JP3955260B2 - 発泡成形型 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、発泡樹脂成形ブロックを製造するための成形型に関する。
【0002】
【従来の技術】
予備発泡樹脂粒子を発泡成形するために使用する一対の雄型と雌型とからる成形型であって、両型を型締めした際に形成されるキャビティ空間を構成する成形面に多数の蒸気流通用開口が形成されている成形型は知られている。発泡性樹脂粒子を予備発泡させた予備発泡樹脂粒子をキャビティ空間内に充填し、続いて蒸気を導入することにより予備発泡樹脂粒子を発泡成形させ、発泡樹脂製の成形ブロックを製造する。成形ブロックは6つの面に囲まれた直方体形状であることが多く、そのための成形型として、最大面積を有する正面成形面と、該正面成形面に対向する背面成形面と、4つの側面を形成する4枚の側面成形面の6枚の成形面で形成される長方形状のキャビティ空間を持つものが用いられる。予備発泡樹脂粒子の種類や得ようとする発泡樹脂成型品に期待する諸物性(例えば、発泡倍数など)に応じて、各成形面に形成される蒸気流通用開口の合計面積(全面積に対する開口率)は異なっており、成形条件に応じて、開口率が異なった多くの種類の成形型が用意される。
【0003】
また、直方体形状をなす発泡樹脂成形ブロックは多くの分野で多くの用途に用いられてきているが、近年にいたり、肉厚の成形ブロック(例えば、厚さが400mm〜600mm、またはそれ以上になる傾向がある)を使用した用途、例えば土木用や建材用への断熱板としてのカット品などへの利用が多くなりつつあり、その需要が大きくなってきている。しかし、従来知られた成形型を用いて厚みの厚い(例えば、100mm〜1000mm程度)直方体形状をなす発泡樹脂成形ブロックを成形しようとすると、肉厚が大きくなればなるほど正面領域と内部領域とで蒸気の流通が不均一になり易く、正面側と内部とで発泡倍数が異なったり、中心部の融着率が低くなるといった問題が発生することがある。
【0004】
そのような不都合を解消することを目的として、特許文献1(特開平8−20035号公報)には、発泡スチロールブロック成形体を成形するための成形金型において、成形品室(金型キャビティ空間)を構成する成形面の蒸気通流孔の開口率が、成形面の中央部分で密とし、周縁部分で粗としたものが記載されている。また、特許文献2(特開2002−264163号公報)には、発泡性樹脂粒子を予備発泡させた発泡粒子を金型内に充填し、金型内に蒸気を吹き出すことによって発泡粒子を融着させて消失模型用発泡樹脂ブロックを製造する金型において、金型の蒸気吹き出し孔の最大開口幅が0.8mm以下であり、正面と背面の対向二面の蒸気吹き出し孔の開口率が、当該面の全面積の4〜42%としたものが記載されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−20035号公報
【特許文献2】
特開2002−264163号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前記したように、これまでの発泡樹脂成形ブロックの製造においては、成形条件ごとに蒸気流通用開口の開口率が異なる多数の成形型を用意するようにしており、成形型の製造に多くのコストを要している。同じ外形形状の成形体であっても、発泡倍数を変えた成形体を製造しようとすると、その都度最適な成形型を設計し、製造することが必要となる。また、上記の特許文献に記載のように、肉厚の発泡樹脂成形ブロックを製造する際に、品質の一定な成形ブロックを得ようとすると、表裏面の成形面と4つの側面成形面での開口率を異ならせたり、一つの成形面内での開口率分布に差を持たせることが必要となるが、この場合にも、種々の開口率を備えた多数の成形型を用意することが必要となる。いずれの場合も、そのたびごとに、成形型を交換する作業が必要であり、それぞれの成形型を保管する必要も生じる。
【0007】
本発明は上記のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、同じ外形形状の成形ブロックであれば、発泡倍数が異なるなど異なった物性を持つ発泡樹脂成形ブロックを、同じ成形型を用いて容易に製造することのできる改良された発泡成形型を提供することにある。また、他の目的は、既に使用している成形型にわずかな改良を加えるのみで、異なった物性を持つ発泡樹脂成形ブロック用としても共用することのできる成形型を提供することにある。このような共用化により、発泡樹脂成形ブロックのトータルとしての製造コストを低減することができる。
【0008】
さらに他の目的は、6つの面に囲まれた直方体形状を有する発泡樹脂成形ブロックにおいて、成形面に接する正面近傍領域と中央領域での発泡倍数のバラツキを小さなものとし、それにより、そこから得られるカット材はすべて所定の範囲内の熱伝導率を備えたものとすることのできる発泡樹脂成形ブロックを、既に使用している成形型にわずかな改良を加えるのみで製造することを可能とする成形型を得ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明による発泡成形型は、予備発泡樹脂粒子を発泡成形するために使用する一対の雄型と雌型とからる成形型であり、両型を型締めした際に形成されるキャビティ空間を構成する成形面には多数の蒸気流通用開口が形成されている成形型であって、前記の成形面の少なくとも1面には、当該成形面に形成された蒸気流通用開口の開口率を変えることのできる開口率調整補助板が着脱可能とされていることを特徴とする。成形型の成形面に形成される蒸気流通用開口はすべてが均一な分布に配置されていてもよく、成形面に応じて、あるいは同じ成形面内において、異なった開口率となっていてもよい。いずれの場合も、開口率調整補助板を取り付けることにより、当該成形面の蒸気流通用開口の開口率は減少する方向に変化する。
【0010】
開口率調整補助板は、それを取り付けようとする成形面に形成されている蒸気流通用開口を部分的に閉鎖することにより、その開口率を減少する方向に変化させることのできるものであればよく、好ましくは厚さが0.5〜5mmであり、材料は熱伝導率がよくかつ耐熱性のある例えば材質がアルミニウム合金、マグネシウム合金、亜鉛合金などのものが用いられる。開口率調整補助板は、必要なときに、ビス止めなどの適宜の固定手段で成形面のキャビティ空間側に固定される。開口率調整補助板には、多数の開口が均一な分布であるいは異なった分布で形成されるが、開口の大きさ、数、分布などは、取り付けようとする成形面に形成されている蒸気流通用開口の大きさ、数、分布などとの関係で、最終的に所望の開口率と開口分布が得られるように、実機に応じて設計される。
【0011】
本発明による成形型では、実際の成型時に、使用する予備発泡樹脂粒子の種類や得ようとする成形ブロックに期待される物性などに応じて、必要な場合に、開口率調整補助板を用いて所用の成形面の蒸気流通用開口を部分的に閉鎖する。それにより、当該成形面での開口率は所用の値に変化する。この作業を必要とされる各成形面に対して行うことにより、同じ成形型を用いて、異なった所要の物性を持つ成形ブロックを容易に製造することが可能となる。この作業は、成形型自体を交換するのではなく、単に必要な成形面に開口率調整補助板を着脱することのみで可能であり、トータルとしての成形型の製造コストが低減する。
【0012】
成形型は、開口率調整補助板を着脱できるようにした新たなものとして製造してもよいが、既存の成形面に開口率調整補助板を着脱できるような改良を加えることにより、既存の成形型をそのまま使用することもできる。
【0013】
本発明による発泡成形型のより具体的な態様は、キャビティ空間が、最大面積を有する正面成形面と該正面成形面に対向する背面成形面と4つの側面を形成する4枚の側面成形面の6枚の成形面で形成される直方体形状である成形型であり、少なくとも前記正面成形面および背面成形面の一方または双方に開口率調整補助板を取り付けできるようになっていることを特徴とする。そこにおいて、好ましくは、開口率調整補助板を取り付けた状態で、正面成形面および/または背面成形面の一方または双方は、対角線の交点を含みかつその面の10〜50%の面積を有する領域の開口率が、それ以外の領域の開口率よりも高くなるように、開口率調整補助板が調整される。このような開口率分布とすることにより、大寸法のブロックであっても、実施例に示すように、品質の安定したものが得られる。
【0014】
なお、本発明による成形型で製造する発泡樹脂成形ブロック用の樹脂としてはスチレン系樹脂が望ましいが、ポリプロピレンのようなオレフィン系樹脂や、オレフィンとスチレン系樹脂の混合または共重合体のような樹脂であってもよい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による発泡成形型を実施の形態により説明する。図1は、従来知られたビーズ型内発泡成形を行う成形機1の概略を示す縦断面図であり、移動金型10と、該移動金型10と共にキャビティ空間を形成する固定金型20とからなる。この例において、移動金型10は最大面積を有する正面成形面11を有し、固定金型20は正面成形面11に対向する背面成形面21とその周囲の4つの側面成形面22〜25とを有する。各成形面には多数の蒸気流通用開口が形成されている。また、各成形面は適宜の支持フレーム31に固定されると共に、その裏面には、図示ないが、樹脂粒子供給路や加熱蒸気供給室が形成されており、発泡成形時には、樹脂粒子供給路からキャビティ空間内に予備発泡樹脂粒子が供給され、また、加熱蒸気供給室から成形面に形成された蒸気流通用開口を通してキャビティ空間内に加熱蒸気が供給される。このような成形機およびそれを用いて樹脂ブロックを発泡成形する方法は、従来よく知られた方法が使用できる。
【0016】
本発明による発泡成形型1では、必要な場合に必要な成形面に対して開口率調整補助板50が着脱自在に装着される。図2は、例えば移動金型10の成形面11に開口率調整補助板50を固定する状態を拡大して示しており、頭の平らな留めビス51を適宜数用い、ビス表面が突出しないようにして、成形面11のキャビティ空間側に開口率調整補助板50を固定している。開口率調整補助板50を必要としない場合には、ビス51を緩めることにより、容易に取り外すことができる。
【0017】
この例において、図3a、図4aに例示するように、成形面30、30Aには多数のスリットからなる蒸気流通用開口35が均一な割合でほぼ全面に形成されており、そのキャビティ空間側に、厚みが2mm程度であり熱伝導性のよいアルミ合金などで作られた開口率調整補助板50、50Aが着脱自在に取り付けられる。
【0018】
なお、開口率調整補助板50を取り付け可能とする成形面は6枚の成形面のすべてであってもよく、一枚のみ、または2枚以上の任意の成形面であってもよいが、少なくも移動金型10における表面成形面11を形成する成形面と、固定金型20における背面成形面21を形成する成形面のいずれか一方または双方は、開口率調整補助板50を取り付け可能とすることは望ましい。
【0019】
図3は、開口率調整補助板50の一例(図3b)とそれを固定する側の成形面30(図3a)を示している。この例において、成形面30には、複数本のスリットが一つの群をなす蒸気流通用開口35が、わずかに間隔をおいてかつ均一な分布をなすようにして多数形成されており、全体の開口率は5.6%とされている。一方、開口率調整補助板50の中心部には、成形面30に形成された蒸気流通用開口35の開口率が100%となる(すなわち、閉鎖することのない)大きさの第1の開口36が、また、その周囲には、成形面30に形成された蒸気流通用開口35の開口率が60%となる(すなわち、一部を閉鎖する)大きさの第2の開口37がそれぞれ必要個数形成されている。
【0020】
この形態の開口率調整補助板50を成形面30に重ねて固定することにより、成形面30に形成された蒸気流通用開口35の一部は部分的に閉鎖されることとなり、取り付け後の実質的な開口率は当初の開口率(5.6%)よりも小さいものとなる。どの程度開口率を小さくするかは、開口率調整補助板50に形成する開口36、37の数や大きさを適宜設定することにより、任意に調整することができる。また、図示の開口率調整補助板50のように、中央部と周囲部とで開口の大きさを変えることにより、中央部での実質開口率と周囲部での実質開口率に変化を持たせることもできる。
【0021】
それにより、同じ形状の成形ブロックを発泡倍数の異なるものとして複数種製造するような場合に、従来のようにそれぞれに対応した開口率を備えた成形型を用意することは不要であり、基本となる1つの成形型を用い、得ようとする成形ブロックの発泡条件に合った開口率調整補助板50のみを複数種用意すれば、成形が可能となる。成形型自体の交換作業やそれぞれの成形型を保管する必要もない。また、従来の成形面をこのような開口率調整補助板50が着脱可能となるように変更することも、単にビスとナットによる固定手段を付加するだけの作業であり、容易である。
【0022】
【実施例】
以下、本発明による発泡成形型を使用して成形ブロックを製造した実際の例を説明する。また、得られた成形ブロックの大きさは900mm×1800mm×500mmである。成形ブロックについて、成形品中心部融着率(%)、発泡倍数差(倍)、熱伝導率差(w/mk)を、それぞれ以下の方法により測定した。それらの結果を表1に示す。
【0023】
[成形品中心部融着率(%)]
▲1▼図5に示すように、成形ブロック中、短辺の長さ辺Lをブロック厚み方向として、この厚み方向に等間隔で11等分にカットする。
▲2▼ブロック正面部より6番目のカット品をさらに長手方向の中心部に深さ1mmの切り込みを直線状に入れ、そこから2分割する。
▲3▼その2分割した破断面の中心部において、カット品厚みを一辺とする50cm2の面積内で発泡粒子内部から破断している粒子数(a)と粒子間の界面で破断している粒子数(b)とを数え、式[(a)/((a)+(b))]×100に代入して得られる数値を成形品中心部融着率(%)とした。
【0024】
[発泡倍数差(倍)]
▲1▼成形後、成形ブロックを50℃で24時間乾燥する。
▲2▼図6に示すように、乾燥後の成形ブロックの次箇所から体積1000cm3の立方体を切り出す。
a.少なくとも表皮を2面に含むブロックコーナー部s1(計8個)
b.ブロック重心を含む、表皮を持たない部分s2(1個)
▲3▼切り出した9個の立方体を再度50℃で72時間乾燥する。
▲4▼乾燥後、各立方体の発泡倍数を測定する。
▲5▼これらの発泡倍数のうち最高のものと最低のものとの差を発泡倍数差とした。
【0025】
[熱伝導率差(w/mk)]
▲1▼成形後、成形ブロックを50℃で24時間乾燥する。
▲2▼図5に示すように、成形ブロック中、短辺の長さ辺Lをブロック厚み方向として、この厚み方向に等間隔で11等分にカットする。
▲3▼カット品をさらに50℃で72時間乾燥する。
▲4▼各カット品からさらに、例えば200×200×25mmのようにして測定用サンプルを採取し、JISA1412−2(熱絶縁体の熱抵抗及び熱伝導率の測定方法−第2部:熱流計法)に準拠して熱伝導率を測定した。装置は英弘精機(株)製、AUTO−A HC−072を用いた。測定温度は20℃とした。
▲5▼これらの熱伝導率のうち最高のものと最低のものとの差を熱伝導率差として評価し、得られた測定値の小数点第4位を四捨五入して小数点第3位まで求めた。
【0026】
[実施例1]
平均粒子径1.00mm、重量平均分子量26万の発泡性ポリスチレン樹脂粒子を、発泡性ポリスチレン用発泡機にて75倍の予備発泡粒子とし、室温にて20時間熟成、乾燥させた。
【0027】
成形金型として、成形の際に移動面となる「正面成形面11」と固定面となる「背面成形面21」の2面、および固定面となる4つの側面成形面(図1での「側面成形面22〜25」に相当する)とが共に、スリット(蒸気流通用開口)の開口率(スリット総面積/成形面面積)が5.6%のものを用いた(図3aに正面成形面30として例示される(背面成形面も同じ))。そして、一方加熱蒸気を投入する正面成形面と背面成形面の2面の成形面30上に、図3bに例示するように、横方向の分割比2:5:2、縦方向の分割比1:4:1にて仕切られ、かつ、区切られた中心部(A)の既存金型のスリット上の開口率が100%、外側(B)の既存金型のスリット上の開口率が60%になるよう穴(36、37)をあけたアルミ製(肉厚2mm)の開口率調整補助板50を、ビスにて既存金型(成形面30)上に直に取り付けた。この結果、取り付け後のスリットの開口率は区切られた中心部(A)が5.6%、それ以外すなわち外側(B)が3.4%になり、平均開口率は4.2%となった。
【0028】
上記成形金型内に、ブロアー充填にて上記75倍のポリスチレン予備発泡粒子を充填した。ついで、0.045Mpaの蒸気圧力で金型加熱を5秒行い、次いで正面成形面および背面成形面から蒸気を投入し、4つの側面成形面から蒸気を排出させる一方加熱を20秒行い、全成形面から加熱する全加熱を8秒行い、4つの側面からのみ蒸気を投入する追加熱を8秒行って、予備発泡粒子を型内で発泡成形した。ついで、成形金型を水冷した後に、真空放冷を行ってブロック成形体を充分冷却させた後、型内からブロック成形体を取り出した。表1に示すように、このブロックの発泡倍数差4倍であり、成形品中心部融着率は60%であり、熱伝導率差は0.001w/mkであった。また、得られたスライスカット品は発泡粒子も均一に融着している良好なものであった。
【0029】
[実施例2]
成形金型として、正面成形面のみに開口率調整補助板50を取り付けた以外は、実施例1と同様な発泡性ポリスチレン樹脂粒子、成形方法でブロック成形体を得た。表1に示すように、このブロックの発泡倍数差6倍であり、成形品中心部融着率は60%であり、熱伝導率差は0.001w/mkであった。また、得られたスライスカット品は発泡粒子も均一に融着している良好なものであった。
【0030】
[実施例3]
成形金型として、正面成形面と背面成形面の2面の成形面30Aの開口率が10%であり(図4aに示す)、4つの側面成形面の開口率が5.6%のものを用いた。そして、正面成形面と背面成形面の2面の成形面30Aの上に、図4bに示すように、横方向の分割比2:5:2、縦方向の分割比1:4:1にて仕切られ、かつ、区切られた中心部(A)の既存金型のスリット上の開口率が56%、それ以外すなわち外側(B)の既存金型のスリット上の開口率が34%になるよう穴(36A,37A)をあけたアルミ製(肉厚2mm)の開口率調整補助板50Aを、ビスにて既存金型上に直に取り付けた。この場合も、取り付け後のスリットの開口率は区切られた中心部(A)が5.6%、それ以外すなわち外側(B)が3.4%になり、平均開口率は4.2%となった。この成形型を用いて、実施例1と同様な発泡性ポリスチレン樹脂粒子、成形方法でブロック成形体を得た。表1に示すように、このブロックの発泡倍数差4倍であり、成形品中心部融着率は70%であり、熱伝導率差は0.001w/mkであった。また、得られたスライスカット品は発泡粒子も均一に融着している良好なものであった。
【0031】
【表1】
【0032】
[評価]
実施例1〜3に示されるように、基本的に同じ成形型を用いながら、必要とする成形面(成形面)に開口率調整補助板を取り付けることにより、異なった物性を持つ成形ブロックを製造できることができる。また、実施例1〜3からわかるように、開口率調整補助板を取り付けることにより、最大面積を有する一対の成形面の一方もしくは両方における、対角線の交点を含みかつその面の10〜50%の面積を有する領域の開口率が、その成形面におけるそれ以外の領域の開口率よりも高くなるようにすることにより、成形品中心融着率もよく、発泡倍数差も小さく、熱伝導率差も小さい成形品が得られることもわかる。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、開口率調整補助板を使用することにより、発泡倍数が異なるなど異なった物性を持つ発泡樹脂成形ブロックを、基本的に同じ成形型を用いて容易に製造することが可能となる。この成形型の共用化により、発泡樹脂成形ブロックのトータルとしての製造コストを低減することができる。
【0034】
さらに、開口率分布を設けた開口率調整補助板を使用することにより、得られた発泡樹脂成形ブロックの発泡倍数のバラツキを小さいものとし、そこから得られるカット材はすべて所定の範囲内の熱伝導率を備えたものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】発泡成形機の概略を示す縦断面図
【図2】移動金型の成形面に開口率調整補助板を固定する状態を示す図。
【図3】成形面と開口率調整補助板の一例を示す図。
【図4】成形面と開口率調整補助板の一例を示す図。
【図5】成形ブロックからカット品を得る場合の一例を説明する図。
【図6】試験片を切り出す態様を説明する図。
【符号の説明】
10…移動金型、11…正面成形面、20…可動金型、21…背面成形面、22〜25…側面成形面、30…成形面、50…開口率調整補助板、35…多数のスリットからなる蒸気流通用開口、36、37…開口率調整補助板に形成される開口
Claims (1)
- 予備発泡樹脂粒子を発泡成形するために使用する一対の雄型と雌型とからなる成形型であり、両型を型締めした際に形成されるキャビティ空間を構成する成形面には多数の蒸気流通用開口が形成されている成形型であって、前記の成形面の少なくとも1面には、当該成形面に形成された蒸気流通用開口の開口率を変えることのできる開口率調整補助板が着脱可能とされている発泡成形型において、
前記成形型は6つの面に囲まれた直方体形状を有するブロックを製造するための成形型であり、前記蒸気流通用開口の開口率を変えることのできる開口率調整補助板が着脱可能とされている成形面は、少なくとも、6面のうち最大面積を有する一対の成形面の一方もしくは両方であり、かつ前記最大面積を有する一対の成形面の一方もしくは両方は、対角線の交点を含みかつその面の10〜50%の面積を有する領域の開口率が、それ以外の領域の開口率よりも高くなるように、前記開口率調整補助板が形成されていることを特徴とする発泡成形型。
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