JP2011094685A - 車両用伝動ベルトのエレメントの製造方法 - Google Patents

車両用伝動ベルトのエレメントの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】車両用ベルト式無段変速機の伝動ベルトを構成する複数のエレメントの相互間の位置決め性能を向上させることができるエレメントの製造方法を提供する。
【解決手段】エレメント24の製造方法は、エレメント24のプレス加工により、突起部32を一端面30から厚さ方向に突き出させる第1プレス工程102と、上記一端面30から突き出された突起部32の先端38の少なくとも一部をその突起部32の突出し方向とは逆方向に押圧することにより、上記先端38の外周に構成された先端角部42の曲率半径RCRを小さくするようにその先端38を突起部32の径方向に広げる第2プレス工程104とを含む。これにより、隣接するエレメント24相互間において、凹部36の内周面44と突起部32の先端角部42との間に生じる突起部32の径方向に沿ったクリアランスが小さくなり、エレメント24相互間の位置決め性能を向上させることが可能である。
【選択図】図5

Description

本発明は、車両用ベルト式無段変速機において溝幅が可変の一対のプーリに巻き掛けられる伝動ベルトの構成部品であるエレメントを製造する技術に関する。
溝幅が可変の一対のプーリと、その一対のプーリに挟圧されるエレメントを無端環状のリングに沿って厚さ方向に複数連ね、その一対のプーリに巻き掛けられて動力伝達を行う伝動ベルトとを有して動力伝達経路に配設されるベルト式無段変速機が知られている。特許文献1には、そのベルト式無段変速機の伝動ベルトが開示されている。
特許文献1の伝動ベルトを構成する複数のエレメント(ブロック)の各々には隣接するエレメント同士が接触する面の少なくとも一方にフッ素樹脂がコーティングされている。また、特許文献1の伝動ベルトに限ったことではないが、複数のエレメントの各々には、そのエレメントの厚さ方向に一端面から突き出した突起部が設けられており他端面側に隣接するエレメントの突起部を受け入れる凹部が上記他端面に設けられている。そして、隣接するエレメント同士で上記凹部が上記突起部を受け入れることにより、その隣接するエレメント同士が相互に位置決めされている。
特開2000−249195号公報 特開2001−200894号公報
上述したように、伝動ベルトのエレメントは位置決めのための突起部を備えているが、その突起部は、プレス加工においてエレメントの材料である平板状の金属板を前記他端面側から局部的に突き上げ前記一端面側に突き出させて成形されるものであるので、その突起部の先端外周を構成する先端角部の曲率半径が大きくなることがあった。そうなると、その突起部と突起部を受け入れる前記凹部との間のクリアランスが大きくなり、隣接するエレメント同士の相対的な位置決め性能が悪化することになる。なお、このような課題は未公知のことである。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、車両用ベルト式無段変速機の伝動ベルトを構成する複数のエレメントの相互間の位置決め性能を向上させることができるエレメントの製造方法を提供することにある。
前記目的を達成するための本発明の要旨とするところは、(a)車両用ベルト式無段変速機の一対のプーリに巻き掛けられる伝動ベルトにおいて無端環状のリングに沿って厚さ方向に複数連ねられ、その厚さ方向に一端面から突き出した突起部と他端面に設けられてその他端面側に隣接するエレメントから突き出した突起部を受け入れる凹部とを備えたエレメントの製造方法であって、(b)前記エレメントのプレス加工により、前記突起部を前記一端面から前記厚さ方向に突き出させる第1プレス工程と、(c)前記一端面から突き出された前記突起部の先端の少なくとも一部をその突起部の突出し方向とは逆方向に押圧することにより、前記先端の外周に構成された先端角部の曲率半径を小さくするようにその先端を前記突起部の径方向に広げる第2プレス工程とを、含むことにある。
このようにすれば、前記エレメントの前記他端面に設けられた凹部の内周面と上記他端面側に隣接するエレメントの突起部の前記先端角部との間に生じる突起部の径方向に沿ったクリアランスが、前記第2プレス工程が実施されない場合と比較して小さくなる。その結果として、隣接するエレメントの相互間の位置決め性能を向上させることが可能である。
ここで、好適には、前記第2プレス工程において前記突起部の先端がその突起部の径方向に広げられる量は、前記エレメントの高さ方向に沿った量よりもそのエレメントの幅方向に沿った量の方が多い。このようにすれば、上記エレメントの幅方向すなわち前記プーリの軸方向に沿った前記凹部の内周面と前記先端角部との間に生じるクリアランスは小さくされる一方で、前記エレメントの高さ方向すなわち前記プーリの径方向に沿った上記クリアランスは上記プーリの軸方向ほどには小さくされない。そのため、隣接するエレメントが前記揺動中心線を軸に互いに揺動しても上記凹部の内周面と上記先端角部とが相互に接触し難いので、その接触によって生じる動力伝達での損失が低減される。
また、好適には、前記第2プレス工程は、前記突起部の先端に窪みを形成することにより前記先端をその突起部の径方向に広げる工程である。このようにすれば、上記窪みが形成されることにより前記突起部の先端がそれの径方向に押し広げられるので、例えばその窪みの深さや幅などの寸法を調節することにより、その先端が突起部の径方向に広げられる量を容易に調節することが可能である。
また、好適には、前記突起部の先端の窪みは、前記エレメントの高さ方向に沿った幅よりもそのエレメントの幅方向に沿った幅の方が大きい。このようにすれば、前記第2プレス工程において、上記突起部の先端がエレメントの幅方向に広げられる量を、そのエレメントの高さ方向に広げられる量よりも多くすることが可能である。
また、好適には、前記エレメントは、隣接するエレメントに対して相対的に揺動する際の揺動中心線よりも前記プーリの内周側に前記突起部および前記凹部を備えている。ここで、前記伝動ベルトが前記プーリに巻き掛けられるので上記エレメントの厚さは上記プーリの外周側よりも内周側の方が薄く成形されており、前記突起部の基部の板厚が薄いほど前記先端角部の曲率半径は大きくなり易い。従って上記のようにすれば、前記第2プレス工程の実施によるエレメントの位置決め性能向上という効果が、上記揺動中心線よりも前記プーリの外周側に前記突起部および前記凹部が成形される場合と比較して、より顕著に得られる。
本発明が好適に適用される車両用ベルト式無段変速機に伝動ベルトが装着された状態を示す斜視図である。 図1におけるII矢視部断面を示す伝動ベルトおよびその周辺部分の断面図である。 図1の伝動ベルトを構成する複数のエレメントのうちの1つをそれの厚さ方向に見たそのエレメントの正面図である。 図3におけるIV矢視部断面を示すエレメントの断面図であって、隣接するエレメントを併せて図示した図である。 図3のエレメントの製造方法の要部、すなわち、プレス加工によりエレメントの突起部を成形する方法を説明するフローチャートである。 図3のエレメントを成形するためのプレス加工装置の概要を説明するため、エレメントの突起部および凹部の軸心に沿った断面を表した模式図であって、そのプレス加工装置におけるエレメントの突起部および凹部を成形するステージを表した図である。 図6のプレス加工装置に取り付けられた金型の下型に設けられた突起部成形ピンの形状を示す正面図とその上面図とで構成された図である。 図3のエレメントが備える突起部の拡大断面図であって、図5の第2プレス工程においてその突起部の先端が突起部の径方向に広げられることを説明するための図である。 図7の突起部成形ピンが用いられて成形されたエレメントが厚さ方向に隣接する場合において、一方のエレメントの突起部の先端角部と他方のエレメントの凹部の内周面との間に生じる突起部の径方向に沿ったクリアランスを表したイメージ図である。 図6のプレス加工装置に取り付けられた金型の下型に設けられた突起部成形ピンの形状を示す正面図とその上面図とで構成された図であって、図7の突起部成形ピンとは異なる別の突起部成形ピンを例示した図である。 図6のプレス加工装置に取り付けられた金型の下型に設けられた突起部成形ピンの形状を示す正面図とその上面図とで構成された図であって、図7および図10の突起部成形ピンとは異なる別の突起部成形ピンを例示した図である。 図10または図11の突起部成形ピンが用いられて成形されたエレメントが厚さ方向に隣接する場合において、一方のエレメントの突起部の先端角部と他方のエレメントの凹部の内周面との間に生じる突起部の径方向に沿ったクリアランスを表したイメージ図である。 図10の突起部成形ピンが用いられて成形されたエレメントをそれの厚さ方向に見たそのエレメントの正面図である。 図1の車両用ベルト式無段変速機のリングに沿ってエレメント同士が厚さ方向に隣接している状態において、第2プレス工程が実施されない場合と実施された場合とで上記クリアランスの大小を比較説明するための、エレメントの突起部及び凹部周りを断面図示した図であって、(a)は第2プレス工程が実施されない場合を示しており、(b)は第2プレス工程が実施された場合を示している。 図1の車両用ベルト式無段変速機のプーリ上においてエレメントがそのエレメントの高さ方向の軸回りに回動する姿勢変化、すなわち、そのエレメントのヨーイングを説明するためのイメージ図である。 図1の車両用ベルト式無段変速機のプーリ上において隣接するエレメント24同士が、揺動中心線として機能するロッキングエッジ部を軸にして互いに揺動した状態を表した図であって、エレメントの突起部及び凹部周りを断面図示した図である。 図2に示す伝動ベルトとは異なる構成の伝動ベルトの例を部分的に拡大し一部の部品を除いて示す斜視図である。
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明が好適に適用される車両用ベルト式無段変速機8(以下、「ベルト式無段変速機8」という)に伝動ベルト10が装着された状態を示す斜視図である。図2は、図1におけるII矢視部断面を示す伝動ベルト10およびその周辺部分の断面図である。図1および図2において、この伝動ベルト10は、溝幅が可変であるV型の溝12を外周部に有して互いに平行な軸心まわりに回転可能に設けられた入力側プーリ14と出力側プーリ16とに巻き掛けられるベルト式無段変速機8用の圧縮式伝動ベルト(金属ベルト)である。上記入力側プーリ14および出力側プーリ16は、回転軸18に固定された固定プーリ14aおよび16aと、回転軸18に対して軸心方向に相対移動可能に設けられた可動プーリ14bおよび16bとを備えている。これら固定プーリ14aと可動プーリ14bとの相対向する面、および固定プーリ16aと可動プーリ16bとの相対向する面には、径方向外側に向かうほど軸心方向の相対距離が大きくなる円錐状の一対のシーブ面20がそれぞれ設けられている。上記溝12は、これら一対のシーブ面20により形成されている。なお、入力側プーリ14および出力側プーリ16は、本発明における一対のプーリに対応する。また、入力側プーリ14および出力側プーリ16を特に区別しない場合には単に「プーリ」と表現する。
上記伝動ベルト10は、可撓性を有する無端環状の帯鋼が複数枚積層されて成る一対のリング22と、そのリング22によって支持されるとともにリング22に沿って厚さ方向DRTH(図4参照)に環状に複数個連ねられた板状の金属から成る複数のエレメント(こま)24とを備えている。
上記リング22は、例えば厚さ0.2mm程度の高張力鋼板が輪状にされて内から外へ層状に重ねられたものである。本実施例では、例えば9層程度に重ねられている。
図3は、エレメント24をそれの厚さ方向DRTHに見たそのエレメント24の正面図である。図4は、図3におけるIV矢視部断面を示すエレメント24の断面図であって、隣接するエレメント24を併せて図示した図である。エレメント24は、例えば厚さ1.8mm程度の鋼板がプレス加工により打ち抜かれて成形された厚肉板状片である。本実施例では、1つの伝動ベルト10に対して例えば400個程度のエレメント24が備えられている。エレメント24は、図2乃至図4に示すように、一対のシーブ面20にそれぞれ対向しつつ接触する一対の接触面26と、隣接するエレメント24に対して相対的に揺動する際の基部すなわち揺動中心線となるロッキングエッジ部28と、エレメント24の厚さ方向DRTH(図4参照)に一端面30から突き出した突起部32(凸部32)と、他端面34に設けられてその他端面34側に隣接するエレメント24から突き出した突起部32を受け入れる凹部36とを備えている。そして、図4に示すように突起部32および凹部36は互いに上記厚さ方向DRTHに沿った同一軸心を有してエレメント24に設けられており、図2に示すようにプーリ14,16の外周側から内周側に向かって、リング22と、ロッキングエッジ部28と、突起部32及び凹部36とが順に設けられている。上記突起部32にはその先端38に窪み40が形成されている。伝動ベルト10はプーリ14,16に巻き掛けられている箇所では円弧状に湾曲するので、エレメント24の厚さは、隣接するエレメント24同士が互いにロッキングエッジ部28を揺動中心線として揺動できるように、図4に示すようにプーリ14,16の外周側よりも内周側の方が薄くなっている。
図5は、エレメント24の製造方法の要部、すなわち、プレス加工によりエレメント24の突起部32を成形する方法を説明するフローチャートである。図6は、エレメント24を成形するためのプレス加工装置60の概要を説明する模式図であって、そのプレス加工装置60における突起部32および凹部36を成形するステージを表した図である。
エレメント24は、コイル材である帯板状の原材料鋼板62からプレス加工により成形されるものであり、図6では、エレメント24の材料である原材料鋼板62がその原材料鋼板62の位置よりも上側においてプレス加工装置60に取り付けられた上型64と、その原材料鋼板62の位置よりも下側においてプレス加工装置60に取り付けられた下型66との間に挿入されている状態が示されている。上型64はプレス加工装置60に取り付けられた金型の上側を構成するものであり、上型64には、プレス加工装置60の作動により矢印ARPNに示すように上下動可能であり凹部36を成形するための上下方向に軸心を有する凹部成形ピン68が設けられている。下型66はプレス加工装置60に取り付けられた上記金型の下側を構成するものであり、下型66には、凹部成形ピン68の上記軸心と同軸上に、突起部32を成形するための突起部成形穴70とその突起部成形穴70に嵌合し突起部32の先端38に窪み40を成形するための突起部成形ピン72とが設けられている。その突起部成形ピン72は、図7に示すように、原材料鋼板62側の端部すなわち図6および図7における上側の端部に、突起部32の先端38全体を押圧しないように突起部成形穴70の内径よりも十分に小さい外径とされた上端部74を備えている。
図5において、先ず、第1プレス工程102に対応するステップ(以下、「ステップ」を省略する)SA1においては、エレメント24のプレス加工により、突起部32を一端面30からエレメント24の厚さ方向DRTHに突き出させる。具体的には、プレス加工装置60が上型64を下型66に近付ける方向に作動することにより、原材料鋼板62が上型64と下型66とで挟持されつつ、凹部成形ピン68が上型64の原材料鋼板62と当接する上型下面76から突き出される。これにより、凹部成形ピン68の直径に応じた内径の凹部36がエレメント24の他端面34に相当する原材料鋼板62の上面78に成形され、それと同時に、突起部成形穴70の直径に応じた外径の突起部32がエレメント24の一端面30に相当する原材料鋼板62の下面80から突き出されて成形される。
第2プレス工程104に対応するSA2においては、エレメント24の一端面30から突き出された突起部32の先端38の少なくとも一部を突起部32の突出し方向とは逆方向すなわち図6の上方向に押圧することにより、第2プレス工程104の実施前に対して、上記先端38の外周に構成された先端角部42の曲率半径RCRを小さくするように上記先端38を突起部32の径方向に広げる。上記突起部32の先端38を押圧することはその先端の全部でなされても差し支えないが、本実施例では、突起部32の先端38の一部に窪み40を形成することにより、すなわち、その先端38の一部を押圧することにより、その先端38を突起部32の径方向に広げる。具体的には、前記SA1にて原材料鋼板62の下面80から突き出された突起部32の先端38が、その一部において突起部成形ピン72の上端部74によって図6の上方向に押圧され塑性変形させられる。これにより、上端部74の直径(外径)に応じた内径の窪み40が突起部32の先端38に成形され、それと同時に、図8に示すように、先端角部42の曲率半径RCRが窪み40成形前のR1CRから窪み40成形後のR2CRへと小さくなるようにして突起部32の先端38がそれの径方向に広げられる。このとき、図7の突起部成形ピン72の上端部74は円形断面であるので、図3に示すように窪み40の開口部は円形となり、突起部32の先端38は、エレメント24の高さ方向DRHと幅方向DRW(図3参照)の何れに対しても均一乃至は略均一な量で突起部32の径方向に広げられる。そのため、図9のイメージ図に示すように、エレメント24の突起部32がそれに隣接するエレメント24の凹部36に受け入れられた状態において、上記突起部32の先端角部42と凹部36の内周面44との間に生じる突起部32の径方向に沿ったクリアランスCLR1(隙間CLR1)が、全周にわたって均一乃至は略均一に、第2プレス工程104が実施されない場合と比較して狭められる。
図6から判るように、前記第1プレス工程102および第2プレス工程104は、本実施例のプレス加工装置60においては同一のステージで実施されるものであるが、第1プレス工程102が実施されるステージの後のステージで第2プレス工程104が実施されても差し支えない。
また、本実施例では、前記SA2すなわち第2プレス工程104では、原材料鋼板62の下面80から突き出された突起部32の先端38が突起部成形ピン72の上端部74によって上方向に押圧されるが、第1プレス工程102および第2プレス工程104がプレス加工装置60の同一のステージで実施されるので、厳密に言えば、上記下面80から突起部32がそれの完成後高さよりも低い成形途中の高さまで突き出されたところで上記先端38に対する上端部74による押圧が開始されることになる。すなわち、SA2にて上記上端部74によって押圧されるときの突起部32が前記下面80から突き出された状態とは、その突起部32が完成後高さにまで突き出された状態だけでなく上記成形途中の高さまで突き出された状態も含むものである。
また、上述した図7に示す突起部成形ピン72はその上端部74が円形断面であるが、円形断面に限られず、その上端部74はエレメント24の高さ方向DRH(図3参照)に沿った幅よりもエレメント24の幅方向DRW(図3参照)に沿った幅の方が大きいものであってもよい。例えば、図7の突起部成形ピン72が、図10に示す長方形断面の上端部114を有する突起部成形ピン112、或いは、図11に示す楕円形断面の上端部118を有する突起部成形ピン116に置き換えられてもよいということである。
前記SA2すなわち第2プレス工程104において、突起部成形ピン72に換えて図10の突起部成形ピン112または図11の突起部成形ピン116が用いられた場合には、エレメント24の高さ方向DRHに沿った上端部114,118の幅よりもエレメント24の幅方向DRWに沿った上端部114,118の幅の方が大きいので、それに応じて、突起部32の先端38に成形される窪み40は、エレメント24の高さ方向DRHに沿った幅よりもエレメント24の幅方向DRWに沿った幅の方が大きいものとなる。それと同時に、突起部32の先端38が突起部32の径方向に広げられる量は、エレメント24の高さ方向DRHに沿った量よりもエレメント24の幅方向DRWに沿った量の方が多くなる。そのため、エレメント24の突起部32がそれに隣接するエレメント24の凹部36に受け入れられた状態において、上記突起部32の先端角部42と凹部36の内周面44との間に生じるクリアランスCLRW,CLRHはエレメント24の幅方向DRWと高さ方向DRHとの何れに対しても第2プレス工程104が実施されない場合と比較して狭められるのであるが、図12のイメージ図に示すように、上記幅方向DRWのクリアランスCLRWの方が上記高さ方向DRHのクリアランスCLRHよりも小さくされる。また、例えば図10の突起部成形ピン112が用いられたとすれば、図13に示すように窪み40の開口部はエレメント24の高さ方向DRHよりも幅方向DRWに広い長方形になる。
本実施例によれば、図5を用いて説明したエレメント24の製造方法は、エレメント24のプレス加工により、突起部32を一端面30から厚さ方向DRTHに突き出させる第1プレス工程102と、上記一端面30から突き出された突起部32の先端38の少なくとも一部をその突起部32の突出し方向とは逆方向に押圧することにより、上記先端38の外周に構成された先端角部42の曲率半径RCRを小さくするようにその先端38を突起部32の径方向に広げる第2プレス工程104とを、含む。これにより、エレメント24の他端面34に設けられた凹部36の内周面44と上記他端面34側に隣接するエレメント24の突起部32の先端角部42との間に生じる突起部32の径方向に沿ったクリアランスCLR1(図9参照)が、第2プレス工程104が実施されない場合と比較して小さくなる。図14は、リング22に沿ってエレメント24同士が厚さ方向DRTHに隣接している状態において、第2プレス工程104が実施されない場合と実施された場合とで上記クリアランスCLR1の大小を比較説明するための図であって、図14(a)は第2プレス工程104が実施されない場合を示しており、図14(b)は第2プレス工程104が実施された場合を示している。例えば、上記のクリアランスCLR1が小さくなるという本実施例の効果について図14を用いて説明すれば、前記先端角部42の曲率半径RCRは図14(a)のa1部分よりも図14(b)のb1部分の方が小さくなっており、それにより、図14(a)のa2部分よりも図14(b)のb2部分の方が、上記突起部32の径方向に沿ったクリアランスCLR1は小さくなり、且つ、隣接するエレメント24同士を相互に位置決めするために機能できる突起部32の有効高さ(有効長)が大きくなっているということである。そしてその結果として、本実施例では、隣接するエレメント24の相互間の位置決め性能を向上させることが可能である。また、隣接するエレメント24の相互間の位置決め性能が向上することで、例えば、ベルト式無段変速機8においてプーリ14,16回転中のエレメント24の挙動乱れが減少しノイズ等が低減される。また、プーリ14,16に対するエレメント24の接触姿勢が安定するのでプーリ14,16および伝動ベルト10の耐久性を向上させることが可能である。
また、本実施例によれば、プレス加工装置60に用いられる図7の突起部成形ピン72は図10に示す突起部成形ピン112或いは図11に示す突起部成形ピン116に置き換えられてもよく、そのようにすれば、突起部32の先端38が突起部32の径方向に広げられる量は、エレメント24の高さ方向DRHに沿った量よりもエレメント24の幅方向DRWに沿った量の方が多くなる。これにより、図12に示すように、エレメント24の幅方向DRWすなわちプーリ14,16の軸方向に沿った凹部36の内周面44と先端角部42との間に生じるクリアランスCLRWは小さくされる一方で、エレメント24の高さ方向DRHすなわちプーリ14,16の径方向に沿ったクリアランスCLRHは上記幅方向DRWほどには小さくされない。そのため、エレメント24が例えば図15の矢印ARYに示すように上記高さ方向DRHの軸回りに回動する姿勢変化すなわちヨーイングを十分に抑制することができる。更に、隣接するエレメント24が、前記揺動中心線として機能するロッキングエッジ部28を軸に互いに揺動しても、凹部36の内周面44と先端角部42とが例えば図16の矢印ARCTが指し示す箇所で相互に接触し難くすることができる。その結果、その内周面44と先端角部42との接触や上記ヨーイングによって生じる動力伝達での損失が低減される。換言すれば、ベルト式無段変速機8の動力伝達効率を向上させることができる。
また、本実施例によれば、第2プレス工程104は、突起部32の先端38に窪み40を形成することにより上記先端38を突起部32の径方向に広げる工程である。従って、その窪み40が突起部32の先端38に形成されることによりその先端38が突起部32の径方向に押し広げられることから、例えばその窪み40の深さや幅などの寸法を調節することにより、上記先端38が突起部32の径方向に広げられる量を容易に調節することが可能である。
また、本実施例によれば、図10の突起部成形ピン112又は図11の突起部成形ピン116が用いられて、突起部32の先端38の窪み40は、エレメント24の高さ方向DRHに沿った幅よりもエレメント24の幅方向DRWに沿った幅の方が大きいものとされてもよい。そのようにした場合には、第2プレス工程104において、突起部32の先端38がエレメント24の幅方向DRWに広げられる量を、そのエレメント24の高さ方向DRHに広げられる量よりも多くすることが可能である。
また、本実施例によれば、エレメント24は、隣接するエレメント24に対して相対的に揺動する際の前記揺動中心線であるロッキングエッジ部28よりもプーリ14,16の内周側に突起部32および凹部36を備えている。ここで、伝動ベルト10がプーリ14,16に巻き掛けられるのでエレメント24の厚さはプーリ14,16の外周側よりも内周側の方が薄く成形されており、突起部32の基部の板厚が薄いほど前記先端角部42の曲率半径RCRは大きくなり易い。従って、突起部32および凹部36がロッキングエッジ部28よりもプーリ14,16の外周側に成形される場合と比較して、第2プレス工程104の実施によるエレメント24の位置決め性能向上という効果がより顕著に得られこととなる。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
例えば、前述の実施例においては、図2に示すように伝動ベルト10が備える2本のリング22は互いに平行に隣接して一対を成すものであるが、そのリング22の本数は1本であっても3本以上であっても差し支えない。また、2本のリング22は互いに隣接している必要もない。例えば図17の斜視図に示す伝動ベルト130のように、一対のリング132がエレメント134の一部を介して互いに平行に設けられていても差し支えない。
また、前述の実施例においては、エレメント24は、ロッキングエッジ部28よりもプーリ14,16の内周側に突起部32および凹部36を備えているが、ロッキングエッジ部28よりもプーリ14,16の外周側に突起部32および凹部36を備えていても差し支えない。例えば図17のエレメント134のように、エレメント134が、ロッキングエッジ部28よりもプーリ14,16の外周側に突起部32および凹部36(図17では図示せず)を備えていても差し支えない。
また、前述の実施例においては、エレメント24は、突起部32および凹部36をそれぞれ1つずつ備えているが、複数の突起部32および凹部36を備えていても差し支えない。
また、前述の実施例においては、第2プレス工程104は、突起部32の先端38の一部に窪み40を成形することにより、その先端38を突起部32の径方向に広げる工程であるが、その窪み40が成形されること自体は必須ではなく、その窪み40の成形以外の方法で上記先端38が突起部32の径方向に広げられても差し支えない。
その他、一々例示はしないが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が加えられて実施されるものである。
8:ベルト式無段変速機(車両用ベルト式無段変速機)
10:伝動ベルト
14:入力側プーリ(一対のプーリ)
16:出力側プーリ(一対のプーリ)
22:リング
24:エレメント
28:ロッキングエッジ部(揺動中心線)
30:一端面
32:突起部
34:他端面
36:凹部
38:先端
40:窪み
42:先端角部
102:第1プレス工程
104:第2プレス工程

Claims (5)

  1. 車両用ベルト式無段変速機の一対のプーリに巻き掛けられる伝動ベルトにおいて無端環状のリングに沿って厚さ方向に複数連ねられ、該厚さ方向に一端面から突き出した突起部と他端面に設けられて該他端面側に隣接するエレメントから突き出した突起部を受け入れる凹部とを備えたエレメントの製造方法であって、
    前記エレメントのプレス加工により、前記突起部を前記一端面から前記厚さ方向に突き出させる第1プレス工程と、
    前記一端面から突き出された前記突起部の先端の少なくとも一部を該突起部の突出し方向とは逆方向に押圧することにより、前記先端の外周に構成された先端角部の曲率半径を小さくするように該先端を前記突起部の径方向に広げる第2プレス工程と
    を、含むことを特徴とする車両用伝動ベルトのエレメントの製造方法。
  2. 前記第2プレス工程において前記突起部の先端が該突起部の径方向に広げられる量は、前記エレメントの高さ方向に沿った量よりも該エレメントの幅方向に沿った量の方が多い
    ことを特徴とする請求項1に記載の車両用伝動ベルトのエレメントの製造方法。
  3. 前記第2プレス工程は、前記突起部の先端に窪みを形成することにより前記先端を該突起部の径方向に広げる工程である
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用伝動ベルトのエレメントの製造方法。
  4. 前記突起部の先端の窪みは、前記エレメントの高さ方向に沿った幅よりも該エレメントの幅方向に沿った幅の方が大きい
    ことを特徴とする請求項3に記載の車両用伝動ベルトのエレメントの製造方法。
  5. 前記エレメントは、隣接するエレメントに対して相対的に揺動する際の揺動中心線よりも前記プーリの内周側に前記突起部および前記凹部を備えている
    ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の車両用伝動ベルトのエレメントの製造方法。
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JP2013002474A (ja) * 2011-06-13 2013-01-07 Toyota Motor Corp 無端金属ベルトのエレメントの製造方法

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