JP5994980B2 - 固体酸化物型燃料電池 - Google Patents
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Description
また、このように構成された本発明によれば、蒸発室が改質部に隣接して複数の燃料電池セルユニットの上方に配置されているので、燃料の燃焼熱により効果的に蒸発室が加熱され、起動工程の早期において水蒸気を供給することができ、燃料極においてシフト反応を誘発することができる。
さらに、このように構成された本発明によれば、部分酸化改質反応が発生する温度に到達した時点において蒸発室内に所定量の水が貯留されるので、部分酸化改質反応の発生に遅れることなく水蒸気を供給することができ、部分酸化改質反応により発生した一酸化炭素をシフト反応させることができる。
また、オフガス燃焼セルバーナー方式の固体酸化物型燃料電池においては、一般に、点火を行っても、直ちにオフガスに着火されず、着火が完了するまでに時間を要する場合がある。水の供給が着火前に開始されていると、着火に要する時間が長くなった場合において、蒸発室内に多量の水が蒸発されずに貯留されることになる。蒸発室内に多量の水が貯留されると、水が蒸発し始めるまでに長い時間を要し、水蒸気の供給が遅れることになる。上記のように構成された本発明によれば、着火された後、水の供給が開始されるので、水蒸気の供給遅れが回避され、燃料極において早期にシフト反応を誘発することができる。
図1は、本発明の一実施形態による固体酸化物型燃料電池(SOFC)を示す全体構成図である。この図1に示すように、本発明の一実施形態による固体酸化物型燃料電池(SOFC)1は、燃料電池モジュール2と、補機ユニット4を備えている。
また、この燃焼室18の上方には、燃料を改質する改質器20が配置され、前記残余ガスの燃焼熱によって改質器20を改質反応が可能な温度となるように加熱している。さらに、この改質器20の上方には、改質器20の熱を受けて空気を加熱し、改質器20の温度低下を抑制するための空気用熱交換器22が配置されている。
また、燃料電池モジュール2には、燃料ガスの供給量等を制御するための制御ボックス52が取り付けられている。
さらに、燃料電池モジュール2には、燃料電池モジュールにより発電された電力を外部に供給するための電力取出部(電力変換部)であるインバータ54が接続されている。
図2及び図3に示すように、燃料電池モジュール2のハウジング6内の密閉されたケース8には、上述したように、下方から順に、燃料電池セル集合体12、改質器20、空気用熱交換器22が配置されている。
また、図2に示すように、燃料ガスと空気との燃焼を開始するための点火装置83が、燃焼室18に設けられている。
図4(a)に示すように、燃料電池セルユニット16は、燃料電池セル84と、この燃料電池セル84の上下方向端部にそれぞれ接続された内側電極端子86とを備えている。
燃料電池セル84は、上下方向に延びる管状構造体であり、内部に内部通路である燃料ガス流路88を形成する円筒形の内側電極層90と、円筒形の外側電極層92と、内側電極層90と外側電極層92との間にある電解質層94とを備えている。この内側電極層90は、燃料ガスが通過する燃料極であり、(−)極となり、一方、外側電極層92は、空気と接触する空気極であり、(+)極となっている。
図4(b)に示すように、内側電極層90は、第1燃料極90dと第2燃料極90eから構成されている。また、電解質層94は、第1電解質94aと第2電解質94bから構成され、外側電極層92は、空気極92aと集電層92bから構成されている。
図5に示すように、燃料電池セルスタック14は、16本の燃料電池セルユニット16を備え、これらの燃料電池セルユニット16の下端側及び上端側が、それぞれ、セラミック製の下支持板68及び上支持板100により支持されている。これらの下支持板68及び上支持板100には、内側電極端子86が貫通可能な貫通穴68a及び100aがそれぞれ形成されている。
図6に示すように、固体酸化物型燃料電池1は、制御部110を備え、この制御部110には、使用者が操作するための「ON」や「OFF」等の操作ボタンを備えた操作装置112、発電出力値(ワット数)等の種々のデータを表示するための表示装置114、及び、異常状態のとき等に警報(ワーニング)を発する報知装置116が接続されている。なお、この報知装置116は、遠隔地にある管理センタに接続され、この管理センタに異常状態を通知するようなものであっても良い。
先ず、可燃ガス検出センサ120は、ガス漏れを検知するためのもので、燃料電池モジュール2及び補機ユニット4に取り付けられている。
CO検出センサ122は、本来排気ガス通路80等を経て外部に排出される排気ガス中のCOが、燃料電池モジュール2及び補機ユニット4を覆う外部ハウジング(図示せず)へ漏れたかどうかを検知するためのものである。
貯湯状態検出センサ124は、図示しない給湯器におけるお湯の温度や水量を検知するためのものである。
発電用空気流量検出センサ128は、発電室10に供給される発電用空気の流量を検出するためのものである。
改質用空気流量センサ130は、改質器20に供給される改質用空気の流量を検出するためのものである。
燃料流量センサ132は、改質器20に供給される燃料ガスの流量を検出するためのものである。
水位センサ136は、純水タンク26の水位を検出するためのものである。
圧力センサ138は、改質器20の外部の上流側の圧力を検出するためのものである。
排気温度センサ140は、温水製造装置50に流入する排気ガスの温度を検出するためのものである。
燃焼室温度センサ144は、燃焼室18の温度を検出するためのものである。
排気ガス室温度センサ146は、排気ガス室78の排気ガスの温度を検出するためのものである。
改質器温度センサ148は、改質器20の温度を検出するためのものであり、改質器20の入口温度と出口温度から改質器20の温度を算出する。
外気温度センサ150は、固体酸化物型燃料電池(SOFC)が屋外に配置された場合、外気の温度を検出するためのものである。また、外気の湿度等を測定するセンサを設けるようにしても良い。
図7は改質器20の斜視図であり、図8は、天板を取り除いて改質器20の内部を示した斜視図である。図9は、改質器20内部の燃料の流れを示す平面断面図である。
なお、本実施形態においては、蒸発部と改質部が一体に構成され、1つの改質器を形成しているが、変形例として、改質部のみを備えた改質器を設け、この上流側に隣接して蒸発室を設けることもできる。
整流板21は、ケース8の天井面と改質器20の間に、水平に配置された板材である。この整流板21は、燃焼室18から上方に流れる気体の流れを整え、空気用熱交換器22の入り口(連通開口8a)に導くように構成されている。燃焼室18から上方へ向かう発電用空気及び燃焼ガスは、整流板21の中央に設けられた開口部21aを通って整流板21の上側に流入し、整流板21の上面とケース8の天井面の間の排気通路21bを図2における左方向に流れ、空気用熱交換器22の入り口に導かれる。また、図11に示すように、開口部21aは、改質器20の改質部20bの上方に設けられており、開口部21aを通って上昇した気体は、蒸発部20aとは反対側の、図2、図11における左側の排気通路21bに流れる。このため、蒸発部20aの上方の空間(図2、図11における右側)は、改質部20bの上方の空間よりも排気の流れが遅い気体滞留空間21cとして作用する。
まず、燃料は被改質ガス導入管62を介して改質器20の蒸発部20aに導入されると共に、純水が純水導入管60を介して蒸発部20aに導入される。発電運転中においては、蒸発部20aは高温に加熱されているため、蒸発部20aに導入された純水は、比較的速やかに蒸発され水蒸気となる。蒸発された水蒸気及び燃料は、蒸発部20a内で混合され、改質器20の改質部20bに流入する。水蒸気と共に改質部20bに導入された燃料は、ここで水蒸気改質され、水素を豊富に含む燃料ガスに改質される。改質部20bにおいて改質された燃料は、燃料ガス供給管64を通って下方に下り、分散室であるマニホールド66に流入する。
図12は、起動工程における制御フローチャートである。図13は、起動工程の各段階における燃料、改質用空気、水、発電用空気の供給量を示すテーブルである。図14は、起動工程における燃料等の各供給量、及び各部の温度の一例を示すタイムチャートである。なお、図14の縦軸の目盛りは温度を示しており、燃料等の各供給量は、それらの増減を概略的に示したものである。
まず、図12のステップS1においては、制御部110は、水供給手段である水流量調整ユニット28を所定時間作動させる。起動初期においては、水流量調整ユニット28から改質器20の蒸発部20aに至る純水導入管60内には空気が満たされている。また、水流量調整ユニット28によって供給される水の流量は極めて微少であるため、水流量調整ユニット28を作動させた後、実際に蒸発部20aに水が流入するまでにタイムラグが生じる。このため、起動の最初期において、所定時間水流量調整ユニット28を作動させることにより、純水導入管60内の空気をパージすると共に、純水導入管60内に改質用の水を充満させておく。本実施形態においては、制御部110は、水供給量約3cc/minで、約2分間水流量調整ユニット28を作動させた後、これを停止させ、後続する点火工程中においては水流量調整ユニット28は停止される。
図14の時刻t3において着火完了が判定されると、改質用の水の供給が開始される。具体的には、制御部110が、水供給手段である水流量調整ユニット28(図6)に信号を送り、これを作動させる。上述したように、図14の時刻t0以前に水流量調整ユニット28は所定時間作動され、純水導入管60内の空気がパージされると共に、純水導入管60内には改質用の水が充満されている。このため、改質器20の蒸発部20aには、水流量調整ユニット28の作動開始直後から水が流入する。これにより、タイムラグを生じることなく、適切な時機に水蒸気改質用の水蒸気を生成することができる。
CmHn+xO2 → aCO2+bCO+cH2 (1)
この部分酸化改質反応は発熱反応であるため、改質部20b内で部分酸化改質反応が発生すると、その周囲の温度が局部的に急上昇する。
CmHn+xH2O → aCO2+bCO+cH2 (2)
CmHn+xO2+yH2O → aCO2+bCO+cH2 (3)
CO+H2O → CO2+H2 (4)
上述した実施形態においては、蒸発室昇温用断熱層として、ケース8の上面と空気用熱交換器22の間に配置された蒸発室用断熱材23が備えられていたが、変形例として、蒸発室昇温用断熱層を図15に示すように構成することもできる。
2 燃料電池モジュール
4 補機ユニット
7 断熱材(外側断熱材)
8 ケース
10 発電室
12 燃料電池セル集合体
14 燃料電池セルスタック
16 燃料電池セルユニット(固体酸化物型燃料電池セル)
18 燃焼室
20 改質器
20a 蒸発部(蒸発室)
20b 改質部
21 整流板(隔壁)
21a 開口部
21b 排気通路
21c 気体滞留空間
22 空気用熱交換器(発電酸化剤ガス用熱交換器)
23 蒸発室用断熱材(蒸発室昇温用断熱層)
24 水供給源
26 純水タンク
28 水流量調整ユニット(水供給手段)
30 燃料供給源
38 燃料流量調整ユニット(燃料供給手段)
40 空気供給源
44 改質用空気流量調整ユニット(改質用酸化剤ガス供給手段)
45 発電用空気流量調整ユニット(発電用酸化剤ガス供給手段)
46 第1ヒータ
48 第2ヒータ
50 温水製造装置(排熱回収用の熱交換器)
52 制御ボックス
54 インバータ
60 純水導入管
62 被改質ガス導入管
66 マニホールド(分散室)
70 燃焼ガス配管
72 発電用空気流路
74 発電用空気導入管
76 連絡流路
76 出口ポート
77 発電用空気供給路
77a 吹出口
82 排気ガス排出管
83 点火装置(着火手段)
84 燃料電池セル
86 内側電極端子
88 燃料ガス流路(内部通路)
90 内側電極層(燃料極)
92 外側電極層
94 電解質層
110 制御部(制御手段)
110a 着火判定手段
112 操作装置
114 表示装置
116 警報装置
126 電力状態検出センサ(需要電力検出手段)
132 燃料流量センサ(燃料供給量検出センサ)
138 圧力センサ(改質器圧力センサ)
142 発電室温度センサ(温度検出手段)
148 改質器温度センサ
150 外気温度センサ
223 空気層(蒸発室昇温用断熱層)
Claims (3)
- 燃料電池セルに供給された燃料が一端から流出され、流出したオフガスを燃焼させることにより改質部を加熱するオフガス燃焼セルバーナー方式の固体酸化物型燃料電池であって、
燃料を通過させる内部通路に燃料極が形成された複数の燃料電池セルユニットを備えた燃料電池モジュールと、
この燃料電池モジュール内に配置され、上記燃料と改質用の酸化剤ガスを化学反応させることによる部分酸化改質反応、及び、上記燃料と改質用の水蒸気を化学反応させることによる水蒸気改質反応によって水素を生成する改質部と、
この改質部に隣接して上記複数の燃料電池セルユニットの上方に配置され、上記各燃料電池セルユニットの上端で燃焼した燃料の燃焼熱により加熱されることにより、供給された水蒸気改質用の水を蒸発させる蒸発室と、
上記燃料電池モジュール内に配置され、上記内部通路を通過した燃料を上記各燃料電池セルユニットの上端で燃焼させ、上記改質部を加熱する燃焼室と、
上記改質部に燃料を供給することにより、上記改質部で改質された燃料を上記各燃料電池セルユニットに送り込む燃料供給手段と、
上記改質部に改質用の酸化剤ガスを供給する改質用酸化剤ガス供給手段と、
上記蒸発室に改質用の水を供給する水供給手段と、
上記複数の燃料電池セルユニットの酸化剤ガス極に発電用の酸化剤ガスを供給する発電用酸化剤ガス供給手段と、
上記燃料電池モジュールの起動工程において、上記燃料供給手段、上記改質用酸化剤ガス供給手段、及び上記水供給手段を制御して、上記改質部内で部分酸化改質反応及び水蒸気改質反応を発生させ、上記複数の燃料電池セルユニットを常温から発電可能な温度まで昇温させる制御手段と、を有し、
上記各燃料電池セルユニットの燃料極は、一酸化炭素と水蒸気から水素が生成されるシフト反応の触媒作用をするように構成され、上記制御手段は、上記起動工程において、上記改質部の温度が部分酸化改質反応が発生する温度に到達した時点において、上記蒸発室内に所定量の水が貯留されるように、上記各燃料電池セルユニットの内部通路を通過した燃料に着火された後、上記改質部の温度が部分酸化改質反応が発生する温度に到達する所定時間前に水の供給を開始し、上記改質部の温度が部分酸化改質反応が発生する温度に到達した状態において、上記各燃料電池セルユニットの燃料極でシフト反応が誘発されることを特徴とする固体酸化物型燃料電池。 - 上記制御手段は、上記各燃料電池セルユニットの内部通路を通過した燃料に着火させる点火工程を実行する前に上記水供給手段を作動させ、上記点火工程中は上記水供給手段を停止させると共に、着火後に上記水供給手段による水の供給を開始させる請求項1記載の固体酸化物型燃料電池。
- 上記制御手段は、上記改質部内における燃料改質の工程として、上記改質部内で部分酸化改質反応及び水蒸気改質反応が同時に発生するATR工程、及び上記改質部内で水蒸気改質反応のみが発生するSR工程のみを実行し、上記ATR工程は複数段階に分けて実行される請求項2記載の固体酸化物型燃料電池。
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