JP2012184967A - 波長走査干渉計 - Google Patents
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Abstract
【課題】移動する被検体までの絶対距離を高精度に計測するために有利な波長走査干渉計を提供する。
【解決手段】波長走査干渉計は、光源から射出される光束の波長を変更しながら該光束から分割された参照光と被検光との干渉光の信号に基づいて被検体までの絶対距離を計測する。波長走査干渉計は、前記光源から射出される光束の波長が互いに等しい時刻である第1時刻およびその後の第2時刻と、前記第1時刻、前記第2時刻のそれぞれにおける前記干渉光の信号の周波数である第1周波数、第2周波数とに基づいて、前記被検体の移動による誤差成分が低減された絶対距離を算出する処理部を備える。
【選択図】図3
【解決手段】波長走査干渉計は、光源から射出される光束の波長を変更しながら該光束から分割された参照光と被検光との干渉光の信号に基づいて被検体までの絶対距離を計測する。波長走査干渉計は、前記光源から射出される光束の波長が互いに等しい時刻である第1時刻およびその後の第2時刻と、前記第1時刻、前記第2時刻のそれぞれにおける前記干渉光の信号の周波数である第1周波数、第2周波数とに基づいて、前記被検体の移動による誤差成分が低減された絶対距離を算出する処理部を備える。
【選択図】図3
Description
本発明は、波長走査干渉計に関する。
絶対距離を計測する光波干渉計測装置として、波長走査型の光波干渉計測装置や固定波長型の光波干渉計測装置が知られている。波長走査干渉計では、光源が発生する光の波長を時間的に走査することによって得られる干渉強度や干渉位相の時間変化に基づいて絶対距離を求める。波長走査干渉方式は、ヘテロダインやホモダインに代表される固定波長型の干渉方式と比較して構成が単純で低コストである。しかし、波長走査干渉方式は、移動する被検体については、干渉信号の周波数が絶対距離と被検体速度(ドップラーシフト)に依存するため、被検体距離の測長ができない。特許文献1には、2つの光源を用いて、それぞれに逆の周波数変調を行って測長することにより被検体速度による測長誤差を補正する波長走査干渉計が開示されている。
しかしながら、特許文献1に記載された波長走査干渉計では、被検体速度(ドップラーシフト)を補正しているが、正負チャープの平均値から補正を行っておりその補正精度は1/20と低い。
本発明は、移動する被検体までの絶対距離を高精度に計測するために有利な波長走査干渉計を提供することを目的とする。
本発明の1つの側面は、光源から射出される光束の波長を変更しながら該光束から分割された参照光と被検光との干渉光の信号に基づいて被検体までの絶対距離を計測する波長走査干渉計に係り、前記波長走査干渉計は、前記光源から射出される光束の波長が互いに等しい時刻である第1時刻およびその後の第2時刻と、前記第1時刻、前記第2時刻のそれぞれにおける前記干渉光の信号の周波数である第1周波数、第2周波数とに基づいて、前記被検体の移動による誤差成分が低減された絶対距離を算出する処理部を備える。
本発明によれば、移動する被検体までの絶対距離を高精度に計測するために有利な波長走査干渉計が提供される。
図1を参照しながら本発明の例示的な実施形態の波長走査干渉計100について説明する。波長走査干渉計100は、例えば、光源1、ビームスプリッタ2、処理部3、波長計測ユニット10および干渉計ユニット20を備えている。波長計測ユニット10は、例えば、ファブリペローエタロン12および検出器13を含みうる。波長計測ユニット10は、ミラー11を含んでもよい。干渉計ユニット20は、ビームスプリッタ21、検出器22および参照面23を含みうる。波長走査干渉計100は、光源1から射出される光束の波長を変更(走査)しながら、該光束から分割された参照光と被検光との干渉によって形成される干渉光の信号(干渉信号)に基づいて被検体までの絶対距離を計測する。ここで、絶対距離は、基準位置から参照面23までの光路と該基準位置から被検体30までの光路との差に基づいて絶対距離を算出する。図1に示す例では、基準位置は、ビームスプリッタ21またはそれよりも光源1側の任意の位置でありうる。
光源1は、それが発生する光束の波長を変更(走査)可能な光源であり、例えば、波長可変レーザーでありうる。光源1は、処理部3による制御の下で、予め定められた波長走査範囲内で光束の波長を変更(走査)する。光源1から射出された光束は、ビームスプリッタ2により波長計測ユニット10に向かう光束と干渉計ユニット20に向かう光束とに分割される。波長計測ユニット10に入射した光束は、ミラー11で反射された後にファブリペローエタロン12を透過し、検出器13に入射する。検出器13は、入射した光束の光強度を検出する。処理部3は、検出器13によって検出された光強度に基づいて、光源1から射出される光束の波長を制御する。
ファブリペローエタロン12は、透過スペクトルのそれぞれのピークの相対値が保証されている。そこで、ファブリペローエタロン12として、透過スペクトル間隔の保証された真空媒質のエタロンが用いられうる。真空媒質のエタロンは、内部媒質の屈折率及び分散がないため、波長の相対値を容易に保証することができる。更に、エタロンの材質として低熱膨張ガラスなどを用いれば、温度に対する膨張率を低減して、長期的に安定した波長基準素子を実現することができる。但し、ファブリペローエタロン12は、真空媒質のエタロンに限定されるものではなく、エアギャップのエタロンやソリッドエタロンなどを用いてもよい。この場合、エタロンの温度を計測するなどして内部屈折率及び分散を保証する必要がある。また、波長走査時の各時刻の波長を保証するため、ファブリペローエタロン12は光源1の波長走査範囲の中に少なくとも2本以上の透過スペクトルを持つことが好ましい。
干渉計ユニット20に入射した光束は、ビームスプリッタ21により、参照面23に入射する光束と被検体30に入射する光束とに分割される。参照面23に入射し参照面23で反射された光束と、被検体30に入射し被検体30で反射された光束とは、ビームスプリッタ21により合波された後、検出器22に入射する。ここで、光源1の波長をリニアに走査(掃引)すると、検出器22では、参照面23で反射された参照光束と被検体30で反射された被検光束との干渉によって形成される周期が一定の干渉信号Isignalが検出される。干渉信号Isignalは、式(1)で表すことができる。
ここで、IRは参照光束の強度、IDは被検光束の強度、Cは光速(299792458[m/S])、f(t)は光源1から射出される光束の波長、Lは被検体距離である。ここで、被検体距離Lは、被検体30までの絶対距離(参照光束と被検光束との光路長差)である。光源1から射出される光束の波長がリニアに走査(掃引)されるので、検出器22によって検出される干渉信号Isignalの位相φは、式(2)で表すことができる。
干渉信号Isignalの位相φ(t)を時間tで微分すると、干渉信号Isignalの周波数ν(t)となり、式(3)で表すことができる。ここで、f’は、波長f(t)の時間微分である。
被検体30が静止している場合では、干渉信号Isignalの周波数ν(t)は、式(3)が示すように、被検体距離Lのみに依存する。そこで、検出器22によって検出された干渉信号にフーリエ変換等の処理を行って周波数解析を行うことで被検体距離Lを算出することができる。被検体距離Lは、式(4)で表される。
次に、被検体30が速度Vで運動している場合、干渉信号Isignalの位相φ(t)は、式(5)で表される。
ここで、f0は基準波長(波長走査の中心波長)であり、L0は被検体30が静止している時の被検体距離である。また、f=f0+f’tであり、L=L0+Vtである。位相φ(t)を時間微分し、干渉信号Isignalの周波数ν(t)を算出すると、式(6)のようになる。なお、波長走査干渉計100では、光源1から射出される光束の波長がリニアに走査され、したがって、fの時間tによる2回微分は0である。
このように、被検体30が移動していると、干渉信号Isignalの周波数ν(t)は、被検体速度(被検体30の速度)Vにも依存する。そこで、静止している被検体と同様に干渉信号Isignalの周波数ν(t)から被検体距離L0を算出するためには、被検体速度Vを知ることが必要となる。被検体速度Vを算出するためには、ある時間間隔における被検体距離の変化量を得ればよい。ここで、被検体30が移動している場合における被検体距離Lmは、式(4)および式(6)より、式(7)のように表わされる。よって、第1時刻と第2時刻との時間間隔における被検体距離の変化量に基づいて被検体速度Vを算出するためには、式(7)における第3項((f0/f’)V)が一定である必要がある。
処理部3は、図2に例示するように、一定の波長走査幅をリニアに走査する動作を波長走査周期Δtで周期的に行うように光源1を制御する。そこで、第3項((f0/f’)V)を一定に保つためには、光源1から射出される光束の波長が互いに等しい2つの時刻における被検体距離に基づいて被検体速度Vを算出すればよい。光束の波長が互いに等しい2つの時刻は、隣り合う波長走査周期における光束の波長が互いに等しい時刻(例えば、tn、tn−1)でありうる。光束の波長が互いに等しい2つの時刻の間隔は、1つの波長走査周期Δtの整数倍(例えば、1倍、2倍、3倍等)でありうる。
以下、波長走査干渉計100による移動する被検体30の絶対距離(被検体距離)の具体的な計測方法を図3を参照しながら例示的に説明する。まず、工程S101において、処理部3は、図2に例示されるように光源1から射出される光束の波長が走査されるように光源1を制御しながら検出器22より干渉信号Isignalを取得する。
次に、工程S102において、処理部3は、フーリエ変換等の処理を行って時刻(第2時刻)tnを含む波長走査周期における干渉信号Isignalの周波数(第2周波数)ν(tn)を算出する。次に、工程S103において、処理部3は、周波数ν(tn)に基づいて、波長fが所定の波長(f0)である時刻tnにおける被検体距離Lenを式(8)に従って算出する。この被検体距離Lenは、被検体30の移動を考慮しない被検体距離(即ち、誤差成分を含む被検体距離)であるので、誤差付き被検体距離と呼ぶことにする。
次に、工程S104において、処理部3は、波長fが前記所定の波長(f0)である時刻(第1時刻)tn−1(時刻tn−1は、時刻tnより前の時刻である。)における誤差付き被検体距離Len−1に対する誤差付き被検体距離Lenの変化量に基づいて被検体速度Vn-1,nを式(9)に従って算出する。
ここで、時刻tn−1における誤差付き被検体距離Le(n−1)は、式(10)で表わされる。式(10)において、ν(tn−1)は、時刻(第1時刻)tn−1を含む波長走査周期における干渉信号Isignalの周波数(第1周波数)である。通常は、工程S101〜S105のシーケンスが繰り返して実行される。したがって、1つ前のシーケンスの工程S103で算出した誤差付き被検体距離LeをメモリMに格納しておき、これを現在のシーケンスにおいて誤差付き被検体距離Le(n−1)として使用することができる。
次に、に工程S105において、処理部3は、被検体速度Vn-1,nと干渉信号の周波数ν(tn)に基づいて、誤差が補正された被検体距離Lnを式(11)に従って算出する。なお、算出した被検体速度Vn−1,nの時系列データから加速度を算出して被検体距離を算出しても良い。
以上のように、この実施形態では、波長が等しい2つの時刻(第1時刻、第2時刻)の時間間隔における被検体距離の変化量に基づいて被検体速度Vを算出する。そして、被検体速度Vと、被検体速度を考慮せずに求めた被検体距離Lenとに基づいて、被検体の移動による誤差成分が低減された被検体距離Lnを算出する。
ここで、式(11)は、式(12)のように変形することができる。よって、光源1から射出される光束の波長fが互いに等しいtn−1、tnと、tn−1、tnにおける干渉信号の周波数ν(tn−1)、ν(tn)とに基づいて、被検体速度を考慮した被検体距離を求めることができる。そこで、図3に示す処理は、式(12)に従って被検体距離Lnを算出するように変更されてもよい。
Claims (3)
- 光源から射出される光束の波長を変更しながら該光束から分割された参照光と被検光との干渉光の信号に基づいて被検体までの絶対距離を計測する波長走査干渉計であって、
前記光源から射出される光束の波長が互いに等しい時刻である第1時刻およびその後の第2時刻と、前記第1時刻、前記第2時刻のそれぞれにおける前記干渉光の信号の周波数である第1周波数、第2周波数とに基づいて、前記被検体の移動による誤差成分が低減された絶対距離を算出する処理部を備えることを特徴とする波長走査干渉計。 - 前記第1時刻と前記第2時刻との時間間隔は、前記光束の波長走査周期の整数倍である、
ことを特徴とする請求項1に記載の波長走査干渉計。 - 前記第1周波数は、前記第1時刻を含む前記光束の波長走査周期における前記干渉光の信号の周波数であり、前記第2周波数は、前記第2時刻を含む前記光束の波長走査周期における前記干渉光の信号の周波数であり、
前記処理部は、前記第2周波数に基づいて算出される絶対距離と、前記被検体の速度とに基づいて、前記被検体の移動による誤差成分が低減された絶対距離を算出し、
前記被検体の速度は、前記第1周波数に基づいて算出される絶対距離と、前記第2周波数に基づいて算出される絶対距離と、前記第1時刻と、前記第2時刻とに基づいて算出される、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の波長走査干渉計。
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JP2017049243A (ja) * | 2015-09-02 | 2017-03-09 | ザ・ボーイング・カンパニーThe Boeing Company | レーザードップラー振動測定を用いた遠隔目標の識別 |
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