JP6199708B2 - 密閉型圧縮機 - Google Patents
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Description
そこで本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、カシメにより軸受ハウジングをハウジングに固定する密閉型圧縮機において、過大なスラスト荷重が圧縮機構に生じても、カシメ部分におけるハウジングの損傷を防止することを目的とする。
本発明によると、過大なスラスト荷重が軸受ハウジングに作用しても、変形逃がし溝よりも内周側の部分を優先的に変形させることで、変形逃がし溝よりも外周側に位置するカシメにスラスト荷重が伝達されるのを防ぐ。したがって、カシメ部分において、軸受ハウジングの窪みの開口縁がハウジングを損傷させるのを抑制できる。
この密閉型圧縮機によると、スラスト荷重が作用して軸受ハウジングに変形が生じたとしても、自動調心機構が機能してこの変形を吸収するので、ハウジングの損傷を防ぐことができる。
本実施形態に係るスクロール圧縮機1は、図1に示すように、ハウジング3と、固定スクロール5と、旋回スクロール7と、主軸9と、自転阻止部11と、を備えており、ハウジング3に圧縮機構を構成する軸受ハウジング19をカシメにより固定する。そして、スクロール圧縮機1は、過大なスラスト荷重が負荷されても、カシメ部分に損傷が生じるのを防止する変形逃がし溝19fが軸受ハウジング19に設けられている。以下、スクロール圧縮機1の各構成要素を順に説明した後に、変形逃がし溝19fについて説明する。
吸入管は、外部から低圧の冷媒を低圧室LRに導くものであり、吐出管17は、高圧室HRから高圧の冷媒を外部へ導くものである。軸受ハウジング19は、固定スクロール5及び旋回スクロール7からなる圧縮機構を支持するとともに、主軸9を回転可能に支持するものである。
固定スクロール5は、旋回スクロール7を介して軸受ハウジング19に下方から支持さることにより、ハウジング3の定位置に配置されている。固定スクロール5の端板5aの背面中央(図1における上側の面中央)には圧縮された流体が吐出される吐出ポート21が設けられている。一方、旋回スクロール7は、軸受ハウジング19に、固定スクロール5に対して公転旋回運動できるように支持されている。旋回スクロール7の端板7aの背面中央(図1における下側の面中央)には、主軸9の偏心ピン9aが挿入されるボス23が設けられている。同じく、端板7aの背面には、旋回スクロール7の中心から所定半径の円周上に、自転阻止部11のリング27が配置される凹部25が形成されている。凹部25は、主軸9側から見て、略円状に形成されている。
軸受ハウジング19は、図3(a)に示すように、内周側に位置し、主軸9を回転可能に支持する軸受部19bと、外周側に位置し、ハウジング3に対向する固定部19cと、軸受部19bよりも外周よりに設けられ、旋回スクロール7を支持する支持部19dと、固定部19cと支持部19dの間を繋ぐ連結部19eと、を備えている。
軸受ハウジング19が支持部19dにおいて旋回スクロール7を鉛直方向に支持しているので、旋回スクロール7と固定スクロール5との間で冷媒が圧縮されると、支持部19dはスラスト荷重Fsを受ける。本実施形態は、複数個所にカシメ部30を設けることで、過大なスラスト荷重Fsを受けても軸受ハウジング19が受け止めることができるようにしている。加えて、本実施形態は、過大なスラスト荷重を受けても、軸受ハウジング19からハウジング3が局所的な荷重を受けて損傷しないように、軸受ハウジング19に変形逃がし溝19fが形成されている。変形逃がし溝19fについては、後述するカシメ部30とともにより詳しく説明する。
このように十分な強度を有するカシメ部30を円周方向へ等ピッチに複数の箇所に形成すれば、高圧冷媒対応により板厚を増したハウジング3に対しても、十分な強度の掛かり代を形成したカシメ部30により、軸受ハウジング19を確実に固定することができる。
なお、ハウジング3と軸受ハウジング19の間にカシメ部30を形成する際には、ハウジング3のカシメ部30に対応する部位を加熱(例えば700℃〜800℃)して塑性変形させることが、加工性を大幅に向上できるので好ましい。
また、ここまでは変形逃がし溝19fは平面視して、円弧状をなしているが、本発明はこれに限定されず、カシメ部30にスラスト荷重Fsが伝達されるのを防ぐという効果を奏する限り、平面視した形状は問われない。例えば、変形逃がし溝19fを直線状に形成してもよいし、外周側に向けて突となる山形形状に形成してもよい。
はじめに、図5(a)に示すように、軸受ハウジング19の窪み19aの開口縁をR加工することにより、ハウジング3に局所的な応力が生ずるのをより確実に防止することができる。R加工における曲率半径は、応力集中を低減するために、1mm以上にすることが好ましい。
また、R加工と同様の効果を面取り加工により得ることもできる。
テーパの傾斜の程度には好ましい範囲が存在し、窪み19aの開口縁の直径をφDとし、奥側の直径をφdとすると、次式に従うとテーパ形成による効果が顕著になる。
φd ≦ φ0.998×φD
次に、図6を参照して、本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態は、スラスト荷重がより大きな場合に対応する。なお、以下では第1実施形態との相違点を中心に説明し、第1実施形態と同じ部位には同じ符号を図6に示している。
自動調心軸受50は、図6(a)に示すように、内輪51と、外輪53と、内輪51と外輪53の間に設けられる転動体55と、図示を省略する保持器と、を備えている。自動調心軸受50は、外輪53の軌道面が球面で、曲率中心が軸受中心と一致しているため、内輪51、転動体55、保持器の軸が、軸受中心の周りを自由に回転できるという調心性を備えている。一般的に、許容調心角は約0.07〜0.12ラジアン(4〜7度)である。
自動調心軸受50をカシメ部30に設けるには、第1実施形態と同様にして、カシメ部30を形成した後に、カシメを解除する。そして、自動調心軸受50を圧入できるように軸受ハウジング19の開口径を拡大する加工を行ってから、自動調心軸受50をハウジング3と軸受ハウジング19の間に介在させて組み付ける。
例えば、以上では、密閉型圧縮機としてスクロール圧縮機の例を説明したが、圧縮機構としてロータリー圧縮機構とスクロール圧縮機構の両者を備える密閉型圧縮機のスクロール圧縮機構の部分について本発明を適用することもできる。
また、軸受ハウジング19の構造は、圧縮機構の動作によりに生じるスラスト荷重を支持する機能と、駆動源の駆動力を圧縮機構に伝える主軸を摺動可能に支持する機能とを備える限り、任意である。
3 ハウジング
5 固定スクロール
5a 端板
7 旋回スクロール
7a 端板
9 主軸
9a 偏心ピン
11 自転阻止部
13 ディスチャージカバー
17 吐出管
19 軸受ハウジング
19a 窪み
19b 軸受部
19c 固定部
19d 支持部
19e 連結部
19f 変形逃がし溝
21 吐出ポート
23 ボス
25 凹部
27 リング
30 カシメ部
40 ポンチ
50 自動調心軸受
51 内輪
53 外輪
55 玉
D 外径
d 内径
Fs スラスト荷重
HR 高圧室
LR 低圧室
M モーメント
Claims (4)
- 外部に対して密閉された外殻をなすハウジングと、
前記ハウジングの内部に収容される圧縮機構と、
前記圧縮機構の動作により生じるスラスト荷重を受ける支持部と、駆動源の駆動力を前記圧縮機構に伝える主軸を摺動可能に支持する軸受部と、を備える軸受ハウジングと、を備え、
前記軸受ハウジングに設けられる窪みに、塑性変形された前記ハウジングの一部が圧入されるカシメにより、前記軸受ハウジングを前記ハウジングに固定する密閉型圧縮機であって、
前記軸受ハウジングは、
前記カシメに対応する位置であって、圧縮機構に対向する側の面に、変形逃がし溝が設けられており、
前記軸受ハウジングがスラスト荷重(Fs)を受けると、前記スラスト荷重(Fs)を受ける部位が作用点(Pa)となり前記カシメが支点(Ps)となる曲げモーメントが生じるものとし、
前記変形逃がし溝は、
前記支点(Ps)と前記作用点(Pa)を結ぶ線分の範囲内であって、かつ当該線分を境にして前記スラスト荷重(Fs)が負荷される側に設けられている
ことを特徴とする密閉型圧縮機。 - 前記軸受ハウジングに設けられる前記窪みの開口縁がR加工されている、
請求項1に記載の密閉型圧縮機。 - 前記軸受ハウジングに設けられる前記窪みは、開口縁から奥に向けて先細りする、テーパ形状に形成されている、
請求項1又は請求項2に記載の密閉型圧縮機。 - 外部に対して密閉された外殻をなすハウジングと、
前記ハウジングの内部に収容される圧縮機構と、
前記圧縮機構の動作により生じるスラスト荷重を受ける支持部と、駆動源の駆動力を前記圧縮機構に伝える主軸を摺動可能に支持する軸受部と、を備える軸受ハウジングと、を備え、
前記軸受ハウジングに設けられる窪みに、塑性変形された前記ハウジングの一部が圧入されるカシメにより、前記軸受ハウジングを前記ハウジングに固定する密閉型圧縮機であって、
前記窪みと塑性変形された前記ハウジングの一部の間に、自動調心機構が介在し、
前記自動調心機構は、
内輪と外輪との間に転動体を配置した軸受からなり、
前記内輪の内周が前記塑性変形されたハウジングの一部と前記軸受の径方向に対向するように設けられ、前記外輪の外周が前記軸受ハウジングの前記窪みと前記軸受の径方向に対向するように設けられ、
前記外輪の軌道面が球面で、前記軌道面の曲率中心が前記軸受の中心と一致する
ことを特徴とする密閉型圧縮機。
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