JP6004633B2 - スクロール型圧縮機 - Google Patents
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Description
このような旋回スクロールを、固定スクロールに対し、ラップ壁どうしを噛み合わせた状態で対向させ、旋回スクロールを公転旋回運動させる。そして、双方のラップ壁の間に形成される圧縮室を外周側から内周側に移動させつつその容積を減少させることで、圧縮室内の流体の圧縮を行う(例えば、特許文献1参照。)。
ここで、図6に示すように、旋回スクロール103に近い側の上部軸受108は、スクロール型圧縮機101のハウジング110にかしめ加工がなされることによって、ハウジング110に固定されている。
かしめ加工がなされたかしめ部111は、上部軸受108の外周面に断面円形の凹部112が形成され、この凹部112に対向した位置において、ハウジング110の外側からポンチ等によってハウジング110を内側に押し込んで塑性変形させることによって形成されている。このようにして形成されたかしめ部111は、略半球状の凹部であり、上部軸受108側の凹部112の周縁部112aに食い込むようになっている。
すると、かしめ部111が上部軸受108側の凹部112の周縁部112aに食い込むようになっている部分において、主軸104の軸線に沿って往復する方向に繰り返し応力が発生する。その応力が繰り返し作用したり、応力が過大となると、この部分にクラック等が発生することがある。
これにより、スクロール型圧縮機を作動させたときに、固定スクロールと旋回スクロールとの間の圧縮室で冷媒の圧縮行程が繰り返されると、圧縮の反力により、軸受に、旋回スクロールを介して主軸の軸線方向に沿った方向の荷重が作用する。このとき、かしめ部の近傍に、ハウジングの他の部分よりも主軸の軸線方向における剛性の低い低剛性部が形成されているので、荷重による応力は低剛性部に集中して作用し、これによってかしめ部に作用する応力を軽減することができる。
ここで、低剛性部は、かしめ部の近傍に形成された、ハウジングの他の部分よりも肉厚の薄い部分とすることができる。これ以外にも、低剛性部は、ハウジングの他の部分よりもヤング率の低い材料で形成することも可能である。
本発明のスクロール型圧縮機は、スクロール型圧縮機の外殻を形成するハウジングと、ハウジング内に回転自在に支持され、その一端に中心軸からオフセットした偏心軸部が一体に形成された主軸と、主軸の偏心軸部に回転自在に連結された旋回スクロールと、旋回スクロールと対向することで冷媒を圧縮する圧縮室を形成し、ハウジング側に固定された固定スクロールと、を備え、主軸を固定スクロール側で回転自在に支持する軸受は、その外周面に凹部が形成され、ハウジングに、軸受の凹部に押し込まれたかしめ部が形成されるとともに、かしめ部の近傍に、ハウジングの他の部分よりも主軸の軸線方向における剛性の低い低剛性部が形成され、低剛性部は、かしめ部の外周側に形成され、当該かしめ部と同心円状に形成された円環状の溝であることを特徴とする。
また、低剛性部は、主軸の軸線に沿った方向に沿って、かしめ部の一方の側と他方の側に形成されたドット状の凹部とすることもできる。
[第一の実施形態]
図1は、本実施の形態における圧縮機の構成を説明するための断面図である。
この図1に示すように、圧縮機10Aは、縦型のスクロール型で、ハウジング11A内に、主軸12と、主軸12とともに公転する旋回スクロール20と、上部軸受14に固定されることでハウジング11A側に固定された固定スクロール30と、を備える。
このような圧縮機10Aにおいては、ハウジング11Aの一端側に形成された冷媒導入ポートP1からハウジング11A内に冷媒が導入され、旋回スクロール20と固定スクロール30との間に形成された圧縮室50において冷媒が圧縮される。そして、圧縮された冷媒は、ハウジング11Aの他端側に形成された冷媒吐出ポートP2から吐出される。
一方、固定スクロール30は、旋回スクロール20に対向する端板31に、旋回スクロール20のラップ壁22に対向して噛み合う渦巻き状のラップ壁32が形成されている。
旋回スクロール20、固定スクロール30の外周側から圧縮室50に導入された冷媒は、固定スクロール30に対する旋回スクロール20の公転により、外周側から内周側に順次送られて圧縮される。圧縮室50で圧縮された冷媒は、固定スクロール30に形成された吐出孔37、吐出孔37に設けられたリード弁38を介し、ハウジング11Aの他端側に形成された冷媒吐出ポートP2から吐出される。
かしめ加工がなされたかしめ部60は、上部軸受14の外周面に断面円形の凹部61が形成され、この凹部61に対向した位置において、ハウジング11Aの外側からポンチ等によってハウジング11Aを内側に押し込んで塑性変形させることによって形成されている。このようにして形成されたかしめ部60は、略半球状の凹部であり、上部軸受14側の凹部61の周縁部61aに食い込むようになっている。
この低剛性部70Bの溝断面における曲率半径R1は、かしめ部60が食い込む上部軸受14側の凹部61の周縁部61aの断面の曲率半径R0よりも大きくなるよう形成されている。
この低剛性部70Aにより、ハウジング11Aが、かしめ部60の外周側で肉厚の小さい部分が形成されている。
その結果、スクロール型の圧縮機10Aの信頼性を高めることが可能となる。
次に、本発明に係るスクロール型圧縮機の第二の実施形態について説明する。以下の説明においては、上記第一の実施形態と異なる構成について中心に説明し、上記第一の実施形態と共通する構成については図中に同符号を付してその説明を省略する。
図3に示すように、本実施形態のスクロール型の圧縮機10Bにおいては、ハウジング11Bにおいて、かしめ部60の近傍に、低剛性部70Bが形成されている。この低剛性部70Bは、かしめ部60の周囲におけるハウジング11Bの剛性を下げるもので、かしめ部60に対し、主軸12の軸線に沿ってかしめ部60の両側(上下)にそれぞれ位置する円形状(ドット状)の凹部である。低剛性部70Bを形成する凹部は、その直径D1がかしめ部60の直径D0よりも小さくなるよう形成されている。
この低剛性部70Bの断面における曲率半径R2は、かしめ部60が食い込む上部軸受14側の凹部61の周縁部61aの断面の曲率半径R0よりも大きくなるよう形成されている。
この低剛性部70Bにより、ハウジング11Bが、かしめ部60の外周側で肉厚の小さい部分が形成されている。
その結果、スクロール型の圧縮機10Bの信頼性を高めることが可能となる。
次に、第一の実施形態で示した構成について、従来の構成との比較を行ったのでその結果を示す。
(比較例)
直径150mm、厚さ2.5mmの鋼材からなるハウジング内に、直径13mmの凹部が形成された上部軸受を配した。
そして、直径13mm、底面の断面の曲率半径R0が0.5mmのかしめ部を形成することで、上部軸受をハウジングに固定した。
(実施例1)
直径150mm、厚さ2.5mmの鋼材からなるハウジング内に、直径13mmの凹部61と、が形成された上部軸受を配した。ハウジングには、かしめ部を形成すべき位置を中心として、直径11mm、底面の断面の曲率半径R1が6mmの環状の溝を低剛性部として形成した。
そして、直径13mm、断面の曲率半径R0が0.5mmのかしめ部60を形成することで、上部軸受をハウジングに固定した。
その結果を図4、5に示す。
例えば、圧縮機10A,10Bの全体構成については、上記実施形態で示した構成に限らず、適宜に他の構成とすることが可能である。
また、上記第二の実施形態において、ドット状の低剛性部70Bは、かしめ部60の上下だけでなく、さらに他の部位に追加して設けても良い。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
11A、11B ハウジング
12 主軸
13 下部軸受
14 上部軸受
15 固定子
16 回転子
17 モータ
19 ボス
20 旋回スクロール
30 固定スクロール
50 圧縮室
60 かしめ部
61 凹部
61a 周縁部
70A、70B 低剛性部
Claims (3)
- スクロール型圧縮機の外殻を形成するハウジングと、
前記ハウジング内に回転自在に支持され、その一端に中心軸からオフセットした偏心軸部が一体に形成された主軸と、
前記主軸の前記偏心軸部に回転自在に連結された旋回スクロールと、
前記旋回スクロールと対向することで冷媒を圧縮する圧縮室を形成し、前記ハウジング側に固定された固定スクロールと、を備え、
前記主軸を前記固定スクロール側で回転自在に支持する軸受は、その外周面に凹部が形成され、
前記ハウジングに、前記軸受の凹部に押し込まれたかしめ部が形成されるとともに、
前記かしめ部の近傍に、前記ハウジングの他の部分よりも前記主軸の軸線方向における剛性の低い低剛性部が形成され、
前記低剛性部は、その断面の曲率半径が、前記かしめ部に食い込む前記凹部の外周縁部の断面の曲率半径よりも大きくなるよう形成されていることを特徴とするスクロール型圧縮機。 - スクロール型圧縮機の外殻を形成するハウジングと、
前記ハウジング内に回転自在に支持され、その一端に中心軸からオフセットした偏心軸部が一体に形成された主軸と、
前記主軸の前記偏心軸部に回転自在に連結された旋回スクロールと、
前記旋回スクロールと対向することで冷媒を圧縮する圧縮室を形成し、前記ハウジング側に固定された固定スクロールと、を備え、
前記主軸を前記固定スクロール側で回転自在に支持する軸受は、その外周面に凹部が形成され、
前記ハウジングに、前記軸受の凹部に押し込まれたかしめ部が形成されるとともに、
前記かしめ部の近傍に、前記ハウジングの他の部分よりも前記主軸の軸線方向における剛性の低い低剛性部が形成され、
前記低剛性部は、前記かしめ部の外周側に形成され、当該かしめ部と同心円状に形成された円環状の溝であることを特徴とするスクロール型圧縮機。 - 前記低剛性部は、前記主軸の軸線に沿った方向に沿って、前記かしめ部の一方の側と他方の側に形成されたドット状の凹部であることを特徴とする請求項1または2に記載のスクロール型圧縮機。
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