JP6199536B2 - パーマネントウェーブ用第1剤およびパーマネントウェーブ用剤 - Google Patents

パーマネントウェーブ用第1剤およびパーマネントウェーブ用剤 Download PDF

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Description

本発明は、毛髪にパーマネントウェーブを形成する際に用いるパーマネントウェーブ用第1剤および第2剤、並びにこれらのパーマネントウェーブ用剤(第1剤および第2剤)を用いた毛髪の処理方法に関するものであり、特にパーマネントウェーブ処理後にトリートメント処理をすることなく毛髪の手触り感(柔らかさ、すべり、まとまり感、ツヤ等)を改善し、且つその効果を持続できるパーマネントウェーブ用剤等に関するものである。
パーマネントウェーブ処理は、(1)チオグリコール酸やその塩類、システインやその塩類といった還元剤を主成分として含むアルカリ性溶液をパーマネントウェーブ用第1剤として毛髪に塗布し、所望のウェーブを得るためにロッド等に巻きつけて一定時間放置するか、或は(2)毛髪に水等を塗布してロッド等に巻きつけた後、パーマネントウェーブ用第1剤を塗布して一定時間放置し、毛髪中のケラチンのジスルフィド結合を開裂させる。その後、臭素酸ナトリウム、過酸化水素等の酸化剤を主成分とするパーマネントウェーブ用第2剤により、新たな位置でジスルフィド結合を再結合させ、ウェーブを固定化させるのが一般的である。この処理は、処理前の毛髪とは異なる半永久的なウェーブ状の変形を得る方法である(例えば、非特許文献1)。
しかしながら、上記のようなパーマネントウェーブ用剤(第1剤および第2剤)を用いて毛髪を処理すると、還元・酸化作用を利用するものであるため、毛髪に損傷が発生することになる。特に、近年のヘアカラーブームもあり、ブリーチ処理やブリーチ作用を伴うカラー処理の頻度が増加傾向にある。それに伴って、毛髪の損傷も激しくなり、これらの処理を繰り返し行った毛髪では、パーマネントウェーブ処理によるウェーブ形成が困難になってくるといった現象が生じるとともに、毛髪の手触り感(柔らかさ、すべり、まとまり感、ツヤ等)が著しく低下しているのが現状である。
パーマネントウェーブ処理による損傷に伴う毛髪の手触り感(柔らかさ、すべり、まとまり感、ツヤ等)の低下を解決するために、パーマネントウェーブ施術後、トリートメント処理をすることで手触り感の改善が試みられている。しかしながら、その効果は一時的なものとなり、また被施術者に時間的負担を強いるという問題があり、根本的な解決には至らない。
パーマネントウェーブ処理に伴う毛髪の損傷をより抑えるために、パーマネントウェーブ用第1剤に、チオグリコール酸やその塩類、システインやその塩類以外の還元剤としてシステアミンを用い、このシステアミンとアニオン性界面活性剤とを併用することが提案されている(例えば、特許文献1)。またシステアミンによる効果を有効に発揮させるために、その濃度に応じてpHを制御する方法も提案されている(例えば、特許文献2)。しかしながら、これらの技術では、毛髪の手触り感(柔らかさ、すべり、まとまり感、ツヤ等)を十分に満足するものではない。
一方、パーマネントウェーブ処理の前処理剤として、アニオン性または両性ポリマーの溶液を利用し、システイン、システアミン、チオ乳酸およびチオグリコール酸等の還元剤と、金属カチオンおよび/またはアンモニウムイオンを含有するパーマネントウェーブ用第1剤、並びに酸化剤を含有するパーマネントウェーブ用第2剤で処理する方法(多剤式方法)も提案されている(例えば、特許文献3)。
しかしながら、こうした多剤式方法では、前処理としての工程が必要となり、処理時間が長くなる。しかも、金属カチオンおよび/またはアンモニウムイオンを含有するパーマネントウェーブ用第1剤の処理によって、アニオン性または両性ポリマーを析出させる必要があるために、これらのポリマーによる作用が減少すると考えられる。こうしたことから、更なる効果のある技術の開発が望まれている。
「SCIENCE OF WAVE」日本パーマネントウェーブ液工業組合編著、新美容出版株式会社、2002年4月10日発行、第20〜64頁
特開2007−01916号公報 特開2011−84582号公報 特開2005−53919号公報
本発明はこうした状況の下でなされたものであって、その目的は、パーマネントウェーブ処理後の毛髪の手触り感を著しく改善すると共に、その効果を持続させることができるパーマネントウェーブ用剤(第1剤および第2剤)、並びにこれらのパーマネントウェーブ用剤を用いてその効果を有効に発揮することのできる毛髪の処理方法を提供することにある。
上記目的を達成することのできた本発明のパーマネントウェーブ用第1剤とは、少なくとも還元剤としての(A)システアミンを含有する他、(B)アニオン性高分子を含有するものであることを特徴とする。
本発明のパーマネントウェーブ用第1剤において、(A)システアミンの含有量は、パーマネントウェーブ用第1剤全体に占める割合で7質量%以下(0質量%を含まない)であることが好ましい。また前記(B)アニオン性高分子の含有量は、パーマネントウェーブ用第1剤全体に占める割合で2質量%以下(0質量%を含まない)であることが好ましい。
本発明のパーマネントウェーブ用第1剤で用いる(B)アニオン性高分子は、マレイン酸系共重合体およびアクリル酸系共重合体よりなる群から選ばれる1種または2種以上の化合物が挙げられる。マレイン酸系共重合体のより具体的な化合物としては、メトキシエチレン無水マレイン酸共重合体が好ましいものとして挙げられる。
上記のようなパーマネントウェーブ用第1剤で毛髪を処理した後に用いるパーマネントウェーブ用第2剤としては、(C)酸化剤の他、(D)第四級アンモニウム塩からなるカチオン性界面活性剤を含有するものが好ましく、こうしたパーマネントウェーブ用第2剤を併用することによって、パーマネントウェーブ用剤処理による効果を持続させることができる。このパーマネントウェーブ用第2剤においては、(D)第四級アンモニウム塩からなるカチオン性界面活性剤の好ましい含有量は、パーマネントウェーブ用第2剤全体に占める割合で3質量%以下(0質量%含まない)である。
(D)第四級アンモニウム塩からなるカチオン性界面活性剤としては、具体的にはエチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウムが好ましいものとして挙げられる。本発明のパーマネントウェーブ用第2剤には、必要によって、更に(E)ラノリンを含有させることも好ましく、これによってパーマネントウェーブ用第2剤処理による効果を更に高めることができる。
本発明は、上記のようなパーマネントウェーブ用第1剤と、パーマネントウェーブ用第2剤からなるパーマネントウェーブ用剤も包含する。また上記のような本発明のパーマネントウェーブ用第1剤で毛髪を処理した後、パーマネントウェーブ用第2剤で毛髪を処理することによって、パーマネントウェーブ処理後の毛髪の手触り感を著しく改善できると共に、その効果をより持続させることができる。
本発明では、少なくとも還元剤としての(A)システアミンを用いると共に、(B)アニオン性高分子を含有させてパーマネントウェーブ用第1剤とすることで、毛髪の手触り感を著しく改善し得るものとなる。また、こうしたパーマネントウェーブ用第1剤で処理した後、(C)酸化剤の他、(D)第四級アンモニウム塩からなるカチオン性界面活性剤を含有するパーマネントウェーブ用第2剤で処理することにより、毛髪の手触り感の改善効果を持続させることができる。
本発明者らは、上記目的に適うパーマネントウェーブ用第1剤を実現すべく、様々な角度から検討した。その結果、還元剤としての(A)システアミンと、(B)アニオン性高分子を併用してパーマネントウェーブ用第1剤を構成すれば、上記目的が見事に達成されることを見出し、本発明を完成した。この点は、後記実施例によっても十分裏付けられている(処方例8〜16を参照)。これに対し、(B)アニオン性高分子の代わりに、前記特許文献1のようにラウリル硫酸ナトリウム(アニオン性界面活性剤)を含有させても、上記の効果は認められなかった(処方例17を参照)。同様に、還元剤を(A)システアミンからチオグリコール酸に代えた場合(処方例19)、(B)アニオン性高分子の代わりに、ヒドロキシエチルセルロース(中性の高分子:処方例20)やカチオン化グアーガム(カチオン性高分子:処方例21)を含有させても、上記の効果は認められなかった。
本発明のパーマネントウェーブ用第1剤に含有させる還元剤は、少なくとも(A)システアミンを用いる。この還元剤は(A)システアミンのみであっても良いが、その他にチオグリコール酸やシステイン等の還元剤を併用してもよい。(A)システアミンの含有量は、パーマネントウェーブ用第1剤全体に占める割合で7質量%以下(0質量%を含まない)であることが好ましい。(A)システアミンの含有量が、7質量%よりも多くなると毛髪の損傷への影響が大きくなり、希望する手触り感が得られにくくなる。(A)システアミンの含有量は、より好ましくは6質量%以下であり、更に好ましくは4質量%以下である。
(A)システアミンによる効果については、その含有量が増加するにつれて増大するが、十分なウェーブ形成力を得るという観点からすれば、その含有量はパーマネントウェーブ用第1剤全体に占める割合で0.5質量%以上であることが好ましい。この含有量は、より好ましくは1質量%以上であり、更に好ましくは2質量%以上である。
(A)システアミン(分子量:77.15)は、下記(1)式で示される化合物であるが、例えば下記(2)式で示されるような塩酸塩(分子量:113.60)等の塩でもよい。この(A)システアミンは、チオグリコール酸(分子量:92.12)やシステイン(分子量:121.16)と同様に還元性を示す物質である。
HS−CH2−CH2−NH2 …(1)
HS−CH2−CH2−NH2・HCl …(2)
本発明のパーマネントウェーブ用第1剤に含有させる(B)アニオン性高分子としては、マレイン酸(無水マレイン酸を含む)基、アクリル酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、硫酸基、リン酸基等のアニオン性基が高分子(ポリマー)1分子中に複数個共有結合で連結されている水溶性高分子を意味し、水中で解離して負の電荷を帯びる性質を有する。その例として、カルボキシル基を含むカルボキシメチルセルロースのようなアニオン性セルロース誘導体、多糖類にカルボキシル基、スルホン酸基を含むキサンタンガム、アラビアゴム、寒天等が挙げられる。これらのアニオン性基を複合する共重合体であってもよい。また、当該(B)アニオン性高分子の分子量は特に限定されない。
(B)アニオン性高分子の含有量は、パーマネントウェーブ用第1剤全体に占める割合で2質量%以下(0質量%を含まない)であることが好ましい。(B)アニオン性高分子の含有量が2質量%よりも多くなると、製剤の粘性が増し、操作性を損ねることになる。(B)アニオン性高分子の含有量は、より好ましくは1.5質量%以下であり、更に好ましくは1質量%以下である。
また(B)アニオン性高分子による効果を有効に発揮させるためには、その含有量は、パーマネントウェーブ用第1剤全体に占める割合で0.01質量%以上であることが好ましい。より好ましくは0.1質量%以上であり、更に好ましくは0.5質量%以上である。
上記のような(B)アニオン性高分子としては、具体的には、マレイン酸系共重合体(マレイン酸基を有する高分子)やアクリル酸系共重合体(アクリル酸を有する高分子)が挙げられ、これらの化合物のうちの1種または2種以上を用いることができる。このうちマレイン酸系共重合体としては、酢酸ビニル/マレイン酸ブチル/アクリル酸イソボルニル共重合体、イソブチレン/マレイン酸エチルイミド/マレイン酸ヒドロキシエチルイミド共重合体、無水マレイン酸/酢酸ビニル共重合体ナトリウム、無水マレイン酸・ジイソブチレン共重合体ナトリウム液、イソブチレン・マレイン酸ナトリウム共重合体液、エチレン・無水マレイン酸共重合体、メトキシエチレン無水マレイン酸共重合体、メトキシエチレン無水マレイン酸エチル共重合体、メトキシエチレン無水マレイン酸ブチル共重合体等が挙げられる。本発明で用いる(B)アニオン性高分子としては、特にメトキシエチレン無水マレイン酸共重合体であることが好ましい。
上記アクリル酸系共重合体としては、アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体液、アクリル酸・アクリル酸アミド・アクリル酸エチル共重合体、アクリル酸アミド・メタクリル酸メトキシポリエチレングリコール共重合体、アクリル酸アルキル共重合体、アクリル酸アルキル・酢酸ビニル共重合体液、アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体液等が挙げられる。
本発明では、上記のようなパーマネントウェーブ用第1剤で毛髪を処理した後、(C)酸化剤の他、(D)第四級アンモニウム塩からなるカチオン性界面活性剤を含有するパーマネントウェーブ用第2剤で処理することによって、パーマネントウェーブ用第1剤による効果をより持続させることができる。
本発明のパーマネントウェーブ用第2剤に含有させる(C)酸化剤の種類は、特に限定されないが、例えば臭素酸ナトリウム、臭素酸カリウム等の臭素酸化合物、または過酸化水素等を使用することができる。このパーマネントウェーブ用第2剤は、一般的にはpHが2.5〜8の範囲内に調整される。(C)酸化剤が過酸化水素である場合には、pH2.5〜4.5程度とすることが好ましい。(C)酸化剤が臭素酸化合物である場合には、pH4.5〜8程度とすることが好ましい。パーマネントウェーブ用第2剤のpH調整は、酸性アミノ酸および塩基性アミノ酸の配合によっても行うこともできるし、必要に応じて他の任意のpH調整剤を配合しても良い。尚、(C)酸化剤の含有量は、パーマネントウェーブ用第2剤全体に占める割合で、過酸化水素で0.5〜6質量%程度、臭素酸化合物で0.5〜12質量%程度である。
パーマネントウェーブ用第2剤に含有させる(D)第四級アンモニウム塩からなるカチオン性界面活性剤としては、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム等が挙げられる。このうち、特にエチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウムが好ましい。
(D)第四級アンモニウム塩からなるカチオン性界面活性剤の含有量は、3質量%以下(0質量%を含まない)であることが好ましい。(D)第四級アンモニウム塩からなるカチオン性界面活性剤の含有量が3質量%よりも多くなると、かゆみ等の刺激を引き起こすおそれがある。(D)第四級アンモニウム塩からなるカチオン性界面活性剤の含有量は、より好ましくは2.5質量%以下であり、更に好ましくは2質量%以下である。
また(D)第四級アンモニウム塩からなるカチオン性界面活性剤による効果を有効に発揮させるためには、その含有量は、パーマネントウェーブ用第2剤全体に占める割合で0.5質量%以上であることが好ましい。より好ましくは1質量%以上であり、更に好ましくは1.5質量%以上である。
本発明のパーマネントウェーブ用第2剤には、必要によって、更に(E)ラノリンを含有させることができる。この(E)ラノリンを含有させることによって、パーマネントウェーブ用第2剤の効果をより向上させることができる。このラノリンは、羊の毛から得た脂肪物質を精製したウールグリースであり、主成分としてはコレステロール、高級脂肪酸、高級アルコールおよびそのエステルからなり、抱水性に優れているものである。本発明で用いる(E)ラノリンは、ラノリン溶液を限外濾過膜に通して不純物を除いてアレルギーの原因となるラノリンアルコールやラノリンステロールなどを除去して精製した吸着精製ラノリンを含む。
(E)ラノリンを含有させるときの含有量は、パーマネントウェーブ用第2剤全体に占める割合で、0.2質量%以上であることが好ましい。より好ましくは0.5質量%以上であり、更に好ましくは1質量%以上である。しかしながら、この含有量が過剰になると、毛髪がべたつく傾向があるので、2質量%以下とすることが好ましく、より好ましくは1.8質量%以下(更に好ましくは1.5質量%以下)である。
本発明のパーマネントウェーブ用剤(第1剤および第2剤)には、上記の成分以外にもパーマネントウェーブ用剤に通常添加されるような成分(添加剤)を含有させることができる。こうした添加剤としては、アルカリ剤、高級アルコール類の油剤、保湿剤、界面活性剤(ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤)、シリコーン、タンパク質類、加水分解タンパク質類、アミノ酸類、植物エキス類、紫外線吸収剤、消臭剤、防腐剤、キレート剤、pH調整剤、溶剤、抗炎症剤、香料、色素等を挙げることができ、これらを適宜配合することができる。
本発明のパーマネントウェーブ用剤(第1剤および第2剤)の剤型は、液状の剤型が有用であるが、クリーム剤型やジェル状剤型で用いることもできる。また、本発明のパーマネントウェーブ用剤は、通常のパーマネントウェーブ用剤のみならず、ストレートパーマ用剤への技術的応用も可能である。
次に、実施例によって本発明の作用・効果を具体的に示すが、下記実施例は本発明を限定する性質のものではなく、前・後記の趣旨に徴して設計変形することは、いずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
[実施例1]
(試験用毛束の作製)
化学的処理(例えば、パーマ処理、ヘアカラー処理、ブリーチ処理等)を全く受けていない毛髪を用いて、長さ20cm、重さ15gまたは長さ16cm、重さ0.2gの試験用毛束を作製し、完全に乾燥させた後、以下の評価に用いた。
(毛髪の柔らかさの評価方法)
試験用毛束(長さ:20cm、重さ:15g)に、各処方例で調製したパーマネントウェーブ用第1剤を15g塗布し、毛髪に均一にのばした。その後、40℃で15分間放置し、水で十分にすすぎ、パーマネントウェーブ用第2剤を15g塗布して、30℃で10分間放置した。水で十分にすすぎ、乾燥させた後、専門パネラー10名により、毛髪の柔らかさを下記の3段階評価(評価点)で官能評価し、評価点の平均値を求め、以下の基準で判定した。
3点:非常に柔らかい
2点:柔らかい
1点:硬さを感じる
[柔らかさの評価基準]
◎:2.5点以上
○:2点以上、2.5点未満
△:1.5点以上、2点未満
×:1点以上、1.5点未満
(毛髪のすべりの評価方法)
試験用毛束(長さ:20cm、重さ:15g)に、各処方例で調製したパーマネントウェーブ用第1剤を15g塗布し、毛髪に均一にのばした。その後、40℃で15分間放置し、水で十分にすすぎ、パーマネントウェーブ用第2剤を15g塗布して、30℃で10分間放置した。水で十分にすすぎ、乾燥させた後、専門パネラー10名により、毛髪のすべりを下記の3段階評価(評価点)で官能評価し、評価点の平均値を求め、以下の基準で判定した。
3点:非常にすべりが良い
2点:すべりが良い
1点:すべりが悪く、ひっかかりを感じる
[すべりの評価基準]
◎:2.5点以上
○:2点以上、2.5点未満
△:1.5点以上、2点未満
×:1点以上、1.5点未満
(毛髪のまとまり感の評価方法)
試験用毛束(長さ:20cm、重さ:15g)に、各処方例で調製したパーマネントウェーブ用第1剤を15g塗布し、毛髪に均一にのばした。その後、40℃で15分間放置し、水で十分にすすぎ、パーマネントウェーブ用第2剤を15g塗布して、30℃で10分間放置した。水で十分にすすぎ、乾燥させた後、専門パネラー10名により、毛髪のまとまり感を下記の3段階評価(評価点)で官能評価し、評価点の平均値を求め、以下の基準で判定した。
3点:非常にまとまる
2点:まとまる
1点:広がる
[まとまり感の評価基準]
◎:2.5点以上
○:2点以上、2.5点未満
△:1.5点以上、2点未満
×:1点以上、1.5点未満
(毛髪のツヤ感の評価方法)
試験用毛束(長さ:20cm、重さ:15g)に、各処方例で調製したパーマネントウェーブ用第1剤を15g塗布し、毛髪に均一にのばした。その後、40℃で15分間放置し、水で十分にすすぎ、パーマネントウェーブ用第2剤を15g塗布して、30℃で10分間放置した。水で十分にすすぎ、乾燥させた後、毛束を直径約6cmの円筒に巻きつけ、白色蛍光灯下で、専門パネラー10名により、毛髪のツヤを下記の3段階評価(評価点)で官能評価し、評価点の平均値を求め、以下の基準で判定した。
3点:非常にツヤが出る
2点:ツヤが出る
1点:ツヤがでない/ギラギラとしたツヤが出る
[ツヤ感の評価基準]
◎:2.5点以上
○:2点以上、2.5点未満
△:1.5点以上、2点未満
×:1点以上、1.5点未満
(ウェーブ形成力の評価方法)
各処方例で調製したパーマネントウェーブ用第1剤0.2gを塗布した試験用毛束(長さ:16cm、重さ:0.2g)を、直径12mmのパーマ用ロッドに、毛束に一定のテンションがかかるように注意しながら巻きつけた。その後、40℃で15分間放置し、水で十分にすすぎ、パーマネントウェーブ用第2剤を0.2g塗布して、30℃で10分間放置した。水で十分にすすぎ、試験用毛束をロッドからはずし、乾燥させた後、巻き数を元に下記の3段階評価(評価点)で評価し、評価点の平均値を求め、以下の基準で判定した。
3点:2回転以上
2点:1回転以上、2回転未満
1点:1回転未満
[ウェーブ形成力の評価基準]
◎:2.5点以上
○:2点以上、2.5点未満
△:1.5点以上、2点未満
×:1点以上、1.5点未満
これらの結果を、パーマネントウェーブ用第1剤の処方例(処方例1〜7)と共に下記表1に示す。尚、このとき用いたパーマネントウェーブ用第2剤は、後記表4に示した処方例23である。
Figure 0006199536
表1から次のように考察できる。まず還元剤として(A)システアミンを含有させる場合(処方例3〜5)には、チオグリコール酸を含有させる場合(処方例1)やシステインを含有させる場合(処方例2)と比較して、毛髪の柔らかさ、毛髪のすべり、毛髪のまとまり感、毛髪のツヤが向上することが分かる。また(A)システアミンとチオグリコール酸を併用する場合(処方例7)にも、上記の効果は向上している。但し、(A)システアミンの含有量が7質量%より多くなると(処方例6)、上記した効果は認められない。
[実施例2]
実施例1と同様にして作製した試験用毛束を用い、各種パーマネントウェーブ用剤(下記表2〜4)で実施例1と同様にして処理し、毛髪の柔らかさ、毛髪のすべり、毛髪のまとまり感、毛髪のツヤを評価すると共に、以下の評価を行った。
(製剤の操作性の評価方法)
専門パネラー10名により、試験用ウィッグ(長さ:20cm)を用いて、各処方例で調製したパーマネントウェーブ用第1剤(下記表2、3)の塗りやすさ(製剤の操作性)を、下記の3段階評価(評価点)で官能評価し、評価点の平均値を求め、以下の基準で判定した。
3点:大変塗りやすい
2点:塗りやすい
1点:塗りにくい
[操作性の評価基準]
◎:2.5点以上
○:2点以上、2.5点未満
△:1.5点以上、2点未満
×:1点以上、1.5点未満
これらの結果を、パーマネントウェーブ用第1剤の処方例(処方例8〜22)と共に下記表2、3に示す。尚、このとき用いたパーマネントウェーブ用第2剤を、後記表4に示す(処方例23)。
Figure 0006199536
Figure 0006199536
Figure 0006199536
表2、3から次のように考察できる。還元剤として(A)システアミンを含有させると共に、(B)アニオン性高分子を含有させた場合には(処方例8〜16)、(B)アニオン性高分子を含有させない場合(処方例17)と比較して、毛髪の柔らかさ、毛髪のすべりと毛髪のツヤが向上し、パーマ処理した後における毛髪のまとまり感も向上することが分かる。また(B)アニオン性高分子としてメトキシエチレン無水マレイン酸共重合体(処方例8〜10)を用いると、上記の効果が著しいことが分かる。但し、メトキシエチレン無水マレイン酸共重合体の含有量が2質量%より多くなると(処方例11)、製剤の操作性が損なわれることになる。
また還元剤の一部にチオグリコール酸を用いる場合(処方例18)であっても、上記の効果は認められるが、還元剤を(A)システアミンからチオグリコール酸に代えた場合(処方例19)には、上記の効果は認められない。上記の効果は、製剤がクリーム状の場合(油剤としてセトステアリルアルコールを配合した場合:処方例22)にも発揮されることが分かる。
また(B)アニオン性高分子の代わりに、ヒドロキシエチルセルロース(中性の高分子:処方例20)やカチオン化グアーガム(カチオン性高分子:処方例21)を含有させても、上記の効果は認められない。また(B)アニオン性高分子の代わりに、ラウリル硫酸ナトリウム(アニオン性界面活性剤:処方例17 前記特許文献1参照)を含有させても、上記の効果は認められない。
[実施例3]
実施例1と同様にして作製した試験用毛束を用い、各種パーマネントウェーブ用剤(下記表5、6)で実施例1と同様にして処理し、毛髪の柔らかさ、毛髪のすべり、毛髪のまとまり感、毛髪のツヤを評価すると共に、以下の評価を行った。
(毛髪の良好な手触り感の持続の評価方法)
試験用毛束(長さ:20cm、重さ:15g)に、下記表5に示す処方例24で調製したパーマネントウェーブ用第1剤を15g塗布し、毛髪に均一にのばした。その後、40℃で15分間放置し、水で十分にすすぎ、パーマネントウェーブ用第2剤(表6の処方例25〜34)を15g塗布して、30℃で10分間放置した。水で十分にすすぎ、乾燥させた後、専門パネラー10名により、毛髪の手触り感を官能評価した。その後、試験用毛束を1%のラウリル硫酸ナトリウム溶液で洗浄し、乾燥させた。この操作を合計7回繰り返した後、同じ専門パネラー10名により毛髪の手触り感を官能評価し、1%のラウリル硫酸ナトリウム溶液での洗浄前後の手触り感の違いを比較して、下記の3段階評価(評価点)をし、評価点の平均値を求め、以下の基準で判定した。
3点:良好な手触り感が非常に持続している(毛束の洗浄前後で、良好な手触り感がほとんど変わらない)
2点:良好な手触り感が持続している(毛束の洗浄後、良好な手触り感が維持されている)
1点:良好な手触り感が持続していない(毛束の洗浄後、良好な手触り感が損なわれている)
[手触り感の持続の評価基準]
◎:2.5点以上
○:2点以上、2.5点未満
△:1.5点以上、2点未満
×:1点以上、1.5点未満
(かゆみ等の刺激の評価方法)
専門パネラー10名の頸部に、各処方例で調製したパーマネントウェーブ用第2剤を0.5g塗布し、30分間静置した後、下記の3段階評価(評価点)で評価点の平均値を求め、以下の基準で判定した。
3点:かゆみ等の刺激はなかった
2点:かゆみ等の刺激が少しあった
1点:かゆみ等の刺激があった
[かゆみ等の刺激の評価基準]
◎:2.5点以上
○:2点以上、2.5点未満
△:1.5点以上、2点未満
×:1点以上、1.5点未満
これらの結果を、パーマネントウェーブ用第2剤の処方例(処方例25〜34)と共に下記表6に示す。またこのとき用いたパーマネントウェーブ用第1剤(処方例24)を、下記表5に示す。
Figure 0006199536
Figure 0006199536
表6から次のように考察できる。まず処方例24に示すパーマネントウェーブ用第1剤で処理し、水洗した後、(C)酸化剤および(D)第四級アンモニウム塩からなる界面活性剤を含有するパーマネントウェーブ用第2剤(処方例25〜34)で処理した場合には、(D)第四級アンモニウム塩からなる界面活性剤を含有しないパーマネントウェーブ用第2剤(処方例23)で処理する場合(前記表2、3)と比較して、上記の効果が向上し、更に良好な手触り感が持続することが分かる。
(D)第四級アンモニウム塩の界面活性剤がエチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウムである場合(処方例25〜29)、上記の効果の向上は著しい。アルキル基を有する第四級アンモニウム塩の界面活性剤を含有させた場合(処方例31〜34)も同様の効果が認められる。また臭素酸ナトリウムを10質量%まで含有させた場合(処方例34)にも同様の効果が認められる。但し、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウムの含有量が3質量%より多くなると(処方例30)、かゆみ等の刺激が起こることがある。
[実施例4]
実施例1と同様にして作製した試験用毛束を用い、各種パーマネントウェーブ用剤(上記表5および下記表7)で実施例3と同様にして処理し、毛髪の柔らかさ、毛髪のすべり、毛髪のまとまり感、毛髪のツヤ、手触り感の持続を評価すると共に、以下の評価を行った。
(毛髪のべたつきの評価方法)
試験用毛束(長さ:20cm、重さ:15g)に、各処方例で調製したパーマネントウェーブ用第1剤を15g塗布し、毛髪に均一にのばした。その後、40℃で15分間放置し、水で十分にすすぎ、パーマネントウェーブ用第2剤を15g塗布して、30℃で10分間放置した。水で十分にすすぎ、乾燥させた後、専門パネラー10名により、毛髪のべたつきを下記の3段階評価(評価点)で官能評価し、評価点の平均値を求め、以下の基準で判定した。
3点:べたつかない
2点:あまりべたつかない
1点:べたつく
[べたつきの評価基準]
◎:2.5点以上
○:2点以上、2.5点未満
△:1.5点以上、2点未満
×:1点以上、1.5点未満
これらの結果を、パーマネントウェーブ用第2剤の処方例(処方例35〜41)と共に下記表7に示す。またこのとき用いたパーマネントウェーブ用第1剤は前記表5に示した処方例24である。
Figure 0006199536
表7から次のように考察できる。まず(C)酸化剤および(D)第四級アンモニウム塩の界面活性剤を含有するパーマネントウェーブ用第2剤に、(E)ラノリンを含有させることによって(処方例35〜41)、毛髪の柔らかさ、毛髪のすべり、毛髪のまとまり感、毛髪のツヤ、良好な手触り感の持続が、(E)ラノリンを含有させない場合(処方例26)と比較して向上していることが分かる。但し、(E)ラノリンの含有量が2質量%超過の場合(処方例40)は、毛髪のべたつきが生じる傾向を示す。上記の効果の向上は、(C)酸化剤が臭素酸ナトリウム(処方例37)の場合だけでなく、過酸化水素(処方例41)の場合にも発揮される。

Claims (8)

  1. パーマネントウェーブ処理に用いる第1剤であって、少なくとも還元剤としての(A)システアミンを含有する他、(B)アニオン性高分子としてマレイン酸系共重合体を含有することを特徴とするパーマネントウェーブ用第1剤。
  2. 前記(A)システアミンの含有量が、パーマネントウェーブ用第1剤全体に占める割合で7質量%以下(0質量%を含まない)である請求項1に記載のパーマネントウェーブ用第1剤。
  3. 前記(B)アニオン性高分子の含有量が、パーマネントウェーブ用第1剤全体に占める割合で2質量%以下(0質量%を含まない)である請求項1または2に記載のパーマネントウェーブ用第1剤。
  4. 前記マレイン酸系共重合体が、メトキシエチレン無水マレイン酸共重合体である請求項1〜3のいずれかに記載のパーマネントウェーブ用第1剤。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のパーマネントウェーブ用第1剤と、
    (C)酸化剤の他、(D)第四級アンモニウム塩からなるカチオン性界面活性剤を含有するパーマネントウェーブ用第2剤と、からなるパーマネントウェーブ用剤。
  6. 前記(D)第四級アンモニウム塩からなるカチオン性界面活性剤の含有量が、パーマネントウェーブ用第2剤全体に占める割合で3質量%以下(0質量%含まない)である請求項5に記載のパーマネントウェーブ用剤。
  7. 前記(D)第四級アンモニウム塩からなるカチオン性界面活性剤が、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウムである請求項5または6に記載のパーマネントウェーブ用剤。
  8. 前記パーマネントウェーブ用第2剤は更に、(E)ラノリンを含有する請求項5〜7のいずれかに記載のパーマネントウェーブ用剤。
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