JP6206345B2 - ハニカム構造体及びハニカム構造体の設計方法 - Google Patents
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Description
特許文献1のハニカム構造体は、複数の双曲線を基にセル壁を形成している。このハニカム構造体において、径方向外側の位置では、双曲線の曲率が大きくなり、形成されたセル孔の形状が大きく歪む場合がある。このセル孔の形状の歪は、径方向外側におけるセル孔の形成密度が小さくなるほど大きくなる。このように、セル孔の形状の歪によって、ハニカム構造体における強度の低下や、排ガスの流量の不均一化が生じるおそれがある。
複数のベースセル壁と、該複数のベースセル壁に囲まれて形成された複数のベースセル孔とを有し、単位面積あたりのセル孔の形成個数を示す形成密度が一様となるように上記複数のベースセル孔が形成されている仮想のベース構造体を形成し、
該ベース構造体の軸方向から見たとき、上記複数のベースセル壁同士が交差する複数のベース交点の位置を、上記ベース構造体の中心点を原点とする1個の動径(r)と1個の偏角(θ)とからなる極座標(r、θ)としてそれぞれ表し、
上記複数のベース交点のうち、動径(r)の大きさが同一の上記ベース交点における、偏角(θ)の大きさを変化させずに、動径(r)に同一の倍率を乗じた主動径(r´)と偏角(θ)とからなる極座標(r´、θ)上に主交点を形成し、
上記ベース交点と対応した上記主交点同士をつなぐ複数の主セル壁と、該複数の主セル壁に囲まれた複数の主セル孔とを形成し、
少なくとも一部には、上記中心点側から外側に向かうにつれて、上記複数の主セル孔の上記形成密度が小さくなる密度変化部を形成することを特徴とするハニカム構造体の設計方法にある。
複数のベースセル壁と、該複数のベースセル壁に囲まれて形成された複数のベースセル孔とを有し、単位面積あたりのセル孔の形成個数を示す形成密度が一様となるように上記複数のベースセル孔が形成されている仮想のベース構造体を形成し、
該ベース構造体の軸方向から見たとき、上記複数のベースセル壁同士が交差する複数のベース交点の位置を、上記ベース構造体の中心点を原点とし1個の動径(r)と1個の偏角(θ)とからなる極座標(r、θ)としてそれぞれ表し、上記複数のベース交点のうち、動径(r)の大きさが同一の上記ベース交点における、偏角(θ)の大きさを変化させずに、動径(r)に同一の倍率を乗じた主動径(r´)と偏角(θ)とからなる極座標(r´、θ)上に形成された主交点と、
上記複数のベースセル壁によって繋げられる上記ベース交点と対応した上記主交点同士をつなぐ複数の主セル壁と、
該複数の主セル壁に囲まれた複数の主セル孔とを有し、
少なくとも一部には、上記中心点側から外側に向かうにつれて上記複数の主セル孔の上記形成密度が小さくなる密度変化部が形成されており、
内燃機関において発生した排ガスを流通する上流側配管と、該上流側配管と連通すると共に該上流側配管よりも直径が大きく上記ハニカム構造体を内包する配置管と、該配置管の下流側に配設され上記ハニカム構造体によって浄化された浄化排ガスを流通する下流側配管とを有する排気管内に配置され、上記ハニカム構造体における径方向内側に形成されたセル孔の上記形成密度が一様な内側構造部と、該内側構造部の径方向外側に形成された上記密度変化部とを有しており、上記ハニカム構造体における外形半径をRm、上記上流側配管の流路半径をR1、上記上流側配管における境界層厚の大きさをδとしたとき、上記内側構造部と上記密度変化部との境界半径R2は、R1−δ≦R2≦1.05R1の関係を満たしていることを特徴とするハニカム構造体にある。
上記設計方法は、かかる点を考慮して、上記ハニカム構造体の少なくとも一部に上記密度変化部を形成する。上記ハニカム構造体においては、径方向外側にて比較的流速が遅く、かつ径方向位置による流速変化も大きくなりやすいことに鑑みて、中心側から径方向外側へ向かうほど上記形成密度を小さくするように設計する。したがって、上記ハニカム構造体における径方向外側に向かうにつれて上記セル孔における流路断面積を増大させることができる。これにより、上記ハニカム構造体の径方向外側における排ガス流量を増大させ、排ガスの流速を均一化することができる。
上記ハニカム構造体及び上記ハニカム構造体の設計方法について、図1〜図5を参照して説明する。
図1に示すごとく、ハニカム構造体1は、複数のセル壁11、21、31と、複数のセル壁11、21、31に囲まれて形成された複数のセル孔12、22、32とを有し、複数のセル孔12、22、32に排ガスを流通させるものである。図2に示すごとく、ハニカム構造体1は、仮想のベース構造体5を基に形成される。仮想のベース構造体5は、複数のベースセル壁51と、複数のベースセル壁51に囲まれて形成された複数のベースセル孔52とを有し、単位面積当たりのセル孔の形成個数を示す形成密度が一様となるようにベースセル孔52が形成されている。
図1及び図5に示すごとく、ハニカム構造体1は、複数のベースセル壁51によって繋げられるベース交点53と対応した主交点13同士をつなぐ複数の主セル壁11と、複数の主セル壁11に囲まれた複数の主セル孔12とを有している。ハニカム構造体1における少なくとも一部には、中心点14側から外側に向かうにつれて複数の主セル孔12の上記形成密度が小さくなる密度変化部2が形成されている。
図3に示すごとく、本例のハニカム構造体1は、自動車のエンジンにおいて発生した排気ガスを浄化するために用いられるものである。ハニカム構造体1は、排気ガスを流通する排気管60の内側に配置されており、ハニカム構造体1と排気管60とによって触媒装置6を形成している。
排気管60は、ハニカム構造体1を内包する配置管62と、配置管62の上流側に設けられた上流側配管61と、下流側に設けられた下流側配管63とを有している。
また、下流側配管63は、円筒形状をなしており、下流側コーン部65との接続部位近傍は、その中心軸が、配置管62の中心軸と同軸となる直線形状に形成されている。
内側構造部3は、円柱状をなしており、格子状に形成された複数の内側主セル壁31と、内側主セル壁31によって区分されると共に軸方向に貫通して形成された複数の内側主セル孔32とを有している。また、各内側主セル孔32は、六角形の断面形状からなり、内側構造部3の上記形成密度は一定である。
ここで、境界層とは、上流側配管61を流通する排ガスにおいて、粘性による影響を強く受ける層のことである。境界層厚δは、例えば、δ=0.371(μ/ρUx)1/5xによって求めることができる。尚、ρは排ガスの密度、μは排ガスの粘性係数、Uは排ガスの流速、xは上流側配管61における上流側コーンまでの直線部長さを示すものであり、本例においてδ=10となる。
まず、図2及び図4に示すごとく、仮想のベース構造体5を形成する。このベース構造体5は、CAD等を用いて机上で作成するものである。ベース構造体5は、複数のベースセル壁51と、複数のベースセル壁51に囲まれて形成された複数のベースセル孔52とを有している。尚、ベース構造体5における複数のベースセル孔52は正六角形をなしており、その上記形成密度は、116個/cm2で一様としてある。
尚、内側構造部3においては、主動径r´の大きさに関わらず、倍率は1とした。つまり、内側構造部3における主交点13は、ベース交点53と同位置に形成されている。
従来、セル孔の上記形成密度が一様なハニカム構造体を触媒装置として用いたとき、一般に、排気ガスの流速は、中心から遠ざかるほど遅くなりやすい。そして、径方向位置による流速変化は、ハニカム構造体の中心に近い領域よりも、遠い領域において大きくなりやすい。
上記設計方法は、かかる点を考慮して、ハニカム構造体1の少なくとも一部に密度変化部2を形成する。ハニカム構造体1においては、径方向外側にて比較的流速が遅く、かつ径方向位置による流速変化も大きくなりやすいことに鑑みて、中心側から径方向外側へ向かうほど上記形成密度を小さくするように設計する。したがって、密度変化部2においては、ハニカム構造体1の径方向外側に向かうにつれて外側セル孔22における流路断面積を増大させることができる。これにより、ハニカム構造体1の径方向外側における排ガス流量を増大させ、排ガスの流速を均一化することができる。
図6に示すごとく、本確認試験においては、実施例及び比較例による排ガスの流速分布の確認を行った。
実施例は、上記実施例1に示したハニカム構造体1と同一の形状を有している。
比較例は、セル孔の上記形成密度が一様となるように形成されたハニカム構造体1である。尚、セル孔の形状及び上記形成密度は、上記実施例1に示したハニカム構造体1における内側構造部3と同一形状である。
実施例及び比較例のいずれにおいても軸方向における長さ寸法は105mmとした。
図6に示すごとく、実線L1は、実線L2に比べて、流速の最大値と最小値との差が小さく、流速が均一化されていることが確認された。
また、実線L1及び実線L2のいずれにおいても、中心点14からの距離が30mm以内においては比較的流速変化が少なく、30mmを超えると流速の変化が大きくなることが確認された。つまり、上流側配管61の流路半径R1に対して、中心点14からの距離が1.05R1を超える範囲において、流速の変化が大きくなっている。
図7及び図8に示すごとく、本例は、実施例1におけるハニカム構造体1の構造を変更した例である。
本例のハニカム構造体1は、その中心から外形半径Rmの間、つまり全体が密度変化部2によって形成されている。
ベース構造体5は、正六角形のベースセル孔52が、81個/cm2の上記形成密度となるように形成されている。
また、倍率Zは、rの4次関数であるZ=ar4−br3+cr2−dr+eの関係式によって導かれる。
その他の構成は実施例1と同様である。
また、本例においても実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
図9及び図10に示すごとく、本例は、実施例2におけるハニカム構造体1の構造を変更した例である。
本例のハニカム構造体1は、その中心から外形半径Rmの間、つまり全体が密度変化部2によって形成されている。
ベース構造体5は、正六角形のベースセル孔52が、46個/cm2の上記形成密度となるように形成されている。また、倍率Zは、rの一次関数であるZ=ar+bの関係式によって導かれる。
その他の構成は実施例2と同様である。
また、本例においても実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
図11に示すごとく、本例は、実施例3におけるハニカム構造体1の構造を変更した例である。
本例のハニカム構造体1は、中心側に形成された密度変化部2と、密度変化部2の径方向外側に形成された外側変化部4とを有している。
ベース構造体5の形状は、実施例3と同様である。また、倍率Zは、rの1次関数であるZ=ar+bの関係式によって導かれる。
その他の構成は、実施例3と同様である。
また、本例においても実施例3と同様の作用効果を得ることができる。
図12及び図13に示すごとく、本例は、実施例3におけるセル孔12、22、32の形状を変更したハニカム構造体1を示すものである。
本例のハニカム構造体1は、その中心から外形半径Rmの間、つまり全体が密度変化部2によって形成されている。
ベース構造体5は、正四角形の主セル孔12が、93個/cm2の上記形成密度となるように形成されている。
また、倍率Zは、rの3次関数であるZ=ar3−br2+cr−dの関係式によって導かれる。
その他の構成は実施例1と同様である。
11、21、31 主セル壁
12、22、32 主セル孔
13 主交点
14 中心点
2 密度変化部
5 ベース構造体
51 ベースセル壁
52 ベースセル孔
53 ベース交点
θ 偏角
r 動径
r´ 主動径
Claims (7)
- 複数のセル壁(11、21、31)と、該複数のセル壁(11、21、31)に囲まれて形成された複数のセル孔(12、22、32)とを有し、該複数のセル孔(12、22、32)に排ガスを流通させるハニカム構造体(1)の設計方法であって、
複数のベースセル壁(51)と、該複数のベースセル壁(51)に囲まれて形成された複数のベースセル孔(52)とを有し、単位面積あたりのセル孔の形成個数を示す形成密度が一様となるように上記複数のベースセル孔(52)が形成されている仮想のベース構造体(5)を形成し、
該ベース構造体(5)の軸方向から見たとき、上記複数のベースセル壁(51)同士が交差する複数のベース交点(53)の位置を、上記ベース構造体(5)の中心点(14)を原点とする1個の動径(r)と1個の偏角(θ)とからなる極座標(r、θ)としてそれぞれ表し、
上記複数のベース交点(53)のうち、動径(r)の大きさが同一の上記ベース交点(53)における、偏角(θ)の大きさを変化させずに、動径(r)に同一の倍率を乗じた主動径(r´)と偏角(θ)とからなる極座標(r´、θ)上に主交点(13)を形成し、
上記ベース交点(53)と対応した上記主交点(13)同士をつなぐ複数の主セル壁(11、21、31)と、該複数の主セル壁(11、21、31)に囲まれた複数の主セル孔(12、22、32)とを形成し、
少なくとも一部には、上記中心点(14)側から外側に向かうにつれて、上記複数の主セル孔(12、22、32)の上記形成密度が小さくなる密度変化部(2)を形成することを特徴とするハニカム構造体(1)の設計方法。 - 上記主交点(13)の極座標(r´、θ)における主動径(r´)は、ベース交点(53)の極座標(r、θ)の動径(r)の関数によって決定することを特徴とする請求項1に記載のハニカム構造体(1)の設計方法。
- 内燃機関において発生した排ガスを流通する上流側配管(61)と、該上流側配管(61)と連通すると共に該上流側配管(61)よりも直径が大きく上記ハニカム構造体(1)を内包する配置管(62)と、該配置管(62)の下流側に配設され上記ハニカム構造体(1)によって浄化された浄化排ガスを流通する下流側配管(63)とを有する排気管(60)内に配置され、上記ハニカム構造体(1)における径方向内側に形成されたセル孔(12、22、32)の上記形成密度が一様な内側構造部(3)と、該内側構造部(3)の径方向外側に形成された上記密度変化部(2)とを有しており、上記ハニカム構造体(1)における外形半径をRm、上記上流側配管(61)の流路半径をR1、上記上流側配管(61)における境界層厚の大きさをδとしたとき、上記内側構造部(3)と上記密度変化部(2)との境界半径R2は、R1−δ≦R2≦1.05R1の関係を満たすように決定することを特徴とする請求項1又は2に記載のハニカム構造体(1)の設計方法。
- 上記密度変化部(2)の径方向外側の位置に、上記中心点(14)側から外側に向かうにつれて主セル孔(12、22、32)の上記形成密度が大きくなる外側変化部(4)を形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のハニカム構造体(1)の設計方法。
- 複数のセル壁(11、21、31)と、該複数のセル壁(11、21、31)に囲まれて形成された複数のセル孔(12、22、32)とを有し、該複数のセル孔(12、22、32)に排ガスを流通させるハニカム構造体(1)であって、
複数のベースセル壁(51)と、該複数のベースセル壁(51)に囲まれて形成された複数のベースセル孔(52)とを有し、単位面積あたりのセル孔の形成個数を示す形成密度が一様となるように上記複数のベースセル孔(52)が形成されている仮想のベース構造体(5)を形成し、
該ベース構造体(5)の軸方向から見たとき、上記複数のベースセル壁(51)同士が交差する複数のベース交点(53)の位置を、上記ベース構造体(5)の中心点(14)を原点とし1個の動径(r)と1個の偏角(θ)とからなる極座標(r、θ)としてそれぞれ表し、上記複数のベース交点(53)のうち、動径(r)の大きさが同一の上記ベース交点(53)における、偏角(θ)の大きさを変化させずに、動径(r)に同一の倍率を乗じた主動径(r´)と偏角(θ)とからなる極座標(r´、θ)上に形成された主交点(13)と、
上記複数のベースセル壁(51)によって繋げられる上記ベース交点(53)と対応した上記主交点(13)同士をつなぐ複数の主セル壁(11、21、31)と、
該複数の主セル壁(11、21、31)に囲まれた複数の主セル孔(12、22、32)とを有し、
少なくとも一部には、上記中心点(14)側から外側に向かうにつれて上記複数の主セル孔(12、22、32)の上記形成密度が小さくなる密度変化部(2)が形成されており、
内燃機関において発生した排ガスを流通する上流側配管(61)と、該上流側配管(61)と連通すると共に該上流側配管(61)よりも直径が大きく上記ハニカム構造体(1)を内包する配置管(62)と、該配置管(62)の下流側に配設され上記ハニカム構造体(1)によって浄化された浄化排ガスを流通する下流側配管(63)とを有する排気管(60)内に配置され、上記ハニカム構造体(1)における径方向内側に形成されたセル孔(12、22、32)の上記形成密度が一様な内側構造部(3)と、該内側構造部(3)の径方向外側に形成された上記密度変化部(2)とを有しており、上記ハニカム構造体(1)における外形半径をRm、上記上流側配管(61)の流路半径をR1、上記上流側配管(61)における境界層厚の大きさをδとしたとき、上記内側構造部(3)と上記密度変化部(2)との境界半径R2は、R1−δ≦R2≦1.05R1の関係を満たしていることを特徴とするハニカム構造体(1)。 - 上記主交点(13)の極座標(r´、θ)における主動径(r´)は、ベース交点(53)の極座標(r、θ)の動径(r)の関数によって決定されていることを特徴とする請求項5に記載のハニカム構造体(1)。
- 上記密度変化部(2)の径方向外側の位置に、上記中心点(14)側から外側に向かうにつれて主セル孔(12、22、32)の上記形成密度が大きくなる外側変化部(4)が形成されていることを特徴とする請求項5又は6に記載のハニカム構造体(1)。
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