JP6202469B2 - 固体酸化物型燃料電池 - Google Patents
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Description
突沸が生じると改質器内に急激な圧力変動が生じるため、改質器に供給される燃料ガスの供給が妨げられ、改質が十分に行えなくなり、改質後の燃料ガスが改質器から押し出されて過剰な濃度の改質ガスが燃料電池セルに供給され、発電状態が不安定になることが懸念されていた。
特許文献2は前記の問題に対して蒸発室底壁と立設された蒸発室側壁とのコーナ角壁をR形状とすることで、球状の充填材とコーナ角壁の空間に隙間が発生しないように構成されている。このように構成することで、隙間空間へ水を溜まらないようにし、過剰に水を溜めることがないため突沸を防ぐことが可能となる。
しかしながら、特許文献2の構成においても突沸を確実に抑制することは難しいという新たな知見を見出した。具体的には、球状の充填材とR形状としたコーナ角壁とは点接触となるが、この接触部は常に水に触れた位置となり、充填材が高温の場合は蒸発を促進できるが、接触部は過剰に水に触れるため、充填材の温度が奪われてしまい蒸発が行なわれ難くなり、次第に水が溜まって突沸を発生する恐れがあった。
このように構成された本発明においては、コーナ角壁と、球状の充填材との隙間空間が小さくなり過剰に水が溜まる前に確実に蒸発させることができる。また、充填材と蒸発部底壁との接点以外にも異なる位置で充填材に熱を付与できるように構成されているため接触部が水に曝されて充填材の温度降下が発生しても異なった接触部から充填材に熱を付与できるため、充填材の温度降下を防止し、継続的な蒸発を確実に促進でき確実に突沸が生じることを抑制し、突沸に起因する種々の問題を解決することができるという実用上優れた効果を奏するものである。
このように構成された本発明によれば、確実に突沸を継続的に防止できるため、安価なプランジャーポンプなどを使って非連続的に水を供給することが可能となる。具体的には、固体酸化物型の燃料電池では水が非常に微量であるため、この微量な水を連続的に供給するポンプは非常に高価であるが、断続的な供給になるプランジャーポンプでは一回で送る水の供給が多くなるため突沸を誘発させやすくなってしまうという課題を生じるが、本件発明の採用でプランジャーポンプの採用が可能になるものである。
このように構成された本発明では、蒸発部を構成するコーナ角壁部に鈍角となる直線的な斜め壁を設けるという簡単な構成で、水が溜まる位置より高い位置にもう1点充填材との接触部を設けることができる。これによって、底壁との接触部の温度降下が生じても温度降下していない斜め壁から充填材に熱を付与でき、継続的な蒸発を確実に行なわせることができるものである。
図1は、本発明の実施形態による固体酸化物型燃料電池(SOFC)を示す全体構成図である。この図1に示すように、本発明の実施形態による固体酸化物型燃料電池(SOFC)1は、燃料電池モジュール2と、補機ユニット4を備えている。
また、この燃焼室18の上方には、燃料を改質する改質器20が配置され、前記残余ガスの燃焼熱によって改質器20を改質反応が可能な温度となるように加熱している。さらに、この改質器20の上方には、残余ガスの燃焼ガスにより発電用の空気を加熱し、発電用の空気を予熱する熱交換器である空気用熱交換器22が配置されている。
また、燃料電池モジュール2には、燃料ガスの供給量等を制御するための制御ボックス52が取り付けられている。
さらに、燃料電池モジュール2には、燃料電池モジュールにより発電された電力を外部に供給するための電力取出部(電力変換部)であるインバータ54が接続されている。
図2及び図3に示すように、燃料電池モジュール2のハウジング6内のケース8には、上述したように、下方から順に、燃料電池セル集合体12、改質器20、空気用熱交換器22が配置されている。
改質器導入管62は、改質器20の一端の側壁面から延びる円管であり、90゜屈曲されて概ね鉛直方向に延び、ケース8の上端面を貫通している。なお、改質器導入管62は、改質器20に水を導入する水導入管として機能している。また、改質器導入管62の上端には、T字管62aが接続されており、このT字管62aの概ね水平方向に延びる管の両側の端部には、燃料ガス及び純水を供給するための配管が夫々接続されている。水供給用配管63aはT字管62aの一方の側端から斜め上方に向けて延びている。燃料ガス供給用配管63bはT字管62aの他方の側端から水平方向に延びた後、U字型に屈曲され、水供給用配管63aと同様の方向に、概ね水平に延びている。
また、図2に示すように、燃料ガスと空気との燃焼を開始するための点火装置83が、燃焼室18に設けられている。
図4に示すように、燃料電池セルユニット16は、燃料電池セル84と、この燃料電池セル84の両端部にそれぞれ接続されたキャップである内側電極端子86とを備えている。
燃料電池セル84は、上下方向に延びる管状構造体であり、内部に燃料ガス流路88を形成する円筒形の内側電極層90と、円筒形の外側電極層92と、内側電極層90と外側電極層92との間にある電解質層94とを備えている。この内側電極層90は、燃料ガスが通過する燃料極であり、(−)極となり、一方、外側電極層92は、空気と接触する空気極であり、(+)極となっている。
図5に示すように、燃料電池セルスタック14は、16本の燃料電池セルユニット16を備え、これらの燃料電池セルユニット16は、8本ずつ2列に並べて配置されている。各燃料電池セルユニット16は、下端側がセラミック製の長方形の下支持板68(図2)により支持され、上端側は、両端部の燃料電池セルユニット16が4本ずつ、概ね正方形の2枚の上支持板100により支持されている。これらの下支持板68及び上支持板100には、内側電極端子86が貫通可能な貫通穴がそれぞれ形成されている。
図6に示すように、固体酸化物型燃料電池1は、制御部110を備え、この制御部110には、使用者が操作するための「ON」や「OFF」等の操作ボタンを備えた操作装置112、発電出力値(ワット数)等の種々のデータを表示するための表示装置114、及び、異常状態のとき等に警報(ワーニング)を発する報知装置116が接続されている。また、制御部110には、マイクロプロセッサ、メモリ、及びこれらを作動させるプログラム(以上、図示せず)が内蔵されており、これらにより、各センサからの入力信号に基づいて、補機ユニット4、インバータ54等が制御される。なお、この報知装置116は、遠隔地にある管理センタに接続され、この管理センタに異常状態を通知するようなものであっても良い。
先ず、可燃ガス検出センサ120は、ガス漏れを検知するためのもので、燃料電池モジュール2及び補機ユニット4に取り付けられている。
CO検出センサ122は、本来排気ガス通路80等を
経て外部に排出される排気ガス中のCOが、燃料電池モジュール2及び補機ユニット4を覆う外部ハウジング(図示せず)へ漏れたかどうかを検知するためのものである。
貯湯状態検出センサ124は、図示しない給湯器におけるお湯の温度や水量を検知するためのものである。
発電用空気流量検出センサ128は、発電室10に供給される発電用空気の流量を検出するためのものである。
改質用空気流量センサ130は、改質器20に供給される改質用空気の流量を検出するためのものである。
燃料流量センサ132は、改質器20に供給される燃料ガスの流量を検出するためのものである。
水位センサ136は、純水タンク26の水位を検出するためのものである。
圧力センサ138は、改質器20の外部の上流側の圧力を検出するためのものである。
排気温度センサ140は、温水製造装置50に流入する排気ガスの温度を検出するためのものである。
燃焼室温度センサ144は、燃焼室18の温度を検出するためのものである。
排気ガス室温度センサ146は、排気ガス室78の排気ガスの温度を検出するためのものである。
改質器温度センサ148は、改質器20の温度を検出するためのものであり、改質器20の入口温度と出口温度から改質器20の温度を算出する。
外気温度センサ150は、固体酸化物型燃料電池(SOFC)が屋外に配置された場合、外気の温度を検出するためのものである。また、外気の湿度等を測定するセンサを設けるようにしても良い。
図7は改質器20の斜視図であり、図8は、天板を取り除いて改質器20の内部を示した斜視図である。図9は、改質器20内部の燃料の流れを示す平面断面図である。図10は改質器20の改質器導入管62方向から見たX−Yの断面図である。
なお、本実施形態においては、蒸発部、混合部、改質部が一体に構成され、1つの改質器を形成しているが、変形例として、改質部のみを備えた改質器を設け、この上流側に隣接して混合部、蒸発室を設けることもできる。
また、図10に示すように、蒸発部20を構成するコーナ角壁部に鈍角となる直線的な斜め壁を設けることで、水が溜まる位置より高い位置にもう一点充填材20tとの接触部を設けることができる。
整流板21は、ケース8の天井面と改質器20の間に、水平に配置された板材である。この整流板21は、燃焼室18から上方に流れる気体の流れを整え、空気用熱交換器22の入り口(図2の連通開口8a)に導くように構成されている。燃焼室18から上方へ向かう発電用空気及び燃焼ガスは、整流板21の中央に設けられた開口部21aを通って整流板21の上側に流入し、整流板21の上面とケース8の天井面の間の排気通路21bを図2における左方向に流れ、空気用熱交換器22の入り口に導かれる。また、図12に示すように、開口部21aは、改質器20の改質部20cの上方に設けられており、開口部21aを通って上昇した気体は、蒸発部20aとは反対側の、図2、図12における左側の排気通路21bに流れる。このため、蒸発部20aの上方の空間(図2、図12における右側)は、改質部20cの上方の空間よりも排気の流れが遅く、排気の流れが淀む気体滞留空間21cとして作用する。
まず、燃料は、燃料ガス供給用配管63b、T字管62a、改質器導入管62を介して改質器20の蒸発部20aに導入されると共に、純水は、水供給用配管63a、T字管62a、改質器導入管62を介して蒸発部20aに導入される。従って、供給された燃料及び水はT字管62aにおいて合流され、改質器導入管62を通って蒸発部20aに導入される。発電運転中においては、蒸発部20aは高温に加熱されているため、蒸発部20aに導入された純水は、比較的速やかに蒸発され水蒸気となる。蒸発された水蒸気及び燃料は、混合部20b内で混合され、改質器20の改質部20cに流入する。水蒸気と共に改質部20cに導入された燃料は、ここで水蒸気改質され、水素を豊富に含む燃料ガスに改質される。改質部20cにおいて改質された燃料は、燃料ガス供給管64を通って下方に下り、分散室であるマニホールド66に流入する。
図13は、起動工程における燃料等の各供給量、及び各部の温度の一例を示すタイムチャートである。なお、図13の縦軸の目盛りは温度を示しており、燃料等の各供給量は、それらの増減を概略的に示したものである。
まず、図13の時刻t0において、発電用空気及び改質用空気の供給が開始される。具体的には、コントローラである制御部110が、発電用の酸化剤ガス供給装置である発電用空気流量調整ユニット45に信号を送って、これを作動させる。上述したように、発電用空気は、発電用空気導入管74を介して燃料電池モジュール2内に導入され、空気用熱交換器22、発電用空気供給路77を経て発電室10内に流入する。また、制御部110は、改質用の酸化剤ガス供給装置である改質用空気流量調整ユニット44に信号を送って、これを作動させる。燃料電池モジュール2内に導入された改質用空気は、改質器20、マニホールド66を経て、各燃料電池セルユニット16の内部に流入し、その上端から流出する。なお、時刻t0においては、まだ燃料が供給されていないため、改質器20内において改質反応は発生しない。本実施形態においては、図13の時刻t0において開始される発電用空気の供給量は約100L/minであり、改質用空気の供給量は約10.0L/minである。
CmHn+xO2 → aCO2+bCO+cH2 (1)
この部分酸化改質反応は発熱反応であるため、改質部20b内で部分酸化改質反応が発生すると、その周囲の温度が局部的に急上昇する。
CmHn+xH2O → aCO2+bCO+cH2 (2)
CmHn+xO2+yH2O → aCO2+bCO+cH2 (3)
2 燃料電池モジュール
4 補機ユニット
7 断熱材
8 ケース
8a 連通開口
8b 下がり壁
10 発電室
12 燃料電池セル集合体
14 燃料電池セルスタック
16 燃料電池セルユニット(固体酸化物型燃料電池セル)
18 燃焼室
20 改質器
20a 蒸発部
20b 混合部
20c 改質部
20d 蒸発部の仕切り板
20e 蒸発部の蛇行通路
20f 混合部の仕切り板
20g 混合部の蛇行通路
20h 改質部の仕切り板
20i 改質部の通路
20j 蒸発/混合部隔壁(熱交換抑制壁部)
20k 隔壁開口
20l 壁部本体
20m フィン(突出部)
20n 蒸発部の入口
20o 混合/改質部隔壁
20p 連通孔
20q 接触箇所増加部
20r 改質器/蒸発部側壁
20s 改質器/蒸発部底壁
20t 充填材
21 整流板
21a 開口部
21b 排気通路
21c 気体滞留空間
21d 縦壁
22 空気用熱交換器
23 蒸発室用断熱材
24 水供給源
26 純水タンク
28 水流量調整ユニット(水供給装置)/(プランジャーポンプ)
30 燃料供給源
38 燃料流量調整ユニット(燃料供給装置)
39 バルブ
40 空気供給源
44 改質用空気流量調整ユニット(改質用の酸化剤ガス供給装置)
45 発電用空気流量調整ユニット(発電用の酸化剤ガス供給装置)
46 第1ヒータ
48 第2ヒータ
50 温水製造装置
52 制御ボックス
54 インバータ
62 改質器導入管
62a T字管
63a 水供給用配管
63b 燃料ガス供給用配管
64 燃料ガス供給管
64c 圧力変動抑制用流路抵抗部
66 マニホールド
76 空気導入管
76a 吹出口
82 排気ガス排出管
83 点火装置
84 燃料電池セル
85 排気バルブ
86 内側電極端子
98 燃料ガス流路細管
110 制御部
112 操作装置
114 表示装置
116 警報装置
126 電力状態検出センサ
132 燃料流量センサ
138 圧力センサ
142 発電室温度センサ
148 改質器温度センサ
150 外気温度センサ
Claims (3)
- 燃料ガスと酸化剤ガスを供給させることで発電する固体酸化物型燃料電池において、
複数の燃料電池セルにより構成させる燃料電池セルスタックと、
前記燃料電池セルスタックの発電に寄与しなかった、前記燃料ガスと前記酸化剤ガスを燃焼させることにより昇温される箱状の改質器と、
前記改質器内部に配置された改質部及び、該改質部と隣接し、水を蒸発して水蒸気を生成する蒸発部と、
前記蒸発部に改質に必要な水を供給する改質器導入管と、
を備え、
前記蒸発部内部には、蒸発を促進させる球状の充填材が複数封入され、かつ、前記蒸発部を構成する底壁と側壁の間には、前記底壁と側壁部に位置する充填材に対して異なった少なくとも2点で接触する接触箇所増加部が設けられている
ことを特徴とする固体酸化物型燃料電池。 - 前記改質器導入管からの水は、非連続的に前記蒸発部へ供給されることを特徴とする請求項1に記載の固体酸化物型燃料電池。
- 前記接触箇所増加部は、前記底壁と側壁間を繋ぎ、かつ底壁に対して鈍角の角度で直線的に形成された斜め壁として構成され、該斜め壁及び前記底壁に対して前記一つの充填材が異なった位置で接触するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の固体酸化物型燃料電池。
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