JP6205960B2 - 軸受用鋼 - Google Patents
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C:0.4〜1.0%、
Si:0.75〜3.0%、
Mn:0.55〜3.0%、
Al:0.005〜0.50%、
V:0.001〜0.1%、
を含有し、
P:0.015%以下、
S:0.015%以下、
に制限し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、下記(式1)で求められるマルテンサイト変態開始温度Msが100〜220℃であり、ビッカース硬さが700Hvになるように焼入れ処理及び焼戻し処理を行った後の金属組織において、円換算粒径が0.2〜2.0μmの残留オーステナイトの密度が、10個/100μm 2 以上であることを特徴とする軸受用鋼。
Ms=539−423[C%]−30[Mn%]−11[Si%] ・・・(式1)
ここで、[X%]は、元素Xの含有量である。
[2] 更に、残部のFeの一部に換えて、質量%で、
Cr:0.01〜3.0%、
Mo:0.001〜2.0%、
Ni:0.001〜3.0%、
Cu:0.001〜3.0%
Ti:0.001〜0.1%、
の1種又は2種以上を含有し、
前記(式1)に代えて、下記(式2)で求められるマルテンサイト変態開始温度Msが、100〜220℃であることを特徴とする上記[1]に記載の軸受用鋼。
Ms=539−423[C%]−30[Mn%]−11[Si%]−12[Cr%]
−7[Mo%]−18[Ni%]−18[Cu%] ・・・(式2)
ここで、上記(式2)において、[X%]は元素Xの含有量であり、含有しない元素が存在する場合は、該当する元素の含有量を0としてMsを求める。
[3] ビッカース硬さが700Hvになるように焼入れ処理、焼戻し処理を行った後の金属組織において、体積分率最大の相が焼戻しマルテンサイトであり、残留オーステナイトの体積分率が5〜40%であることを特徴とする上記[1]又は[2]に記載の軸受用鋼。
Cは、焼入れ処理、焼戻し処理によって、軸受の硬さを上昇させるために必要な元素であり、焼入れ処理後の残留オーステナイトの生成にも寄与する。軸受の硬さを確保するためには、C量を0.4%以上にする必要がある。好ましくは、C量を0.5%以上とし、より好ましくは0.6%以上とする。一方、C量が過剰であると、残留オーステナイト量が過剰になり、硬さや寸法安定性が低下するため、C量の上限を1.0%とする。好ましくはC量を0.9%以下とする。
Siは、焼入れ処理によって生成する残留オーステナイトを安定化させる、非常に重要な元素である。焼戻し処理による残留オーステナイトの減少を抑制し、微細な残留オーステナイトを均一に分散させるために、本発明ではSi量を0.75%以上とする。好ましくはSi量を1.0%以上とし、より好ましくは1.2%以上とする。一方、Si量が過剰であると、鋼材の脆化が顕著になるため、Si量の上限を3.0%とする。好ましくは、Si量を2.5%以下とし、より好ましくは、2.3%以下とする。
Mnは、焼入れ性の向上及び残留オーステナイトの増加に有効な元素である。軸受の硬さ及び残留オーステナイトを確保するためには、Mn量を0.55%以上にすることが必要である。Mn量は0.60%以上が好ましく、より好ましくは0.65%以上を添加する。一方、Mn量が過剰であると、残留オーステナイト量が過剰になり、硬さや寸法安定性が低下するため、Mn量の上限を3.0%とする。好ましくは、Mn量の上限を2.5%以下とし、より好ましくは2.0%以下とする。
Alは、脱酸元素であり、軸受用鋼を高清浄度化するため、0.005%以上を添加する。好ましくは、Al量を0.010%以上とする。一方、Al量が0.50%より多いと、破壊起点となる粗大な介在物を生成しやすくなるため、Al量の上限を0.50%とする。好ましくは、Al量を0.10%以下とし、より好ましくは、0.05%以下とする。
Pは、不純物であり、鋼材の脆化を抑制するために、P量を0.015%以下とする。
Sは、不純物であり、鋼材の脆化を抑制するために、S量を0.015%以下とする。
Crは、焼入れ性の向上及び残留オーステナイトの増加のために、0.01%以上を添加することが好ましい。より好ましくは、Cr量を0.30%以上とする。ただし、過剰に添加すると、残留オーステナイトに起因して、軸受の硬さや寸法安定性が低下することがあるため、Cr量は3.0%以下が好ましい。より好ましくは、Cr量を2.5%以下とし、さらに好ましくは、Cr量を2.0%以下とする。
Moは、微量の添加で焼入れ性の向上に寄与する元素であり、また、残留オーステナイトを増加させるために、0.001%以上を添加することが好ましい。より好ましくは、Mo量を0.05%以上とし、さらに好ましくは0.15%以上とする。ただし、過剰に添加すると、残留オーステナイトに起因して、軸受の硬さや寸法安定性が低下することがあるため、Mo量を2.0%以下にすることが好ましい。より好ましくは、Mo量を1.0%以下とし、さらに好ましくは、Mo量を0.50%以下とする。
Niは、オーステナイト生成元素であり、焼入れ性の向上にも寄与する。軸受の硬さの上昇及び残留オーステナイトの増加のために、0.001%以上のNiを添加することが好ましい。より好ましくは、Ni量を0.40%以上とし、さらに好ましくは1.0%以上とする。ただし、過剰に添加すると、残留オーステナイトに起因して、軸受の硬さや寸法安定性が低下することがあるため、Ni量を3.0%以下にすることが好ましい。より好ましくは、Ni量を2.0%以下とする。
Cuは、Niと同様、オーステナイト生成元素であり、焼入れ性の向上にも寄与することから、軸受の硬さの上昇及び残留オーステナイトの増加のために、0.001%以上を添加することが好ましい。より好ましくは、Cu量を0.20%以上とし、さらに好ましくは0.50%以上とする。ただし、過剰に添加すると、残留オーステナイトに起因して、軸受の硬さや寸法安定性が低下することがあるため、Cu量を3.0%以下にすることが好ましい。より好ましくは、Cu量を2.0%以下とし、さらに好ましくは、Cu量を1.0%以下とする。
Tiは、熱処理中のオーステナイト結晶粒の粗大化抑制に有効な元素であり、0.001%以上を添加することが好ましい。より好ましくは、Ti量を0.01%以上とする。ただし、過剰に添加すると鋼材を脆化させるため、Ti量を0.1%以下にすることが好ましい。より好ましくは、Ti量を0.05%以下とする。
Vは、熱処理中のオーステナイト結晶粒の粗大化抑制に有効な元素であり、0.001%以上を添加することが好ましい。より好ましくは、V量を0.01%以上とする。ただし、過剰に添加すると粗大化抑制効果が失われるため、V量を0.1%以下にすることが好ましい。より好ましくは、V量を0.05%以下とする。
Ms=539−423[C%]−30[Mn%]−11[Si%]−12[Cr%]−7[Mo%]−18[Ni%]−18[Cu%]
・・・(式2)
ここで、上記(式1)及び(式2)において、[X%]は、元素Xの含有量(質量%)である。また、上記(式2)において、含有しない元素が存在する場合は、該当する元素の含有量を0としてMsを求める。
Claims (3)
- 質量%で、
C:0.4〜1.0%、
Si:0.75〜3.0%、
Mn:0.55〜3.0%、
Al:0.005〜0.50%、
V:0.001〜0.1%、
を含有し、
P:0.015%以下、
S:0.015%以下、
に制限し、
残部がFe及び不可避的不純物からなり、
下記(式1)で求められるマルテンサイト変態開始温度Msが、100〜220℃であり、
ビッカース硬さが700Hvになるように焼入れ処理及び焼戻し処理を行った後の金属組織において、円換算粒径が0.2〜2.0μmの残留オーステナイトの密度が、10個/100μm 2 以上である
ことを特徴とする、軸受用鋼。
Ms=539−423[C%]−30[Mn%]−11[Si%]
・・・ (式1)
ここで、上記(式1)において、[X%]は元素Xの含有量である。
- 更に、残部のFeの一部に換えて、質量%で、
Cr:0.01〜3.0%、
Mo:0.001〜2.0%、
Ni:0.001〜3.0%、
Cu:0.001〜3.0%
Ti:0.001〜0.1%、
の1種又は2種以上を含有し、
前記(式1)に代えて、下記(式2)で求められるマルテンサイト変態開始温度Msが、100〜220℃であることを特徴とする、請求項1に記載の軸受用鋼。
Ms=539−423[C%]−30[Mn%]−11[Si%]−12[Cr%]
−7[Mo%]−18[Ni%]−18[Cu%] ・・・ (式2)
ここで、上記(式2)において、[X%]は元素Xの含有量であり、含有しない元素が存在する場合は、該当する元素の含有量を0としてMsを求める。 - ビッカース硬さが700Hvになるように焼入れ処理及び焼戻し処理を行った後の金属組織において、
体積分率最大の相が焼戻しマルテンサイトであり、残留オーステナイトの体積分率が5〜40%である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の軸受用鋼。
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JP2013162713A JP6205960B2 (ja) | 2013-08-05 | 2013-08-05 | 軸受用鋼 |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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