JP6195459B2 - 干渉計用可動ミラーの速度制御装置、フーリエ変換分光光度計 - Google Patents
干渉計用可動ミラーの速度制御装置、フーリエ変換分光光度計 Download PDFInfo
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Description
フーリエ変換分光光度計においては、逐次比較型ADコンバータと干渉計のアナログドライブ制御との組み合わせが一般的だったが、近年、データのS/Nの改善を図るため、基本クロックにより、自走的にAD変換(オーバーサンプリング)を行うΔΣ型ADコンバータ20を採用するものが増えてきた。この場合、基本クロックは可動ミラーがHe−Neレーザの1周期分又は1/2周期分だけ動く時間よりも更に短く、また可動ミラーの速度と非同期である。このため、可動ミラーの速度にふらつきがあると、インターフェログラムのサンプリング距離間隔がばらつくことになり、フーリエ変換の精度を落としてしまう。従って、可動鏡の等速性が必須の条件である。
前記可動ミラーを移動させる移動手段と、
前記移動手段に駆動電流を供給する電流供給手段と、
前記電流供給手段に出力電流の指令値を送る電流制御手段と、を備え、
前記移動手段には、前記可動ミラーに加わる外部振動を検出するための加速度センサが設けられ、
前記電流制御手段は、前記加速度センサの検出値に基づいて可動ミラーの移動方向に作用する加速度を打ち消すための電流変化成分を決定し、該電流変化成分を前記出力電流の指令値に与えることを特徴とする。
前記電流制御手段は、記憶された前記指令値に基づいて前記可動ミラーの位置ごとの見かけの重さを予測する予測手段を有し、次の速度制御において予測された前記見かけの重さに応じた出力電流の指令値を用いることが好ましい。
また、前記電流制御手段は、次の速度制御において予測された前記見かけの重さに応じた出力電流の指令値を用いることで、該見かけ重さの予測分だけ、前記加速度センサの検出値に基づく前記電流変化成分による前記出力電流の指令値の制御量を小さく抑えることが好ましい。
また、前記記憶部は、過去に前記出力電流の指令値を適用した可動ミラーの位置よりも該ミラーの進行方向にずれた位置情報に関連付けて、該指令値を記憶することが好ましい。
光束を分割する光束分割部、分割光をそれぞれ反射する固定ミラー、および可動ミラーを有して、異なる光路長の2光束を合成して干渉光を発生させるための干渉計と、
前記可動ミラーの速度制御装置と、
前記干渉計からの干渉光を試料に照射して得られた干渉光を光電変換しインターフェログラム信号を出力する検出器と、
前記検出器からのインターフェログラム信号に基づいてスペクトルを得るための信号処理手段と、を備えることを特徴とする。
ここで、予測される環境条件としては、例えば、移動機構の表面凹凸のような機械的な経年変化、設置場所で制約される干渉計(FTIR)の姿勢、周辺温度などが挙げられる。
図1は、本発明の一実施形態にかかるフーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)100の概略構成図である。同図に示したFTIR100は、赤外光源12と、マイケルソン干渉計14と、赤外検出器16と、コントローラ30とを備える。赤外光源12は、赤外光を干渉計14のビームスプリッタ22に向けて出射する。
赤外検出器16は、試料24からの干渉光を光電変換し、インターフェログラム信号を出力する。
位置検出手段38は、測距用検出器62よりのHe−Neレーザ干渉信号(測距用干渉信号)に基づいて、可動ミラー20の移動に伴った干渉縞の変化をカウントすることにより、可動ミラー20の位置を検出する。検出された位置情報は、インターフェログラム取得手段40および電流制御手段32などに送られる。
図2は、本発明にかかる可動ミラー20の速度制御装置10の全体構成を示すブロック図である。この速度制御装置10は図1のFTIR100に組み込まれており、対応する構成には同じ符号を付して説明する。可動ミラー20の速度制御装置10は、ボイスコイルモータなどの移動手段26と、この移動手段26に設けられ可動ミラー20に加わる外部振動を検出するための加速度センサ(ジャイロセンサなど)64と、移動手段26に駆動電流を供給するパワーアンプ28と、パワーアンプ28に出力電流の指令値を与える電流制御手段32と、可動ミラー20の位置ごとに過去に用いた出力電流の指令値を記憶するメモリー36と、を備える。
電流制御手段32は、環境条件に応じた予測指令値を出力する予測手段44と、この予測指令値と指令手段34からの外部指令値とのいずれかを選択する選択手段46と、指令値に対する補正値として電流変化成分を算出する算出手段48と、この電流変化成分を選択された指令値に付与する付与手段50と、実際にパワーアンプ28に送られた指令値を位置情報とともにメモリー36に記憶させる記憶手段52と、を有する。
図3は、可動ミラー20の速度制御方法の手順を示すフロー図である。同図を用いて、可動ミラー20のリアルタイム制御の方法、および、記憶された過去の指令値情報に基づく学習機能について説明する。
次に、予測手段44が読み出した指令値に基づいて現在の環境条件を予測し(S20)、その環境条件に適する指令値を可動ミラー20の位置毎に算出する(S30)。
次に、学習機能を使用する場合は選択手段46が予測指令値を選択し、予測指令値を用いた可動ミラー20の速度制御を実行する(S40)。すなわち、選択された指令値をパワーアンプ28に送って可動ミラー20を移動させる。なお、学習機能を使用しない場合は選択手段46が外部指令値を選択し、外部指令値を用いた可動ミラー20の速度制御を実行する。
そして、電流変化成分によって補正された指令値をパワーアンプ28に送り、可動ミラー20を移動させる(S60)とともに、記憶手段52が使用した指令値をメモリー36に記憶させる(S70)。なお、速度制御を続ける場合は、工程S30へ戻って、S30からS70の各工程を繰り返し実行する(S80)。
このようにして、可動ミラー20の全ストロークにおいて、可動ミラー20の位置毎のリアルタイム制御と、学習機能とが同時に実行される。
本実施形態では、加速度センサ(3軸)64で外部振動(振動方向および周波数)を検知し、ボイスコイルモータなどの移動手段26への出力電流の指令値に、可動ミラー20の移動方向に作用する加速度(振動)を打ち消すように電流変化成分を与えて、その指令値により移動手段26を駆動させる。この制御によって、経年変化などの測定環境条件の変化に限らず、毎回の測定でランダムに変化するような外部振動の影響もリアルタイムでキャンセルすることができる。
前回または過去の複数回の速度制御で使用した指令値から、現在の可動ミラー20の環境条件を予測し、その環境条件に見合った指令値を使って次のストロークでの速度制御を実行することによって、所定のストロークを繰返し移動させても常に安定した可動ミラー20の速度制御を実行することができる。
前述の実施形態において、図2の予測手段44は環境条件に応じた予測指令値を選択手段46に送るように構成されていると説明したが、環境条件に応じた補正値(電流変化成分)を算出し、これを指令手段34からの外部指令値に付与するように予測手段を構成してもよい。
14 干渉計(マイケルソン干渉計)
16 赤外検出器(検出器)
18 固定ミラー
20 可動ミラー
22 ビームスプリッタ(光束分割部)
26 移動手段(ボイスコイルモータ)
28 パワーアンプ(電流供給手段)
30 コントローラ(信号処理手段)
32 電流制御手段
36 メモリー(記憶部)
64 加速度センサ
100 フーリエ変換赤外分光光度計(フーリエ変換分光光度計)
Claims (4)
- 光束を分割する光束分割部、分割光をそれぞれ反射する固定ミラー、および可動ミラーを有して、異なる光路長の2光束を合成して干渉光を発生させるための干渉計に用いられる前記可動ミラーの速度制御装置であって、
前記可動ミラーを移動させる移動手段と、
前記移動手段に駆動電流を供給する電流供給手段と、
前記電流供給手段に出力電流の指令値を送る電流制御手段と、を備え、
前記移動手段には、前記可動ミラーに加わる外部振動を検出するための加速度センサが設けられ、
前記電流制御手段は、前記加速度センサの検出値に基づいて可動ミラーの移動方向に作用する加速度を打ち消すための電流変化成分を決定し、該電流変化成分を前記出力電流の指令値に与え、
前記可動ミラーの速度制御装置は、更に、前記可動ミラーの位置ごとに過去に用いた前記出力電流の指令値を記憶する記憶部を備え、
前記電流制御手段は、記憶された前記指令値に基づいて前記可動ミラーの位置ごとの見かけの重さを予測する予測手段を有し、次の速度制御において予測された前記見かけの重さに応じた出力電流の指令値を用いることを特徴とする干渉計用可動ミラーの速度制御装置。 - 請求項1記載の干渉計用可動ミラーの速度制御装置において、
前記電流制御手段は、次の速度制御において予測された前記見かけの重さに応じた出力電流の指令値を用いることで、該見かけ重さの予測分だけ、前記加速度センサの検出値に基づく前記電流変化成分による前記出力電流の指令値の制御量を小さく抑えることを特徴とする干渉計用可動ミラーの速度制御装置。 - 請求項1または2記載の干渉計用可動ミラーの速度制御装置において、
前記記憶部は、過去に前記出力電流の指令値を適用した可動ミラーの位置よりも該ミラーの進行方向にずれた位置情報に関連付けて、該指令値を記憶することを特徴とする干渉計用可動ミラーの速度制御装置。 - 光束を分割する光束分割部、分割光をそれぞれ反射する固定ミラー、および可動ミラーを有して、異なる光路長の2光束を合成して干渉光を発生させるための干渉計と、
請求項1から3のいずれかに記載の前記可動ミラーの速度制御装置と、
前記干渉計からの干渉光を試料に照射して得られた干渉光を光電変換しインターフェログラム信号を出力する検出器と、
前記検出器からのインターフェログラム信号に基づいてスペクトルを得るための信号処理手段と、
を備えることを特徴とするフーリエ変換分光光度計。
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