JP5533712B2 - 表面硬化用熱間加工鋼材 - Google Patents

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Description

本発明は、表面硬化用熱間加工鋼材に関する。詳しくは、本発明は、冷間鍛造性が高く、冷間鍛造前の軟化焼鈍を省略することができるとともに、浸炭または浸炭窒化時のオーステナイト結晶粒粗大化防止特性にも優れる表面硬化用熱間加工鋼材に関する。
従来、シャフト、ギヤ等の浸炭または浸炭窒化処理が施された表面硬化部品は、いわゆる肌焼鋼を素材として用い、「軟化焼鈍―伸線」または「伸線―軟化焼鈍―スキンパス」による鋼線の製造、冷間鍛造および機械加工を経て所定の形状に形成され、次いで浸炭または浸炭窒化、焼入れおよび焼戻しの各処理を順次行うことによって製造されており、これにより、疲労強度、耐摩耗性等の特性を改善された前記部品を得ている。
しかしながら、冷間鍛造前の軟化焼鈍には多大なコストがかかる。このため、軟化焼鈍を省略しても容易に冷間鍛造することができる鋼材が求められている。
さらに、冷間鍛造される上記の肌焼鋼素材は、浸炭または浸炭窒化時の粗大なオーステナイト結晶粒の発生を防止することが課題である。
このため、例えば、特許文献1〜3に、種々の技術が提案されている。
具体的には、特許文献1に、特定の要件を満たすNb炭化物、Nb炭窒化物、Ti炭化物、Nb−Ti炭化物およびNb−Ti複合炭窒化物よりなる群から選択される少なくとも一種を含有する「高温浸炭時の結晶粒粗大化防止特性に優れた熱間圧延材」が提案されている。
特許文献2には、特定の要件を満たす炭化物および/または炭窒化物の個数密度を制御するとともに、横断面内におけるビッカース硬さの平均値が180以下、かつビッカース硬さの標準偏差の最大値が5以下の「耐結晶粒粗大化特性と冷間加工性に優れた軟化焼鈍の省略可能な肌焼用鋼」とその製法が提案されている。
特許文献3には、Nbの析出物、Tiの析出物、またはNbとTiの複合組成からなる析出物の個数密度、硬さ指数Hおよび脱炭深さ(DM−T)を規定する「冷間加工性と浸炭時の粗大粒防止特性に優れた肌焼用鋼材」とその製造方法が提案されている。
特開2007−321211号公報 特開2006−307271号公報 特開2004−183064号公報
特許文献1で提案された熱間圧延材は、表面疵について配慮されていない。このため、冷間鍛造時の割れを減らすことができるというものではない。
特許文献2で提案された肌焼用鋼は、その実施例に記載されているように、軟化焼鈍の省略と優れた冷間加工性の確保の両立ができていないのが現状である。
特許文献3で提案された肌焼用鋼材も、安定的な表面キズ対策がなされていない。このため、キズのある素材を冷間鍛造すれば、割れが生じる可能性がある。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたもので、浸炭または浸炭窒化時に発生するオーステナイト結晶粒粗大化を抑制することが可能であり、かつ良好な冷間鍛造性を有するために軟化焼鈍を省略することができる表面硬化用熱間加工鋼材を提供することを目的とする。
本発明者らは、冷間鍛造が施される表面硬化用熱間加工鋼材の浸炭または浸炭窒化時に発生するオーステナイト結晶粒粗大化(以下、「結晶粒粗大化」ともいう。)について研究を重ねた。
その結果、結晶粒粗大化が、熱間圧延や熱間鍛造等、熱間加工後のNbの析出量、粗大なNb析出物の個数密度およびフェライト結晶粒度の標準偏差と相関を有することを見出した。なお、「フェライト結晶粒度」とは、フェライト結晶粒の大きさを指し、粒度番号で表示される。
さらに、本発明者らは、冷間鍛造時の割れの抑制についても研究を重ねた。その結果、冷間鍛造時の割れが、鋼中の水素含有量およびフェライト結晶粒度の標準偏差と相関を有することを見出した。
具体的には、熱間加工後、
鋼中のNbのうちでNb(C、N)として析出しているNbの割合が、85%以上、
直径100nm以上の粗大なNb(C、N)の個数密度が、5個/100μm2以下、
フェライト結晶粒度の標準偏差が0.15以下、
鋼材中の水素含有量が、0.4ppm以下、
であれば、冷間鍛造が施される表面硬化用熱間加工鋼材の浸炭または浸炭窒化時の耐結晶粒粗大化特性および冷間鍛造性を向上できることを見出した。
本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものであり、その要旨は、下記(1)〜(3)に示す表面硬化用熱間加工鋼材にある。
(1)質量%で、
C:0.10〜0.30%、
Si:0.50%以下、
Mn:0.15〜1.5%、
P:0.04%以下、
S:0.005〜0.07%、
Cr:0.7〜3.0%、
Al:0.01〜0.05%、
N:0.007〜0.030%、
Nb:0.02〜0.07%および
H:0.00004%以下、
を含有し、残部がFeおよび不純物からなる化学組成を有し、
鋼中のNbのうちでNb(C、N)として析出しているNbの割合が、85%以上、
直径100nm以上のNb(C、N)の個数密度が、5個/100μm2以下で、かつ
フェライト結晶粒度の標準偏差が0.15以下、
であることを特徴とする、表面硬化用熱間加工鋼材。
(2)Feの一部に代えて、質量%で、
Mo:0.50%以下および
V:0.20%以下
のうちの1種以上を含有することを特徴とする、上記(1)に記載の表面硬化用熱間加工鋼材。
(3)Feの一部に代えて、質量%で、
Ti:0.10%以下
を含有することを特徴とする、上記(1)または(2)に記載の表面硬化用熱間加工鋼材。
Nb(C、N)の「直径」とは、長径と短径の算術平均を指す。
本発明の表面硬化用熱間加工鋼材は、冷間鍛造後の浸炭または浸炭窒化時に発生する結晶粒粗大化を抑制することが可能であり、かつ良好な冷間鍛造性を有するために軟化焼鈍を省略することができるので、シャフト、ギヤ等の表面硬化部品の素材として好適である。
以下、本発明の各要件について詳しく説明する。なお、各元素の含有量の「%」は「質量%」を意味する。
(A)化学組成:
C:0.10〜0.30%
Cは、シャフト、ギヤ等の表面硬化部品の生地の強度を確保するのに必要な元素であり、その含有量が0.10%未満では添加効果に乏しい。一方、その含有量が0.30%を超えると、前記表面硬化部品の生地の靱性が低下する。したがって、Cの含有量を0.10〜0.30%とした。Cの含有量は0.12%以上とすることが望ましく、また0.25%以下とすることが望ましい。
Si:0.50%以下
Siは、脱酸作用を有する元素であるが、含有量が過剰になると加工性の低下をきたすほか、表面硬化部品の表面部に粒界酸化層を生成させて疲労強度の低下を招く。そのため、上限を設け、Siの含有量は0.50%以下とした。望ましいSiの含有量は0.35%以下である。なお、脱酸作用を安定して確保するためにはSiの含有量は0.05%以上とすることが望ましい。
Mn:0.15〜1.5%
Mnは、焼入れ性を向上させる作用を有する。この効果を得るには、0.15%以上のMn含有量が必要である。しかしながら、Mnの含有量が1.5%を超えると、被削性および機械加工性(切削性)が低下する。したがって、Mnの含有量を0.15〜1.5%とした。Mnの含有量は0.30%以上とすることが望ましく、また1.2%以下とすることが望ましい。
P:0.04%以下
Pは、靱性を低下させる不純物であり、その含有量が多いと靱性の低下が著しいため、Pの含有量は0.04%以下とした。Pの含有量は0.03%以下とすることが望ましい。
S:0.005〜0.07%
Sは、被削性を向上させる作用を有する。この効果を得るには、0.005%以上のS含有量が必要である。しかしながら、Sの含有量が0.07%を超えると、冷間鍛造性および熱間加工性が低下するとともに、シャフト、ギヤ等の表面硬化部品における表面硬化層の靱性も低下する。したがって、Sの含有量を0.005〜0.07%とした。Sの含有量は0.01%以上とすることが望ましく、また0.05%以下とすることが望ましい。
Cr:0.7〜3.0%
Crは、シャフト、ギヤ等の表面硬化部品の生地の焼入れ性を向上させる効果を有する。上記の効果を得るためには、0.7%以上のCrを含有させる必要がある。しかしながら、Crの含有量が3.0%を超えると、素材の被削性が劣化する。したがって、Crの含有量を0.7〜3.0%とした。Crの含有量は0.9%以上とすることが望ましく、また2.5%以下とすることが望ましい。
Al:0.01〜0.05%
Alは、脱酸作用を有する元素であり、脱酸剤として鋼に0.01%以上の量を含有させる。しかしながら、Alの含有量が0.05%を超えると、疲労破壊の起点となる巨大なアルミナ介在物を生成し、疲労強度を低下させる場合がある。したがって、Alの含有量を0.01〜0.05%とした。Alの含有量は0.02%以上とすることが望ましく、また0.04%以下とすることが望ましい。
N:0.007〜0.030%
Nは、Cとともに、NbおよびTiと結合して炭窒化物を形成し、オーステナイト領域での結晶粒粗大化を抑制する作用がある。この効果を得るために、Nの含有量を0.007%以上とする。しかしながら、Nを過剰に含有すると冷間鍛造性の低下をきたしてしまう。そのため、Nの含有量を0.007〜0.030%とした。Nの含有量は0.010%以上とすることが望ましく、また0.025%以下とすることが望ましい。
Nb:0.02〜0.07%
Nbは、CおよびNとともに炭窒化物を形成し、その粒界ピン止め作用によってオーステナイト粒の粗大化を抑制する作用を有する。しかしながら、Nbの含有量が0.02%未満では、耐粗粒化効果が乏しく、0.07%を超えると、冷間鍛造性の低下を招く。そのため、Nbの含有量を0.02〜0.07%とした。Nbの含有量は0.025%以上とすることが望ましく、また0.060%以下とすることが望ましい。
H:0.00004%以下
鋼材中のH(水素)の含有量が0.00004%を超えた場合、分塊圧延後に表皮下および内部に微細な割れが発生することが多くなり、この割れは棒鋼圧延等熱間での圧延後にもキズとして残存し、冷間鍛造時にそのキズが開くことにより、割れが発生する。したがって、良好な冷間鍛造特性を得るためには、Hの含有量はなるべく低いことが好ましいので、上限を設け、0.00004%以下とした。好ましいHの含有量は、0.00003%以下である。
本発明の表面硬化用熱間加工鋼材の一つは、上記元素のほか、残部がFeおよび不純物からなる化学組成を有するものである。
残部としての「Feおよび不純物」における「不純物」とは、鉄鋼材料を工業的に製造する際に、原料としての鉱石、スクラップ等、あるいは環境などから混入するものを指す。
本発明の表面硬化用熱間加工鋼材の他の一つは、Feの一部に代えて、下記の量のMo、VおよびTiのうちの1種以上を含有する化学組成を有するものである。
以下、任意元素である上記Mo、VおよびTiの作用効果と、含有量の限定理由について説明する。
MoおよびVは、いずれも、焼入れ性を高める作用を有するので、必要に応じて、これらの元素を含有させてもよい。
Mo:0.50%以下
Moは、焼入れ性およびシャフト、ギヤ等の表面硬化部品における生地の硬さを向上させる作用を有する。これらの効果を得るためにMoを含有してもよい。しかし、Moの含有量が過剰になると、冷間加工性が低下する。したがって、含有させる場合のMoの量に上限を設け、0.50%以下とした。含有させる場合の望ましいMoの量は0.40%以下である。
一方、前記したMoの効果を安定して得るためには、含有させる場合のMoの量は、0.05%以上であることが望ましい。
V:0.20%以下
Vは、少量の含有によって、焼入れ性および焼戻し軟化抵抗を高める作用がある。これらの効果を得るためにVを含有してもよい。しかしながら、Vの含有量が0.20%を超えると、冷間鍛造性の低下を招く。したがって、含有させる場合のVの量を0.20%以下とした。含有させる場合のVの量は0.15%以下であることが望ましい。
一方、前記したVの効果を安定して得るためには、含有させる場合のVの量は、0.010%以上であることが望ましい。
上記のMoおよびVは、そのうちのいずれか1種のみ、または2種の複合で含有させることができる。MoとVを複合して含有させる場合の合計量は、MoおよびTiの含有量がそれぞれ上限値である場合の0.70%であってもよいが、0.50%以下とすることが好ましい。
Ti:0.10%以下
Tiは、CおよびNとともに炭窒化物を形成し、その粒界ピン止め作用によって粗粒化を抑制する作用を有する。この効果を得るためにTiを含有してもよい。しかしながら、Tiの含有量が0.10%を超えると、冷間鍛造性の低下を招く。したがって、含有させる場合のTiの量を0.10%以下とした。含有させる場合のTiの量は0.070%以下であることが望ましい。
一方、前記したTiの効果を安定して得るためには、含有させる場合のTiの量は、0.005%以上であることが望ましい。
(B)鋼中のNbのうちでNb(C、N)として析出しているNbの割合:
鋼中のNbのうちでNb(C、N)として析出しているNbの割合が85%未満の場合には、浸炭または浸炭窒化時のオーステナイト結晶粒の粗大化を抑制する効果が不十分である。上記のNbの割合は、90%以上であることが好ましく、高ければ高いほどより好ましい。
(C)直径100nm以上のNb(C、N)の個数密度:
直径100nm以上のNb(C、N)が5個/100μm2を超えて存在すると、浸炭または浸炭窒化時に析出物のオストワルド成長が促進され、結晶粒粗大化抑制に効果的な微細析出物が消失してしまい、粗大化防止特性が劣化する。上記の直径100nm以上のNb(C、N)の個数密度は、4個/100μm2以下であることが好ましく、また全く存在しないことが最も好ましい。
(D)フェライト結晶粒度の標準偏差:
フェライト結晶粒度の標準偏差が0.15以下であれば、オーステナイトへ変態するときのフェライト結晶粒のばらつきが少ないので、均一にオーステナイトへ変態し、粗大なオーステナイト結晶粒を生じにくい。フェライト結晶粒度の標準偏差は、0.12以下であることが好ましく、また0が最も好ましい。
なお、本発明の表面硬化用熱間加工鋼材の組織は、特に規定するものではないが、フェライトとパーライトの混合組織(以下、「フェライト・パーライト組織」という。)の面積分率が70%未満であると冷間鍛造性が低くなり、球状化焼鈍を省略することができなくなる可能性がある。このため、フェライト・パーライト組織の面積分率は、70%以上であることが好ましく、75%以上であれば一層好ましい。上記フェライト・パーライト組織の面積分率は、100%であることが最も好ましい。
(E)本発明の表面硬化用熱間加工鋼材の製造方法の例
前記(A)項で述べた化学組成を有する鋼を溶製して、連続鋳造法あるいは鋼塊法によって鋳片あるいはインゴットを得、これらに、例えば、次の〈1〉〜〈5〉の工程を施すことによって、上記(B)〜(D)項で述べた「鋼中のNbのうちでNb(C、N)として析出しているNbの割合」、「直径100nm以上のNb(C、N)の個数密度」および「フェライト結晶粒度の標準偏差」の本発明に係る表面硬化用熱間加工鋼材を製造することができる。
〈1〉分塊圧延前に、1250〜1350℃の温度で、5〜10時間の均熱処理を施す。
〈2〉均熱処理した鋳片またはインゴットを、仕上圧延温度を1000〜900℃として分塊圧延する。
〈3〉分塊の仕上圧延後、0.2℃/秒以下の冷却速度で室温まで冷却する。
〈4〉上記のようにして冷却した鋼材を750〜950℃の温度で10〜120分加熱した後、仕上圧延温度を950〜800℃として熱間圧延する。
〈5〉熱間圧延仕上温度から0.5℃/秒以上の冷却速度で室温まで冷却する。
上記〈1〉の工程における、分塊圧延前の1250〜1350℃の温度で、5〜10時間均熱処理することによって、Nb(C、N)の析出物を母材(生地)に固溶することができる。
〈3〉の分塊の仕上圧延後、0.2℃/秒以下の冷却速度で室温まで冷却することによって、Nb(C、N)を再析出させることができ、また鋼材内のH含有量を低減することができる。
その後さらに、〈4〉の750〜950℃の温度で10〜120分加熱した後、仕上圧延温度を950〜800℃として熱間圧延し、〈5〉の熱間圧延仕上温度から0.5℃/秒以上の冷却速度で室温まで冷却することによって、分塊圧延後の冷却で再析出した微細Nb(C、N)を固溶させず、さらに成長させずに冷却することができるので、微細なNb(C、N)を析出させることができる。
上記の各処理における加熱および均熱の温度は炉温を示し、圧延温度および冷却速度は鋼材表面の温度および冷却速度を示す。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。
表1に示す化学組成を有する鋼A〜Kを70トン転炉で溶製し、連続鋳造して鋳片を作製した。
Figure 0005533712
このようにして得た鋳片を、1300℃に加熱して10時間保持してから、分塊圧延して、180mm角のビレットとした。なお、分塊圧延後の表面温度において、1300℃から900℃までの冷却を、鋼A〜Hでは0.05℃/秒の冷却速度で行い、鋼I〜Kでは0.3℃/秒の冷却速度で行った。
上記180mm角のビレットを、表2に示す温度(780〜1195℃)で60分間加熱した後、表2に示す仕上温度(840〜1040℃)で熱間鍛造し、直径30mmの丸棒を作製した。
なお、熱間鍛造後の直径30mmの丸棒は、表2に示す冷却速度(0.2〜1.3℃/秒)で室温まで冷却した。
Figure 0005533712
このようにして得た直径30mmの各丸棒から試験片を切り出し、下記〔1〕〜〔7〕に示す各調査を行った。
〔1〕Hの含有量:
直径30mmの丸棒のR/2部(「R」は丸棒の半径を表す。)から、5gのH分析用試料を採取した。H分析用試料は、採取後、Hの含有量を測定するまでの間、ドライアイスまたは液体窒素により冷却した。Hの含有量は、試験片を室温から800℃まで昇温した際に、放出されたH量の合計として、ガスクロマトグラフィー法にて測定した。
〔2〕鋼中のNbのうちでNb(C、N)として析出しているNbの割合:
直径30mmの丸棒の中心部から、直径14mmで高さが21mmの円柱状試験片を削り出し、下記[1]〜[6]の手順で、抽出残渣法によって、目開き0.2μmメッシュのフィルターで捕集された残渣中のNb量を測定することによって、鋼中のNbのうちでNb(C、N)として析出しているNbの割合を求めた。
[1]10%アセチルアセトン−1%テトラメチルアンモニウムクロリド−メタノール溶液による電解によって試験片を溶解し、Nbの析出物を試験片表面に露出させる。
[2]超音波によって、エタノール中でNbの析出物を剥離させ、吸引濾過によってフィルター上にNb析出物残渣を捕集する。
[3]捕集した残渣を白金坩堝中に入れてバーナで焼き、炭酸ナトリウムと四硼酸ナトリウムのアルカリ融剤を添加した後、さらにバーナで焼いて、Nbの析出物残渣を含むガラスを作製する。
[4]上記ガラスを塩酸を含む水溶液で溶かし、ICP発光分析によって抽出残渣中のNbの質量を定量する。
[5]「抽出残渣中のNbの質量」を、「(上記電解前の試験片の質量)−(上記析出物剥離後の試験片の質量)」で除し、Nb(C、N)として析出しているNbの鋼中含有率を算出する。
[6]上記[5]で算出した析出Nbの含有率(百分率換算)を、表1に示すNbの含有率で除し、百分率換算したものを、鋼中のNbのうちでNb(C、N)として析出しているNbの割合とした。
〔3〕直径100nm以上のNb(C、N)の個数密度:
直径30mmの丸棒について、横断面から、一般的な方法で抽出レプリカ試料を作製し、透過型電子顕微鏡を用いて、倍率30000倍、1視野あたりの面積6μm2で、ランダムに20視野観察した。
観察において、Nb(C、N)の長径と短径を算術平均して「直径」を求め、次いで、面積100μm2あたりについて、直径が100nm以上のNb(C、N)の個数密度を求めた。
〔4〕ミクロ組織とフェライト結晶粒度の標準偏差:
直径30mmの丸棒を横断した後、切断面を鏡面研磨して、ナイタールで腐食を行った。その後、光学顕微鏡で400倍の倍率で、R/2部をランダムに16箇所観察して、「相」を同定するとともにフェライト・パーライト組織の面積分率を測定し、さらに、フェライト結晶粒度を測定した。
フェライト結晶粒度は、JIS G0551(2005)に準じ、切断法による評価方法によって求めた。
得られたフェライト結晶粒度の結果から、フェライト結晶粒度の標準偏差を求めた。
〔5〕耐粗粒化温度:
直径30mmの丸棒の中心部から、直径14mmで高さが21mmの円柱状試験片を削り出し、これを高さ方向で75%冷間圧縮した。次いで、冷間鍛造後の浸炭または浸炭窒化を模擬するために、上記の高さ方向に75%の圧縮加工を施した試験片を、大気雰囲気で880〜1020℃の各温度に加熱して3時間保持し、その後、水冷した。
このようにして得られた試験片を中心軸を含む面で縦断した後、切断面を鏡面研磨し、アルカリ性ピクリン酸ナトリウムで腐食した。
次いで、旧オーステナイト結晶粒度の測定をJIS G 0551(2005)に準じ400倍の倍率で行い、結晶粒度標準図との比較による評価方法によって、最大のオーステナイト結晶粒度番号を調査した。
JISに規定される粒度番号で4番以下の粗大なオーステナイト粒が存在しない最高加熱温度を「耐粗粒化温度」とした。
〔6〕ビッカース硬さ:
直径30mmの丸棒を横断した後、切断面を鏡面研磨し、R/2部を、試験力を9.807Nとして8点測定し、算術平均してビッカース硬さ(以下、「HV硬さ」という。)を求めた。
〔7〕限界圧縮率:
直径30mmの丸棒の中心部から、直径14mmで高さが21mmの円柱状試験片を削り出し、深さ0.8mm、先端R0.15mmのVノッチを、円柱状試験片の側面に縦方向に形成して、据え込み試験を行い、割れが発生する限界の変形量(%)で、冷間鍛造性のうちの変形能を評価した。
表3に、上記の各調査結果を示す。
Figure 0005533712
表3から、本発明で規定する条件を満たす試験番号1、2、5、7、8、10、12および14の「本発明例」の場合は、「耐粗粒化温度」が980℃以上であって、冷間鍛造後の浸炭または浸炭窒化時に発生する結晶粒粗大化を抑制するのに十分な効果を有するとともに、限界圧縮率が51.1%以上で冷間鍛造にも優れていることが明らかである。
これに対して、本発明で規定する条件を満たさない「比較例」の試験番号3、4、6、9、11、13および15〜29は、「耐粗粒化温度」と「限界圧縮率」(換言すれば「冷間鍛造性」)の少なくとも何れか一方が劣っている。
本発明の表面硬化用熱間加工鋼材は、冷間鍛造後の浸炭または浸炭窒化時に発生する結晶粒粗大化を抑制することが可能であり、かつ良好な冷間鍛造性を有するために軟化焼鈍を省略することができるので、シャフト、ギヤ等の表面硬化部品の素材として好適である。

Claims (3)

  1. 質量%で、
    C:0.10〜0.30%、
    Si:0.50%以下、
    Mn:0.15〜1.5%、
    P:0.04%以下、
    S:0.005〜0.07%、
    Cr:0.7〜3.0%、
    Al:0.01〜0.05%、
    N:0.007〜0.030%、
    Nb:0.02〜0.07%および
    H:0.00004%以下、
    を含有し、残部がFeおよび不純物からなる化学組成を有し、
    鋼中のNbのうちでNb(C、N)として析出しているNbの割合が、85%以上、
    直径100nm以上のNb(C、N)の個数密度が、5個/100μm2以下で、かつ
    フェライト結晶粒度の標準偏差が0.15以下、
    であることを特徴とする、表面硬化用熱間加工鋼材。
  2. Feの一部に代えて、質量%で、
    Mo:0.50%以下および
    V:0.20%以下
    のうちの1種以上を含有することを特徴とする、請求項1に記載の表面硬化用熱間加工鋼材。
  3. Feの一部に代えて、質量%で、
    Ti:0.10%以下
    を含有することを特徴とする、請求項1または2に記載の表面硬化用熱間加工鋼材。
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