JP6199633B2 - 熱可塑性樹脂発泡粒子融着成形体の製造方法 - Google Patents
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Description
[1] 熱可塑性樹脂発泡粒子を金型内に充填する充填工程、該金型内に水蒸気を導入して該発泡粒子を相互に融着させる加熱工程、該金型内の発泡粒子融着成形体を冷却する冷却工程、次いで該金型内から発泡粒子融着成形体を取り出す取出工程からなる、直径200mmの球を切り出し得る大きさの発泡粒子融着成形体の製造方法であって、
該熱可塑性樹脂発泡粒子が、メタクリル酸エステル系樹脂発泡粒子またはスチレン系樹脂発泡粒子から選択され、
該発泡粒子の平均粒子径が4.0mm以下であり、
該金型の少なくとも一の対向する面がウェッジワイヤースクリーンにて形成され、
該ウェッジワイヤースクリーンの開口面積率が8〜20%であり、
該冷却工程が、金型内を負圧状態にする真空排気冷却操作、次いで負圧状態の金型内圧力を、徐圧速度0.003〜0.009MPa/分で常圧に戻す操作を含むことを特徴とする熱可塑性樹脂発泡粒子融着成形体の製造方法。
[2] 前記加熱工程における金型内の発泡最高面圧が、0.08MPa(G)以上であることを特徴とする前記1に記載の熱可塑性樹脂発泡粒子融着成形体の製造方法。
[3] 前記熱可塑性樹脂発泡粒子の平均粒子径が0.5〜3.0mmであることを特徴とする前記1又は2に記載の熱可塑性樹脂発泡粒子融着成形体の製造方法。
[4] 前記熱可塑性樹脂発泡粒子が、メタクリル酸エステル成分が60〜100質量%であるメタクリル酸エステル系樹脂発泡粒子であることを特徴とする前記1〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂発泡粒子融着成形体の製造方法。
[5] 前記発泡粒子の表面に網目模様状の窪みが形成されていることを特徴とする前記1〜4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂発泡粒子融着成形体の製造方法。
本発明の発泡粒子成形体の製造方法においては、熱可塑性樹脂発泡粒子(以下、発泡粒子ともいう。)を金型内の成形空間に充填する充填工程、該金型内を水蒸気にて加熱して該発泡粒子を相互に融着させる加熱工程、該金型内を冷却して発泡粒子成形体を冷却する冷却工程、次いで該金型を開いて金型内から発泡粒子成形体を取り出す取出工程を順次経ることにより、発泡粒子成形体が製造される。
具体的には、水蒸気の供給を止め前記加熱工程が終了したら、水蒸気室5内に冷却水を導入し、成形空間4内の発泡粒子成形体を冷却する。その際、金型の冷却水や水蒸気の凝縮水は排水・排気バルブ9を通して排水される。次に減圧ポンプを作動させることにより排水・排気バルブ9を通して水蒸気室5内、さらに成形空間4内を減圧状態にする。この操作中は、水蒸気供給バルブ8は全て閉じられている。当該操作により金型内の圧力が下がると、発泡粒子成形体内の水分が蒸発し、その気化熱により発泡粒子成形体の内部まで効率よく冷却できるので、発泡粒子成形体全体を充分に冷却することができる。そのため得られる発泡粒子成形体は、寸法安定性において優れたものとなり、発泡粒子成形体内部の空隙発生も抑制できる。
また、真空排気冷却操作における減圧操作は、金型内が−0.05MPa(G)以下、更に−0.07MPa(G)以下、特に−0.08MPa(G)以下に達するまで行うことが好ましい。なお、前記減圧操作の金型内圧力の下限は、概ね−0.09MPa(G)である。一方、真空排気冷却操作を行い、金型内を前記負圧圧力の状態に保つ時間としては、前記成形品面圧が−0.01〜0.01MPa(G)に到達するまでの時間が好ましい。
なお、図2(a)はウェッジワイヤースクリーンの正面図、同(b)は、その側面図である。図3(a)(b)(c)は、ウェッジワイヤースクリーンを構成する各種のウェッジワイヤーの断面図である。
なお、図4は、窪みが多数形成された網目模様の表面を有する発泡粒子の表面の電子顕微鏡写真(拡大倍率200倍)である。
なお、窪みの深さは原子間力顕微鏡などにより求めることができ、窪みの平均深さは、次のようにして求める。
まず、1粒の発泡粒子おいて無作為に選んだ10個の窪みの各々について窪みの最大深さを測定し平均値を求める。次に、発泡粒子10個について同様の操作を行なってそれぞれの窪みの最大深さの平均値を求め、求められた10個の発泡粒子の窪みの最大深さの平均値を算術平均して窪みの平均深さとする。
撹拌装置の付いた密閉容器内にメタクリル酸エステルモノマーやスチレンモノマーなどを、重合開始剤と共に、適当な懸濁剤の存在下で水性媒体中に分散させた後、重合反応を開始し、重合途中あるいは更に重合完了後に発泡剤を添加して、発泡性樹脂粒子を得る方法において、窪み形成剤としての可塑剤を前記モノマーと重合開始剤と共に懸濁剤に添加することにより窪みが多数形成された発泡粒子を製造可能な樹脂粒子を得ることができる。この場合、発泡剤の添加、含浸のタイミングが重要である。即ち、表面に特定の大きさの窪みが多数形成された発泡粒子は、流動パラフィン、高級脂肪酸エステル、及びオレフィンの群から選ばれた1種又は2種以上の混合物(以下、窪み形成剤という。)を添加することと、その後、発泡剤を添加、含浸させることとの組合せにより得られる発泡性樹脂粒子を加熱発泡させることにより得ることができる。
可動型を前進させて固定型の開放面を閉じて成形空間を形成し、予備加熱を行った後、成形空間内に、表1に示す基材樹脂、平均粒子径、見掛け密度の網目模様状の窪みが表面に形成されている発泡粒子(窪みの総面積割合;100%、窪みの平均径;17μm、発泡粒子表面の窪みの数;0.005個/μm2)を充填し(充填工程)、次に成形空間内が表1に示す金型内圧力(最大値)、型内最高面圧となるように水蒸気を成形空間内に導入し(加熱工程)、次に金型背面側から水冷し、次いで表1に示す時間、表1に示す真空度まで減圧しながら成形空間内を真空排気冷却し、次に表1に示す減圧徐圧時間をかけて成形空間内の圧力を大気圧に戻してから(冷却工程)、可動型を後退させ金型を開いて発泡粒子成形体を取り出した。
なお、発泡粒子の平均粒子径、見掛け密度、網目模様状の窪みは前記の方法で測定した。
可動型を前進させて固定型の開放面を閉じて成形空間を形成し、予備加熱を行った後、成形空間内に、表2に示す基材樹脂、平均粒子径、見掛け密度の発泡粒子であって、網目模様状の窪みが形成されていないものを充填し(充填工程)、次に成形空間内が表2に示す金型内圧力(最大値)、型内最高面圧となるように水蒸気を成形空間内に導入し(加熱工程)、次に金型背面側から水冷し、次いで表2に示す時間、表2に示す真空度まで減圧しながら成形空間内を真空排気冷却し、次に表2に示す減圧徐圧時間をかけて成形空間内の圧力を大気圧に戻してから(冷却工程)、可動型を後退させ金型を開いて発泡粒子成形体を取り出した。
可動型を前進させて固定型の開放面を閉じて成形空間を形成し、予備加熱を行った後、成形空間内に、表3に示す基材樹脂、平均粒子径、見掛け密度の発泡粒子であって、網目模様状の窪みが形成されていないものを充填し(充填工程)、次に成形空間内が表3に示す金型内圧力(最大値)、型内最高面圧となるように水蒸気を成形空間内に導入し(加熱工程)、次に金型背面側から水冷し、次いで表3に示す時間、表3に示す真空度まで減圧しながら成形空間内を真空排気冷却し、次に表3に示す減圧徐圧時間をかけて成形空間内の圧力を大気圧に戻してから(冷却工程)、可動型を後退させ金型を開いて発泡粒子成形体を取り出した。
[型内最高面圧]
型内成形工程における成形品面圧の最高値である。
水冷後から、成形品面圧が0MPa(G)になるまでの減圧状態を保持した時間である。
真空排気冷却後から、金型内圧力が−0.015MPa(G)になるまでの徐々に減圧状態を開放する時間である。
予備加熱工程開始から発泡粒子成形体取出工程終了までの時間である。
得られた発泡粒子成形体をニクロム線により、厚さ方向に55mmずつ9枚の板にスライスした。表面側から数えて5枚目の板を折り曲げて中央部で割り、その破断面の発泡粒子について目視により観察し、発泡粒子自体が内部で破断(材料破壊)している発泡粒子数と界面で剥離した発泡粒子数をそれぞれ計測し、内部で破断した発泡粒子数と界面で剥離した発泡粒子数の合計数に対する内部で破断した発泡粒子数の個数百分率を内部融着率(%)とした。
得られた発泡粒子成形体をニクロム線により、500mmの厚さ方向の中心部で10mmの板をスライスした。スライス面を観察し、発泡粒子が存在しない空隙を内部間隙と定義し、その多少を、目視にて観察した。
なお、評価基準は以下のとおりである。
◎:内部間隙が非常に少ない
○:内部間隙がある程度ある
△:内部間隙が多い
得られた発泡粒子成形体表面のへこみ量を定規にて測定した。
2 固定型
3 可動型
4 成形空間
5 水蒸気室
6 スリット
7 金型(ウェッジワイヤースクリーン金型)
8 水蒸気供給バルブ
9 排水・排気バルブ
10 発泡粒子充填機
21 ウェッジワイヤースクリーン
22 ウェッジワイヤー
23 サポートロッド
Claims (5)
- 熱可塑性樹脂発泡粒子を金型内に充填する充填工程、該金型内に水蒸気を導入して該発泡粒子を相互に融着させる加熱工程、該金型内の発泡粒子融着成形体を冷却する冷却工程、次いで該金型内から発泡粒子融着成形体を取り出す取出工程からなる、直径200mmの球を切り出し得る大きさの発泡粒子融着成形体の製造方法であって、
該熱可塑性樹脂発泡粒子が、メタクリル酸エステル系樹脂発泡粒子またはスチレン系樹脂発泡粒子から選択され、
該発泡粒子の平均粒子径が4.0mm以下であり、
該金型の少なくとも一の対向する面がウェッジワイヤースクリーンにて形成され、
該ウェッジワイヤースクリーンの開口面積率が8〜20%であり、
該冷却工程が、金型内を負圧状態にする真空排気冷却操作、次いで負圧状態の金型内圧力を、徐圧速度0.003〜0.009MPa/分で常圧に戻す操作を含むことを特徴とする熱可塑性樹脂発泡粒子融着成形体の製造方法。
- 前記加熱工程における金型内の発泡最高面圧が、0.08MPa(G)以上であることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂発泡粒子融着成形体の製造方法。
- 前記熱可塑性樹脂発泡粒子の平均粒子径が0.5〜3.0mmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂発泡粒子融着成形体の製造方法。
- 前記熱可塑性樹脂発泡粒子が、メタクリル酸エステル成分が60〜100質量%であるメタクリル酸エステル系樹脂発泡粒子であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂発泡粒子融着成形体の製造方法。
- 前記発泡粒子の表面に網目模様状の窪みが形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂発泡粒子融着成形体の製造方法。
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