JP6196755B2 - 吹付けコンクリート - Google Patents

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Description

本発明は、施工性を維持しつつ強度及び耐久性を高めた吹付けコンクリート、及び、この吹付けコンクリートによって構築された水路トンネルに関する。
一般に、トンネル工事に用いる吹付けコンクリートは掘削面の仮設支保材の一部として用いられており、その内面には二次覆工コンクリートが施工されるのが一般的である。このため、吹付けコンクリート自体の耐久性が問題とされることはなかった。近年、新たな覆工構造としてシングルシェル構造などの新しい概念が提案されており、岩盤状況によっては一次覆工(吹付けコンクリート)のみで、二次覆工を省略し簡略化したトンネル構造も検討されると思われる。この場合、吹付けコンクリートにも耐久性が求められることが予想される。
また、大断面トンネルでは、従来の2倍程度の設計基準強度(36N/mm)を有する高強度吹付けコンクリートが用いられるようになってきたが、これまでに吹付けコンクリートの耐久性について検討された事例は少ない。
例えば、特許文献1には、吹付けコンクリートの耐久性(凍結融解抵抗性)を高める目的で、セメントコンクリートの空気量を7%以上にする技術が開示されている。また、特許文献2には、金網枠外へのダレを無くす目的で、圧送前コンクリートの空気量を15〜40体積%にする技術が開示されている。
特開2002−249363号公報 特許第2814008号公報
前述の各特許文献のように、吹付けコンクリートに含まれる空気量を増やした場合、凍結融解抵抗性を高めることはできるが、耐久性を左右する他の要素であるすり減り抵抗性(耐摩耗性)を高めることは困難である。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、高強度の吹付けコンクリートにおいて、耐久性を高めることにある。
前記目的を達成するため、本発明は、セメントと、フライアッシュと、細骨材及び粗骨材からなる骨材を含むベースコンクリートに、急結材を混合してなる吹付けコンクリートであって、水セメント比を35%〜45%、細骨材率を50%〜60%、及び、前記ベースコンクリートにおける空気量を6%〜10%としたことを特徴とする。
本発明によれば、水セメント比を35%〜45%と一般的な吹付けコンクリートの配合よりも低く設定しているので、高強度を実現できる。そして、細骨材率も45%〜60%と一般的な吹付けコンクリートの配合よりも低く設定しているので、単位粗骨材量が多くなり、すり減り抵抗性を高めることができる。加えて、良好な施工性を確保することもできる。また、空気量を6%〜10%に設定しているので、耐凍結融解性を向上させることができる上、すり減り抵抗の低下を抑えることができる。
前述の吹付けコンクリートにおいて、前記フライアッシュの量を前記セメントの10%〜20%の量とした場合には、同等の吹付け性状を得るための配合として骨材量を減らすことができ、長期材齢における強度を高めることができる。
本発明によれば、高強度の吹付けコンクリートにおいて耐久性を高めることができる。
(a)は試験に使用した吹付けコンクリートの配合を示す図である。(b)は吹付け前のベースコンクリートの性状を示す図である。 吹付けシステムを説明する図である。 (a)は試験用の型枠を示す図である。(b)は型枠に吹付けコンクリートを吹付けている様子を示す図である。 (a)はピン貫入試験の結果を示す図である。(b)はプルアウト試験の結果を示す図である。 コア供試体の圧縮強度の推移を示す図である。 質量減少率の変化を示す図である。 相対動弾性係数の変化を示す図である。 すり減り試験前と6時間試験後の試験体(配合No.1〜3)を示す写真である。 すり減り試験前と6時間試験後の試験体(配合No.4,5)を示す写真である。 すり減り係数と試験時間の関係を示す図である。 すり減り係数と圧縮強度の関係を示す図である。 中性化速度係数を示す図である。 透水係数を示す図である。 (a)は塩分浸透深さの一覧を示す図である。(b)は供試体(配合No.4,2)における塩分の浸透状況を示す写真である。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。本発明者等は、高耐久・高強度吹付けコンクリートを実現すべく、耐久性評価実験を実施した。そこで、この耐久性評価実験について説明することとする。
この耐久性評価実験では、図1(a)に示す配合No.1〜5について、ピン貫入試験、プルアウト試験、コアの圧縮強度試験、凍結融解試験、すり減り試験、中性化促進試験、透水試験、及び塩分浸透試験を行った。
配合No.1〜5のうち、配合No.4は、設計基準強度が36N/mmとされた高い強度を有する配合である。この設計基準強度36N/mmは、大断面トンネルである第二東名高速の構築時に基準として採用された強度である。そこで、本明細書では、当該強度を有する配合No.4を基準配合と呼称する。また、配合No.4よりも高い強度を有する配合No.1〜3,5の各配合を高強度配合と呼称する。
使用材料について説明する。略号Cのセメントは普通ポルトランドセメントを用いた。このセメントの密度は3.15g/cmである。略号FAのフライアッシュはJISII種規格品を用いた。このフライアッシュの密度は2.23g/cmである。略号Wの水は水道水を用いた。水の密度は1.00g/cmである。略号Sの細骨材は川砂(FM=2.90)を用いた。この細骨材の密度は2.62g/cmである。略号Gの粗骨材は6号砕石(Gmax:13mm)を用いた。この粗骨材の密度は2.67g/cmである。混和剤は符号SPの高性能AE減水剤と符号AEの空気量調整剤を用いた。高性能AE減水剤はポリカルボン酸系のものを用いた。この高性能AE減水剤の密度は1.05g/cmである。空気量調整剤は陰イオン系のものを用いた。この空気量調整剤の密度は1.04g/cmである。略号Qの急結剤はCSA(カルシウムサルフォアルミネート)系の粉体急結剤を用いた。この急結剤の密度は2.7g/cm〜2.9g/cmである。
まず基準配合である配合No.4について説明する。この配合No.4では、単位セメント量を450kg/m、単位水量を203kg/mとすることで、水セメント比(W/C)を45%にした。そして、単位量1081kg/mの細骨材と単位量593kg/mの粗骨材を用いることで、細骨材率(s/a)を65%にした。また、空気量を増やさない観点から空気量調整剤を添加していない。加えて、高性能AE減水剤をセメント単位量の0.8%添加し、急結剤をセメント単位量の7%添加した。
次に高強度配合である配合No.1〜3,5について説明する。これらの配合では、単位セメント量を557kg/m、単位水量を195kg/mとすることで、水セメント比を35%にした。また、基準配合と同様に、急結剤をセメント単位量の7%添加した。そして、細骨材の一部として単位量111kg/mのフライアッシュを用いる(外割添加)とともに細骨材(川砂)と粗骨材の単位量を調整することで、細骨材率を50%〜70%に調整した。
例えば、配合No.1では、単位量877kg/mの細骨材と単位量596kg/mの粗骨材を用いることで、細骨材率を60%にした。配合No.2では、単位量731kg/mの細骨材と単位量745kg/mの粗骨材を用いることで、細骨材率を50%にした。配合No.3では、単位量1023kg/mの細骨材と単位量447kg/mの粗骨材を用いることで、細骨材率を70%にした。配合No.5では、単位量887kg/mの細骨材と単位量596kg/mの粗骨材を用いることで、細骨材率を60%にした。
なお、配合No.1〜3,5にて細骨材の一部をフライアッシュに置換した理由は、高粉体量になった各配合において、急結剤の混合性や吹付け性状の改善、及び長期材齢(28日以降)での強度発現を狙ったためである。
空気量調整剤に関し、配合No.1〜3では、目標空気量を6%〜10%(8%±2%)にする観点から、空気量調整剤をセメント単位量の0.06%添加した。また、配合No.5では、10%を超える目標空気量を達成するため、空気量調整剤をセメント単位量の0.5%添加した。なお、備考欄に示すように、配合No.1〜3と配合No.5とでは、空気量調整剤の種類を替えている。
本実施形態では目標空気量を6%〜10%に定めているが、これは吹付け後の空気量を4〜6%に保つためである。急結剤がない場合、吹付け作業によって、空気量がベースコンクリートの1/2〜2/3程度まで低下するという知見がある。このような空気量の低下を見越して、本実施形態では吹付け前の目標空気量を6%〜10%に定めている。
高性能AE減水剤に関し、配合No.1〜3では、450mm〜700mmの目標スランプフローを達成するため、セメント単位量の1.3%〜1.6%添加した。また、配合No.5では、セメント単位量の1.9%添加した。本実施形態では、目標スランプフローを450mm〜700mmに定めた理由は、流動性を高めて吹付け時の作業性を向上させるためである。
吹付け前のベースコンクリートの性状について説明する。図1(b)に示すように、スランプフローに関し、配合No.1では635mm、配合No.2では545mm、配合No.3では750mmであり、目標スランプフローの範囲内であった。一方、配合No.4では290mm、配合No.5では803mmであり、目標スランプフローの範囲から外れていた。
空気量に関し、配合No.1では8.9%、配合No.2では6%、配合No.3では9%と、配合No.1〜3の何れも目標空気量の範囲内であった。一方、基準配合である配合No.4では3.8%、空気量を多めに設定した配合No.5では12.9%であった。
次に、各配合No.1〜5による供試体の作製について説明する。供試体はベースコンクリートから作成するものと、吹付けコンクリートから作成するものがある。吹付けコンクリート供試体の作製には、図2に示す吹付けシステムと、図3(a)に示す試験用の型枠を用いた。なお、図2の吹付けシステムは、吹付けコンクリートの吹付けを行う吹付け工法にも用いられる。
例示した吹付けシステムは、コンクリートポンプ1と、ホッパー2と、吹付けノズル3と、コンプレッサ4,5と、エアドライヤ6と、流量調整器7,8と、ほぐしエアY字管9と、急結剤混合Y字管10とを有している。
コンクリートポンプ1は、急結剤を除いたベースコンクリートを圧送する装置である。この試験では、ベースコンクリートを近隣のレディーミクストコンクリート工場で製造し、短時間(約15分)で吹付け現場まで運搬し、フレッシュ性状を確認した後にコンクリートポンプ1へ投入した。
コンクリートポンプ1から圧送されたベースコンクリートは、ほぐしエアY字管9に送られ、コンプレッサ4からの圧縮空気によってほぐされる。その際、流量調整器7による圧縮空気の流量調整により、ベースコンクリートのほぐし具合が調整される。そして、ほぐされたベースコンクリートは、急結剤混合Y字管10へと送られる。
ホッパー2は、粉体状の急結剤を貯留する装置である。ホッパー2に貯留された急結剤は、エアドライヤ6で乾燥されたコンプレッサ5からの空気により、急結剤混合Y字管10へ搬送される。その際、流量調整器8によって搬送量が調整される。
急結剤混合Y字管10ではベースコンクリートに急結剤が混合されて吹付けコンクリートが作製され、その先に接続された吹付けノズル3を介して対象に吹き付けられる。この吹付けノズル3を所望の吹付け箇所に向けて各部を動作させることで、吹付けコンクリートの吹付けが行われる。
図3(a)に示すように、型枠は、強度/耐久性試験用の木製箱型枠11と、プルアウト試験用型枠12とを用いた。そして、図3(b)に示すように、吹付けノズル3をこれらの型枠11,12に向けて吹付けコンクリートを吹き付けることで、型枠11,12に対するコンクリートの充填が行われる。
前述したように、本実施形態では、ピン貫入試験、プルアウト試験、コアの圧縮強度試験、凍結融解試験、すり減り試験、中性化促進試験、透水試験、及び塩分浸透試験を行った。これらの試験のうち、凍結融解試験とすり減り試験の供試体は、角柱或いは平板状に切り出して試験に供した。また、コアの圧縮強度試験、中性化促進試験、透水試験、塩分浸透試験では、円柱のコアを採取して試験に供した。
具体的に説明すると、ベースコンクリートの供試体は、フレッシュ性状を確認した後のベースコンクリートをφ10cm×h20cmの型枠に採取し、翌日脱型して20℃の水中で養生し、所定材齢に達した時点で試験に供した。吹付けコンクリートについては、木製箱型枠11に吹付けを行い、硬化確認後にコア採取と試験体の切り出しを行った。なお、すり減り試験と凍結融解試験の試験体切り出し、及び、中性化促進試験、透水試験、塩分浸透試験のコア採取は、材齢28日から各試験が開始できるよう材齢3週程度で実施した。
ピン貫入試験はJHS-726-2008に従い、貫入深さから換算圧縮強度を算定した。現場気中で養生し、材齢は1時間,3時間,24時間とした。プルアウト試験はJSCE-G 561-2010に従い、引抜き力から換算圧縮強度を算定した。現場気中で養生し、材齢は3時間,24時間とした。コアの圧縮強度試験はJIS A 1107-2002に従って行った。供試体の寸法はφ5.5cm×h11cmとした。凍結融解試験はJIS A 1148-2010に従って行った。10cm×10cm×40cmの供試体を用い、切り出し後材齢28日まで20℃の水中で養生した。
すり減り試験は電中研方式(O式すり減り試験)に従って行った。φ20mm×40mmの炭素鋼を25個用い、水量を20L/minとした。そして、試験開始材齢を28日とし、回転数60rpmで2時間,4時間,6時間後のすり減り減量からすり減り係数を算定した。中性化促進試験はJIS A 1153-2003に従って行った。二酸化炭素濃度を5%、温度を30℃、相対湿度を50%に設定した。材齢28日から3ヶ月間暴露し、中性化深さを計測した。透水試験はインプット法で行った。供試体の寸法はφ15cm×h15cmとし、5MPaで48時間加圧した。透水深さから拡散係数と透水係数を算定した。塩分浸透試験はJSCE-G572-2010に従って行った。供試体の寸法はφ15cm×h15cmとし、温度20℃の10%塩化ナトリウム水溶液に6ヶ月間浸漬した。呈色法によって浸透深さを計測した。
以下、試験結果について説明する。まず、吹付けコンクリートの施工性について説明する。配合No.4(基準配合)及び配合No.1,2(高強度配合)ともに、吐出量9〜10cm/時間程度、急結材使用量5〜7kg/minの条件下で、良好な吹付け施工が可能であった。配合No.1は、配合No.4に比べて若干粉塵量が多くなったものの、吹き付け・付着性状は良好であった。配合No.2は、急結材剤の混合状態や付着状態などの吹付け性状が配合No.4よりもやや優れていた。しかし、細骨材率を70%にした配合No.3は、急結剤の混合性が悪く、吹付け性状もやや劣る結果となった。高強度配合(配合No.1,2)は、総粉体量が極めて多く、粘性が高い配合のため、細骨材率を通常よりも少し低減した方が急結材の混合状態も良くなり、より安定した吹付け施工が可能になると考えられる。
次に、材齢1日以下の初期強度について説明する。図4(a)に、吹付け後1時間及び3時間におけるピン貫入試験による換算圧縮強度を示す。配合No.1,2,4の何れも急結材添加率(対セメント重量)を一定に調整したが、材齢1時間後の圧縮強度の換算値は、配合No.4では0.7N/mm,配合No.1では2.1N/mm,配合No.2では1.2N/mmとなり、高強度配合の方が高くなった。材齢3時間後の圧縮強度の換算値もまた、配合No.4では2.1N/mm,配合No.1では2.7N/mm,配合No.2では3.0N/mmとなり、高強度配合の方が高くなった。
図4(b)に、吹付け後3時間及び24時間におけるプルアウト試験による換算圧縮強度を示す。材齢3時間後の圧縮強度の換算値は、配合No.4の2.1N/mmに対して、配合No.1では3.1N/mm,配合No.2では3.2N/mmであり、ピン貫入試験の圧縮強度の換算値と同等であった。吹付けコンクリートの水セメント比を基準配合から10%低減することにより、3時間強度を30〜50%増加させることができた。また、プルアウト試験による材齢24時間後の圧縮強度の換算値は、配合No.4の15.2N/mmに対して、配合No.1では21.1N/mm,配合No.2では24.7N/mmであり、水セメント比を基準配合から10%低減することにより、24時間強度を40〜60%増加させることができた。
以上のように、高強度吹付けコンクリート(配合No.1,2)は、従来の基準配合(配合No.4)よりも極初期材齢から高い強度を得られることが確認できた。
次に、長期強度について説明する。吹付け試験体(ブロック,以下同じ)から採取したコア供試体の圧縮強度の推移を図5に示す。配合No.1,2の材齢28日までの圧縮強度は基準配合に比べて同等かやや低い結果であったが、材齢9ヶ月における圧縮強度は、細骨材率に係わらず75N/mm以上の高強度が得られ、配合No.4に比べて20%程度高い値となった。これは、フライアッシュをセメントの外割で20%添加した配合としているため、長期材齢での強度増進が生じた結果と思われる。なお、10%〜20%の添加量とすることで同様の効果を奏すると考えられる。
次に、耐凍結融解性について説明する。吹付け試験体から切り出した供試体の凍結融解試験おける質量減少率の変化を図6に、相対動弾性係数(試験開始時からの弾性係数の残存率)の変化を図7に示す。
重量減少率に関し、配合No.5では、質量減少が大きく、表面が削れるスケーリングが発生した。これに対し他の配合No.1〜4では、符号Aの楕円で示すように、凍結融解の繰り返しが550サイクルに達するまで質量減少が殆どみられず、良好な結果が得られた。相対動弾性係数に関し、ベースコンクリートの空気量が4%未満と比較的少なかった配合No.4では、凍結融解の繰り返しが300サイクルに達する前に60%以下の値となった。これに対し、配合No.1〜3,5では、300サイクルで75%〜95%と高く、かなり良好な耐久性状が確認された。なお、配合No.1では、400サイクルで60%を下回り、符号Bの楕円で示す他の配合よりも耐凍結融解性がやや劣る結果となった。
吹付けの前後で空気量を計測してみたところ、ベースコンクリートで14〜15%程度の多量の空気が混入された配合であっても、ほぐしエアを混合し空気圧送して吹き付けた後(急結剤なしの場合)では、空気量が5.5%程度まで急激に低下することが確認されている。従って、吹付け施工における空気量のロスをあらかじめ考慮すると、ベースコンクリートには6〜10%程度の空気量が必要と考えられる。すなわち、空気量調整剤を併用してベースコンクリートの空気量を8±2%程度まで高めておくことにより、高い耐凍結融解性を確保できるといえる。
次に、すり減り抵抗性(耐摩耗性)について説明する。配合No.1〜3の試験体について、試験前と6時間試験後の写真を図8に示す。配合No.4,5の試験体について、試験前と6時間試験後の写真を図9に示す。また、すり減り係数と試験時間の関係を図10に、すり減り係数と圧縮強度の関係を図11にそれぞれ示す。
何れの配合においても、すり減り係数は、すり減り時間の増加に比例して大きくなることが確認された。そして、細骨材率が小さいほど(粗骨材が多いほど)、圧縮強度が大きいほど、すり減り係数が小さくなることも確認された。また、同程度の圧縮強度を示す配合No.1と配合No.2とを比較すると、細骨材率の小さい(砂利が多い)配合No.2の方が小さいすり減り係数となった。一方、図11に示すように、砂が多い(細骨材率の大きい)配合No.3は、大きなすり減り係数となった。
図10に示すように、配合No.2のすり減り係数は、配合No.4のすり減り係数に比べて約8%低減し、水セメント比45%の硬練り高強度コンクリートと同等になった。配合No.2は、配合No.4よりも細骨材率が15%小さく、単位粗骨材量は1mあたり152kg(≒57L)も多いために、圧縮強度がほぼ同等であっても、すり減りに対する抵抗性が改善されたと考えられる。なお、配合No.1は、配合No.4に比べて細骨材率が5%小さいものの、単位粗骨材量や圧縮強度がほぼ同等となったため、すり減り係数に差異が生じなかったと考えられる。
一般に、吹付けコンクリートでは、跳ね返りを低減するために、細骨材率を通常のコンクリートよりも大きく設計することが多いが、高強度吹付けコンクリートの配合では、粉体総量が多く、粘性も高いため、細骨材率を、配合No.2よりも5%低い45%程度まで低減した場合でも、吹付け時の施工性や品質を阻害することなく、すり減り抵抗性を向上させることが可能といえる。
次に、中性化について説明する。図12は、吹付け試験体から採取したコア供試体の中性化速度係数を示す。この中性化速度係数は、コア供試体における促進中性化13週後の中性化深さから算定した。促進倍率を60倍と仮定して計算した中性化速度係数は、水セメント比45%の配合No.4では、0.83mm/√年であるが、水セメント比35%の配合No.1では、0.60mm/√年、配合No.2では、0.65mm/√年となった。水セメント比35%とした配合No.1,2であっても、通常の打ち込みを行った場合と同様に中性化の進行速度は遅いことが確認された。これらの値は、水セメント比45〜46%の現場打ちコンクリートに匹敵するものであった。
この結果より、単位セメント量が多い配合No.1,2では、アルカリ性の急結剤が多量に混合されていることもあって、吹付け施工した硬化体でも中性化に対する抵抗性は比較的高いと考えられる。
次に、水密性について説明する。図13は、吹付け試験体から採取したコア供試体の透水係数を示す。この透水係数は、コア供試体の透水試験より得られた透水深さから算定した。5MPaの水圧を吹付け表面側から48時間作用させた場合の結果である。水セメント比45%の配合No.4では4.4×10−12cm/s、水セメント比35%の配合No.1では2.6×10−12cm/s、水セメント比35%の配合No.2では7.2×10−13cm/sとなった。
吹付けコンクリートにおいても、通常の打込み・締固めを行った場合(水セメント比45%の高強度配合で10−12〜10−13cm/s程度)に近い水準になることが確認された。また、良好な吹付け施工が行える粘性の範囲内であれば、水セメント比を低減することで水密性もさらに向上できることが確認された。従って、吹付けコンクリートでも、配合選定と施工管理を適切に行えば、十分良好な水密性を有する構造体が構築できると考えられる。
次に、遮塩性について説明する。図14(a),(b)は、6ヶ月間の塩水浸漬試験における塩分浸透深さの測定結果を示す。浸漬水の塩分濃度は10%であり、温度は20℃である。配合No.4の塩分浸透深さに比べ、配合No.1,2の塩分浸透深さは半分程度まで低減しており、塩分浸透に対する抵抗性は極めて高いことが確認された。これは、水セメント比を10%低減した効果と、フライアッシュを多量に外割混合している効果が大きいと思われる。また、細骨材率の小さな配合No.2の方が、塩分浸透深さがさらに小さくなっていることから、粗骨材量の多少の影響もあると思われる。
今回の試験結果は、土木学会基準JSCE-G572 2010の表1に記載されている浸透深さの目安値(水セメント比40%のOPC配合で20〜25mm)に比べて著しく小さな値となっており、配合No.1,2は塩分浸透に対する抵抗性が極めて高いと考えられる。
以上のことから、中性化速度が小さくなった結果と合わせて考えると、トンネル支保工における鉄筋やロックボルト、鋼材等の防食性に関しては、良好な性能が期待できると考えられる。
以上に示した高強度吹付けコンクリートの耐久性評価実験の結果をまとめると以下のようになる。
(1)高強度吹付けコンクリート(配合No.1,2)では、基準配合(配合No.4)に比べて水セメント比が35%と小さく粉体総量が多い。これに伴って、コンクリートの粘性が高くなるので、ベースコンクリートのスランプは通常よりも大きめに、目標スランプフローを450mm〜700mmに設定することで良好な施工性が得られる。なお、水セメント比に関し、基準配合以下に定めても(35〜45%の範囲に定めても)同様の作用効果が得られる。
(2)細骨材率は、45〜60%と従来の吹付け配合よりも低減することが可能である。粉体総量によっては、45%程度まで低減しても良好な吹付け性能、付着性状が得られると考えられる。
(3)材齢1日以下の初期強度は、1時間で1.2〜2.1N/mm程度、3時間で2.7〜3.2N/mm程度、24時間で21.1〜24.7N/mm程度の高い強度が得られた。
(4)長期強度は、材齢28日で50〜55N/mm程度、材齢9ヶ月で75N/mm以上の高強度が得られた。これは、フライアッシュの外割混合の効果と考えられる。
(5)耐凍結融解性は、ベースコンクリートの空気量を6〜10%程度まで高めることで、相対動弾性係数(耐久性指数)で75%以上の良好な性状が得られた。この場合、細骨材率を50%まで低減した配合の方がより良好な耐凍結融解性を示した。
(6)すり減り抵抗性(耐摩耗性)は、細骨材率を低減させて単位粗骨材量を多くした配合にすることで改善できた。例えば細骨材率を50%まで低減させることで、十分なすり減り抵抗性が得られる。このため、吹付け施工で構築した構造物(例えば水路トンネル)でも、十分なすり減り抵抗性が期待できる。
(7)水密性は、通常の打込み・締固めを行った場合と同水準にすることができる。そして、良好な吹付け施工ができた場合には水密性が相対的に高くなり、密着度の高い岩着部付近での透水係数は10−13〜10−14cm/s程度になる。
(8)高強度吹付けコンクリートの中性化に対する抵抗性は極めて高い。これは水セメント比が低いことと急結剤の混入効果と考えられ、フライアッシュの外割混合による長期間のポゾラン反応の進展も影響を与えていると思われる。
(9)高強度吹付けコンクリートの塩分浸透に対する抵抗性は、基準配合の2倍以上と極めて高い。上記の中性化に対する効果と合わせて、鉄筋やロックボルト、鋼材等の防食性も高いと考えられる。
以上のことから総合的に判断すると、本実施形態に係る高強度吹付けコンクリートの耐久性は非常に良好であり、水セメント比45%程度の打ち込み・締固め施工したコンクリートと同等の高耐久性が期待できると考えられる。
従って、この高強度吹付けコンクリートを用いることで、吹付けコンクリートであっても高強度・高耐久性を有する構造物を容易に構築できる。そして、高強度化による効果と相まって、二次覆工のないシングルシェル構造などの本設トンネル覆工構造への適用性は高いと考えられる。特に、水路トンネルの場合、トンネル内壁面に沿って水流が流れるため、トンネル壁面には高度な耐久性が求められる。そのような構造物においても高強度吹付コンクリートにより迅速な施工が可能となる。
以上の実施形態の説明は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に本発明にはその等価物が含まれる。
例えば、セメントに関し、普通ポルトランドセメントを例示したが、他の種類のセメントであってもよい。また、細骨材に関し、その全量を川砂としてもよい。
1…コンクリートポンプ,2…ホッパー,3…吹付けノズル,4…コンプレッサ,5…コンプレッサ,6…エアドライヤ,7…流量調整器,8…流量調整器,9…ほぐしエアY字管,10…急結剤混合Y字管,11…木製箱型枠,12…プルアウト試験用型枠

Claims (2)

  1. セメントと、フライアッシュと、細骨材及び粗骨材からなる骨材を含むベースコンクリートに、急結材を混合してなる吹付けコンクリートであって、
    水セメント比を35%〜45%、細骨材率を50%〜60%、及び、前記ベースコンクリートにおける空気量を6%〜10%としたことを特徴とする吹付けコンクリート。
  2. 前記フライアッシュの量を前記セメントの10%〜20%の量としたことを特徴とする請求項1に記載の吹付けコンクリート。
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