JP6201602B2 - 温度測定方法および応力測定方法 - Google Patents

温度測定方法および応力測定方法 Download PDF

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Description

本発明は、赤外線サーモグラフィを用いる温度測定方法および応力測定方法に関する。
従来の応力測定装置は、軸支台、荷重付与部、赤外線サーモグラフィ、ロックインプロセッサ、演算部、および表示部を有する。軸支台は、測定対象物としての等速ジョイントの外輪を固定している。荷重付与部は、等速ジョイントのシャフトを保持している。荷重付与部は、シャフトを介して入力荷重を一定周期で変動させる。荷重付与部は、入力荷重を外輪に付与する。赤外線サーモグラフィは、外輪に向けて設置されている。赤外線サーモグラフィは、物体の表面から放出される赤外線に応じた電気信号を画像信号に変換して出力している。ロックインプロセッサは、画像信号において入力荷重の変動に基づく入力荷重信号と同期する周波数の画像信号のみを抽出する。演算部は、ロックインプロセッサにより抽出された画像信号に基づいて応力分布を算出する。
従来の応力測定方法は、荷重付与部により外輪に入力荷重が付与された状態において、遠赤外線サーモグラフィにより外輪を撮影する。そして、応力測定方法は、撮影により得られた画像信号を演算部によりロックイン処理する。これにより、応力分布が得られる。なお、特許文献1は、従来の応力測定方法の一例を示している。
特開2012−103124号公報
従来の応力測定方法においては、画像信号から入力荷重の一定周期の周波数を抽出することにより画像信号のノイズを除去する。しかし、外輪に生じる応力は、入力荷重の周波数(1次成分)以外に高調波成分が含まれる場合がある。このため、従来の応力測定方法においては、応力の算出において高調波成分が反映されていない。
本発明は、上記課題を解決するため、測定対象物の応力の高調波成分を反映することが可能な温度測定方法および応力測定方法を提供することを目的とする。
本手段は、「温度測定方法であって、測定対象物に生じる応力を歪みゲージにより測定する応力測定工程と、前記応力測定工程により測定された前記測定対象物の応力のデータを周波数毎の応力信号強度に分解して前記周波数と前記応力信号強度との関係を示す応力解析データを得る応力周波数分解工程と、前記応力解析データから前記測定対象物の前記応力信号強度のピークの周波数である特定周波数を抽出する周波数抽出工程と、赤外線サーモグラフィにより前記測定対象物を撮影することにより、前記測定対象物の温度を測定する温度測定工程と、前記温度測定工程により測定された前記測定対象物の温度のデータを周波数毎の温度信号強度に分解して前記周波数と前記温度信号強度との関係を示す第1温度解析データを得る温度周波数分解工程と、前記第1温度解析データから前記特定周波数における前記温度信号強度を抽出して前記特定周波数と温度信号強度との関係を示す第2温度解析データを得る温度抽出工程と、前記第2温度解析データを温度のデータに変換する変換工程とを備える温度測定方法」を含む。
この温度測定方法においては、測定対象物に生じる応力が歪みゲージにより測定され、応力の応力信号強度のピークの周波数である特定周波数が抽出される。そして、測定対象物の温度のデータから特定周波数の温度信号強度が抽出される。ここで、特定周波数は、歪みゲージにより実際に測定された測定対象物の応力の応力信号強度のピークであるため、1次成分および高調波成分を含む。これにより、特定周波数に基づいて抽出された温度信号強度は、測定対象物に生じる応力に起因する。このため、変換工程において得られた温度のデータは、測定対象物に生じる応力が反映される。したがって、温度測定方法は、測定対象物の応力の高調波成分が反映される。
上記手段の一形態は、「前記測定対象物は、等速ジョイントであり、前記等速ジョイントは、外輪、前記外輪に収容される内輪、ならびに、前記外輪の内面および前記内輪の外面に挟まれて前記外輪および前記内輪に回転駆動力を伝達する伝達部品を有し、前記外輪の内面には、前記伝達部品が転動する外輪溝が形成され、前記応力測定工程は、前記歪みゲージが前記外輪の外面において前記外輪溝に対応する部分に取り付けられた状態、かつ前記外輪に対して前記内輪が歳差運動した状態で応力を測定する温度測定方法」を含む。
等速ジョイントにおいては、外輪に対して内輪が歳差運動したときに伝達部品が外輪溝内を転動するとともに外輪溝を押し付ける。これにより、外輪の外面においては、外輪溝に対応する部分に生じる応力が外輪溝に対応していない部分に生じる応力よりも大きくなる。このため、外輪の外面において外輪溝に対応する部分に歪みゲージが取り付けられることにより、歪みゲージが大きな応力を検出する。このため、特定周波数がより精度よく抽出される。したがって、外輪溝に対応していない部分に生じる応力に基づいて温度のデータを算出した場合と比較して、変換工程において得られる温度のデータの精度が向上する。
上記手段の一形態は、「前記温度測定方法を備える応力測定方法であって、前記変換工程により得られた前記温度のデータに基づいて応力分布を算出する応力算出工程を備える応力測定方法」を含む。
この応力測定方法においては、変換工程において得られた温度のデータが測定対象物の応力の高調波成分を反映している。このため、応力測定方法においては、変換工程において得られた温度のデータに基づいて応力分布を算出することにより、測定対象物の応力の高調波成分が反映された応力を測定することができる。
本温度測定方法および本応力測定方法は、測定対象物の応力の高調波成分を反映することができる。
実施形態の測定対象物としての等速ジョイントの縦断面図。 実施形態の等速ジョイントの応力を測定する応力測定装置の図であり、(a)は応力測定装置の全体構成を示す構成図、(b)は(a)の等速ジョイントの外輪の一部を拡大した拡大図。 実施形態の応力測定方法の工程を示すフローチャート。 実施形態の等速ジョイントの一部を透視した側面図。 実施形態の応力測定工程において測定された応力の推移を示すグラフ。 実施形態の応力周波数分解工程における周波数と振幅値との関係を示すグラフ。 実施形態の温度測定工程において測定された温度の推移を示すグラフ。 実施形態の温度周波数分解工程における周波数と振幅値との関係を示すグラフ。 実施形態の温度抽出工程における周波数と振幅値との関係を示すグラフ。 実施形態の変換工程における温度の推移を示すグラフ。
図1を参照して、応力測定の測定対象物となる等速ジョイント1の構成について説明する。
等速ジョイント1は、固定式ボール型等速ジョイントである。等速ジョイント1は、外輪10、内輪20、6個のボール30、保持器40、および、シャフト50を有する。なお、ボール30は「伝達部品」に相当する。また、固定式ボール型等速ジョイントは、一般的にツェッパ型等速ジョイントとも称する。
外輪10は、金属材料からなる。外輪10は、収容部11および外輪シャフト12を有する。収容部11および外輪シャフト12は、同一の材料により一体に形成されている。
収容部11の外面において開口側の部分は、円筒状に形成されている。収容部11の外面において外輪シャフト12側の部分は、外輪シャフト12に向かうにつれて縮径している。収容部11の内面は、球状凹状に形成されている。また収容部11の内面には、6本の外輪ボール溝11Aが形成されている。外輪ボール溝11Aは、収容部11の軸方向に延びている。外輪ボール溝11Aは、収容部11の周方向において等間隔に形成されている。外輪ボール溝11Aにおいて収容部11の軸方向に直交する断面形状は、略円弧凹状となる。外輪シャフト12は、収容部11の底部から収容部11の開口部とは反対側に延びている。なお、外輪ボール溝11Aは「外輪溝」に相当する。
内輪20は、金属材料からなる。内輪20は、環状に形成されている。内輪20は、外輪10の収容部11の内周側に収容されている。内輪20の外面は、球状凸状に形成されている。内輪20の外面には、6本の内輪ボール溝21が形成されている。内輪ボール溝21は、内輪20の軸方向に延びている。内輪ボール溝21は、内輪20の周方向において等間隔に形成されている。内輪ボール溝21は、外輪ボール溝11Aと対向している。内輪ボール溝21において内輪20の軸方向に直交する断面形状は、略円弧凹状となる。内輪20の内面には、内歯スプライン22が形成されている。
ボール30は、外輪ボール溝11Aおよび内輪ボール溝21に挟み込まれている。各ボール30は、各外輪ボール溝11Aおよび各内輪ボール溝21に沿って転動する。各ボール30は、収容部11の周方向(内輪20の周方向)において各外輪ボール溝11Aおよび各内輪ボール溝21のそれぞれと係合している。各ボール30は、外輪10および内輪20に回転駆動力を伝達する。
保持器40は、金属材料からなる。保持器40は、環状に形成されている。詳しくは、保持器40の外面は、収容部11の内面にほぼ沿う球面凸状に形成された部分を有する。保持器40の内面は、内輪20の外面にほぼ沿う球面凹状に形成された部分を有する。また保持器40は、収容部11の内面と内輪20の外面との間に配置されている。
保持器40には、6個の開口窓部41が形成されている。開口窓部41は、外輪ボール溝11Aおよび内輪ボール溝21のそれぞれに対向している。各開口窓部41には、ボール30が嵌め込まれている。
シャフト50は、金属材料からなる。シャフト50の一端には、外歯スプライン51が形成されている。外歯スプライン51は、内輪20の内歯スプライン22に圧入嵌合されている。
等速ジョイント1の外輪10、内輪20、各ボール30、保持器40、およびシャフト50の一部のそれぞれの表面(以下、「測定対象表面」)には、合成樹脂等からなる艶消し黒色の塗料が塗布されている。この塗料の厚さは、20〜25μmである。この塗料により、等速ジョイント1の測定対象表面の熱放射率は、黒体を1.0とした場合、約0.94となる。このように、等速ジョイント1の測定対象表面の熱放射率を高くすることにより、熱放射により放出する熱量が多くなる。したがって、等速ジョイント1の測定対象表面の温度変化をより確実に検出することが可能となる。
図2を参照して、応力測定装置60の構成について説明する。
図2(a)に示されるように、応力測定装置60は、軸支台61、荷重付与部62、赤外線サーモグラフィ63、歪みゲージ64、および演算装置65を備えている。本実施形態では、等速ジョイント1の外輪10が応力測定の対象部分として設定されている。このため、赤外線サーモグラフィ63は、等速ジョイント1の外輪10に向けて設置されている。
軸支台61は、チャックにより等速ジョイント1の外輪シャフト12が回転しないように固定している。
荷重付与部62は、補助等速ジョイント62Aを有する。荷重付与部62は、補助等速ジョイント62Aを介してシャフト50を保持している。
荷重付与部62は、駆動装置(図示略)に取り付けられている。駆動装置は、軸支台61のチャックの軸線を中心に荷重付与部62を旋回させることができる。このため、荷重付与部62がシャフト50を保持した状態でジョイント回転中心CJ(図4参照)を中心に旋回することにより、軸支台61に固定された外輪10の収容部11に対して内輪20が歳差運動する。
赤外線サーモグラフィ63は、赤外線センサ(図示略)を有する。赤外線センサは、物体の表面から放出される赤外線の強度に応じた電気信号を出力する。赤外線サーモグラフィ63は、赤外線センサの電気信号を画像信号に変換して演算装置65に出力する。
歪みゲージ64は、外輪10の外面において外輪ボール溝11Aに対応する部分(以下、「外輪特定部XS」、図2(b)参照)に取り付けられている。歪みゲージ64は、外輪特定部XSに生じる応力に応じた電気信号を応力信号として演算装置65に出力する。
なお、外輪特定部XSは、外輪10に対して内輪20が歳差運動するとき、外輪10の外面において最も大きな応力が生じると予測される部分である。外輪特定部XSは、試験およびシミュレーション等により予め設定される。また、外輪特定部XSに生じる応力は、各ボール30による力に起因して外輪10における外輪特定部XS以外の部分に生じる応力よりも大きくなる。
演算装置65は、演算部66および表示部67を有する。演算部66は、赤外線サーモグラフィ63の画像信号および歪みゲージ64の応力信号に基づいて応力分布を算出する。表示部67は、演算部66により算出された応力分布を表示する。
次に、図3〜図10を参照して、応力測定方法について説明する。なお、図3〜図10を参照する以下の説明では、符号が付された等速ジョイント1および応力測定装置60の構成要素は、図1および図2に記載された等速ジョイント1および応力測定装置60の構成要素を示す。
図3に示されるように、応力測定方法は、応力測定工程(ステップS11)、応力周波数分解工程(ステップS12)、周波数抽出工程(ステップS13)、温度測定工程(ステップS14)、温度周波数分解工程(ステップS15)、温度抽出工程(ステップS16)、変換工程(ステップS17)、および応力算出工程(ステップS18)を有する。
応力測定工程において、応力測定装置60は、まず外輪10に対して内輪20を歳差運動させる。詳しくは、軸支台61により外輪10が固定され、荷重付与部62によりシャフト50が等速ジョイント1のジョイント角が一定角度となるように固定される。この状態において、図4に示されるように、シャフト50に予め設定された一定のねじり荷重が付与された状態でジョイント回転中心CJを中心に所定周期で旋回する。ここで、ジョイント角が付加された等速ジョイント1が回転駆動力を伝達している実用状態において、外輪10を静止系とした場合には、運動系となる内輪20は歳差運動する。このため、荷重付与部62により等速ジョイント1の収容部11に対して内輪20を歳差運動させることは、等速ジョイント1の実用状態となる。なお、以降の説明においては、上述の歳差運動を「等速ジョイント1の歳差運動」として称することもある。
図4の破線矢印により示されるように、各ボール30は、等速ジョイント1の歳差運動の一周期の間において外輪ボール溝11Aおよび内輪ボール溝21(図1参照)を一往復する。各ボール30の往復運動の幅は、ジョイント角により変化する。詳しくは、各ボール30の往復運動の幅は、ジョイント角が大きくなるにつれて大きくなる。
次に、応力測定装置60は、等速ジョイント1を歳差運動させた状態において歪みゲージ64により外輪特定部XSに生じる応力を測定する。
図5のグラフG1により示されるように、外輪特定部XSで生じる応力は、等速ジョイント1の歳差運動の周期に基づいて変化している。
応力周波数分解工程において、演算装置65の演算部66は、応力測定工程により測定された外輪特定部XSの応力のデータに対して高速フーリエ変換処理を実行する。この処理の結果、演算部66は、グラフG1が周波数毎の応力信号強度に分解されて、図6のグラフG2により示されるような周波数と応力信号強度(振幅値)との関係を示す応力解析データを得る。
周波数抽出工程において、演算部66は、外輪特定部XSで生じる応力に起因する周波数を応力解析データに基づいて抽出する。グラフG2により示されるように、歳差運動の周期に基づく周波数成分(以下、「1次成分」)およびこの周波数成分の高調波成分に応力信号強度のピークが立っている。このため、これらピークに対応する周波数成分が外輪特定部XSで生じる応力に起因する周波数として特定することができる。そして、演算部66は、特定した周波数(以下、「特定周波数FS」)を記憶する。なお、本実施形態の応力測定方法においては、グラフG2の各ピークにおける最大値に対応する周波数を特定周波数FSとしている。
温度測定工程において、歪みゲージ64が外輪10から取り外された後、応力測定装置60は、等速ジョイント1を歳差運動させる。そして、等速ジョイント1が歳差運動した状態において赤外線サーモグラフィ63により外輪10が撮影される。なお、温度測定工程における等速ジョイント1の歳差運動は、応力測定工程における等速ジョイント1の歳差運動と同様である。詳しくは、等速ジョイント1のジョイント角、シャフト50に付与されるねじり荷重、およびシャフト50の旋回周期が応力測定工程および温度測定工程で同条件となる。
図7のグラフG3により示されるように、赤外線サーモグラフィ63により撮影された外輪特定部XSの画素毎の温度の推移が演算部66に入力される。グラフG3は、ノイズが含む複雑な波形となっている。すなわち、グラフG3は、外輪特定部XSに生じる応力に基づく温度以外の要因により外輪特定部XSの温度が変化していると考えられる。外輪特定部XSの温度変化に影響を与える要因としては、ボール30および外輪ボール溝11Aの摩擦熱、応力測定装置60を設置した測定室内の空気調和機による外輪特定部XSへの送風、および軸支台61、荷重付与部62、および演算装置65が放出する熱が外輪特定部XSに伝達されることが挙げられる。これらの要因による外輪特定部XSの温度変化は、赤外線サーモグラフィ63の温度分解能以上となる場合が多い。このため、これらの要因による外輪特定部XSの温度変化は、ノイズとしてグラフG3に影響を与える。
温度周波数分解工程において、演算部66は、温度測定工程において測定された外輪特定部XSの温度のデータに対して高速フーリエ変換処理を実行する。この処理の結果、演算部66は、グラフG3が周波数毎の温度信号強度に分解されて、図8のグラフG4により示されるような周波数と温度信号強度(振幅値)との関係を示す第1温度解析データを得る。グラフG4は、グラフG2と同様の周波数に温度信号強度のピークが立っている。
温度抽出工程において、演算部66は、第1温度解析データから特定周波数FSの温度信号強度のみを抽出する第2温度解析データを得る。演算部66は、図8のグラフG4から特定周波数FSの振幅値のみを抽出することにより図9のグラフG5が得られる。これにより、第2温度解析データは、外輪特定部XSに生じる応力に基づく温度変化以外の要因が取り除かれる。
変換工程において、演算部66は、第2温度解析データに対して逆高速フーリエ変換処理を実行する。この処理の結果、演算部66は、温度のデータを得る。すなわち、図9のグラフG5は、図10のグラフG6に示されるように、温度の推移を示すグラフとなる。このように、図7のグラフG3は、外輪特定部XSに生じる応力の変化に起因する温度変化のグラフG6に変換される。
なお、演算部66は、温度測定工程において撮影された全画素に対して温度周波数分解工程〜変換工程を実行する。等速ジョイント1において外輪特定部XS以外の部分についても特定周波数FSに基づいて温度を算出する。このため、演算部66は、外輪特定部XSで生じる応力に基づく等速ジョイント1の温度分布を取得する。
応力算出工程において、演算部66は、熱弾性効果に基づいて、変換工程にて取得した等速ジョイント1の温度分布から等速ジョイント1の応力分布を算出する。その結果、表示部67には、撮影された等速ジョイント1の画像において各画素の濃淡により示された応力分布が表示される。
次に、本実施形態の応力測定方法の作用について説明する。
赤外線サーモグラフィにより撮影された画像からノイズを効果的に除去する処理として、ロックイン処理が知られている。ロックイン処理は、赤外線サーモグラフィが出力する画像信号から一定周期により入力荷重が変動するsin波状の入力荷重信号の周波数の信号強度を抽出することにより、赤外線サーモグラフィが出力する画像信号に含まれるノイズを除去する。
ところで、荷重付与部62は、シャフト50に一定のねじり荷重を付与するため、入力荷重信号は変動しない。このため、荷重付与部62は、一定周期によりねじり荷重が変動するsin波状の入力荷重信号が生成されない。したがって、本実施形態の応力測定装置60は、荷重付与部62が生成する入力荷重信号に基づいてロックイン処理を実行することにより画像信号に含まれるノイズを除去することが困難である。
また、外輪10に生じる応力は、1次成分および高調波成分が含まれる。一方、ロックイン処理は、入力荷重信号に基づいて応力を算出するため、1次成分のみが反映された応力の算出であり、高調波成分が反映された応力の算出ではない。
これに対して、本実施形態の応力測定方法では、赤外線サーモグラフィ63により取得した等速ジョイント1の温度のデータから周波数抽出工程において取得した特定周波数FS以外を除去する。これにより、赤外線サーモグラフィ63により取得した等速ジョイント1の温度のデータは、外輪特定部XSの応力に起因したものとなる。このため、本実施形態の応力測定方法は、ロックイン処理を用いずに赤外線サーモグラフィ63が出力する画像信号に含まれるノイズを除去することができる。
また、特定周波数FSは、外輪特定部XSに生じる応力に基づいて抽出されるため、1次成分および高調波成分が反映されたものとなる。このため、図10のグラフG6に示されるように、変換工程において得られた温度のデータは、1次成分および高調波成分が反映されたものとなる。
次に、本実施形態の応力測定方法の効果について説明する。
(1)応力測定方法は、歪みゲージ64により外輪特定部XSに生じる応力が測定され、応力信号強度のピークの周波数である特定周波数FSが抽出される。そして、外輪特定部XSの温度のデータ(グラフG3)から特定周波数FSの温度信号強度が抽出される。これにより、特定周波数FSが1次成分および高調波成分を含むため、抽出された温度信号強度は、外輪特定部XSに生じる応力に起因する。このため、変換工程において得られた温度のデータ(グラフG6)は、外輪特定部XSに生じる応力が反映される。したがって、温度のデータ(グラフG6)に基づいて算出された外輪特定部XSの応力分布は、高調波成分が反映される。このため、等速ジョイント1の応力分布は、高調波成分が反映される。
(2)等速ジョイント1が歳差運動したとき、ボール30が外輪ボール溝11A内を転動するとともに外輪ボール溝11Aを押し付ける。これにより、外輪特定部XSに生じる応力が外輪10の外面において外輪特定部XS以外の部分に生じる応力よりも大きくなる。このため、外輪特定部XSに歪みゲージ64が取り付けられることにより、歪みゲージ64が大きな応力を検出する。このため、特定周波数FSがより精度よく抽出される。したがって、外輪特定部XS以外の部分の応力に基づいて等速ジョイント1の温度のデータを算出したと仮定した場合よりも温度のデータの精度が向上する。このため、等速ジョイント1の応力分布の精度が向上する。
本温度測定方法および本応力測定方法の具体的な形態は、上記実施形態に限られるものではない。以下、本温度測定方法および本応力測定方法の他の実施形態として、上記実施形態の変形例について説明する。なお、以下の各変形例は、技術的に矛盾の生じない範囲において互いに組み合わせることもできる。
・上記実施形態の外輪特定部XSは、外輪10に対して内輪20が歳差運動するとき、外輪10の外面において最も大きな応力が生じると予測される部分として定義している。しかし、外輪特定部XSの定義は上記実施形態に例示された内容に限られない。例えば、外輪特定部XSは、外輪ボール溝11Aおよびその周縁においてボール30が収容部11を押し付ける部分として定義してもよい。
・上記実施形態の応力測定方法において、応力算出工程を省略することもできる。応力測定方法から応力算出工程を省略した場合、等速ジョイント1の温度分布が算出される。すなわち、等速ジョイント1の温度変化が測定される。
・上記実施形態の応力測定方法において、応力測定工程および温度測定工程を同時に行うこともできる。詳しくは、歪みゲージ64が外輪10の外面における赤外線サーモグラフィ63の撮影範囲外の外輪ボール溝11Aに対応する部分に取り付けられる。そして、等速ジョイント1が歳差運動することにより、歪みゲージ64による応力測定工程と、赤外線サーモグラフィ63による温度測定工程が行われる。
・上記実施形態の応力測定方法の応力周波数分解工程および温度周波数分解工程において、高速フーリエ変換に代えて、離散フーリエ変換を用いてもよい。
・上記実施形態の応力測定方法において、等速ジョイント1の内輪20の応力分布を算出してもよい。内輪20の応力分布を算出する場合、内輪20が固定され、外輪10が内輪20に対して歳差運動する。この場合、歪みゲージ64は、内輪20に取り付けられる。内輪20の応力分布を算出する応力測定方法は、上記実施形態の応力測定方法と概ね同様である。
・上記実施形態の応力測定方法を実施する応力測定装置60において、演算部66とは個別に形成された演算部により温度抽出工程が行われてもよい。
・上記実施形態の応力測定方法において、測定対象物を固定式ボール型等速ジョイントからしゅう動式ボール型等速ジョイントに変更することもできる。また、測定対象物をボール型等速ジョイントからトリポート型等速ジョイントに変更することもできる。また、測定対象物を等速ジョイント1以外の回転装置とすることもできる。
次に上記実施形態および上記変形例より把握することができる技術的思想を記載する。
(付記1)測定対象物に生じる応力を測定する歪みゲージと、前記測定対象物を撮影する赤外線サーモグラフィと、前記歪みゲージによる応力の測定のデータおよび前記赤外線サーモグラフィによる温度の測定のデータに基づいて応力分布を算出する演算部とを備え、前記演算部は、前記歪みゲージによる応力の測定のデータを周波数毎の応力信号強度に分解して前記周波数と前記応力信号強度との関係を示す応力解析データを得て、前記応力解析データから前記測定対象物の前記応力信号強度のピークの周波数である特定周波数を抽出し、前記赤外線サーモグラフィによる温度の測定のデータを周波数毎の温度信号強度に分解して前記周波数と前記温度信号強度との関係を示す第1温度解析データから前記特定周波数における前記温度信号強度を抽出して前記特定周波数と温度信号強度との関係を示す第2温度解析データを得て、前記第2温度解析データを温度のデータに変換し、前記温度のデータに基づいて応力分布を算出する応力測定装置。
1…等速ジョイント(測定対象物)、10…外輪、11A…外輪ボール溝(外輪溝)、20…内輪、30…ボール(伝達部品)、63…赤外線サーモグラフィ、64…歪みゲージ、XS…外輪特定部(外輪の外面において外輪溝に対応する部分)、FS…特定周波数。

Claims (3)

  1. 温度測定方法であって、
    測定対象物に生じる応力を歪みゲージにより測定する応力測定工程と、
    前記応力測定工程により測定された前記測定対象物の応力のデータを周波数毎の応力信号強度に分解して前記周波数と前記応力信号強度との関係を示す応力解析データを得る応力周波数分解工程と、
    前記応力解析データから前記測定対象物の前記応力信号強度のピークの周波数である特定周波数を抽出する周波数抽出工程と、
    赤外線サーモグラフィにより前記測定対象物を撮影することにより、前記測定対象物の温度を測定する温度測定工程と、
    前記温度測定工程により測定された前記測定対象物の温度のデータを周波数毎の温度信号強度に分解して前記周波数と前記温度信号強度との関係を示す第1温度解析データを得る温度周波数分解工程と、
    前記第1温度解析データから前記特定周波数における前記温度信号強度を抽出して前記特定周波数と温度信号強度との関係を示す第2温度解析データを得る温度抽出工程と、
    前記第2温度解析データを温度のデータに変換する変換工程と
    を備える
    温度測定方法。
  2. 前記測定対象物は、等速ジョイントであり、
    前記等速ジョイントは、外輪、前記外輪に収容される内輪、ならびに、前記外輪の内面および前記内輪の外面に挟まれて前記外輪および前記内輪に回転駆動力を伝達する伝達部品を有し、
    前記外輪の内面には、前記伝達部品が転動する外輪溝が形成され、
    前記応力測定工程は、前記歪みゲージが前記外輪の外面において前記外輪溝に対応する部分に取り付けられた状態、かつ、前記外輪に対して前記内輪が歳差運動した状態で応力を測定する
    請求項1に記載の温度測定方法。
  3. 請求項1または2に記載の温度測定方法を備える応力測定方法であって、
    前記変換工程により得られた前記温度のデータに基づいて応力分布を算出する応力算出工程を備える
    応力測定方法。
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