JP6199211B2 - 引き戸における錠装置 - Google Patents

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Description

本発明は、玄関等の出入り口に建て付けられる引き戸における錠装置の技術分野に関するものである。
一般に、玄関等の出入り口に上吊り式の引き戸を建て付けることがあり、このようなものにおいて引き戸を閉鎖させた場合に、錠装置により施錠することがあり、このような錠装置の中には、操作体を操作することにより鎌形状をしたラッチが、開口枠側に設けたラッチ受けのストライクに回り込むように突出して嵌入係止するものがある。(例えば特許文献1参照)。
特開2007−247203号公報
このような引き戸の中には、引き戸の上下方向中央寄りに設ける主錠装置と、上下方向何れか一方に偏倚して設ける副錠装置とが設けられることがあるが、従来、これらの錠装置は何れも同じものを用いることになる。ところで引き戸は、屋外側面が太陽光線に直接晒されるような場合があり、このような場合、引き戸は屋外側面がより膨張し、この結果、引き戸の上下方向中央部が外側に反るような変形をすることになる。このような熱反りがあった場合でも前記錠装置が施錠できるようにする必要があり、このため施錠姿勢のラッチとストライクとのあいだの対向間の隙間を中央部分の熱反りに合わせて大きくしていたが、冬季のように引き戸中央部分の熱反りがあまりないような場合、前記隙間が大きいことで引き戸が開閉方向および出入り方向にガタついてしまうという問題があり、ここに本発明の解決すべき課題がある。
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、出入り口の枠体に取付けられる引き戸の上下方向中央部位に設けられる主錠装置と、該主錠装置に対して上下方向何れかに偏倚した位置に取付けられる副錠装置とを備えて構成される引き戸用の錠装置において、両錠装置を、施錠操作したときに鎌形状のラッチが、枠体側に設けたラッチ受けのストライクに回り込むようにして係止するもので構成するにあたり、施錠姿勢のラッチとストライクとのあいだの隙間を、主錠装置よりも副錠装置の方が小さくなるようにしたことを特徴とする引き戸における錠装置である。
請求項2の発明は、主錠装置よりも副錠装置の方が小さくなる施錠姿勢のラッチとストライクとのあいだの隙間は、出入り口の出入り方向の隙間であることを特徴とする請求項1記載の引き戸における錠装置である。
請求項3の発明は、主錠装置よりも副錠装置の方が小さくなる施錠姿勢のラッチとストライクとのあいだの隙間は、引き戸の移動方向の隙間であることを特徴とする請求項1または2記載の引き戸における錠装置である。
請求項4の発明は、副錠装置のストライクのラッチ係止面に調整板を設けることで施錠姿勢のラッチとストライクとのあいだの隙間を、主錠装置よりも副錠装置の方が小さくなるようにしたことを特徴とする請求項3記載の引き戸における錠装置である。
請求項1の発明とすることにより、夏場のように引き戸中央部位の熱反りが大きい場合、中央部位にある主錠装置の施錠ができるが、これよりも上下方向何れかに偏倚した副錠装置は熱反りが小さいため確実な施錠ができる一方、冬場のように引き戸中央部位の熱反りの少ない場合、上下何れか一方に偏倚した副錠装置の施錠により引き戸のガタツキが少なくなる。
請求項2の発明とすることにより、冬場のように引き戸中央部位の熱反りの少ない場合の引き戸の出入り口出入り方向のガタツキを低減できることになる。
請求項3の発明とすることにより、冬場のように引き戸中央部位の熱反りの少ない場合の引き戸の移動方向のガタツキを低減することができる。
請求項4の発明とすることにより、施錠姿勢のラッチとストライクとのあいだの隙間調整が調整板を用いることでできるため、錠装置側は共有化できることになる。
引き戸の概略正面図である。 引き戸の出入り口部位の縦断面図である。 引き戸の袖壁部位の縦断面図である。 引き戸の横断面図である。 四方枠の正面図である。 (A)(B)(C)は吊り金具を上フレームに取付ける状態を示す作用説明側面図である。 (A)(B)(C)は上廻りケースの背面図、出入り口部位の縦断面図、袖壁部位の縦断面図である。 (A)は上側戸尻ストッパ部位の正面説明図、(B)(C)は下側戸尻ストッパの側面説明図、正面説明図である。 戸尻煙返し部の水平断面図である。 (A)(B)は主錠装置の正面図、ストライクの正面図、(C)(D)は副錠装置の正面図、ストライクの正面図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図中、1は引き戸であって、該引き戸1は、出入り口に設けられた四方枠(四周枠)2の上枠2aおよび外壁3の屋外側面部に設けられた後述するハンガーレール4に引き戸1の上面に設けた走行ローラ5が転動することで出入り口を閉鎖する姿勢と、引き戸1を開放した引き込み部で該引き戸1が対向する袖壁部3aに至って出入り口を開放する姿勢とのあいだを開閉移動できるようになっていること等は何れも従来通りである。因みに、外壁3の戸袋部位は戸袋がなく、そのまま袖壁部3aが露出するものとなっている。
前記四方枠2は、前記上枠2aに、戸先側縦枠2b、戸尻側縦枠2c、下枠2dを用いて構成されるが、予め工場で組み立てられたり現場で組み立てられたものが用いられ、これが組み付けられるようになっている。上枠2aには、引き戸1の上端部とのシール性を確保するべくシール材6を取付けるための取付け金具7が屋外側に固定されるが、該取付け金具7には、上枠2aの上面に固定される固定片7aと、該固定片7aの屋外側端から立上っていてシール材6を取付けるための取付けスペースを形成する屋外側立上り片7bと、固定片7aの屋内側端から立上った屋内側立上り片7cとを備えて構成されている。
8は前記四方枠2を躯体側に吊り固定するための吊り金具であって、該吊り金具8は、縦板状の本体部8aと、該本体部8aの上端から屋内側に向けて折曲された屋内側折曲片部8bと、該折曲片部8bの屋内側端から起立された起立片部8cと、該起立片部8cの上端からさらに屋内側に折曲され、外壁3の出入り口上縁部に固定の上フレーム9に後述するよう吊り固定される吊り固定片部8dと、該吊り固定片部8dの屋内側端から下方に向けて折曲される係止片部8eと、本体部8aの下端部一側辺から屋外側に向けて折曲された屋外側折曲片部8fと、該屋外側折曲片部8fから本体部8aに対向するように折曲され、前記取付け金具7の屋内側取付け片7cにビス10を介して固定される固定片部8gとを備えて構成され、本体部8aと屋内側折曲片部8bとのあいだには補強片部8hが梁状に設けられ、さらに本体部8aには、L字形になった係止片8iが屋外側に向けて突設され、該係止片8iの上側には長孔状のボルト貫通孔8jが穿設され、吊り固定部8dには、係止片部8eから開口し、起立片部8cに至って前位置にまで至るボルト貫通溝8kが形成されている。
さらに吊り金具本体部8aの下部屋内側面にはL字形をした取付け金具11の一片がビス10aを介して取付けられているが、該取付け金具11の屋内側に延びる他片にはナット11aが溶着されている。
そして四方枠2は次のようにして上フレーム9に吊り固定されるようになっている。前述したように、吊り金具8は、四方枠上枠2aに固定の取付け金具7の屋内側立上り片7cの左右両端部にビス10を介して固定片部8gが固定されることで組付け固定されている一方、上方が開口したC形鋼で形成される上フレーム9の跨片9aを貫通するボルト12は、ボルト頭12bが跨片9aの下面から間隙Xを存する(離間する)状態で跨片9aの上面に当接(載置)するナット12aに螺子部12cの先端(上端)が螺入する非緊締状態になっている(図6(A)参照)。この状態で、四方枠2を持ち上げて係止片部8eを前記間隙Xに入り込むように移動し、ボルト貫通溝8kをボルト螺子部12cに差し込んで(外嵌して)いって係止片部8eをボルト螺子部12cに外嵌した四角形状の平座金12dを超えた位置まで移動する。この状態で手を放すと、四方枠2は、係止片部8eが平座金12dに係止した仮保持状態となって吊持状に保持される(図6(B)参照)。
ついで四方枠2を、ボルト貫通溝8kの溝奥部にボルト螺子部12cが位置するよう屋内側に移動させ、この状態でボルト12を上側に向けて締め上げることで吊り固定片部8dが上フレーム跨片9aに当接することになって四方枠2の上フレーム9への吊り固定ができるようになっている(図6(C)参照)。
このようにして吊り固定された吊り金具8の屋外側面および袖壁部3aに、前記ハンガーレール4等の各種部材が組み込まれた上廻りケース13を組付けることになるが、該上廻りケース13は、上面板13a、屋外側板13b、屋内側板13c、下面板13dを備えて構成されるが、屋外側板13bは着脱自在となっていて点検口として開口できるようになっている。
屋内側板13cには、前記吊り金具係止片8iが遊嵌状に嵌入する係止孔13eが形成されており、そして上廻りケース13は、係止孔13eに係止片8iを嵌入させた状態で手を放すと、係止片8iの上辺に係止孔13eの上縁が係止する仮保持状態となり、この状態でボルト貫通孔8jから挿入したボルト14を屋内側板13c側のナット14aに螺入緊締することで吊り金具8側での取付けができるようになっている。尚、13gはボルト孔である。
一方、袖壁部3a側への取付けについては、屋内側板13cに穿設のビス孔13fを貫通したビス10bを袖壁部3aを貫通し、袖壁部3aの屋内側面に設けたフレーム材15に螺入することで取付けられるようになっている。
さらに、前記走行ローラ5は引き戸1の上端縁に取付けられ、ハンガーレール4は、取付け部材17を介して上廻りケース13に内装されるが、取付け部材17にはダンパDが設けられ、引き戸1の上端縁にはダンパブラケット16が設けられていて、全閉時、ダンパDがダンパブラケット16に当接することで衝撃を吸収するようになっている。
上廻りケース13の戸尻側部位には、具体的に本実施の形態では前記取付け部材17に、上廻りケース13に内装される状態で取付け体18aを介して上側の戸尻ストッパ18が設けられている。そして引き戸1が全開した場合に、前記ダンパブラケット16の戸尻側端縁16aが上側戸尻ストッパ18に当接して全開時の衝撃緩衝をするようになっている。
一方、四方枠下枠2dの戸尻側端部には、引き戸1の下端縁部に形成の下方が開口した冂字形のガイド溝1aに遊嵌する振れ止め体(ローラ)19が遊嵌していて引き戸1の振れ止めをするようになっているが、該振れ止め体19は、引き戸1が全閉しているときには引き戸ガイド溝1aの戸尻側部位に内嵌し、全開しているときには引き戸ガイド溝1aの戸先側部位に内嵌していて開閉位置に拘わらず外部に露出しない構成になっているが、振れ止め体19を固定部材であるナット19aを介して取付ける際に共締めされるブラケット20aに下側戸尻ストッパ20が設けられているが、該下側戸尻ストッパ20は、引き戸1が全開した場合に、引き戸ガイド溝1aの戸先側部位に設けた係止部材21が当接して全開時の衝撃吸収をするようになっている。
因みにストッパ18、20については、取付け体18a側、ブラケット20a側でなく、ダンパブラケット16側、係止部材21側に設けてもよく、さらには互いに対向する両者に設けてもよい。
さらに四方枠2の戸尻側縦枠2cには、屋外側に向けて匸字形に折曲形成していてその屋外側コーナー部2eにシール材6aが組み込まれた突出片2fが設けられている。一方、引き戸1の戸尻側端部の屋内側面にはアングル材22が取付けられるが、該アングル材22は、引き戸1の屋内側面に当接する屋外側板22aと、該屋外側板22aの戸尻側端から屋内側に折曲した跨板22bと、該跨板22bから戸先側に折曲した屋内側板22cとから構成されており、屋外側板22aがビス22dを介して引き戸1の屋内側面に固定されているが、屋内側板22aは、幅広に形成され、その先端部が折り返し状に形成され、引き戸1の全閉時に前記シール材6aに当接して気密機能を発揮するための気密付与部22eが形成されているため、専用の気密付与部材を設ける必要がなく、部品点数が減少する。
また引き戸1の戸尻側端には、該戸尻側端部およびアングル材22を戸尻側から戸先側に向けて外嵌する状態で戸尻煙返し材23がビス23aを介して引き戸1およびアングル材22に固定されているが、戸尻煙返し材23の屋内側片23bは、引き戸1が全閉したとき、戸尻側縦枠2cの屋外側面と四方枠突出片2fの屋内側面との隙間に嵌合して全閉時の煙返しをするようになっている。
またさらに引き戸1には、上下方向中央部位とこれよりは上下方向に偏倚した位置に主錠装置24と副錠装置25とが設けられるが、これら錠装置24、25は、摘み24a、25aを操作することで鎌形をしたラッチ24b、25bが下側から上側に向けて突出し、戸先側縦枠2bに設けたラッチ受け24c、25cのストライク24d、25dに設けた貫通孔24e、25eを回り込むようにして係止することで施錠されることになるが、主錠装置24の貫通孔24eの出入り口の出入り方向の幅は、副錠装置25の貫通孔25eの出入り口の出入り方向の幅よりも大きくなっており、これによって施錠状態のラッチ24b、25bとストライク貫通孔24e、25eとあいだの出入り口出入り方向の隙間(ラッチを中心にして出入り口の出入り方向両側の隙間)が主錠装置24の方が副錠装置25よりも大きくなるように設定されている。因みに、主錠装置24のストライク24dは挟み込み式で取付けられていて上下左右の取付け位置の調節ができるようになっている。
また、施錠姿勢のラッチ24b、25bとストライク24d、25dとのあいだの引き戸開閉移動方向の隙間について、副錠装置25のストライク25dの施錠姿勢のラッチ25b対向面に調整板25fを設けることで主錠装置24よりも副錠装置25の方が小さくなるように設定されている。
そしてこのように、出入り口出入り方向および引き戸1の開閉方向の隙間を主錠装置24の方が副錠装置25よりも大きくすることで、夏場のように引き戸1が大きく熱反りした場合に、熱反りの大きい中央部位に設けられる主錠装置24の施錠に支障をきたすことがない一方、熱反りの小さい上下方向に偏倚した部位に設けられる副錠装置25の施錠は確実に行われる。また冬場のように引き戸1の中央部位の熱反りが小さいときには、副錠装置25において、貫通孔25eとラッチ25bとの出入り口出入り方向の隙間及び引き戸移動方向の隙間が、主錠装置24の隙間よりも小さくなっているため、施錠時の該両方向のガタツキを低減することができる。
叙述の如く構成された本実施の形態において、夏場のように引き戸に大きな熱反りがあった場合、上下方向中央部位は熱反りが大きくこれよりも上下方向に偏倚した位置では熱反りが小さいことを利用し、熱反りが大きい部位にある主錠装置24は確実な施錠ができ、一方熱反りが小さい部位にある副錠装置25の施錠性も損なわれることがない。
これに対し、冬場のように熱反りが小さい場合、副錠装置25のラッチ25bは、ストライク25dとのあいだに隙間が小さい状態で係止することになり、施錠時の前記両方向のガタツキを防止することができる。
しかもこのものでは、主、副錠装置24、25において、ストライク24d、25dに穿設する貫通孔24e、25eの出入り口出入り方向の大きさ(幅)を大小異ならしめる一方、副錠装置25側のストライク25dに調整板25fを設けることで引き戸移動方向の隙間調整をしているため、引き戸に設けられる錠本体側は変更することがなく、ストライク側のみを異ならしめたものとできるため、部品の兼用化ができることになる。
因みに、前記実施の形態では、主錠装置24の貫通孔24eの出入り口の出入り方向の幅を、副錠装置25の貫通孔25eの出入り口の出入り方向の幅よりも大きくすることで該方向の隙間を大小異ならしめているが、貫通孔24e、25eの該方向の幅は同じとし、ラッチ24b、25bの出入り口出入り方向の厚さについて、主錠装置24の方が副錠装置25よりも薄くすることでも実施することができる。またラッチ24b、25bとストライク24d、25dの引き戸移動方向の隙間について、ストライク24dに調整板25fを取付けることで隙間を大小異ならしめているが、副錠装置25のラッチ25bのストライク25d対向面をストライク25d側に近接する構成にすることでも実施することができる。
本発明は、出入り口に建て付けられる引き戸における錠装置として利用することができる。
1 引き戸
24 主錠装置
24b ラッチ
24d ストライク
24e 貫通孔
25 副錠装置
25b ラッチ
25d ストライク
25e 貫通孔

Claims (4)

  1. 出入り口の枠体に取付けられる引き戸の上下方向中央部位に設けられる主錠装置と、該主錠装置に対して上下方向何れかに偏倚した位置に取付けられる副錠装置とを備えて構成される引き戸用の錠装置において、両錠装置を、施錠操作したときに鎌形状のラッチが、枠体側に設けたラッチ受けのストライクに回り込むようにして係止するもので構成するにあたり、施錠姿勢のラッチとストライクとのあいだの隙間を、主錠装置よりも副錠装置の方が小さくなるようにしたことを特徴とする引き戸における錠装置。
  2. 主錠装置よりも副錠装置の方が小さくなる施錠姿勢のラッチとストライクとのあいだの隙間は、出入り口の出入り方向の隙間であることを特徴とする請求項1記載の引き戸における錠装置。
  3. 主錠装置よりも副錠装置の方が小さくなる施錠姿勢のラッチとストライクとのあいだの隙間は、引き戸の移動方向の隙間であることを特徴とする請求項1または2記載の引き戸における錠装置。
  4. 副錠装置のストライクのラッチ係止面に調整板を設けることで施錠姿勢のラッチとストライクとのあいだの隙間を、主錠装置よりも副錠装置の方が小さくなるようにしたことを特徴とする請求項3記載の引き戸における錠装置。
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