JP6196964B2 - ヒドロキシアルキル化ポリロタキサンの製造方法 - Google Patents

ヒドロキシアルキル化ポリロタキサンの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ポリロタキサンと特定の環状エーテルとの反応により、ヒドロキシアルキル化ポリロタキサンを製造する方法に関する。
近年、トポロジカルゲルとして知られている架橋ポリロタキサンの構成成分であるポリロタキサンは、環状分子(回転子:rotator)の開口部に直鎖状分子(軸:axis)が串刺し状に包接され、さらに、直鎖状分子の両末端に、環状分子が遊離しないようにブロック基が配置されてなる化合物である(例えば、特許文献1〜5参照)。
例えば、特許文献1には、環状分子としてシクロデキストリンを有するポリロタキサンが開示され、1N水酸化ナトリウム水溶液中にて、プロピレンオキシドを反応させて、シクロデキストリンのヒドロキシプロピル化を行うことにより、ヒドロキシプロピル化ポリロタキサンを製造する方法が開示されている。また、特許文献2では、塩化シアヌル等の架橋剤を用いてブロック化ポリロタキサンを架橋した架橋ポリロタキサンの合成方法が記載されている。
さらに、特許文献3及び4では、ヒドロキシプロピル化ポリロタキサンを用いて二次加工された材料が、例えば、医療用材料や塗料等に有用であることが報告されている。
ところで、オキシラン類(アルキレンオキシド類)を用いてアルコール性ヒドロキシ基をアルキルエーテル化する方法は、特許文献1及び2以外にも、種々の文献に記載されているが、そこでは、アルカリ金属塩等の無機塩基や金属アルコキシドがもっぱら使用されている(例えば、特許文献5〜7及び非特許文献1参照)。
国際公開公報第2005/080469号パンフレット 国際公開公報第2001/083566号パンフレット 特開平10−306104号公報 特開2011−178931号公報 特開昭59−104334号公報 特開2002−212125号公報 特表2011−509998号公報
Applied Catalysis B:Environmemtal,Vol.104 54−63(2011)
本発明者らは、例えば、特許文献1に記載の方法に従って、1N水酸化ナトリウム水溶液中で、環状分子としてシクロデキストリンを有するポリロタキサンとプロピレンオキシドとを反応させてヒドロキシプロピル化ポリロタキサンを得ようと試みたところ、反応中に不溶物が析出し、所望のヒドロキシプロピル化修飾率を有するポリロタキサンを純度よく得るのは困難であることを確認した。また、この不溶物は、得られたヒドロキシプロピル化ポリロタキサンに混入するため、これを製造原料として用いた二次加工材料にも引き続きこの不溶物が含まれることになり、例えば、特許文献4に記載される塗料用途で使用した場合、これがブツ(例えば、突出物)の原因となるようである。また、特許文献1及び特許文献4には、水酸化ナトリウム水溶液中で、ポリロタキサンとプロピレンオキシドを反応させた後の処理方法として、使用したアルカリを中和し、生じた塩を透析によって除去し、透析後の処理液を凍結乾燥して、目的物であるヒドロキシプロピル化ポリロタキサンを得る方法が開示されているが、この塩を除く処理方法は、煩雑で、膨大な処理時間がかかるため、工業的製造方法として、好適な方法とは言い難かった。
本発明の課題は、工業的に好適なヒドロキシアルキル化ポリロタキサンの製造方法を提供することである。より具体的には、簡便な操作にて、反応中の不溶物の生成を抑制し、純度よく、所望のヒドロキシアルキル化修飾率を有するポリロタキサンを製造する方法を提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決する方法として、下記を見出した。
本発明1は、ヒドロキシ基を有する環状分子、環状分子に串刺し状に包接される直鎖状分子、及び直鎖状分子から環状分子が脱離しないように直鎖状分子の両分子末端に配置されるブロック基を有するポリロタキサンと、一般式(1):
Figure 0006196964
(式中、R〜Rは、それぞれ互いに独立して、水素原子であるか、あるいは非置換又はフッ素原子、ニトロ基、シアノ基、アルコキシ基若しくはヒドロキシ基で置換されている、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基であり、
とR、又はRとRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、3〜12員の炭素環(例えば、オキサスピロアルキレン類等)を形成していてもよく、
又はRとR又はRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、3〜12員の炭素環(例えば、オキサビシクロアルカン類等)を形成していてもよく、
Lは、単結合、あるいは非置換又はフッ素原子、ニトロ基、シアノ基、アルコキシ基若しくはヒドロキシ基で置換されている、炭素原子数1〜12のアルキレン基であるが、
ただし、一般式(1)の炭素原子数は、50を越えないこととする)で示される環状エーテルとを、水及び有機塩基の存在下にて反応させることを含む、ヒドロキシアルキル化ポリロタキサンの製造方法に関する。
本発明2は、有機塩基が、脂肪族第三級アミン類、芳香族第三級アミン類、脂環式第三級アミン類及び複素脂環式第三級アミン類、ピリジン類、イミダゾール類並びにトリアゾール類からなる群より選択される1種以上である、本発明1の製造方法に関する。
本発明3は、有機塩基が、トリアルキルアミン及びピリジン類からなる群より選択される1種以上である、本発明2の製造方法に関する。
本発明4は、有機塩基の使用量が、製造原料であるポリロタキサン中のヒドロキシ基1モルに対して0.10モル以上1モル未満である、本発明1〜3のいずれかの製造方法に関する。
本発明5は、一般式(1)で示される環状エーテルが、オキシラン、炭素原子数3〜24の一置換オキシラン類及び炭素原子数4〜24の二置換オキシラン類からなる群より選択される1種以上である、本発明1〜4のいずれかの製造方法に関する。
本発明6は、一般式(1)で示される環状エーテルが、オキシラン、メチルオキシラン、エチルオキシラン、プロピルオキシラン、ブチルオキシラン、フェニルオキシラン及びグリシドールからなる群より選択される1種以上である、本発明5の製造方法に関する。
本発明7は、ヒドロキシ基を有する環状分子が、α−シクロデキストリンである、本発明1〜6のいずれかの製造方法に関する。
本発明8は、ポリロタキサンと一般式(1)で示される環状エーテルとの反応後に、デカンテーションにより、有機塩基の少なくとも一部を除去することを含む、本発明1〜7のいずれかの製造方法に関する。
本発明によれば、工業的に好適なヒドロキシアルキル化ポリロタキサンの製造方法が提供される。より具体的には、簡便な操作にて、反応中の不溶物の生成を抑制し、純度よく、所望のヒドロキシアルキル化修飾率を有するポリロタキサンを製造する方法が提供される。このようにして得られたヒドロキシアルキル化ポリロタキサンは、各種用途に不具合なく、好適に使用することができる。
本発明は、ポリロタキサンと特定の環状エーテルとの反応により、ヒドロキシアルキル化ポリロタキサンを製造する方法に関する。本発明において、ポリロタキサンは、ヒドロキシ基を有する環状分子、環状分子に串刺し状に包接される直鎖状分子、及び直鎖状分子から環状分子が脱離しないように直鎖状分子の両分子末端に配置されるブロック基を有している。特定の環状エーテルは、上記一般式(1)で示される化合物である。本発明の製造方法は、水及び有機塩基の存在下にて、ポリロタキサン中の環状分子のヒドロキシ基と特定の環状エーテルとを反応させる工程を含む。
本発明は、さらに、上記工程により得られたヒドロキシアルキル化ポリロタキサンを含有する溶液を中和することなく、使用した有機塩基の少なくとも一部を除去する工程を含むことができる。
[ポリロタキサン]
本発明におけるポリロタキサンは、ヒドロキシ基を有する環状分子、環状分子に串刺し状に包接される直鎖状分子、及び直鎖状分子から環状分子が脱離しないように直鎖状分子の両分子末端に配置されるブロック基を有する。このようなポリロタキサンは、例えば、前記特許文献1、2又は4等に記載の方法にて製造することができる。
(直線状分子)
本発明における直鎖状分子は、環状分子に包接され、非共有結合的に一体化することができる分子又は物質であって、直鎖状のものであれば、特に限定されず、例えば、以下が挙げられる。
ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリペンタメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール等のポリアルキレングリコール類(例えば、繰り返し単位中のアルキレン部分の炭素原子数が2〜14のポリアルキレングリコール類);
ポリブチロラクトン、ポリカプロラクトン等の脂肪族ポリエステル類(例えば、繰り返し単位中のアルキレン部分の炭素原子数が1〜14の脂肪族ポリエステル類);
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のポリオレフィン類(例えば、オレフィン単位の炭素原子数が2〜12のポリオレフィン類);
ポリジメチルシロキサン等のポリジアルキルシロキサン類(例えば、ケイ素原子に結合しているアルキル部分の炭素原子数が1〜4のポリジアルキルシロキサン類;
ポリブタジエン、ポリイソプレン等のポリジエン類(例えば、ジエン単位の炭素原子数が4〜12のポリジエン類);
ポリエチレンカーボネート、ポリプロピレンカーボネート、ポリテトラメチレンカーボネート、ポリペンタメチレンカーボネート、ポリヘキサメチレンカーボネート、ポリフェニレンカーボネート等のポリカーボネート類(例えば、繰り返し単位中の炭化水素部分の炭素原子数が2〜12のポリカーボネート類);
カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース類;
ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸エステル(例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート等)、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリ(メタ)アクリロニトリル、並びに(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリロニトリルから選ばれる複数種類のモノマーを共重合させて得られるコポリマー等の(メタ)アクリル系ポリマー類;
ポリアミド類(例えば、ナイロン6、ナイロン66等)、ポリイミド類、ポリスルホン酸類、ポリイミン類、ポリ尿素類、ポリスルフィド類、ポリフォスファゼン類、ポリケトン類、ポリエーテルエーテルケトン類、ポリフェニレン類(例えば、ポリフェニレンエーテル類等)、ポリテトラヒドロフラン類(例えば、クラブレスコール等)等。
本発明における直鎖状分子は、好ましくはポリアルキレングリコール類、ポリエステル類、ポリオレフィン類、ポリジエン類又はポリジアルキルシロキサン類であり;より好ましくはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリブチロラクトン、ポリカプロラクトン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリジメチルシロキサンであり;特に好ましくは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリジメチルシロキサンである。なお、ブロック基の導入に当り、直鎖状分子の両分子末端をカルボキシ基化することが好ましい。
本発明における直鎖状分子の数平均分子量は特に限定されないが、好ましくは200〜200,000であり、さらに好ましくは1,000〜100,000であり、より好ましくは3,000〜50,000であり、特に好ましくは5,000〜45,000である。なお、直鎖状分子の数平均分子量は、例えば、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC:Gel Permeation Chromatography、標準物質:ポリスチレン、プルラン又はポリエチレンオキシド)によって測定される値である。
前記直鎖状分子の重量平均分子量が200以上であると、得られるポリロタキサンを用いて、例えば、架橋ポリロタキサンを構成した場合に、特性がより良好になる傾向がある。一方、前記直鎖状分子の重量平均分子量が200,000以下であると、ポリロタキサンを調製することがより容易になる傾向がある。
(ブロック基)
本発明におけるブロック基は、環状分子を直鎖状分子から脱離させないように直鎖状分子の両分子末端に設けられるものであり、このような作用を生じ得るものであれば、特に限定されない。
このようなブロック基としては、ジニトロベンゼン類由来の基(例えば、2,4−ジニトロフェニル基、3,5−ジニトロフェニル基等)、シクロデキストリン類由来の基、アダマンタン類由来の基(例えば、アダマンチル基等)、トリフェニルメタン類由来の基(例えば、トリチル基等)、フルオレセイン類由来の基、ピレン類由来の基、置換ベンゼン類由来の基、置換されていてもよい多核芳香族基、ステロイド類由来の基などが挙げられる。ブロック基は、好ましくは、ジニトロベンゼン類由来の基、シクロデキストリン類由来の基、アダマンタン類由来の基、トリフェニルメタン類由来の基、フルオレセイン類由来の基又はピレン類由来の基であり、より好ましくは、2,4−ジニトロフェニル基、3,5−ジニトロフェニル基、2,4−ジフェニルフェニル基、2,4−ジイソプロピルフェニル基、2,4−ジ−t−ブチルフェニル基、4−ジフェニルアミノフェニル基、4−ジフェニルホスフィニルフェニル基、アダマンチル基又はトリチル基であり、特に好ましくは、2,4−ジニトロフェニル基、3,5−ジニトロフェニル基、アダマンチル基又はトリチル基である。なお、本発明のポリロタキサンの両分子末端に設けられる上記ブロック基は、互いに同一であっても、又は異なっていてもよい。
ここで、本発明においてブロック基を直鎖状分子の両分子末端に配置させるブロック化剤としては、上記ブロック基を含むアミン類を使用することができる。なお、上記ブロック基を含むアミン類は、例えば、水和物、無機酸塩(塩酸塩、臭化水素酸塩等)、又は有機酸塩(メタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩等)であってもよい。
本発明における反応方法によれば、このアミン類を、両分子末端をカルボキシ基化した直鎖状分子の末端と反応させ、ブロック基を導入することができる。ここで、具体的なブロック化剤として、アダマンチルアミン、又はその塩酸塩を使用することが好ましい。
(環状分子)
本発明における環状分子は、一般式(1)で示される環状エーテルと反応し得るヒドロキシ基(OH基)を有するものであって、かつ環状の分子構造を有し、直鎖状分子を包接して滑車効果を奏するものであれば、特に限定されない。環状の分子構造は、必ずしも閉環した分子形状である必要はなく、例えば、「C」字状のように、一部が開環している実質的に環状である構造も含む。環状分子は、ヒドロキシ基を1個以上有していればよく、その他に、例えばニトロ基、シアノ基、アルコキシ基等のヒドロキシアルキル化反応に、悪影響を及ぼさない置換基を有していてもよい。
環状分子として、例えば、シクロデキストリン類、クラウンエーテル類、ベンゾクラウン類、ジベンゾクラウン類及びジシクロヘキサノクラウン類が挙げられるが、いずれも1個以上のヒドロキシ基を有することとする。
環状分子は、好ましくは、シクロデキストリン及びシクロデキストリン誘導体である。シクロデキストリン及びシクロデキストリン誘導体におけるシクロデキストリンの型は、特に限定されず、α型、β型、γ型、δ型及びε型のいずれであってもよい。シクロデキストリン誘導体としては、例えば、シクロデキストリン中のヒドロキシ基の一部が、メトキシ基、アセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基、トルエンスルホニルオキシ基等に変換されたシクロデキストリン誘導体が挙げられる。
シクロデキストリン及びシクロデキストリン誘導体としては、例えば、α−シクロデキストリン(グルコース数=6個)、β−シクロデキストリン(グルコース数=7個)、γ−シクロデキストリン(グルコース数=8個)等の、シクロデキストリン;ジメチルシクロデキストリン、グルコシルシクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−α−シクロデキストリン、2,6−ジ−O−メチル−α−シクロデキストリン、6−O−α−マルトシル−α−シクロデキストリン、6−O−α−D−グルコシル−α−シクロデキストリンモノ、ヘキサキス(2,3,6−トリ−O−アセチル)−α−シクロデキストリン、ヘキサキス(2,3,6−トリ−O−メチル)−α−シクロデキストリン、ヘキサキス(6−O−トシル)−α−シクロデキストリン、ヘキサキス(6−アミノ−6−デオキシ)−α−シクロデキストリン、ヘキサキス(2,3−アセチル−6−ブロモ−6−デオキシ)−α−シクロデキストリン、ヘキサキス(2,3,6−トリ−O−オクチル)−α−シクロデキストリン、モノ(2−O−ホスホリル)−α−シクロデキストリン、モノ[2,(3)−O−(カルボキシルメチル)]−α−シクロデキストリン、オクタキス(6−O−t−ブチルジメチルシリル)−α−シクロデキストリン、スクシニル−α−シクロデキストリン、グルクロニルグルコシル−β−シクロデキストリン、ヘプタキス(2,6−ジ−O−メチル)−β−シクロデキストリン、ヘプタキス(2,6−ジ−O−エチル)−β−シクロデキストリン、ヘプタキス(6−O−スルホ)−β−シクロデキストリン、ヘプタキス(2,3−ジ−O−アセチル−6−O−スルホ)−β−シクロデキストリン、ヘプタキス(2,3−ジ−O−メチル−6−O−スルホ)−β−シクロデキストリン、ヘプタキス(2,3,6−トリ−O−アセチル)−β−シクロデキストリン、ヘプタキス(2,3,6−トリ−O−ベンゾイル)−β−シクロデキストリン、ヘプタキス(2,3,6−トリ−O−メチル)−β−シクロデキストリン、ヘプタキス(3−O−アセチル−2,6−ジ−O−メチル)−β−シクロデキストリン、ヘプタキス(2,3−O−アセチル−6−ブロモ−6−デオキシ)−β−シクロデキストリン、2−ヒドロキシエチル−β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、(2−ヒドロキシ−3−N,N,N−トリメチルアミノ)プロピル−β−シクロデキストリン、6−O−α−マルトシル−β−シクロデキストリン、メチル−β−シクロデキストリン、ヘキサキス(6−アミノ−6−デオキシ)−β−シクロデキストリン、ビス(6−アジド−6−デオキシ)−β−シクロデキストリン、モノ(2−O−ホスホリル)−β−シクロデキストリン、ヘキサキス[6−デオキシ−6−(1−イミダゾリル)]−β−シクロデキストリン、モノアセチル−β−シクロデキストリン、トリアセチル−β−シクロデキストリン、モノクロロトリアジニル−β−シクロデキストリン、6−O−α−D−グルコシル−β−シクロデキストリン、6−O−α−D−マルトシル−β−シクロデキストリン、スクシニル−β−シクロデキストリン、スクシニル−(2−ヒドロキシプロピル)−β−シクロデキストリン、2−カルボキシメチル−β−シクロデキストリン、2−カルボキシエチル−β−シクロデキストリン、ブチル−β−シクロデキストリン、スルホプロピル−β−シクロデキストリン、6−モノデオキシ−6−モノアミノ−β−シクロデキストリン、シリル[(6−O−t−ブチルジメチル)2,3−ジ−O−アセチル]−β−シクロデキストリン、2−ヒドロキシエチル−γ−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン、ブチル−γ−シクロデキストリン、3A−アミノ−3A−デオキシ−(2AS,3AS)−γ−シクロデキストリン、モノ−2−O−(p−トルエンスルホニル)−γ−シクロデキストリン、モノ−6−O−(p−トルエンスルホニル)−γ−シクロデキストリン、モノ−6−O−メシチレンスルホニル−γ−シクロデキストリン、オクタキス(2,3,6−トリ−O−メチル)−γ−シクロデキストリン、オクタキス(2,6−ジ−O−フェニル)−γ−シクロデキストリン、オクタキス(6−O−t−ブチルジメチルシリル)−γ−シクロデキストリン、オクタキス(2,3,6−トリ−O−アセチル)−γ−シクロデキストリン等が挙げられる。
本発明では包接性の観点から、環状分子は、好ましくはα−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、又はこれらの誘導体(例えば、ヒドロキシ基の一部/又は全部が置換された化合物)であり、より好ましくはα−シクロデキストリン又はこれらの誘導体(例えば、ヒドロキシ基の一部/又は全部が置換された化合物)であり、特に好ましくはα−シクロデキストリンである。
本発明におけるポリロタキサンは、1種のみの環状分子を有していても、複数種類の環状分子を有していてもよい。
(ポリロタキサンの分子量)
本発明におけるポリロタキサンの数平均分子量は、好ましくは10,000〜500,000、さらに好ましくは30,000〜400,000、より好ましくは50,000〜300,000、特に好ましくは90,000〜200,000、最も好ましくは100,000〜160,000である。なお、ポリロタキサンの数平均分子量は、例えば、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC:Gel Permeation Chromatography、標準物質:ポリスチレン、プルラン又はポリエチレンオキシド)によって測定される値である。
(ポリロタキサンの包接率)
本発明におけるポリロタキサンについて、直鎖状分子を包接する環状分子の導入割合(包接率)は、特に限定されず、所望の溶媒への分散性、修飾基の種類等によって適宜選択することができる。ここで、直鎖状分子を包接する環状分子の導入割合である包接率は、直鎖状分子に環状分子が最密に包接された場合(充填率:100%)を1.0として、通常、0.05〜0.80である。例えば、直線状分子がポリエチレングリコールで、環状分子がシクロデキストリンの場合の包接率は、好ましくは0.05〜0.65であり、より好ましくは0.10〜0.60であり、さらにより好ましくは0.15〜0.55であり、特に好ましくは0.20〜0.40である。包接率がこの範囲であると、本発明の製造方法で得られるヒドロキシアルキル化ポリロタキサンを使用して、前記特許文献2に記載されたような架橋ポリロタキサンを製造した場合、環状分子由来の滑車効果が十分に発現し、また、環状分子の可動性も良好である。
環状分子の最大包接量は、直鎖状分子の長さと環状分子の厚さとにより決定することができる。例えば、直鎖状分子がポリエチレングリコールであり且つ環状分子がα−シクロデキストリン(α−CD)分子の場合、最大包接量は、例えば、特許文献4、及び/又はMacromolecules,1993,Vol.26,5698−5703ページに記載の方法により求めることができる。また、最大包接率は、例えば、PEGの−CH−CH−O−繰り返し単位2ユニットがα−CDの1分子の厚みに相当すると概算し、最密に包接されたときのα−CDの量(最大包接量)を1.0(充填率:100%)として表す。さらに、包接率は、測定溶媒(DMSO−d)に、得られたポリロタキサンを溶解し、H−NMR測定装置(AVANCE500型 Bruker BioSpin社製) により測定し、ケミカルシフトが4〜6ppmのシクロデキス卜リン由来のプロトンの積分値と3〜4ppmのPEG由来のプロトンの積分値の比較により算出することができる。
[環状エーテル]
本発明における環状エーテルは、下記一般式(1)で示される、炭素原子数が50を越えない化合物である。
Figure 0006196964
(式中、R〜Rは、それぞれ互いに独立して、水素原子であるか、あるいは非置換又はフッ素原子、ニトロ基、シアノ基、アルコキシ基若しくはヒドロキシ基で置換されている、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基であり、
とR、又はRとRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、3〜12員の炭素環(例えば、オキサスピロアルキレン類等)を形成していてもよく、
又はRとR又はRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、3〜12員の炭素環(例えば、オキサビシクロアルカン類等)を形成していてもよく、
Lは、単結合、あるいは非置換又はフッ素原子、ニトロ基、シアノ基、アルコキシ基若しくはヒドロキシ基で置換されている、炭素原子数1〜12のアルキレン基である。
ただし、一般式(1)の炭素原子数は、50を越えないこととする。)
本発明における一般式(1)で示される環状エーテルにおいて、好ましくは下記一般式(2)で示されるオキシラン類、及び下記一般式(3)で示されるオキセタン類からなる群より選択される1種以上の環状エーテルである。
Figure 0006196964
(式中、R〜Rは、前記一般式(1)のものと同じであり、
及びRは、水素原子であるか、あるいは非置換又はフッ素原子、ニトロ基、シアノ基、アルコキシ基若しくはヒドロキシ基で置換されている、炭素原子数1〜4のアルキル基であるが、
ただし、一般式(2)又は一般式(3)の炭素原子数は50を越えないこととする。)
一般式(1)〜(3)中、R〜Rにおける;
アルキル基としては、炭素原子数1〜12の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が挙げられ、好ましくは、炭素原子数1〜8の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等である。なお、これらのアルキル基のうち分岐鎖状アルキル基は、位置異性体や光学異性体を含む。ただし、一般式(3)中、R及びRのアルキル基は、炭素原子数1〜4であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基である。
シクロアルキル基としては、炭素原子数3〜12のシクロアルキル基が挙げられ、好ましくは、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロドデシル基等である。
アリール基としては、炭素原子数6〜18のアリール基が挙げられ、好ましくは、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基等である。
アラルキル基としては、炭素原子数7〜18のアラルキル基が挙げられ、好ましくは、ベンジル基、フェネチル基等である。
また、前記アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、アラルキル基は、非置換であっても、炭素原子が、フッ素原子、ニトロ基、シアノ基、アルコキシ基及びヒドロキシ基からなる群より選ばれる1個以上の置換基で置換されていてもよい。なお、置換基としては、フッ素原子が好ましい。
一般式(1)中、Lにおける、炭素原子数1〜12のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基等が挙げられ、これらは、非置換であっても、炭素原子が、フッ素原子、ニトロ基、シアノ基、アルコキシ基及びヒドロキシ基からなる群より選ばれる1個以上の置換基で置換されていてもよい。なお、置換基としては、フッ素原子が好ましい。Lとしては、単結合又はメチレン基が好ましい。
一般式(2)で示されるオキシラン類としては、
オキシラン(エチレンオキシド);
一置換オキシラン類、好ましくは炭素原子数3〜26、より好ましくは炭素原子数3〜24の一置換オキシラン類であり、その具体例としては、メチルオキシラン(プロピレンオキシド)、エチルオキシラン(1,2−ブチレンオキシド)、プロピルオキシラン(1,2−ペンチレンオキシド)、ブチルオキシラン(1,2−ヘキシレンオキシド)、フェニルオキシラン、メトキシメチルオキシラン等の(炭素原子数1〜8のアルコキシメチル)オキシラン、グリシドール(2,3−エポキシメタノール)等;
二置換オキシラン類、好ましくは炭素原子数4〜26、より好ましくは炭素原子数4〜24の二置換オキシラン類であり、その具体例としては、2,3−ジメチルオキシラン、2,2−ジメチルオキシラン、2,3−ジエチルオキシラン、2,2−ジエチルオキシラン、2,3−ジプロピルオキシラン、2,2−ジプロピルオキシラン、2,3−ジブチルオキシラン、2,2−ジブチルオキシラン、2,3−ジフェニルオキシラン、2,2−ジフェニルオキシラン、2,3−ビス(炭素原子数1〜8アルコキシメチル)オキシラン、2,2−ビス(メトキシメチル)オキシラン等の2,2−ビス(炭素原子数1〜8のアルコキシメチル)オキシラン等;
三置換オキシラン類、好ましくは炭素原子数5〜26の三置換のオキシラン類であり、その具体例としては、2,2,3−トリメチルオキシラン、2,2,3−トリエチルオキシラン、2,2,3−トリプロピルオキシラン、2,2,3−トリブチルオキシラン、2,2,3−トリフェニルオキシラン、2,2,3−トリス(メトキシメチル)オキシラン等の2,2,3−トリス(炭素原子数1〜8のアルコキシメチル)オキシラン等;
四置換オキシラン類、好ましくは炭素原子数6〜26の四置換オキシラン類、例えば、2,2,3,3−テトラメチルオキシラン、2,2,3,3−テトラエチルオキシラン、2,2,3,3−テトラプロピルオキシラン、2,2,3,3−テトラブチルオキシラン、2,2,3,3−テトラフェニルオキシラン、2,2,3,3−テトラキス(炭素原子数1〜8のアルコキシメチル)オキシラン等が挙げられる。
一般式(3)で示されるオキセタン類としては、
オキセタン、3−メチルオキセタン、3−エチルオキセタン、3−エチル−3−ヒドロキシエチルオキセタン等が挙げられる。
さらに、一般式(1)で示される環状エーテルとして、R及びR、又はR及びRが結合している炭素原子と一緒になって、3〜12員の炭素環を有するオキサスピロアルキレン類としては、例えば、1−オキサスピロ[2.4]ヘプタン、1−オキサスピロ[2.5]オクタンが挙げられる。また、R又はRとR又はRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、3〜12員の炭素環を有するオキサビシクロアルカン類としては、例えば、具体例としては、6−オキサビシクロ[3.1.0]ヘキサン、7−オキサビシクロ[4.1.1]ヘプタン、6−オキサビシクロ[3.2.0]ヘプタン、7−オキサビシクロ[4.2.0]オクタン、7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン、8-オキサビシクロ[3.2.1]オクタン等が挙げられる。
一般式(1)で示される環状エーテルは、好ましくは、オキシラン、炭素原子数3〜24の一置換オキシラン類又は炭素原子数4〜24の二置換オキシラン類であり;より好ましくは、オキシラン(エチレンオキシド)、メチルオキシラン(プロピレンオキシド)、エチルオキシラン(1,2−ブチレンオキシド)、プロピルオキシラン(1,2−ペンチレンオキシド)、ブチルオキシラン(1,2−ヘキシレンオキシド)、フェニルオキシラン、グリシドール(2,3−エポキシメタノール)等であり;特に好ましくは、オキシラン(エチレンオキシド)、メチルオキシラン(プロピレンオキシド)である。なお、本発明の製造方法では、一般式(1)で示される環状エーテルを、単独で使用しても、又は複数種類を併用してもよい。
(環状エーテルの使用量)
本発明における一般式(1)で示される環状エーテルの使用量は、ヒドロキシアルキル化の程度によって増減させることができ、特に限定されない。例えば、本発明における一般式(1)で示される環状エーテルの使用量は、製造原料であるポリロタキサン1gに対して、通常、0.01g〜100gとすることができ、好ましくは0.10g〜50gであり、さらに好ましくは0.50g〜25gであり、より好ましくは1g〜15gであり、特に好ましくは1g〜10gであり、最も好ましくは1g〜5gである。
また、例えば、上記の特許文献1に記載の方法でポリロタキサン(直鎖状分子:ポリエチレングリコール、環状分子:α−シクロデキストリン(α−CD)、ブロック基:アダマンチル基からなるポリロタキサン)を調製したとする。平均分子量3.5万、包接率が0.25であったとすると、ポリロタキサンの理論ヒドロキシ基量は、13.6mmol/gであることが計算される
(ヒドロキシ基数[mmol/g]=(1/平均分子量)×(35000/88×0.25×18)、平均分子量:35000+(35000/88×0.25×972))。
このポリロタキサンを使用した場合における環状エーテルの使用量は、製造原料であるポリロタキサン中のヒドロキシ基1モルに対して、0.015モル〜150モルとすることができ、好ましくは0.15モル〜75モル、さらに好ましくは0.50モル〜35モル、より好ましくは1.0モル〜20モル、特に好ましくは1.0モル〜15モル、最も好ましくは1.25〜7.5モルである。
上記の使用量範囲であれば、後述する本発明のヒドロキシアルキル化ポリロタキサンの修飾率(%)を、0.01〜100%に制御することができ、修飾率が、好ましくは1〜80%、より好ましくは10〜80%、特に好ましくは25〜55%のヒドロキシアルキル化ポリロタキサンを取得することができる。
[有機塩基]
本発明においては、有機塩基の存在下で、ヒドロキシアルキル化反応を行う。有機塩基は、反応後の分離精製の点から、沸点が200℃以下である有機塩基が好ましい。
有機塩基としては、アミン類(好ましくは、脂肪族第三級アミン類、芳香族第三級アミン類、脂環式第三級アミン類、複素脂環式第三級アミン類等の第三級アミン)、ピリジン類、イミダゾール類及びトリアゾール類からなる群より選ばれる1種以上の塩基性有機化合物を使用することができる。有機塩基として、好ましくは下記一般式(4)で示される、例えば、脂肪族第三級アミン類及び芳香族第三級アミン類の他、脂環式第三級アミン類、複素脂環式第三級アミン類等の第三級アミンが挙げられる。
Figure 0006196964
(R、R及びRは、それぞれ互いに独立して、非置換又はフッ素原子、ニトロ基、シアノ基、アルコキシ基若しくはヒドロキシ基で置換されている、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はトリアルキルシリル基である)で示される第三級アミンが挙げられる。
一般式(4)中、R、R及びRにおける;
アルキル基としては、炭素原子数1〜18の直鎖状又は分岐状のアルキル基が挙げられ、好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基等である。
シクロアルキル基としては、炭素原子数3〜18シクロアルキル基が挙げられ、好ましくは、シクロペンチル基、シクロへキシル基等である。
アリール基としては、炭素原子数6〜18アリール基が挙げられ、好ましくは、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基等である。
アラルキル基としては、炭素原子数7〜18アラルキル基が挙げられ、好ましくは、ベンジル基、フェネチル基等である。
トリアルキルシリル基としては、アルキル基が、それぞれ独立して、炭素原子数1〜18の直鎖状又は分岐状のアルキル基であるものが好ましく、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基等が挙げられる。
前記アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、アラルキル基及びトリアルキルシリル基は、非置換であっても、フッ素原子、ニトロ基、シアノ基、及びアルコキシ基からなる群より選ばれる1個以上の置換基で置換されていてもよい。置換基として、好ましくはフッ素原子、ニトロ基、又はアルコキシ基である。
一般式(4)で示される第三級アミンとしては、炭素原子数3〜24のトリアルキルアミン類、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルメチルアミン、トリ−n−ブチルアミン等;トリアルキルシリル基含有脂肪族アミン類、好ましくは炭素原子数5〜24のトリアルキルシリル基を含有するトリアルキルシリル基含有脂肪族アミン類、例えば、N−トリメチルシリルジメチルアミン、N−トリエチルシリルジメチルアミン、N−tert−ブチルジメチルシリルジメチルアミン、N−トリメチルシリルジエチルアミン、N−トリエチルシリルジエチルアミン、N−tert−ブチルジメチルシリルジエチルアミン、N−トリメチルシリルジ−n−プロピルアミン、N−トリエチルシリルジ−n−プロピルアミン、N−tert−ブチルジメチルシリルジ−n−プロピルアミン、N−トリメチルシリルジイソプロピルアミン、N−トリエチルシリルジイソプロピルアミン、N−tert−ブチルジメチルシリルジイソプロピルアミン等が挙げられる。
また、一般式(4)で示される第三級アミンとしては、炭素原子数8〜24の芳香族第三級アミン類、例えば、ジメチルフェニルアミン、エチルメチルフェニルアミン、ジエチルフェニルアミン、ジプロピルフェニルアミン、ジフェニルメチルアミン、ジフェニルエチルアミン、n−プロピルジフェニルアミン、イソプロピルジフェニルアミン、トリフェニルアミン等;炭素原子数15〜24のトリアルキルシリル基を含有する芳香族アミン類、例えば、N−トリメチルシリルジフェニルアミン、N−トリエチルシリルジフェニルアミン、N−tert−ブチルジメチルシリルジフェニルアミン等が挙げられる。
第三級アミンとしては、環状第三級アミン類も使用することができ、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、ジアザビシクロノネン(DBN)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、キヌクリジン、N−置換ピロリジン類、N−置換ピペリジン類、N,N’−ジ置換ピペラジン類等の脂環式第三級アミン類、N−置換モルホリン類等の複素脂環式第三級アミン類が挙げられる。
N−置換ピペリジン類としては、炭素原子数6〜24のN−アルキル置換ピペリジン類が好ましく、N−メチルピペリジン、N−エチルピペリジンが挙げられる。
N−置換モルホリン類としては、炭素原子数5〜24のN−アルキル置換モルホリン類が好ましく、N−メチルモルホリンが挙げられる。
N,N’−ジ置換ピペラジン類としては、炭素原子数6〜24のN,N’−ジアルキル置換ピペラジン類が好ましく、N,N’−ジメチルピペラジンが挙げられる。
さらに、本発明の有機塩基としては、次に示すピリジン類、イミダゾール類、トリアゾ―ル類等も使用することができる。
ピリジン類(ピリジン及びピリジン誘導体)としては、炭素原子数5〜24のピリジン類が好ましく、例えば、ピリジン、ピコリン、ルチジン、コリジン、ジメチルアミノピリジン、4−ピロリジノピリジン等が挙げられる。
イミダゾール類(イミダゾール及びイミダゾール誘導体)としては、イミダゾール、炭素原子数4〜24のN−置換イミダゾール類が挙げられる。N−置換イミダゾール類は、N−アルキル置換イミダゾール、N−アリール置換イミダゾール、N−トリアルキルシリル置換イミダゾールであることができ、例えば、N−フェニルイミダゾール、N−トリメチルシリルイミダゾール、N−トリエチルシリルイミダゾール、N−tert−ブチルジメチルシリルイミダゾールが挙げられる。
トリアゾール類(トリアゾール及びトリアゾール誘導体)としては、トリアゾール、炭素原子数3〜24のN−置換トリアゾール類が挙げられる。N−置換トリアゾール類は、N−アルキル置換トリアゾール、N−アリール置換トリアゾール、N−トリアルキルシリル置換トリアゾールであることができ、例えば、好ましくは、N−フェニルトリアゾール等である。
さらに有機塩基としては、1,8−ビス(ジメチルアミノ)ナフタレン(プロトンスポンジ)、ホスファゼン等も使用することができる。炭素原子数4〜24のテトラアルキルグアニジン等も使用することができ、例えば、1,1,3,3−テトラメチルグアニジンが挙げられる。
本発明における有機塩基として、好ましくはトリアルキルアミン類、脂環式第三級アミン類、ピリジン類又はイミダゾール類であり;さらに好ましくはトリアルキルアミン類又はピリジン類であり;より好ましくは炭素原子数3〜12のトリアルキルアミン類、ピリジン、2−ピコリン、3−ピコリン、4−ピコリン又は2,6−ルチジンであり;特に好ましくはトリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルメチルアミン、トリ−n−ブチルアミン又はピリジンである。なお、本発明では上記有機塩基を単独で使用しても、又は複数種類を併用してもよい。
(有機塩基の使用量)
本発明における有機塩基の使用量は、製造原料であるポリロタキサン中のヒドロキシ基1モルに対して、0.01モル〜500モルとすることができ、好ましくは0.05モル〜50モルであり、さらに好ましくは0.10モル〜10モルであり、より好ましくは0.10モル〜5モルであり、特に好ましくは0.10モル以上1モル未満である。
上記の使用量範囲であれば、反応が良好に進行し、十分な生産性が得られ、かつ所望のヒドロキシアルキル化修飾率を達成することができる。さらに、反応終了後、使用した有機塩基の除去も容易であることから工業的製造の観点からも好ましい。
[水]
本発明においては、水の存在下で、ヒドロキシアルキル化反応を行う。
本発明における水の使用量は、製造原料であるポリロタキサン1gに対して、0.01g〜200gとすることができ、好ましくは0.1g〜150gであり、さらに好ましくは1.0g〜100gであり、より好ましくは3.0g〜50gであり、特に好ましくは4.0g〜30gであり、最も好ましくは4.0g〜20gである。
例えば、製造原料であるポリロタキサンが、例えば、上記の特許文献1に記載の方法で作製されたポリロタキサン(直鎖状分子:平均分子量3.5万のポリエチレングリコール、環状分子:α−シクロデキストリン(α−CD)、ブロック基:アダマンチル基からなるポリロタキサン、包接率が0.25)である場合、ポリロタキサンの理論ヒドロキシ基量は、13.6mmol/gである。
このポリロタキサンを使用した場合における水の使用量は、製造原料であるポリロタキサン中のヒドロキシ基1モルに対して、0.05モル〜800モルとすることができる。この範囲の水の使用量であれば、ヒドロキシアルキル化反応が良好に進行し、十分な生産性が得られ、かつ所望のヒドロキシアルキル化修飾率を達成することができる。さらに、反応終了後、使用した有機塩基の除去も容易であることから工業的製造の観点からも好ましい。
[反応条件]
本発明の製造方法は、水及び有機塩基の存在下にて、ポリロタキサン中の環状分子のヒドロキシ基と一般式(1)で示される環状エーテルとを反応させる工程を含む。反応は、水及び有機塩基の存在下、ポリロタキサンと一般式(1)で示される環状エーテルとを混合し、攪拌、振とう等をすることにより行なうことができる。具体的には、水及び有機塩基にポリロタキサンを加え、次いで一般式(1)で示される環状エーテルを添加しながら攪拌を行って反応させることが好ましい。
(反応温度)
本発明の製造方法において、反応温度は、使用する一般式(1)で示される環状エーテルの物性等によって適宜決めることができる。すなわち、本発明の製造方法における反応温度は、使用するポリロタキサンのガラス転移温度以上であって、一般式(1)で示される環状エーテルの沸点以下であれば、特に限定されないが、−20〜100℃とすることができる。この温度範囲であれば、一般式(1)で示される環状エーテルも反応系中に留まりやすく、かつポリロタキサンの環状分子のヒドロキシ基との反応性も良好であることから、高い反応収率が期待できる。反応温度は、好ましくは−10〜80℃であり、より好ましくは10〜60℃であり、特に好ましくは25〜60℃である。反応時間は、適宜、変更することができ、例えば、1〜48時間が挙げられ、好ましくは3〜30時間である。
(反応圧力)
本発明の製造方法において、反応圧力は、使用する一般式(1)で示される環状エーテルの種類、反応温度等によって適宜決めることができ、特に限定されないが、大気圧下で行われることが好ましい。例えば、窒素、アルゴン等の不活性ガス流通下、又は雰囲気下として、反応を行うこともでき、あるいは開放系(大気圧下)として、反応を行なうこともできる。
(反応溶媒)
本発明の製造方法において、反応は、水及び有機塩基の存在下にて行なわれるため、別途反応溶媒を使用する必要はない。しかしながら、本発明で使用するポリロタキサンの水及び/又は有機塩基への溶解度が低い等場合、適宜、反応溶媒を使用することができる。反応溶媒は、ヒドロキシアルキル化反応に悪影響を与えないものであれば、特にその溶媒種及び使用量は限定されない。
(ヒドロキシアルキル化ポリロタキサンの取得操作)
本発明のポリロタキサンと一般式(1)で示される環状エーテルとの反応終了後、液体状態の反応混合物が得られる。得られた反応混合物は、例えば、再沈殿操作後、デカンテーション又はろ過等の分離・精製操作により、目的とするヒドロキシアルキル化ポリロタキサンを固形物として取得することができる。すなわち、本発明の製造方法では、使用した有機塩基を、中和処理することなく、上記の方法で容易に除去することができるため、非常に便利であり、工業的製造方法に好適である。
具体的な取得操作としては、ヒドロキシアルキル化ポリロタキサンを含有する反応混合物を、そのまま、あるいは後述の添加溶媒(例えば、再沈殿溶媒)を加えて再沈殿操作を行ない、次いで、これをデカンテーション及び/又はろ過等の分離操作を行なうことによって、固形物としてヒドロキシアルキル化ポリロタキサンを取得することが好ましい。
(再沈殿操作)
ポリロタキサンと一般式(1)で示される環状エーテルの反応終了後、得られた反応混合物から目的物であるヒドロキシアルキル化ポリロタキサンを固形物として、かつ純度及び収率よく取得するために、再沈殿操作を行なってもよい。ここで再沈殿操作は、反応混合物からヒドロキシアルキル化ポリロタキサンを固形物として相分離することに加えて、ヒドロキシアルキル化ポリロタキサンを含む液状物を反応混合物から相分離することを含む。
そこで、再沈殿操作に使用する再沈殿溶媒としては、目的物であるヒドロキシアルキル化ポリロタキサンに対して貧溶媒となるものであれば、特に限定されない。
なお、再沈殿溶媒として、好ましくは、水;アセトニトリル;アセトン、ブタノン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール等のアルコール類;テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,2−ジメトキシエタン、ジオキサン等のエーテル類、及びこれらの混合溶媒が使用され、より好ましくは、水;アセトニトリル;アセトン、ブタノン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール等のアルコール類、及びこれらの混合溶媒が使用され、特に好ましくは、水;アセトン、ブタノン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類及びこれらの混合溶媒が使用される。
再沈殿溶媒の使用量は、得られた反応混合物から目的物であるヒドロキシアルキル化ポリロタキサンを固形物又はこれを含む液状物として分離可能であり、かつその他不純物を固形物又は液状物と分離可能な溶液として分離できる量であれば、特に限定されない。再沈殿溶媒の使用量は、反応終了後に得られた反応混合物1gに対して、0.1g〜1000gとすることができ、好ましくは0.5g〜100g、さらに好ましくは1g〜50g、より好ましくは1g〜20g、特に好ましくは1g〜10g、最も好ましくは1g〜5gである。
(デカンテーション)
本発明の製造方法に適用できるデカンテーションは、固形物と液体とに、又は2層に分離される2種の液体に分離されたヒドロキシアルキル化ポリロタキサンを含有する反応混合物から、ヒドロキシアルキル化ポリロタキサンを含まない液体(例えば、上澄み溶液)を除く操作により、固形物として、ヒドロキシアルキル化ポリロタキサンを分離・精製して取得する操作である。ここで、固形物と液体とに、又は2層に分離される2種の液体に分離する操作は、特に限定されず、例えば、反応混合物、又は前記添加溶媒(例えば、再沈殿溶媒)を加えて再沈殿操作を行なった反応混合物を、そのまま放置(静置)するか、又は遠心分離機等を使用して行なう。なお、デカンテーションに使用する装置は、特に限定されず、例えば、固形物と液体との分離状態又は2種の液体の分離状態等によって適宜決めることができる。
デカンテーションの一例は、以下のとおりである。ポリロタキサンと一般式(1)で示される環状エーテルとの反応終了後、得られた反応混合物から固形物又は液状物を沈殿又は分離させるために、例えば、そのまま放置(静置)するか、添加溶媒(例えば、再沈殿溶媒)を加えて放置(静置)する操作を行なうか、あるいは遠心分離器にて遠心分離を行なう等の方法により、固形物又は液状物と上澄み液とが分離された分離液を得る。なお、その際、放置時間は特に限定されない。
なお、上記デカンテーションにおいて、さらに溶媒を添加する場合、使用される添加溶媒は、前記(再沈殿操作)項に記載の再沈殿溶媒と同じ溶媒種であり、またこれらの溶媒は単独で使用しても、又は複数種類を併用してもよい。さらに、添加溶媒の使用量についても、前記(再沈殿操作)項に記載と同じである。
次いで、得られた分離液から、例えば、傾斜法、及び/又はピペット、スポイト等の器具を用いた方法等を用いて上澄み溶液を除く作業を行い、分離された固形物又は液状物を得る。さらに、分離された固形物又は液状物は、必要に応じて、例えば、使用した添加溶媒を、再度加えて適宜攪拌後、デカンテーションを行って、さらに精製を行なってもよい。なお、上記デカンテーション操作は、繰り返し行なってもよい。
また、デカンテーションによって液状物が得られる場合は、液状物に含まれる溶媒を除去することで、固形物としてヒドロキシアルキル化ポリロタキサンを得ることができる。
また、デカンテーションにて得られた固形物のヒドロキシアルキル化ポリロタキサンは、例えば、さらに後述のろ過作業を行って付着した溶媒を除去したり、又は通常の高分子の精製操作で行なわれるような再沈殿作業を行って、さらに精製を行なってもよい。
(ろ過)
本発明の製造方法に適用できるろ過は、ヒドロキシアルキル化ポリロタキサンを含有する反応混合物から、ヒドロキシアルキル化ポリロタキサンが固形物としてろ別されるような方法であれば、特に限定されない。ろ過は、例えば、ろ紙、ろ布、ガラスフィルター又はメンブレンフィルター等のフィルターを用いて行なうことができる。またフィルターの種類は、使用した有機塩基、溶媒の種類等によって適宜決めることができる。なお、フィルターは、1種のみを使用しても、複数種類を組み合わせて使用してもよい。ヒドロキシアルキル化ポリロタキサンを含有する反応混合物のろ過は、常圧下、減圧下、又は加圧下のいずれの条件下で行ってもよく、また、常温下、冷却下、又は加熱下のいずれの条件下でろ過を行ってもよい。また、ろ過装置は、特に限定されず、条件や操作内容によって適宜決めることができる。
上記より、ろ過にて得られた本発明のヒドロキシアルキル化ポリロタキサンは、例えば、使用した溶媒(水、有機塩基、及び/又は再沈殿溶媒)によるリンス等の通常の高分子の精製操作で行なわれるような操作を行って、さらに精製を行なってもよい。
<ヒドロキシアルキル化ポリロタキサン>
(分子量)
本発明の製造方法によって得られるヒドロキシアルキル化ポリロタキサンの数平均分子量は、30,000〜500,000であることができる。しかしながら、ヒドロキシアルキル化ポリロタキサンの使用用途を考慮した場合、その数平均分子量は、好ましくは60,000〜400,000、より好ましくは80,000〜300,000、特に好ましくは100,000〜200,000、最も好ましくは130,000〜160,000となるように製造する。なお、ヒドロキシアルキル化ポリロタキサンの数平均分子量は、例えば、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC:Gel Permeation Chromatography、標準物質:ポリスチレン、プルラン又はポリエチレンオキシド)によって測定される値である。
(包接率)
本発明の製造方法では、製造原料として使用したポリロタキサン中のシクロデキストリンの包接率に影響を与えることが抑制されているため、本発明の製造方法で得られるヒドロキシアルキル化ポリロタキサンは、製造原料のポリロタキサンと、実質的に同じ包接率を維持することができる。
(ヒドロキシアルキル化修飾率)
本発明の製造方法により得られるヒドロキシアルキル化ポリロタキサンについて、環状分子のヒドロキシ基に対するヒドロキシアルキル化による修飾率(ヒドロキシアルキル化修飾率)は、特に限定されず、例えば、所望の溶媒への分散性等のヒドロキシアルキル化ポリロタキサンの使用目的に応じて、上述した一般式(1)で示される環状エーテルの種類とその使用量、反応溶媒の量、有機塩基の量、反応温度、及び/又は反応時間を適宜調節して制御される。なお、本明細書において、ヒドロキシアルキル化ポリロタキサンのヒドロキシアルキル化修飾率とは、製造原料のポリロタキサンの環状分子のヒドロキシ基の総個数に占める、ヒドロキシアルキル化された環状分子のヒドロキシ基の個数の割合である。本発明の製造方法によれば、ヒドロキシアルキル化ポリロタキサンの修飾率(%)を、0.01〜100%とすることができる。この範囲であれば、ヒドロキシアルキル化ポリロタキサンを用いて塗膜を形成した時に不溶物(異物付着等に由来する突出物)が混入することを抑制することができる。本発明の製造方法によれば、修飾率(%)が、好ましくは20〜100%、より好ましくは40〜100%、特に好ましくは60〜100%のヒドロキシアルキル化ポリロタキサンを取得することができる。
なお、上記のヒドロキシアルキル化ポリロタキサンの修飾率(%)は、具体的には、次のように計算することができる。例えば、理論ヒドロキシ基量が13.6mmol/gであるポリロタキサンであったとする。そこで、α−CDの一部に修飾基として、例えば、ヒドロキシプロピル基(−CHCH(CH)OH)を付与する場合、前記包接率の算出の場合と同様に、H−NMR(500MHz;DMSO−d)スペクトル分析でのチャートにおいて、ケミカルシフト値が4〜6ppmのプロトン(A:α−CDのヒドロキシ基のプロトン及びアノマー位の炭素に結合するプロトンの合計)の実測された積分値と、ケミカルシフトが0.5〜1ppm付近のヒドロキシプロピル基のメチル基のプロトン(B)の実測された積分値とを基準に、ヒドロキシプロピル基の修飾率が算出される。なお、修飾率の算出において、修飾率が100%のときの(A)の理論値は24プロトン、(B)の理論値は54プロトンであることを使用する。
本発明の製造方法により得られたヒドロキシアルキル化ポリロタキサンを用いることで、例えば、これとジイソシアネート化合物とを反応させて、さらにヒドロキシアルキル化ポリロタキサン中のヒドロキシ基を架橋させた、いわゆる架橋ポリロタキサンを製造することができる。この架橋ポリロタキサンは、柔軟性や耐久性が優れたトポロジカルゲル材料として有用である。
また、本発明によれば、水及び有機塩基の存在下にてヒドロキシアルキル化反応を行なうことにより不溶物の生成が抑制され、従って、所望のヒドロキシアルキル化修飾率を有するポリロタキサンを純度よく得ることができる。このようにして得られたヒドロキシアルキル化ポリロタキサンは、各種用途に不具合なく、好適に使用することができる。例えば、ヒドロキシアルキル化ポリロタキサンを製造原料とした架橋ポリロタキサンを用いて塗膜を形成した場合、これまで問題であった不溶物由来の突出物や異物付着等に由来する突出物(ブツ)が抑制される。従って、不良品発生率の低下が期待されることから、ヒドロキシアルキル化ポリロタキサンは、経済的も工業的にも使用し易い材料である。
次に、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。また、本発明の製造原料であるポリロタキサンは、例えば、特許文献1、特許文献4等に記載の方法と同様の方法で製造された以下の特徴を有する化合物である。
<製造原料:ポリロタキサン>
直鎖状分子:ポリエチレングリコール(数平均分子量(GPC*1:Mn):35,000)
環状分子:α−シクロデキストリン
ブロック基:アダマンチル基(両分子末端はアミド結合)
包接率:0.25
理論ヒドロキシ基量:13.6mmol/g
ポリロタキサンの数平均分子量(GPC*1:Mn):130,000*1
*1:GPC分析におけるピークトップの数平均分子量値を使用した。
(実施例1:ヒドロキシプロピル化ポリロタキサンの製造:有機塩基;トリエチルアミン、環状エーテル;プロピレンオキシド)
窒素雰囲気下、撹拌装置、加熱装置、滴下装置、及び温度計を備えた内容積200mlのガラス製フラスコに、ポリロタキサン20.0g(ポリロタキサン中のヒドロキシ基量:0.272モル)、トリエチルアミン5.7g(0.056モル、ポリロタキサン中のヒドロキシ基1モルに対して0.21モル使用)、及び水100.0gを加え、撹拌しながら液温を40℃にした。次いで、この混合物にプロピレンオキシド43.4g(0.75モル、ポリロタキサン中のヒドロキシ基1モルに対して2.75モル使用)を40分かけて滴下した。滴下後、さらに6時間撹拌したところ、反応混合物中のプロピレンオキシドの残存率が、10%を下回ったので反応を終了した。このとき、得られた反応混合物を確認したところ、澄明で、不溶物の生成は認めらなかった。
反応終了後、得られた反応混合物に、液温40℃下にて攪拌しながら、水30.0g、アセトン710.0gを順に加えて、しばらく攪拌を行なった。その後、攪拌を止めてこの溶液を静置したところ2層に分離したので、上澄み液として上層を除去した。次に、得られた下層に、水140.0g、アセトン710.0gを加え、上澄み液を除去する操作を2度行なった。最後に、得られた下層を、エバポレーターを用いて濃縮乾燥し、白色固形物として目的物であるヒドロキシプロピル化ポリロタキサンを20.7g取得した。
なお、得られたヒドロキシプロピル化ポリロタキサン中のトリエチルアミン残存率は0.47%であった。
(実施例2:ヒドロキシプロピル化ポリロタキサンの製造:有機塩基;トリエチルアミン、環状エーテル;プロピレンオキシド)
プロピレンオキシドの使用量を40.0g(0.69モル、ポリロタキサン中のヒドロキシ基1モルに対して2.53モル使用)とした以外は、実施例1と同様の方法で反応を行った。反応終了後、得られた反応混合物を確認したところ、澄明で、不溶物の生成は認めらなかった。
(実施例3:ヒドロキシプロピル化ポリロタキサンの製造:有機塩基;トリエチルアミン、環状エーテル;プロピレンオキシド)
プロピレンオキシドの使用量を32.2g(0.55モル、ポリロタキサン中のヒドロキシ基1モルに対して2.04モル使用)とした以外は、実施例1と同様の方法で反応を行った。反応終了後、得られた反応混合物を確認したところ、澄明で、不溶物の生成は認めらなかった。
(実施例4:ヒドロキシプロピル化ポリロタキサンの製造:有機塩基;トリエチルアミン、環状エーテル;プロピレンオキシド)
トリエチルアミンの使用量を6.4g(0.063モル、ポリロタキサン中のヒドロキシ基1モルに対して0.23モル使用)とし、プロピレンオキシドの使用量を37.0g(0.64モル、ポリロタキサン中のヒドロキシ基1モルに対して2.34モル使用)とした以外は、実施例1と同様の方法で反応を行った。反応終了後、得られた反応混合物を確認したところ、澄明で、不溶物の生成は認めらなかった。
(実施例5:ヒドロキシプロピル化ポリロタキサンの製造:有機塩基;トリエチルアミン、環状エーテル;プロピレンオキシド)
トリエチルアミンの使用量を7.0g(0.068モル、ポリロタキサン中のヒドロキシ基1モルに対して0.25モル使用)とし、プロピレンオキシドの使用量を37.0g(0.63モル、ポリロタキサン中のヒドロキシ基1モルに対して、2.34モル使用)とした以外は、実施例1と同様の方法で反応を行った。反応終了後、得られた反応混合物を確認したところ、澄明で、不溶物の生成は認めらなかった。
(実施例6:ヒドロキシプロピル化ポリロタキサンの製造:有機塩基;トリエチルアミン、環状エーテル;プロピレンオキシド)
トリエチルアミンの使用量を8.4g(0.083モル、ポリロタキサン中のヒドロキシ基1モルに対して0.31モル使用)とし、プロピレンオキシドの使用量を40.0g(0.69モル、ポリロタキサン中のヒドロキシ基1モルに対して、2.53モル使用)とした以外は、実施例1と同様の方法で反応を行った。反応終了後、得られた反応混合物を確認したところ、澄明で、不溶物の生成は認めらなかった。
(実施例7:ヒドロキシプロピル化ポリロタキサンの製造:反応温度:30℃、反応時間:24時間)
反応温度を40℃から30℃とし、反応時間を24時間とした以外は、実施例1と同様の方法で反応を行った。反応終了後、得られた反応混合物を確認したところ、澄明で、不溶物の生成は認めらなかった。
(実施例8:ヒドロキシブチル化ポリロタキサンの製造:有機塩基;トリエチルアミン、環状エーテル;ブチレンオキシド)
トリエチルアミンの使用量を8.4g(0.083モル、ポリロタキサン中のヒドロキシ基1モルに対して、0.31モル使用)とし、プロピレンオキシドに代えてブチレンオキシド40.0g(0.55モル、ポリロタキサン中のヒドロキシ基1モルに対して2.04モル使用)を使用した以外は、実施例1と同様の方法で反応を行った。反応終了後、得られた反応混合物を確認したところ、澄明で、不溶物の生成は認めらなかった。
(実施例9:ヒドロキシプロピル化ポリロタキサンの製造:有機塩基;ピリジン、環状エーテル;プロピレンオキシド)
有機塩基をトリエチルアミンからピリジン4.4g(0.056モル、ポリロタキサン中のヒドロキシ基1モルに対して0.20モル使用)とした以外は、実施例1と同様の方法で反応を行った。反応終了後、得られた反応混合物を確認したところ、澄明で、不溶物の生成は認めらなかった
(比較例1:ヒドロキシプロピル化ポリロタキサンの製造:水酸化ナトリウム使用、環状エーテル;プロピレンオキシド)
窒素雰囲気下、撹拌装置、加熱装置、及び温度計を備えた内容積200mlのガラス製フラスコに、ポリロタキサン20.0g(ポリロタキサン中のヒドロキシ基量:0.272モル)及び水酸化ナトリウム6.2g(0.155モル、ポリロタキサン中のヒドロキシ基1モルに対して0.56モル使用)、水100.0gを加え、撹拌しながら40℃に昇温した。次いで、この混合物にプロピレンオキシド40.0g(0.69モル、ポリロタキサン中のヒドロキシ基1モルに対して2.53モル使用)を40分かけて滴下した。滴下後、さらに6時間撹拌したところ、反応混合物中のプロピレンオキシドの残存率が、10%を下回ったので反応を終了した。このとき、得られた反応混合物を確認したところ、白色の不溶物の生成が認められた。
反応終了後、得られた反応混合物に20%塩酸26.7gを加えて中和を行い、次いでアセトン710.0gを加えて、しばらく攪拌を行なった。その後、攪拌を止めてこの溶液を静置したところ2層に分離したので、上澄み液として上層を除去した。次に、得られた下層に、水140.0g、アセトン710.0gを加え、上澄み液を除去する操作を2度行なった。最後に、得られた下層を、エバポレーターを用いて濃縮乾燥し、白色固形物として目的物であるヒドロキシプロピル化ポリロタキサンを20.7g取得した。
なお、得られたヒドロキシプロピル化ポリロタキサン中の塩化ナトリウム残存率は0.04%であった。
(比較例2:ヒドロキシプロピル化ポリロタキサンの製造:水酸化ナトリウム使用、環状エーテル;プロピレンオキシド)
水酸化ナトリウム使用量を3.3g(0.083モル、ポリロタキサン中のヒドロキシ基1モルに対して0.30モル使用)とし、プロピレンオキシドの使用量を29.0g(0.50モル、ポリロタキサン中のヒドロキシ基1モルに対して、1.84モル使用)とした以外は、比較例1と同様の方法で反応を行った。反応終了後、得られた反応混合物を確認したところ、白色の不溶物の生成が認められた。
(比較例3:ヒドロキシプロピル化ポリロタキサンの製造:水酸化ナトリウム使用、環状エーテル;プロピレンオキシド)
水酸化ナトリウム使用量を3.3g(0.083モル、ポリロタキサン中のヒドロキシ基1モルに対して0.30モル使用)とし、プロピレンオキシドの使用量を25.8g(0.44モル、ポリロタキサン中のヒドロキシ基1モルに対して1.63モル使用)とした以外は、比較例1と同様の方法で反応を行った。反応終了後、得られた反応混合物を確認したところ、白色の不溶物の生成が認められた。
次に、上記実施例及び比較例の結果を纏めると次の表1のようになった。
Figure 0006196964
*1:使用したポリロタキサンのヒドロキシ基1モルに対する有機塩基の使用量(モル)
*2:使用したポリロタキサンのヒドロキシ基1モルに対するアルキレンオキシドの使用量(モル)
*3:ヒドロキシアルキル化ポリロタキサンのヒドロキシアルキル化修飾率(%)
本発明によれば、工業的に好適なヒドロキシアルキル化ポリロタキサンの製造方法が提供される。より具体的には、簡便な操作にて、反応中の不溶物の生成を抑制し、純度よく、所望のヒドロキシアルキル化修飾率を有するポリロタキサンを得ることができる。本発明の製造方法は、有機塩基を使用した方法であり、水酸化ナトリウム等を使用した場合のように、目的物の分解、装置の腐食及び安全性の面等から問題が発生することを回避でき、さらに酸等を用いた中和処理や中和後の塩の透析処理も不要とすることができる。
本発明の製造方法は、ろ過及び/又はデカンテーションと組み合わせることにより、使用した有機塩基のみならず、その他の不純物(環状エーテル同士の反応物等)のほか、所望とするヒドロキシアルキル化修飾率の範囲外のヒドロキシアルキル化ポリロタキサンをも除去することができ、一定のヒドロキシアルキル化修飾率を有するヒドロキシアルキル化ポリロタキサンを収率よく、また純度よく取得することができ、各種用途に不具合なく、好適に使用することができる。ヒドロキシアルキル化ポリロタキサンは架橋させ、架橋ポリロタキサンとすることができ、この架橋ポリロタキサンは、トポロジカルゲルとしての特有の性質である優れた柔軟性、耐久性等を示すため、例えば、パッキング材料、クッション材、自動車や種々の装置の緩衝材、装置の摩擦部分のコーティング材、接着剤、粘着剤、シール材料、ソフトコンタクトレンズ用材料、タイヤ用材料、電気泳動用ゲル、生体適合性材料、湿布材料、塗布材料又は創傷被覆材等の体外に用いる医療用材料、ドラッグデリバリーシステム、写真用感光材料、種々の塗料及び上記コーティング材料を含むコーティング材料の構成成分等、分離機能膜、水膨潤ゴム、止水テープ、吸湿ゲル化剤、建築物用耐火被覆材、放熱材料、廃泥ゲル化剤、クロマトグラフィー担体用材料、バイオリアクター担体用材料、燃料電池又は電解質等の種々の電池材料等として有用である。
日本特許出願2012−082226号の開示はその全体を本明細書に援用する。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、および技術規格は、個々の文献、特許出願、および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書に参照により取り込まれる。

Claims (7)

  1. ヒドロキシ基を有する環状分子、環状分子に串刺し状に包接される直鎖状分子、及び直鎖状分子から環状分子が脱離しないように直鎖状分子の両分子末端に配置されるブロック基を有するポリロタキサンと、一般式(1):
    Figure 0006196964

    (式中、R〜Rは、それぞれ互いに独立して、水素原子であるか、あるいは非置換又はフッ素原子、ニトロ基、シアノ基、アルコキシ基若しくはヒドロキシ基で置換されている、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基であり、
    とR、又はRとRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、3〜12員の炭素環を形成していてもよく、
    又はRとR又はRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、3〜12員の炭素環を形成していてもよく、
    Lは、単結合、あるいは非置換又はフッ素原子、ニトロ基、シアノ基、アルコキシ基若しくはヒドロキシ基で置換されている、炭素原子数1〜12のアルキレン基であるが、
    ただし、一般式(1)の炭素原子数は、50を越えないこととする)で示される環状エーテルとを、水及び有機塩基の存在下にて反応させることを含み、
    前記環状エーテルが、オキシラン、メチルオキシラン、エチルオキシラン、プロピルオキシラン、ブチルオキシラン、フェニルオキシラン及びグリシドールからなる群より選択される1種以上であり、
    前記有機塩基が、脂肪族第三級アミン類、芳香族第三級アミン類、脂環式第三級アミン類及び複素脂環式第三級アミン類、ピリジン類、イミダゾール類並びにトリアゾール類からなる群より選択される1種以上である、
    ヒドロキシアルキル化ポリロタキサンの製造方法。
  2. 前記有機塩基が、トリアルキルアミン及びピリジン類からなる群より選択される1種以上である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記有機塩基の使用量が、製造原料であるポリロタキサン中のヒドロキシ基1モルに対して0.10モル以上1モル未満である、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記ヒドロキシ基を有する環状分子が、α−シクロデキストリンである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. ポリロタキサンと一般式(1)で示される環状エーテルとの反応後に、デカンテーションにより、有機塩基の少なくとも一部を除去することを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 水の使用量がポリロタキサン1gに対して0.1g〜150gである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 水酸化ナトリウムの不存在下に反応させる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
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