JP4949811B2 - 密閉型圧縮機の圧縮機構固定構造 - Google Patents
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Description
従来の密閉型圧縮機、特に空気調和装置用の密閉型圧縮機においては、圧縮機構をハウジングに固定するため、コスト面や設計自由度等の利点を有する栓溶接構造が広く採用されている。たとえばスクロール圧縮機構の場合、圧縮機構の構成部品である上部軸受を栓溶接によりハウジングに固定する栓溶接構造が一般的である。
また、密閉型圧縮機の圧縮機構固定構造としては、ハウジングを非加熱の状態でかしめるものが開示されている。この場合、かしめ工具のベース直径は、軸受ハウジングに形成する凹溝の直径の1.3〜1.35倍に等しくすることで満足すべき結果が得られるとされる。(たとえば、特許文献2参照)
また、近年の空気調和装置においては、インバータ制御の電動機を内蔵した密閉型圧縮機が一般的である。このため、圧縮機構の運転が高速回転化し、圧縮機構を固定する栓溶接部分に対する負荷は増大する。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、高圧冷媒や高速回転にも耐えうる密閉型圧縮機の圧縮機構固定構造を提供することにある。
本発明に係る請求項1は、ハウジング内に収納した圧縮機構を固定するための密閉型圧縮機の圧縮機構固定構造であって、前記圧縮機構の側面適所に内径dとしたダイスを形成しておき、前記内径dに等しい外径D(D=d)のポンチを用いて前記ハウジングを外側から前記ダイスに向けて押圧することにより、前記ハウジングを塑性変形させたかしめ部を複数箇所に設け、前記かしめ部は、前記ハウジングを700℃から800℃の範囲に加熱して塑性変形させることを特徴とするものである。
このようなかしめ部による圧縮機構固定構造は、かしめにより塑性変形して凸部を形成する側のハウジングの素材が、特に、板厚を3.5mm以上とした圧延鋼板の厚板である場合に好適である。
また、上記の発明において、前記ポンチの先端角部にR加工を施すことが好ましく、これにより、良好な掛かり代を容易に形成することができる。この場合のR加工は、ポンチの押付深さと同等の値に設定することが好ましい。
スクロール圧縮機1は、図3に示すように、ハウジング(筐体)3と、固定スクロール5と、旋回スクロール7と、回転シャフト9と、自転阻止部11と、を備えている。
吸入管は、外部から流体を低圧室LRに導くものであり、吐出管17は、高圧室HRから流体を外部へ導くものである。フレーム19は、固定スクロール5及び旋回スクロール7を支持するものである。
固定スクロール5は、フレーム19に固定支持さることにより、ハウジング3に固定されている。固定スクロール5の端板5aの背面中央(図3における上側の面中央)には圧縮された流体の吐出ポート21が設けられている。一方、旋回スクロール7は、フレーム19に、固定スクロール5に対して公転旋回運動できるように支持されている。旋回スクロール7の端板7aの背面中央(図1における下側の面中央)には、回転シャフト9の偏心ピン9aが挿入されるボス23が設けられている。同じく、端板7aの背面には、旋回スクロール7の中心から所定半径の円周上に、自転阻止部11のリング41が配置される凹部25が形成されている。凹部25は、回転シャフト9側から見て、略円状に形成されている。
このかしめ部30は、たとえば図1に示すように、フレーム19に内径dとしたダイス19aを形成しておき、外径Dのポンチ40を用いてハウジング3の部材を外側からダイス19aに向けて打ち込むように押圧することにより、低圧室LRを形成する部分のハウジング3を凹部形状に塑性変形させたものである。
このように、圧縮機構を構成するフレーム19の側面適所に内径dとしたダイス19aを形成しておき、内径dと同一寸法に設定した外径Dのポンチ40を用いてハウジング3を外側からダイス19aに向けて押圧すると、ハウジング3が塑性変形したかしめ部30には十分な強度を有する掛かり代が形成される。すなわち、ポンチ40の凸部に押圧されたハウジング3が塑性変形してダイス19aの空間に入り込み、フレーム19側と係合することで掛かり代となるハウジング側素材の長さLを十分に確保できるため、十分なかしめ強度を得ることができる。
このような加熱を施してかしめ部30を形成すると、ハウジング3の素材である圧延鋼板よりなる厚板の加工性が大幅に向上するので、十分なかしめ強度を有する掛かり代を容易かつ確実に形成することができる。
また、800℃という上限値は、これ以上加熱するとハウジング3の内外両表面に酸化被膜が形成されるため好ましくない。特に、ハウジング3の内部は、かしめ部30を形成した後に酸化被膜を処理することは不可能である。
すなわち、ハウジング3の加熱温度は、素材が少し赤熱してかしめに必要な荷重が低下する温度の700℃から、素材に酸化被膜を発生させない温度の800℃までの範囲が好ましい。そして、より好ましいハウジング3の加熱温度は、組織変化を生じてかしめに必要な荷重が大幅に低下する750℃から、素材に酸化被膜を発生させない温度の800℃までとなる。
このような先端形状のポンチ40を使用することにより、ダイス19aの内周面になじむように密着し、十分なかしめ強度を有する良好な掛かり代を容易に形成することができる。
また、上述した実施形態の説明では、ハウジング3をかしめる圧縮機構側の部材をスクロール圧縮機構のフレーム19としたが、圧縮機構の構成等に応じて適宜変更することができる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、たとえば密閉型圧縮機がスクロール圧縮機に限定されないなど、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
3 ハウジング
5 固定スクロール
7 旋回スクロール
19 フレーム
19a ダイス
30 かしめ部
40 ポンチ
Claims (3)
- ハウジング内に収納した圧縮機構を固定するための密閉型圧縮機の圧縮機構固定構造であって、
前記圧縮機構の側面適所に内径dとしたダイスを形成しておき、前記内径dに等しい外径D(D=d)のポンチを用いて前記ハウジングを外側から前記ダイスに向けて押圧することにより、前記ハウジングを塑性変形させたかしめ部を複数箇所に設け、
前記かしめ部は、前記ハウジングを700℃から800℃の範囲に加熱して塑性変形させることを特徴とする密閉型圧縮機の圧縮機構固定構造。 - 前記かしめ部は、前記ハウジングを750℃から800℃の範囲に加熱して塑性変形させることを特徴とする請求項1に記載の密閉型圧縮機の圧縮機構固定構造。
- 前記ポンチの先端角部にR加工を施したことを特徴とする請求項1または2に記載の密閉型圧縮機の圧縮機構固定構造。
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