JP6204449B2 - 無段変速機用金属エレメントの製造方法および無段変速機用金属エレメント - Google Patents

無段変速機用金属エレメントの製造方法および無段変速機用金属エレメント Download PDF

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本発明は、無段変速機用金属エレメントを、一定断面を有する帯板状の金属エレメント素材を金型を用いてプレス加工および打ち抜き加工することで製造する無段変速機用金属エレメントの製造方法と、その製造方法により製造した無段変速機用金属エレメントとに関する。
ベルト式無段変速機の金属ベルトに使用する金属エレメントのロッキングエッジの位置を、金属エレメントのボディ部の前面の径方向外端位置であるサドル面の前縁位置に一致させれば、隣接する金属エレメントどうしがロッキングエッジを支点として相対的に揺動したときに、隣接する金属エレメントのサドル面の前後方向の位置関係を一定に維持し、サドル面と金属リング集合体との間に摩擦損失が発生するのを防止することができる。しかしながら、金属エレメントを帯状の金属板から金型で打ち抜いて製造する場合、打ち抜きに伴う剪断荷重で材料が引っ張られ、ロッキングエッジの剪断面の一方の端部が塑性変形して丸みを帯びる現象(だれ)が発生してしまい、シャープなロッキングエッジが得られないという問題がある。
そこで、ロッキングエッジを含む金属エレメントの一部を第2エレメントとして打ち抜き、その剪断面の両方の端部のうちのだれが発生しないシャープな端部がロッキングエッジとなるように、金属エレメントの本体部分を構成する第1エレメントに第2エレメントを結合することで、シャープなロッキングエッジを有する金属エレメントを製造するものが、下記特許文献1により公知である。
特開2013−130204号公報
ところで、上記特許文献1に記載されたものは、金属エレメントを第1エレメントおよび第2エレメントの二つの部材に分割して組み立てるので、部品点数が増加して製造コストが増加するという問題があった。
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、サドル面の前縁に重なる位置にシャープなロッキングエッジを有する金属エレメントを簡単に製造することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、一対の金属リングが嵌合する一対のリングスロットと、前記一対のリングスロット間に位置するネック部と、前記ネック部の径方向外側に連なるイヤー部と、前記ネック部の径方向内側に連なって前記金属リングの内周面を支持するサドル面が形成されたボディ部とを備え、前記ボディ部の前面に、前記サドル面の前縁に重なって左右方向に延びるロッキングエッジと、前記ロッキングエッジから径方向内側かつ後方に延びる傾斜面とが形成された金属エレメントを、一定断面を有する帯板状の金属エレメント素材を金型を用いてプレス加工および打ち抜き加工することで製造する無段変速機用金属エレメントの製造方法であって、前記金型は、前記金属エレメントの前記ロッキングエッジの径方向内側に対応する位置に形成された凸部と、前記凸部の径方向内側に形成された凹部とを備えることを特徴とする無段変速機用金属エレメントの製造方法が提案される。
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1に記載の製造方法により製造される無段変速機用金属エレメントであって、前記金属エレメントの前記傾斜面は前記金型の前記凹部により成形される凸部を備え、前記ロッキングエッジから前記傾斜面の前記凸部に引いた接線が径方向に対して成す傾斜角は、前記金属エレメントの前記ロッキングエッジまわりの最大揺動角よりも大きいことを特徴とする無段変速機用金属エレメントが提案される。
なお、実施の形態のカウンタパンチ47は本発明の金型に対応する。
請求項1の構成によれば、金属エレメント素材を金型でプレス加工および打ち抜き加工して金属エレメントを製造する際に、金属エレメントのリングスロットに対応する部分が金型で打ち抜かれ、サドル面の前縁に重なる位置にロッキングエッジが形成される。金型は、金属エレメントのロッキングエッジの径方向内側に対応する位置に形成された凸部を備えるので、金型の凸部によりプレスされた金属エレメント素材の材料の一部が径方向外側に流れることで、金属エレメントのロッキングエッジにだれが発生するのを防止し、精度の高いロッキングエッジを有する金属エレメントを容易に製造することができる。凸部によりプレスされた金属エレメント素材の材料の他の一部は径方向内側に流れるが、径方向内側に流れる材料を金型の凹部で吸収することで、必要な金型のプレス荷重を低減して金型の耐久性を高めることができる。
また請求項2の構成によれば、金属エレメントの傾斜面は金型の凹部により成形される凸部を備え、ロッキングエッジから傾斜面の凸部に引いた接線が径方向に対して成す傾斜角は、金属エレメントのロッキングエッジまわりの最大揺動角よりも大きいので、金属ベルトがプーリに巻き付いて隣接する金属エレメントどうしがロッキングエッジまわりに最大揺動角で揺動しても、金属エレメントの傾斜面の凸部が相手方の金属エレメントに接触することが防止され、ロッキングエッジまわりの金属エレメントの揺動が阻害されることがない。
ベルト式無段変速機の全体構成を示す図。(実施の形態) 金属ベルトの部分斜視図。(実施の形態) 金属エレメントの前面図。(実施の形態) 図3の4−4線断面図。(実施の形態) 金属エレメント素材の斜視図。(実施の形態) 打ち抜き加工装置および金属エレメント素材の断面図。(実施の形態) 図6に対応する作用説明図(その1)。(実施の形態) 図6に対応する作用説明図(その2)。(実施の形態) 図6に対応する作用説明図(その3)。(実施の形態) カウンタパンチの斜視図。(実施の形態) 図9の拡大部に対応する作用説明図。(比較例)
以下、図1〜図10に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1は自動車に搭載されたベルト式無段変速機Tの概略構造を示すもので、ベルト式無段変速機Tはエンジンに接続されるドライブシャフト11と、駆動輪に接続されるドリブンシャフト12とを備えており、ドライブシャフト11に設けたドライブプーリ13とドリブンシャフト12に設けたドリブンプーリ14とに無端状の金属ベルト15が巻き掛けられる。ドライブプーリ13は、ドライブシャフト11に固設された固定側プーリ半体16と、この固定側プーリ半体16に対して接離可能な可動側プーリ半体17とを備えており、可動側プーリ半体17は油室18に作用する油圧で固定側プーリ半体16に向けて付勢される。ドリブンプーリ14は、ドリブンシャフト12に固設された固定側プーリ半体19と、この固定側プーリ半体19に対して接離可能な可動側プーリ半体20とを備えており、可動側プーリ半体20は油室21に作用する油圧で固定側プーリ半体19に向けて付勢される。
図2〜図4に示すように、金属ベルト15は左右の一対の金属リング22に多数の金属エレメント23を支持したもので構成される。本明細書において、金属ベルト15が走行する方向を前後方向の前方と定義し、金属ベルト15がドライブプーリ13およびドリブンプーリ14に巻き付いた状態で、ドライブプーリ13およびドリブンプーリ14の外周側を径方向の外側と定義し、前後方向および径方向に直交する方向を左右方向と定義する。また金属エレメント23の素材となる金属エレメント素材23′(図5参照)と、金属エレメント素材23′から金属エレメント23を成形および打ち抜きする打ち抜き加工装置41(図6参照)とについても、金属エレメント23の前後方向、径方向および左右方向に対応する方向を、それらの前後方向、径方向および左右方向と定義する。
金属エレメント素材23′から製造された金属エレメント23は、左右方向に延びるボディ部24と、ボディ部24の左右方向中央から径方向外側に延びるネック部25と、ネック部25の径方向外端に接続される略三角形のイヤー部26とを備えており、ボディ部24、ネック部25およびイヤー部26間に左右方向外側に開放して金属リング22が嵌合する一対のリングスロット27が形成される。リングスロット27に臨むボディ部24の径方向外端には金属リング22の内周面が着座するサドル面28が形成され、ボディ部24の前面の径方向外端には左右方向に延びるロッキングエッジ29が形成され、ボディ部24の前面にはロッキングエッジ29から径方向内向きかつ後向きに傾斜する傾斜面30が形成される。ロッキングエッジ29はサドル面28の前縁と重なっており、従ってロッキングエッジ29はボディ部24の前面の径方向外端に位置している。
金属エレメント23のボディ部24の左右両端には、ドライブプーリ13およびドリブンプーリ14のV面に当接するプーリ当接面31が形成される。また金属エレメント23のイヤー部26の前面には、イヤー部26の後面に形成した凹部33に嵌合可能な凸部32が形成される。
金属エレメント23の傾斜面30は、ロッキングエッジ29から第1傾斜角θ1で径方向内向きかつ後向きに傾斜する第1傾斜面30aと、第1傾斜面30aの径方向内端から第2傾斜角θ2で径方向内向きかつ後向きに傾斜する第2傾斜面30bとからなり、ボディ部24の前後方向板厚は傾斜面30の範囲で径方向内側に向かって次第に薄くなる。第1傾斜面30aは、ロッキングエッジ29の径方向内側において左右方向に延びる溝状の凹部30cと、凹部30cの径方向内側において左右方向に延びる畝状の凸部30dとを備える。この凹部30cおよび凸部30dは、金属エレメント素材23′をプレス加工および打ち抜き加工する際に副次的に形成されるものであり、それ自体が動力伝達時に特別な機能を発揮するものではない。ボディ部24の前後方向板厚はロッキングエッジ29の位置において最大板厚t1となり、この最大板厚t1は金属エレメント23の一定板厚のネック部25およびイヤー部26の前後方向板厚t2と一致する。
従って、金属ベルト15の弦部において隣接する金属エレメント23が整列したとき、後側の金属エレメント23のネック部25およびイヤー部26の前面が前側の金属エレメント23のネック部25およびイヤー部26の後面に当接し、後側の金属エレメント23のロッキングエッジ29が前側の金属エレメント23のボディ部24の上端(サドル面28の後縁)に当接する。また前側の金属エレメント23の後面に対して、後側の金属エレメント23はロッキングエッジ29を支点として揺動可能であり、これにより金属ベルト15はドライブプーリ13およびドリブンプーリ14に巻き付くことができる。
図5に示すように、金属エレメント23を製造する際の素材となる金属エレメント素材23′は、長手方向に一定断面を有するように圧延加工された帯状の金属板からなる。金属エレメント素材23′は、金属エレメント23のイヤー部26、ネック部25およびボディ部24にそれぞれ対応する、イヤー部対応部26′、ネック部対応部25′およびボディ部対応24′を備える。
ネック部対応部25′およびイヤー部対応部26′はネック部25およびイヤー部26の板厚t2と略同じ一定の板厚を有している。ボディ部対応部24′はロッキングエッジ対応部29′の位置でボディ部24の最大板厚t1と略同じ板厚を有しており、そこから径方向内側に向かって板厚が減少する。すなわち、金属エレメント素材23′のボディ部対応部24′の傾斜面対応部30′は、ロッキングエッジ対応部29′から第1傾斜角θ1で径方向内向きかつ後向きに傾斜する第1傾斜面対応部30a′と、第1傾斜面対応部30a′の径方向内端から第2傾斜角θ2で径方向内向きかつ後向きに傾斜する第2傾斜面対応部30b′とからなる。
以上のように、金属エレメント素材23′の断面形状は、金属エレメント23の凸部32および凹部33に対応する部分を持たない点と、金属エレメント23の凹部30cおよび凸部30dに対応する部分を持たない点とを除いて、金属エレメント23の断面形状と略一致している。
図6に示すように、金属エレメント素材23′から金属エレメント23を打ち抜き加工する打ち抜き加工装置41は、枠体42の下部に固定された下側ダイ43と、枠体42の上部に昇降自在に支持されてダイ駆動シリンダ44で昇降駆動される上側ダイ45と、下側ダイ43に形成した上面開放の凹部43aに嵌合してカウンタパンチ駆動シリンダ46で昇降駆動されるカウンタパンチ47と、上側ダイ45に形成した下面開放の凹部45aに嵌合してメインパンチ駆動シリンダ48で昇降駆動されるメインパンチ49とを備える。
なお、図6において、カウンタパンチ47およびメインパンチ49は、金属エレメント23のイヤー部26を成形する部分と、金属エレメント23のボディ部24を成形する部分とに2分割して描かれているが、実際には、カウンタパンチ47およびメインパンチ49はそれぞれ1個の部材である。
カウンタパンチ47およびメインパンチ49の輪郭形状は、金属エレメント23の輪郭形状と同じであり、カウンタパンチ47には金属エレメント23の凸部32を成形するための凸部成形部47aと、金属エレメント23のロッキングエッジ29を成形するためのロッキングエッジ成形部47bと、金属エレメント23の第1傾斜面30aを成形するための第1傾斜面成形部47cと、金属エレメント23の第2傾斜面30bを成形するための第2傾斜面成形部47dとが形成され、メインパンチ49には金属エレメント23の凹部33を成形するための凹部成形部49aが形成される。
図8に示すように、カウンタパンチ47の第1傾斜面成形部47cは、金属エレメント素材23′の傾斜面対応部30′の第1傾斜面対応部30a′と平行であり、第1傾斜面成形部47cおよび第1傾斜面対応部30a′は共に第1傾斜角θ1だけ傾斜している。カウンタパンチ47の第2傾斜面成形部47dは、金属エレメント素材23′の傾斜面対応部30′の第2傾斜面対応部30b′と平行であり、第2傾斜面成形部47dおよび第2傾斜面対応部30b′は共に第2傾斜角θ2だけ傾斜している。
そして図8および図10に示すように、カウンタパンチ47の第1傾斜面成形部47cには、ロッキングエッジ成形部47bの径方向内側において左右方向に延びる畝状の凸部47eと、凸部47eの径方向内側において左右方向に延びる溝状の凹部47fとが形成される。また図6に拡大して示すように、凸部47eの前後方向高さHは凹部47fの前後方向深さDよりも大きく、凸部47eの径方向幅W1は凹部47fの径方向幅W2よりも小さく設定される。
次に、上記構成を備えた本発明の実施の形態の作用を説明する。
図6に示すように、予め製造した金属エレメント素材23′を打ち抜き加工装置41の下側ダイ43およびカウンタパンチ47の上に載置する。続いて、図7に示すように、ダイ駆動シリンダ44で上側ダイ45を下降させ、下側ダイ43および上側ダイ45間に金属エレメント素材23′を挟んで固定した後、メインパンチ駆動シリンダ48でメインパンチ49を下降させ、カウンタパンチ47およびメインパンチ49間に金属エレメント素材23′を挟んでプレス加工する。その結果、カウンタパンチ47の凸部成形部47aおよびメインパンチ49の凹部成形部49aにより金属エレメント23の凸部32および凹部33が成形されるとともに、カウンタパンチ47の第1、第2傾斜面成形部47c,47dで金属エレメント素材23′bの第1、第2傾斜面対応部30a′,30b′(すなわち金属エレメント23の第1、第2傾斜面30a,30b)が成形される。
このようにして金属エレメント23のプレス成形が完了すると、図8に示すように、下側ダイ43および上側ダイ45に対して、カウンタパンチ47およびメインパンチ49をカウンタパンチ駆動シリンダ46およびメインパンチ駆動シリンダ48で相対的に下降させることにより、図9に示すように、金属エレメント素材23′から金属エレメント23を打ち抜き加工する。
このとき、図11に示す比較例のように、カウンタパンチ47の第1傾斜面成形部47cが本実施の形態の凸部47eを備えていないと、金属エレメント23の打ち抜き加工時にメインパンチ49およびカウンタパンチ47間に挟まれたボディ対応部24′の材料が、矢印A1で示すように隣接する下側ダイ43および上側ダイ45側に引っ張られることで、金属エレメント素材23′のロッキングエッジ対応部29′にだれ(図11のa部参照)が発生してしまい、完成した金属エレメント23のロッキングエッジ29がシャープに成形されずに丸まってしまう問題がある。
しかしながら、本実施の形態によれば、図8に示すように、金属エレメント23の打ち抜き加工時に、カウンタパンチ47の凸部47eにより圧縮された凹部30cの材料が矢印A2で示すように径方向外側に流れ、金属エレメント素材23′のロッキングエッジ対応部29′の材料を下側ダイ43の側面に押しつけることで、だれを発生させることなく、ロッキングエッジ対応部29′(すなわち金属エレメント23のロッキングエッジ29)をシャープに形成することができる(図8のb部参照)。
また金属エレメント23の打ち抜き加工時に、カウンタパンチ47の凸部47eにより圧縮された凹部30cの材料は矢印A3で示すように径方向内側にも流れるが、カウンタパンチ47の凸部47eの径方向内側には凹部47fが形成されているため、径方向内側に流れる材料を凹部47fで吸収することにより、金属エレメント23の打ち抜き加工に要するプレス荷重を低減するとともに、打ち抜き加工装置41の耐久性を高めることができる。このとき、凹部47fの体積(断面積)は、凸部47eにより矢印A3方向に押し出された材料を充分に吸収可能な大きさに設定されているため、凸部47eにより押しされた材料を凹部47fにより確実に吸収し、プレス荷重を一層効果的に低減することができる。
ところで、隣接する金属エレメント23どうしは、ドライブプーリ13あるいはドリブンプーリ14に巻き付くときにロッキングエッジ29を支点として相対的に揺動し、その揺動角は、最大変速比の状態では金属ベルト15の巻き付き半径が最小になるドライブプーリ13において最大になり、最小変速比の状態では金属ベルト15の巻き付き半径が最小になるドリブンプーリ14おいて最大になる。
本実施の形態の金属エレメント23は、その傾斜面30aにカウンタパンチ47に凹部47fにより成形された凸部30dを備えるため、隣接する金属エレメント23どうしが相対的に揺動すると、後方に位置する金属エレメント23の凸部30dが前方に位置する金属エレメント23の後面に当接してしまい、金属エレメント23の自由な揺動が阻害される虞がある。
しかしながら、本実施の形態によれば、図4に拡大して示すように、金属エレメント23のロッキングエッジ29から凸部30dに引いた接線Tが径方向に対して成す傾斜角θ3は、プーリの最小巻き付き半径部において発生する金属エレメント23の最大揺動角θ4よりも大きいので、隣接する金属エレメント23が最大揺動角θ4で揺動しても後方の金属エレメント23の凸部30dが前方の金属エレメント23の後面に当接することが防止され、金属エレメント23の自由な揺動が可能になる。
また図6に拡大して示すように、凸部47eの前後方向高さHは凹部47fの前後方向深さDよりも大きく、凸部47eの径方向幅W1は凹部47fの径方向幅W2よりも小さいため、図8に拡大して示すように、凸部47eにより充分な量の材料を径方向外側に流して金属エレメント23のロッキングエッジ29をシャープに形成することができるだけでなく、凸部47eにより押し出された材料で形成される金属エレメント23の凸部30dの高さを低くして傾斜角θ3(図4参照)を最大限に確保しながら、充分な量の材料を凹部47fで吸収することができる。
以上のように、本実施の形態によれば、打ち抜き加工装置41のカウンタパンチ47に凸部47eおよび凹部47fを設けるだけの簡単な構造で、金属エレメント23のロッキングエッジ29にだれが発生するのを防止して加工精度を高めることができるだけでなく、必要なプレス荷重を低減して打ち抜き加工装置41の耐久性を高めることができる。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
例えば、実施の形態の金属エレメント23の傾斜面30は第1傾斜面30aおよび第2傾斜面30bを備えているが、第2傾斜面30bは必ずしも必要ではない。
同様に、実施の形態のカウンタパンチ47は第1傾斜面成形部47cおよび第2傾斜面成形部47dを備えているが、第2傾斜面成形部47dは必ずしも必要ではない。
22 金属リング
23 金属エレメント
23′ 金属エレメント素材
24 ボディ部
25 ネック部
26 イヤー部
27 リングスロット
28 サドル面
29 ロッキングエッジ
30 傾斜面
30d 凸部
47 カウンタパンチ(金型)
47e 凸部
47f 凹部
T 接線
θ3 傾斜角
θ4 最大揺動角

Claims (2)

  1. 一対の金属リング(22)が嵌合する一対のリングスロット(27)と、前記一対のリングスロット(27)間に位置するネック部(25)と、前記ネック部(25)の径方向外側に連なるイヤー部(26)と、前記ネック部(25)の径方向内側に連なって前記金属リング(22)の内周面を支持するサドル面(28)が形成されたボディ部(24)とを備え、前記ボディ部(24)の前面に、前記サドル面(28)の前縁に重なって左右方向に延びるロッキングエッジ(29)と、前記ロッキングエッジ(29)から径方向内側かつ後方に延びる傾斜面(30)とが形成された金属エレメント(23)を、一定断面を有する帯板状の金属エレメント素材(23′)を金型(47)を用いてプレス加工および打ち抜き加工することで製造する無段変速機用金属エレメントの製造方法であって、
    前記金型(47)は、前記金属エレメント(23)の前記ロッキングエッジ(29)の径方向内側に対応する位置に形成された凸部(47e)と、前記凸部(47e)の径方向内側に形成された凹部(47f)とを備えることを特徴とする無段変速機用金属エレメントの製造方法。
  2. 請求項1に記載の製造方法により製造される無段変速機用金属エレメントであって、
    前記金属エレメント(23)の前記傾斜面(30)は前記金型(47)の前記凹部(47f)により成形される凸部(30d)を備え、前記ロッキングエッジ(29)から前記傾斜面(30)の前記凸部(30d)に引いた接線(T)が径方向に対して成す傾斜角(θ3)は、前記金属エレメント(23)の前記ロッキングエッジ(29)まわりの最大揺動角(θ4)よりも大きいことを特徴とする無段変速機用金属エレメント。
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