JP6200755B2 - 電池の劣化分析方法および炭素材料 - Google Patents

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Description

本発明は、電池の劣化分析方法に関する。
リチウムイオン電池はエネルギー密度が高く、出力特性も比較的良いことから今後自動車や蓄電池として広く普及されると期待されている。
電池として充放電を繰り返すことで容量や出力特性が低下するが、その原因を解明し、原因を取り除くことが電池としての特性改善へつながる。
従来は、例えば、電気抵抗測定やXRD(X線回折測定)によって電極活物質の結晶構造の変化を解析することで、電池の劣化解析が行われてきた。
特開2003−317810号公報 特開2007−134049公報
Journal of The Electrochemical Society, 152(1) (2005) A73−79
しかし、電気抵抗を測るだけでは、電池の劣化が電極活物質由来なのか電極層と集電体との剥離による影響かまでは判断ができない。また、XRDでは電極活物質の結晶構造の変化を見ることができるが、電極活物質がどの程度劣化しているのかを定量的に分析することができない。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、電池の劣化が電極活物質由来か否かを定量的に判断する電池の劣化分析方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、以下の構成を採用した。
(1) 満充電の電極の示差走査熱量測定(DSC)を行うことにより、電極活物質の活性化エネルギーを測定し、電池の劣化原因が電極活物質に由来するか否かを判断する電池の劣化分析方法。
(2) 昇温速度を変えて示差走査熱量測定(DSC)を行い、昇温速度a(℃/min)としたときの吸発熱ピーク温度T(K)を測定し、縦軸にln(a/T )、横軸に1/Tをプロットした時に得られる傾きを活性化エネルギーとする(1)に記載の電池の劣化分析方法。
(3) 電池劣化試験開始時の満充電時の電極活物質の活性化エネルギーEと電池劣化試験後の満充電時の電極活物質の活性化エネルギーEを用いて電極活物質劣化度をE/Eで定義する(1)または(2)に記載の電池の劣化分析方法。
(4) E/Eが1.10以上なら、電池の劣化原因が電極活物質に由来すると判断する(3)に記載の電池の劣化分析方法。
(5) エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)が2:3の体積比で混合された溶媒と、1mol/LのLiPFを電解質として含む電解液と、満充電状態の炭素材料とを、質量比で0.6:1〜1:1になるように調整し、全質量が7mg〜14mgの状態で27μLのクロムスチールニッケルの密閉容器に密封して、昇温速度1℃/min.,2℃/min.,5℃/min.の3水準でDSC測定を行った時に、250℃〜300℃の間に観測される吸熱ピークの活性化エネルギーが130kJ/mol以上である炭素材料。
本発明によれば、電極活物質自体の劣化解析を定量的に行うことにより、電池の劣化が電極活物質由来なのかどうかを判断し、電池の劣化分析を行うことが可能になる。
本発明の一実施形態にかかる電池の劣化分析方法が適用されるための正極極板および負極極板を含んだラミネート型リチウムイオン二次電池の概略構成を示す外観図および断面図である。 DSCの測定結果の一例である。
以下、本発明の実施形態である電池の劣化分析方法について図面を参照して説明する。
本実施形態の好ましい実施態様における電池の劣化分析方法では、電池は正極、負極、電解液から構成される。電池の形態は、コイン、円筒、ラミネート型など、いずれでもよい。電池を満充電にしたのち、O,HOの濃度が低い雰囲気下で電池を解体し、電解質および電解液を洗浄し、乾燥させてDSC測定用の電極を得る。DSC測定用の電極は、耐圧・耐食性を有する密閉容器中に入れられる。この密閉容器を用いてDSC測定を行う。DSC測定は少なくとも3水準の昇温速度で実施する。昇温速度を変えた時に得られるそれぞれの吸発熱ピーク温度T(K)とその時の昇温速度a(℃/min)について、縦軸にln(a/T )、横軸に1/Tをプロットし、得られる傾きを活性化エネルギーとする。DSCから求められる劣化試験開始時の満充電時の活物質の活性化エネルギーEと劣化試験後の活物質の活性化エネルギーEを用いて活物質劣化度をE/Eとして定義する。
DSC測定時に、密閉容器内に電解液を入れてもよい。この場合には、各昇温速度での活性化エネルギーを求めるときの活物質/電解質(質量比)は一定とすることが必要である。
本願発明においては、活物質の熱的構造変化に由来する吸発熱ピークを使用して活物質の活性化エネルギーを測定することで、電池の劣化解析を定量的に行うことが可能となる。
(活性化エネルギーの測定)
エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)が2:3の体積比で混合された溶媒と、1mol/LのLiPFを電解質として含む電解液と、満充電状態の炭素材料とを、質量比で0.6:1〜1:1になるように調整し、全質量が7mg〜14mgの状態で27μLのクロムスチールニッケルの密閉容器に密封して昇温速度1℃/min.,2℃/min.,5℃/min.の3水準で、50−400℃の温度範囲でDSC測定を行う。
250℃〜300℃の間に観測される吸熱ピークの活性化エネルギーが130kJ/mol以上である黒鉛材料が好ましく、より好ましくは132kJ/mol以上、さらに好ましくは135kJ/mol以上であり140kJ/mol以下である。活性化エネルギーが130kJ/mol以上である炭素材料は、黒鉛層間の剥離が起こりづらく、電池として活性が失われづらい
以下、リチウムイオン電池を使用した場合の電池の劣化分析方法の詳細について説明する。
(正極)
Liを含み、充電することによりそのLiを放出することができる物質を電極活物質として使用することが可能である。例えば、リン酸金属リチウム、リチウム含有金属酸化物を用いることができる。
(負極)
充電することによりLiを蓄えることができる物質を電極活物質として使用することが可能である。人造黒鉛、天然黒鉛などの炭素材料を単独で用いても良いし、Si、Sn、Ge、Al、Inなどの単体または該元素のうちの少なくとも1つを含む化合物、混合体、共融体または固溶体を含む粒子と炭素材料とを複合したものであってもよい。
電極活物質(単に活物質ということもある。)は導電助材と結着剤などを混合して合剤とし、該合剤を集電体に塗布してシート状の電極とすることができる。
結着剤としては任意に選択できるが、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレンコポリマー、エチレンプロピレンターポリマー、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブチルゴム、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリエピクロルヒドリン、ポリファスファゼン、ポリアクリロニトリル、等を例示できる。
導電助材としては任意に選択できるが、銀粉などの導電性金属粉;ファーネスブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラックなどの導電性カーボン粉;カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、気相法炭素繊維などが挙げられる。導電性助剤としては気相法炭素繊維が好ましい。気相法炭素繊維は、その繊維径が5nm以上0.2μm以下であることが好ましい。繊維長さ/繊維径の比が5〜1000であることが好ましい。気相法炭素繊維の含有量は電極活物質に対して0.1〜10質量%であることが好ましい。
(電解液)
非プロトン性溶媒にリチウム塩が溶解されてなる非水電解質を例示できる。
非プロトン性溶媒は任意に選択されるが、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ―ブチロラクトン、およびビニレンカーボネートからなる群から選ばれる少なくとも1種または2種以上の混合溶媒が好ましい。
また、リチウム塩には、LiClO、LiPF、LiAsF、LiBF、LiSOCF、CHSOLi、CFSOLi等が挙げられる。
また非水電解質として、いわゆる固体電解質またはゲル電解質を用いることもできる。固体電解質またはゲル電解質としては、スルホン化スチレン−オレフィン共重合体などの高分子電解質、ポリエチレンオキシドとMgClOを用いた高分子電解質、トリメチレンオキシド構造を有する高分子電解質などが挙げられる。高分子電解質に用いられる非水系溶媒としては、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ―ブチロラクトン、およびビニレンカーボネートからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
更に、本実施形態の好ましい実施態様におけるリチウム二次電池は、正極、負極、非水電解質のみに限られず、必要に応じて他の部材等を備えていても良い。例えば正極と負極を隔離するセパレータを具備しても良い。セパレータは、非水電解質がポリマー電解質でない場合には必須である。例えば、不織布、織布、微細孔質フィルムなどや、それらを組み合わせたものなどが挙げられる。より具体的には、多孔質のポリプロピレンフィルム、多孔質のポリエチレンフィルム等を適宜使用できる。
正極集電体としては任意に選択できるが、導電性金属の箔、導電性金属の網、導電性金属のパンチングメタルなどが挙げられる。導電性金属としては、アルミニウムまたはアルミニウム合金が好ましい。正極集電体には、正極合材との導電性を向上させるために炭素膜を形成しておいてもよい。また、負極集電体としては、導電性金属の箔、導電性金属の網、導電性金属のパンチングメタルなどが挙げられる。導電性金属としては銅または銅の合金が好ましい。
(電池形態)
電池の形態はコイン型、円筒型、ラミネート型など任意の形態を用いることができる。
(満充電の定義)
電池を充電する際、電解液の分解電位以内において充電を行い、電流値が0.01Cに到達した時を満充電とする。例えば、充電はレストポテンシャルから0.2Cの電流でCC(コンスタントカレント:定電流)充電を行い、次いで2mVでCV(コンスタントボルト:定電圧)充電に切り替え、電流値が0.01Cに低下した時点で充電を停止させる。
(電池解体)
ショートさせないよう解体するとともに、O,HOに非曝露の状態で行うことが望ましい。具体的には、Oは500ppm以下、HOは露点が−50℃以下で行うことが望ましい。
(電極の洗浄液)
電極の洗浄は、揮発性が高く、電解質および電解液を除去可能な洗浄液を用いる。例えば、電解液がエチレンカーボネートを含んでいる場合、エチルメチルカーボネートが望ましい。
(電極の洗浄)
,HOに非暴露の状態で、電極を容器に入れ電極が浸る状態まで洗浄液を入れる。少なくとも10秒以上浸漬することが望ましい。その後、電解液を取り出し、新たな洗浄液で同様な操作を行う。洗浄は3回〜5回が望ましい。
(電極の乾燥)
真空条件下で5分以上行うことが望ましい。
(密閉容器への封入)
,HOに非暴露の状態で、電極を洗浄・乾燥した後、活物質だけを削りだして質量を測定し、耐圧、耐食性を有する密閉容器に活物質を詰めて蓋をする。容器の素材としてはSUSを用いることができる。また、この時電解液を入れることもできる。
(DSC測定)
温度範囲は任意の範囲で行うことができる。好ましくは50〜400℃である。同様の条件で準備された密閉容器を複数用意し、各密閉容器について、各々別の昇温速度でDSC測定を行う。各昇温速度は2倍以上離れていることが望ましい。また、昇温速度の種類は3水準以上であることが望ましい。
(活性化エネルギーの算出)
昇温速度を変えた時に得られるそれぞれの吸発熱ピーク温度T(K)とその時の昇温速度a(℃/min)について、縦軸にln(a/Tm)、横軸に1/Tをプロットした時に得られる傾きを活性化エネルギー(kJ/mol)とする。
(活物質劣化度の算出)
DSCから求められる試験開始時の満充電時の活物質の活性化エネルギーE0、電池試験後の活物質の活性化エネルギーEを用いて、電極活物質劣化度をE/Eと定義する。ただし、活物質の熱的構造変化に基づく吸発熱ピークを使用して、電極活物質劣化度を算出する。E/Eが1.10以上なら、電池の劣化原因が電極活物質に由来すると判断することが可能である。
以上説明したように、本願発明における電池の劣化解析方法によれば、電池の劣化が活物質に由来するのか否かを定量的に判断することができる。
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明する。なお、これらは説明のための単なる例示であって、本発明はこれらによって何等制限されるものではない。
(実施例1)
1.ラミネート型電池の構成
図1は、本発明の一実施形態にかかる電池の劣化分析方法が適用されるための正極極板1および負極極板2を含んだラミネート型リチウムイオン二次電池の概略構成を示す図である。正極極板1および負極極板2はセパレータ3を介して積層体を形成し、リチウム塩を含んだ非水溶媒電解液とともにラミネートフィルム4からなる外装材に収納されている。正極端子5は正極集電体7と、また負極端子6は負極集電体9とそれぞれラミネートフィルム4の内部で電気的に接続されている。
作製したラミネート型電池の具体的な条件は以下のとおりである。
・電池容量(未使用時):30mAh
・正極活物質:リン酸鉄リチウム(90質量%)
・正極導電助剤:カーボンブラック(3質量%)、気相成長炭素繊維(2質量%)
・正極バインダ:ポリフッ化ビニリデン(5質量%)
・負極活物質:黒鉛A(中国製天然黒鉛)(97質量%)
・負極バインダ:スチレンブタジエンゴム(1.5質量%)、カルボキシメチルセルロース(1.5質量%)
・セパレータ:ポリプロピレン製
・電解質:六フッ化リン酸リチウム(1mol/L)
・電解液:エチレンカーボネート、ジエチルカーボネートおよびエチルメチルカーボネートの混合液
2.充電工程
未使用の電池を充放電機ACD−01(アスカ電子製)を用いてSOC(State of Charge)100%にした。この時の終始電位は3.7V、電流値は0.03mAとした。
3.解体洗浄工程
満充電状態の電池を、Oが0.3ppm、露点が−70℃での条件下で解体し、取り出した負極を、エチルメチルカーボネート(EMC)に10秒浸漬した後にとりだし、新たなEMCで同様に浸すことを3度繰り返したのち、真空下で5分間乾燥させて測定用電極を得た。
4.密閉容器へのサンプル封入
洗浄乾燥させた測定用電極から、スパチュラを使用して活物質だけを削り取り、削り取った活物質5.0mgを27μLのクロムスチールニッケルの密閉容器(ネッチ製)に入れた。その後、6.0mgの電解液(1M LiPF6, EC/EMC=2/3(v/v))を加え、素早く蓋をした。同様にしてDSC測定用のサンプルを合計3つ用意した。
5.DSC測定
DSC3200SA(ネッチ製)を用いて行った。参照側には、空の密閉容器を用いた。昇温速度は1℃/min.,2℃/min.,5℃/min.の3水準でおこなった。測定は50℃〜400℃の温度範囲で行った。昇温速度5℃/min.で測定した結果を図2に示す。
6.活性化エネルギーの算出
DSC測定において大きなピークが2つの間に1つの吸熱ピークが観測された。この吸熱ピークは黒鉛層間の剥離エネルギーに由来するといわれているため、活性化エネルギーEを算出した。劣化により構造の乱れがある場合、活性化エネルギーは大きくなると考えられる。
(実施例2)
500サイクルの充放電を行った後の電池の電極を用いたこと以外は実施例1と同じ条件でDSC測定を行い、容量維持率CおよびEを得た。
(実施例3)
満充電状態で、60℃、4週間放置した電池の電極を用いたこと以外は実施例1と同じ条件でDSC測定を行い、容量維持率CおよびEを得た。
(実施例4)
負極に黒鉛B(日本製人造黒鉛)を用いたこと以外は実施例1と同じ条件でDSC測定を行い、Eを得た。
(実施例5)
500サイクルの充放電を行った後の電池の電極を用いたこと以外は実施例4と同じ条件でDSC測定を行い、容量維持率CおよびEを得た。
(実施例6)
満充電状態で60℃、4週間放置した電池の電極を用いたこと以外は実施例4と同じ条件でDSC測定を行い、容量維持率CおよびEを得た。
表1に示すように、黒鉛A、Bともに500サイクル充放電後と保存試験後の劣化度がそれぞれ異なっていることが分かった。これは、充放電サイクルを重ねることで黒鉛層間の変化由来の劣化が起こるが、保存試験ではそれ以外の要因が電池の劣化の原因になっていることを示している。また、黒鉛AとBを比べると500サイクル後の劣化度が異なっている。これは、黒鉛Bの方が電極活物質としての充放電サイクル特性が黒鉛Aよりも優れていることを示している。
(実施例7)
以下の手順で作製した黒鉛を用いたこと以外は実施例1と同じ条件でDSC測定を行い、劣化度の算出および2つの大きな発熱ピークの間の吸熱ピークの活性化エネルギーEを求めた。また、作製した電池を2000サイクルの充放電を行った際の容量維持率Cを求めた。その後、実施例1と同じ条件でDSC測定を行い、劣化度の算出を行った。
(原料コークスおよび黒鉛の作製)
100g中のコークスにおいて200℃〜800℃で加熱した際に出てくる揮発分を液体窒素でトラップし、その揮発成分をGS−MSで測定した時に、ベンゼン環が4個結合した構造を持つ芳香族炭化水素(ピレン、テトラセン、トリフェニレン、クリセン、テトラフェンを骨格とする)の割合が、ベンゼン環が1〜5個が結合した構造を持つ芳香族炭化水素の割合を1としたときに、0.4以上〜0.5未満になるコークスを原料に用いた。これをホソカワミクロン製バンタムミルで粉砕する。次に、日清エンジニアリング製ターボクラシファイアーTC−15Nで気流分級し、粒径が0.5μm以下の粒子を実質的に含まないD50=13.5μmの炭素材料を得る。この粉砕された炭素材料と10質量%のMn(高純度化学研究所製:約10μm)を不活性雰囲気(N)で混合し、黒鉛ルツボに充填し、黒鉛化炉(SCC−U−30/300 倉田技研製)にて3100℃で加熱処理して、黒鉛材料を得た。
(実施例8)
黒鉛化時のMnの添加量を5質量%にしたこと以外は実施例7と同じ条件で黒鉛の作製を行った。作製した黒鉛を用い実施例1と同じ条件でDSC測定を行い、2つの大きな発熱ピークの間の吸熱ピークの活性化エネルギーEを求めた。また、2000サイクルの充放電を行った際の容量維持率Cを求めた。さらに劣化度の算出を行った。
(実施例9)
黒鉛化時のMnの添加量を15質量%にしたこと以外は実施例7と同じ条件で黒鉛の作製を行った。作製した黒鉛を用い実施例1と同じ条件でDSC測定を行い、2つの大きな発熱ピークの間の吸熱ピークの活性化エネルギーEを求めた。また、2000サイクルの充放電を行った際の容量維持率Cを求めた。さらに劣化度の算出を行った。
(比較例1)
炭素材料とMnの混合を空気中で行ったこと以外は実施例7と同じ条件で黒鉛の作製を行った。作製した黒鉛を用い実施例1と同じ条件でDSC測定を行い、2つの大きな発熱ピークの間の吸熱ピークの活性化エネルギーE10を求めた。また、2000サイクルの充放電を行った際の容量維持率C10を求めた。さらに劣化度の算出を行った。
(比較例2)
Mnを黒鉛化時に用いていないこと以外は、実施例7と同じ原料を用いて黒鉛の作製を行った。作製した黒鉛を用い実施例1と同じ条件でDSC測定を行い、2つの大きな発熱ピークの間の吸熱ピークの活性化エネルギーE11を求めた。また、2000サイクルの充放電を行った際の容量維持率C11を求めた。さらに劣化度の算出を行った。
(比較例3)
100g中のコークスにおいて200℃〜800℃で加熱した際に出てくる揮発分を液体窒素でトラップし、その揮発成分をGS−MSで測定した時に、ベンゼン環が4個結合した構造を持つ芳香族炭化水素(ピレン、テトラセン、トリフェニレン、クリセン、テトラフェンを骨格とする)の割合が、ベンゼン環が1〜5個が結合した構造を持つ芳香族炭化水素の割合を1としたときに、0.2以上〜0.3未満になるコークスを原料に用いたこと以外は、実施例7と同じ条件で黒鉛の作製を行った。作製した黒鉛を用い実施例1と同じ条件でDSC測定を行い、2つの大きな発熱ピークの間の吸熱ピークの活性化エネルギーE12を求めた。また、2000サイクルの充放電を行った際の容量維持率C12を求めた。さらに劣化度の算出を行った。
(比較例4)
Mnを黒鉛化時に用いていないこと以外は、比較例3と同じ原料を用いて黒鉛の作製を行った。作製した黒鉛を用い実施例1と同じ条件でDSC測定を行い、2つの大きな発熱ピークの間の吸熱ピークの活性化エネルギーE13を求めた。また、2000サイクルの充放電を行った際の容量維持率C13を求めた。さらに劣化度の算出を行った。
(比較例5)
100g中のコークスにおいて200℃〜800℃で加熱した際に出てくる揮発分を液体窒素でトラップし、その揮発成分をGS−MSで測定した時に、ベンゼン環が4個結合した構造を持つ芳香族炭化水素(ピレン、テトラセン、トリフェニレン、クリセン、テトラフェンを骨格とする)の割合が、ベンゼン環が1〜5個が結合した構造を持つ芳香族炭化水素の割合を1としたときに、0.1以上〜0.2未満になるコークスを原料に用いたこと以外は、実施例7と同じ条件で黒鉛の作製を行った。作製した黒鉛を用い実施例1と同じ条件でDSC測定を行い、2つの大きな発熱ピークの間の吸熱ピークの活性化エネルギーE14を求めた。また、2000サイクルの充放電を行った際の容量維持率C14を求めた。さらに劣化度の算出を行った。
(比較例6)
Mnを黒鉛化時に用いないこと以外は、比較例5と同じ原料を用いて黒鉛の作製を行った。作製した黒鉛を用い実施例1と同じ条件でDSC測定を行い、2つの大きな発熱ピークの間の吸熱ピークの活性化エネルギーE15を求めた。また、2000サイクルの充放電を行った際の容量維持率C15を求めた。さらに劣化度の算出を行った。
(比較例7)
100g中のコークスにおいて200℃〜800℃で加熱した際に出てくる揮発分を液体窒素でトラップし、その揮発成分をGS−MSで測定した時に、ベンゼン環が4個結合した構造を持つ芳香族炭化水素(ピレン、テトラセン、トリフェニレン、クリセン、テトラフェンを骨格とする)の割合が、ベンゼン環が1〜5個が結合した構造を持つ芳香族炭化水素の割合を1としたときに、0.5以上〜0.6未満になるコークスを原料に用いたこと以外は、実施例7と同じ条件で黒鉛の作製を行った。作製した黒鉛を用い実施例1と同じ条件でDSC測定を行い、2つの大きな発熱ピークの間の吸熱ピークの活性化エネルギーE16を求めた。また、2000サイクルの充放電を行った際の容量維持率C16を求めた。さらに劣化度の算出を行った。
(比較例8)
Mnを黒鉛化時に用いていないこと以外は、比較例と同じ原料を用いて黒鉛の作製を行った。作製した黒鉛を用い実施例1と同じ条件でDSC測定を行い、2つの大きな発熱ピークの間の吸熱ピークの活性化エネルギーE17を求めた。また、2000サイクルの充放電を行った際の容量維持率C17を求めた。さらに劣化度の算出を行った。
表2に示すように実施例7では劣化度が1に近く、負極自体は電池としての活性を失っておらず、容量低下は電極の剥離などの影響によるものといえる。一方で、比較例1〜7では容量維持率は実施例7と近いものもあるが劣化度が1.10よりも大きくなっている。つまり、電極自体が電池としての活性を失っている。これらは活性化エネルギーEと関連がある。活性化エネルギーEはDSC測定時の黒鉛層間の剥離エネルギーに基づくので、この値が大きいほど黒鉛層間の剥離が起こりづらく、電池として活性が失われづらいといえる。比較例1ではMnが酸化し、黒鉛化時の触媒効果が少なくなくなったため、実施例7と活性化エネルギーが異なると考えられる。実施例7および比較例2から、Mnによる黒鉛化時の触媒効果により活性化エネルギーの変化が起こるといえ、より均一な黒鉛組織が形成されていると考えられる。実施例7、比較例3、5およびより原料コークスの選定も重要であることが言える。これは黒鉛組織が大きすぎると膨張収縮が大きく黒鉛層間の変化が起きやすいことも一因である。また、黒鉛組織が小さすぎると均一な組織になりづらく、アモルファスと黒鉛組織の混合状態になることで、黒鉛層間の変化が起きやすくなることも一因である。
本発明における電池の劣化分析方法により、電池の劣化が電極活物質由来か否かを定量的に判断することが可能になる。本発明における電池の劣化分析方法は、種々な分野で使用される電池の劣化分析において用いることができる。例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット型コンピュータ、ノート型コンピュータ、携帯電話、無線機、電子手帳、電子辞書、PDA(Personal Digital Assistant)、電子メータ、電子キー、電子タグ、電力貯蔵装置、電動工具、玩具、デジタルカメラ、デジタルビデオ、AV機器、掃除機などの電気・電子機器;電気自動車、ハイブリッド自動車、電動バイク、ハイブリッドバイク、電動自転車、電動アシスト自転車、鉄道機関、航空機、船舶などの交通機関;太陽光発電システム、風力発電システム、潮力発電システム、地熱発電システム、熱差発電システム、振動発電システムなどの発電システムなどで使用される電池について採用可能である。

Claims (3)

  1. リチウムイオン電池の劣化試験開始時における満充電時の電極活物質の活性化エネルギーE を示差走査熱量測定によって求める工程と、
    電池劣化試験後における満充電時の電極活物質の活性化エネルギーE を示差走査熱量測定によって求める工程とを含み、
    前記E に対する前記E の比E /E が1.10以上である場合に、前記リチウムイオン電池の劣化原因が電極活物質に由来する判断するリチウムイオン電池の劣化分析方法。
  2. 前記示差走査熱量測定は、異なる昇温速度で複数回行われ、昇温速度と、観測されるピークのうち電極活物質の熱構造的変化に基づく吸発熱ピーク温度との関係から前記活性化エネルギーE 、E を求める請求項1に記載のリチウムイオン電池の劣化分析方法。
  3. 前記昇温速度をa(℃/min)とし、前記吸発熱ピーク温度をT (K)として、縦軸にln(a/T )、横軸に1/T をプロットして得られる直線の傾きが前記活性化エネルギーE 、E である請求項2に記載のリチウムイオン電池の劣化分析方法。
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