JP5983289B2 - チアジアゾール系化合物、発光素子用化合物、発光素子、発光装置、認証装置および電子機器 - Google Patents

チアジアゾール系化合物、発光素子用化合物、発光素子、発光装置、認証装置および電子機器 Download PDF

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Description

本発明は、チアジアゾール系化合物、発光素子用化合物、発光素子、発光装置、認証装置および電子機器に関するものである。
有機エレクトロルミネッセンス素子(いわゆる有機EL素子)は、陽極と陰極との間に少なくとも1層の発光性有機層を介挿した構造を有する発光素子である。このような発光素子では、陰極と陽極との間に電界を印加することにより、発光層に陰極側から電子が注入されるとともに陽極側から正孔が注入され、発光層中で電子と正孔が再結合することにより励起子が生成し、この励起子が基底状態に戻る際に、そのエネルギー分が光として放出される。
このような発光素子としては、700nmを超える長波長域で発光するものが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
例えば、特許文献1、2に記載の発光素子では、分子内に官能基として電子供与体であるアミンと電子受容体であるニトリル基を共存させた材料を発光層のドーパントとして用いることにより、発光波長を長波長化している。
特開2000−091073号公報 特開2001−110570号公報
しかし、従来では、近赤外域で発光する高効率かつ長寿命な素子を実現することはできなかった。
また、近赤外域で面発光する高効率かつ長寿命な発光素子は、例えば、静脈、指紋等の生体情報を用いて個人を認証する生体認証用の光源として、その実現が望まれている。
本発明の目的は、近赤外域で発光する高効率かつ長寿命なチアジアゾール系化合物、発光素子用化合物、発光素子、この発光素子を備える発光装置、認証装置および電子機器を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明のチアジアゾール系化合物は、下記式()で表わされ化合物であることを特徴とする
Figure 0005983289
[前記式(2)中、Aは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、アリールアミノ基またはトリアリールアミンを示す。]
かかるチアジアゾール系化合物は、例えば、有機EL素子の発光材料として用いた場合、高効率化および長寿命化を図りつつ、近赤外域で発光させることができる。
本発明のチアジアゾール系化合物では、前記式(2)で表される化合物は、下記式(3)、(4)、(5)のいずれかで表わされる化合物であることが好ましい。
Figure 0005983289
Figure 0005983289
[前記式(3)、(4)、(5)中、Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基を示す。また、隣り合う2つのRの炭素同士が連結して環状をなしていてもよい。]
かかるチアジアゾール系化合物は、例えば、有機EL素子の発光材料として用いた場合、高効率化および長寿命化を図りつつ、近赤外域で発光させることができる。
本発明の発光素子用化合物は、本発明のチアジアゾール系化合物を含むことを特徴とする。
かかる発光素子用化合物は、例えば発光材料として用いた場合、近赤外域で発光させることができる。
本発明の発光素子は、陽極と、
陰極と、
前記陽極と前記陰極との間に設けられ、本発明のチアジアゾール系化合物を含んで構成された層と、を備えることを特徴とする。
このように構成された発光素子によれば、発光材料として前記式(1)で表わされる化合物を用いていることにより、700nm以上の波長域(近赤外域)での発光を得ることができる。
本発明の発光素子では、前記層は、前記チアジアゾール系化合物をゲスト材料として含むとともに、前記ゲスト材料を保持するホスト材料を含んで構成されていることが好ましい。
これにより、前記式(1)で表される基本骨格を分子内に有する化合物(本発明のチアジアゾール系化合物)を効率的に励起することができる。
本発明の発光素子では、前記ホスト材料は、下記式IRH−1で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0005983289
[前記式IRH−1中、nは、1〜12の自然数を示し、Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、アリールアミノ基を示す。]
これにより、ホスト材料としてテトラセン系材料を用いているので、ホスト材料から発光材料へエネルギーを効率的に移動させることができる。そのため、発光素子の発光効率を優れたものとすることができる。
また、テトラセン系材料は電子およびホールに対する安定性(耐性)に優れるため、発光層の長寿命化、ひいては、発光素子の長寿命化を図ることができる。
本発明の発光素子では、前記ホスト材料は、下記式IRH−2で表わされる化合物であることが好ましい。
Figure 0005983289
[前記式IRH−2中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、アリールアミノ基を示す。また、R〜Rは、互いに同じであっても異なっていてもよい。]
これにより、連続駆動時の電圧上昇を抑えることができ、かつ発光素子の発光効率をより高めるとともに、発光素子の長寿命化を図ることができる。
本発明の発光素子では、前記ホスト材料は、下記式IRH−3で表わされる化合物であることが好ましい。
Figure 0005983289
[前記式IRH−3中、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、アリールアミノ基を示す。また、R、Rは、互いに同じであっても異なっていてもよい。]
これにより、連続駆動時の電圧上昇を抑えることができ、かつ発光素子の発光効率をより高めるとともに、発光素子の長寿命化を図ることができる。
本発明の発光素子では、前記ホスト材料は、下記式IRH−4で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0005983289
[前記式IRH−4中、nは、1〜10の自然数を示し、Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、アリールアミノ基を示す。]
これにより、ホスト材料としてアントラセン系材料を用いているので、ホスト材料から発光材料へエネルギーを効率的に移動させることができる。そのため、発光素子の発光効率を優れたものとすることができる。
また、アントラセン系材料は電子およびホールに対する安定性(耐性)に優れるため、発光層の長寿命化、ひいては、発光素子の長寿命化を図ることができる。
本発明の発光素子では、前記ホスト材料は、下記式IRH−5で表わされる化合物であることが好ましい。
Figure 0005983289
[前記式IRH−5中、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、アリールアミノ基を示す。また、R、Rは、互いに同じであっても異なっていてもよい。]
これにより、連続駆動時の電圧上昇を抑えることができ、かつ発光素子の発光効率をより高めるとともに、発光素子の長寿命化を図ることができる。
本発明の発光素子では、前記ホスト材料は、下記式IRH−6で表わされる化合物であることが好ましい。
Figure 0005983289
[前記式IRH−6中、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、アリールアミノ基を示す。また、R、Rは、互いに同じであっても異なっていてもよい。]
これにより、連続駆動時の電圧上昇を抑えることができ、かつ発光素子の発光効率をより高めるとともに、発光素子の長寿命化を図ることができる。
本発明の発光素子では、前記ホスト材料は、下記式IRH−7で表わされる化合物であることが好ましい。
Figure 0005983289
[前記式IRH−7中、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、アリールアミノ基を示す。また、R、Rは、互いに同じであっても異なっていてもよい。]
これにより、連続駆動時の電圧上昇を抑えることができ、かつ発光素子の発光効率をより高めるとともに、発光素子の長寿命化を図ることができる。
本発明の発光素子では、前記ホスト材料は、下記式IRH−8で表わされる化合物であることが好ましい。
Figure 0005983289
[前記式IRH−8中、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、アリールアミノ基を示す。また、R、Rは、互いに同じであっても異なっていてもよい。]
これにより、連続駆動時の電圧上昇を抑えることができ、かつ発光素子の発光効率をより高めるとともに、発光素子の長寿命化を図ることができる。
本発明の発光素子では、前記ホスト材料は、炭素原子および水素原子で構成されていることが好ましい。
これにより、ホスト材料と発光材料との不本意な相互作用が生じるのを防止することができる。そのため、発光素子の発光効率を高めることができる。また、電位および正孔に対するホスト材料の耐性を高めることができる。そのため、発光素子の長寿命化を図ることができる。
本発明の発光素子では、前記チアジアゾール系化合物は、発光材料として用いられ、
前記層は、前記陽極と前記陰極との間に通電することにより発光する発光層であることが好ましい。
これにより、700nm以上の波長域(近赤外域)での発光を得ることができる。
本発明の発光装置は、本発明の発光素子を備えることを特徴とする。
このような発光装置は、近赤外域での発光が可能である。また、高効率および長寿命な発光素子を備えるので、信頼性に優れる。
本発明の認証装置は、本発明の発光素子を備えることを特徴とする。
このような認証装置は、近赤外光を用いて生体認証を行うことができる。また、高効率および長寿命な発光素子を備えるので、信頼性に優れる。
本発明の電子機器は、本発明の発光素子を備えることを特徴とする。
このような電子機器は、高効率および長寿命な発光素子を備えるので、信頼性に優れる。
本発明の実施形態に係る発光素子を模式的に示す断面図である。 本発明の発光装置を適用したディスプレイ装置の実施形態を示す縦断面図である。 本発明の認証装置の実施形態を示す図である。 本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。
以下、本発明のチアジアゾール系化合物、発光素子用化合物、発光素子、発光装置、認証装置および電子機器を添付図面に示す好適な実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る発光素子を模式的に示す断面図である。なお、以下では、説明の都合上、図1中の上側を「上」、下側を「下」として説明を行う。
図1に示す発光素子(エレクトロルミネッセンス素子)1は、陽極3と正孔注入層4と正孔輸送層5と発光層6と電子輸送層7と電子注入層8と陰極9とがこの順に積層されてなるものである。すなわち、発光素子1では、陽極3と陰極9との間に、陽極3側から陰極9側へ正孔注入層4と正孔輸送層5と発光層6と電子輸送層7と電子注入層8とがこの順で積層された積層体14が介挿されている。
そして、発光素子1は、その全体が基板2上に設けられるとともに、封止部材10で封止されている。
このような発光素子1にあっては、陽極3および陰極9に駆動電圧が印加されることにより、発光層6に対し、陰極9側から電子が供給(注入)されるとともに、陽極3側から正孔が供給(注入)される。そして、発光層6では、正孔と電子とが再結合し、この再結合に際して放出されたエネルギーによりエキシトン(励起子)が生成し、エキシトンが基底状態に戻る際にエネルギー(蛍光やりん光)を放出(発光)する。これにより、発光素子1は、発光する。
特に、この発光素子1は、後述するように発光層6の発光材料としてチアジアゾール系化合物(発光素子用化合物)を用いることにより、近赤外域で発光する。なお、本明細書において、「近赤外域」とは、700nm以上1500nm以下の波長域を言う。
基板2は、陽極3を支持するものである。本実施形態の発光素子1は、基板2側から光を取り出す構成(ボトムエミッション型)であるため、基板2および陽極3は、それぞれ、実質的に透明(無色透明、着色透明または半透明)とされている。
基板2の構成材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、ポリアミド、ポリエーテルサルフォン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリアリレートのような樹脂材料や、石英ガラス、ソーダガラスのようなガラス材料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
このような基板2の平均厚さは、特に限定されないが、0.1〜30mm程度であるのが好ましく、0.1〜10mm程度であるのがより好ましい。
なお、発光素子1が基板2と反対側から光を取り出す構成(トップエミッション型)の場合、基板2には、透明基板および不透明基板のいずれも用いることができる。
不透明基板としては、例えば、アルミナのようなセラミックス材料で構成された基板、ステンレス鋼のような金属基板の表面に酸化膜(絶縁膜)を形成したもの、樹脂材料で構成された基板等が挙げられる。
また、このような発光素子1では、陽極3と陰極9との間の距離(すなわち積層体14の平均厚さ)は、100〜500nmであるのが好ましく、100〜300nmであるのがより好ましく、100〜250nmであるのがさらに好ましい。これにより、簡単かつ確実に、発光素子1の駆動電圧を実用的な範囲内にすることができる。
以下、発光素子1を構成する各部を順次説明する。
(陽極)
陽極3は、後述する正孔注入層4を介して正孔輸送層5に正孔を注入する電極である。この陽極3の構成材料としては、仕事関数が大きく、導電性に優れる材料を用いるのが好ましい。
陽極3の構成材料としては、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、In、SnO、Sb含有SnO、Al含有ZnO等の酸化物、Au、Pt、Ag、Cuまたはこれらを含む合金等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
特に、陽極3は、ITOで構成されているのが好ましい。ITOは、透明性を有するとともに、仕事関数が大きく、導電性に優れる材料である。これにより、陽極3から正孔注入層4へ効率的に正孔を注入することができる。
また、陽極3の正孔注入層4側の面(図1にて上面)は、プラズマ処理が施されているのが好ましい。これにより、陽極3と正孔注入層4との接合面の化学的および機械的な安定性を高めることができる。その結果、陽極3から正孔注入層4への正孔注入性を向上させることができる。なお、かかるプラズマ処理については、後述する発光素子1の製造方法の説明において詳述する。
このような陽極3の平均厚さは、特に限定されないが、10〜200nm程度であるのが好ましく、50〜150nm程度であるのがより好ましい。
(陰極)
一方、陰極9は、後述する電子注入層8を介して電子輸送層7に電子を注入する電極である。この陰極9の構成材料としては、仕事関数の小さい材料を用いるのが好ましい。
陰極9の構成材料としては、例えば、Li、Mg、Ca、Sr、La、Ce、Er、Eu、Sc、Y、Yb、Ag、Cu、Al、Cs、Rbまたはこれらを含む合金等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて(例えば、複数層の積層体、複数種の混合層等として)用いることができる。
特に、陰極9の構成材料として合金を用いる場合には、Ag、Al、Cu等の安定な金属元素を含む合金、具体的には、MgAg、AlLi、CuLi等の合金を用いるのが好ましい。かかる合金を陰極9の構成材料として用いることにより、陰極9の電子注入効率および安定性の向上を図ることができる。
また、陰極9の構成材料としては、近赤外域の光に対する反射性に優れることから、Al、Ag、Mg/Agのうちのいずれかを用いることが好ましく、Mg/Agを用いることがより好ましい。
陰極9を構成するMg/Agは、近赤外域の光に対する反射性を高める観点から、MgおよびAgの比(Mg:Ag)が1:100〜100:1であることが好ましい。
このような陰極9の平均厚さは、特に限定されないが、2〜10000nm程度であるのが好ましく、50〜200nm程度であるのがより好ましい。
なお、本実施形態の発光素子1は、ボトムエミッション型であるため、陰極9に、光透過性は、特に要求されない。また、トップエミッション型である場合には、陰極9側から光を透過させる必要があるので、陰極9の平均厚さは、1〜50nm程度であるのが好ましい。
また、陰極9に対して上側(発光層6と反対側)には、近赤外域の光に対する反射性を有する反射層を設けてもよい。かかる反射層は、例えば、Al、Ag、Mgのうちのいずれかで構成されていることが好ましい。また、かかる反射層は、陰極9に接していることが好ましい。
(正孔注入層)
正孔注入層4は、陽極3からの正孔注入効率を向上させる機能を有する(すなわち正孔注入性を有する)ものである。
このように陽極3と後述する正孔輸送層5との間に正孔注入層4を設けることにより、陽極3からの正孔性を向上させ、その結果、発光素子1の発光効率を高めることができる。
この正孔注入層4は、正孔注入性を有する材料(すなわち正孔注入性材料)を含んでいる。
この正孔注入層4に含まれる正孔注入性材料としては、特に限定されないが、例えば、銅フタロシアニンや、4,4’,4’’−トリス(N,N−フェニル−3−メチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(m−MTDATA)、N,N’−ビス−(4−ジフェニルアミノ−フェニル)−N, N’−ジフェニル−ビフェニル−4−4’−ジアミン等が挙げられる。
中でも、正孔注入層4に含まれる正孔注入性材料としては、正孔注入性および正孔輸送性に優れるという観点から、アミン系材料を用いるのが好ましく、ジアミノベンゼン誘導体、ベンジジン誘導体(ベンジジン骨格を有する材料)、分子内に「ジアミノベンゼン」ユニットと「ベンジジン」ユニットとの両方を有するトリアミン系化合物、テトラアミン系化合物を用いるのがより好ましい。
このような正孔注入層4の平均厚さは、特に限定されないが、5〜90nm程度であるのが好ましく、10〜70nm程度であるのがより好ましい。
なお、正孔注入層4は、陽極3および正孔輸送層5の構成材料によっては、省略してもよい。
(正孔輸送層)
正孔輸送層5は、陽極3から正孔注入層4を介して注入された正孔を発光層6まで輸送する機能を有する(すなわち正孔輸送性を有する)ものである。
この正孔輸送層5は、正孔輸送性を有する材料(すなわち正孔輸送性材料)を含んで構成されている。
この正孔輸送層5に含まれる正孔輸送性材料には、各種p型の高分子材料や、各種p型の低分子材料を単独または組み合わせて用いることができ、例えば、N,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ジフェニル−4,4’−ジアミン(NPD)、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ジフェニル−4,4’−ジアミン(TPD)等のテトラアリールベンジジン誘導体、テトラアリールジアミノフルオレン化合物またはその誘導体(アミン系化合物)等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
中でも、正孔輸送層5に含まれる正孔輸送性材料としては、正孔注入性および正孔輸送性に優れるという観点から、アミン系材料(例えば、下記HTL−1〜下記HTL−15で表されるアミン系材料)であるのが好ましく、ベンジジン誘導体(ベンジジン骨格を有する材料)であるのがより好ましい。
Figure 0005983289
このような正孔輸送層5の平均厚さは、特に限定されないが、5〜90nm程度であるのが好ましく、10〜70nm程度であるのがより好ましい。
(発光層)
この発光層6は、前述した陽極3と陰極9との間に通電することにより、発光するものである。
このような発光層6は、発光材料を含んで構成されている。
特に、この発光層6は、発光材料として、下記式(1)で表わされる基本骨格を分子内に有する化合物であるチアジアゾール系化合物(以下、単に「チアジアゾール系化合物」ともいう)を含んで構成されている。
Figure 0005983289
このようなチアジアゾール系化合物を含む発光層6は、700nm以上の波長域(近赤外域)での発光を得ることができる。
また、発光層6に用いる発光材料としては、高効率化および長寿命化を図れるという観点から、下記式(2)で表わされる化合物を用いるのが好ましく、下記式(3)〜(5)で表される化合物がより好ましく、具体的には、特に、下記式D−1〜D−3で表わされる化合物を用いるのが好ましい。
Figure 0005983289
[前記式(2)中、Aは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、アリールアミノ基またはトリアリールアミンを示す。]
Figure 0005983289
[前記式(3)、(4)、(5)中、Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基を示す。また、隣り合う2つのRの炭素同士が連結して環状をなしていてもよい。]
Figure 0005983289
なお、発光層6は、上述した発光材料以外の発光材料(各種蛍光材料、各種燐光材料)が含まれていてもよい。
また、発光層6の構成材料としては、前述したような発光材料(チアジアゾール系化合物)に加えて、この発光材料がゲスト材料(ドーパント)として添加(担持)されるホスト材料を用いる。このホスト材料は、正孔と電子とを再結合して励起子を生成するとともに、その励起子のエネルギーを発光材料に移動(フェルスター移動またはデクスター移動)させて、発光材料を励起する機能を有する。そのため、前記式(1)で表される基本骨格を分子内に有する化合物を効率的に励起することができる。その結果、発光素子1の発光効率を高めることができる。このようなホスト材料は、例えば、ゲスト材料である発光材料をドーパントとしてホスト材料にドープして用いることができる。
このようなホスト材料としては、用いる発光材料に対して前述したような機能を発揮するものであれば、特に限定されないが、例えば、ジスチリルアリーレン誘導体、ナフタセン誘導体、アントラセン誘導体などのアセン系材料、ペリレン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアミン誘導体、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(p−フェニルフェノラト)アルミニウム(BAlq)、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体(Alq)等のキノリノラト系金属錯体、トリフェニルアミンの4量体等のトリアリールアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ルブレンおよびその誘導体、シロール誘導体、ジカルバゾール誘導体、オリゴチオフェン誘導体、ベンゾピラン誘導体、トリアゾール誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、キノリン誘導体、4,4’−ビス(2,2’−ジフェニルビニル)ビフェニル(DPVBi)、3−フェニル−4−(1’−ナフチル)−5−フェニルカルバゾール、4,4’−N,N’−ジカルバゾールビフェニル(CBP)等のカルバゾール誘導体等が挙げられ、これらのうち1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることもできる。
これらの中でも、ホスト材料としては、アセン系材料、または、キノリノラト系金属錯体を用いるのが好ましく、アセン系材料を用いるのがより好ましい。
アセン系材料は、前述したような発光材料との不本意な相互材用が少ない。また、ホスト材料としてアセン系材料(特にアントラセン系材料、テトラセン系材料)を用いると、ホスト材料から発光材料へのエネルギー移動を効率的に行うことができる。これは、(a)アセン系材料の三重項励起状態からのエネルギー移動による発光材料の一重項励起状態の生成が可能となること、(b)アセン系材料のπ電子雲と発光材料の電子雲との重なりが大きくなること、(c)アセン系材料の蛍光スペクトルと発光材料の吸収スペクトルとの重なりが大きくなること等によるものと考えられる。
このようなことから、ホスト材料としてアセン系材料を用いると、発光素子1の発光効率を高めることができる。
また、アセン系材料は、電子および正孔に対する耐性に優れる。また、アセン系材料は、熱安定性にも優れる。そのため、発光素子1は、長寿命化を図ることができる。また、アセン系材料は、熱安定性に優れるため、気相成膜法を用いて発光層を形成する場合に、成膜時の熱によるホスト材料の分解を防止することができる。そのため、優れた膜質を有する発光層を形成することができ、その結果、この点でも、発光素子1の発光効率を高めるとともに長寿命化を図ることができる。
さらに、アセン系材料は、それ自体発光しにくいので、ホスト材料が発光素子1の発光スペクトルに悪影響を及ぼすのを防止することもできる。
このようなアセン系材料は、アセン骨格を有し、かつ、前述したような効果を発揮するものであれば、特に限定されず、例えば、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、ナフタセン誘導体(テトラセン誘導体)、ペンタセン誘導体が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、アントラセン系材料(アントラセン誘導体)またはテトラセン系材料(テトラセン誘導体)を用いるのが好ましく、テトラセン系材料を用いるのがより好ましい。
テトラセン系材料としては、1つの分子内に少なくとも1つのテトラセン骨格を有し、かつ、前述したようなホスト材料としての機能を発揮し得るものであれば、特に限定されないが、例えば、下記式IRH−1で表わされる化合物を用いるのが好ましく、下記式IRH−2で表わされる化合物を用いるのがより好ましく、下記IRH−3で表わされる化合物を用いるのがさらに好ましい。
Figure 0005983289
[前記式IRH−1中、nは、1〜12の自然数を示し、Rは置換機または官能基を表し、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、アリールアミノ基を示す。また、前記式IRH−2、IRH−3中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、アリールアミノ基を示す。また、R〜Rは、互いに同じであっても異なっていてもよい。]
また、ホスト材料として用いるテトラセン系材料は、炭素原子および水素原子で構成されているのが好ましい。これにより、ホスト材料と発光材料との不本意な相互作用が生じるのを防止することができる。そのため、発光素子1の発光効率を高めることができる。また、電位および正孔に対するホスト材料の耐性を高めることができる。そのため、発光素子1の長寿命化を図ることができる。
具体的には、テトラセン系材料としては、例えば、下記式H1−1〜H1−27で表される化合物を用いるのが好ましい。
Figure 0005983289
Figure 0005983289
また、アントラセン系材料としては、1つの分子内に少なくとも1つのアントラセン骨格を有し、かつ、前述したようなホスト材料としての機能を発揮し得るものであれば、特に限定されないが、例えば、下記式IRH−4で表わされる化合物を用いるのが好ましく、下記式IRH−5〜IRH−8で表わされる化合物を用いるのがより好ましい。
Figure 0005983289
[前記式IRH−4中、nは、1〜10の自然数を示し、Rは置換基または官能基を表し、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、アリールアミノ基を示す。また、前記式IRH−5〜IRH−8中、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、アリールアミノ基を示す。また、R、Rは、互いに同じであっても異なっていてもよい。]
また、ホスト材料として用いるアントラセン系材料は、炭素原子および水素原子で構成されているのが好ましい。これにより、ホスト材料と発光材料との不本意な相互作用が生じるのを防止することができる。そのため、発光素子1の発光効率を高めることができる。また、電位および正孔に対するホスト材料の耐性を高めることができる。そのため、発光素子1の長寿命化を図ることができる。
具体的には、アントラセン系材料としては、例えば、下記式H2−1〜H2−56で表される化合物を用いるのが好ましい。
Figure 0005983289
Figure 0005983289
Figure 0005983289
このような発光材料およびホスト材料を含む発光層6中における発光材料の含有量(ドープ量)は、0.01〜10wt%であるのが好ましく、0.1〜5wt%であるのがより好ましい。発光材料の含有量をこのような範囲内とすることで、発光効率を最適化することができる。
また、発光層6の平均厚さは、特に限定されないが、1〜60nm程度であるのが好ましく、3〜50nm程度であるのがより好ましい。
(電子輸送層)
電子輸送層7は、陰極9から電子注入層8を介して注入された電子を発光層6に輸送する機能を有するものである。
電子輸送層7の構成材料(電子輸送性材料)としては、例えば、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP)等のフェナントロリン誘導体、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq)等の8−キノリノールないしその誘導体を配位子とする有機金属錯体などのキノリン誘導体、アザインドリジン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ペリレン誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、キノキサリン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ニトロ置換フルオレン誘導体等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、電子輸送層7に用いる電子輸送性材料としては、アザインドリジン誘導体を用いるのが好ましく、特に、アザインドリジン骨格およびアントラセン骨格を分子内に有する化合物であるアザインドリジン系化合物(以下、単に「アザインドリジン系化合物」ともいう)を用いるのがより好ましい。
このように、発光層6に隣接する電子輸送層7の電子輸送性材料としてアザインドリジン骨格およびアントラセン骨格を分子内に有する化合物を用いていることにより、電子輸送層7から発光層6へ電子を効率的に輸送することができる。そのため、発光素子1の発光効率を優れたものとすることができる。
また、電子輸送層7から発光層6への電子輸送を効率的に行えることから、発光素子1の駆動電圧を低電圧化することができ、それに伴って、発光素子1の長寿命化を図ることができる。
さらに、アザインドリジン骨格およびアントラセン骨格を分子内に有する化合物は電子およびホールに対する安定性(耐性)に優れるため、この点でも、発光素子1の長寿命化を図ることができる。
電子輸送層7に用いる電子輸送性材料(アザインドリジン系化合物)は、1つの分子内に含まれるアザインドリジン骨格およびアントラセン骨格の数がそれぞれ1つまたは2つであるのが好ましい。これにより、電子輸送層7の電子輸送性および電子注入性を優れたものとすることができる。
具体的には、電子輸送層7に用いるアザインドリジン系化合物としては、例えば、下記式ELT−A1〜ELT−A24で表わされるような化合物、下記式ELT−B1〜式ELT−B12で表わされるような化合物、下記ELT−C1〜ELT−C20で表わされる化合物を用いるのが好ましい。
Figure 0005983289
Figure 0005983289
Figure 0005983289
このようなアザインドリジン系化合物は、電子輸送性および電子注入性に優れる。そのため、発光素子1の発光効率を向上させることができる。
このようなアザインドリジン系化合物の電子輸送性および電子注入性が優れるのは、以下のような理由によるものと考えられる。
前述したようなアザインドリジン骨格およびアントラセン骨格を分子内に有するアザインドリジン系化合物は、その分子全体がπ共役系で繋がっているため、電子雲が分子全体に亘って拡がっている。
そして、かかるアザインドリジン系化合物のアザインドリジン骨格の部分は、電子を受け入れる機能と、その受け取った電子をアントラセン骨格の部分へ送り出す機能とを有する。一方、かかるアザインドリジン系化合物のアントラセン骨格の部分は、アザインドリジン骨格の部分から電子を受け入れる機能と、その受け入れた電子を、電子輸送層7の陽極3側に隣接する層、すなわち発光層6へ受け渡す機能とを有する。
より具体的に説明すると、かかるアザインドリジン系化合物のアザインドリジン骨格の部分は、2つの窒素原子を有し、その一方(アントラセン骨格の部分に近い側)の窒素原子がsp混成軌道を有し、他方(アントラセン骨格の部分に遠い側)の窒素原子がsp混成軌道を有する。sp混成軌道を有する窒素原子は、アザインドリジン系化合物の分子の共役系の一部を構成するとともに、炭素原子よりも電気陰性度が高く、電子を引き付ける強さが大きいため、電子を受け入れる部分として機能する。一方、sp混成軌道を有する窒素原子は、通常の共役系ではないが、非共有電子対を有するため、その電子がアザインドリジン系化合物の分子の共役系に向けて電子を送り出す部分として機能する。
一方、かかるアザインドリジン系化合物のアントラセン骨格の部分は、電気的に中性であるため、アザインドリジン骨格の部分から電子を容易に受け入れることができる。また、かかるアザインドリジン系化合物のアントラセン骨格の部分は、発光層6の構成材料、特にホスト材料(アセン系材料)と軌道の重なりが大きいため、発光層6のホスト材料へ電子を容易に受け渡すことができる。
また、かかるアザインドリジン系化合物は、前述したように電子輸送性および電子注入性に優れるため、結果として、発光素子1の駆動電圧を低電圧化することができる。
また、アザインドリジン骨格の部分は、sp混成軌道を有する窒素原子が還元されても安定であり、sp混成軌道を有する窒素原子が酸化されても安定である。そのため、かかるアザインドリジン系化合物は、電子および正孔に対する安定性が高いものとなる。その結果、発光素子1の長寿命化を図ることができる。
また、電子輸送層7は、前述したような電子輸送性材料のうち2種以上を組み合わせて用いる場合、2種以上の電子輸送性材料を混合した混合材料で構成されていてもよいし、異なる電子輸送性材料で構成された複数の層を積層して構成されていてもよい。
電子輸送層7が複数の層を積層して構成されている場合、電子輸送層7は、前述したアザインドリジン系化合物を第1の電子輸送性材料として含んで構成された第1の電子輸送層と、この第1の電子輸送層と発光層6との間にこれらの両層に接して設けられ、第1の電子輸送性材料とは異なる第2の電子輸送性材料を含んで構成された第2の電子輸送層とを備えるのが好ましい。これにより、発光素子1の長寿命化を図ることができる。
また、この場合、上記第2の電子輸送性材料としては、例えば、Alq、テトラセン系材料、アントラセン系材料等を用いることができる。また、第2の電子輸送層の平均厚さは、特に限定されないが、例えば、5nm以上20nm程度であるのが好ましい。これにより、第2の電子輸送層が発光層6または第1の電子輸送層の一部と混合層を形成するため、電子輸送層7から発光層6への電子輸送性を良好なものとしつつ、発光素子1の長寿命化を図ることができる。
電子輸送層7の平均厚さは、特に限定されないが、1.0〜200nm程度であるのが好ましく、10〜100nm程度であるのがより好ましい。
(電子注入層)
電子注入層8は、陰極9からの電子注入効率を向上させる機能を有するものである。
この電子注入層8の構成材料(電子注入性材料)としては、例えば、各種の無機絶縁材料、各種の無機半導体材料が挙げられる。
このような無機絶縁材料としては、例えば、アルカリ金属カルコゲナイド(酸化物、硫化物、セレン化物、テルル化物)、アルカリ土類金属カルコゲナイド、アルカリ金属のハロゲン化物およびアルカリ土類金属のハロゲン化物等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらを主材料として電子注入層8を構成することにより、電子注入性をより向上させることができる。特にアルカリ金属化合物(アルカリ金属カルコゲナイド、アルカリ金属のハロゲン化物等)は仕事関数が非常に小さく、これを用いて電子注入層8を構成することにより、発光素子1は、高い輝度が得られるものとなる。
アルカリ金属カルコゲナイドとしては、例えば、LiO、LiO、NaS、NaSe、NaO等が挙げられる。
アルカリ土類金属カルコゲナイドとしては、例えば、CaO、BaO、SrO、BeO、BaS、MgO、CaSe等が挙げられる。
アルカリ金属のハロゲン化物としては、例えば、CsF、LiF、NaF、KF、LiCl、KCl、NaCl等が挙げられる。
アルカリ土類金属のハロゲン化物としては、例えば、CaF、BaF、SrF、MgF、BeF等が挙げられる。
また、無機半導体材料としては、例えば、Li、Na、Ba、Ca、Sr、Yb、Al、Ga、In、Cd、Mg、Si、Ta、SbおよびZnのうちの少なくとも1つの元素を含む酸化物、窒化物または酸化窒化物等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
特に、陰極9の構成材料としてAl、Ag、Mg/Agのうちのいずれかを用いた場合、Liの酸化物、ハロゲン化物等を用いることが好ましい。
電子注入層8の平均厚さは、特に限定されないが、0.1〜1000nm程度であるのが好ましく、0.2〜100nm程度であるのがより好ましく、0.2〜50nm程度であるのがさらに好ましい。
なお、この電子注入層8は、陰極9および電子輸送層7の構成材料や厚さ等によっては、省略してもよい。
(封止部材)
封止部材10は、陽極3、積層体14、および陰極9を覆うように設けられ、これらを気密的に封止し、酸素や水分を遮断する機能を有する。封止部材10を設けることにより、発光素子1の信頼性の向上や、変質・劣化の防止(耐久性向上)等の効果が得られる。
封止部材10の構成材料としては、例えば、Al、Au、Cr、Nb、Ta、Tiまたはこれらを含む合金、酸化シリコン、各種樹脂材料等を挙げることができる。なお、封止部材10の構成材料として導電性を有する材料を用いる場合には、短絡を防止するために、封止部材10と陽極3、積層体14および陰極9との間には、必要に応じて、絶縁膜を設けるのが好ましい。
また、封止部材10は、平板状として、基板2と対向させ、これらの間を、例えば熱硬化性樹脂等のシール材で封止するようにしてもよい。
以上のように構成された発光素子1によれば、発光層6の発光材料としてチアジアゾール系化合物を用いることにより、近赤外域での発光を可能とするとともに、高効率化および長寿命化を図ることができる。
以上のような発光素子1は、例えば、次のようにして製造することができる。
[1] まず、基板2を用意し、この基板2上に陽極3を形成する。
陽極3は、例えば、プラズマCVD、熱CVDのような化学蒸着法(CVD)、真空蒸着等の乾式メッキ法、電解メッキ等の湿式メッキ法、溶射法、ゾル・ゲル法、MOD法、金属箔の接合等を用いて形成することができる。
[2] 次に、陽極3上に正孔注入層4を形成する。
正孔注入層4は、例えば、CVD法や、真空蒸着、スパッタリング等の乾式メッキ法等を用いた気相プロセスにより形成するのが好ましい。
なお、正孔注入層4は、例えば、正孔注入性材料を溶媒に溶解または分散媒に分散してなる正孔注入層形成用材料を、陽極3上に供給した後、乾燥(脱溶媒または脱分散媒)することによっても形成することができる。
正孔注入層形成用材料の供給方法としては、例えば、スピンコート法、ロールコート法、インクジェット印刷法等の各種塗布法を用いることもできる。かかる塗布法を用いることにより、正孔注入層4を比較的容易に形成することができる。
正孔注入層形成用材料の調製に用いる溶媒または分散媒としては、例えば、各種無機溶媒や、各種有機溶媒、または、これらを含む混合溶媒等が挙げられる。
なお、乾燥は、例えば、大気圧または減圧雰囲気中での放置、加熱処理、不活性ガスの吹付け等により行うことができる。
また、本工程に先立って、陽極3の上面には、酸素プラズマ処理を施すようにしてもよい。これにより、陽極3の上面に親液性を付与すること、陽極3の上面に付着する有機物を除去(洗浄)すること、陽極3の上面付近の仕事関数を調整すること等を行うことができる。
ここで、酸素プラズマ処理の条件としては、例えば、プラズマパワー100〜800W程度、酸素ガス流量50〜100mL/min程度、被処理部材(陽極3)の搬送速度0.5〜10mm/sec程度、基板2の温度70〜90℃程度とするのが好ましい。
[3] 次に、正孔注入層4上に正孔輸送層5を形成する。
正孔輸送層5は、例えば、CVD法や、真空蒸着、スパッタリング等の乾式メッキ法等を用いた気相プロセスにより形成するのが好ましい。
なお、正孔輸送性材料を溶媒に溶解または分散媒に分散してなる正孔輸送層形成用材料を、正孔注入層4上に供給した後、乾燥(脱溶媒または脱分散媒)することによっても形成することができる。
[4] 次に、正孔輸送層5上に、発光層6を形成する。
発光層6は、例えば、真空蒸着等の乾式メッキ法等を用いた気相プロセスにより形成することができる。
[5] 次に、発光層6上に、電子輸送層7を形成する。
電子輸送層7は、例えば、真空蒸着等の乾式メッキ法等を用いた気相プロセスにより形成するのが好ましい。
なお、電子輸送層7は、例えば、電子輸送性材料を溶媒に溶解または分散媒に分散してなる電子輸送層形成用材料を、発光層6上に供給した後、乾燥(脱溶媒または脱分散媒)することによっても形成することができる。
[6] 次に、電子輸送層7上に、電子注入層8を形成する。
電子注入層8の構成材料として無機材料を用いる場合、電子注入層8は、例えば、CVD法や、真空蒸着、スパッタリング等の乾式メッキ法等を用いた気相プロセス、無機微粒子インクの塗布および焼成等を用いて形成することができる。
[7] 次に、電子注入層8上に、陰極9を形成する。
陰極9は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、金属箔の接合、金属微粒子インクの塗布および焼成等を用いて形成することができる。
以上のような工程を経て、発光素子1が得られる。
最後に、得られた発光素子1を覆うように封止部材10を被せ、基板2に接合する。
(発光装置)
次に、本発明の発光装置の実施形態について説明する。
図2は、本発明の発光装置を適用したディスプレイ装置の実施形態を示す縦断面図である。
図2に示すディスプレイ装置100は、基板21と、複数の発光素子1Aと、各発光素子1Aをそれぞれ駆動するための複数の駆動用トランジスタ24とを有している。ここで、ディスプレイ装置100は、トップエミッション構造のディスプレイパネルである。
基板21上には、複数の駆動用トランジスタ24が設けられ、これらの駆動用トランジスタ24を覆うように、絶縁材料で構成された平坦化層22が形成されている。
各駆動用トランジスタ24は、シリコンからなる半導体層241と、半導体層241上に形成されたゲート絶縁層242と、ゲート絶縁層242上に形成されたゲート電極243と、ソース電極244と、ドレイン電極245とを有している。
平坦化層上には、各駆動用トランジスタ24に対応して発光素子1Aが設けられている。
発光素子1Aは、平坦化層22上に、反射膜32、腐食防止膜33、陽極3、積層体(有機EL発光部)14、陰極13、陰極カバー34がこの順に積層されている。本実施形態では、各発光素子1Aの陽極3は、画素電極を構成し、各駆動用トランジスタ24のドレイン電極245に導電部(配線)27により電気的に接続されている。また、各発光素子1Aの陰極13は、共通電極とされている。
図2における発光素子1Aは、近赤外域で発光するものである。
隣接する発光素子1A同士の間には、隔壁31が設けられている。また、これらの発光素子1A上には、これらを覆うように、エポキシ樹脂で構成されたエポキシ層35が形成されている。
そして、エポキシ層35上には、これらを覆うように封止基板20が設けられている。
以上説明したようなディスプレイ装置100は、例えば軍事用途等の近赤外線ディスプレイとして用いることができる。
このようなディスプレイ装置100によれば、近赤外域での発光が可能である。また、高効率および長寿命な発光素子1Aを備えるので、信頼性に優れる。
(認証装置)
次に、本発明の認証装置の実施形態を説明する。
図3は、本発明の認証装置の実施形態を示す図である。
図3に示す認証装置1000は、生体F(本実施形態では指先)の生体情報を用いて個人を認証する生体認証装置である。
この認証装置1000は、光源100Bと、カバーガラス1001と、マイクロレンズアレイ1002と、受光素子群1003と、発光素子駆動部1006と、受光素子駆動部1004と、制御部1005とを有する。
光源100Bは、前述した発光素子1を複数備えるものであり、撮像対象物である生体Fへ向けて、近赤外域の光を照射する。例えば、この光源100Bの複数の発光素子1は、カバーガラス1001の外周部に沿って配置される。
カバーガラス1001は、生体Fが接触または近接する部位である。
マイクロレンズアレイ1002は、カバーガラス1001の生体Fが接触または近接する側と反対側に設けられている。このマイクロレンズアレイ1002は、複数のマイクロレンズがマトリクス状に配列して構成されている。
受光素子群1003は、マイクロレンズアレイ1002に対してカバーガラス1001とは反対側に設けられている。この受光素子群1003は、マイクロレンズアレイ1002の複数のマイクロレンズに対応してマトリクス状に設けられた複数の受光素子で構成されている。この受光素子群1003の各受光素子としては、例えば、CCD(Charge Coupled Device)、CMOS等を用いることができる。
発光素子駆動部1006は、光源100Bを駆動する駆動回路である。
受光素子駆動部1004は、受光素子群1003を駆動する駆動回路である。
制御部1005は、例えば、MPUであり、発光素子駆動部1006および受光素子駆動部1004の駆動を制御する機能を有する。
また、制御部1005は、受光素子群1003の受光結果と、予め記憶された生体認証情報との比較により、生体Fの認証を行う機能を有する。
例えば、制御部1005は、受光素子群1003の受光結果に基づいて、生体Fに関する画像パターン(例えば静脈パターン)を生成する。そして、制御部1005は、その画像パターンと、生体認証情報として予め記憶された画像パターンとを比較し、その比較結果に基づいて、生体Fの認証(例えば静脈認証)を行う。
このような認証装置1000によれば、近赤外光を用いて生体認証を行うことができる。また、高効率および長寿命な発光素子1を備えるので、信頼性に優れる。
このような認証装置1000は、各種の電子機器に組み込むことができる。
(電子機器)
図4は、本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。
この図において、パーソナルコンピュータ1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示部を備える表示ユニット1106とにより構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。
このパーソナルコンピュータ1100において、本体部1104には、前述した認証装置1000が設けられている。
このようなパーソナルコンピュータ1100によれば、高効率および長寿命な発光素子1を備えるので、信頼性に優れる。
なお、本発明の電子機器は、図4のパーソナルコンピュータ(モバイル型パーソナルコンピュータ)の他にも、例えば、携帯電話機、ディジタルスチルカメラ、テレビや、ビデオカメラ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、ラップトップ型パーソナルコンピュータ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニタ、電子双眼鏡、POS端末、タッチパネルを備えた機器(例えば金融機関のキャッシュディスペンサー、自動券売機)、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、脈拍計測装置、脈波計測装置、心電表示装置、超音波診断装置、内視鏡用表示装置)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシュミレータ、その他各種モニタ類、プロジェクター等の投射型表示装置等に適用することができる。
以上、本発明のチアジアゾール系化合物、発光素子用化合物、発光素子、発光装置、認証装置および電子機器を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものでない。
例えば、本発明の発光素子および発光装置は照明用の光源として用いてもよい。
また、例えば、陽極と陰極との間に、本発明に係るチアジアゾール系化合物を含む発光層の他に、可視光域で発光する発光層を設けてもよい。
また、前述した実施形態では、本発明に係るチアジアゾール系化合物を発光材料として用いた場合を例に説明したが、これに限定されず、本発明に係るチアジアゾール系化合物を発光材料以外の用途に用いることができる。例えば、本発明に係るチアジアゾール系化合物は、陽極と陰極との間に設けられた層内において、キャリアを捕捉し熱(赤外線)に変換する材料として用いることもできる。これにより、発光層で消費されなかった電子(キャリア)が正孔輸送層側に注入され、これに起因して正孔輸送層および正孔注入層の構成材料が変質・劣化してしまうのを的確に抑制または防止することができる。その結果、発光素子の長寿命化が図られる。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.チアジアゾール系化合物の製造
(合成例A1)前記式D−1で表わされる化合物の合成
Figure 0005983289
合成(A1−1)
5リットルのフラスコに発煙硝酸1500mlを入れ冷却した。そこへ10〜50℃に保つようにして硫酸1500mlを分割添加した。さらにそこへ原料のジブロモベンゾチアジアゾールである化合物(a)150gを1時間かけて少量ずつ添加した。その際に溶液温度は5℃以下になるように行った。全量添加後、室温(25℃)において20時間反応させた。反応後、氷3kgに反応液を注ぎ、一晩攪拌した。その後、ろ過してメタノール、ヘプタンで洗浄した。
ろ過して残った物を200mlのトルエンで熱溶解させた後、室温まで徐冷後にろ過し、残ったものを少量のトルエンで洗浄後、減圧乾燥させた。
これにより、HPLC純度95%の化合物(b)(4、7−ジブロモ−5、6−ジニトロ−ベンゾ[1、2、5]チアジアゾール)60gを得た。
合成(A1−2)
Ar下、5リットルのフラスコに、得られたジブロモ体である化合物(b)30gとフェニルボロン酸(市販品)23g、トルエン2500ml、2M炭酸セシウム水溶液(152g/(蒸留水)234ml)を入れ、90℃で一晩反応させた。反応後ろ過、分液、濃縮し、得られた粗体52gをシリカゲルカラム(SiO 5kg)で分離し、赤紫色固体を得た。
これにより、HPLC純度96%の化合物(c)(5、6−ジニトロ−4、7−ジフェニル−ベンゾ[1、2、5]チアジアゾール)6gを得た。
合成(A1−3)
Ar下、1リットルのフラスコに、得られたジニトロ体である化合物(c)6g、還元鉄7g、酢酸600mlを入れ、80℃で4時間反応させて室温まで冷却させた。反応後、反応液をイオン交換水1.5リットルに注ぎ、そこへ酢酸エチル1.5リットルをさらに添加した。添加後、固体が析出していたので、テトラヒドロフラン1リットルと食塩300gを添加し、分液した。水層は1リットルのテトラヒドロフランで再抽出した。濃縮乾燥したものを再度、少量の水、メタノールにて洗浄し、橙色固体を得た。
これにより、HPLC純度80%の化合物(d)(4、7−ジフェニル−ベンゾ[1、2、5]チアジアゾロ−5、6−ジアミン)7gを得た。
合成(A1−4)
Ar下、1リットルのフラスコに、得られたジアミン体である化合物(d)4.5g、ベンゾ[b]チオフェン−2,3−ジオン2.32g、溶媒として酢酸300mlを入れ、80℃にて2時間反応させた。反応後、室温まで冷却させ、反応液をイオン交換水1リットルに注ぎ、結晶をろ過、水洗、6.5gの黒緑色固体を得た。そして、その黒緑色固体をシリカゲルカラム(SiO 1kg)で精製した。
これにより、HPLC純度99%の化合物(e)(前記式D−1で表わされる化合物)4.0gを得た。この化合物(e)を質量分析したところ、M+:446であった。
さらに、得られた化合物(e)を設定温度340℃で昇華精製した。その昇華精製後の化合物(e)のHPLC純度は99%であった。
(合成例A2)前記式D−2で表わされる化合物の合成
Figure 0005983289
前述した合成例A1において、合成(A1−2)で使用するフェニルボロン酸の代わりにトリフェニルアミンのボロン酸体を用いた以外は、前述した合成例A1と同様にして合成を行った。これにより、前記式D−2で表わされる化合物(h)を得た。
ここで、トリフェニルアミンのボロン酸体の合成に際しては、Ar下、5リットルのフラスコに、4−ブロモトリフェニルアミン(市販品)246g、脱水テトラヒドロフラン1500mlを入れ、−60℃で1.6M n−BuLi/ヘキサン溶液570mlを3時間かけて滴下した。30分後ホウ酸トリイソプロピル429gを1時間かけて滴下した。滴下後は成り行きの温度で一晩反応させた。反応後、水2リットルを滴下し、その後トルエン2リットルで抽出、分液した。有機層を濃縮、再結晶し、ろ過、乾燥させて白色の目的物であるボロン酸体160gを得た。
得られたボロン酸体のHPLC純度は、99%であった。
そして、得られたボロン酸体を用いて、前述した合成例A1の合成(A1−2)と同様の合成を行い、化合物(f)を得た。
得られた化合物(f)を用いて、前述した合成例A1の合成(A1−3)と同様の合成を行い、化合物(g)を得た。
得られた化合物(g)を用いて、前述した合成例A1の合成(A1−4)と同様の合成を行い、前記式D−2で表わされる化合物(h)を得た。
これにより、外観が濃紺色固体をなすHPLC純度99%の化合物(h)(前記式D−2で表わされる化合物)2.9gを得た。この化合物(h)を質量分析したところ、M+:780であった。
さらに、得られた化合物(h)を設定温度360℃で昇華精製した。その昇華精製後の化合物(h)のHPLC純度は99%であった。
(合成例A3)前記式D−3で表わされる化合物の合成
Figure 0005983289
前述した合成例A1において、合成(A1−2)で使用するフェニルボロン酸の代わりにジフェニルアミンを用いた以外は、前述した合成例A1と同様にして合成を行った。これにより、前記式D−3で表わされる化合物(k)を得た。
ここで、ジフェニルアミンを用いた合成に際しては、Ar下で300mlのフラスコに、テトラキストリフェニルPd(0)11gを100mlのトルエンに溶解させ100℃に温めた。そこへトリ−t−ブチルフォスフィン8gを加えて30分間反応させ、触媒(Pd触媒)とした。
一方、Ar下、5リットルのフラスコに、ジブロモ体である化合物(b)30gとジフェニルアミン(市販品)33gを、トルエン2500mlに溶解させて100℃に温めた。そこへ先に調整したPd触媒とt−BuOK 20gを添加して3時間過熱還流させた。
反応後室温まで冷却後、100mlの水を添加し、1時間程攪拌した後に分液ロートにて水で分液洗浄し、有機層を乾燥させ、固体を得た。得られた固体をシリカゲルカラム(SiO 5kg)で分離し、紫色固体を得た。
これにより、HPLC純度96%の化合物(i)(5、6−ジニトロ−N、N、N'、N'−テトラフェニル−ベンゾ[1、2、5]チアジアゾール)10gを得た。
そして、得られた化合物(i)を用いて、前述した合成例A1の合成(A1−3)と同様の合成を行い、化合物(j)を得た。
得られた化合物(j)を用いて、前述した合成例A1の合成(A1−4)と同様の合成を行い、前記式D−3で表わされる化合物(k)を得た。
これにより、外観が濃紺色固体をなすHPLC純度99%の化合物(k)(前記式D−3で表わされる化合物)2.9gを得た。この化合物(k)を質量分析したところ、M+:628であった。
さらに、得られた化合物(k)を設定温度360℃で昇華精製した。その昇華精製後の化合物(k)のHPLC純度は99%であった。
2.ホスト材料(テトラセン系材料)の製造
(合成例B1)式H1−2で表わされる化合物の合成
Figure 0005983289
合成(B1−1)
Ar下、300mlのフラスコに、4−ブロモビフェニル6gと乾燥ジエチルエーテル50mlを入れた。室温で1.6M n−BuLi/ヘキサン溶液14.5mlを滴下し、30分間反応させた。
一方、別途、Ar下、500mlのフラスコに、5、12−ナフタセンキノン2.7gと乾燥トルエン100mlを投入した。そこへ先に調整したビフェニルリチウムを滴下し、3時間反応させた。反応後、20mlの蒸留水を添加し、30分攪拌後、メタノール中に入れ、固体をろ過分離した。得られた固体をシリカゲル(SiO 500g)で精製した。
これにより、白色固体(5、12−ビスビフェニル−4−イル−5、12−ジヒドロ−ナフタセン−5、12−ジオール)4.5gを得た。
合成(B1−2)
合成(B1−1)で得られたジオール体4.5gと酢酸300mlを計量し、1000mlのフラスコに入れた。そこへ、塩酸(35%)5gに塩化スズ(II)(無水)5gを溶かしたものを入れ、30分攪拌した。その後、分液ロートに移し、トルエンを加えて、蒸留水にて分液洗浄し、乾燥させた。得られた個体をシリカゲル(SiO 500g)で精製し、黄色固体(前記式H1−2で表わされる化合物)4gを得た。
(合成例B2)式H1−5で表わされる化合物の合成
Figure 0005983289
合成(B2−1)
Ar下、300mlのフラスコに、4’−ブロモ−[1,1';3',1'']ターフェニル6gと乾燥ジエチルエーテル50mlを入れた。室温で1.6M n−BuLi/ヘキサン溶液14.5mlを滴下し、30分間反応させた。
一方、別途、Ar下500mlのフラスコに、5、12−ナフタセンキノン2gと乾燥トルエン100mlを入れた。そこへ先に調整したターフェニルリチウムを滴下し、3時間反応させた。反応後、20mlの蒸留水を添加し、30分攪拌後、メタノール中に入れ、固体をろ過分離した。得られた固体をシリカゲル(SiO 500g)で精製した。
これにより、白色固体(5,12−ビス−[1,1';3',1'']ターフェニル−4'−イル−5,12−ジヒドロナフタセン−5,12−ジオール)5gを得た。
合成(B2−2)
合成(B2−1)で得られたジオール体5gと酢酸300mlを計量し、1000mlのフラスコに投入した。そこへ、塩酸(35%)5gに塩化スズ(II)(無水)5gを溶かしたものを入れ、30分攪拌した。その後、分液ロートに移し、トルエンを加えて、蒸留水にて分液洗浄し、乾燥させた。得られた個体をシリカゲル(SiO 500g)で精製し、黄色固体(前記式H1−5で表わされる化合物)4.5gを得た。
(合成例B3)式H1−13で表わされる化合物の合成
Figure 0005983289
合成(B3−1)
500mlのフラスコに、ジクロロメタン100mlと、ナフトキノン5.2gと、1,3−ジフェニルイソベンゾフラン10gを入れ、1時間攪拌した。攪拌後、市販品の三臭化ホウ素(ジクロロメタン溶液 1mol/L)33mlを、10分かけて添加することにより、黄色針状結晶(6,11−ジフェニル−5,12−ナフタセンキノン)7.1gを得た。
合成(B3−2)
Ar下、200mlのフラスコに、4−ブロモ−ビフェニル6gと乾燥ジエチルエーテル80mlを投入した。室温で1.6M n−BuLi/ヘキサン溶液16mlを滴下し、30分間反応させた。
一方、別途、Ar下500mlのフラスコに、合成(B3−1)で得られたキノン4.2gと乾燥トルエン100mlを投入した。そこへ先に調整したビフェニルリチウムを滴下し、3時間反応させた。反応後、20mlの蒸留水を添加し、30分攪拌後、メタノール中に空け、固体をろ過分離した。得られた固体をシリカゲル(SiO 500g)で精製した。
これにより、白色固体(5、12−ビスビフェニル−4−イル−6、11−ジフェニル−5、12−ジヒドロ−ナフタセン−5、12−ジオール)5.5gを得た。
合成(B3−3)
合成(B3−2)で得られたジオール体5gとテトラヒドロフラン200mlを計量し、500mlのフラスコに入れた。そこへ、ヨウ化水素酸(55%水溶液)10gを入れ、2時間遮光しながら攪拌した。その後、分液ロートに移し、トルエンを加えて、蒸留水にて分液洗浄し、乾燥させた。得られた個体をシリカゲル(SiO 500g)で精製し、赤色固体(前記式H1−13で表わされる化合物)3gを得た。
3.ホスト材料(アントラセン系材料)の製造
(合成例C1)式H2−30で表わされる化合物の合成
Figure 0005983289
合成(C1−1)
市販の2−ナフタレンボロン酸2.1gと9,10−ジブロモアントラセン5gを50mlのジメトキシエタンに溶解させ、80℃に加熱した。そこへ蒸留水50mlおよび炭酸ナトリウム10gを入れた。さらにそこへテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)0.4gを入れた。
3時間後分液ロートにてトルエン抽出を行い、シリカゲル(SiO 500g)で精製した。
これにより、薄黄白色結晶(9−ブロモ−10−ナフタレン−2−イル−アントラセン)3gを得た。
合成(C1−2)
Ar下、500mlのフラスコに、市販の2−ナフタレンボロン酸10.5gと1,4−ジブロベンゼン17.5gを250mlのジメトキシエタンに溶解させ、80℃に加熱した。そこへ蒸留水250mlおよび炭酸ナトリウム30gを入れた。さらにそこへテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)2gを入れた。
3時間後分液ロートにてトルエン抽出を行い、シリカゲル(SiO 500g)で精製した。
これにより、白色結晶(2−(4−ブロモフェニル)−ナフタレン)10gを得た。
合成(C1−3)
Ar下、1リットルのフラスコに、合成(C1−2)で得られた2−(4−ブロモフェニル)−ナフタレン10g、脱水テトラヒドロフラン500mlを入れ、−60℃で1.6M n−BuLi/ヘキサン溶液22mlを30分かけて滴下した。30分後ホウ酸トリイソプロピル7gを添加した。滴下後は成り行きの温度で一晩反応させた。反応後、水100mlを滴下し、その後トルエン2リットルで抽出、分液した。有機層を濃縮、再結晶し、ろ過、乾燥させて白色のフェニルボロン酸誘導体5gを得た。
合成(C1−4)
Ar下、500mlのフラスコに、合成(C1−1)で得られた9−ブロモ−10−ナフタレン−2−イル−アントラセン3gと、合成(C1−3)で得られたボロン酸3gを200mlのジメトキシエタンに溶解させ、80℃に加熱した。そこへ蒸留水250mlおよび炭酸ナトリウム10gを入れた。さらにそこへテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)0.5gを入れた。
3時間後分液ロートにてトルエン抽出を行い、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製を行った。
これにより、薄黄白色固体(前記式H2−30で表わされる化合物)3gを得た。
(合成例C2)式H2−47で表わされる化合物の合成
Figure 0005983289
合成(C2−1)
Ar下、300mlのフラスコに、ビアントロン5gと乾燥ジエチルエーテル150mlを入れた。そこへ市販のフェニルリチウム試薬(19% ブチルエーテル溶液)を5.5ml加えて、3時間室温にて攪拌させた。その後、10mlの水を投入後、分液ロートに移してトルエンにて目的物を抽出、乾燥させ、シリカゲル(SiO 500g)にて分離精製した。
これにより、白色の目的物(10、10'−ジフェニル−10H、10'H−[9、9']ビアントラセニリデン−10、10'−ジオール)5gを得た。
合成(C2−2)
合成(C2−1)で得られたジオール体5gと酢酸300mlを500mlのフラスコに入れた。そこへ塩酸(35%)5gに塩化スズ(II)(無水)5gを溶かしたものを入れ、30分攪拌した。その後、分液ロートに移し、トルエンを加えて、蒸留水にて分液洗浄し、乾燥させた。得られた固体をシリカゲル(SiO 500g)で精製し、黄白色固体(前記式H2−47で表わされる化合物)5.5gを得た。
(合成例C3)式H2−52で表わされる化合物
Figure 0005983289
合成(C3−1)
市販のフェニルボロン酸2.2gと9,10−ジブロモアントラセン6gを100mlのジメトキシエタンに溶解させ、80℃に加熱した。そこへ蒸留水50mlおよび炭酸ナトリウム10gを入れた。さらにそこへテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)0.5gを入れた。
3時間後分液ロートにてトルエン抽出を行い、シリカゲル(SiO 500g)で精製を行った。
これにより、黄白色結晶(9−ブロモ−10−フェニル−アントラセン)4gを得た。
合成(C3−2)
Ar下、500mlのフラスコに、合成(C3−1)で得られた9−ブロモ−10−フェニル−アントラセン4gと市販品のフェニレンジボロン酸0.8gを200mlのジメトキシエタンに溶解させ、80℃に加熱した。そこへ蒸留水250mlおよび炭酸ナトリウム10gを入れた。さらにそこへテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)0.5gを入れた。
3時間後分液ロートにてトルエン抽出を行い、シリカゲルクロマトグラフィーを用いて精製を行った。
これにより、薄黄白色固体(前記式H2−52で表わされる化合物)2gを得た。
4.電子輸送性材料(アザインドリジン系化合物)の製造
(合成例D1)式ETL−A3で表わされる化合物の合成
Figure 0005983289
合成(D1−1)
市販の2−ナフタレンボロン酸2.1gと9,10−ジブロモアントラセン5gを50mlのジメトキシエタンに溶解させ、80℃に加熱した。そこへ蒸留水50mlおよび炭酸ナトリウム10gを入れた。さらにそこへテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)0.4gを入れた。
3時間後分液ロートにてトルエン抽出を行い、シリカゲル(SiO 500g)で精製を行った。
これにより、薄黄白色結晶(9−ブロモ−10−ナフタレン−2−イル−アントラセン)3gを得た。
合成(D1−2)
Ar下、1リットルのフラスコに、合成(D1−1)で得られた9−ブロモ−10−ナフタレン−2−イル−アントラセン3g、脱水テトラヒドロフラン500mlを入れ、−60℃で1.6M n−BuLi/ヘキサン溶液6mlを10分かけて滴下した。30分後ホウ酸トリイソプロピル1.5gを添加した。滴下後は成り行きの温度で3時間反応させた。反応後、蒸留水50mLを滴下し、その後トルエン1リットルで抽出、分液した。有機層を濃縮、再結晶し、ろ過、乾燥させて白色の目的物(ボロン酸体)2gを得た。
合成(D1−3)
Ar下、300mlのフラスコに2−アミノピリジン3.4gを計量し、そこへエタノール40mlとアセトン40mLを加えて溶解させた。そこへ4−ブロモフェナシルブロミド10gを加えて加熱還流させた。3時間後、加熱を中止して室温まで冷却した。溶媒を減圧除去後、1リットルのメタノールに加熱溶解させて、ろ過で不溶不純物を除去後、濃縮し際沈殿させたものを回収した。
これにより、目的物の白色固体(2−(4−ブロモフェニル)−イミダゾ[1、2−a]ピリジン)8gを得た。
合成(D1−4)
Ar下、500mlのフラスコに、合成(D1−2)で得られたボロン酸体2gと、合成(D1−3)で得られたイミダゾピリジン誘導体1.7gを200mlのジメトキシエタンに溶解させ、80℃に加熱した。そこへ蒸留水250mlおよび炭酸ナトリウム10gを入れた。さらにそこへテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)0.5gを入れた。
3時間後分液ロートにてトルエン抽出を行い、シリカゲル(SiO 500g)で精製した。
これにより、白色固体(前記式ETL−A3で表わされる化合物)2gを得た。
5.発光素子の製造
(実施例1)
<1> まず、平均厚さ0.5mmの透明なガラス基板を用意した。次に、この基板上に、スパッタ法により、平均厚さ100nmのITO電極(陽極)を形成した。
そして、基板をアセトン、2−プロパノールの順に浸漬し、超音波洗浄した後、酸素プラズマ処理およびアルゴンプラズマ処理を施した。これらのプラズマ処理は、それぞれ、基板を70〜90℃に加温した状態で、プラズマパワー100W、ガス流量20sccm、処理時間5secで行った。
<2> 次に、ITO電極上に、アミン系の正孔輸送性材料として、前記式HTL−3で表わされる化合物を真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ60nmの正孔輸送層を形成した。
<3> 次に、正孔輸送層上に、発光層の構成材料を真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ25nmの発光層を形成した。発光層の構成材料としては、発光材料(ゲスト材料)として前記式D−2で表わされる化合物を用い、ホスト材料として前記式H1−2で表わされる化合物(テトラセン系材料)を用いた。また、発光層中の発光材料(ドーパント)の含有量(ドープ濃度)を4.0wt%とした。
<4> 次に、発光層上に、前記式ETL−A3で表される化合物を真空蒸着法により成膜し、平均厚さ90nmの電子輸送層を形成した。
<5> 次に、電子輸送層上に、フッ化リチウム(LiF)を真空蒸着法により成膜し、平均厚さ1nmの電子注入層を形成した。
<6> 次に、電子注入層上に、Alを真空蒸着法により成膜した。これにより、Alで構成される平均厚さ100nmの陰極を形成した。
<7> 次に、形成した各層を覆うように、ガラス製の保護カバー(封止部材)を被せ、エポキシ樹脂により固定、封止した。
以上の工程により、発光素子を製造した。
(実施例2)
発光層のホスト材料として前記式H1−5で表わされる化合物(テトラセン系材料)を用いた以外は、前述した実施例1と同様にして発光素子を製造した。
(実施例3)
発光層のホスト材料として前記式H1−13で表わされる化合物(テトラセン系材料)を用いた以外は、前述した実施例1と同様にして発光素子を製造した。
(実施例4)
発光層のホスト材料として前記式H2−30で表わされる化合物(アントラセン系材料)を用いた以外は、前述した実施例1と同様にして発光素子を製造した。
(実施例5)
発光層のホスト材料として前記式H2−47で表わされる化合物(アントラセン系材料)を用いた以外は、前述した実施例1と同様にして発光素子を製造した。
(実施例6)
発光層のホスト材料として前記式H2−52で表わされる化合物(アントラセン系材料)を用いた以外は、前述した実施例1と同様にして発光素子を製造した。
(実施例7)
発光層のホスト材料としてAlqを用いた以外は、前述した実施例1と同様にして発光素子を製造した。
(実施例8)
発光層中の発光材料(ドーパント)の含有量(ドープ濃度)を1.0wt%とした以外は、前述した実施例1と同様にして発光素子を製造した。
(実施例9)
発光層中の発光材料(ドーパント)の含有量(ドープ濃度)を2.0wt%とした以外は、前述した実施例1と同様にして発光素子を製造した。
(実施例10)
発光層中の発光材料(ドーパント)の含有量(ドープ濃度)を10.0wt%とした以外は、前述した実施例1と同様にして発光素子を製造した。
(実施例11)
発光層の平均厚さを15nmとするとともに、電子輸送層の平均厚さを100nmとした以外は、前述した実施例1と同様にして発光素子を製造した。
(実施例12)
発光層の平均厚さを50nmとするとともに、電子輸送層の平均厚さを65nmとした以外は、前述した実施例1と同様にして発光素子を製造した。
(実施例13)
発光層の平均厚さを70nmとするとともに、電子輸送層の平均厚さを45nmとした以外は、前述した実施例1と同様にして発光素子を製造した。
(実施例14)
発光層の発光材料として前記式D−1で表わされる化合物を用いた以外は、前述した実施例1と同様にして発光素子を製造した。
(実施例15)
発光層の発光材料として前記式D−3で表わされる化合物を用いた以外は、前述した実施例1と同様にして発光素子を製造した。
(参考例1)
発光層中の発光材料(ドーパント)を省略(すなわち、発光層を前記式H1−2で表わされる化合物のみで構成)した以外は、前述した実施例1と同様にして発光素子を製造した。
(参考例2)
電子輸送層の構成材料として2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP)を用いた以外は、前述した実施例1と同様にして発光素子を製造した。
6.評価
各実施例および比較例について、一定電流電源(株式会社東陽テクニカ製 KEITHLEY2400)を用いて、発光素子に100mA/cmの定電流を流し、そのときの発光ピーク波長を小型ファイバ光学分光器(浜松ホトニクス社製 PMA−11)を用いて測定した。発光パワーは光パワー測定機(株式会社エーディーシー製 光パワーメーター 8230)を用いて測定した。
また、そのときの電圧値(駆動電圧)も測定した。
さらに、発光素子に150mA/cmの定電流密度を流し輝度が初期の輝度の85%となる時間(LT85)を測定した。
これらの測定結果を表1に示す。
Figure 0005983289
表1から明らかなように、各実施例の発光素子は、近赤外域で発光するととともに、比較的高い発光パワーが得られる。また、各実施例の発光素子は、駆動電圧を抑えることができる。このようなことから、各実施例の発光素子は、優れた発光効率を有する。
また、各実施例の発光素子は、各参考例の発光素子に比し、長い寿命を有する。
1、1A……発光素子 2……基板 3……陽極 4……正孔注入層 5……正孔輸送層 6……発光層 7……電子輸送層 8……電子注入層 9……陰極 10……封止部材 13……陰極 14……積層体 100……ディスプレイ装置 100B……光源 1000……認証装置 1001……カバーガラス 1002……マイクロレンズアレイ 1003……受光素子群 1004……受光素子駆動部 1005……制御部 1006……発光素子駆動部 20……封止基板 21……基板 22……平坦化層 24……駆動用トランジスタ 241……半導体層 242……ゲート絶縁層 243……ゲート電極 244……ソース電極 245……ドレイン電極 27……導電部(配線) 31……隔壁 32……反射膜 33……腐食防止膜 34……陰極カバー 35……エポキシ層 1100……パーソナルコンピュータ 1102……キーボード 1104……本体部 1106……表示ユニット F……生体

Claims (18)

  1. 下記式()で表わされ化合物であることを特徴とするチアジアゾール系化合物。
    Figure 0005983289
    [前記式(2)中、Aは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、アリールアミノ基またはトリアリールアミンを示す。]
  2. 前記式(2)で表される化合物は、下記式(3)、(4)、(5)のいずれかで表わされる化合物である請求項2に記載のチアジアゾール系化合物。
    Figure 0005983289
    [前記式(3)、(4)、(5)中、Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基を示す。また、隣り合う2つのRの炭素同士が連結して環状をなしていてもよい。]
  3. 請求項1または2に記載のチアジアゾール系化合物を含むことを特徴とする発光素子用化合物。
  4. 陽極と、
    陰極と、
    前記陽極と前記陰極との間に設けられ、請求項1または2に記載のチアジアゾール系化合物を含んで構成された層と、を備えることを特徴とする発光素子。
  5. 前記層は、前記チアジアゾール系化合物をゲスト材料として含むとともに、前記ゲスト材料を保持するホスト材料を含んで構成されている請求項に記載の発光素子。
  6. 前記ホスト材料は、下記式IRH−1で表される化合物である請求項に記載の発光素子。
    Figure 0005983289
    [前記式IRH−1中、nは、1〜12の自然数を示し、Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、アリールアミノ基を示す。]
  7. 前記ホスト材料は、下記式IRH−2で表わされる化合物である請求項に記載の発光素子。
    Figure 0005983289
    [前記式IRH−2中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、アリールアミノ基を示す。また、R〜Rは、互いに同じであっても異なっていてもよい。]
  8. 前記ホスト材料は、下記式IRH−3で表わされる化合物である請求項に記載の発光素子。
    Figure 0005983289
    [前記式IRH−3中、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、アリールアミノ基を示す。また、R、Rは、互いに同じであっても異なっていてもよい。]
  9. 前記ホスト材料は、下記式IRH−4で表される化合物である請求項に記載の発光素子。
    Figure 0005983289
    [前記式IRH−4中、nは、1〜10の自然数を示し、Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、アリールアミノ基を示す。]
  10. 前記ホスト材料は、下記式IRH−5で表わされる化合物である請求項に記載の発光素子。
    Figure 0005983289
    [前記式IRH−5中、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、アリールアミノ基を示す。また、R、Rは、互いに同じであっても異なっていてもよい。]
  11. 前記ホスト材料は、下記式IRH−6で表わされる化合物である請求項に記載の発光素子。
    Figure 0005983289
    [前記式IRH−6中、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、アリールアミノ基を示す。また、R、Rは、互いに同じであっても異なっていてもよい。]
  12. 前記ホスト材料は、下記式IRH−7で表わされる化合物である請求項に記載の発光素子。
    Figure 0005983289
    [前記式IRH−7中、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、アリールアミノ基を示す。また、R、Rは、互いに同じであっても異なっていてもよい。]
  13. 前記ホスト材料は、下記式IRH−8で表わされる化合物である請求項に記載の発光素子。
    Figure 0005983289
    [前記式IRH−8中、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、アリールアミノ基を示す。また、R、Rは、互いに同じであっても異なっていてもよい。]
  14. 前記ホスト材料は、炭素原子および水素原子で構成されている請求項ないし13のいずれか一項に記載の発光素子。
  15. 前記チアジアゾール系化合物は、発光材料として用いられ、
    前記層は、前記陽極と前記陰極との間に通電することにより発光する発光層である請求項ないし14のいずれか一項に記載の発光素子。
  16. 請求項ないし15のいずれか一項に記載の発光素子を備えることを特徴とする発光装置。
  17. 請求項ないし15のいずれか一項に記載の発光素子を備えることを特徴とする認証装置。
  18. 請求項ないし15のいずれか一項に記載の発光素子を備えることを特徴とする電子機器。
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