JP6203996B2 - 即席パン粥様食品及びパン粥様食品 - Google Patents

即席パン粥様食品及びパン粥様食品 Download PDF

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Description

本発明は、熱湯等の水溶液を注加することで喫食可能になる即席パン粥様食品、及び、該即席パン粥様食品に熱湯等の水溶液を注加して得られるパン粥様食品に関する。
従来、病人や高齢者の介護食品や幼児の離乳食品の一つとして、炊き上げた米に水等を注加したものを加熱調理することで得られる粥が知られている。粥は、病人や高齢者のように体力が弱っている者や、離乳期の幼児にとって好適な食品であるが、飲食時における調理負担が大きいという問題がある。
これに対して、焙煎した乾燥アルファー化米の粉末を含み、お湯を注ぐだけで粥状になる即席粥の素が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2003−047415号公報
ここで、近年、食パン等を原料とするパン粥が知られている。パン粥は、例えば、細かくちぎった食パンに牛乳を注加したものを加熱調理することで得られる。
パン粥は、全体的に柔らかく、風味も良好であることから、上述の粥と同様に、病人や高齢者の介護食品や、幼児の離乳食品として好適である。
しかし、パン粥は、原料が米に比べて保存性が悪い食パンであり、上記粥と同様に加熱調理が必要であるため、原材料の保存等の管理負担や、飲食時における調理負担が大きいという問題があった。
本発明は、保存性に優れると共に、水溶液を注加することで簡易にパン粥様食品になる即席パン粥様食品を提供することを一の目的とする。
また、本発明は、該即席パン粥様食品に水溶液を注加して得られるパン粥様食品を提供することを他の目的とする。
本発明は、水溶液を注加することで喫食可能となる即席パン粥様食品であって、水分含量が4〜16質量%であるパン粉を10〜60質量%と、前記パン粉に混合されたタンパク素材を5〜40質量%と、を含む即席パン粥様食品に関する。
また、即席パン粥様食品において、前記パン粉は、6メッシュを通過したものであることが好ましい。
また、即席パン粥様食品において、前記タンパク素材におけるタンパク質の含量は、20〜95質量%であることが好ましい。
また、即席パン粥様食品において、前記タンパク素材は、全脂粉乳、脱脂粉乳、濃縮ミルクプロテイン、分離ミルクプロテイン、トータルミルクプロテイン、濃縮ホエープロテイン、分離ホエープロテイン、カゼインナトリウムから選ばれる1又は2以上であることが好ましい。
また、即席パン粥様食品は、該即席パン粥様食品に対して、質量比で1〜3の水溶液が注加されることで喫食可能となることが好ましい。
また、即席パン粥様食品は、即席パン粥様食品におけるパン粉の含量が25〜40質量%であって、水溶液が注加されて喫食可能になった状態において、硬さが3×10〜2×10N/m、かつ、付着性が1.5×10J/m以下となることが好ましい。
また、即席パン粥様食品は、水溶液が注加されて喫食可能になった状態において、150gあたり、タンパク質含量が2〜25g、エネルギーが150〜400kcalであることが好ましい。
また、即席パン粥様食品は、水溶液が注加されて喫食可能になった状態において、150gあたり、タンパク質含有量が1〜2g、エネルギーが200〜400kcalであることが好ましい。
また、本発明は、水溶液を注加することで喫食可能となる即席パン粥様食品であって、水分含量が4〜16質量%であるパン粉を、注加する水溶液に対して3〜60質量%と、前記パン粉に混合されるタンパク素材を、注加する水溶液に対して1.5〜40質量%と、を含む即席パン粥様食品に関する。
また、本発明は、上述の即席パン粥様食品と、前記即席パン粥様食品に対して、質量比で1〜3だけ注加された水溶液と、を含むパン粥様食品に関する。
また、本発明は、上述の即席パン粥様食品に対して水溶液を注加する工程と、水溶液を注加した後、1分〜30分保持する工程と、を含むパン粥様食品の製造方法に関する。
また、パン粥様食品の製造方法において、注加される水溶液は、前記即席パン粥様食品に対して、質量比で1〜3であることが好ましい。
また、本発明は、上述の即席パン粥様食品と、前記即席パン粥様食品を収容する容器であって、前記即席パン粥様食品を収容した状態で、前記即席パン粥様食品に対する質量比で1〜3の水溶液を注加可能な容器と、を有する個包装物に関する。
また、本発明は、袋状の個包装部材と、前記袋状の包装部材に収容される15〜100gの即席パン粥様食品と、有する即席パン粥様食品の個包装物に関する。
本発明によれば、保存性に優れると共に、水溶液を注加することで簡易にパン粥様食品になる即席パン粥様食品を提供することができる。
また、本発明によれば、該即席パン粥様食品に水溶液を注加して得られるパン粥様食品を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
まず、本実施形態における概要について説明する。
本実施形態における即席パン粥様食品は、熱湯等の水溶液を注加することで喫食可能となる即席パン粥様食品である。
即席パン粥様食品は、水分含量が4〜16質量%であるパン粉を10〜60質量%と、パン粉に混合されたタンパク素材を5〜40質量%と、を含む。
本実施形態におけるパン粥様食品は、本実施形態の即席パン粥様食品と、該即席パン粥様食品に対して質量比で1〜3だけ注加された水溶液と、を含む。パン粥様食品は、いわゆるパン粥と同様の食感や風味を有する。
本実施形態におけるパン粥様食品は、本実施形態の即席パン粥様食品に対して、熱湯等の水溶液を注加することで、調理(製造)される。
続けて、本実施形態における詳細について説明する。
上述の通り、本実施形態における即席パン粥様食品は、水分含量が4〜16質量%であるパン粉を10〜60質量%と、タンパク素材を5〜40質量%と、を含む。
即席パン粥様食品におけるパン粉の含量は、10〜60質量%、好ましくは20〜50質量%、更に好ましくは25〜40質量%である。
パン粉の含量が10〜60質量%の場合、即席パン粥様食品は、お湯等が注加されて喫食可能な状態(パン粥様食品の状態)において、パンの風味が感じられ、食感がなめらかである。また、パン粉の含量が10〜60質量%の場合、即席パン粥様食品は、お湯を注加した際(加水時)における分散性も優れている。
即席パン粥様食品におけるパン粉の含量が10質量%未満の場合、即席パン粥様食品は、含まれるパン粉が少ないので、熱湯等の水溶液が注加されて喫食可能なパン粥様食品になった状態で、パン粥様食品としての好適な食感や風味が得られにくいので好ましくない。具体的には、得られたパン粥様食品は、パン粥独特の、まとまりが良くかつ、べたつきが少ない物性や、パン特有の好ましい風味が減少する場合があるため好ましくない。
また、即席パン粥様食品におけるパン粉の含量が60質量%を越える場合、即席パン粥様食品は、含まれるパン粉が多いので、熱湯等の水溶液を注加した際に高粘度になるため、溶けにくい塊(ダマ)が出来やすく、調理作業性が悪くなる。また、熱湯等の水溶液が注加されて喫食可能なパン粥様食品になった状態で、パン粥様食品としての好適な食感が得られにくく、嚥下適性も低下するので好ましくない。具体的には、得られたパン粥様食品は、粘度が必要以上に高くなり、均質で滑らかな物性を得ることが難しくなる場合があるので好ましくない。
また、注加される水溶液に対するパン粉は、3〜60質量%、好ましくは7〜35質量%、更に好ましくは10〜25質量%である。
注加される水溶液に対するパン粉が3〜60質量%の場合、即席パン粥様食品は、お湯等が注加されて喫食可能な状態(パン粥様食品の状態)において、パンの風味が感じられ、食感がなめらかである。また、注加される水溶液に対するパン粉が3〜60質量%の場合、即席パン粥様食品は、お湯を注加した際(加水時)における分散性も優れている。
注加される水溶液に対するパン粉が3質量%未満の場合、即席パン粥様食品は、含まれるパン粉が少ないので、熱湯等の水溶液が注加されて喫食可能なパン粥様食品になった状態で、パン粥様食品としての好適な食感が得られにくく、所定の栄養が得られにくい状態になるので好ましくない。具体的には、得られたパン粥様食品は、液状に近くなり薄くなる場合があるので好ましくない。
また、注加される水溶液に対するパン粉が60質量%を越える場合、即席パン粥様食品は、含まれるパン粉が多いので、熱湯等の水溶液が注加されて喫食可能なパン粥様食品になった状態で、パン粥様食品としての好適な食感が得られにくく、嚥下特性も低下するので好ましくない。具体的には、得られたパン粥様食品は、粘度が高くなったり、塊になりやすくなったりする場合があるので好ましくない。
パン粉における水分含量は、4〜16質量%、好ましくは5〜12質量%である。
パン粉における水分含量が4〜16質量%の場合、即席パン粥様食品は、長期保存における品質の低下が少ないので好ましい。また、パン粉における水分含量が4〜16質量%の場合、即席パン粥様食品は、製造面でも過剰な負担を必要としないので好ましい。
パン粉における水分含量が4質量%未満の場合、即席パン粥様食品は、パン粉を製造(乾燥)することが難しくなる場合があるので好ましくない。また、この場合、即席パン粥様食品は、製造負担が大きくなるので好ましくない。
また、パン粉における水分含量が16質量%を越える場合、即席パン粥様食品は水分量が多くなるため、長期保存における品質低下が大きくなるので好ましくない。
即席パン粥様食品に含まれるパン粉は、篩により粒度を整えられたものを使用することが好ましい。即席パン粥様食品に含まれるパン粉は、例えば、6メッシュを通過したもの(6メッシュ下)が好ましく、8メッシュを通過したもの(8メッシュ下)が更に好ましく、10メッシュを通過したもの(10メッシュ下)が特に好ましい。
パン粉が6メッシュを通過したものである場合、即席パン粥様食品は、他の原料(素材)との混合性が良好であるため好ましい。また、パン粉が6メッシュを通過したものである場合、即席パン粥様食品は、熱湯等の水溶液が注加された際の水戻り性が良く、喫食可能なパン粥様食品になった状態で舌触り等が良好(なめらか)であるため好ましい。
ここで、パン粉が6メッシュを通過しないもの(6メッシュ上)だけで構成されている場合、即席パン粥様食品は、製造時にパン粉と他の原料と均一に混合することが難しくなり、また、製品の保存時においても均一な混合状態の保持が難しくなるので好ましくない。また、熱湯等の水溶液が注加された際の水戻り性が悪く、喫食可能なパン粥様食品になった状態で、喫食者に舌へのざらつき等を感じさせる場合があるので好ましくない。
また、パン粉が50メッシュを通過したもの(50メッシュ下)だけで構成されている場合、即席パン粥様食品は、熱湯等の水溶液が注加した際に、溶けにくい塊(ダマ)が出来やすく、調理作業性が悪くなる。また、この場合の即席パン粥様食品は、熱湯等の水溶液が注加されて喫食可能なパン粥様食品になった状態で、パン粥様食品としての食感が低下するので好ましくない。具体的には、この場合の即席パン粥様食品は、熱湯等の水溶液が注加されて喫食可能なパン粥様食品になった状態で、なめらかさがなく、ざらつきが目立つ場合があるので好ましくない。
上述より、即席パン粥様食品に含まれるパン粉は、6メッシュを通過しないもの(6メッシュ上)を含まないことが好ましく、50メッシュを通過したもの(50メッシュ下)のみで構成されないことが好ましい。
ここで、パン粉は、水戻り性が良好であることが好ましい。パン粉は、製造時における生地の膨張により形成される薄膜が薄いほど、水戻りが良好である傾向があるため、原料として、所定の膨張剤に加え、膨張を促進するための製剤や、生地の伸展を促進するための改質剤を含むことが好ましい。具体的にはイーストフード、増粘多糖類、乳化剤、糖質、タンパク素材(グルテンなど)、アスコルビン酸、臭素酸カリウム、酵素剤、油脂などが挙げられる。
ここで、パン粉におけるタンパク質含量は、製造時における膨張度合い等に応じて設定される。
例えば、焙焼式で製造される場合や、製造時における膨張度合を大きく設定する場合、パン粉におけるタンパク質の含量は多い方が好ましい。この場合、例えば、パン粉におけるタンパク質の含量は、6〜30質量%、好ましくは10〜25質量%である。
また、電極式で製造される場合や、製造時における膨張度合いが少ない場合、パン粉におけるはタンパク質の含量は、逆に少ない方が好ましい。タンパク質が加熱により結合して分子量が大きくなることで舌でのざらつきの原因になる場合があり、同じ膨張度合いであるならば、タンパク質の含量が少ない方が良好な場合があるためである。
電極式で製造される場合や、製造時における膨張度合いが少ない場合、パン粉におけるタンパク質含量は、例えば、6〜15質量%、好ましくは6〜12質量%、更に好ましくは6〜10質量%、特に好ましくは6〜9質量%である。
パン粉におけるタンパク質含量が6質量%未満の場合、即席パン粥様食品は、パン粉を製造することが難しくなるので好ましくない。具体的には、パン粉におけるタンパク質含量が6質量%未満の場合、パン粉の素になるパンを好適に焼成させることが難しくなるため好ましくない。
また、パン粉におけるタンパク質含量が15質量%を越える場合、即席パン粥様食品は、熱湯等の水溶液が注加されて喫食可能なパン粥様食品になった状態で、パン粥様食品としての食感が低下するので好ましくない。具体的には、パン粉におけるタンパク質含量が15質量%を越える場合、即席パン粥様食品は、熱湯等の水溶液が注加された際の水戻り性が悪く、喫食可能なパン粥様食品になった状態で、飲食者に舌へのざらつき等を感じさせる場合があるので好ましくない。
ただし、パン製造時における膨張度合いが大きい場合は、この限りでない。
タンパク素材は、本実施形態の即席パン粥様食品において、パン粉に混合されている。本実施形態における即席パン粥様食品において、タンパク素材は、パン粉と混合状態にある。ここで、混合状態とは、好ましくは均一に混合された状態であるが、この状態に限定されない。
即席パン粥様食品におけるタンパク素材の含量は、5〜40質量%、好ましくは8〜30質量%、更に好ましくは10〜25質量%である。
タンパク素材の含量が5〜40質量%である場合、即席パン粥様食品は、お湯等が注加されて喫食可能な状態(パン粥様食品の状態)において、食感が良好であるため好ましい。具体的には、タンパク素材の含量が5〜40質量%である場合、即席パン粥様食品は、お湯等が注加されて喫食可能な状態(パン粥様食品の状態)において、パン粥様食品としての食感がなめらかで、べたつきも少ないので好ましい。
即席パン粥様食品におけるタンパク素材が5質量%未満の場合、即席パン粥様食品は、パン粥様食品としての食感が低下するので好ましくない。具体的には、即席パン粥様食品におけるタンパク素材が5質量%未満の場合、即席パン粥様食品は、熱湯等の水溶液が注加されて喫食可能なパン粥様食品になった状態で、なめらかな食感が不足する場合があるので好ましくない。
また、即席パン粥様食品におけるタンパク素材が40質量%を越える場合、即席パン粥様食品は、熱湯等の水溶液が注加されて喫食可能なパン粥様食品になった状態で、粘度や付着性が高く、摂食・嚥下が困難な高齢者や障害を持つ人には適さない物性であった。
また、パン粉に対する添加タンパク素材の割合は、質量比で0.1〜4.0、好ましくは0.15〜1.5、さらに好ましくは0.2〜1.0である。パン粉に対する添加タンパク素材の割合が0.1より小さいと、タンパク素材の添加によるなめらかさが出ず、添加タンパク素材の割合が4.0大きいと添加タンパク由来のべたつきや硬さが出てしまうため好ましくない。
また、注加される水溶液に対するタンパク素材は、1.5〜40質量%、好ましくは2.5〜20質量%、更に好ましくは4〜14質量%である。
注加される水溶液に対するタンパク素材が1.5〜40質量%である場合、即席パン粥様食品は、お湯等が注加されて喫食可能な状態(パン粥様食品の状態)において、食感が良好であるため好ましい。具体的には、注加される水溶液に対するタンパク素材が1.5〜40質量%である場合、即席パン粥様食品は、お湯等が注加されて喫食可能な状態(パン粥様食品の状態)において、パン粥様食品としての食感がなめらかで、べたつきも少ないので好ましい。
注加される水溶液に対するタンパク素材が1.5質量%未満の場合、即席パン粥様食品は、パン粥様食品としての食感が低下するので好ましくない。具体的には、即席パン粥様食品におけるタンパク素材が1.5質量%未満の場合、即席パン粥様食品は、熱湯等の水溶液が注加されて喫食可能なパン粥様食品になった状態で、なめらかな食感が不足する場合があるので好ましくない。
また、注加される水溶液に対するタンパク素材40質量%を越える場合、即席パン粥様食品は、熱湯等の水溶液が注加されて喫食可能なパン粥様食品になった状態で、粘度が上昇する場合があるので好ましくない。
タンパク素材におけるタンパク質の含量は、20〜95質量%、好ましくは30〜95質量%、更に好ましくは75〜95質量%である。
タンパク素材におけるタンパク質の含量が20〜95質量%の場合、即席パン粥様食品は、パン粥様食品における幅広いタンパク質含量に対応することができるので好ましい。
例えば、タンパク素材におけるタンパク質の含量が75質量%から95%の場合、タンパク質栄養価が高いパン粥様食品となる即席パン粥様食品を容易に製造することができるので好ましい。
また、タンパク素材におけるタンパク質の含量が20〜40質量%の場合、即席パン粥様食品は、タンパク質含量が少ないパン粥様食品となる即席パン粥様食品を容易に製造することができるので好ましい。
ここで、タンパク素材におけるタンパク質の含量が20質量%未満の場合、即席パン粥様食品は、タンパク質含有量が低下し、栄養組成物としての効果が減少する。更には、タンパク素材におけるタンパク質の含量が20質量%未満の場合、即席パン粥様食品は、熱湯等の水溶液が注加されて喫食可能なパン粥様食品になった状態で、なめらかな食感を有するために、多量のタンパク素材が必要になるので好ましくない。
即席パン粥様食品に使用するタンパク素材は、熱湯を注加してパン粥様食品とした場合の一般的なパン粥らしい風味を損なわないものが好ましい。タンパク素材として、たとえば、全脂粉乳、脱脂粉乳、濃縮ホエープロテイン、分離ホエープロテイン、濃縮ミルクプロテイン、分離ミルクプロテイン、トータルミルクプロテイン、カゼインナトリウム、カゼインカルシウム、レンネットカゼインなどの牛乳由来のタンパク素材が好ましく、全脂粉乳、脱脂粉乳、濃縮ミルクプロテイン、分離ミルクプロテインが特に好ましい。
また、タンパク素材は水溶性のものが好ましい。具体的には、水溶性のタンパク素材として、全脂粉乳、脱脂粉乳、濃縮ミルクプロテイン、分離ミルクプロテイン、トータルミルクプロテイン、濃縮ホエープロテイン、分離ホエープロテイン、カゼインナトリウム等が挙げられるが、これら以外のタンパク素材でも、水溶性を高める処理をされたものであればよい。これら、水溶性の高いタンパク素材を使用することで、即席パン粥様食品に熱湯を注加してパン粥様食品とした場合の、食感のなめらかさが得られる。
また、即席パン粥様食品は、タンパク素材として、上述のタンパク素材とは別のタンパク素材を含んでいてもよい。好ましくは、即席パン粥様食品は、上述したタンパク素材、例えば、水溶性のタンパク素材を含むと共に、他のタンパク素材を含むよう調整されることが好ましい。水溶性のタンパク素材と共に含まれる他のタンパク素材としては、例えば、大豆タンパク質、小麦タンパク質、米タンパク質、そばタンパク質、血漿タンパク質、乾燥卵白、乾燥卵黄、乾燥全卵、ペプチド等を例示できる。
また、即席パン粥様食品は、食感や風味を向上させ、所定の栄養条件を満たすため、適宜食品素材および食品添加物を含む。
即席パン粥様食品は、食感や風味を向上させるため、例えば、砂糖、乳糖、デキストリン、ブドウ糖、オリゴ糖、水あめ、澱粉、加工澱粉、糖アルコール、ゼラチン、寒天、油脂、粉末油脂類、乾燥卵類、粉末果汁、粉乳、増粘多糖類、粉末香料類、乳化剤、調味料、甘味料、色素、酵素、酸味料、茶抽出物、動植物エキス類を含む。
即席パン粥様食品は、所定の栄養条件を満たすため、例えば、水溶性ビタミン類、脂溶性ビタミン類、食物繊維素材、カルシウム素材、マグネシウム素材、各種微量ミネラル素材、アミノ酸、ペプチド類、多価不飽和脂肪酸類(DHA、EPAなど)、乳酸菌製剤、核酸、酵母を含む。
即席パン粥様食品は、水溶液が注加されることで喫食可能となる。つまり、即席パン粥様食品は、水溶液(熱湯)が注加されることでパン粥様食品となる。
ここで、注加される水溶液の量は、特に限定されず、食感、栄養、使い勝手(調理性等)に応じて、適宜設定される。注加される水溶液の量は、例えば、該即席パン粥様食品に対して、質量比で1〜3、好ましくは1.5〜2.8、更に好ましくは1.8〜2.5である。
注加される水溶液の量が上述の範囲である場合、即席パン粥様食品は、使い勝手(調理性、製造性)が良いので好ましい。また、注加される水溶液が1未満の場合、即席パン粥様食品は、水溶液を注加して混ぜる際、非常に粘度が高いため均一に混ぜにくく、得られたパン粥様食品も高粘度で付着性が強く食べにくかった。とくに、摂食が困難な高齢者や障害を持つ人には適さない物性であった。一方、注加される水溶液が3より大きい場合は、水溶液を注加してできたパン粥様食品の物性は溶液状(スープ状)で、一般的なパン粥のイメージとかけ離れたものであった。
即席パン粥様食品に注加される水溶液は、例えば、水(熱湯を含む)、牛乳、加工乳、乳飲料、コーヒー、茶抽出物、スープ類、果汁、及び所定の調味料、塩類、栄養素、香料や着色料の1種又は2種以上を含む水溶液が好ましい。ここで、加工乳は、生乳、牛乳若しくは特別牛乳又はこれらを原料として製造した食品を加工したものであって、具体的には低脂肪乳や濃厚牛乳などをいう。
また、即席パン粥様食品に注加される水溶液は、好ましくは水または湯であり、特に好ましくは熱湯である。
水溶液の温度は、10〜100℃(283.15〜373.15K)、好ましくは30〜100℃(303.15〜373.15K)、更に好ましくは50〜100℃(323.15〜373.15K)、特に好ましくは70〜100℃(343.15〜373.15K)である。
また、水溶液が水である場合、液体の状態であればよく、また、温度が高いほど好ましい。これは、即席パン粥様食品に含まれるパン粉やタンパク素材の吸水、膨潤、水和が速やかに進むことで、即席パン粥様食品が喫食可能になる時間が短くて済むこと(調理性、使い勝手のよさ)や、食感がより滑らかに仕上がることや、飲食物として好適な温度になる等が理由である。
即席パン粥様食品は、各種包装部材(例えば、袋)や容器に収容された状態で、保管や流通される。
即席パン粥様食品は、例えば、袋に複数食分の量が収容された状態で保管や流通される。上述の通り、即席パン粥様食品は、含まれるパン粉における水分含量が少ないため、長期間の保管が可能である。
使用時(調理時)において、使用者(調理者、飲食者)は、袋に収容された即席パン粥様食品から所定量だけ取り出し、該取り出した即席パン粥様食品の量に適した熱湯等の水溶液を注加する。
また、更に長期間の保管を可能とするため、即席パン粥様食品全体における水分含量は、1〜14質量%、好ましくは2〜7質量%に調整される。
包装部材は、内部に形成される収容空間を密封状態とし、このましくは、乾燥剤、脱酸素剤や鮮度保持剤を封入するなどして、収容空間に収容される即席パン粥様食品の水分含量の上昇や酸化などによる品質や風味の劣化を抑制する。
また、即席パン粥様食品は、例えば、一食分の量が容器に収容された状態で、保管や流通される。つまり、容器と、容器に収容された一食分の量のパン粥様食品とは、個包装物として保管や流通がされる。
該個包装物は、例えば、所定量(例えば、一食分)の即席パン粥様食品と、即席パン粥様食品を収容する容器であって即席パン粥様食品を収容した状態で、即席パン粥様食品に対する質量比で1〜3の熱湯等の水溶液を注加可能な容器と、を有する。
容器は、例えば、上記注加される水溶液の容量に対して、1〜3倍の容量を有する。また、容器は、例えば、収容される即席パン粥様食品の量に対して好適な熱湯等の注加量を示す目印(例えば、線表示)を内面に有する。また、容器は、例えば、調理手順を示す表示部を外面に有する。
また、即席パン粥様食品は、例えば、一食分の量が袋状の個包装部材に収容された状態で、保管や流通される。つまり、袋状の個包装部材と、収容された一食分の量のパン粥様食品とは、個包装物として保管や流通がされる。
該個包装物は、例えば、一食分の量として15〜100g、好ましくは30〜70gの即席パン粥様食品と、該即席パン粥様食品を収容する袋状の個包装部材とを有する。
個包装部材は、内部に形成される収容空間を密封状態として、このましくは、乾燥剤、脱酸素剤や鮮度保持剤を封入するなどして、収容空間に収容される即席パン粥様食品の水分含量の上昇や酸化などによる品質や風味の劣化を抑制する。
該個包装物は、袋状の個包装部材の一部が破られることで、即席パン粥様食品を外部に出すことが可能に構成される。
上述の通り、即席パン粥様食品に水溶液が注加されることで、パン粥様食品が簡易に得られる。
パン粥様食品は、いわゆるパン粥と同様の食品である。パン粥は、例えば、市販のパンを細かくちぎって、牛乳等と一緒に鍋等で加熱調理して得られる粥様の食品である。通常、パン粥を調理するのには、食パンや生パン粉を細かく粉砕し、パンの数倍量の牛乳と適量の砂糖等と混ぜて、鍋などで加熱調理する。この際、鍋底で焦げが発生しやすいため、加熱調理中は調理担当者が付きっ切りで、へらなどで鍋の内容物を攪拌し続ける必要があるため、調理に非常に手間が掛かる。また、加熱時間のわずかな違いにより、出来上がりの物性が大きく変わるため、調理機会ごとの物性を一定にすることは難しい。
本実施形態におけるパン粥様食品は、本実施形態における即席パン粥様食品に水溶液を注加することで簡易に、一定した品質のパン粥様食品を得ることができる。
本実施形態におけるパン粥様食品は、物性や栄養が所定の条件を満たすように組成が設計される。
パン粥様食品は、例えば、飲食者が舌にざらつきを感じず、嚥下がスムースに行われるような物性に設計される。
とくに、パン粥様食品は、咀嚼・嚥下障害を有する高齢者や障害を持つ人が、容易に摂食できるような固さやまとまりの良さ、べたつき感の少なさを有する。
パン粥様食品の物性として、消費者庁の定める「嚥下困難者用食品許可基準III」程度の物性(硬さ:3×10〜2×10N/m、付着性:1.5×10J/m以下)または「嚥下困難者用食品許可基準II」程度の物性(硬さ:1×10〜1.5×10N/m、付着性:1×10J/m以下、凝集性0.2〜0.9)を例示できる。
なお、該物性は、例えば次のように測定することができる。例えば、試料を直径40mm、高さ20mmの容器に高さ15mmに充填し、直線運動により物質の圧縮応力を測定することが可能な装置を用いて、直径20mm、高さ8mm樹脂性のプランジャーを用い、圧縮速度10mm/sec、クリアランス5mmで2回圧縮測定する。測定は、冷たくして食する又は常温で食する食品は10±2℃及び20±2℃、温かくして食する食品は20±2℃及び45±2℃で行う。
パン粥様食品における上述の食感条件を満たすよう、即席パン粥様食品を設計することができる。例えば、上述のように、即席パン粥様食品は、パン粥様食品における上述の食感条件を満たすよう、パン粉におけるタンパク質含量や、パン粉とともに含まれるタンパク素材の含量、即席パン粥様食品に対する加水量を設定することができる。
例えば、咀嚼・嚥下障害を有する人や高齢者に適した即席パン粥様食品として、パン粉が25〜40質量%に設定された即席パン粥様食品を例示できる。
また、パン粥様食品は、例えば、飲食者を想定して栄養条件が設定される。
例えば、飲食者が高齢者である場合、パン粥様食品1食の摂取量を150gとした場合、タンパク質含量が2〜25g、好ましくは4〜15g、とくに好ましくは6〜10g、エネルギーが150〜400kcal、好ましくは170〜300kcal、とくに好ましくは180〜250kcalとなるよう設定される。
例えば、対象者に応じたパン粥様食品における上述の栄養条件を満たすよう、即席パン粥様食品が設計されている。即席パン粥様食品は、上述のように、パン粉におけるタンパク質含量や、パン粉とともに含まれるタンパク素材の含量や、添加剤の添加量が調整されている。
即席パン粥様食品は、タンパク質含有量の少ないタンパク素材(全脂粉乳や脱脂粉乳など)を用いて、タンパク素材の配合量が少ない組成とすることができる。
例えば、腎臓病疾患者のための食事として、パン粥様食品1食の摂取量150gあたり、タンパク質含有量が1〜2g、エネルギーが200〜400kcalとなるように調整された即席パン粥様食品を例示できる。
この場合も同様に、対象者に応じたパン粥様食品における上述の栄養条件を満たすよう、即席パン粥様食品が設計される。この場合、即席パン粥様食品は、上述のように、パン粉におけるタンパク質含量や、パン粉とともに含まれるタンパク素材の含量が調整されている。
本実施形態におけるパン粥様食品は、風味が一般的なパン粥に類似し、かつ摂食機能や食欲の低下した人でも喫食が進むような好ましい香りと味を有するように組成が設計される。例えば、一般的なパン粥の様な味や、だし味、しょうゆ味、味噌味、カレー味、洋風スープ味、チョコレート味、バニラ味、ミルク味、コーヒー味、抹茶味、乳酸菌飲料味、フルーツジュース味などが設定される。
味の強さは、かすかに感じる程度の薄い味から明らかに認識できる程度の濃い味まで、飲食者に合わせて設定できる。
続けて、即席パン粥様食品の製造方法について、説明する。
まず、即席パン粥様食品に含まれるパン粉の製造方法について説明する。
製造者は、まず、パン生地をつくる。製造者は、原料である小麦粉、イースト、食用油脂、砂糖類、食塩、水等をミキサーにより混ぜ合わせてパン生地をつくる。その他に酵素製剤、ブドウ糖、ペクチン製剤、米粉、とうもろこし粉、大豆粉、ライ麦粉、でん粉、米麹、麦芽粉、大豆食物繊維、粉末状植物性タンパク、乳製品、卵、還元水あめ、醸造酢、野菜及び果実並びにそれらの加工品、乳化剤、イーストフード、製造用剤、pH調整剤、着色料、加工でん粉、増粘多糖類を適宜追加してもよい。
パン生地は、例えば、小麦粉100質量%に対し、イースト0.1〜4質量%、イーストフード0.1〜2質量%、食塩0.5〜3質量%、砂糖類1〜25質量%、食用油脂2〜25質量%、水40〜80質量%が混ぜ合わされてつくられる。
そして、製造者は、パン生地を丸状及びシート状に形成する。
続けて、製造者は、丸状及びシート状に形成されたパン生地を醗酵室にて一定の時間熟成させる。途中ガス抜き(パンチ)をして後で発酵させることがある。パン生地は、醗酵室において、温度及び湿度が一定(例えば38℃、湿度70%)で約30〜60分間発酵される。パン生地は、発酵されることにより、例えば、厚さが約2〜2.5倍に変化する。
続けて、製造者は、発酵が完了したパン生地に対して生地内層を形成する。生地内層は、最終製品となるパン粉の形状を決定する重要な要因であり、まだ焼成固定していない生地の内部構造に細長い組織を付与するものである。生地内層を形成するには、発酵したパン生地を延伸することにより行なわれる。延伸は、例えば、前後一対のベルトコンベヤー体間において、該ベルトコンベヤー体の速度に差をつけて無圧状態で行われる。無圧状態で引き延ばされることで、引き延ばし方向に細長い生地内層が効率よく形成される。
続けて、製造者は、生地内層の形成がなされたパン生地を、生地を固定すべく焼成する。焼成は、電極式又は焙焼式のパン焙焼機により行われる。本実施形態におけるパン生地に対する焙焼は、電極式の焙焼機により行われることが好ましい。
続けて、製造者は、焙焼されて生地内層が固定されたパンを、例えば、冷蔵庫や冷風等を使って効率よく冷却する。ここで、パンは自然冷却されてもよいが、効率的に冷却されることにより、次の工程である粉砕工程までに必要なエイジング時間が短縮される。これにより、生産効率が向上される。
続けて、製造者は、冷却されたパンを粉砕機により粉砕する(粉砕工程)。粉砕工程は、予備的な荒砕き工程と、更に細かく粉砕する粉砕工程とを有する。これにより、パンは、パン粉になる。
続けて、製造者は、パン粉を乾燥処置等して、水分含量を上記範囲に調整する。また製造者は、粒度を調整するため、パン粉を篩いにより、篩い処理する。これにより、パン粉は、粒度が上述の範囲になるよう調整される。
次いで、即席パン粥様食品の製造方法について説明する。
まず、製造者は、パン粉と、タンパク素材とを上述の割合で篩を通して混合用のタンクに投入する。また、製造者は、更に食感や風味を調整する組成物や、所定の栄養素を含む組成物を上述の割合で篩を通して、混合用のタンクに投入する。
続けて、製造者は、混合用のタンクに収容されたパン粉や各組成物が略均一に混ざるように攪拌する。製造者は、例えば、攪拌ミキサーをパン粉が破砕しない程度の回転速度で回転させることで、パン粉や各組成物が混合物として略均一になるよう攪拌する。
ここで、上述した攪拌手段は、一例であり、上述した攪拌手段に限定されない。例えば、製造者は、搬送中に均一に混ざるように攪拌する攪拌手段を採用してもよく、また、袋や容器に収容する際に均一になるようにノズル位置や排出強さを調整する装置を採用してもよい。これにより、製造者は、即席パン粥様食品を製造する。
続けて、製造者は、上記混合物である即席パン粥様食品を、所定の袋(包装部材、個包装部材)や容器に封入する。
製造者は、例えば、複数食分の即席パン粥様食品を、所定の大きさの袋に封入する。製造者は、袋の収容容積に応じた量の即席パン粥様食品を、該袋に封入する。ここで、製造者は、例えば、即席パン粥様食品とともに乾燥剤、脱酸素剤、品質保持剤を袋内に入れてもよい。
また、製造者は、例えば、一食分の量の即席パン粥様食品を袋状の個包装部材に封入する。そして、製造者は、袋状の個包装部材における開口を封止する。これにより、個包装部材は、即席パン粥様食品が収容された収容空間を密閉状態にする。
袋状の個包装部材に収容された一食分の量のパン粥様食品は、個包装物として保管や流通がされる。
個包装部材は、内部に形成される収容空間を密封状態として、収容される即席パン粥様食品の水分含量の上昇や、品質や風味の劣化を抑制する。
また、該個包装物は、袋状の個包装部材の一部が破られることで、即席パン粥様食品を外部に出すことが可能に構成される。
また、製造者は、一食分の量の即席パン粥様食品を容器に封入する。そして、製造者は、容器の開口を蓋部材により封止して、内部の収容空間を密閉状態にする。
容器に収容された一食分の量のパン粥様食品は、個包装物として保管や流通がされる。
容器は、内部に形成される収容空間を密封状態として、収容される即席パン粥様食品の水分含量の上昇や、品質や風味の劣化を抑制する。ここで、容器は、上述の通り、例えば、上記注加される水溶液の容量に対して、1〜3倍の容量を有する。また、容器は、例えば、収容される即席パン粥様食品の量に対して好適な熱湯等の注加量を示す目印(例えば、線表示)を内面に有する。また、容器は、例えば、調理手順を示す表示部を外面に有する。
該個包装物は、蓋部材の全部又は一部が容器から剥がされることで、即席パン粥様食品に対して外部から熱湯等の水溶液を注加可能に構成される。
続けて、パン粥様食品の調理方法(製造方法)について説明する。
数食分の即席パン粥様食品が袋に封入された包装物を用いた場合について説明する。
まず、調理者(製造者)は、袋から所定量(例えば、一食分の量)の即席パン粥様食品を計量して取り出して、容器に入れる。
続けて、調理者は、容器に収容された即席パン粥様食品に対して、熱湯等の水溶液を注加する。調理者は、例えば、即席パン粥様食品に対して、質量比で1〜3の熱湯を注加し、全体が均一になるようにかき混ぜる。
続けて、調理者は、熱湯等の水溶液を即席パン粥様食品(容器)に注加し、全体が均一になるように混ぜた後、1分〜30分、好ましくは3分〜20分、更に好ましくは5分〜15分だけ保持する(待つ)。この際、水分の蒸発や温度の変化を防ぐため容器にふたをすることが好ましい。
これより、即席パン粥様食品は、喫食可能になる。言い換えると、パン粥様食品が調理(製造)される。
また、包装物が袋状の個包装部材に一食分の量のパン粥様食品が収容された個包装物である場合、調理者は、即席パン粥様食品を計量することなく、内部の即席パン粥様食品を容器に移し、予め定められた量の熱湯等の水溶液を注加する。これにより、パン粥様食品が調理(製造)される。
また、包装物が容器に一食分の量のパン粥様食品が収容された個包装物である場合、調理者は、蓋部材を剥がし、予め定められた量の熱湯等の水溶液を容器内に注加する。これにより、パン粥様食品が調理(製造)される。
本実施形態によれば、熱湯等の水溶液を注加するだけで、簡易にパン粥様食品を調理(製造)可能な即席パン粥様食品を提供できる。本実施形態における即席パン粥様食品は、調理者の調理負担を軽減させる。
また、本実施形態によれば、即席パン粥様食品は、パン粉を10〜60質量%含むので、熱湯等の水溶液が注加された場合、いわゆるパン粥と同様の食感及び風味となる。
また、本実施形態によれば、即席パン粥様食品は、パン粉におけるタンパク質含量が6〜15質量%であるで、熱湯等の水溶液が注加された場合、舌触り等の食感や、嚥下特性に優れたパン粥様食品になる。即席パン粥様食品は、熱湯等の水溶液が注加された場合における戻り性に優れる。
また、本実施形態によれば、即席パン粥様食品は、タンパク素材を5〜40質量%含むので、熱湯等の水溶液が注加された場合、舌触り等の食感や、嚥下特性に優れたパン粥様食品になる。即席パン粥様食品は、熱湯等の水溶液が注加されて即席パン粥様食品になった状態において、滑らかさに優れる。また、即席パン粥様食品は、熱湯等の水溶液が注加されて即席パン粥様食品になった状態において、タンパク質含量が多く含まれる。即席パン粥様食品は、調理者における原料の管理負担を軽減させる。
また、本実施形態によれば、タンパク素材におけるタンパク質含量が20〜95質量%であるので、パン粥様食品において高タンパク含量に設定された場合でも、低タンパク含量に設定された場合でも、好適に対応したパン粥様食品を得ることができる。
また、本実施形態によれば、即席パン粥様食品は、パン粉における水分含量が4〜16質量%なので、保存性に優れる。例えば、複数食分の即席パン粥様食品が袋に収容される場合、長期にわたり常温で保管されることが考えられるが、即席パン粥様食品は、常温での保存性に優れる。また、複数食分の即席パン粥様食品を密封した袋が開封された状態において、即席パン粥様食品は、保存性に優れる。
また、本実施形態によれば、即席パン粥様食品は、パン粉が6メッシュを通過したものであるので、保存時におけるパン粉及び他の組成物との混合性(均一性)が良好である。また、即席パン粥様食品は、熱湯等の水溶液が注加された場合、舌触り等の食感や、嚥下特性に優れたパン粥様食品になる。
また、本実施形態によれば、即席パン粥様食品は、タンパク素材に含まれるタンパク質を牛乳由来のタンパク素材から選ばれる1又は2以上とすることで、熱湯等の水溶液が注加された場合、風味に優れたパン粥様食品になる。また、即席パン粥様食品は、牛乳等を注加することなく、熱湯を注加するだけで、所定量のタンパク質を含むと共にミルク風味のパン粥様食品になる。
また、本実施形態によれば、即席パン粥様食品は、タンパク素材に含まれるタンパク質が全脂粉乳、脱脂粉乳、濃縮ミルクプロテイン、分離ミルクプロテイン、トータルミルクプロテイン、濃縮ホエープロテイン、分離ホエープロテイン、カゼインナトリウムから選ばれる1又は2以上であるので、熱湯等の温度が高い水溶液が注加された場合、完全にゲル化したり、熱凝集して不溶化しない。即席パン粥様食品は、熱湯等の温度が高い水溶液が注加された場合、所定量のタンパク質を含むと共に、良好な嚥下特性を有するパン粥様食品になる。
また、本実施形態によれば、即席パン粥様食品は、熱湯等の水溶液が注加された状態で所定の物性や栄養量を満たすように設計される。これにより、即席パン粥様食品は、例えば、熱湯等の水溶液が注加されることで、高齢者等の特定の飲食者に対して特に好適なパン粥様食品になる。
例えば、本実施形態によれば、即席パン粥様食品は、該即席パン粥様食品におけるパン粉の含量が25〜40質量%であって、水溶液が注加されて喫食可能になった状態において(パン粥様食品の状態において)、硬さが3×10〜2×10N/m、かつ、付着性が1.5×10J/m以下となるように設計される。これにより、即席パン粥様食品は、例えば、摂食・嚥下が困難な対象者に適している。
例えば、本実施形態によれば、即席パン粥様食品は、水溶液が注加されて喫食可能になった状態において、150gあたり、タンパク質含量が2〜25g、150〜400kcalであるように設計される。これにより、即席パン粥様食品は、高齢者用の食事として適している。
例えば、本実施形態によれば、即席パン粥様食品は、水溶液が注加されて喫食可能になった状態において、150gあたり、タンパク質含有量が1〜2g、エネルギーが200〜400kcalであるように設計される。これにより、即席パン粥様食品は、例えば、腎臓病疾患者の食事として適している。
また、本実施形態によれば、即席パン粥様食品は、パン粉及びタンパク素材の量が注加される熱湯等の水溶液に対して設定されている。これにより、調理者(製造者)は、所定量の即席パン粥様食品に対して、予め設定された比の水溶液を注加することで、所望の量のパン粥様食品を調理(製造)することができる。
また、本実施形態によれば、即席パン粥様食品は、即席パン粥様食品を収容した状態で即席パン粥様食品に対する質量比で1〜3の水溶液を注加可能な容器に収容されている。これにより、調理者(製造者)は、容器内に熱湯等の水溶液を注加するだけで、容易にパン粥様食品を調理(製造)可能である。
また、本実施形態によれば、即席パン粥様食品は、15〜100g(一食分)だけ袋状の包装部材に収容されている。これにより、調理者(製造者)は、即席パン粥様食品の量を計量することなく、所定量の熱湯等の水溶液を注加することで、容易にパン粥様食品を調理(製造)可能である。
また、本実施形態によれば、即席パン粥様食品は、水分含量が4〜16質量%であるパン粉を10〜60質量%含むので、加温された牛乳等を注加することで、戻り性に優れるので、食感に優れたミルク風味のパン粥様食品になる。
また、本実施形態によれば、即席パン粥様食品は、パン粉における水分含量が少ないので、保存性に優れる。また、本実施形態によれば、即席パン粥様食品は、全体として水分含量が少ないので、保存性に優れる。
また、本実施形態によれば、即席パン粥様食品は、例えば、お湯を加えるだけで食べることができ、室温で長期保存が可能であることから、災害時や緊急時の非常食および常備食として非常に好適である。
以下、本実施形態における即席パン粥様食品の実施例についつて説明する。
<実験例1:パン粉の配合量>
家庭用パン焼機(パナソニック社製、SD−BMS102型)を使用し、表1A及び表1Bに示す配合および作成条件にてパンを製造した。製造したパンを室温で放置して冷却させ、皮部分を切断して除いた残りの部分をフードカッター(クイジナートサンエイ製BFP−703J型)で粉砕し、80℃で1時間乾燥させた後、20メッシュの試験フルイにて粗い区分を除いて試験パン粉とした。
この試験パン粉に表2に示す割合で乳タンパクやデキストリン等の食品素材を混合して、実施例B〜H、比較例A、Iの即席パン粥様食品を調製した。
Figure 0006203996
Figure 0006203996
Figure 0006203996
続けて、実施例B〜H、比較例A、Iの即席パン粥様食品100gをそれぞれボウルに入れ、90℃の熱湯を200g添加して泡だて器で1分間攪拌混合した後、食品ラップをして30分間室温で放置し、パン粥様食品を調製した。
得られたパン粥様食品について、風味(パン風味の強さ)、なめらかさ、性状、硬さ、付着性を評価した。また、熱湯を加えて攪拌した際の分散性(ダマになりにくさ)も併せて評価した。
なお、風味および物性(なめらかさ、性状)は、10名のパネルにて官能検査を行なって評価した。また、硬さ、付着性は、物性測定機(山電株式会社RE−3305型)を用いて、消費者庁の定める特別用途食品・えん下困難者用食品の試験方法に従って測定した。結果を表3に示す。
Figure 0006203996
表3に示すように、実施例B〜Hは、パンの風味が感じられ、加水後の食感がなめらかで好ましく、また、加水時の分散性も問題なかった。とくに試験パン粉の配合量が25〜40質量%である実施例D〜Fは、硬さや付着性が消費者庁の定める特別用途食品・えん下困難者用食品の許可基準IIIに合致し、摂食が困難な高齢者や障害を持つ人でも食べやすい物性であった。なお、特別用途食品・えん下困難者用食品の許可基準IIIは、硬さ300N/m〜20,000N/mかつ付着性1,500J/m以下である。
試験パン粉の配合量が少ない比較例Aは、パンの風味が感じられず、物性は濃いスープ状であり一般的なパン粥とは大きく異なっていた。試験パン粉の配合量が多い比較例Iは、加水してパン粥様食品を調製する際にダマになりやすく、物性も硬くて付着性が高く、摂食が困難な高齢者や障害を持つ人には食べにくい物性であった。
<実験例2:パン粉の水分量>
実験例1の試験パン粉の製造条件において、パンおよびパン粉の乾燥条件を調整することで、水分含有量が異なる6種類の試験パン粉を作成した。これらと、各種食品素材を実施例Hの(表2参照)の割合で混合して、実施例H−1〜6の即席パン粥様食品を調製し、定法により水分を測定した。結果を表4に示す。
Figure 0006203996
小麦粉を室温で長期保存するにあたっては、水分量は12質量%以下であることが望ましいとされている。試験パン粉の水分量が16質量%以下では、即席パン粥様食品の水分は12質量%以下であるため長期保存性が高いと考えられるが、試験パン粉の水分量が16質量%以上では、即席パン粥様食品の水分は12質量%以上となり、室温での長期保存における微生物の増加や風味などの品質劣化が予想される。さらに、試験パン粉の水分が、市販の生パン粉と同等の35質量%の場合は、即席パン粥様食品の水分は25.1質量%にも達し、室温での保存性は極めて低いと考えられる。
<実験例3:タンパク素材の種類>
各種食品素材を実施例Eの(表2参照)の割合で混合して実施例E−1〜15即席パン粥様食品を調製した。タンパク素材は、全脂粉乳、脱脂粉乳、濃縮ホエープロテイン、分離ホエープロテイン、濃縮ミルクプロテイン、分離ミルクプロテイン、カゼインナトリウム、酸カゼイン、レンネットカゼイン、濃縮大豆タンパク、分離大豆タンパク、小麦タンパク、ゼラチンのうち1つを使用し、タンパク素材の異なる計15種類の即席パン粥様食品を調製した。これらについて実験例1と同様に加水してパン粥様食品とし、官能検査により風味および物性(なめらかさ)等を評価した。結果を表5に示す。
Figure 0006203996
実施例E−1〜E7(全脂粉乳、脱脂粉乳、濃縮ホエープロテイン、分離ホエープロテイン、濃縮ミルクプロテイン、分離ミルクプロテイン、トータルミルクプロテインを用いた配合)は、パン粥様食品の風味、食感とも良好であった。とくに、実施例E−1、2、5、6、7(全脂粉乳、脱脂粉乳、濃縮ミルクプロテイン、分離ミルクプロテイン、トータルミルクプロテインを用いた配合)は、風味が非常に良好であった。
一方、実施例E−9〜12(濃縮大豆タンパク、分離大豆タンパク、小麦タンパク、ゼラチンを用いた配合)は、パン粥様食品の食感(物性、なめらかさ)は良好であったが、それぞれのタンパク素材独特のにおいが目立ちパン粥様食品としての風味は好ましくなかった。
実施例E−13〜15(水溶性の低いタンパク素材である酸カゼイン、カゼインカルシウム、レンネットカゼインを用いた配合)は、食べた際のざらつき感が強く好ましくなかった。
実施例E−3、4(濃縮ホエープロテイン、分離ホエープロテインを使用した配合)は、他の水溶性タンパク素材を含む実施例のパン粥様食品に比べて、なめらかさが低下する傾向が見られた。これは、タンパク素材が熱湯により熱凝集して不溶化したためと考えられる。
実施例E−8(カゼインナトリウムを使用した配合)は、パン粥様食品の食感(物性、なめらかさ)は良好であったが、風味が濃縮ミルクプロテイン等と比較してやや劣っていた。
<実験例4:タンパク素材の配合割合>
実験例1で製造した試験パン粉、および乳タンパクやデキストリン等の食品素材を表6の配合で混合して、乳タンパク含有量の異なる即席パン粥様食品の実施例K〜P、比較例J、Qを調整した。これらを実験例1と同様に加水してパン粥様食品を調製し、パネル8名による官能検査で、なめらかさ、べたつきを評価した。また、実験例1と同様に物性測定機を用いて硬さと付着性を測定した。結果を表7に示す。
Figure 0006203996
Figure 0006203996
即席パン粥様食品中の乳タンパクの配合量が5〜40質量%である実施例K〜Pは、食感がなめらかで、べたつきも弱かった。とくに、乳タンパクの配合量が10〜25質量%である実施例L〜Nは、食感が非常になめらかで、硬さや付着性が消費者庁の定める特別用途食品・えん下困難者用食品の許可基準IIIに合致し、摂食が困難な高齢者や障害を持つ人でも食べやすい物性であった。
乳タンパクの配合量が3質量%である比較例Jは、パン粥様食品の食感にややざらつき感があり好ましくなかった。
乳タンパクの配合量が45質量%である比較例Pは、パン粥様食品の物性が非常に固く、摂食が困難な高齢者や障害を持つ人には食べにくい物性であった。
<実験例5:パン粉の粒度の検討>
まず、実験例1に示す方法で製造したパン粉を、各種メッシュサイズの試験フルイを通過させて粒度の異なる8種類の試験パン粉を作成した。使用した試験フルイは4、6.5、8.6、12、22、30、50、60メッシュである。
得られた試験パン粉に、乳タンパクやデキストリン等の食品素材を実施例Eの配合で混合して実施例E−17〜21、比較例E−16、参考例E−22、23の即席パン粥様食品を調製し、試験パン粉と食品素材との混合状態について目視で評価した。また、これら即席パン粥様食品を実験例1と同様に加水してパン粥様食品を調製し、なめらかさ、加水時の分散性(ダマになりにくさ)を評価した結果を表8に示す。
Figure 0006203996
即席パン粥様食品中の試験パン粉の粒度が4メッシュ通過である比較例E−16は、粒径が大きいパン粉を多く含むため、他の素材と混合した状態において不均一な部分が見られ、製品として好ましくなかった。また、比較例E−16は、パン粉の水戻り性が悪いため加水後の物性(なめらかさ)が劣っていた。
実施例E−17〜21の評価結果より、パン粉が6.5メッシュ以上に目の細かいメッシュを通過したものであると、他の素材との混合状態は良好であった。
一方、参考例E−22、23の評価結果より、パン粉が50メッシュ以上のメッシュ(50メッシュ以上に更に目が細かい)を通過したものであると、加水して混ぜる際にダマができやすくなる。また、それに伴って加水後の物性は、ざらつきが感じられる様になり、なめらかさが低下した。とくに、パン粉が60メッシュ通過したものの場合は、パン粉の粒度が非常に小さいものだけで構成されるので分散性が悪く、ざらつきも非常に強く感じられた。
<実験例6:タンパク素材のタンパク質含有量>
タンパク質含有量が異なる3種類のタンパク素材(表9参照)を用いて、即席パン粥様食品を調製した。その際の即席パン粥様食品中のタンパク素材の配合量は、5質量%、15質量%、40質量%の3通りとし、実施例R−1〜3、S−1〜3、T−1〜3の即席パン粥様食品を調製した。
それぞれについて実験例1と同様に加水してパン粥様食品とした場合のタンパク質含有量を定法により分析した。各タンパク素材のタンパク質含有量を表9に、即席パン粥様食品の配合およびパン粥様食品のタンパク質含有量およびパン粥様食品のエネルギー値を表10に示す。
Figure 0006203996
Figure 0006203996
実施例R−1〜3の分析結果に示されるように、タンパク素材として、タンパク質含有量が多い濃縮ミルクプロテイン80を使用した場合、タンパク素材配合量が中程度の実施例R−2配合でパン粥様食品のタンパク質含有量は5.2質量%となり、一般的なミルクパン粥のタンパク質含有量(5質量%程度)と同等であった。さらに、タンパク素材配合量が多い実施例R−3では、パン粥様食品のタンパク質含有量が11.8質量%となり、タンパク栄養価が非常に高いパン粥組成を得ることができる。
実施例S−1〜3の分析結果に示されるように、タンパク素材として、タンパク質含有量が中程度のミルクプロテイン42を使用した場合、タンパク素材配合量が低い実施例S−1配合ではパン粥様食品のタンパク質含有量は1.9質量%となり、一般的なミルクパン粥よりタンパク質含有量が低いものが得られた。さらに、タンパク素材配合量が多い実施例S−3では、パン粥様食品のタンパク質含有量が6.8質量%となり、タンパク質含有量は一般的なミルクパン粥より高いものとなった。
実施例T−1〜3の分析結果に示されるように、タンパク素材として全脂粉乳を使用した場合、タンパク素材配合量が低い実施例T−1配合ではパン粥様食品のタンパク質含有量は1.6質量%となり、一般的なミルクパン粥より大幅に低いものとなった。さらに、タンパク素材配合量が多い実施例T−3では、パン粥様食品のタンパク質含有量が4.6質量%となり、一般的なミルクパン粥よりやや低いものとなった。
このように、使用するタンパク素材の選択と配合量の設定により、パン粥様食品のタンパク質含有量は、一般的なミルクパン粥と比べて大幅に低いものから高いものまで調節可能であった。
<実験例7:加水量>
実施例Eの即席パン粥様食品に対して加水し、パン粥様食品を調製する際、即席パン粥様食品の質量に対する熱湯の質量比(加水比)を0.8〜3.2の範囲で変えて実施例E―25〜31、比較例E−24、32のパン粥様食品を調製した。
調製の際の分散性のよさ(ダマになりにくさ)、得られたパン粥様食品の性状や物性(硬さ、付着性)を実験例4と同様にして評価した結果を表11に示す。
Figure 0006203996
実施例E―25〜31の評価により示されるように、加水比が1.0〜3.0の場合、パン粥様食品の物性はかためのペースト状(硬さ8600N/m)〜柔らかいペースト状(硬さ500N/m)であり、パン粥様食品として良好な物性であった。とくに加水比が1.8〜2.5の場合、得られたパン粥様食品は、硬さが1020N/m〜3300N/m、付着性が400J/m〜1250J/mで、消費者庁の定める特別用途食品・えん下困難者用食品の許可基準IIIに合致し、摂食が困難な高齢者や障害を持つ人でも食べやすい物性であった。
比較例E−24の評価に示されるように、加水比が0.8の場合、得られたパン粥様食品はマッシュポテト上で非常に固く、摂食が困難な高齢者や障害を持つ人には固すぎるものである。また、この比較例の即席パン粥様食品は、加水して混合する際もダマになりやすく作業性に劣っていた。
比較例E−32の評価に示されるように、加水比が3.2の場合、得られたパン粥様食品は非常に粘度が低く、パン粥としては柔らかすぎる物性であった。

Claims (9)

  1. 質量比で1〜3の温度が50℃〜100℃のお湯または熱湯を注加することで加熱調理することなく喫食可能となる包装部材または容器に封入される即席ミルクパン粥様食品であって、
    水分含量が4〜12質量%であるパン粉を10〜60質量%と、
    前記パン粉に混合された牛乳由来のタンパク素材であってタンパク質の含量が20〜95質量%であるタンパク素材を5〜40質量%と、を含み、
    前記パン粉は、6メッシュを通過したものであり、
    前記牛乳由来のタンパク素材は、全脂粉乳、脱脂粉乳、濃縮ミルクプロテイン、分離ミルクプロテイン、トータルミルクプロテイン、濃縮ホエープロテイン、分離ホエープロテイン、カゼインナトリウムから選ばれる1又は2以上であり、
    前記パン粉と前記牛乳由来のタンパク素材とは均一となるように混合された状態であり、
    全体の水分含量は2〜7質量%である
    即席ミルクパン粥様食品。
  2. 即席ミルクパン粥様食品におけるパン粉の含量が25〜40質量%であって、
    温度が50℃〜100℃のお湯または熱湯が注加されて喫食可能になった状態において、
    硬さが3×10〜2×10N/m、かつ、付着性が1.5×10J/m以下となる
    請求項に記載の即席ミルクパン粥様食品。
  3. 温度が50℃〜100℃のお湯または熱湯が注加されて加熱調理することなく喫食可能になった状態において、
    150gあたり、タンパク質含量が2〜25g、エネルギーが150〜400kcalである
    請求項又はに記載の即席ミルクパン粥様食品。
  4. 温度が50℃〜100℃のお湯または熱湯が注加されて加熱調理することなく喫食可能になった状態において、
    150gあたり、タンパク質含有量が1〜2g、エネルギーが200〜400kcalである
    請求項又はに記載の即席ミルクパン粥様食品。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載の即席ミルクパン粥様食品と、
    前記即席ミルクパン粥様食品に対して、質量比で1〜3だけ注加された温度が50℃〜100℃のお湯または熱湯と、を含む
    ミルクパン粥様食品。
  6. 請求項1〜のいずれかに記載の即席ミルクパン粥様食品に対して温度が50℃〜100℃のお湯または熱湯を注加する工程と、
    温度が50℃〜100℃のお湯または熱湯を注加した後、加熱調理することなく1分〜30分保持する工程と、を含む
    ミルクパン粥様食品の製造方法。
  7. 注加される温度が50℃〜100℃のお湯または熱湯は、前記即席ミルクパン粥様食品に対して、質量比で1〜3である
    請求項に記載のミルクパン粥様食品の製造方法。
  8. 請求項1〜における即席ミルクパン粥様食品と、
    前記即席ミルクパン粥様食品を収容する容器であって、前記即席ミルクパン粥様食品を収容した状態で、前記即席ミルクパン粥様食品に対する質量比で1〜3の温度が50℃〜100℃のお湯または熱湯を注加可能な容器と、を有する
    即席ミルクパン粥様食品の個包装物。
  9. 袋状の個包装部材と、
    前記袋状の包装部材に収容される15〜100gの請求項1〜における即席ミルクパン粥様食品と、有する
    即席ミルクパン粥様食品の個包装物。
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