JP6197321B2 - 液体噴射装置 - Google Patents

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Description

本発明は、液体噴射装置に関する。
インクジェットプリンター等の液体噴射装置を構成する流路ユニットとして、例えば、液体流路用の空所を形成したグリーンシートと振動板用のグリーンシートとを一体焼成したものが知られている(特許文献1参照。)。液体流路には、例えば、壁の一部である振動板の変形によりインク等の液体に圧力が加わる圧力室、この圧力室への液体の供給路、及び、圧力室からノズルに連通する連通路が含まれる。インクジェットヘッド等の液体噴射ヘッドは、前述の流路基板とノズルプレート等の接合基板とを接合することにより形成される。
特許第3144948号公報
近年のノズルは、印刷物等の出力物の高画質化及び高速化に向けて高密度化が進んでいる。また、この高密度化と相反する低コスト化も要求されている。ノズルを高密度化するには、ノズルのピッチを狭くする必要がある。ノズルピッチを狭くするには、圧力室の幅を狭くする必要がある。圧力室の幅が狭くなると、インク滴を吐出するための振動板の変位量が低下する。この変位量の低下を抑えるためには、振動板を薄くする必要がある。しかし、セラミック製の振動板を薄くすると、液体噴射ヘッドの使用中に薄い振動板から液の染み出しが発生することが判った。
上述した液漏れの問題は、種々の液体噴射装置に同様に存在する。
以上を鑑み、本発明の目的の一つは、振動板からの液の染み出しを抑制することが可能な技術を提供することにある。
本発明の態様の一つとして、本発明は、変形可能な振動板と、壁の一部である前記振動板の変形により液体に圧力が加わる圧力室と、該圧力室に連通するノズルと、を備えた液体噴射装置であって、前記振動板を加熱して該振動板に含まれる熱硬化性の液体を熱硬化させる加熱部を備える、態様を有する。
上述した態様において、液体噴射装置使用中に圧力室から振動板に液体が浸入したとき、振動板に熱硬化性の液体が浸入した状態で振動板が加熱されると、振動板に浸入した液体の成分が熱硬化する。その結果、圧力室内の液体に由来する液の振動板を通る染み出しが抑制される。従って、本態様は、液体噴射装置使用中に振動板からの液の染み出しを抑制することが可能な技術を提供することができる。
なお、染み出る液は、圧力室内の液体そのものに限られず、溶媒など液体の成分の一部を含む。
熱硬化性の液体は、熱硬化する液体であればよく、熱硬化性インクジェット用インク、液状熱硬化性樹脂、等が含まれる。
加熱部は、振動板のみ加熱してもよいが、振動板以外も加熱してもよい。また、加熱部には、振動板を直接加熱する以外にも、他の部位を介して振動板を加熱するものも含まれる。
本発明は、液体の振動板通過を完全に防止することに限定されず、加熱部の無い場合と比べて液体の振動板通過が遅くなることも含まれる。
ところで、本発明の態様の一つとして、本発明は、変形可能な振動板と、壁の一部である前記振動板の変形により液体に圧力が加わる圧力室と、該圧力室に連通するノズルと、を備えた液体噴射装置であって、前記圧力室から第一の液体を排除する排除制御部と、前記圧力室に熱硬化性の第二の液体を導入した後に前記第二の液体を硬化させる熱を前記振動板に加える加熱部と、前記第一の液体を前記圧力室に導入する導入制御部と、を備える、態様を有する
上記態様は、第一の液体が排除された圧力室に熱硬化性の第二の液体が導入された後に振動板が加熱されるので、振動板に浸入した第二の液体の成分が熱硬化する。従って、振動板からの液の染み出しを抑制することが可能な好適な例を提供することができる。
ここで、圧力室に第二の液体を導入した後に振動板を加熱することには、圧力室に第二の液体が有る状態で振動板を加熱することと、圧力室から第二の液体を排除した後に振動板を加熱することとの両方が含まれる。導入制御部は、振動板の加熱後に第一の液体を圧力室に導入してもよいし、振動板の加熱前又は加熱中に第一の液体を圧力室に導入してもよい。
また、液体噴射装置は、圧力室に第一の液体を導入するか第二の液体を導入するかを切り替えるための流路切替部をさらに備えてもよい。前記排除制御部は、流路切替部を第二の液体側にして該第二の液体を圧力室に導入するとともに該圧力室から第一の液体を排除してもよい。前記導入制御部は、流路切替部を第一の液体側にして該第一の液体を圧力室に導入するとともに該圧力室から第二の液体を排除してもよい。
上記態様は、圧力室内の液体を入れ替えるための作業が軽減されるので、振動板からの液の染み出しを抑制することが可能な好適な例を提供することができる。
ここで、上記流路切替部には、第一及び第二の液体とは異なる第三の液体を導入するように切り替え可能な態様も含まれる。
液体噴射装置は、加熱部を有する加熱制御部を備えてもよい。該加熱制御部は、振動板を振動させて発熱させるように駆動信号を生成して振動板を加熱してもよい。この態様は、振動板を加熱するための専用の加熱要素が不要であるので、振動板からの液の染み出しを抑制することが可能な好適な例を提供することができる。
むろん、加熱部は、振動板を加熱するヒーターでもよい。この態様も、振動板からの液の染み出しを抑制することが可能な好適な例を提供することができる。
ここで、振動板に対する加熱位置は、様々な位置にすることができる。液体が供給される圧力室の壁の一部が振動板であるので、加熱部は、振動板の圧力室とは反対側の面から加熱してもよい。この態様は、加熱位置が振動板の圧力室から遠い側の面であるので、圧力室内の液体の熱硬化を抑制しながら振動板に浸入した液体の成分を熱硬化させることが可能になり、振動板からの液の染み出しを抑制することが可能な好適な例を提供することができる。
液体噴射装置は、振動板の電気的状態を検出する検出部をさらに備えてもよい。加熱部は、検出される電気的状態が所定の許容範囲から外れたときに熱硬化性の液体を硬化させる熱を振動板に加えてもよい。この態様は、振動板からの液の染み出しを抑制することが可能な好適な例を提供することができる。
例えば、検出部は、振動板の電気抵抗に応じた電気的状態を検出してもよい。この場合、加熱部は、電気抵抗が所定の抵抗値を下回ったときに熱硬化性の液体を硬化させる熱を振動板に加えてもよい。液体が導電性を有する場合、振動板から液が染み出す状態は振動板の電気抵抗が小さい状態である。従って、振動板に熱硬化性の液体が浸入した状態で振動板が加熱されると、振動板に浸入した液体の成分が硬化し、液の振動板を通る染み出しが抑制される。なお、電気抵抗に応じた電気的状態は、電気抵抗そのものでもよいし、電気抵抗に応じて変わる電圧等でもよい。
また、検出部は、ノズルから液体を噴射するための駆動信号の供給後に生じる振動板の残留振動に基づく圧力発生部からの起電力状態を電気的状態として検出してもよい。この場合、加熱部は、検出される起電力状態が所定の許容範囲から外れたときに熱硬化性の液体を硬化させる熱を振動板に加えてもよい。振動板から液が染み出す状態は振動板の残留振動に基づく圧力発生部からの起電力状態が通常とは異なる状態である。従って、振動板に熱硬化性の液体が浸入した状態で振動板が加熱されると、振動板に浸入した液体の成分が硬化し、液の振動板を通る染み出しが抑制される。
なお、本発明は、変形可能な振動板と、壁の一部である前記振動板の変形により液体に圧力が加わる圧力室と、該圧力室に連通するノズルと、を備えた液体噴射ヘッドの製造方法であって、
前記圧力室に熱硬化性の液体を導入する工程と、
前記振動板を加熱して該振動板に含まれる熱硬化性の液体を熱硬化させる工程と、
を含む、態様も有する。
更に、本発明は、液体噴射装置の製造方法等の態様も有する。
上述した態様において、振動板が加熱されると、圧力室から振動板に浸入した液体の成分が熱硬化する。その結果、圧力室内の液体に由来する液の振動板を通る染み出しが抑制される。従って、本態様は、振動板からの液の染み出しを抑制することが可能な技術を提供することができる。
振動板11を加熱する前後の液体噴射装置200の要部を模式的に例示する断面図。 液体噴射ヘッド1の構成を模式的に例示する分解斜視図。 (a)は図2のA1−A1の位置における液体噴射ヘッド1の断面図、(b)は図2のA2−A2の位置における液体噴射ヘッド1の断面図。 (a)〜(c)は液体噴射ヘッド1の製造工程を模式的に例示するための断面図。 (a),(b)は液体噴射装置200の構成の概略を例示する図。 振動板11が振動しているときの様子を模式的に例示する断面図。 (a),(b)は振動板11を加熱している様子を模式的に例示する断面図。 (a)は検出部DE1を設けた液体噴射装置200を模式的に例示する図、(b)は電気的状態の例を説明するための模式的な図、(c)は検出部DE1の具体例を模式的に例示する図、(d)は制御部201の処理を例示するフローチャート。 (a)は別の液体噴射装置200を模式的に例示する図、(b)は振動板11の残留振動に基づく起電力曲線VRを模式的に例示する図、(c)は制御部201の処理を例示するフローチャート。 (a)〜(c)は制御部201の処理を例示するフローチャート。 (a)〜(c)は圧力室21内の熱硬化性液体F0を排出してから振動板11を加熱する様子を模式的に例示する図。 (a)は補修処理を例示するフローチャート、(b)は流路切替部SW1を設けた液体噴射装置200を模式的に例示する図。 (a),(b)は振動板11における熱硬化物質の濃度分布を例示する図。
以下、本発明の実施形態を説明する。むろん、以下の実施形態は本発明を例示するものに過ぎず、実施形態に示す特徴の全てが発明の解決手段に必須になるとは限らない。
(1)液体噴射装置の概要の例示:
まず、液体噴射ヘッドを搭載した液体噴射装置の例を説明する。図1は、液体噴射装置200の要部を模式的に例示する断面図であり、振動板11を加熱する前後のそれぞれについて振動板11の要部を拡大して示している。分かり易く示すため、ヒーターH1と比べて液体噴射ヘッド1を大きくし、セラミック結晶粒子13を振動板11の厚みと比べて大きくし、隙間CL1を粒子13と比べて大きくしている。むろん、ヒーターH1の大きさは特に限定されず、振動板の厚みに対するセラミック結晶粒子の大きさは特に限定されず、粒子に対する隙間の大きさも特に限定されず、粒子の形状も特に限定されない。図1の上段では粒子13にハッチングを付し、中段では液体Fにハッチングを付し、下段では硬化状態である熱硬化物質を含む充填剤15にハッチングを付している。図2は、流路ユニットU0を含む液体噴射ヘッド1の構成の概略を例示している。図3(a)は、液体噴射ヘッド1を図2のA1−A1の位置での断面図を示している。図3(b)は、液体噴射ヘッド1を図2のA2−A2の位置での断面図を示している。
上述した図中、符号D1は振動板11及び流路ユニットU0の厚み方向を示している。符号D3は、流路ユニットU0の長手方向を示し、例えば、長尺状の圧力室21の併設方向であり、圧力室21の幅方向とされる。符号D4は、流路ユニットU0の短手方向を示し、例えば、圧力室21の長手方向とされる。各方向D1,D3,D4は、互いに直交するものとするが、互いに交わっていれば直交していなくてもよい。分かり易く示すため、各方向D1,D3,D4の拡大率は異なることがあり、圧電素子3の面積率も異なることがあり、各図は整合していないことがある。
なお、本明細書で説明する位置関係は、発明を説明するための例示に過ぎず、発明を限定するものではない。従って、圧力室の上以外の位置、例えば、下、左、右、等に振動板が配置されることも、本発明に含まれる。また、方向や位置等の同一、直交、等は、厳密な同一、直交、等のみを意味するのではなく、製造時等に生じる誤差も含む意味である。更に、接すること、及び、接合することは、間に接着剤等の介在するものが有ることと、間に介在するものが無いこととの両方を含む。
図1等に示す液体噴射装置200は、変形可能な振動板11と、壁の一部である振動板11の変形により液体Fに圧力が加わる圧力室21と、該圧力室21に連通するノズル62と、熱硬化性の液体を硬化させる熱を振動板11に加える加熱部U2を有する加熱制御部U1を備える。加熱部U2は、抵抗加熱や誘導加熱や放射加熱などやこれらの組合せによる発熱を行い熱硬化性の液体を硬化させる熱を振動板11に加えるものである。ヒーターH1の他、圧電素子3や振動板11が変形駆動したり抵抗加熱や誘導加熱や放射加熱をしたりこれらの組合せで発熱したりする加熱部であってもよい。液体Fが熱硬化性である場合、図1の中段に示すようにセラミック製の基材12の内部12cにある隙間CL1に液体Fが入り込んだとき、加熱部U2が振動板11を加熱すると隙間CL1の液体Fが硬化して熱硬化物質を含む充填剤15に変化する。硬化状態の充填剤15は、基材内部の隙間CL1に充填され、液体Fの通過を抑制する。
なお、圧力室21に供給される液体には、熱硬化性を有する液体と、熱硬化性を有していない液体とがある。通常時にノズル62から噴射される液体が熱硬化性を有していない場合、熱硬化性液体を圧力室21に導入し振動板11に浸入させてから振動板11を加熱すればよい。その詳細は、図12(a),(b)等を用いて後述する。
ここで、圧力室21内に液体Fが満たされていることを前提として、隙間CL1に硬化状態の充填剤15が無い場合に振動板11の圧力室21とは反対側の第二の面(表面11a)から染み出る液の流量(単位時間当たりの液の重量)をQc(Qc>0)、隙間CL1に充填剤15が形成された場合に振動板11の第二の面(表面11a)から染み出る液の流量をQs(Qs≧0)とする。液体Fの通過を抑制するとは、Qs<Qcであることを意味する。むろん、Qs=0が理想である。また、基材の内部12cにある隙間CL1の全てが充填剤15で充填されることが理想であるが、隙間CL1の一部のみ充填剤15で充填されてもよい。振動板11の圧力室21側の第一の面(裏面11b)と反対の第二の面(表面11a)との厚み方向D1における中間位置11mの隙間CL1に充填剤15が充填されていると、充填剤15が長期間残り易いので好ましい。
図1に示す基材12は、グリーンシート、スラリー、といったセラミック前駆体から焼成されて形成され、多数のセラミック結晶粒子13が含まれている。粒子13同士の間には、僅かな隙間CL1が形成されている。基材12は、振動板11から隙間CL1を除いた部分を指すものとする。すなわち、基材の内部12cには、厚み方向D1へ繋がるような隙間CL1が形成されている。この隙間CL1が閉塞されていない場合、圧力室内のインク等の少なくとも一部の成分が裏面(第一の面)11bから隙間CL1を通って表面(第二の面)11aに染み出してしまう。特に、圧電素子の駆動により基材が振動すると、液が染み出し易くなる。
図3(b)等を参照して、高画質化及び高速化に向けたノズルの高密度化と低コスト化との両立と液漏れについて説明する。ノズル62を高密度化するには、ノズル62のピッチPを狭くする必要がある。ノズルピッチPを狭くするには、圧力室21の幅Wを狭くする必要がある。圧力室の幅Wが狭くなると、液滴を吐出するための振動板の変位量が低下する。この変位量の低下を抑えるためには、振動板厚Tを例えば1〜3μm程度と薄くしなければならない。しかし、セラミック製の振動板を薄くすると、振動板から液の染み出しが発生する。隙間CL1は非常に狭いため、多くの場合、圧力室内の溶液のうち溶媒といった一部の成分が染み出す。グリーンシート、スラリー、といったセラミック製の振動板の前駆体は、粉体の形状を留めるためにバインダーが多く含まれている。また、粉体の焼成であるために焼成後の結晶粒界部に隙間CL1が発生し易い。このような隙間CL1による「液漏れ」は振動板が厚い場合には、途中で液が止まり、顕在化していなかったので、液漏れは振動板の厚みについて薄く極限を追求するようになって顕在化した問題と言える。
また、振動板を薄くしても液漏れが生じないようにするためSiウエハーを使うと、高価な半導体製造装置を用いる必要があり、液体噴射ヘッドのコストアップとなる。また、圧力室に面した振動板の表面をパラキシリレン系のポリマーでコーティングする方法は、使用中にコーティングが剥がれるという耐久性の問題と、パラキシリレン系のポリマーの付着により接合基板との接着強度が低下するという問題とがある。
更に、染み出る液は、原液インクと染料又は顔料濃度が大きく異なる場合がある。これは、インク中の粒子がフィルタリングされるためである。故に、液漏れを生む隙間CL1は微小な隙間であり抑制が難しく、液漏れを一部抑制できてもばらつきにより液体噴射ヘッドの歩留まりの低下を招く。
そこで、本液体噴射装置200は、上述した加熱部U2を設けている。液体噴射装置使用中に圧力室21から振動板11に液体Fが浸入したとき、振動板11に熱硬化性の液体が浸入した状態で振動板11を加熱すると、振動板11に浸入した液体Fが熱硬化する。液体F中の粒子がフィルタリングされる場合、液体Fの分散媒など振動板11に浸入する成分が熱硬化すればよい。基材内部12cに隙間CL1がある場合、硬化状態である熱硬化物質を含む充填剤15が隙間CL1に充填される。その結果、液体噴射装置使用中に圧力室21内の液体Fに由来する液の振動板11を通る染み出しが抑制されると考えられる。従って、本技術は、液体噴射装置使用中に圧力室21内の液体Fに由来する液の振動板11からの染み出しを抑制することが可能である。
なお、振動板の断面方向に分布する物質は、断面EDX(Energy Dispersive X-ray Spectroscopy)マッピング分析、XPS(X-ray Photoelectron Spectroscopy)、FT−IR(Fourier Transform Infrared)法、等により確認することができる。
図2に例示する液体噴射ヘッド1は、符号10,20,30の各部を有する流路ユニットU0と、圧力室21に連通するノズル62と、を備え、インク(液体)を噴射(吐出)するインクジェット式記録ヘッドである。図5(a)に例示する液体噴射装置200は、前述のような液体噴射ヘッドを搭載したインクジェットプリンター(記録装置)である。
なお、液体噴射ヘッド1は、封止プレート40やリザーバープレート50を必ずしも備える必要は無い。例えば、封止プレートが無い場合にはリザーバープレートを接合基板にすることができ、リザーバープレートも無い場合にはノズルプレートを接合基板にすることができる。また、液体噴射ヘッドはいわゆるコンプライアンスプレート等の他のプレートを備えていてもよく、例えば、コンプライアンスプレートがリザーバープレートとノズルプレートとの間に配置されてもよい。更に、これらのプレートが複数のプレートで構成されてもよいし、複数のプレートの機能を一枚のプレートが備えていてもよい。
振動板部10は、振動板11、圧電素子3、リード電極84、等を有する圧電アクチュエーターである。振動板部10は、駆動信号SG1に応じて変形して圧力室21内の液体に圧力を加える。
振動板11は、スペーサー部20の一方の面(表面20a)を封止し、該スペーサー部20と接する裏面11bとは反対側の表面11aに圧電素子3、リード電極84、等が設けられている。振動板の裏面11bは、圧力室21の壁面の一部を構成する。すなわち、圧力室21の壁の一部である振動板11は、圧電素子3により駆動信号SG1に応じた変形をする。振動板11は、矩形板状でもよいし、矩形板状でなくてもよい。
圧電素子3は、圧電体層82と、該圧電体層の圧力室21側に設けられた下電極(第一電極)81と、圧電体層82の他方側に設けられた上電極(第二電極)83とを有する圧力発生部である。図2に示す各圧電素子3は、各圧力室21に対応した位置にある。圧電素子3を駆動制御するための制御回路基板91は、例えば、上電極83に対してフレキシブル基板等といったケーブル類92を介して接続される。電極81,83の一方は、共通電極にされてもよい。上下電極の構成金属には、例えば、Pt(白金)、Au(金)、Ir(イリジウム)、Ti(チタン)、等の一種以上を用いることができる。圧電体層82には、例えば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛、Pb(Zrx,Ti1-x)O3)といった強誘電体、非鉛系ペロブスカイト型酸化物、といったペロブスカイト構造を有する材料等を用いることができる。リード電極84は、下電極81に接続されてもよいし、上電極83に接続されてもよい。リード電極の構成金属には、Au、Pt、Al(アルミニウム)、Cu(銅)、Ni(ニッケル)、Cr(クロム)、Ti、等の一種以上を用いることができる。
スペーサー部20には、厚み方向D1へ貫通した圧力室21が形成されている。このスペーサー部20が振動板11と接続部30とに挟まれることにより、圧力室21が流路ユニットU0の内部に設けられる。スペーサー部20は、矩形板状でもよいし、矩形板状でなくてもよい。
各圧力室21は、長手方向を流路基板の短手方向D4に向けた長尺状に形成され、流路基板の長手方向D3へ複数並べられている。圧力室21同士の間は、隔壁22とされる。圧力室21内の液体には、壁の一部である振動板11の変形により圧力が加わる。圧力室21の幅や長さは、裏面20b側の長さが表面20a側の長さよりも短くされてもよい。流路基板の長手方向D3へ並んだ圧力室21の列は、流路基板の短手方向D4へ複数並べられてもよい。
接続部30には、各圧力室21に連通する位置で厚み方向D1へ貫通した液体の供給孔31及びノズル連通孔32が形成されている。すなわち、接続部30は、孔31,32を除いてスペーサー部20における表面20aとは反対側の他方の面(裏面20b)を封止する。接続部30は、矩形板状でもよいし、矩形板状でなくてもよい。各供給孔31は各圧力室21の長手方向(D4)の一端に対応する位置に設けられ、各ノズル連通孔32は各圧力室21の長手方向(D4)の他端に対応する位置に設けられている。孔31,32及び圧力室21は、流路ユニットU0の液体流路F1となる。
なお、振動板11、スペーサー部20及び接続部30には、例えば、ジルコニア(ZrOx)、酸化イットリウム(YOx)、アルミナ(AlOx)、といったセラミックス等の一種以上の絶縁性材料を用いることができる。
接続部30の裏面30bに接合される封止プレート40には、厚み方向D1へ貫通した液体の共通供給孔41、ノズル連通孔42、及び、リザーバー51への液体導入孔43(図3(a)参照)が形成されている。共通供給孔41は、長手方向を封止プレート40の長手方向D3に向けた長尺状に形成され、接続部の複数の供給孔31に連通する位置に設けられている。各ノズル連通孔42は、接続部の各ノズル連通孔32に連通する位置に設けられている。液体導入孔43は、流路ユニットU0に接しない位置に設けられている。封止プレートの裏面40bは、リザーバー51の壁面の一部を構成する。
リザーバープレート50には、厚み方向D1へ貫通したリザーバー51及びノズル連通孔52が形成されている。リザーバー51は、共通供給孔41と液体導入孔43とに連通した共通インク室である。各ノズル連通孔52は、封止プレートの各ノズル連通孔42に連通する位置に設けられている。
ノズルプレート60には、各ノズル連通孔52に連通する位置で厚み方向D1へ貫通したノズル62が形成されている。ノズルプレート60の裏面は、ノズル62から液滴を噴射するノズル面60bとされる。図2に示すノズルプレート60は、各圧力室21に連通するノズル62が所定方向(D3)へ所定間隔で並べられたノズル列を有している。複数のノズルは、千鳥状に配置されてもよい。
なお、上記プレート40,50,60を含む種々のプレートの材料には、例えば、ステンレスやニッケルといった金属、合成樹脂、セラミックス、等の一種以上を用いることができる。
上述した液体噴射ヘッド1において、インク等の液体は、液体導入孔43から導入されてリザーバー51内を満たし、共通供給孔41及び個別の供給孔31を通って圧力室21内を満たす。制御回路基板91からの駆動電圧(駆動信号SG1)に応じて振動板11を圧力室21側へ膨らませるように圧電素子3が変形すると、それに応じて振動板11も変形し、振動板11の変形により圧力室21内の液体の圧力が高まり、ノズル連通孔32,42,52を介してノズル62から液滴が噴射される。
圧力室21に導入可能な熱硬化性の液体は、熱硬化性インクジェット用インク、液状熱硬化性樹脂、等が含まれる。熱硬化性インクは、顔料といった着色材の他、例えば、液状エポキシ樹脂や液状フェノール樹脂や液状シリコーン樹脂といった液状熱硬化性樹脂、分散媒、等を含む。
(2)液体噴射ヘッド製造方法の概要の例示:
次に、図1〜3とともに図4を参照して、液体噴射ヘッドの製造方法を例示する。図4は、流路基板の短手方向D4に沿った垂直断面図である。
まず、例えばジルコニア等といったセラミック粉体とバインダーと溶媒を含むペーストから所望の厚みのグリーンシートを成形する。この成形には、ドクターブレード装置やリバースロールコーター装置等といった一般的な装置を用いることができる。スペーサー部20用のグリーンシート、及び、接続部30用のグリーンシートには、切断や切削や打ち抜き等といった機械加工やレーザー加工を施す。これにより、圧力室21を有するシート状のスペーサー部前駆体120が得られ、孔31,32を有するシート状の接続部前駆体130が得られる。振動板11用のグリーンシートは、必要無ければ加工は不要である。得られる振動板前駆体111とスペーサー部前駆体120と接続部前駆体130とを積層すると、図4(a)に示すような前駆体100となる。
以上が、振動板11のセラミック製の基材12となる部分を少なくとも含む前駆体100を形成する前駆体形成工程S1である。
次いで、上記前駆体100を一体焼成し、図4(b)に示すようにセラミック製の基材12を含む流路ユニット本体101を形成する(加熱工程S2)。焼成温度は、一体化されたセラミック製流路ユニット本体が形成される温度であれば特に限定されず、例えば、1300〜1500℃程度とすることができる。焼成前に、焼成温度よりも低い脱脂温度で加熱して前駆体100を脱脂してもよい。更に、脱脂前に、脱脂温度よりも低い乾燥温度で加熱して前駆体を乾燥させてもよい。得られる流路ユニット本体101は、特別な接着処理等を加える必要が無く、各部12,20,30の重ね合わせ面のシール性が得られる。
なお、流路ユニット本体は、セラミック粉体とバインダーと溶媒を含むスラリーを用いるゲルキャスト法等により形成してもよい。
振動板11を含む流路ユニットU0を形成した後、図4(c)に示すように、振動板11上に下電極81、リード電極84(図3(a)参照)、圧電体層82、及び、上電極83を形成する(圧電素子形成工程S3)。電極81,83,84は、スパッタ法等といった気相法で形成してもよいし、スピンコート法等といった液相法で形成した塗布膜を加熱する方法等で形成してもよい。スピンコート法等といった液相法によって圧電体層を形成する場合、例えば、PZTを構成する金属の有機物を分散媒に分散した前駆体溶液の塗布工程、例えば170〜180℃程度の乾燥工程、例えば300〜400℃程度の脱脂工程、及び、例えば550〜800℃程度の焼成工程の組合せを複数回行えばよい。不要箇所の電極や圧電体層は、パターニングにより除去してもよい。また、レジストパターンを振動板上に形成し、振動板全面上に電極や圧電体層を形成した後にレジストパターンとともに電極や圧電体層を除去してもよい。
その後、流路ユニットU0、封止プレート40、リザーバープレート50、及び、ノズルプレート60を接合し、制御回路基板91をケーブル類92で圧電素子3に接続する(ヘッド形成工程)。部材U0,40,50,60間の接合は、プレートと略同じ孔を形成した熱圧着用接着シートを部材間に挟んだ状態で部材同士を熱圧着する方法、液状の接着剤を部材間に塗布する方法、熱圧着性(自己圧着性)を有する部材を用いて部材同士を熱圧着する方法、等が可能である。制御回路基板91の接続は、部材U0,40,50,60間の一部又は全部を接合する前に行ってもよい。
以上により、図3(a),(b)で示したような液体噴射ヘッド1が製造される。
前駆体100を焼成すると、多数のセラミック結晶粒子13が形成される。これらの粒子13同士の間には、隙間CL1が形成されることがある。ノズル62を高密度化するため振動板11を薄くすると、液体噴射ヘッド使用中に振動板11の基材12の内部12cに形成される隙間CL1を通った圧力室21内の液体Fが圧電素子3側に染み出す現象が生じる。そこで、本液体噴射装置200には、上述した加熱部U2を設けている。
(3)液体噴射装置の例:
図5(a)は、上述した液体噴射ヘッド1を記録ヘッドとして有するインクジェット式の記録装置である液体噴射装置200の外観を示している。液体噴射ヘッド1を記録ヘッドユニット210,210に組み込むと、液体噴射装置200を製造することができる。図5(a)に示す液体噴射装置200は、記録ヘッドユニット210,210のそれぞれに、液体噴射ヘッド1が設けられ、外部インク供給手段であるインクカートリッジ220,220が着脱可能に設けられている。記録ヘッドユニット210,210を搭載したキャリッジ203は、装置本体204に取り付けられたキャリッジ軸205に沿って往復移動可能に設けられている。キャリッジモーター206の駆動力が図示しない複数の歯車及びタイミングベルト207を介してキャリッジ203に伝達されると、キャリッジ203がキャリッジ軸205に沿って移動する。図示しない給紙ローラー等により給紙される記録シート290は、プラテン208上に搬送され、インクカートリッジ220,220から供給され液体噴射ヘッド1から噴射されるインク滴により印刷がなされる。
図5(b)は、液体噴射装置200の構成を模式的に示すブロック図である。この液体噴射装置200は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、I/F(インターフェイス)、不揮発性メモリー、等を有する制御部201を備えるとともに、加熱制御部U1を備えている。液体噴射装置200には、設定入力用の操作パネル等が設けられてもよい。制御部201は、ホスト装置300からもたらされる印刷データに基づいて、液滴の噴射駆動信号、キャリッジ203の主走査駆動信号、及び、紙送り機構209の副走査駆動信号を生成し、噴射駆動信号を制御回路基板91に送り、主走査駆動信号をキャリッジモーター206に送り、副走査駆動信号を紙送り機構209に送る。液体噴射装置200がヒーターH1を備える場合、制御部201は、振動板11を加熱するときに加熱指令信号を加熱部U2としてのヒーターH1に送る。この場合、ヒーターH1と制御部201が加熱制御部U1を構成する。
図5(b)に示すヒーターH1は、記録ヘッドユニット210内に設けられ、制御部201からの加熱指令信号に従って、振動板11の圧力室21とは反対側の表面(第二の面)11aから熱硬化性液体を硬化させる熱を加える。ヒーターH1の加熱は、輻射加熱、接触加熱、等が可能である。図5(b)の例は、加熱位置が振動板11の圧力室21から遠い側の表面11aであるので、圧力室21内の液体の硬化を抑制しながら振動板11に浸入した液体を熱硬化させることが可能な好適な例である。
むろん、記録ヘッドユニット外に設置されたヒーターの近傍に記録ヘッドユニットを近付けて振動板を加熱してもよいし、振動板11に対するヒーターH1の位置も表面11a側に限定されない。
また、液体噴射装置200にヒーターを設けなくても、振動板11を振動させて発熱させるような駆動信号SG1を制御部201の制御により制御回路基板91が生成すれば、熱硬化性液体を硬化させる熱を振動板11に加えることができる。この場合、圧電素子3と制御回路基板91と制御部201は、加熱部U2を有する加熱制御部U1を構成する。
図6は、駆動信号SG1を供給して振動板11を振動させる様子を模式的に例示している。この例の圧電素子3は、制御回路基板91からの駆動電圧が”L”(ロー)である場合に撓みの少ない状態となり、前記駆動電圧が”H”(ハイ)である場合に撓みの多い状態となっている。そこで、”H”と”L”を繰り返す駆動信号SG1を圧電素子3に供給して振動板11を振動させると、振動板11が発熱し、振動板11に浸入した液体が熱硬化する。この例は、振動板11を加熱するための専用の加熱要素が不要であるので、液漏れを抑制可能な好適な例となる。圧電素子3の駆動信号は、液体を噴射するために行われる液体噴射ヘッド使用時の液体噴射用の駆動波形の信号でもよいし、該液体噴射用の駆動波形よりも高周波の波形信号など液体噴射ヘッド使用時の液体噴射用の駆動波形とは異なる専用の信号でもよい。この専用の信号による振動板の発熱量を液滴記録時など液滴の通常噴射時(加熱制御部U1の処理時以外)の駆動波形による振動板の発熱量よりも多くすると、加熱制御部U1の処理時に振動板に含まれる熱硬化性液体を熱硬化させる好適な例となる。
そして、予め定めておいた時間が経過したり、振動板の温度を直接又は間接に測定する温度計の測定した振動板の温度が予め定めておいた温度に達したりすることで、加熱を終了する。
また、圧電素子3の変形により基材12が圧力室21側に撓むと、裏面11b側の隙間CL1が若干拡がる。駆動電圧”H”を繰り返し供給して基材12を繰り返し撓ませると、隙間CL1が拡がったり狭まったりするので、液体Fに由来する液が隙間CL1に入り込み易くなる。また、繰り返しの撓みは圧力室21に繰り返しの加圧と減圧も生じさせる。従って、振動板11を振動させながら加熱する例は、硬化状態である熱硬化物質を含む充填剤15を隙間CL1に充填する好適な例となる。
ヒーターH1を用いる場合には、直流電圧”H”の印加を維持して図6の下段に示す状態を保っても、隙間CL1が拡がっているため、液体Fに由来する液が隙間CL1に入り込み易くなる。
次に、振動板11を加熱したときの液体噴射ヘッド1の様子を説明する。
図7(a)は、振動板11を振動させて加熱する様子を模式的に示している。この場合、振動板11のうち実質的に振動する圧力室壁部11dが集中的に加熱され、この圧力室壁部11dからの伝熱により圧力室壁部11dの周囲が加熱される。これにより、圧力室壁部11d及びその周囲に浸入した熱硬化性液体が硬化する。一方、圧力室21から遠い加熱の不要な部位への伝熱は、少ない。従って、この例は、効率良く液漏れを抑制可能である。
液体噴射装置200にヒーターH1を設ける場合、ヒーターH1の位置は振動板11の表面11a側でなくてもよい。
図7(b)は、振動板11の端面11cの近傍に配置したヒーターH1で振動板11を加熱している様子を模式的に示している。図7(b)の例では振動板11の短手方向D4の両側にそれぞれヒーターH1を設けているが、片側だけにヒーターを設けてもよいし、振動板11の長手方向D3における端面の近傍にヒーターを配置してもよい。これらの場合、スペーサー部20や接続部30を金属など熱伝導率の大きい材料にしてもよい。
更に、振動板11の裏面11b側にヒーターH1を配置することも可能である。
図1の上段及び中段に示したように、セラミック前駆体から焼成されて形成される振動板11は、セラミック結晶粒子13同士の間に僅かな隙間CL1が形成される。このため、液体噴射装置200の使用を開始して圧力室21内にインク等の液体Fを供給すると、液体Fの少なくとも一部の成分が裏面11bから隙間CL1に入り込む。そこで、振動板11に熱硬化性液体が浸入した状態で振動板11を加熱すると、隙間CL1にある液体の成分が硬化する。これにより、図1の下段に示すように、硬化状態である熱硬化物質を含む充填剤15が隙間CL1に充填される。
以上説明したように、本技術は、圧力室21内の液体Fに由来する液の薄い振動板11からの染み出しを抑制することが可能である。
また、薄い振動板からの液漏れが抑制されることにより、ノズルの高密度化、ひいては印刷物等の出力物の高画質化及び高速化を図ることができる。また、シンプルなプロセスで液体噴射ヘッドを製造することができるので、相反する要素である低コストとノズル高密度化の両立を図ることができる。
更に、流路ユニットの他部品との接合面に変性剤が付着しても、パラキシリレン系のポリマーのような接着力の低下は生じ難い。従って、液体噴射ヘッドの歩留まり向上を図ることができる。
なお、主目的である液漏れの抑制により耐久性や信頼性の向上を図ることができるので、民生のプリンターだけでなく、商業用や工業用の液体噴射装置への発展が期待される。
ところで、加熱部で振動板を常時弱く加熱することも考えられるが、振動板の液の染み出し状態に応じて加熱してもよい。液体Fが導電性を有する場合、液の染み出し状態は、例えば、振動板11の電気的状態に基づいて把握することができる。導電性を有する液体Fには、例えば、熱硬化型水性インクといった水性インク等を用いることができる。熱硬化型水性インクは、例えば、顔料といった着色材、液状熱硬化性樹脂、及び、水を少なくとも含有する。この水に電解質が含まれるため、熱硬化型水性インクは導電性を有する。
図8(a)は、振動板11の電気的状態を検出する検出部DE1を設けた液体噴射装置200を模式的に例示するブロック図である。この検出部DE1の一端は振動板表面11a上にある下電極81とリード電極84を介して電気的に接続され、検出部DE1の他端は流路ユニットU0の裏面30bに接した導電性の封止プレート40を介して導電性の液体Fと電気的に接続されている。むろん、検出部DE1の一端は直接、下電極81に接続されてもよいし、リザーバープレート50やノズルプレート60が導電性であれば検出部DE1の他端をこれらのプレート50,60に接続してもよい。検出部DE1を接続した制御部201は、検出される電気的状態が所定の許容範囲から外れたときに熱硬化性液体を硬化させる加熱制御を振動板11に行う。
圧力室21内の液体Fに由来する液の振動板11への入り込みが少なければ、振動板11の電気抵抗が大きくなる。一方、図8(b)に示すように圧力室21内の液体Fに由来する液が隙間CL1に多く入り込むと、振動板11の電気抵抗が小さくなる。そこで、電気抵抗に応じた電気的状態を検出部DE1で検出することにより、電気抵抗に基づいて加熱タイミングを決めることができる。
図8(c)は、下電極81と封止プレート40との間の電気抵抗(Rとする。)に応じた電気的状態を検出する検出部DE1の電気回路例を示している。電気抵抗Rは、ほぼ振動板11と液体Fの合成抵抗となるが、液体Fの電気抵抗を一定とみなすことができるので振動板11の電気抵抗に応じた抵抗値になる。下電極81に繋がるリード電極84には、参照抵抗Rrefを介して一定電圧Vsが印加される。電圧検出部で電圧Vcを検出すると、振動板11及び液体Fの電気抵抗Rは、Vs,Vc,Rrefから求めることができる。
R={Vc/(Vs−Vc)}×Rref
すなわち、検出電圧Vcは、振動板11の電気抵抗に応じた電気的状態となる。
図8(d)は、液体Fに導電性の熱硬化性液体を用い、振動板11の電気抵抗に応じた電気的状態に基づいたタイミングで振動板11を加熱する処理を例示している。この処理は、液体噴射装置200の電源がオンにされているときに制御部201で繰り返し行われる。図9(c)及び図10(a)〜(c)の処理も、同様である。
処理が開始されると、制御部201は、検出部DE1に電圧Vsを印加させ、電圧検出部で検出される電圧Vcから電気抵抗値Rを取得する(ステップS102。以下、「ステップ」の記載を省略)。S104では、電気抵抗値Rが所定値を下回ったか否かを判断する。液体Fの電気抵抗を一定とみなすと、S104の処理は振動板11の電気抵抗が所定の抵抗値を下回っているか否かを判断していることになる。電気抵抗値Rと比較する所定値は、例えば、振動板11の液の染み出し状態が設定重量内の液滴が噴射される許容範囲内であるか否かの境界値とすることができる。許容範囲は、振動板11の電気抵抗が所定の抵抗値を上回る範囲である。条件不成立時は、振動板11からの液の染み出しが許容範囲内であるような電気抵抗の大きい状態であるので、振動板11を加熱しない。一方、条件成立時は、振動板11からの液の染み出しが許容範囲外であるような電気抵抗の小さい状態であるので、熱硬化性液体を硬化させる熱を振動板11に加える(S106)。これにより、振動板11に浸入した液体Fの成分が熱硬化し、液の振動板11を通る染み出しが抑制される。
なお、電気抵抗に応じた電気的状態の代わりに誘電損失等に応じた電気的状態を検出し、この電気的状態に基づいたタイミングで振動板を加熱する処理を行ってもよい。
ところで、圧力の発生部である圧電素子3を駆動し振動板11を振動させてノズル62から液体Fを噴射した後には、振動板11の振動が残留し、この残留振動に基づいた起電力が圧電素子3で生成される。図8(b)に示したように液体Fに由来する液が隙間CL1に入り込むと、振動板11の残留振動が変わってくる。そこで、振動板11の残留振動に基づく圧電素子3からの起電力状態を電気的状態として検出部DE1で検出することにより、起電力状態に基づいて加熱タイミングを決めることができる。この場合、液体Fは導電性である必要は無い。
図9(a)は、振動板11の残留振動に基づく圧電素子3からの起電力状態を検出する検出部DE1を設けた液体噴射装置200を模式的に例示するブロック図である。この検出部DE1の一端は上電極83に対して電気的に接続され、検出部DE1の他端は下電極81とリード電極84を介して電気的に接続されている。
図9(b)は、ノズル62から液体Fを噴射するための駆動信号SG1である評価パルスSG2の供給後に生じる振動板11の残留振動に基づく圧電素子3の起電力曲線(起電力状態)VRを例示している。ここで、横軸は時間t、縦軸は起電力Vfである。起電力曲線VRは、圧力室21内の液体Fに由来する液の振動板11への入り込みが少ない場合を示している。液体Fに由来する液が隙間CL1に多く入り込むと、起電力曲線がVRからずれる。そこで、振動板11の液の染み出し状態が設定重量内の液滴が噴射される許容範囲内であるか否かの上限曲線VU及び下限曲線VLを設定すれば、上限曲線VUと下限曲線VLとの間を所定の許容範囲AR1にすることができる。
図9(c)は、振動板11の残留振動に基づく圧電素子3の起電力状態に基づいたタイミングで振動板11を加熱する処理を例示している。処理が開始されると、制御部201は、ノズル62から液体Fを噴射するための評価パルスSG2を制御回路基板91から圧電素子3に供給させ、この評価パルスSG2の供給後に生じる振動板11の残留振動に基づく圧電素子3の検出部DE1による検出起電力の経時変化(起電力曲線)を取得する(S112)。S114では、検出起電力の経時変化が許容範囲AR1から外れたか否かを判断する。条件不成立時は、液漏れが許容範囲内であるので、振動板11を加熱しない。一方、条件成立時は、液漏れが許容範囲外であるので、熱硬化性液体を硬化させる熱を振動板11に加える(S116)。これにより、振動板11に浸入した液体Fの成分が熱硬化し、液の振動板11を通る染み出しが抑制される。
なお、振動板の残留振動に基づく圧電素子の起電力状態の代わりに振動板の固有振動周期に基づく圧電素子の起電力状態を検出し、この起電力状態に基づいたタイミングで振動板を加熱する処理を行ってもよい。
以上説明したように、検出部DE1を用いる種々の液体噴射装置は、振動板11からの液の染み出しを抑制することが可能な好適な例となる。
ところで、振動板の加熱は、ノズル62から液体Fを噴射する動作をしていないときに行ってもよいが、駆動信号SG1を供給し振動板11を振動させてノズル62から液体Fを噴射する動作を実行しているときに行ってもよい。すると、上述したように、熱硬化性の液体Fに由来する液が隙間CL1に入り込み易くなる。
図10(a)は、振動板11を振動させているときにヒーターH1で振動板11を加熱する処理を例示している。処理が開始されると、制御部201は、検出部DE1で検出された振動板11の電気的状態を取得する(S122)。S124では、この電気的状態が許容範囲外であるか否かを判断する。条件不成立時は、振動板11を加熱しない。一方、条件成立時は、ノズル62から液体Fを噴射するための駆動信号SG1を制御回路基板91から圧電素子3に供給させ(S126)、ヒーターH1で振動板11を加熱する(S128)。これにより、振動板11が振動している間に振動板11に浸入した液体Fの成分が熱硬化し、液の振動板11を通る染み出しが好適に抑制される。
図10(b)は、振動板11が振動する状態になったときに振動板11を加熱する処理を例示している。S122,S124,S128は、図10(a)と同様である。S124で条件不成立時、制御部201は、制御回路基板91から圧電素子3に駆動信号SG1を供給している状態であるか否かを判断する(S132)。駆動信号SG1を供給している状態でない場合、S132の処理を繰り返す。駆動信号SG1を供給している状態である場合、制御部201は、ヒーターH1で振動板11を加熱する(S128)。この例も、液漏れが抑制される好適な例となる。
なお、振動板を加熱すると、振動板に浸入した液体の成分の熱硬化により振動板の硬さ等が変化する。そこで、S126,S132等の処理時に駆動信号を供給するとき、浸入した液体の成分の熱硬化状況に応じて駆動信号を調整してもよい。この処理は、例えば、熱硬化回数、熱硬化時間、振動板の電気抵抗や残留振動や固有振動周期といった電気的状態、等に基づいて駆動信号の電圧や周波数等を調整することにより行うことができる。熱硬化状況に応じて駆動信号を調整する例も、液漏れが抑制される好適な例となる。
一方、図10(c)に示すように、振動板11の電気的状態と関係無く振動板11を加熱してもよい。処理が開始されると、制御部201は、振動板11を加熱するタイミングであるか否かを判断する(S142)。加熱タイミングは、定期的でもよいし、液体噴射ヘッドの温度に応じて変わる期間毎などでもよい。条件不成立時は、振動板11を加熱しない。一方、条件成立時は、加熱部U2で振動板11を加熱する(S144)。この例も、液漏れが抑制される好適な例となる。
ところで、図11(a)〜(c)に示すように、圧力室21の熱硬化性液体F0を排出してから振動板を加熱してもよい。この熱硬化性液体F0は、ノズルから噴射するインク等の液体Fでもよいし、この液体Fとは異なる液状熱硬化性樹脂等の液体でもよい。液状熱硬化性樹脂には、液状エポキシ樹脂、液状フェノール樹脂、液状シリコーン樹脂、等の一種以上を用いることができる。
振動板を加熱する前には、図11(a)に示すように、圧力室21に熱硬化性液体F0が導入されている状態にしておく。むろん、熱硬化性液体F0がノズルから噴射するインク等の液体Fであれば熱硬化性液体F0を導入するための特別な処理は必要とせず、熱硬化性液体F0が液体Fでなければ後述する図12(a)のS202の熱硬化性液体供給処理等を行って熱硬化性液体F0を導入すればよい。次に、図11(b)に示すように、圧力室21から熱硬化性液体F0を排除する。この処理には、後述する図12(a)のS206の通常時液体供給処理、ノズルから噴射するインク等の液体Fとは異なる液体を圧力室21に導入する処理、空気を圧力室21に導入する処理、等が含まれる。その後、図11(c)に示すように、加熱部U2で振動板11を加熱する。
圧力室21内の熱硬化性液体が排除された後に振動板が加熱されることにより、圧力室21内で液体が熱硬化することが抑制される。従って、上記の例は、液漏れが抑制される好適な例となる。
例えば、ノズルから噴射するインク等の液体F(第一の液体)が熱硬化性でない場合、圧力室21内を液体Fから液状熱硬化性樹脂等の熱硬化性液体(第二の液体)に入れ替えて熱硬化性液体を振動板11に含浸させた後に振動板11を加熱してもよい。
図12(a)は、図8(d)のS106や図9(c)のS116や図10(c)のS144の代わりに実行可能な補修処理を例示している。振動板11を加熱する条件が成立すると、制御部201は、圧力室21内の液体Fを熱硬化性液体に入れ替える熱硬化性液体供給処理を行う(S202)。例えば、ユーザーが記録ヘッドユニット210からインクカートリッジ(液体カートリッジ)220を取り外して熱硬化性液体のカートリッジを記録ヘッドユニット210に取り付けた後、液体を噴射させる駆動信号SG1を繰り返し圧電素子3に供給する処理を行えばよい。S202は、圧力室21から第一の液体(F)を排除する排除制御部に対応している。
S204では、圧力室21内の熱硬化性液体を振動板11に含浸させる処理を行う。この処理は、S202の処理の後に時間をおく処理でもよいし、液体噴射装置に設けた負圧機構で振動板表面11aを負圧にする処理や振動板11を振動させる処理でもよい。
S206では、圧力室21内の熱硬化性液体を液体Fに入れ替える通常時液体供給処理を行う。例えば、ユーザーが記録ヘッドユニット210から熱硬化性液体のカートリッジを取り外してカートリッジ220を記録ヘッドユニット210に取り付けた後、液体を噴射させる駆動信号SG1を繰り返し圧電素子3に供給する処理を行えばよい。S206は、第一の液体(F)を圧力室21に導入する導入制御部に対応している。
S208では、液体Fを硬化させる熱を振動板11に加える。すなわち、S204,S208は、圧力室21に熱硬化性の第二の液体を導入した後に振動板11を加熱する加熱部U2に対応している。
以上の処理により、振動板11に含浸した熱硬化性液体が熱硬化する。また、S206で圧力室21内の熱硬化性液体が排除された後に振動板11が加熱されるので、圧力室21内の液体が熱硬化することが抑制される。従って、上記の例は、液漏れが抑制される好適な例となる。
なお、S206の処理とS208の処理を入れ替えると、圧力室21内に熱硬化性液体が残るものの、振動板11に含浸した熱硬化性液体が熱硬化して液漏れを抑制する効果が得られる。この場合のS206の実行部は、加熱後に第一の液体(F)を圧力室21に導入する導入制御部となる。
更に、インク等の液体Fの流路と熱硬化性液体の流路とを切り替える部位を液体噴射装置200に設けてもよい。
図12(b)は、圧力室21に第一の液体(F)を導入するか熱硬化性の第二の液体を導入するかを切り替えるための流路切替部SW1を設けた液体噴射装置200を模式的に例示するブロック図である。この液体噴射装置200は、共通流路F2を介して封止プレート40の液体導入孔43に流路切替部SW1が接続され、この流路切替部SW1の一方の流入部に流路F3を介してカートリッジ220が接続され、流路切替部SW1の他方の流入部に流路F4を介して熱硬化性液体のカートリッジF11が接続されている。
図12(b)に示す液体噴射装置200で行われる補修処理は、例えば、図12(a)で示したフローチャートに従って行うことができる。振動板11を加熱する条件が成立すると、制御部201は、流路切替部SW1を熱硬化性液体のカートリッジの流路F4側に切り替える制御を行い、圧力室21内の液体Fを熱硬化性液体に入れ替える熱硬化性液体供給処理を行う(S202)。S202の実行部は、流路切替部SW1を第二の液体側にして該第二の液体を圧力室21に導入するとともに圧力室21から第一の液体(F)を排除する排除制御部である。S204では、圧力室21内の熱硬化性液体を振動板11に含浸させる処理を行う。S206では、流路切替部SW1をインクカートリッジの流路F3側に切り替える制御を行い、圧力室21内の熱硬化性液体を液体Fに入れ替える通常時液体供給処理を行う。S206の実行部は、流路切替部SW1を第一の液体(F)側にして該第一の液体(F)を圧力室21に導入するとともに圧力室21から第二の液体を排除する導入制御部である。S208では、液体Fを硬化させる熱を振動板11に加える。
以上の処理により、振動板11に含浸した熱硬化性液体が熱硬化する。また、カートリッジの交換作業が不要になるので、上記の例は、液漏れが抑制される好適な例となる。
なお、振動板の表面11a側から加熱する場合、振動板の裏面11b側における熱硬化性液体が硬化していない一方、振動板の表面11a側における熱硬化性液体が硬化していることがある。この場合、図13(a)に例示するように熱硬化物質の濃度分布が表面11a側に偏ることがある。なお、図13(a),(b)において、横軸は振動板の厚み方向D1における位置を表し、縦軸は前記位置による熱硬化物質の濃度を表す。濃度分布はあくまでも例示であり、必ずしもこのような特性になるとは限らない。例えば、振動板の裏面11b側が熱硬化できておらず、振動板の途中(11bと11aの間)で熱硬化物質の濃度が0になる可能性もある。
熱硬化物質の濃度は、振動板の単位体積当たりの熱硬化物質の重量等で表される。ここで、表面11aと裏面11bとの中点から裏面(第一の面)11bまでの熱硬化物質濃度の相加平均を平均濃度Cb、中点から表面(第二の面)11aまでの熱硬化物質濃度の相加平均を平均濃度Caとする。第一の面(11b)側における熱硬化物質の存在比R1は、R1=Cb/(Ca+Cb)となる。第二の面(11a)側における熱硬化物質の存在比R2は、R2=Ca/(Ca+Cb)となる。なお、中点よりも裏面11b寄りの位置から裏面11bまでの熱硬化物質濃度の相加平均を平均濃度Cbとし、中点よりも表面11a寄りの位置から表面11aまでの熱硬化物質濃度の相加平均を平均濃度Caとしてもよい。
これらの場合、R1<R2となる。このような熱硬化物質濃度分布の振動板を有する液体噴射ヘッドは、液漏れを抑制可能な好適な例である。
一方、振動板11の裏面11b側から熱硬化性液体を含浸させて振動板11を加熱すると、図13(b)に例示するように、熱硬化物質の濃度分布が振動板の裏面11b側に偏ることがある。むろん、濃度分布はあくまでも例示であり、直線状の特性になるとは限らない。
上記の場合、R1>R2となる。このような熱硬化物質濃度分布の振動板を有する液体噴射ヘッドも、液漏れを抑制可能な好適な例である。
なお、上述した処理は、液体噴射装置の製造工程で行うことも可能である。従って、本技術は、圧力室21に熱硬化性の液体を導入する熱硬化性液体導入工程と、振動板11を加熱して振動板11に含まれる熱硬化性の液体を熱硬化させる振動板加熱工程と、を含む、液体噴射ヘッド等の製造方法の態様を有する。例えば、熱硬化性液体導入工程は図12(a)のS202に対応し、振動板加熱工程は図12(a)のS208に対応する。振動板加熱工程には液体噴射装置外のヒーター等を使用することができるので、振動板11を加熱するための加熱部U2は液体噴射装置に無くてもよい。熱硬化性の液体は、通常時にノズル62から噴射される液体でもよい。従って、製造工程において、圧力室21に液体Fを導入し(熱硬化性液体導入工程)、図8,9,11のS106,S116,S128,S144等で振動板11を加熱して振動板11に含まれる熱硬化性の液体を硬化させてもよい(振動板加熱工程)。
上記態様は、振動板からの液の染み出しを抑制することが可能な液体噴射ヘッド等を提供することができる。
(4)応用、その他:
本発明は、種々の変形例が考えられる。
例えば、記録装置は、印刷中に液体噴射ヘッドが移動しないように固定されて、記録シートを移動させるだけで印刷を行ういわゆるラインヘッド型のプリンターでもよい。
流体噴射ヘッドから吐出される液体は、液体噴射ヘッドから吐出可能な材料であればよく、染料等が溶媒に溶解した溶液、顔料や金属粒子といった固形粒子が分散媒に分散したゾル、等の流体が含まれる。このような流体には、インク、液晶、等が含まれる。液体噴射ヘッドは、プリンターといった画像記録装置の他、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造装置、有機ELディスプレーやFED(電解放出ディスプレー)等の電極の製造装置、バイオチップ製造装置、等に搭載可能である。
圧力室に圧力を与えるための圧電素子は、図3(a),(b)で示したような薄膜型に限定されず、圧電材料と電極材料とを交互に積層させた積層型、縦振動させて各圧力室に圧力変化を与える縦振動型、等でもよい。また、圧電アクチュエーターは、発熱素子の発熱で生じる気泡によってノズルから液滴を噴射させるアクチュエーター、振動板と電極との間に発生させた静電気によって振動板を変形させてノズルから液滴を噴射させるいわゆる静電式アクチュエーター、等でもよい。更には、そのほかの様々な流路ユニットに適用することができる。
振動板は、液体流路を形成するスペーサー部や接続部とは別に焼成されて形成されてからスペーサー部に接合されてもよい。スペーサー部や接続部は、金属、合成樹脂、等、セラミック製でなくてもよい。また、振動板がセラミック製でなくても、本発明を適用可能である。
(5)結び:
以上説明したように、本発明によると、種々の態様により、振動板からの液の染み出しを抑制することが可能な技術等を提供することができる。むろん、従属請求項に係る構成要件を有しておらず独立請求項に係る構成要件のみからなる技術等でも、上述した基本的な作用、効果が得られる。
また、上述した実施形態及び変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、公知技術並びに上述した実施形態及び変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、等も実施可能である。本発明は、これらの構成等も含まれる。
1…液体噴射ヘッド、3…圧電素子(圧力発生部)、10…振動板部、11…振動板、11a…表面(第二の面)、11b…裏面(第一の面)、12…基材、12c…内部、11d…圧力室壁部、13…粒子、15…熱硬化物質を含む充填剤、20…スペーサー部、21…圧力室、30…接続部、31…供給孔、32…ノズル連通孔、40…封止プレート、50…リザーバープレート、51…リザーバー、60…ノズルプレート、62…ノズル、100…前駆体、101…流路ユニット本体、200…液体噴射装置、201…制御部、AR1…許容範囲、CL1…隙間、D1…厚み方向、DE1…検出部、F…液体、F0…熱硬化性液体、F1…液体流路、F11…熱硬化性液体(第二の液体)のカートリッジ、H1…ヒーター、SG1…駆動信号、SG2…評価パルス、SW1…流路切替部、U0…流路ユニット、U1…加熱制御部、U2…加熱部。

Claims (8)

  1. 変形可能な振動板と、
    壁の一部である前記振動板の変形により液体に圧力が加わる圧力室と、
    該圧力室に連通するノズルと、
    を備えた液体噴射装置であって、
    前記振動板を加熱して該振動板に含まれる熱硬化性の液体を熱硬化させる加熱部を備える、液体噴射装置。
  2. 変形可能な振動板と、
    壁の一部である前記振動板の変形により液体に圧力が加わる圧力室と、
    該圧力室に連通するノズルと、
    を備えた液体噴射装置であって、
    前記圧力室から第一の液体を排除する排除制御部と、
    前記圧力室に熱硬化性の第二の液体を導入した後に前記第二の液体を硬化させる熱を前記振動板に加える加熱部と、
    前記第一の液体を前記圧力室に導入する導入制御部と、
    を備える液体噴射装置。
  3. 前記圧力室に前記第一の液体を導入するか前記第二の液体を導入するかを切り替えるための流路切替部をさらに備え、
    前記排除制御部は、前記流路切替部を前記第二の液体側にして該第二の液体を前記圧力室に導入するとともに該圧力室から前記第一の液体を排除し、
    前記導入制御部は、前記流路切替部を前記第一の液体側にして該第一の液体を前記圧力室に導入するとともに該圧力室から前記第二の液体を排除する、請求項2に記載の液体噴射装置。
  4. 前記加熱部を有する加熱制御部を備え、
    該加熱制御部は、前記振動板を振動させて発熱させるように前記ノズルから液体を噴射するための駆動信号を生成して前記振動板を加熱する、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の液体噴射装置。
  5. 前記加熱部は、前記振動板を加熱するヒーターである、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の液体噴射装置。
  6. 前記振動板の電気的状態を検出する検出部をさらに備え、
    前記加熱部は、前記検出される電気的状態が所定の許容範囲から外れたときに熱硬化性の液体を硬化させる熱を前記振動板に加える、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の液体噴射装置。
  7. 前記検出部は、前記振動板の電気抵抗に応じた電気的状態を検出し、
    前記加熱部は、前記電気抵抗が所定の抵抗値を下回ったときに熱硬化性の液体を硬化させる熱を前記振動板に加える、請求項6に記載の液体噴射装置。
  8. 前記検出部は、前記ノズルから液体を噴射するための駆動信号の供給後に生じる前記振動板の残留振動に基づく前記圧力の発生部からの起電力状態を検出し、
    前記加熱部は、前記検出される起電力状態が所定の許容範囲から外れたときに熱硬化性の液体を硬化させる熱を前記振動板に加える、請求項6又は請求項7に記載の液体噴射装置。
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