JP6080103B2 - 固体酸化物型燃料電池装置 - Google Patents
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Description
上述した課題を解決するために、本発明は、燃料ガスと酸化剤ガスとを利用して発電反応する固体酸化物型の燃料電池セルを複数有する固体酸化物型燃料電池装置であって、燃料電池セルの発電反応に利用されなかった残余ガスを燃焼させる燃焼部と、燃焼部で生じた燃焼ガスの熱を利用して、供給された原燃料を燃料ガスに改質する、燃焼部の上方に設けられた改質器と、燃料電池セル、燃焼部及び上記改質器を内部に備えた発電室と、改質器の天面よりも上方に位置する発電室の内壁面に設けられ、発電室内の燃焼ガスを排出する開口部と、を有する固体酸化物型燃料電池装置において、改質器は、上面視において長手方向と短手方向とを有する矩形形状であり、改質器は、燃焼部から開口部に向かう燃焼ガスが、改質器の長手方向に位置する側面から改質器の天面に回り込むことを妨げるよう、改質器の長手方向に位置する側面から発電室の天面に向かって延びる遮蔽部を有することを特徴としている。
このように構成された本発明によれば、遮蔽部を改質器の側面のうち改質器の長手方向を覆う一対の側面それぞれに設け、開口部を、遮蔽部の間に対応する発電室の壁面の位置に配設されていることにより、燃焼部から開口部に流れる燃焼ガスが、直接開口部に流れ込み難くなり、代わりに改質器の側面のうち改質器の長手方向以外の側面、例えば長手方向の両端に位置する短手方向の両側面から遮蔽部の間に燃料ガスが流れ込みやすくなる。燃料電池では一般的に燃料電池セルが密集する中央部分が高温になりやすく、その影響を受けて改質器の長手方向の両端は、中央部分に比べて温度が低くなるため、この温度が低い長手方向の両端部分から高温の燃焼ガスが流れ込むことによって、温度が低い長手方向の両端部分が加熱され、中央部分との温度差が軽減される。すると、改質触媒の偏った劣化による燃料電池の耐久性低下を一層抑制することができる。
本発明において、好ましくは、開口部は、改質器の天面において長手方向の中央を含む範囲に設けられている。このように構成された本発明においては、開口部はさらに、改質器の長手方向中央を含む範囲に設けられているため、燃焼ガスが遮蔽部の間に改質器の長手方向の両端側から流れ込んだ後、長手方向の中央付近で衝突し、開口部に流入するようになる。改質器の長手方向両端側から流入するときの流速は衝突を起こす中央付近の流速よりも速く、温度の低い改質器の長手方向両端側での熱交換が効率よく行えることに加えて、改質器の長手方向中央付近では燃焼ガスが衝突することによって流速が落ち、温度の高い改質器の長手方向中央付近での熱交換効率が低下する。これによって、改質触媒の偏った劣化による燃料電池の耐久性低下をより一層抑制することができる。
図1は、本発明の第1実施形態による固体酸化物型燃料電池(SOFC)を示す全体構成図である。この図1に示すように、本発明の第1実施形態による固体酸化物型燃料電池(SOFC)1は、燃料電池モジュール2と、補機ユニット4を備えている。
また、この燃焼室18の上方には、燃料を改質する改質器20が配置され、前記残余ガスの燃焼熱によって改質器20を改質反応が可能な温度となるように加熱している。さらに、この改質器20の上方には、残余ガスの燃焼ガスにより発電用の空気を加熱し、発電用の空気を予熱する熱交換器である空気用熱交換器22が配置されている。
また、燃料電池モジュール2には、燃料ガスの供給量等を制御するための制御ボックス52が取り付けられている。
さらに、燃料電池モジュール2には、燃料電池モジュールにより発電された電力を外部に供給するための電力取出部(電力変換部)であるインバータ54が接続されている。
図2及び図3に示すように、燃料電池モジュール2のハウジング6内のケース8には、上述したように、下方から順に、燃料電池セル集合体12、改質器20、空気用熱交換器22が配置されている。
改質器導入管62は、改質器20の一端の側壁面から延びる円管であり、90゜屈曲されて概ね鉛直方向に延び、ケース8の上端面を貫通している。なお、改質器導入管62は、改質器20に水を導入する水導入管として機能している。また、改質器導入管62の上端には、T字管62aが接続されており、このT字管62aの概ね水平方向に延びる管の両側の端部には、燃料ガス及び純水を供給するための配管が夫々接続されている。水供給用配管63aはT字管62aの一方の側端から斜め上方に向けて延びている。燃料ガス供給用配管63bはT字管62aの他方の側端から水平方向に延びた後、U字型に屈曲され、水供給用配管63aと同様の方向に、概ね水平に延びている。
なお、本実施形態においては、例として、蒸発部20aと改質器20cとの間に混合部20bを設けた形態について説明するが、混合部20bについては省略してもよい。
また、図2に示すように、燃料ガスと空気との燃焼を開始するための点火装置83が、燃焼室18に設けられている。
図4に示すように、燃料電池セルユニット16は、燃料電池セル84と、この燃料電池セル84の両端部にそれぞれ接続されたキャップである内側電極端子86とを備えている。
燃料電池セル84は、上下方向に延びる管状構造体であり、内部に燃料ガス流路88を形成する円筒形の内側電極層90と、円筒形の外側電極層92と、内側電極層90と外側電極層92との間にある電解質層94とを備えている。この内側電極層90は、燃料ガスが通過する燃料極であり、(−)極となり、一方、外側電極層92は、空気と接触する空気極であり、(+)極となっている。
図5に示すように、燃料電池セルスタック14は、16本の燃料電池セルユニット16を備え、これらの燃料電池セルユニット16は、8本ずつ2列に並べて配置されている。各燃料電池セルユニット16は、下端側がセラミック製の長方形の下支持板68(図2)により支持され、上端側は、両端部の燃料電池セルユニット16が4本ずつ、概ね正方形の2枚の上支持板100により支持されている。これらの下支持板68及び上支持板100には、内側電極端子86が貫通可能な貫通穴がそれぞれ形成されている。
図6に示すように、固体酸化物型燃料電池1は、制御部110を備え、この制御部110には、使用者が操作するための「ON」や「OFF」等の操作ボタンを備えた操作装置112、発電出力値(ワット数)等の種々のデータを表示するための表示装置114、及び、異常状態のとき等に警報(ワーニング)を発する報知装置116が接続されている。また、制御部110には、マイクロプロセッサ、メモリ、及びこれらを作動させるプログラム(以上、図示せず)が内蔵されており、これらにより、各センサからの入力信号に基づいて、補機ユニット4、インバータ54等が制御される。なお、この報知装置116は、遠隔地にある管理センタに接続され、この管理センタに異常状態を通知するようなものであっても良い。
先ず、可燃ガス検出センサ120は、ガス漏れを検知するためのもので、燃料電池モジュール2及び補機ユニット4に取り付けられている。
CO検出センサ122は、本来排気ガス通路80等を経て外部に排出される排気ガス中のCOが、燃料電池モジュール2及び補機ユニット4を覆う外部ハウジング(図示せず)へ漏れたかどうかを検知するためのものである。
貯湯状態検出センサ124は、図示しない給湯器におけるお湯の温度や水量を検知するためのものである。
発電用空気流量検出センサ128は、発電室10に供給される発電用空気の流量を検出するためのものである。
改質用空気流量センサ130は、改質器20に供給される改質用空気の流量を検出するためのものである。
燃料流量センサ132は、改質器20に供給される燃料ガスの流量を検出するためのものである。
水位センサ136は、純水タンク26の水位を検出するためのものである。
圧力センサ138は、改質器20の外部の上流側の圧力を検出するためのものである。
排気温度センサ140は、温水製造装置50に流入する排気ガスの温度を検出するためのものである。
燃焼室温度センサ144は、燃焼室18の温度を検出するためのものである。
排気ガス室温度センサ146は、排気ガス室78の排気ガスの温度を検出するためのものである。
改質器温度センサ148は、改質器20の温度を検出するためのものであり、改質器20の入口温度と出口温度から改質器20の温度を算出する。
外気温度センサ150は、固体酸化物型燃料電池(SOFC)が屋外に配置された場合、外気の温度を検出するためのものである。また、外気の湿度等を測定するセンサを設けるようにしても良い。
図7は改質器20の斜視図であり、図8は、天板を取り除いて改質器20の内部を示した斜視図である。
なお、本実施形態においては、蒸発部、混合部、改質部が一体に構成され、1つの改質器を形成しているが、変形例として、改質部のみを備えた改質器を設け、この上流側に隣接して混合部、蒸発室を設けることもできる。
整流板21は、ケース8の天井面と改質器20の間に、水平に配置された板材である。この整流板21は、燃焼室18から上方に流れる気体の流れを整え、空気用熱交換器22の入り口(図2の連通開口8a)に導くように構成されている。燃焼室18から上方へ向かう発電用空気及び燃焼ガスは、整流板21の中央に設けられた開口部21aを通って整流板21の上側に流入し、整流板21の上面とケース8の天井面の間の排気通路21bを図2における左方向に流れ、空気用熱交換器22の入り口に導かれる。また、図11に示すように、開口部21aは、改質器20の改質部20cの上方に設けられており、開口部21aを通って上昇した気体は、蒸発部20aとは反対側の、図2、図11における左側の排気通路21bに流れる。このため、蒸発部20aの上方の空間(図2、図11における右側)は、改質部20cの上方の空間よりも排気の流れが遅く、排気の流れが淀む気体滞留空間21cとして作用する。
まず、燃料は、燃料ガス供給用配管63b、T字管62a、改質器導入管62を介して改質器20の蒸発部20aに導入されると共に、純水は、水供給用配管63a、T字管62a、改質器導入管62を介して蒸発部20aに導入される。従って、供給された燃料及び水はT字管62aにおいて合流され、改質器導入管62を通って蒸発部20aに導入される。発電運転中においては、蒸発部20aは高温に加熱されているため、蒸発部20aに導入された純水は、比較的速やかに蒸発され水蒸気となる。蒸発された水蒸気及び燃料は、混合部20b内で混合され、改質器20の改質部20cに流入する。水蒸気と共に改質部20cに導入された燃料は、ここで水蒸気改質され、水素を豊富に含む燃料ガスに改質される。改質部20cにおいて改質された燃料は、燃料ガス供給管64を通って下方に下り、分散室であるマニホールド66に流入する。
燃焼室18で生成された燃焼ガスは開口部21aに向かって流れる際、まず改質器20の底部に当たり、改質器20の長手方向の側面202側には抜けずに短手方向の両側面203に向けて分かれて、底部に沿って流れる。これは、長手方向の側面202から天面201に回り込もうとする燃焼ガスを延在部204によって遮蔽することで、燃焼ガスが遮蔽部のない短手方向の側面203から天面201に回り込もうとするためである。つまり、延在部204は、燃焼ガスの回り込みを遮る遮蔽部の役割を持っている。
燃焼ガスは改質器20内部を流れる被改質ガスと熱交換を行いながら、改質器20の短手方向の両側面203に沿って、改質器20の天面201へ回りこむ。天面201へ回り込んだ燃焼ガスは改質器20の天面201および、天面201よりも上方に延在する延在部204に沿って改質器20の中央に向かって流れ、延在部204の間に相当する位置に配置された開口部21aに導かれる。このときもまた改質器20内部を流れる被改質ガスと熱交換を行う。
このように、改質器20の中央付近での改質効率を抑えて長手方向両端における改質効率を高めるようにしているため、改質触媒の偏った劣化による燃料電池の耐久性低下を抑制することができる。
図12は、起動工程における燃料等の各供給量、及び各部の温度の一例を示すタイムチャートである。なお、図12の縦軸の目盛りは温度を示しており、燃料等の各供給量は、それらの増減を概略的に示したものである。
まず、図12の時刻t0において、発電用空気及び改質用空気の供給が開始される。具体的には、コントローラである制御部110が、発電用の酸化剤ガス供給装置である発電用空気流量調整ユニット45に信号を送って、これを作動させる。上述したように、発電用空気は、発電用空気導入管74を介して燃料電池モジュール2内に導入され、空気用熱交換器22、発電用空気供給路77を経て発電室10内に流入する。また、制御部110は、改質用の酸化剤ガス供給装置である改質用空気流量調整ユニット44に信号を送って、これを作動させる。燃料電池モジュール2内に導入された改質用空気は、改質器20、マニホールド66を経て、各燃料電池セルユニット16の内部に流入し、その上端から流出する。なお、時刻t0においては、まだ燃料が供給されていないため、改質器20内において改質反応は発生しない。本実施形態においては、図12の時刻t0において開始される発電用空気の供給量は約100L/minであり、改質用空気の供給量は約10.0L/minである。
CmHn+xO2 → aCO2+bCO+cH2 (1)
この部分酸化改質反応は発熱反応であるため、改質部20b内で部分酸化改質反応が発生すると、その周囲の温度が局部的に急上昇する。
CmHn+xH2O → aCO2+bCO+cH2 (2)
CmHn+xO2+yH2O → aCO2+bCO+cH2 (3)
2 燃料電池モジュール
4 補機ユニット
7 断熱材
8 ケース
8a 連通開口
8b 下がり壁
10 発電室
12 燃料電池セル集合体
14 燃料電池セルスタック
16 燃料電池セルユニット(固体酸化物型燃料電池セル)
18 燃焼室
20 改質器
20a 蒸発部
20b 混合部
20c 改質部
20d 蒸発部の仕切り板
20e 蒸発部の蛇行通路
20f 混合部の仕切り板
20g 混合部の蛇行通路
20h 改質部の仕切り板
20i 改質部の通路
20j 蒸発/混合部隔壁(熱交換抑制壁部)
20k 隔壁開口
20l 壁部本体
20m フィン(突出部)
20n 蒸発部の入口
20o 混合/改質部隔壁
20p 連通孔
201 天面
202 側面
203 側面
204 延在部(遮蔽部)
21 整流板
21a 開口部
21b 排気通路
21c 気体滞留空間
21d 縦壁
22 空気用熱交換器
23 蒸発室用断熱材
24 水供給源
26 純水タンク
28 水流量調整ユニット(水供給装置)
30 燃料供給源
38 燃料流量調整ユニット(燃料供給装置)
39 バルブ
40 空気供給源
44 改質用空気流量調整ユニット(改質用の酸化剤ガス供給装置)
45 発電用空気流量調整ユニット(発電用の酸化剤ガス供給装置)
46 第1ヒータ
48 第2ヒータ
50 温水製造装置
52 制御ボックス
54 インバータ
62 改質器導入管
62a T字管
63a 水供給用配管
63b 燃料ガス供給用配管
64 燃料ガス供給管
64c 圧力変動抑制用流路抵抗部
66 マニホールド
76 空気導入管
76a 吹出口
82 排気ガス排出管
83 点火装置
84 燃料電池セル
85 排気バルブ
86 内側電極端子
98 燃料ガス流路細管
110 制御部
112 操作装置
114 表示装置
116 警報装置
126 電力状態検出センサ
132 燃料流量センサ
138 圧力センサ
142 発電室温度センサ
148 改質器温度センサ
150 外気温度センサ
Claims (3)
- 燃料ガスと酸化剤ガスとを利用して発電反応する固体酸化物型の燃料電池セルを複数有する固体酸化物型燃料電池装置であって、
上記燃料電池セルの発電反応に利用されなかった残余ガスを燃焼させる燃焼部と、
上記燃焼部で生じた燃焼ガスの熱を利用して、供給された原燃料を燃料ガスに改質する、上記燃焼部の上方に設けられた改質器と、
上記燃料電池セル、上記燃焼部及び上記改質器を内部に備えた発電室と、
上記改質器の天面よりも上方に位置する上記発電室の内壁面に設けられ、上記発電室内の燃焼ガスを排出する開口部と、を有する固体酸化物型燃料電池装置において、
上記改質器は、上面視において長手方向と短手方向とを有する矩形形状であり、
上記改質器は、上記燃焼部から上記開口部に向かう燃焼ガスが、上記改質器の上記長手方向に位置する側面から上記改質器の天面に回り込むことを妨げるよう、上記改質器の上記長手方向に位置する側面から上記発電室の天面に向かって延びる遮蔽部を有することを特徴とする固体酸化物型燃料電池装置。 - 上記遮蔽部を上記改質器の側面のうち上記改質器の長手方向を覆う一対の側面それぞれに設け、
上記開口部は、一対の上記遮蔽部の間に対応する上記発電室の天面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の固体酸化物型燃料電池装置。 - 上記開口部は、上記改質器の天面において長手方向の中央を含む範囲に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の固体酸化物型燃料電池装置。
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