズマ処理を施すようにしてもよい。これにより、陽極3の上面に親液性を付与すること、陽極3の上面に付着する有機物を除去(洗浄)すること、陽極3の上面付近の仕事関数を調整すること等を行うことができる。
ここで、酸素プラズマ処理の条件としては、例えば、プラズマパワー100〜800W程度、酸素ガス流量50〜100mL/min程度、被処理部材(陽極3)の搬送速度0.5〜10mm/sec程度、基板2の温度70〜90℃程度とするのが好ましい。
[3] 次に、正孔注入層4上に正孔輸送層5を形成する。
正孔輸送層5は、例えば、CVD法や、真空蒸着、スパッタリング等の乾式メッキ法等を用いた気相プロセスにより形成するのが好ましい。
なお、正孔輸送性材料を溶媒に溶解または分散媒に分散してなる正孔輸送層形成用材料を、正孔注入層4上に供給した後、乾燥(脱溶媒または脱分散媒)することによっても形成することができる。
[4] 次に、正孔輸送層5上に、キャリア捕捉層6を形成する。
キャリア捕捉層6は、例えば、真空蒸着等の乾式メッキ法等を用いた気相プロセスにより形成することができる。
[5] 次に、キャリア捕捉層6上に、赤色発光層7Rを形成する。
赤色発光層7Rは、例えば、CVD法や、真空蒸着、スパッタリング等の乾式メッキ法等を用いた気相プロセスにより形成することができる。
[6] 次に、赤色発光層7R上に、中間層8を形成する。
中間層8は、例えば、CVD法や、真空蒸着、スパッタリング等の乾式メッキ法等を用いた気相プロセスにより形成することができる。
また、中間層8は、例えば、その構成材料を溶媒に溶解または分散媒に分散してなる中間層形成用材料を、赤色発光層7R上に供給した後、乾燥(脱溶媒または脱分散媒)することによっても形成することができる。
[7] 次に、中間層8上に、青色発光層7Bを形成する。
青色発光層7Bは、例えば、CVD法や、真空蒸着、スパッタリング等の乾式メッキ法等を用いた気相プロセスにより形成することができる。
[8] 次に、青色発光層7B上に、緑色発光層7Gを形成する。
緑色発光層7Gは、例えば、CVD法や、真空蒸着、スパッタリング等の乾式メッキ法等を用いた気相プロセスにより形成することができる。
[9] 次に、緑色発光層7G上に、電子輸送層9を形成する。
電子輸送層9は、例えば、CVD法や、真空蒸着、スパッタリング等の乾式メッキ法等を用いた気相プロセスにより形成することができる。
また、電子輸送層9は、例えば、電子輸送材料を溶媒に溶解または分散媒に分散してなる電子輸送層形成用材料を、緑色発光層7G上に供給した後、乾燥(脱溶媒または脱分散媒)することによっても形成することができる。
[10] 次に、電子輸送層9上に、電子注入層10を形成する。
電子注入層10の構成材料として無機材料を用いる場合、電子注入層10は、例えば、CVD法や、真空蒸着、スパッタリング等の乾式メッキ法等を用いた気相プロセス、無機微粒子インクの塗布および焼成等を用いて形成することができる。
[11] 次に、電子注入層10上に、陰極11を形成する。
陰極11は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、金属箔の接合、金属微粒子インクの塗布および焼成等を用いて形成することができる。
以上のような工程を経て、発光素子1が得られる。
最後に、得られた発光素子1を覆うように封止部材12を被せ、基板2に接合する。
<第2実施形態>
図2は、本発明の発光素子の第2実施形態を模式的に示す断面図である。
以下、第2実施形態の発光素子について、前述した第1実施形態との違いを中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
第2実施形態の発光素子1は、可視光を発光する発光層として、赤色発光層7R、青色発光層7Bおよび緑色発光層7Gの形成を省略して、黄色発光層7Yおよびシアン発光層7Cを形成したこと以外は、前記第1実施形態の発光素子と同様である。
すなわち、図2に示す発光素子1は、陽極3と正孔注入層4と正孔輸送層5とキャリア捕捉層6と中間層8と黄色発光層7Yとシアン発光層7Cと電子輸送層9と電子注入層10と陰極11とがこの順に積層されてなるものである。換言すれば、発光素子1では、陽極3と陰極11との間に、陽極3側から陰極11側へ、正孔注入層4と正孔輸送層5とキャリア捕捉層6と中間層8と黄色発光層7Yとシアン発光層7Cと電子輸送層9と電子注入層10とがこの順で積層された積層体14が介挿されている。
そして、発光素子1は、その全体が基板2上に設けられるとともに、封止部材12で封止されている。
このような発光素子1にあっては、黄色発光層7Yおよびシアン発光層7Cの各発光層に対し、陰極11側から電子が供給(注入)されるとともに、陽極3側から正孔が供給(注入)される。そして、各発光層では、正孔と電子とが再結合し、この再結合に際して放出されたエネルギーによりエキシトン(励起子)が生成し、エキシトンが基底状態に戻る際にエネルギー(蛍光やりん光)を放出する。そのため、黄色発光層7Yおよびシアン発光層7Cがそれぞれ黄色およびシアンの可視光を発光する。これにより、本実施形態の発光素子1は、白色の可視光を発光する。なお、本実施形態では、黄色発光層7Yおよびシアン発光層7Cの2層により、可視光を発光する可視光発光層7が構成される。
また、本実施形態では、キャリア捕捉層6は、可視光発光層7よりも陽極3側に位置して、中間層8と正孔輸送層5との間に設けられている。これにより、中間層8を抜けてきた電子が正孔輸送層5側に注入され、これに起因して、正孔輸送層5および正孔注入層4の構成材料が変質・劣化してしまうのを的確に抑制または防止することができ、その結果、発光素子1の長寿命化が図られる。
さらに、キャリア捕捉層6は、発光光として、ヒトの目では認識することができない近赤外域での赤外光を発光する。そのため、認識される発光光は、黄色発光層7Yおよびシアン発光層7Cの2層により発光される白色光となる。そのため、白色デバイスとして利用する場合は、目的とする発光光を取り出すためのカラーフィルターを発光素子に設ける必要がないため、素子構成の複雑化、さらには、発光素子を製造する際に工程数が増加してしまうのを確実に防止することができる。
本発明の発光素子は、本実施形態のように、可視光発光層7が2層で構成され、可視光として黄色の発光色を発光する黄色発光層7Yを備える構成のものに好適に適用することができる。
[黄色発光層]
黄色発光層7Yは、陽極3と陰極11との間に通電することにより、発光光(可視光)として黄色光を発光するものである。
この黄色発光層7Yは、黄色に発光する黄色発光材料を含んで構成されている。
このような黄色発光材料としては、特に限定されず、各種黄色蛍光材料、黄色燐光材料を1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
黄色蛍光材料としては、黄色の蛍光を発するものであれば特に限定されず、例えば、下記化学式(26A)で示されるテトラセン系化合物、テトラフェニルナフタセン(通称:ルブレン)等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
Figure 0006206477
また、黄色燐光材料としては、黄色の燐光を発するものであれば特に限定されず、例えば、下記式(26B)で表されるトリス(2−フェニルキノリン)イリジウム(III)等が挙げられる。
Figure 0006206477
[シアン発光層]
シアン発光層7Cは、陽極3と陰極11との間に通電することにより、発光光(可視光)としてシアン光を発光するものである。
このシアン発光層7Cは、シアンに発光するシアン発光材料を含んで構成されている。
このようなシアン発光材料としては、特に限定されず、各種シアン蛍光材料、シアン燐光材料を1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
シアン蛍光材料としては、シアンの蛍光を発するものであれば特に限定されず、例えば、前記化学式(24A)で示されるスチリルアミン系化合物等のスチリルアミン誘導体、4、4’−ビスジフェニルアミノ−ジスチルベン等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、シアン燐光材料としては、シアンの燐光を発するものであれば特に限定されず、例えば、下記式(27)で表されるビス(3,5−ジフルオロ−2−(2−ピリジル)フェニル)−(2−カルボキシピリジル)イリジウム(III)等が挙げられる。
Figure 0006206477
さらに、黄色発光層7Yおよびシアン発光層7C中には、それぞれ、前述した黄色発光材料およびシアン発光材料の他に、黄色発光材料およびシアン発光材料をゲスト材料とするホスト材料が含まれているのが好ましい。
なお、このホスト材料としては、前記キャリア捕捉層6に含まれるホスト材料として説明したのと同様のものを用いることができる。
<第3実施形態>
図3は、本発明の発光素子の第3実施形態を模式的に示す断面図である。
以下、第3実施形態の発光素子について、前述した第1実施形態との違いを中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
第3実施形態の発光素子1は、可視光を発光する発光層として、赤色発光層7Rおよび緑色発光層7Gの形成を省略して、青色発光層7Bを単独で形成したこと以外は、前記第1実施形態の発光素子と同様である。
すなわち、図3に示す発光素子1は、陽極3と正孔注入層4と正孔輸送層5とキャリア捕捉層6と中間層8と青色発光層7Bと電子輸送層9と電子注入層10と陰極11とがこの順に積層されてなるものである。換言すれば、発光素子1では、陽極3と陰極11との間に、陽極3側から陰極11側へ、正孔注入層4と正孔輸送層5とキャリア捕捉層6と中間層8と青色発光層7Bと電子輸送層9と電子注入層10とがこの順で積層された積層体14が介挿されている。
そして、発光素子1は、その全体が基板2上に設けられるとともに、封止部材12で封止されている。
このような発光素子1にあっては、青色発光層7Bに対し、陰極11側から電子が供給(注入)されるとともに、陽極3側から正孔が供給(注入)される。そして、青色発光層7Bでは、正孔と電子とが再結合し、この再結合に際して放出されたエネルギーによりエキシトン(励起子)が生成し、エキシトンが基底状態に戻る際にエネルギー(蛍光やりん光)を放出する。そのため、青色発光層7Bが青色の可視光を発光する。すなわち、本実施形態の発光素子1は、青色の可視光を発光する。したがって、本実施形態では、青色発光層7Bの1層により、可視光を発光する可視光発光層7が構成される。
また、本実施形態では、キャリア捕捉層6は、青色発光層7Bよりも陽極3側に位置して、中間層8と正孔輸送層5との間に設けられている。これにより、中間層8を抜けてきた電子(キャリア)が正孔輸送層5側に注入され、これに起因して、正孔輸送層5および正孔注入層4の構成材料が変質・劣化してしまうのを的確に抑制または防止することができ、その結果、発光素子1の長寿命化が図られる。
さらに、キャリア捕捉層6は、発光光として、ヒトの目では認識することができない近赤外域での赤外光を発光する。そのため、認識される発光光は、青色発光層7Bの1層により発光される青色光となる。そのため、従来のように赤色を発する発光層と組み合わせて構成された発光素子と比べ、目的とする発光光を取り出すためのカラーフィルターを発光素子に設ける必要がないため、素子構成の複雑化、さらには、発光素子を製造する際に工程数が増加してしまうのを確実に防止することができる。
さらに、本実施形態では、発光素子1は、キャリア捕捉層6と青色発光層7Bとの間に中間層8を有しているので、キャリア捕捉層6と青色発光層7Bとの間での正孔および電子の移動を調整することができるため、キャリア捕捉層6と青色発光層7Bとの間での励起子のエネルギー移動を阻止することができる。その結果、青色発光層7Bがバランスよく発光することとなり、発光素子1は、可視光として、より確実に青色発光するものとなる。さらに、中間層8を抜けてきたキャリアはキャリア捕捉層6で捕捉されることとなる。なお、かかる効果は、青色発光層7Bが発光材料として青色燐光材料を含有する場合により顕著に得ることができる。すなわち、キャリア捕捉層6と青色発光層7Bとの間での励起子のエネルギー移動を阻止することで、青色燐光材料に生じた3重項励起子の失活を確実に防止することができる。
なお、本実施形態のように、キャリア捕捉層6が青色発光層7Bよりも陽極3側に位置する場合、青色発光層7Bのホスト材料として、アントラセン系材料を用い、キャリア捕捉層6のホスト材料として、アントラセン系材料およびアミン系材料のうちの少なくとも1種を用いる構成とすることで、キャリア捕捉層6と青色発光層7Bとの間の中間層8の形成を省略することができる。キャリア捕捉層6および青色発光層7Bを、それぞれ上述したような材料で構成することで、キャリア捕捉層6と青色発光層7Bとの間におけるバンドギャップの差を小さくすることができる。そのため、中間層8の形成を省略したとしても、キャリア捕捉層6と青色発光層7Bとが接触することに起因する電圧上昇を小さくして、青色の光をバランスよく発光させることができる。すなわち、キャリア捕捉層6と青色発光層7Bとを隣接させたとしても、青色の光をバランスよく発光させることができ、青色発光層7Bを抜けてきたキャリアはキャリア捕捉層6で捕捉させることができる。
また、本実施形態のように、可視光発光層7が1層で構成され、発光層として、青色発光層7Bのように青色(短波長)の発光光を発光するものを発光素子1が備える際に、本発明の発光素子を適用することで、寿命が短い発光層である青色発光層7Bの長寿命化をより確実に図ることができる。そのため、青色発光層7Bのような青色の発光光を発光する発光層を発光素子1が備える際に、本発明の発光素子が好適に適用される。
さらに、本実施形態のように、キャリア捕捉層6を青色発光層7Bよりも陽極3側に設ける場合、キャリア捕捉層6と青色発光層7Bとの間には中間層8を設けるのが好ましい。これにより、たとえ各層に含まれるホスト材料のLUMO(最低空軌道)の関係が青色発光層7Bの方が大きいものを選択した場合であっても、青色発光層7Bにおける電子の溜まりが減少してしまうのを的確に抑制または防止することができるため、青色発光層7Bにおいて青色光を確実に発光させることができる。
<第4実施形態>
図4は、本発明の発光素子の第4実施形態を模式的に示す断面図である。
以下、第4実施形態の発光素子について、前述した第3実施形態との違いを中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
第4実施形態の発光素子1は、可視光を発光する発光層として、青色発光層7Bに代えて、黄色発光層7Yを単独で形成したこと以外は、前記第3実施形態の発光素子と同様である。
すなわち、図4に示す発光素子1は、陽極3と正孔注入層4と正孔輸送層5とキャリア捕捉層6と中間層8と黄色発光層7Yと電子輸送層9と電子注入層10と陰極11とがこの順に積層されてなるものである。換言すれば、発光素子1では、陽極3と陰極11との間に、陽極3側から陰極11側へ、正孔注入層4と正孔輸送層5とキャリア捕捉層6と中間層8と黄色発光層7Yと電子輸送層9と電子注入層10とがこの順で積層された積層体14が介挿されている。
そして、発光素子1は、その全体が基板2上に設けられるとともに、封止部材12で封止されている。
このような発光素子1にあっては、黄色発光層7Yに対し、陰極11側から電子が供給(注入)されるとともに、陽極3側から正孔が供給(注入)される。そして、黄色発光層7Yでは、正孔と電子とが再結合し、この再結合に際して放出されたエネルギーによりエキシトン(励起子)が生成し、エキシトンが基底状態に戻る際にエネルギー(蛍光やりん光)を放出する。そのため、黄色発光層7Yが黄色の可視光を発光する。すなわち、本実施形態の発光素子1は、黄色の可視光を発光する。したがって、本実施形態では、黄色発光層7Yの1層により、可視光を発光する可視光発光層7が構成される。
本実施形態のように、可視光発光層7が1層で構成され、発光層として、黄色発光層7Yのように黄色(短波長)の発光光を発光するものを発光素子1が備える際に、本発明の発光素子を適用することで、寿命が短い発光層である黄色発光層7Yの長寿命化をより確実に図ることができる。そのため、黄色発光層7Yのよう黄色の発光光を発光する発光層を発光素子1が備える際に、本発明の発光素子が好適に適用される。
<第5実施形態>
図5は、本発明の発光素子の第5実施形態を模式的に示す断面図である。
以下、第5実施形態の発光素子について、前述した第1実施形態との違いを中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
第5実施形態の発光素子1は、キャリア捕捉層6を積層する位置が異なり、さらに、中間層8の形成を省略したこと以外は、前記第3実施形態の発光素子と同様である。
すなわち、図5に示す発光素子1は、陽極3と正孔注入層4と正孔輸送層5と青色発光層7Bとキャリア捕捉層6と電子輸送層9と電子注入層10と陰極11とがこの順に積層されてなるものである。換言すれば、発光素子1では、陽極3と陰極11との間に、陽極3側から陰極11側へ正孔注入層4と正孔輸送層5と青色発光層7Bとキャリア捕捉層6と電子輸送層9と電子注入層10とがこの順で積層された積層体14が介挿されている。
そして、発光素子1は、その全体が基板2上に設けられるとともに、封止部材12で封止されている。
このような発光素子1にあっては、前記第3実施形態の発光素子1と同様に、青色発光層7Bに対し、陰極11側から電子が供給(注入)されるとともに、陽極3側から正孔が供給(注入)される。そして、青色発光層7Bでは、正孔と電子とが再結合し、この再結合に際して放出されたエネルギーによりエキシトン(励起子)が生成し、エキシトンが基底状態に戻る際にエネルギー(蛍光やりん光)を放出する。そのため、青色発光層7Bが青色の可視光を発光する。すなわち、本実施形態の発光素子1は、青色の可視光を発光する。したがって、本実施形態では、青色発光層7Bの1層により、可視光を発光する可視光発光層7が構成される。
また、キャリア捕捉層6は、陽極3と陰極11との間に通電することにより、発光光として赤外線を発光するものである。
このキャリア捕捉層6は、前述した第1実施形態の発光素子1が備えるキャリア捕捉層6と同様の構成のものとすることができるが、本実施形態のように、キャリア捕捉層6が、青色発光層7Bよりも陰極11側に位置する場合、キャリア捕捉層6に含まれるホスト材料としては、アセン系材料またはキノリノラト系金属錯体を用いるのが好ましい。これらの材料は、電子輸送性に優れ、かつ電子および正孔に対する耐性に優れることから、キャリア捕捉層6に、電子輸送層としての機能を付与しつつ、その長寿命化を図ることができる。
なお、キノリノラト系金属錯体としては、特に限定されないが、例えば、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(p−フェニルフェノラト)アルミニウム(BAlq)、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体(Alq)等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
さらに、キャリア捕捉層6は、青色発光層7Bと電子輸送層9との間、青色発光層7Bよりも陰極11側に位置するように設けられている。これにより、青色発光層7Bを抜けてきた正孔(キャリア)が電子輸送層9側に注入され、これに起因して、電子輸送層9および電子注入層10の構成材料が変質・劣化してしまうのを的確に抑制または防止することができ、その結果、発光素子1の長寿命化が図られる。
また、キャリア捕捉層6は、発光光として、ヒトの目では認識することができない近赤外域での赤外光を発光する。そのため、認識される発光光は、青色発光層7Bの1層により発光される青色光となる。そのため、従来のように、目的とする発光光を取り出すためのカラーフィルターを発光素子に設ける必要がないため、素子構成の複雑化、さらには、発光素子を製造する際に工程数が増加してしまうのを確実に防止することができる。
なお、ホスト材料として、アントラセン系材料を用いる場合、本実施形態のように、キャリア捕捉層6が、青色発光層7Bよりも陰極11側に位置する場合に適用するのがより好ましい。これは、例えば、青色発光層7Bのホストがアントラセン系化合物の場合、陽極3側にはアリールアミン系材料で構成される正孔輸送層等を設置し、その界面付近でキャリアの溜めを形成して青色発光層7Bを発光させることで発光効率が高くなる。しかしながら、青色発光層7Bと正孔輸送層との間にさらに、アントラセン系化合物で構成されるキャリア捕捉層6を設ける構成とすると、このキャリア捕捉層6にキャリアが溜まりやすくなる。かかる理由に起因して、キャリア捕捉層6は、青色発光層7Bよりも陰極11側に配置されるのが好ましい。
<第6実施形態>
図6は、本発明の発光素子の第6実施形態を模式的に示す断面図である。
以下、第6実施形態の発光素子について、前述した第1実施形態との違いを中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
第6実施形態では、その層構成として、キャリア発生層15を備える発光素子1に適用するようにしたこと以外は、前記第1実施形態の発光素子と同様である。
すなわち、図6に示す発光素子1は、陽極3と正孔注入層4と正孔輸送層5と赤色発光層7Rと電子輸送層9と電子注入層10とキャリア発生層15と正孔輸送層5’とキャリア捕捉層6と中間層8と青色発光層7Bと緑色発光層7Gと電子輸送層9’と電子注入層10’と陰極11とがこの順に積層されてなるものである。換言すれば、発光素子1では、陽極3と陰極11との間に、陽極3側から陰極11側へ、正孔注入層4と正孔輸送層5と赤色発光層7Rと電子輸送層9と電子注入層10とキャリア発生層15と正孔輸送層5’とキャリア捕捉層6と中間層8と青色発光層7Bと緑色発光層7Gと電子輸送層9’と電子注入層10’とがこの順で積層された積層体14が介挿されている。
そして、発光素子1は、その全体が基板2上に設けられるとともに、封止部材12で封止されている。
このような発光素子1にあっては、赤色発光層7R、青色発光層7Bおよび緑色発光層7Gの各発光層に対し、陰極11側から電子が供給(注入)されるとともに、陽極3側から正孔が供給(注入)される。そして、各発光層では、正孔と電子とが再結合し、この再結合に際して放出されたエネルギーによりエキシトン(励起子)が生成し、エキシトンが基底状態に戻る際にエネルギー(蛍光やりん光)を放出する。そのため、赤色発光層7R、青色発光層7Bおよび緑色発光層7Gがそれぞれ赤色、青色および緑色の可視光を発光する。これにより、本実施形態の発光素子1は、白色の可視光を発光する。なお、本実施形態では、赤色発光層7R、青色発光層7Bおよび緑色発光層7Gの3層により、可視光を発光する可視光発光層7が構成される。
また、本実施形態では、キャリア捕捉層6は、青色発光層7Bおよび緑色発光層7Gよりも陽極3側に位置して、中間層8と正孔輸送層5’との間に設けられている。これにより、中間層8を抜けてきた電子(キャリア)が正孔輸送層5‘側に注入され、これに起因して、正孔輸送層5’およびキャリア発生層15等の構成材料が変質・劣化してしまうのを的確に抑制または防止することができ、その結果、発光素子1の長寿命化が図られる。
さらに、キャリア捕捉層6は、発光光として、ヒトの目では認識することができない近赤外域での赤外光を発光する。そのため、認識される発光光は、赤色発光層7R、青色発光層7Bおよび緑色発光層7Gの3層により発光される白色光となる。そのため、白色デバイスとして利用する場合は、目的とする発光光を取り出すためのカラーフィルターを発光素子に設ける必要がないため、素子構成の複雑化、さらには、発光素子を製造する際に工程数が増加してしまうのを確実に防止することができる。
さらに、本実施形態の発光素子1では、キャリア発生層15において、正孔および電子が発生し、これらのうち、赤色発光層7Rには電子が注入され、青色発光層7Bおよび緑色発光層7Gには正孔が注入されるため、発光素子1をより高輝度で発光させることができるため、発光効率に優れた発光素子1を得ることができる。
[キャリア発生層]
このキャリア発生層15は、芳香環を有する有機シアン化合物(以下、「芳香環含有有機シアン化合物」ともいう。)を含むものである。
この芳香環含有有機シアン化合物は、優れた電子吸引性を有している。そのため、芳香環含有有機シアン化合物は、接触する正孔輸送層5’中に含まれる正孔輸送材料から電子を引き抜くことができる。その結果、キャリア発生層15に電圧が印加されていなくても、キャリア発生層15と正孔輸送層5’との界面付近において、キャリア発生層15側には電子が発生し、正孔輸送層5’側には正孔が発生する。このような状態で、陽極3と陰極11との間に駆動電圧を印加すると、すなわちキャリア発生層15に電圧を印加すると、キャリア発生層15と正孔輸送層5’との界面付近で発生した正孔は、その駆動電圧により輸送されて、青色発光層7Bおよび緑色発光層7Gの発光に寄与する。また、キャリア発生層15と正孔輸送層5’との界面付近で発生した電子は、その駆動電圧により輸送されて、赤色発光層7Rおよび緑色発光層7Gの発光に寄与する。
そして、このようなキャリア発生層15における正孔および電子の発生は、駆動電圧が印加されている最中には継続的に行われ、これらの正孔と電子とは、それそれ、青色発光層7Bと、および赤色発光層7Rおよび緑色発光層7Gの発光に寄与する。
さらに、芳香環含有有機シアン化合物は、有機材料であるため、キャリア発生層が金属酸化物で構成される場合と比較して、金属酸化物が正孔輸送層5’に含まれる正孔輸送材料(有機材料)と接触してしまうのを確実に防止することができるので、正孔輸送材料の変質・劣化が確実に防止される。
また、芳香環含有有機シアン化合物は、比較的安定な化合物であるとともに、蒸着等の気相成膜法で容易にキャリア発生層15を形成できる化合物である。このため、好適に発光素子1の製造に用いることができ、製造される発光素子1の品質が安定しやすくなるとともに、発光素子1の歩留まりが高いものとなる。
このような芳香環含有有機シアン化合物としては、特に限定されないが、例えば、シアノ基が導入されたヘキサアザトリフェニレン誘導体が挙げられ、特に、下記化学式(40)で示すようなヘキサアザトリフェニレン誘導体を用いるのがより好ましい。
Figure 0006206477
上記化学式(40)中、R1〜R6は、それぞれ独立して、シアノ基(−CN)、スルホン基(−SOR’)、スルホキシド基(−SOR’)、スルホンアミド基(−SONR’)、スルホネート基(−SOR’)、ニトロ基(−NO)、またはトリフルオロメタン(−CF)基であり、R1〜R6のうち少なくとも一つの置換基がシアノ基である。また、R’は、アミン基、アミド基、エーテル基、もしくはエステル基で置換されているかまたは非置換である炭素数1〜60のアルキル基、アリール基、または複素環基である。
このような化合物は、芳香環含有有機シアン化合物としての機能すなわち電子吸引性に特に優れており、隣接する正孔輸送層5’からより確実に電子を引き抜くことができるとともに、より確実に引き抜いた電子を電子注入層10(陽極3)側に輸送することができる。
さらに、芳香環含有有機シアン化合物としては、前述したような化学式(40)に示す化合物において、R1〜R6はすべてシアノ基であるのがより好ましい。すなわち、芳香環含有有機シアン化合物としては、下記化学式(50)に示すようなヘキサシアノヘキサアザトリフェニレンを用いるのが好ましい。このように電子吸引性の高いシアノ基を複数有することにより、下記化学式(50)に示す化合物は、前述した機能をより顕著に発揮するものとなる。
Figure 0006206477
なお、芳香環含有有機シアン化合物は、キャリア発生層15において、非晶質の状態で存在していることが好ましい。これにより、上述したような芳香環含有有機シアン化合物の効果をより顕著に得ることができる。なお、キャリア発生層15を、真空蒸着法等の気相成膜法により形成することで、芳香環含有有機シアン化合物を、非晶質の状態とすることができる。
また、キャリア発生層15の平均厚さは、特に限定されないが、5nm以上、40nm以下程度であるのが好ましく、10以上、30nm以下程度であるのがより好ましい。これにより、発光素子1の駆動電圧が高くなるのを防止しつつ、キャリア発生層15の機能を確実に発揮させることができる。
なお、正孔輸送層5’、電子輸送層9’および電子注入層10’の構成材料としては、それぞれ、正孔輸送層5’、電子輸送層9’および電子注入層10’の構成材料で挙げたものを用いることができ、対応する各層を構成する構成材料は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
<第7実施形態>
図7は、本発明の発光素子の第7実施形態を模式的に示す断面図である。
以下、第7実施形態の発光素子について、前述した第3実施形態との違いを中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
第7実施形態の発光素子1は、正孔を輸送する機能を有する正孔輸送層5の形成を省略し、キャリア捕捉層6を、正孔輸送層5としての機能と、キャリア捕捉層6としての機能とを併せ持つ構成としたこと以外は、前記第3実施形態の発光素子と同様である。
すなわち、図7に示す発光素子1は、陽極3と正孔注入層4とキャリア捕捉層6と中間層8と青色発光層7Bと電子輸送層9と電子注入層10と陰極11とがこの順に積層されてなるものである。換言すれば、発光素子1では、陽極3と陰極11との間に、陽極3側から陰極11側へ、正孔注入層4とキャリア捕捉層6と中間層8と青色発光層7Bと電子輸送層9と電子注入層10とがこの順で積層された積層体14が介挿されている。
そして、発光素子1は、その全体が基板2上に設けられるとともに、封止部材12で封止されている。
このような発光素子1にあっては、青色発光層7Bに対し、陰極11側から電子が供給(注入)されるとともに、陽極3側から正孔が供給(注入)される。そして、青色発光層7Bでは、正孔と電子とが再結合し、この再結合に際して放出されたエネルギーによりエキシトン(励起子)が生成し、エキシトンが基底状態に戻る際にエネルギー(蛍光やりん光)を放出する。そのため、青色発光層7Bが青色の可視光を発光する。すなわち、本実施形態の発光素子1は、青色の可視光を発光する。したがって、本実施形態では、青色発光層7Bの1層により、可視光を発光する可視光発光層7が構成される。
また、キャリア捕捉層6を、正孔輸送層5としての機能と、キャリア捕捉層6としての機能とを併せ持つ構成とするには、前記第1実施形態で挙げた、正孔輸送層5の構成材料(正孔輸送性材料)に、上記式(1)で表わされるチアゾール系化合物を、ドーピング(添加)することで実現することができる。さらに、この場合、正孔輸送性材料としては、特に、アミン系材料を用いるのが好ましい。これにより、前記双方の機能をより顕著に発揮させることができるようになる。
次に、上述した本発明の発光素子を備える発光装置(本発明の発光装置)について説明する。
(照明用光源)
まず、本発明の発光装置を照明用光源に適用した場合について説明する。
図8は、本発明の発光装置を適用した照明用光源の実施形態を示す図である。
図8に示す照明用光源200は、照明用、特に屋内を照明するために用いられる光源である。
この照明用光源200は、透明基板205と、発光素子1とを有する。
発光素子1は、透明電極202と、対向電極203と、積層体201とを有し、透明電極202と対向電極203との間に電界を印加することにより、積層体201が備える発光層が発光する。そして、この発光層で生じた発光光が透明基板205を透過することにより、例えば、屋内が照明される。
本実施形態では、照明用光源200が備える発光素子1は、ヒトの目では認識されない近赤外域の赤外光と、可視光とを発光する。
したがって、照明用光源200を、発光素子1として、前記各実施形態で説明したものを備える構成とすることで、各色の発光光を発光する光源として照明用光源200が用いられる。
また、照明用光源200は、色度を変えることなく、長寿命な発光素子1を備えるので、信頼性に優れる。
(発光装置)
次に、本発明の発光装置をディスプレイ装置に適用した場合について説明する。
図9は、本発明の発光装置を適用したディスプレイ装置の実施形態を示す縦断面図である。
図9に示すディスプレイ装置100は、基板2と、複数の発光素子1Aと、各発光素子1Aをそれぞれ駆動するための複数の駆動用トランジスタ24とを有している。ここで、ディスプレイ装置100は、トップエミッション構造のディスプレイパネルである。
基板2上には、複数の駆動用トランジスタ24が設けられ、これらの駆動用トランジスタ24を覆うように、絶縁材料で構成された平坦化層22が形成されている。
各駆動用トランジスタ24は、シリコンからなる半導体層241と、半導体層241上に形成されたゲート絶縁層242と、ゲート絶縁層242上に形成されたゲート電極243と、ソース電極244と、ドレイン電極245とを有している。
平坦化層上には、各駆動用トランジスタ24に対応して発光素子1Aが設けられている。
発光素子1Aは、平坦化層22上に、反射膜32、腐食防止膜33、陽極3、積層体14A、陰極11、陰極カバー34がこの順に積層されている。本実施形態では、各発光素子1Aの陽極3は、画素電極を構成し、各駆動用トランジスタ24のドレイン電極245に導電部(配線)27により電気的に接続されている。また、各発光素子1Aの陰極11は、共通電極とされている。
図9における発光素子1Aのうち、発光素子1Rは可視光として赤色光を、発光素子1Gは可視光として緑色光を、発光素子1Bは可視光として青色光をそれぞれ発光するものである。
このような発光素子1Aのうち、発光素子1Bに可視光の他に、ヒトの目では認識されない赤外光を発光する発光素子1が適用される。すなわち、発光素子1Bに、第3実施形態、第5実施形態および第7実施形態で説明した発光素子1が適用される。
隣接する発光素子1A同士の間には、隔壁31が設けられている。また、これらの発光素子1A上には、これらを覆うように、エポキシ樹脂で構成されたエポキシ層35が形成されている。
そして、エポキシ層35上には、これらを覆うように封止基板20が設けられている。
このようなディスプレイ装置100によれば、色度を変えることなく、長寿命な発光素子1Aを備えるので、信頼性に優れる。
このようなディスプレイ装置100は、各種の電子機器に組み込むことができる。
(電子機器)
図10は、本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。
この図において、パーソナルコンピュータ1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示部1000を備える表示ユニット1106とにより構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。
このパーソナルコンピュータ1100において、表示部1000に、前述したディスプレイ装置100が適用されている。
このようなパーソナルコンピュータ1100によれば、高効率および長寿命な発光素子1を備えるので、信頼性に優れる。
なお、本発明の電子機器は、図10のパーソナルコンピュータ(モバイル型パーソナルコンピュータ)の他にも、例えば、携帯電話機、ディジタルスチルカメラ、テレビや、ビデオカメラ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、ラップトップ型パーソナルコンピュータ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニタ、電子双眼鏡、POS端末、タッチパネルを備えた機器(例えば金融機関のキャッシュディスペンサー、自動券売機)、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、脈拍計測装置、脈波計測装置、心電表示装置、超音波診断装置、内視鏡用表示装置)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシュミレータ、その他各種モニタ類、プロジェクター等の投射型表示装置等に適用することができる。
以上、本発明の発光素子、発光装置および電子機器を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものでない。
例えば、本発明の発光素子、発光装置および電子機器は、同様の機能を発揮し得る任意のものと置換することができ、あるいは、任意の構成のものを付加することができる。
例えば、本発明の発光素子では、前記第1〜第7実施形態で示した任意の2以上の構成を組み合わせるようにしてもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.チアジアゾール系化合物の製造
(合成例A1)上記式D−2で表わされる化合物の合成
Figure 0006206477
合成(A1−1)
5リットルのフラスコに発煙硝酸1500mlを入れ冷却した。そこへ10〜50℃に保つようにして硫酸1500mlを分割添加した。さらにそこへ原料のジブロモベンゾチアジアゾールである化合物(a)を150gを1時間かけて少量ずつ添加した。その際に溶液温度は5℃以下になるように行った。全量添加後、室温(25℃)において20時間反応させた。反応後、氷3kgに反応液を注ぎ、一晩攪拌した。その後、ろ過してメタノール、ヘプタンで洗浄した。
ろ過して残った物を200mlのトルエンで熱溶解させた後、室温まで徐冷後にろ過し、残ったものを少量のトルエンで洗浄後、減圧乾燥させた。
これにより、HPLC純度95%の化合物(b)(4、7−ジブロモ−5、6−ジニトロ−ベンゾ[1、2、5]チアジアゾール)60gを得た。
合成(A1−2)
Ar下、5リットルのフラスコに、得られたジブロモ体である化合物(b)30gとトリフェニルアミンのボロン酸体54.2g、トルエン2500ml、2M炭酸セシウム水溶液(152g/(蒸留水)234ml)を入れ、90℃で一晩反応させた。反応後ろ過、分液、濃縮し、得られた粗体52gをシリカゲルカラム(SiO 5kg)で分離し、赤紫色固体を得た。
これにより、HPLC純度96%の化合物(c)8.9gを得た。
なお、トリフェニルアミンのボロン酸体の合成に際しては、Ar下、5リットルのフラスコに、4−ブロモトリフェニルアミン(市販品)246g、脱水テトラヒドロフラン1500mlを入れ、−60℃で1.6M n−BuLi/ヘキサン溶液570mlを3時間かけて滴下した。30分後ホウ酸トリイソプロピル429gを1時間かけて滴下した。滴下後は成り行きの温度で一晩反応させた。反応後、水2リットルを滴下し、その後トルエン2リットルで抽出、分液した。有機層を濃縮、再結晶し、ろ過、乾燥させて白色の目的物であるボロン酸体160gを得た。
得られたボロン酸体のHPLC純度は、99%であった。
合成(A1−3)
Ar下、1リットルのフラスコに、得られたジニトロ体である化合物(c)8g、還元鉄7g、酢酸600mlを入れ、80℃で4時間反応させて室温まで冷却させた。反応後、反応液をイオン交換水1.5リットルに注ぎ、そこへ酢酸エチル1.5リットルをさらに添加した。添加後、固体が析出していたので、テトラヒドロフラン1リットルと食塩300gを添加し、分液した。水層は1リットルのテトラヒドロフランで再抽出した。濃縮乾燥したものを再度、少量の水、メタノールにて洗浄し、橙色固体を得た。
これにより、HPLC純度80%の化合物(d)7gを得た。
合成(A1−4)
Ar下、1リットルのフラスコに、得られたジアミン体である化合物(d)4.5g、ベンジル3.7g、溶媒として酢酸300mlを入れ、80℃にて2時間反応させた。反応後、室温まで冷却させ、反応液をイオン交換水1リットルに注ぎ、結晶をろ過、水洗、7gの黒緑色固体を得た。そして、その黒緑色固体をシリカゲルカラム(SiO 1kg)で精製した。
これにより、HPLC純度99%の化合物(e)(前記式D−2で表わされる化合物)4gを得た。この化合物(e)を質量分析したところ、M+:826であった。
さらに、得られた化合物(e)を設定温度340℃で昇華精製した。その昇華精製後の化合物(e)のHPLC純度は99%であった。
(合成例A2)前記式D−1で表わされる化合物の合成
Figure 0006206477
合成(A2−1)〜(A2−3)
前記合成例A1で説明した合成(A1−2)において、トリフェニルアミンのボロン酸体に代えて、フェニルボロン酸を用いたこと以外は、合成(A1−1)〜(A1−3)と同様にして、ジアミン体である化合物(d)を得た。
合成(A2−4)
Ar下、1リットルのフラスコに、得られたジアミン体である化合物(d)2.3g、ベンジル3.7g、溶媒として酢酸300mlを入れ、80℃にて2時間反応させた。反応後、室温まで冷却させ、反応液をイオン交換水1リットルに注ぎ、結晶をろ過、水洗、7gの黒緑色固体を得た。そして、その黒緑色固体をシリカゲルカラム(SiO 1kg)で精製した。
これにより、HPLC純度99%の化合物(e)(前記式D−1で表わされる化合物)2.7gを得た。この化合物(e)を質量分析したところ、M+:492であった。
さらに、得られた化合物(e)を設定温度340℃で昇華精製した。その昇華精製後の化合物(e)のHPLC純度は99%であった。
(合成例A3)前記式D−11で表わされる化合物の合成
Figure 0006206477
合成(A3−1)〜(A3−3)
前記合成例A1で説明した合成(A1−1)〜(A1−3)と同様にして、ジアミン体である化合物(d)を得た。
合成(A3−4)
Ar下、1リットルのフラスコに、得られたジアミン体である化合物(d)1.5g、9,10−フェナントレンキノン0.6g、溶媒として酢酸300mlを入れ、80℃にて2時間反応させた。反応後、室温まで冷却させ、反応液をイオン交換水1リットルに注ぎ、結晶をろ過、水洗、2gの黒緑色固体を得た。そして、その黒緑色固体をシリカゲルカラム(SiO 1kg)で精製した。
これにより、HPLC純度99%の化合物(e)(前記式D−11で表わされる化合物)1.5gを得た。この化合物(e)を質量分析したところ、M+:824であった。
さらに、得られた化合物(e)を設定温度340℃で昇華精製した。その昇華精製後の化合物(e)のHPLC純度は99%であった。
(合成例A4)前記式D−10で表わされる化合物の合成
Figure 0006206477
合成(A4−1)〜(A4−3)
前記合成例A1で説明した合成(A1−2)において、トリフェニルアミンのボロン酸体に代えて、フェニルボロン酸を用いたこと以外は、合成(A1−1)〜(A1−3)と同様にして、ジアミン体である化合物(d)を得た。
合成(A4−4)
Ar下、1リットルのフラスコに、得られたジアミン体である化合物(d)1.5g、9,10−フェナントレンキノン2.4g、溶媒として酢酸300mlを入れ、80℃にて2時間反応させた。反応後、室温まで冷却させ、反応液をイオン交換水1リットルに注ぎ、結晶をろ過、水洗、2gの黒緑色固体を得た。そして、その黒緑色固体をシリカゲルカラム(SiO 1kg)で精製した。
これにより、HPLC純度99%の化合物(e)(前記式D−10で表わされる化合物)1.8gを得た。この化合物(e)を質量分析したところ、M+:490であった。
さらに、得られた化合物(e)を設定温度340℃で昇華精製した。その昇華精製後の化合物(e)のHPLC純度は99%であった。
(合成例A5)前記式D−5で表わされる化合物の合成
Figure 0006206477
合成(A5−1)〜(A5−3)
前記合成例A1で説明した合成(A1−1)〜(A1−3)と同様にして、ジアミン体である化合物(d)を得た。
合成(A5−4)
Ar下、1リットルのフラスコに、得られたジアミン体である化合物(d)1.5g、o−ベンゾキノン水溶液(1mol/L)5.7ml(Voigt Global Distribution Inc.)、溶媒として酢酸300mlを入れ、80℃にて2時間反応させた。反応後、室温まで冷却させ、反応液をイオン交換水1リットルに注ぎ、結晶をろ過、水洗、2gの黒緑色固体を得た。そして、その黒緑色固体をシリカゲルカラム(SiO 1kg)で精製した。
これにより、HPLC純度99%の化合物(e)(前記式D−5で表わされる化合物)0.8gを得た。この化合物(e)を質量分析したところ、M+:724であった。
さらに、得られた化合物(e)を設定温度340℃で昇華精製した。その昇華精製後の化合物(e)のHPLC純度は99%であった。
(合成例A6)前記式D−4で表わされる化合物の合成
Figure 0006206477
合成(A6−1)〜(A6−3)
前記合成例A1で説明した合成(A1−2)において、トリフェニルアミンのボロン酸体に代えて、フェニルボロン酸を用いたこと以外は、合成(A1−1)〜(A1−3)と同様にして、ジアミン体である化合物(d)を得た。
合成(A6−4)
Ar下、1リットルのフラスコに、得られたジアミン体である化合物(d)1.5g、o−ベンゾキノン水溶液(1mol/L)12ml(Voigt Global Distribution Inc.)、溶媒として酢酸300mlを入れ、80℃にて2時間反応させた。反応後、室温まで冷却させ、反応液をイオン交換水1リットルに注ぎ、結晶をろ過、水洗、2gの黒緑色固体を得た。そして、その黒緑色固体をシリカゲルカラム(SiO 1kg)で精製した。
これにより、HPLC純度99%の化合物(e)(前記式D−4で表わされる化合物)0.9gを得た。この化合物(e)を質量分析したところ、M+:390であった。
さらに、得られた化合物(e)を設定温度340℃で昇華精製した。その昇華精製後の化合物(e)のHPLC純度は99%であった。
(合成例A7)前記式D−8で表わされる化合物の合成
Figure 0006206477
合成(A7−1)〜(A7−3)
前記合成例A1で説明した合成(A1−1)〜(A1−3)と同様にして、ジアミン体である化合物(d)を得た。
合成(A7−4)
Ar下、1リットルのフラスコに、得られたジアミン体である化合物(d)1.5g、1,2−ナフトキノン0.9g、溶媒として酢酸300mlを入れ、80℃にて2時間反応させた。反応後、室温まで冷却させ、反応液をイオン交換水1リットルに注ぎ、結晶をろ過、水洗、2gの黒緑色固体を得た。そして、その黒緑色固体をシリカゲルカラム(SiO 1kg)で精製した。
これにより、HPLC純度99%の化合物(e)(前記式D−8で表わされる化合物)1.4gを得た。この化合物(e)を質量分析したところ、M+:774であった。
さらに、得られた化合物(e)を設定温度340℃で昇華精製した。その昇華精製後の化合物(e)のHPLC純度は99%であった。
(合成例A8)前記式D−7で表わされる化合物の合成
Figure 0006206477
合成(A8−1)〜(A8−3)
前記合成例A1で説明した合成(A1−2)において、トリフェニルアミンのボロン酸体に代えて、フェニルボロン酸を用いたこと以外は、合成(A1−1)〜(A1−3)と同様にして、ジアミン体である化合物(d)を得た。
合成(A8−4)
Ar下、1リットルのフラスコに、得られたジアミン体である化合物(d)1.5g、1,2−ナフトキノン1.9g、溶媒として酢酸300mlを入れ、80℃にて2時間反応させた。反応後、室温まで冷却させ、反応液をイオン交換水1リットルに注ぎ、結晶をろ過、水洗、2gの黒緑色固体を得た。そして、その黒緑色固体をシリカゲルカラム(SiO 1kg)で精製した。
これにより、HPLC純度99%の化合物(e)(前記式D−7で表わされる化合物)1.4gを得た。この化合物(e)を質量分析したところ、M+:440であった。
さらに、得られた化合物(e)を設定温度340℃で昇華精製した。その昇華精製後の化合物(e)のHPLC純度は99%であった。
2.発光素子の製造
(実施例1)
<1> まず、平均厚さ0.5mmの透明なガラス基板を用意した。次に、この基板上に、スパッタ法により、平均厚さ100nmのITO電極(陽極)を形成した。
そして、基板をアセトン、2−プロパノールの順に浸漬し、超音波洗浄した後、酸素プラズマ処理およびアルゴンプラズマ処理を施した。これらのプラズマ処理は、それぞれ、基板を70〜90℃に加温した状態で、プラズマパワー100W、ガス流量20sccm、処理時間5secで行った。
<2> 次に、ITO電極上に、アミン系の正孔輸送性材料(テトラキス−p−ビフェニリル−ベンジジン)を真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ40nmの正孔輸送層を形成した。
<3> 次に、正孔輸送層上に、キャリア捕捉層の構成材料を真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ5nmのキャリア捕捉層を形成した。キャリア捕捉層の構成材料としては、チアジアゾール系化合物(ゲスト材料)として前記式D−1で表わされる化合物を用い、ホスト材料として前記式H1−5で表わされる化合物(テトラセン系材料)を用いた。また、キャリア捕捉層中のチアジアゾール系化合物(ドーパント)の含有量(ドープ濃度)を3.0wt%とした。
<4> 次に、キャリア捕捉層上に、真空蒸着法を用いて以下に示す中間層の構成材料で構成される平均厚さ15nmの中間層を形成した。
ここで、第1の中間層の構成材料としては、ホスト材料として前記式H2−34で表わされる化合物を用い、アミン系材料としてテトラキス−p−ビフェニリル−ベンジジンを用いた。また、中間層中のホスト材料の含有量は、30wt%とした。
<5> 次に、中間層上に、青色発光層の構成材料を真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ30nmの青色発光層を形成した。青色発光層の構成材料としては、発光材料(ゲスト材料)として前記化学式(24B)で表わされる化合物(スチリルアミン系化合物)を用い、ホスト材料として前記式H2−34で表わされる化合物(アントラセン系材料)を用いた。また、青色発光層中の発光材料(ドーパント)の含有量(ドープ濃度)を6.0wt%とした。
<6> 次に、青色発光層上に、前記式ETL−A3で表わされる化合物を真空蒸着法により成膜し、平均厚さ40nmの電子輸送層を形成した。
<7> 次に、電子輸送層上に、フッ化リチウム(LiF)を真空蒸着法により成膜し、平均厚さ1nmの電子注入層を形成した。
<8> 次に、電子注入層上に、Alを真空蒸着法により成膜した。これにより、Alで構成される平均厚さ150nmの陰極を形成した。
<9> 次に、形成した各層を覆うように、ガラス製の保護カバー(封止部材)を被せ、エポキシ樹脂により固定、封止した。
以上の工程により、発光素子を製造した。
(実施例2)
前記実施例1の工程<3>において、キャリア捕捉層のチアジアゾール系化合物として、前記式D−1で表わされる化合物に代えて、前記式D−4で表わされる化合物を用いた以外は、前記実施例1と同様にして発光素子を製造した。
(実施例3)
前記実施例1の工程<3>において、キャリア捕捉層のチアジアゾール系化合物として、前記式D−1で表わされる化合物に代えて、前記式D−7で表わされる化合物を用いた以外は、前記実施例1と同様にして発光素子を製造した。
(実施例4)
前記実施例1の工程<3>において、キャリア捕捉層のチアジアゾール系化合物として、前記式D−1で表わされる化合物に代えて、前記式D−10で表わされる化合物を用いた以外は、前記実施例1と同様にして発光素子を製造した。
(実施例5)
前記実施例1の工程<3>において、キャリア捕捉層のチアジアゾール系化合物として、前記式D−1で表わされる化合物に代えて、前記式D−2で表わされる化合物を用いた以外は、前記実施例1と同様にして発光素子を製造した。
(実施例6)
前記実施例1の工程<3>において、キャリア捕捉層のチアジアゾール系化合物として、前記式D−1で表わされる化合物に代えて、前記式D−5で表わされる化合物を用いた以外は、前記実施例1と同様にして発光素子を製造した。
(実施例7)
前記実施例1の工程<3>において、キャリア捕捉層のチアジアゾール系化合物として、前記式D−1で表わされる化合物に代えて、前記式D−8で表わされる化合物を用いた以外は、前記実施例1と同様にして発光素子を製造した。
(実施例8)
前記実施例1の工程<3>において、キャリア捕捉層のチアジアゾール系化合物として、前記式D−1で表わされる化合物に代えて、前記式D−11で表わされる化合物を用いた以外は、前記実施例1と同様にして発光素子を製造した。
(実施例9)
前記実施例1の工程<3>において、キャリア捕捉層のチアジアゾール系化合物として、前記式D−1で表わされる化合物に代えて、前記式D−11で表わされる化合物を用い、前記実施例1の工程<4>において、ホスト材料の添加を省略して、中間層を形成したこと以外は、前記実施例1と同様にして発光素子を製造した。
(比較例1)
<1> まず、平均厚さ0.5mmの透明なガラス基板を用意した。次に、この基板上に、スパッタ法により、平均厚さ100nmのITO電極(陽極)を形成した。
そして、基板をアセトン、2−プロパノールの順に浸漬し、超音波洗浄した後、酸素プラズマ処理およびアルゴンプラズマ処理を施した。これらのプラズマ処理は、それぞれ、基板を70〜90℃に加温した状態で、プラズマパワー100W、ガス流量20sccm、処理時間5secで行った。
<2> 次に、ITO電極上に、アミン系の正孔輸送性材料(テトラキス−p−ビフェニリル−ベンジジン)を真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ60nmの正孔輸送層を形成した。
<3> 次に、正孔輸送層上に、青色発光層の構成材料を真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ30nmの青色発光層を形成した。青色発光層の構成材料としては、発光材料(ゲスト材料)として前記化学式(24B)で表わされる化合物(スチリルアミン系化合物)を用い、ホスト材料として前記式H2−34で表わされる化合物(アントラセン系材料)を用いた。また、青色発光層中の発光材料(ドーパント)の含有量(ドープ濃度)を6.0wt%とした。
<4> 次に、青色発光層上に、前記式ETL−A3で表わされる化合物を真空蒸着法により成膜し、平均厚さ40nmの電子輸送層を形成した。
<5> 次に、電子輸送層上に、フッ化リチウム(LiF)を真空蒸着法により成膜し、平均厚さ1nmの電子注入層を形成した。
<6> 次に、電子注入層上に、Alを真空蒸着法により成膜した。これにより、Alで構成される平均厚さ150nmの陰極を形成した。
<7> 次に、形成した各層を覆うように、ガラス製の保護カバー(封止部材)を被せ、エポキシ樹脂により固定、封止した。
以上の工程により、発光素子を製造した。
(実施例10)
<1> まず、平均厚さ0.5mmの透明なガラス基板を用意した。次に、この基板上に、スパッタ法により、平均厚さ100nmのITO電極(陽極)を形成した。
そして、基板をアセトン、2−プロパノールの順に浸漬し、超音波洗浄した後、酸素プラズマ処理およびアルゴンプラズマ処理を施した。これらのプラズマ処理は、それぞれ、基板を70〜90℃に加温した状態で、プラズマパワー100W、ガス流量20sccm、処理時間5secで行った。
<2> 次に、ITO電極上に、アミン系の正孔輸送性材料(テトラキス−p−ビフェニリル−ベンジジン)を真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ40nmの正孔輸送層を形成した。
<3> 次に、正孔輸送層上に、キャリア捕捉層の構成材料を真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ5nmのキャリア捕捉層を形成した。キャリア捕捉層の構成材料としては、チアジアゾール系化合物(ゲスト材料)として前記式D−11で表わされる化合物を用い、ホスト材料として前記式H1−5で表わされる化合物(テトラセン系材料)を用いた。また、キャリア捕捉層中のチアジアゾール系化合物(ドーパント)の含有量(ドープ濃度)を3.0wt%とした。
<4> 次に、キャリア捕捉層上に、真空蒸着法を用いて以下に示す中間層の構成材料で構成される平均厚さ15nmの中間層を形成した。
ここで、第1の中間層の構成材料としては、ホスト材料として前記式H2−34で表わされる化合物を用い、アミン系材料としてテトラキス−p−ビフェニリル−ベンジジンを用いた。また、中間層中のホスト材料の含有量は、30wt%とした。
<5> 次に、中間層上に、黄色発光層の構成材料を真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ30nmの青色発光層を形成した。青色発光層の構成材料としては、発光材料(ゲスト材料)として前記化学式(26A)で表わされる化合物(テトラセン系化合物)を用い、ホスト材料として前記式H2−34で表わされる化合物(アントラセン系材料)を用いた。また、黄色発光層中の発光材料(ドーパント)の含有量(ドープ濃度)を3.0wt%とした。
<6> 次に、黄色発光層上に、前記式ETL−A3で表わされる化合物を真空蒸着法により成膜し、平均厚さ40nmの電子輸送層を形成した。
<7> 次に、電子輸送層上に、フッ化リチウム(LiF)を真空蒸着法により成膜し、平均厚さ1nmの電子注入層を形成した。
<8> 次に、電子注入層上に、Alを真空蒸着法により成膜した。これにより、Alで構成される平均厚さ150nmの陰極を形成した。
<9> 次に、形成した各層を覆うように、ガラス製の保護カバー(封止部材)を被せ、エポキシ樹脂により固定、封止した。
以上の工程により、発光素子を製造した。
(比較例2)
<1> まず、平均厚さ0.5mmの透明なガラス基板を用意した。次に、この基板上に、スパッタ法により、平均厚さ100nmのITO電極(陽極)を形成した。
そして、基板をアセトン、2−プロパノールの順に浸漬し、超音波洗浄した後、酸素プラズマ処理およびアルゴンプラズマ処理を施した。これらのプラズマ処理は、それぞれ、基板を70〜90℃に加温した状態で、プラズマパワー100W、ガス流量20sccm、処理時間5secで行った。
<2> 次に、ITO電極上に、アミン系の正孔輸送性材料(テトラキス−p−ビフェニリル−ベンジジン)を真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ60nmの正孔輸送層を形成した。
<3> 次に、正孔輸送層上に、黄色発光層の構成材料を真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ30nmの青色発光層を形成した。青色発光層の構成材料としては、発光材料(ゲスト材料)として前記化学式(26A)で表わされる化合物(テトラセン系化合物)を用い、ホスト材料として前記式H2−34で表わされる化合物(アントラセン系材料)を用いた。また、黄色発光層中の発光材料(ドーパント)の含有量(ドープ濃度)を3.0wt%とした。
<4> 次に、黄色発光層上に、前記式ETL−A3で表わされる化合物を真空蒸着法により成膜し、平均厚さ40nmの電子輸送層を形成した。
<5> 次に、電子輸送層上に、フッ化リチウム(LiF)を真空蒸着法により成膜し、平均厚さ1nmの電子注入層を形成した。
<6> 次に、電子注入層上に、Alを真空蒸着法により成膜した。これにより、Alで構成される平均厚さ150nmの陰極を形成した。
<7> 次に、形成した各層を覆うように、ガラス製の保護カバー(封止部材)を被せ、エポキシ樹脂により固定、封止した。
以上の工程により、発光素子を製造した。
(実施例11)
<1> まず、平均厚さ0.5mmの透明なガラス基板を用意した。次に、この基板上に、スパッタ法により、平均厚さ100nmのITO電極(陽極)を形成した。
そして、基板をアセトン、2−プロパノールの順に浸漬し、超音波洗浄した後、酸素プラズマ処理およびアルゴンプラズマ処理を施した。これらのプラズマ処理は、それぞれ、基板を70〜90℃に加温した状態で、プラズマパワー100W、ガス流量20sccm、処理時間5secで行った。
<2> 次に、ITO電極上に、アミン系の正孔輸送性材料(テトラキス−p−ビフェニリル−ベンジジン)を真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ35nmの正孔輸送層を形成した。
<3> 次に、正孔輸送層上に、キャリア捕捉層の構成材料を真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ5nmのキャリア捕捉層を形成した。キャリア捕捉層の構成材料としては、チアジアゾール系化合物(ゲスト材料)として前記式D−11で表わされる化合物を用い、ホスト材料として前記式H1−5で表わされる化合物(テトラセン系材料)を用いた。また、キャリア捕捉層中のチアジアゾール系化合物(ドーパント)の含有量(ドープ濃度)を3.0wt%とした。
<4> 次に、キャリア捕捉層上に、真空蒸着法を用いて以下に示す中間層の構成材料で構成される平均厚さ15nmの中間層を形成した。
ここで、第1の中間層の構成材料としては、ホスト材料として前記式H2−34で表わされる化合物を用い、アミン系材料としてテトラキス−p−ビフェニリル−ベンジジンを用いた。また、中間層中のホスト材料の含有量は、30wt%とした。
<5> 次に、中間層上に、黄色発光層の構成材料を真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ20nmの黄色発光層を形成した。黄色発光層の構成材料としては、発光材料(ゲスト材料)として前記化学式(26A)で表わされる化合物(テトラセン系化合物)を用い、ホスト材料として前記式H2−34で表わされる化合物(アントラセン系材料)を用いた。また、黄色発光層中の発光材料(ドーパント)の含有量(ドープ濃度)を3.0wt%とした。
<6> 次に、黄色発光層上に、シアン発光層の構成材料を真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ20nmのシアン発光層を形成した。シアン発光層の構成材料としては、発光材料(ゲスト材料)として前記化学式(24B)で表わされる化合物(スチリルアミン系化合物)を用い、ホスト材料として前記式H2−34で表わされる化合物(アントラセン系材料)を用いた。また、シアン発光層中の発光材料(ドーパント)の含有量(ドープ濃度)を6.0wt%とした。
<7> 次に、シアン発光層上に、前記式ETL−A3で表わされる化合物を真空蒸着法により成膜し、平均厚さ25nmの電子輸送層を形成した。
<8> 次に、電子輸送層上に、フッ化リチウム(LiF)を真空蒸着法により成膜し、平均厚さ1nmの電子注入層を形成した。
<9> 次に、電子注入層上に、Alを真空蒸着法により成膜した。これにより、Alで構成される平均厚さ150nmの陰極を形成した。
<10> 次に、形成した各層を覆うように、ガラス製の保護カバー(封止部材)を被せ、エポキシ樹脂により固定、封止した。
以上の工程により、発光素子を製造した。
(比較例3)
<1> まず、平均厚さ0.5mmの透明なガラス基板を用意した。次に、この基板上に、スパッタ法により、平均厚さ100nmのITO電極(陽極)を形成した。
そして、基板をアセトン、2−プロパノールの順に浸漬し、超音波洗浄した後、酸素プラズマ処理およびアルゴンプラズマ処理を施した。これらのプラズマ処理は、それぞれ、基板を70〜90℃に加温した状態で、プラズマパワー100W、ガス流量20sccm、処理時間5secで行った。
<2> 次に、ITO電極上に、アミン系の正孔輸送性材料(テトラキス−p−ビフェニリル−ベンジジン)を真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ55nmの正孔輸送層を形成した。
<3> 次に、正孔輸送層上に、黄色発光層の構成材料を真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ20nmの黄色発光層を形成した。黄色発光層の構成材料としては、発光材料(ゲスト材料)として前記化学式(26A)で表わされる化合物(テトラセン系化合物)を用い、ホスト材料として前記式H2−34で表わされる化合物(アントラセン系材料)を用いた。また、黄色発光層中の発光材料(ドーパント)の含有量(ドープ濃度)を3.0wt%とした。
<4> 次に、黄色発光層上に、シアン発光層の構成材料を真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ20nmのシアン発光層を形成した。シアン発光層の構成材料としては、発光材料(ゲスト材料)として前記化学式(24B)で表わされる化合物(スチリルアミン系化合物)を用い、ホスト材料として前記式H2−34で表わされる化合物(アントラセン系材料)を用いた。また、シアン発光層中の発光材料(ドーパント)の含有量(ドープ濃度)を6.0wt%とした。
<5> 次に、シアン発光層上に、前記式ETL−A3で表わされる化合物を真空蒸着法により成膜し、平均厚さ25nmの電子輸送層を形成した。
<6> 次に、電子輸送層上に、フッ化リチウム(LiF)を真空蒸着法により成膜し、平均厚さ1nmの電子注入層を形成した。
<7> 次に、電子注入層上に、Alを真空蒸着法により成膜した。これにより、Alで構成される平均厚さ150nmの陰極を形成した。
<8> 次に、形成した各層を覆うように、ガラス製の保護カバー(封止部材)を被せ、エポキシ樹脂により固定、封止した。
以上の工程により、発光素子を製造した。
(実施例12)
<1> まず、平均厚さ0.5mmの透明なガラス基板を用意した。次に、この基板上に、スパッタ法により、平均厚さ100nmのITO電極(陽極)を形成した。
そして、基板をアセトン、2−プロパノールの順に浸漬し、超音波洗浄した後、酸素プラズマ処理およびアルゴンプラズマ処理を施した。これらのプラズマ処理は、それぞれ、基板を70〜90℃に加温した状態で、プラズマパワー100W、ガス流量20sccm、処理時間5secで行った。
<2> 次に、ITO電極上に、アミン系の正孔輸送性材料(テトラキス−p−ビフェニリル−ベンジジン)を真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ30nmの正孔輸送層を形成した。
<3> 次に、正孔輸送層上に、キャリア捕捉層の構成材料を真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ5nmのキャリア捕捉層を形成した。キャリア捕捉層の構成材料としては、チアジアゾール系化合物(ゲスト材料)として前記式D−11で表わされる化合物を用い、ホスト材料として前記式H1−5で表わされる化合物(テトラセン系材料)を用いた。また、キャリア捕捉層中のチアジアゾール系化合物(ドーパント)の含有量(ドープ濃度)を3.0wt%とした。
<4> 次に、キャリア捕捉層上に、赤色発光層の構成材料を真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ15nmの赤色発光層を形成した。赤色発光層の構成材料としては、発光材料(ゲスト材料)として前記化学式(17)で表わされる化合物(ジインデノペリレン誘導体)を用い、ホスト材料として前記式H1−5で表わされる化合物(テトラセン系材料)を用いた。また、赤色発光層中の発光材料(ドーパント)の含有量(ドープ濃度)を2.0wt%とした。
<5> 次に、赤色発光層上に、真空蒸着法を用いて以下に示す中間層の構成材料で構成される平均厚さ15nmの中間層を形成した。
ここで、第1の中間層の構成材料としては、ホスト材料として前記式H2−34で表わされる化合物を用い、アミン系材料としてテトラキス−p−ビフェニリル−ベンジジンを用いた。また、中間層中のホスト材料の含有量は、30wt%とした。
<6> 次に、中間層上に、青色発光層の構成材料を真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ20nmの青色発光層を形成した。青色発光層の構成材料としては、発光材料(ゲスト材料)として前記化学式(24B)で表わされる化合物(スチリルアミン系化合物)を用い、ホスト材料として前記式H2−34で表わされる化合物(アントラセン系材料)を用いた。また、青色発光層中の発光材料(ドーパント)の含有量(ドープ濃度)を5.0wt%とした。
<7> 次に、青色発光層上に、緑色発光層の構成材料を真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ20nmの緑色発光層を形成した。緑色発光層の構成材料としては、発光材料(ゲスト材料)として前記化学式(25)で表わされる化合物(キナクリドン誘導体)を用い、ホスト材料として前記式H2−34で表わされる化合物(アントラセン系材料)を用いた。また、緑色発光層中の発光材料(ドーパント)の含有量(ドープ濃度)を6.0wt%とした。
<8> 次に、緑色発光層上に、前記式ETL−A3で表わされる化合物を真空蒸着法により成膜し、平均厚さ25nmの電子輸送層を形成した。
<9> 次に、電子輸送層上に、フッ化リチウム(LiF)を真空蒸着法により成膜し、平均厚さ1nmの電子注入層を形成した。
<10> 次に、電子注入層上に、Alを真空蒸着法により成膜した。これにより、Alで構成される平均厚さ150nmの陰極を形成した。
<11> 次に、形成した各層を覆うように、ガラス製の保護カバー(封止部材)を被せ、エポキシ樹脂により固定、封止した。
以上の工程により、発光素子を製造した。
(比較例4)
<1> まず、平均厚さ0.5mmの透明なガラス基板を用意した。次に、この基板上に、スパッタ法により、平均厚さ100nmのITO電極(陽極)を形成した。
そして、基板をアセトン、2−プロパノールの順に浸漬し、超音波洗浄した後、酸素プラズマ処理およびアルゴンプラズマ処理を施した。これらのプラズマ処理は、それぞれ、基板を70〜90℃に加温した状態で、プラズマパワー100W、ガス流量20sccm、処理時間5secで行った。
<2> 次に、ITO電極上に、アミン系の正孔輸送性材料(テトラキス−p−ビフェニリル−ベンジジン)を真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ35nmの正孔輸送層を形成した。
<3> 次に、正孔輸送層上に、赤色発光層の構成材料を真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ15nmの赤色発光層を形成した。赤色発光層の構成材料としては、発光材料(ゲスト材料)として前記化学式(17)で表わされる化合物(ジインデノペリレン誘導体)を用い、ホスト材料として前記式H1−5で表わされる化合物(テトラセン系材料)を用いた。また、赤色発光層中の発光材料(ドーパント)の含有量(ドープ濃度)を2.0wt%とした。
<4> 次に、赤色発光層上に、真空蒸着法を用いて以下に示す中間層の構成材料で構成される平均厚さ15nmの中間層を形成した。
ここで、第1の中間層の構成材料としては、ホスト材料として前記式H2−34で表わされる化合物を用い、アミン系材料としてテトラキス−p−ビフェニリル−ベンジジンを用いた。また、中間層中のホスト材料の含有量は、30wt%とした。
<5> 次に、中間層上に、青色発光層の構成材料を真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ20nmの青色発光層を形成した。青色発光層の構成材料としては、発光材料(ゲスト材料)として前記化学式(24B)で表わされる化合物(スチリルアミン系化合物)を用い、ホスト材料として前記式H2−34で表わされる化合物(アントラセン系材料)を用いた。また、青色発光層中の発光材料(ドーパント)の含有量(ドープ濃度)を5.0wt%とした。
<6> 次に、青色発光層上に、緑色発光層の構成材料を真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ20nmの緑色発光層を形成した。緑色発光層の構成材料としては、発光材料(ゲスト材料)として前記化学式(25)で表わされる化合物(キナクリドン誘導体)を用い、ホスト材料として前記式H2−34で表わされる化合物(アントラセン系材料)を用いた。また、緑色発光層中の発光材料(ドーパント)の含有量(ドープ濃度)を6.0wt%とした。
<7> 次に、緑色発光層上に、前記式ETL−A3で表わされる化合物を真空蒸着法により成膜し、平均厚さ25nmの電子輸送層を形成した。
<8> 次に、電子輸送層上に、フッ化リチウム(LiF)を真空蒸着法により成膜し、平均厚さ1nmの電子注入層を形成した。
<9> 次に、電子注入層上に、Alを真空蒸着法により成膜した。これにより、Alで構成される平均厚さ150nmの陰極を形成した。
<10> 次に、形成した各層を覆うように、ガラス製の保護カバー(封止部材)を被せ、エポキシ樹脂により固定、封止した。
以上の工程により、発光素子を製造した。
(実施例13)
<1> まず、平均厚さ0.5mmの透明なガラス基板を用意した。次に、この基板上に、スパッタ法により、平均厚さ100nmのITO電極(陽極)を形成した。
そして、基板をアセトン、2−プロパノールの順に浸漬し、超音波洗浄した後、酸素プラズマ処理およびアルゴンプラズマ処理を施した。これらのプラズマ処理は、それぞれ、基板を70〜90℃に加温した状態で、プラズマパワー100W、ガス流量20sccm、処理時間5secで行った。
<2> 次に、ITO電極上に、アミン系の正孔輸送性材料(テトラキス−p−ビフェニリル−ベンジジン)を真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ60nmの正孔輸送層を形成した。
<3> 次に、正孔輸送層上に、青色発光層の構成材料を真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ30nmの青色発光層を形成した。青色発光層の構成材料としては、発光材料(ゲスト材料)として前記化学式(24B)で表わされる化合物(スチリルアミン系化合物)を用い、ホスト材料として前記式H2−34で表わされる化合物(アントラセン系材料)を用いた。また、青色発光層中の発光材料(ドーパント)の含有量(ドープ濃度)を6.0wt%とした。
<4> 次に、青色発光層上に、キャリア捕捉層の構成材料を真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ5nmのキャリア捕捉層を形成した。キャリア捕捉層の構成材料としては、チアジアゾール系化合物(ゲスト材料)として前記式D−11で表わされる化合物を用い、ホスト材料として前記式H2−34で表わされる化合物(アントラセン系材料)を用いた。また、キャリア捕捉層中のチアジアゾール系化合物(ドーパント)の含有量(ドープ濃度)を3.0wt%とした。
<5> 次に、キャリア捕捉層上に、前記式ETL−A3で表わされる化合物を真空蒸着法により成膜し、平均厚さ35nmの電子輸送層を形成した。
<6> 次に、電子輸送層上に、フッ化リチウム(LiF)を真空蒸着法により成膜し、平均厚さ1nmの電子注入層を形成した。
<7> 次に、電子注入層上に、Alを真空蒸着法により成膜した。これにより、Alで構成される平均厚さ150nmの陰極を形成した。
<8> 次に、形成した各層を覆うように、ガラス製の保護カバー(封止部材)を被せ、エポキシ樹脂により固定、封止した。
以上の工程により、発光素子を製造した。
(実施例14)
前記実施例1の工程<4>において、キャリア捕捉層のホスト材料として、前記式H2−34で表わされる化合物に代えて、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体(Alq)を用いた以外は、前記実施例13と同様にして発光素子を製造した。
(実施例15)
<1> まず、平均厚さ0.5mmの透明なガラス基板を用意した。次に、この基板上に、スパッタ法により、平均厚さ100nmのITO電極(陽極)を形成した。
そして、基板をアセトン、2−プロパノールの順に浸漬し、超音波洗浄した後、酸素プラズマ処理およびアルゴンプラズマ処理を施した。これらのプラズマ処理は、それぞれ、基板を70〜90℃に加温した状態で、プラズマパワー100W、ガス流量20sccm、処理時間5secで行った。
<2> 次に、ITO電極上に、アミン系の正孔輸送性材料(テトラキス−p−ビフェニリル−ベンジジン)を真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ40nmの正孔輸送層を形成した。
<3> 次に、正孔輸送層上に、キャリア捕捉層の構成材料を真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ5nmのキャリア捕捉層を形成した。キャリア捕捉層の構成材料としては、チアジアゾール系化合物(ゲスト材料)として前記式D−11で表わされる化合物を用い、ホスト材料として前記式H1−5で表わされる化合物(テトラセン系材料)を用いた。また、キャリア捕捉層中のチアジアゾール系化合物(ドーパント)の含有量(ドープ濃度)を3.0wt%とした。
<4> 次に、キャリア捕捉層上に、真空蒸着法を用いて以下に示す中間層の構成材料で構成される平均厚さ15nmの中間層を形成した。
ここで、第1の中間層の構成材料としては、ホスト材料として前記式H2−34で表わされる化合物を用い、アミン系材料としてテトラキス−p−ビフェニリル−ベンジジンを用いた。また、中間層中のホスト材料の含有量は、30wt%とした。
<5> 次に、中間層上に、青色発光層の構成材料を真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ30nmの青色発光層を形成した。青色発光層の構成材料としては、発光材料(ゲスト材料)として前記化学式(24B)で表わされる化合物(スチリルアミン系化合物)を用い、ホスト材料として前記式H2−34で表わされる化合物(アントラセン系材料)を用いた。また、青色発光層中の発光材料(ドーパント)の含有量(ドープ濃度)を6.0wt%とした。
<6> 次に、青色発光層上に、キャリア捕捉層の構成材料を真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ5nmのキャリア捕捉層を形成した。キャリア捕捉層の構成材料としては、チアジアゾール系化合物(ゲスト材料)として前記式D−11で表わされる化合物を用い、ホスト材料として前記式H2−34で表わされる化合物(アントラセン系材料)を用いた。また、キャリア捕捉層中のチアジアゾール系化合物(ドーパント)の含有量(ドープ濃度)を3.0wt%とした。
<7> 次に、キャリア捕捉層上に、前記式ETL−A3で表わされる化合物を真空蒸着法により成膜し、平均厚さ35nmの電子輸送層を形成した。
<8> 次に、電子輸送層上に、フッ化リチウム(LiF)を真空蒸着法により成膜し、平均厚さ1nmの電子注入層を形成した。
<9> 次に、電子注入層上に、Alを真空蒸着法により成膜した。これにより、Alで構成される平均厚さ150nmの陰極を形成した。
<10> 次に、形成した各層を覆うように、ガラス製の保護カバー(封止部材)を被せ、エポキシ樹脂により固定、封止した。
以上の工程により、発光素子を製造した。
(実施例16)
<1> まず、平均厚さ0.5mmの透明なガラス基板を用意した。次に、この基板上に、スパッタ法により、平均厚さ100nmのITO電極(陽極)を形成した。
そして、基板をアセトン、2−プロパノールの順に浸漬し、超音波洗浄した後、酸素プラズマ処理およびアルゴンプラズマ処理を施した。これらのプラズマ処理は、それぞれ、基板を70〜90℃に加温した状態で、プラズマパワー100W、ガス流量20sccm、処理時間5secで行った。
<2> 次に、ITO電極上に、アミン系の正孔輸送性材料(テトラキス−p−ビフェニリル−ベンジジン)を真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ50nmの正孔輸送層を形成した。
<3> 次に、正孔輸送層上に、赤色発光層の構成材料を真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ20nmの赤色発光層を形成した。赤色発光層の構成材料としては、発光材料(ゲスト材料)として前記化学式(17)で表わされる化合物(ジインデノペリレン誘導体)を用い、ホスト材料として前記式H1−5で表わされる化合物(テトラセン系材料)を用いた。また、赤色発光層中の発光材料(ドーパント)の含有量(ドープ濃度)を2.0wt%とした。
<4> 次に、赤色発光層上に、前記式ETL−A3で表わされる化合物を真空蒸着法により成膜し、平均厚さ10nmの電子輸送層を形成した。
<5> 次に、電子輸送層上に、フッ化リチウム(LiF)を真空蒸着法により成膜し、平均厚さ1nmの電子注入層を形成した。
<6> 次に、電子輸送層上に、真空蒸着法を用いて、前記式(50)で表わされる化合物で構成される平均厚さ10nmのキャリア発生層を形成した。
<7> 次に、キャリア発生層上に、アミン系の正孔輸送性材料(テトラキス−p−ビフェニリル−ベンジジン)を真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ10nmの正孔輸送層を形成した。
<8> 次に、正孔輸送層上に、キャリア捕捉層の構成材料を真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ5nmのキャリア捕捉層を形成した。キャリア捕捉層の構成材料としては、チアジアゾール系化合物(ゲスト材料)として前記式D−11で表わされる化合物を用い、ホスト材料として前記式H1−5で表わされる化合物(テトラセン系材料)を用いた。また、キャリア捕捉層中のチアジアゾール系化合物(ドーパント)の含有量(ドープ濃度)を3.0wt%とした。
<9> 次に、キャリア捕捉層上に、真空蒸着法を用いて以下に示す中間層の構成材料で構成される平均厚さ15nmの中間層を形成した。
ここで、第1の中間層の構成材料としては、ホスト材料として前記式H2−34で表わされる化合物を用い、アミン系材料としてテトラキス−p−ビフェニリル−ベンジジンを用いた。また、中間層中のホスト材料の含有量は、30wt%とした。
<10> 次に、中間層上に、青色発光層の構成材料を真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ15nmの青色発光層を形成した。青色発光層の構成材料としては、発光材料(ゲスト材料)として前記化学式(24B)で表わされる化合物(スチリルアミン系化合物)を用い、ホスト材料として前記式H2−34で表わされる化合物(アントラセン系材料)を用いた。また、青色発光層中の発光材料(ドーパント)の含有量(ドープ濃度)を5.0wt%とした。
<11> 次に、青色発光層上に、緑色発光層の構成材料を真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ15nmの緑色発光層を形成した。緑色発光層の構成材料としては、発光材料(ゲスト材料)として前記化学式(25)で表わされる化合物(キナクリドン誘導体)を用い、ホスト材料として前記式H2−34で表わされる化合物(アントラセン系材料)を用いた。また、緑色発光層中の発光材料(ドーパント)の含有量(ドープ濃度)を6.0wt%とした。
<12> 次に、緑色発光層上に、前記式ETL−A3で表わされる化合物を真空蒸着法により成膜し、平均厚さ25nmの電子輸送層を形成した。
<13> 次に、電子輸送層上に、フッ化リチウム(LiF)を真空蒸着法により成膜し、平均厚さ1nmの電子注入層を形成した。
<14> 次に、電子注入層上に、Alを真空蒸着法により成膜した。これにより、Alで構成される平均厚さ150nmの陰極を形成した。
<15> 次に、形成した各層を覆うように、ガラス製の保護カバー(封止部材)を被せ、エポキシ樹脂により固定、封止した。
以上の工程により、発光素子を製造した。
(比較例5)
<1> まず、平均厚さ0.5mmの透明なガラス基板を用意した。次に、この基板上に、スパッタ法により、平均厚さ100nmのITO電極(陽極)を形成した。
そして、基板をアセトン、2−プロパノールの順に浸漬し、超音波洗浄した後、酸素プラズマ処理およびアルゴンプラズマ処理を施した。これらのプラズマ処理は、それぞれ、基板を70〜90℃に加温した状態で、プラズマパワー100W、ガス流量20sccm、処理時間5secで行った。
<2> 次に、ITO電極上に、アミン系の正孔輸送性材料(テトラキス−p−ビフェニリル−ベンジジン)を真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ50nmの正孔輸送層を形成した。
<3> 次に、正孔輸送層上に、赤色発光層の構成材料を真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ20nmの赤色発光層を形成した。赤色発光層の構成材料としては、発光材料(ゲスト材料)として前記化学式(17)で表わされる化合物(ジインデノペリレン誘導体)を用い、ホスト材料として前記式H1−5で表わされる化合物(テトラセン系材料)を用いた。また、赤色発光層中の発光材料(ドーパント)の含有量(ドープ濃度)を2.0wt%とした。
<4> 次に、赤色発光層上に、前記式ETL−A3で表わされる化合物を真空蒸着法により成膜し、平均厚さ10nmの電子輸送層を形成した。
<5> 次に、電子輸送層上に、フッ化リチウム(LiF)を真空蒸着法により成膜し、平均厚さ1nmの電子注入層を形成した。
<6> 次に、電子輸送層上に、真空蒸着法を用いて、前記式(50)で表わされる化合物で構成される平均厚さ10nmのキャリア発生層を形成した。
<7> 次に、キャリア発生層上に、アミン系の正孔輸送性材料(テトラキス−p−ビフェニリル−ベンジジン)を真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ30nmの正孔輸送層を形成した。
<8> 次に、キャリア発生層上に、青色発光層の構成材料を真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ15nmの青色発光層を形成した。青色発光層の構成材料としては、発光材料(ゲスト材料)として前記化学式(24B)で表わされる化合物(スチリルアミン系化合物)を用い、ホスト材料として前記式H2−34で表わされる化合物(アントラセン系材料)を用いた。また、青色発光層中の発光材料(ドーパント)の含有量(ドープ濃度)を5.0wt%とした。
<9> 次に、青色発光層上に、緑色発光層の構成材料を真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ15nmの緑色発光層を形成した。緑色発光層の構成材料としては、発光材料(ゲスト材料)として前記化学式(25)で表わされる化合物(キナクリドン誘導体)を用い、ホスト材料として前記式H2−34で表わされる化合物(アントラセン系材料)を用いた。また、緑色発光層中の発光材料(ドーパント)の含有量(ドープ濃度)を6.0wt%とした。
<10> 次に、緑色発光層上に、前記式ETL−A3で表わされる化合物を真空蒸着法により成膜し、平均厚さ25nmの電子輸送層を形成した。
<11> 次に、電子輸送層上に、フッ化リチウム(LiF)を真空蒸着法により成膜し、平均厚さ1nmの電子注入層を形成した。
<12> 次に、電子注入層上に、Alを真空蒸着法により成膜した。これにより、Alで構成される平均厚さ150nmの陰極を形成した。
<13> 次に、形成した各層を覆うように、ガラス製の保護カバー(封止部材)を被せ、エポキシ樹脂により固定、封止した。
以上の工程により、発光素子を製造した。
(実施例17)
<1> まず、平均厚さ0.5mmの透明なガラス基板を用意した。次に、この基板上に、スパッタ法により、平均厚さ100nmのITO電極(陽極)を形成した。
そして、基板をアセトン、2−プロパノールの順に浸漬し、超音波洗浄した後、酸素プラズマ処理およびアルゴンプラズマ処理を施した。これらのプラズマ処理は、それぞれ、基板を70〜90℃に加温した状態で、プラズマパワー100W、ガス流量20sccm、処理時間5secで行った。
<2> 次に、陽極上に、キャリア捕捉層の構成材料を真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ60nmのキャリア捕捉層を形成した。キャリア捕捉層の構成材料としては、チアジアゾール系化合物(ゲスト材料)として前記式D−11で表わされる化合物を用い、ホスト材料としてテトラキス−p−ビフェニリル−ベンジジンを用いた。また、キャリア捕捉層中のチアジアゾール系化合物(ドーパント)の含有量(ドープ濃度)を3.0wt%とした。
<3> 次に、キャリア捕捉層上に、青色発光層の構成材料を真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ30nmの青色発光層を形成した。青色発光層の構成材料としては、発光材料(ゲスト材料)として前記化学式(24B)で表わされる化合物(スチリルアミン系化合物)を用い、ホスト材料として前記式H2−34で表わされる化合物(アントラセン系材料)を用いた。また、青色発光層中の発光材料(ドーパント)の含有量(ドープ濃度)を6.0wt%とした。
<4> 次に、青色発光層上に、前記式ETL−A3で表わされる化合物を真空蒸着法により成膜し、平均厚さ40nmの電子輸送層を形成した。
<5> 次に、電子輸送層上に、フッ化リチウム(LiF)を真空蒸着法により成膜し、平均厚さ1nmの電子注入層を形成した。
<6> 次に、電子注入層上に、Alを真空蒸着法により成膜した。これにより、Alで構成される平均厚さ150nmの陰極を形成した。
<7> 次に、形成した各層を覆うように、ガラス製の保護カバー(封止部材)を被せ、エポキシ樹脂により固定、封止した。
以上の工程により、発光素子を製造した。
3.評価
各実施例および各比較例の発光素子について、一定電流電源(株式会社東陽テクニカ製 KEITHLEY2400)を用いて、100mA/cmの定電流を流し、そのときの発光波形を波形測定器(相馬光学社製、「S−2440」)を用いて測定した。
また、そのときの発光光の色度(x,y)を色度計(コニカミノルタセンシング社製、「CS−2000」)を用いて、発光輝度(cd/m)を光パワー測定機(エーディーシー社製、「光パワーメーター 8230」)を用いて測定した。
さらに、各実施例および各比較例の発光素子について、それぞれ、発光素子に100mA/cmの定電流を流し、初期の輝度の80%となるまでの時間(LT80)を測定した。
これらの測定結果を表1〜5および図11〜16に示す。
Figure 0006206477
表1、および図11〜図14より明らかなように、可視光として青色光を発光する各実施例の発光素子では、キャリア捕捉層を発光層の陽極側および/または陰極側の何れに配置した場合においても、キャリア捕捉層の形成を省略した比較例1の発光素子と比較して、色度を変えることなく、青色光を発光させることができた。
さらに、表1から明らかなように、各実施例の発光素子は、高い発光輝度が得られ、かつ、比較例1の発光素子と比較して長寿命化が図られていることが判った。
Figure 0006206477
表2、および図14より明らかなように、可視光として黄色光を発光する実施例10の発光素子では、キャリア捕捉層の形成を省略した比較例2の発光素子と比較して、色度を変えることなく、黄色光を発光させることができた。
さらに、表2から明らかなように、実施例10の発光素子は、高い発光輝度が得られ、かつ、比較例2の発光素子と比較して長寿命化が図られていることが判った。
Figure 0006206477
表3、および図15より明らかなように、可視光として白色光(シアン光+黄色光)を発光する実施例11の発光素子では、キャリア捕捉層の形成を省略した比較例3の発光素子と比較して、色度を変えることなく、白色光を発光させることができた。
さらに、表3から明らかなように、実施例11の発光素子は、高い発光輝度が得られ、かつ、比較例3の発光素子と比較して長寿命化が図られていることが判った。
Figure 0006206477
表4、および図15より明らかなように、可視光として白色光(赤色光+緑色光+青色光)を発光する実施例12の発光素子では、キャリア捕捉層の形成を省略した比較例4の発光素子と比較して、色度を変えることなく、白色光を発光させることができた。
さらに、表4から明らかなように、実施例12の発光素子は、高い発光輝度が得られ、かつ、比較例4の発光素子と比較して長寿命化が図られていることが判った。
Figure 0006206477
表5、および図16より明らかなように、可視光として白色光(赤色光+緑色光+青色光)を発光する実施例16の発光素子では、キャリア捕捉層の形成を省略した比較例5の発光素子と比較して、色度を変えることなく、白色光を発光させることができた。
さらに、表5から明らかなように、実施例16の発光素子は、高い発光輝度が得られ、かつ、比較例5の発光素子と比較して長寿命化が図られていることが判った。
1、1A、1B、1G、1R……発光素子 2……基板 3……陽極 4……正孔注入層 5……正孔輸送層 6……キャリア捕捉層 7……可視光発光層 7R……赤色発光層 7G……緑色発光層 7B……青色発光層 7C……シアン発光層 7Y……黄色発光層 8……中間層 9……電子輸送層 10……電子注入層 11……陰極 12……封止部材 14、14A……積層体 15……キャリア発生層 20……封止基板 22……平坦化層 24……駆動用トランジスタ 31……隔壁 32……反射膜 33……腐食防止膜 34……陰極カバー 35……エポキシ層 100……ディスプレイ装置 200……照明用光源 201……積層体 202……透明電極 203……対向電極 205……透明基板 241……半導体層 242……ゲート絶縁層 243……ゲート電極 244……ソース電極 245……ドレイン電極 1000……表示部 1100……パーソナルコンピュータ 1102……キーボード 1104……本体部 1106……表示ユニット

Claims (10)

  1. 陽極と、
    陰極と、
    前記陽極と前記陰極との間に設けられた、可視光を発光する発光層、および、下記式(1)で表わされるチアジアゾール系化合物と、ホスト材料としてのアセン系材料とを含有するキャリア捕捉層とを有し、
    前記キャリア捕捉層は、前記発光層よりも前記陰極側に位置し、かつ、前記発光層に接することを特徴とする発光素子。
    Figure 0006206477
    [式(1)中、Aは、それぞれ独立に、ジアリールアミノ基を置換基として有していてもよいアリール基またはジアリールアミノ基を示し、Bは、アリール基またはアリール環を形成する基を示す。
  2. 前記チアジアゾール系化合物は、下記式(1B)で表わされる請求項1に記載の発光素子。
    Figure 0006206477
    [式(1B)中、Aは、それぞれ独立に、ジアリールアミノ基を置換基として有していてもよいアリール基またはジアリールアミノ基を示す。]
  3. 前記チアジアゾール系化合物は、下記式(1C)で表わされる請求項1に記載の発光素子。
    Figure 0006206477
    [式(1C)中、Aは、それぞれ独立に、ジアリールアミノ基を置換基として有していてもよいアリール基またはジアリールアミノ基を示す。]
  4. 前記チアジアゾール系化合物は、下記式(1D)で表わされる請求項1に記載の発光素子。
    Figure 0006206477
    [式(1D)中、Aは、それぞれ独立に、ジアリールアミノ基を置換基として有していてもよいアリール基またはジアリールアミノ基を示す。]
  5. 前記発光層は、1層である請求項1ないしのいずれかに記載の発光素子。
  6. 前記発光層は、前記可視光として青色の発光色を発光する請求項に記載の発光素子。
  7. 前記発光層は、前記可視光として黄色の発光色を発光する請求項に記載の発光素子。
  8. 前記発光層は少なくとも2層からなる請求項1ないしのいずれかに記載の発光素子。
  9. 請求項1ないしのいずれかに記載の発光素子を備えることを特徴とする発光装置。
  10. 請求項に記載の発光装置を備えることを特徴とする電子機器。
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