JP6200793B2 - 網状不織布及び強化積層体 - Google Patents

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本発明は、熱可塑性樹脂製の一軸配向体を、配向軸が互いに交差するように経緯積層してなる網状不織布、及びこの網状不織布を被強化体に積層し、補強材として用いた強化積層体に関する。
特許文献1には、縦方向(長さ方向)に配向された熱可塑性樹脂製の一軸配向体(縦ウェブ)と、横方向(幅方向)に配向された熱可塑性樹脂製の一軸配向体(横ウェブ)とを積層してなる網状不織布の製造方法が記載されている。この網状不織布は、各別に形成された縦ウェブと横ウェブとを互いに重ね合わせた状態で押圧・加熱することにより、縦ウェブと横ウェブとを一体化させて製造している。
この種の網状不織布は、薄く軽量で通気性が良く、縦、横ともに高強度でバランスに優れ、しかもコシが強いという特長がある。また、耐水性や耐薬品性等においても優れた特性を有する。
特許第2983584号公報
ところで、近年では、網状不織布の用途を拡大するために、更なる軽量化が求められている。しかし、軽量化すると柔軟でしなやかになり、網状不織布の特長の一つであるコシがなくなる。このため、用途が制限されたり、製袋や折り目などの加工性が悪くなったりする。また、補強用途の場合にはコシがないことから加工装置へ装着し難くなり、網状不織布を被強化体に積層するために機械で処理する際の加工性や作業性も低下する。
軽量化しつつコシを強くするためには、一軸配向体の主層である熱可塑性樹脂層の比率を高くすることが考えられるが、縦繊維と横繊維の接着層が薄くなることで、縦横繊維の接着力が低くなり、強度が損なわれることになる。
本発明は上記のような事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、軽量でありながら縦横繊維の接着強度の低下を抑制しつつコシの強さも確保でき、補強材として用いる場合には、加工装置への装着性、加工性や作業性を向上できる、網状不織布及び強化積層体を提供することにある。
本発明の網状不織布は、熱可塑性樹脂製のフィルムを配向軸の軸方向に一軸延伸させて、縦方向に割繊し、拡幅させて幹繊維と枝繊維を形成したスプリットウェブと、熱可塑性樹脂製のフィルムの配向軸の軸方向に多数のスリットを入れた後に、横方向に一軸延伸させて形成したスリットウェブを、配向軸が直交し、縦繊維が縦方向に対し斜めで且つ横繊維が横方向に対し斜めになるように経緯積層してなる網状の不織布であって、前記スプリットウェブと前記スリットウェブはそれぞれ、熱可塑性樹脂層と、該熱可塑性樹脂層の両面に積層され、メタロセン触媒で重合された第1、第2の直鎖状低密度ポリエチレン層とを含み、各々の前記第1または第2の直鎖状低密度ポリエチレン層を接着層として機能させ、目付が5〜13g/m前記スプリットウェブと前記スリットウェブにおける前記第1の直鎖状低密度ポリエチレン層、前記熱可塑性樹脂層及び前記第2の直鎖状低密度ポリエチレン層の層構成比が5/90/5〜20/60/20であり、縦横繊維の接着力を2.5〜25N、方向及び方向のカンチレバー法による剛軟度の平均値を30〜60mmにした、ことを特徴とする。
また、本発明の強化積層体は、前記網状不織布を被強化体に積層し、補強材として用いた、ことを特徴とする。
本発明では、一軸配向体の表層に、メタロセン触媒で重合された直鎖状低密度ポリエチレン層を用い、この直鎖状低密度ポリエチレン層を薄くして、比較的硬い熱可塑性樹脂層の比率を相対的に高くしている。目付を5〜13g/mと軽くした場合に、接着力の強いメタロセン触媒で重合された直鎖状低密度ポリエチレン層により、一軸配向体同士で2.5〜25Nの接着力を確保できる。メタロセン触媒で重合された直鎖状低密度ポリエチレンは、通常の直鎖状低密度ポリエチレンに比べて柔らかいが、熱可塑性樹脂層と、この熱可塑性樹脂層の両面に積層される第1、第2の直鎖状低密度ポリエチレン層の層構成比を5/90/5〜20/60/20にして熱可塑性樹脂層の比率を高くすることで、網状不織布の長手方向及び幅方向のカンチレバー法による剛軟度の平均値を30〜60mmに高めることができ、コシの強さを維持できる。
このように、軽量化によるコシの低下を、熱可塑性樹脂層の比率を高めることで抑制し、接着強度の低下をメタロセン触媒で重合された直鎖状低密度ポリエチレンで補うことができる。また、補強材として用いる場合には、コシの強さを確保できることから加工装置への装着性、並びに機械で処理する際の加工性や作業性を向上できる。
本発明の実施形態に係る網状不織布を示す平面図である。 図1に示した網状不織布を構成する一軸配向体の構成例を示す斜視図である。 図1に示した網状不織布を構成する一軸配向体の構成例を示す斜視図である。 図2に示した一軸配向体の製造方法を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係る網状不織布の第1の製造方法を示す斜視図である。 網状不織布の材料構成、層構成比及び目付を変えたサンプルにおける縦横繊維の接着力とカンチレバー法による剛軟度の計測結果について説明するための図である。 本発明の実施形態に係る網状不織布の第2の製造方法を示す斜視図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る網状不織布を示している。網状不織布1は、スプリットウェブ2の配向軸2aとスリットウェブ3の配向軸3aとが互いに交差するように経緯積層されて形成されている。そして、隣接するスプリットウェブ2とスリットウェブ3の接触部位同士が面接着で接合されている。
図2及び図3はそれぞれ、図1に示した網状不織布1を構成するスプリットウェブ2とスリットウェブ3を示している。図2(A)に示すスプリットウェブ2は、熱可塑性樹脂製のフィルムを縦方向(スプリットウェブ2の配向軸2aの軸方向)に一軸延伸させて、縦方向に割繊し、かつ拡幅させて形成される。スプリットウェブ2には、熱可塑性樹脂、例えば高密度ポリエチレンと、この熱可塑性樹脂より融点が低い熱可塑性樹脂、例えばメタロセン触媒で重合された第1、第2の直鎖状低密度ポリエチレン(以下、メタロセンLLDPEと略記する)とを用いる。
詳しくは、多層Tダイ法等の成形法により作製され、高密度ポリエチレンの両面に第1、第2のメタロセンLLDPE層を積層した多層フィルム(一軸配向体)を、縦方向(長手方向)に少なくとも3倍に延伸させた後、同方向に千鳥掛けにスプリッターを用いて割繊(スプリット処理)して網状のフィルムとし、更に所定幅に拡幅させて形成する。拡幅によって幹繊維4と枝繊維5が形成され、図示するような網状体となる。このスプリットウェブ2は、幅方向全体にわたって縦方向に比較的高い強度を有する。
図2(B)は、図2(A)の一点鎖線で囲んだ領域Bの拡大斜視図であり、スプリットウェブ2は、熱可塑性樹脂層6の両面に、この熱可塑性樹脂より融点が低いメタロセンLLDPE層7−1,7−2が積層された3層構造になっている。メタロセンLLDPE層7−1,7−2の一方は、網状不織布1の形成時にスリットウェブ3と共に経緯積層される際のウェブ相互の接着層として機能する。
図3(A)に示すスリットウェブ3は、熱可塑性樹脂製のフィルムに、横方向(スリットウェブ3の配向軸3aの軸方向)に多数のスリットを入れた後に、横方向に一軸延伸させて形成される。詳しくは、スリットウェブ3は、上記多層フィルムの両耳部を除く部分に、横方向(幅方向)に、例えば熱刃などにより平行に千鳥掛け等の断続したスリットを形成した後、横方向に延伸させて形成される。このスリットウェブ3は、横方向に比較的高い強度を有する。
図3(B)は、図3(A)の一点鎖線で囲んだ領域Bの拡大斜視図であり、スリットウェブ3は、熱可塑性樹脂層6’の両面に、この熱可塑性樹脂より融点が低いメタロセンLLDPE層7−1’,7−2’が積層された3層構造からなる。これらのメタロセンLLDPE層7−1’,7−2’の一方は、網状不織布1の形成時にスプリットウェブ2と共に経緯積層される際のウェブ相互の接着層として機能する。
図1乃至図3に示した網状不織布1の目付は5〜13g/m、スプリットウェブ2のメタロセンLLDPE層7−1、熱可塑性樹脂層6及びメタロセンLLDPE層7−2の層構成比、及びスリットウェブ3のメタロセンLLDPE層7−1’、熱可塑性樹脂層6’及びメタロセンLLDPE層7−2’の層構成比は、ともに5/90/5〜20/60/20である。一軸配向体の表層に、縦横繊維の接着力の強いメタロセンLLDPE層を用いることで、目付を5〜13g/mと軽くしても接着力を確保できる。メタロセンLLDPEは、通常の低密度ポリエチレン層(LD)に比べて柔らかいが、層構成比を5/90/5〜20/60/20にして熱可塑性樹脂層の比率を高くすることで、コシの強さを維持できる。
[製造方法]
次に、図1乃至図3に示した網状不織布1の製造方法について、図4及び図5により説明する。図4は、スプリットウェブ2の製造工程の概略を示している。また、図5はスプリットウェブ2にスリットウェブ3を積層して網状不織布1を製造する工程の概略を示している。
図4に示すように、スプリットウェブ2は、主として多層フィルムの製膜工程、多層フィルムの配向工程、配向多層フィルムを配向軸と平行にスプリットするスプリット工程、及びスプリットしたフィルムを巻き取る巻取工程等を経て製造される。
多層フィルムの製膜工程は、本例では、押出機10に溶融樹脂、すなわち接着層として機能する融点が低いメタロセンLLDPE、及び熱可塑性樹脂、例えば高密度ポリエチレンをそれぞれフラットダイ中の別々のマニホールドに送り込む。これらの樹脂を、ダイリップの直前で合流、接合して多層フィルム11を形成する。各溶融樹脂の流量調整や製品厚みの調整はダイ内のチョークバーやリップの調整によって行う。
配向工程では、多層フィルム11を鏡面処理された冷却ローラ12a,12b間を介して、初期寸法に対して所定の配向倍率でロール配向を行う。
スプリット(割繊)工程では、上記配向した多層フィルム11を、高速で回転するスプリッター(回転刃)13に摺動接触させて、多層フィルム11にスプリット処理(割繊化)を行う。
割繊して形成されたスプリットウェブ2は、所定幅に拡幅された後、熱処理部14での熱処理を経て、巻取工程において所定の長さに巻き取られて、スプリットウェブ2の巻取体15になる。
図5に示すように、上記のように形成した巻取体15から繰り出した縦ウェブ(スプリットウェブ2)に、横ウェブ(スリットウェブ3)を積層する。横ウェブの製造工程は、多層フィルムの製膜工程、多層フィルムの長手方向に対して直角にスリット処理を行うスリット工程、及び多層スリットフィルムの配向工程を含む。そして、横ウェブに縦ウェブを積層させて熱圧着する(圧着工程)。
スリットウェブ3用の多層フィルムの製膜工程は、多層フィルム11と同様に、押出機20に溶融樹脂、すなわち接着層として機能する融点が低いメタロセンLLDPE、及び熱可塑性樹脂、例えば高密度ポリエチレンをそれぞれフラットダイ中の別々のマニホールドに送り込む。これらの樹脂を、ダイリップの直前で合流、接合して多層のフィルム21を形成する。各溶融樹脂の流量調整や製品厚みの調整はダイ内のチョークバーやリップの調整によって行う。
スリット工程では、上記製膜した多層フィルム21をピンチして扁平化し、次いで圧延により微配向し、横スリット工程22にて、走行方向に対して直角に、千鳥掛けに横スリットを入れる。
配向工程では、上記スリット処理を行ったフィルム21に横配向工程23にて横配向を施す。このようにして得られたスリットウェブ3(横ウェブ)は、熱圧着工程24に搬送する。
一方、縦ウェブ(スプリットウェブ2)を、原反繰出しロール25から繰出して、所定の供給速度で走行させて拡幅工程26に送り、拡幅機(図示せず)により数倍に拡幅し、必要により熱処理を行う。この後、縦ウェブを熱圧着工程24に送り、そこで縦ウェブと横ウェブとを各々の配向軸が交差するように積層させて熱圧着する。具体的には、外周面が鏡面である熱シリンダ24aと鏡面ロール24b,24cとの間に順次縦ウェブ2及び横ウェブ3を導いてこれらにニップ圧を加えることにより互いに熱圧着させて一体化させる。これにより、隣接する縦ウェブ2と横ウェブ3との接触部位同士が全面的に面接着する。このようにして一体化された縦ウェブ及び横ウェブは巻取工程に搬送されて巻き取られ、網状不織布1の巻取体27になる。
本発明者等は、上述したようにして形成した網状不織布1の材料構成、層構成比及び目付の異なるサンプルを用意し、縦横繊維の接着力、コシの強さの指標として長手方向及び幅方向のカンチレバー法による剛軟度の平均値(長手方向(MD)の剛軟度と幅方向(CD)の剛軟度の平均値)を計測し、接着力とコシの強さについて検証した。
縦横繊維の接着力については、引張試験機を用い、試験片(縦200mm×横150mm)の上部から中央部に引張試験機のロードセルに連結したU字型器具を試験片の中央部に引っかけて、該試験片の底部は引張試験機に固定し、引張速度500mm/min.で引張り、変位40mm〜90mmの荷重指示値の振幅の平均値で表した。
コシの強さは、JIS L1913 A法による45°カンチレバー法による剛軟度を指標とした。
この結果、次のような知見を得た。
図6に示すサンプルM1,M2,M4,M5はそれぞれ、一軸配向体の主層である熱可塑性樹脂層6(または6’)に高密度ポリエチレン(HD)を用い、この高密度ポリエチレン層の両面に接着層としてメタロセンLLDPE層(LL)7−1,7−2(または7−1’,7−2’)を積層(LL/HD/LL)したものである。層構成比は高密度ポリエチレン層の比率が高い5/90/5に設定し、目付をそれぞれ4g/m、5g/m、7g/m、10g/mとしている。
目付が4g/mのサンプルM1は、縦横繊維の接着力が2.0N、コシの強さを表すカンチレバー法による剛軟度の平均値は25mmであり、接着力、コシともに弱く、所期の目的の網状不織布としては利用できなかった。
目付が5g/mのサンプルM2は、縦横繊維の接着力が2.5N、剛軟度の平均値は31mmであり、軽量化したにも拘わらずある程度の接着力、コシともに維持できており、製袋や折り目などの加工も可能となる。また、補強材として用いる場合の加工装置への装着性、及び網状不織布を被強化体に積層するために機械で処理する際の加工性や作業性についても十分に実用に耐えるものであった。
目付が7g/mと10g/mのサンプルM4,M5はそれぞれ、縦横繊維の接着力が3.5N、5.0N、剛軟度の平均値は40mm、51mmであり、接着力、コシともに十分に維持できており、製袋や折り目などの加工も可能である。また、補強材として用いる場合の加工装置への装着性、及び網状不織布を被強化体に積層するために機械で処理する際の加工性や作業性についても十分であった。
サンプルM3は、サンプルM2と同じく目付が5g/mの比較例を示しており、一軸配向体の主層である熱可塑性樹脂層に高密度ポリエチレン層(HD)を用い、この高密度ポリエチレン層の両面に接着層として低密度ポリエチレン層(LD)を積層(LD/HD/LD)したものである。層構成比はサンプルM2と同じく5/90/5に設定している。メタロセンLLDPE層に代えて低密度ポリエチレン層を用いたサンプルM3では、高密度ポリエチレン層の比率が高いことで、剛軟度の平均値は32mmであり、サンプルM2と同程度を維持しているものの、縦横繊維の接着力が1.2NでサンプルM2の半分程度に低下してしまい、実用に耐えるものではなかった。
サンプルM6は、サンプルM5と同じく目付が10g/mの比較例を示しており、層構成比を30/40/30に設定している。メタロセンLLDPE層の比率を高くしたサンプルM6では、縦横繊維の接着力が30.0Nと非常に高いものの、高密度ポリエチレン層の比率が低いことで、剛軟度の平均値はサンプルM1と同程度の26mmにまで低くなってしまう。このため、コシが弱く所期の目的の網状不織布としては利用できなかった。
サンプルM7〜M10はそれぞれ、目付をそれぞれ13g/mで一定にし、層構成比を5/90/5,8/84/8,15/70/15,20/60/20に設定している。サンプルM7の縦横繊維の接着力は6.5N、剛軟度の平均値は60mmと高く、軽量化を図りつつ十分なコシの強さを実現できている。サンプルM8の縦横繊維の接着力は9.5N、剛軟度の平均値は54mm、サンプルM9の縦横繊維の接着力は17.8N、剛軟度の平均値は51mm、サンプルM10の縦横繊維の接着力は25.0N、剛軟度の平均値は46mmであった。これらのサンプルM7〜M10の計測結果から、層構成比の中の高密度ポリエチレン層の比率を高くすることで剛軟度の平均値、すなわちコシが強くなり(接着力は低くなる)、メタロセンLLDPE層の比率を高くすることで接着力を高くできる(コシは弱くなる)ことが分かる。
上述したように、網状不織布の材料構成、層構成比及び目付を設定し、縦横繊維の接着力を高めつつ剛軟度を維持することで、所期の目的の網状不織布を形成できる。すなわち、この網状不織布は、目付が5〜13g/m、メタロセンLLDPE層、熱可塑性樹脂層及びメタロセンLLDPE層の積層構造で、層構成比が5/90/5〜20/60/20である。そして、縦横繊維の接着力が2.5〜25N、剛軟度の平均値は30〜60mmである。上記測定結果から、これらの条件を全て満たすサンプルM2,M4,M5,M7〜M10で、所期の目的を十分に達成できる良好な結果が得られた。
上記各条件を満たす網状不織布1は、接着強度の低下をメタロセン触媒で重合された直鎖状低密度ポリエチレンで補い、この直鎖状低密度ポリエチレンを用いることによる柔軟化を、熱可塑性樹脂層の比率を高めることでコシの強さを確保できる。この結果、単体では軽量でありながら縦横繊維の接着強度の低下を抑制しつつコシの強さを確保でき、相反する特性のバランスを取ることができる。また、補強材として用いる場合には、コシがあることから加工装置への装着性が良く、網状不織布を被強化体に積層するために機械で処理する際の加工性や作業性を向上できる。
ここで、網状不織布1の開口率は50%より高く設定されている。開口率が大きくなることによって、今まで不向きと言われていた、例えば液体用のフィルタ材の補強用にも採用することができる。液体用フィルタで圧力損失を大きくすることなく補強できる開口率は、好ましくは50%以上とされている。
上述した条件を全て満たす網状不織布1は、従来品では使用できなかった液体のフィルタ材の補強の用途への利用が可能となる。軽量化して開口率を高くしても、ある程度の接着強度とコシを維持して、濾過性能の低下を抑制でき、濾過面積を増大するためのプリーツなどの加工性も良い。よって、上述したような材料構成、層構成比、目付、縦横繊維の接着力、及び剛軟度の平均値の範囲内で、必要とする特性に合わせて、それぞれの条件を適合させることで網状不織布1の用途を拡大できる。
<変形例>
図7は、上述した実施形態の変形例について説明するためのもので、他の製造方法を示している。この網状不織布は、図2に示したスプリットウェブ2を2枚積層したものである。図7において、図4に示したようにして製造した縦ウェブ(スプリットウェブ2−1)を、原反繰出しロール30から繰出し、所定の供給速度で走行させて拡幅工程31に送り、拡幅機(図示せず)により数倍に拡幅し、必要により熱処理を行う。
別のスプリットウェブ2−2(横ウェブ)を、縦ウェブと同様に原反繰出しロール32から繰出し、所定の供給速度で走行させて拡幅工程33に送り、拡幅機(図示せず)により数倍に拡幅し、必要により熱処理した後、縦ウェブの幅に等しい長さに切断し、縦ウェブの走行フィルムに対し直角の方向から供給して、積層工程34において各接着層を介して各ウェブの配向軸が互いに直交するように経緯積層させる。経緯積層した縦ウェブ及び横ウェブを、熱圧着工程35において、外周面が鏡面である熱シリンダ35aと鏡面ロール35b,35cとの間に順次導いてニップ圧を加える。これにより、縦ウェブと横ウェブとが互いに熱圧着されて一体化される。また、隣接する縦ウェブと横ウェブとの接触部位同士が全面的に面接着する。このようにして一体化された縦ウェブ及び横ウェブは巻取工程にて巻き取られて、経緯積層不織布の巻取体36になる。
上記のようにして製造した網状不織布においても、実施形態と同様に、メタロセンLLDPE層、熱可塑性樹脂層及びメタロセンLLDPE層の積層構造で、層構成比(5/90/5〜20/60/20)、目付(5〜13g/m)、縦横繊維の接着力(2.5〜25N)、カンチレバー法による剛軟度の平均値(30〜60mm)の条件を満たすことで、同様な効果が得られる。この場合にも、開口率は50%より高くすると良い。
また、上述した網状不織布1を被強化体に積層して補強材として用い、強化積層体とする場合には、加工装置への装着性、及び網状不織布を被強化体に積層するために機械で処理する際の加工性や作業性を向上できることから、製造コストを低減しつつ様々な被強化体の補強に適用可能である。
1…網状不織布
2…スプリットウェブ
2a…配向軸
3…スリットウェブ
3a…配向軸
4…幹繊維
5…枝繊維
6,6’…熱可塑性樹脂層
7−1,7−1’…メタロセンLLDPE層(接着層)
7−2,7−2’…メタロセンLLDPE層(接着層)

Claims (4)

  1. 熱可塑性樹脂製のフィルムを配向軸の軸方向に一軸延伸させて、縦方向に割繊し、拡幅させて幹繊維と枝繊維を形成したスプリットウェブと、熱可塑性樹脂製のフィルムの配向軸の軸方向に多数のスリットを入れた後に、横方向に一軸延伸させて形成したスリットウェブを、配向軸が直交し、縦繊維が縦方向に対し斜めで且つ横繊維が横方向に対し斜めになるように経緯積層してなる網状の不織布であって、
    前記スプリットウェブと前記スリットウェブはそれぞれ、熱可塑性樹脂層と、該熱可塑性樹脂層の両面に積層され、メタロセン触媒で重合された第1、第2の直鎖状低密度ポリエチレン層とを含み、各々の前記第1または第2の直鎖状低密度ポリエチレン層を接着層として機能させ、
    目付が5〜13g/m前記スプリットウェブと前記スリットウェブにおける前記第1の直鎖状低密度ポリエチレン層、前記熱可塑性樹脂層及び前記第2の直鎖状低密度ポリエチレン層の層構成比が5/90/5〜20/60/20であり、縦横繊維の接着力を2.5〜25N、方向及び方向のカンチレバー法による剛軟度の平均値を30〜60mmにした、ことを特徴とする網状不織布。
  2. 前記熱可塑性樹脂層が、前記第1、第2の直鎖状低密度ポリエチレン層より融点が高い高密度ポリエチレンを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の網状不織布。
  3. 前記網状不織布の開口率が50%より高い、ことを特徴とする請求項1または2に記載の網状不織布。
  4. 請求項1乃至3いずれか1項に記載の網状不織布を被強化体に積層し、補強材として用いた、ことを特徴とする強化積層体。
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