近年、電子写真方式の画像形成装置は、高解像度、写真再現性など、画質向上が要求されており、その要求に応える有力な手段の一つとしてトナーの小粒径化あるいは球形化が行われている。しかしトナーを小粒径化あるいは球形化すると、以下のような理由により、クリーニングブレードと像担持体(感光体)の間をトナー粒子がすり抜け易くなる。
まず、小粒径化によって、トナーと像担持体との間のファンデルワールス力に伴う付着力が強くなるとともに、像担持体とクリーニングブレードとの隙間に粒径の小さなトナー粒子が進入し易くなる。また球形化によって、トナー粒子が像担持体とクリーニングブレードとの間で転がり易くなるので、やはり像担持体とクリーニングブレードとの隙間にトナー粒子が進入し易くなる。
クリーニングブレードと像担持体の間をトナーがすり抜ける現象、即ちクリーニング(清掃)不良が発生すると、すり抜けたトナーが次の画像上に転写され、黒スジ状の画像ノイズになる。あるいは、露光工程で露光用の光がこのトナーに遮られるために、潜像が正しく形成されない部分が発生する。このような現象が生ずると、形成された画像の品質が低下してしまう。
そこで、小粒径化あるいは球形化されたトナーの場合でも、転写後の像担持体上の転写残トナーのクリーニング(清掃)を容易にするために、像担持体の摩擦係数を低下させる物質(滑剤)を像担持体上に供給する技術がある。例えば、ステアリン酸亜鉛等からなる滑剤をトナーに外添することによって、像担持体表面に滑剤を塗布する技術がある。滑剤を像担持体上に塗布することによって、像担持体に対するトナーの付着力及び摩擦力が低下するので、クリーニングブレード等によって像担持体上の転写残トナーを除去(清掃)することが容易になる。
また、滑剤を用いた像担持体の表面摩擦の低減と離型性の向上によって転写残トナーを除去しやすくなるので、像担持体に対するクリーニングブレードの当接圧力を下げることができる。その結果、クリーニングブレードの摩耗が減少し、クリーニングブレードや像担持体の長寿命化が可能となる。さらに、像担持体(感光体)表面の離型性の向上によって、トナー像の転写性が向上するとともに、いわゆるフィルミングや異物の付着を防止できる。
しかしながら、上記のような像担持体の表面に形成された滑剤の被膜は、帯電器との間で発生するコロナ放電により劣化する。つまり、滑剤被膜が繰り返しコロナ放電を受けると、放電劣化により滑剤被膜の効果が失われてしまう。上述のような滑剤被膜の効果、つまり像担持体の表面摩擦の低減と離型性の向上を安定して発揮させるには、滑剤被膜の劣化を防止することが必要である。その方法として、劣化した滑剤被膜を研磨しながら新たに滑剤を塗布することによって滑剤被膜を入れ替える方法がある。
滑剤被膜を研磨する方法として、滑剤被膜が形成された感光体にブラシを当接させ、このブラシで研磨することが有効である。特に、クリーニング(清掃)ブレードの上流側において、感光体に当接し回転するローラ(ブラシローラ)を設けた場合、このローラーに付着したトナー、あるいはトナーに外添された外添剤が研磨材として働くため、劣化した滑剤被膜を効果的に研磨できる。
このローラーは、担持体上の転写残トナーの一部を掻き落とす清掃補助ローラーとしても機能する。このため、形成すべき画像(入力画像)として同一パターンが続いた場合、特に副走査方向に延びる帯状の画像が続いた場合、清掃補助ローラーに付着するトナー量(トナー付着量)は、画像の帯部に対応する部分が多くなる。その結果、帯部に対応する部分と他の部分との間でトナー付着量の差が大きくなり、清掃補助ローラーによる研磨力が長手方向で不均一になる。このため、感光体上に形成された滑剤被膜の研磨状態に差が生じ、ひいては滑剤被膜の劣化度合いに差が生じてしまう。
また、感光体上の滑剤被膜は現像器の磁気ブラシとの摩擦によって帯電し、表面電位を低下させる。この摩擦帯電による電位低下も感光体上の滑剤被膜の劣化状態、つまりトナー付着量に依存しており、劣化が大きい場合(付着量が少ない場合)に、表面電位の低下が小さくなる。このため、滑剤被膜の長手方向に劣化状態(トナー付着量)が変化している場合、摩擦帯電による電位低下量が変化し、ハーフトーン画像ではこの差に対応した濃度ムラが生じてしまう。このような濃度ムラは変化量としてはそれほど大きくなくても、エッジ部が存在すれば、この濃度ムラが目立ってしまう。例えば同一画像を複数枚形成する場合に、清掃補助ローラーのトナー付着量の変化のエッジがはっきり形成されるので、この付着量の変化によるエッジの存在が形成画像の濃度ムラを目立たせてしまうことになる。
この濃度ムラを防止する方法として、所定枚数毎に非画像形成期間に全面ベタのトナー像を感光体上に形成し、清掃補助ローラーの全面にトナーを付着させることにより、清掃補助ローラーのトナー履歴をリセットする技術が提案されている。しかしながら、この方法では、清掃補助ローラーの履歴リセット用のトナー像は作像に寄与せず、無駄なトナー消費量及び廃トナー回収量が増加するので、トナー容器や廃トナー容器の交換頻度が高くなるという問題がある。
また、清掃補助ローラーの下方に、清掃ブレード等で掻き取った廃トナーを受ける受け部材を設け、この受け部材に廃トナーを貯留し、この廃トナーを再度清掃補助ローラーに付着させることによりトナー履歴のリセットに寄与させる方法が提案されている。この時、受け部材に貯留されたトナーを清掃補助ローラーに付着させるために、受け部材に貯留されたトナーに粉圧をかけ、この粉圧により清掃補助ローラーにトナーを付着させることが提案されている。しかしながら、粉圧が高くなりすぎると、トナー貯留部で凝集トナーが発生してしまう。感光体に塗布した滑剤被膜はごく薄い被膜であるので、所定以上の研磨力が与えられると、滑剤被膜自体が失われてしまう。このため、凝集トナーが清掃補助ローラーに付着すると、凝集トナーは通常トナーに比べ研磨力が高いため、筋状に滑剤被膜を掻き取ってしまい筋状ノイズが生ずる。あるいは凝集塊が感光体に付着し、清掃ブレードをすり抜けることによって感光体に固着し、この固着物を核にして外添剤やトナー微粉がさらに付着することがある。このようにして、感光体上の固着物が成長すると、正常な露光が妨げられ、あるいは付着物が現像されて、白・黒斑点状ノイズが生じるという問題がある。
本発明の第1実施形態に係る清掃装置を図1に沿って説明する。清掃装置が使用される画像形成装置の主要部の構造を示す図1において、像担持体10の周囲に、帯電器11、露光装置12、現像装置13、一次転写ローラー14及び中間転写ベルト141、清掃装置15、及び除電器16が、この順番で像担持体10の円周方向に沿って配置されている。
像担持体(感光体ともいう)10は、ドラム状の金属基体と、その外周面に形成された感光層からなる。感光層は、有機光導電体を含有する樹脂からなる電荷発生層と電荷輸送層とを有する積層型有機感光体である。像担持体10の最表層には厚さ5μm程度のオーバーコート層が形成されている。オーバーコート層には、粒径50nm程度の二酸化ケイ素の微粒子が略均一に分散されている。これによって、像担持体10の表面に凹凸が形成され、後述するステアリン酸亜鉛等の滑剤の保持性が向上し、像担持体10の表面に滑剤被膜を形成し易くなっている。
帯電器11は、感光体10を均一に帯電するためのスコロトロン帯電器であり、グリッド電極と放電電極とを有する。放電電極に約−6KVの帯電バイアスを印加し、グリッドに約−600Vのバイアスを印加することによって、感光体10を約−600V程度に均一に帯電する。
露光装置12は、レーザー照射装置から照射されたレーザー光によって像担持体10の表面を露光する。原稿読み取り装置(図示せず)によって読み取られて電気信号に変換された画像信号、又は画像形成装置の外部から入力された画像信号に基づいてレーザー光が変調されることにより、像担持体10の表面が露光されて静電潜像が形成される。露光された部分の電位は−80V程度に減衰される。
現像装置13は、像担持体10の表面に形成された静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成する。トナーは、磁性を有するキャリアと現像剤からなる二成分現像剤である。トナーはキャリアと現像剤との摩擦により負極性に荷電される。現像装置13は、マグネットを内蔵しトナーを保持して回転駆動される現像スリーブ131、現像スリーブ131上の現像剤の搬送量を所定量に規制する規制ブレード132、トナー撹拌部材133等を備えている。また現像電圧印加手段によって、直流−450Vに交流バイアス(ピーク電圧1kv、周波数3kHz)を重畳した現像電圧が現像スリーブに印加される。像担持体10の露光された部分の電位と現像スリーブの直流電位との差によって、負極性のトナーが感光体10の露光された部分(静電潜像)に与えられ、トナー像が形成される。
像担持体10に形成されたトナー像は、一次転写ローラー14によって像担持体10に押圧された中間転写ベルト141に転写される。中間転写ベルト141には、転写電圧印加装置(図示せず)によって正極性の転写電圧(転写バイアス)が印加されている。
例えばタンデムカラー画像形成装置の場合、画像信号はY(黄)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(黒)の4色の成分に分解され、各色の画像信号によって、各色のトナー像が形成される。つまり、像担持体10、露光装置12、現像装置13等からなる画像形成ユニットが4色分備えられている。各画像形成ユニットで形成された4色分のトナー像は、中間転写ベルト141に順次転写されて重ね合わされ、カラートナー像が形成される。このカラートナー像は、図示しない二次転写部で記録紙等に二次転写され、定着装置でトナー像が記録紙等に定着される。このような画像形成の過程は本発明と直接的な関係はないので、詳しい説明は省略する。
図1に戻り、清掃装置15について説明する。中間転写ベルト141にトナー像を転写した後の像担持体10の表面には、転写残トナー(残留トナー)が付着しており、清掃装置15はこの転写残トナーを除去する清掃を行う。清掃装置15は、像担持体10上の転写残トナーを掻き落とすためのウレタンゴムからなる清掃ブレード151を有し、掻き落とされた転写残トナーは、廃トナー搬送部155(廃トナー搬送スクリュー155a)によって廃トナーボックス(図示せず)に搬送され回収される。清掃装置15には、清掃補助ローラー153及び受け部材154も備えられている。これらについては後で詳しく説明する。
清掃装置15で清掃された感光体10はLEDを有する除電器16によって除電される。この後、再び帯電器11により帯電され、上記のような処理が繰り返される。
一般に、トナーには、ポリエステルやスチレンアクリル樹脂等からなる着色剤やWAX等を含むトナーバルクに加えて、流動性調整や帯電量調整のためにシリカやチタニア等が外添されている。さらに、ステアリン酸亜鉛等の滑剤も外添されている。このトナーに外添された滑剤は、トナーと共に、あるいはトナーから遊離して、現像装置13から感光体10に供給される。
感光体10に供給された滑剤は、清掃ブレード151に達すると、清掃ブレード151と感光体10との隙間をすり抜けるようにして延展され、感光体10上に滑剤被膜が形成される。この滑剤被膜は感光体10に対するトナーの付着力を弱め、転写残トナーの清掃を容易にし、ひいては、異物付着による画像ノイズを防止する働きを有する。また、滑剤被膜は感光体10と清掃ブレード151との間の摩擦を軽減し、感光体10及び清掃ブレード151の長寿命化に貢献する。
しかしながら、この滑剤被膜は、帯電器11との間で発生するコロナ放電により劣化し、帯電器11を繰り返し通過することによって劣化が促進され上述した効果が失われていく。このような現象を防ぐには、感光体10上に形成された滑剤被膜を適宜研磨しながら新しい滑剤を塗布することによって滑剤被膜の劣化が進まないようにすることが必要である。
上記のような(劣化した)滑剤被膜の研磨と新たな滑剤被膜の形成のために、本実施形態の清掃装置15は、感光体10に対して回転しながら当接する清掃補助ローラー153を備えている。清掃補助ローラー153は、金属製の軸と、金属製の軸に保持される基布と、基布に織り込まれてロール状に形成されたブラシ部材とからなるブラシローラである。清掃補助ローラー153は、清掃ブレード151に対して、感光体10の回転方向上流側に配置され、感光体10上の転写残トナーが清掃補助ローラー153に付着する。つまり、清掃補助ローラー153は、転写残トナーの一部を掻き落とす清掃補助手段として働く。さらに、付着したトナー(及び外添剤)により感光体10上の滑剤被膜が効果的に研磨される。その後、清掃ブレード151によって滑剤が延展塗布されるので、滑剤被膜の劣化を抑えることができる。
清掃補助ローラー153は、感光体10と反対方向に回転する。すなわち、図1に矢印で示すように、感光体10が反時計回りに回転するのに対して、清掃補助ローラー153は時計回りに回転する。したがって、両者の接触部分では清掃補助ローラー153の表面及び感光体10の表面は同一方向に進む。但し両者の周速度は異なる。
清掃補助ローラー153は、その周囲に付着したトナー(及び外添剤)によって感光体10上の滑剤被膜を研磨するので、その研磨力はトナー付着量によって変化し、トナー付着量は入力画像の影響を受けやすい。例えば副走査方向に延びる帯模様を有する入力画像が続いた場合、帯部(黒帯部又は色帯部)のトナー付着量は多く、背景部のトナー付着量は少ない状態となる。
また、清掃補助ローラー153は、清掃ブレード151の上流側で転写残トナーの一部を掻き落とすと共に、転写残トナーを撹乱してその感光体10への付着力を弱めるので、清掃ブレード151での清掃負荷を軽減する働きを有する。上述のように、清掃補助ローラー153のトナー付着量は入力画像に依存し、同一画像が連続する場合、感光体10の長手方向における同一位置に画像が形成されるため、清掃補助ローラー153のトナー付着量は画像に対応して変化し、エッジが形成される。
清掃補助ローラー153のトナー付着量が入力画像に対応して長手方向に変化すると、滑剤被膜の研磨能力も長手方向に変化する。このため、滑剤被膜の劣化状態が入力画像に応じて長手方向に変化する。
また、感光体10に形成された滑剤被膜は、現像装置13を通過する際に、現像装置13の現像スリーブ131に形成された磁気ブラシと接触する。磁気ブラシと滑剤被膜との摩擦によって正荷電が発生し、滑剤被膜が帯電して表面電位が低下する。この現象は感光体10上の滑剤被膜の状態に依存する。滑剤被膜が薄い場合、あるいは滑剤被膜が劣化している場合に、帯電による表面電位の低下が少なくなる。
感光体10の長手方向に、滑剤被膜の劣化が少ない部分と多い部分とが存在する場合、前者の部分は後者の部分よりも表面電位が低下するので、トナー現像量が多くなり、画像濃度が高くなる。このような現象は、特にハーフトーン画像において帯状の濃度ムラとして現れ、画像品質を低下させることになる。
上記のように、清掃補助ローラー153のトナー付着量が長手方向に変化していると、滑剤被膜の研磨力が長手方向に変化し、滑剤の付着量あるいは滑剤被膜の劣化度合いが清掃補助ローラー153の長手方向に変化し、画像品質が低下する。特に、同一画像パターンが続いてトナー付着量の分布にエッジが生じると、形成された画像もこのエッジに従って濃度分布のエッジが生じるため、小さな濃度差であってもエッジが目立つようになり、画像品質を著しく低下させてしまう。このような画像品質の低下を防止するために、本実施形態の清掃装置15は、清掃補助ローラー153の下方に受け部材154を備え、受け部材154に溜まるトナーを清掃補助ローラー153に再付着させることにより、清掃補助ローラー153の長手方向におけるトナー付着量の分布を均す(変化を緩和する)ように構成されている。
以下に、図2を参照しながら、清掃補助ローラー153及び受け部材154を含む清掃装置15を詳細に説明する。図2は、図1における清掃装置15を拡大して示す概略図である。
清掃ブレード151の上流に設けられた清掃補助ローラー153は、金属製の軸と、金属製の軸に保持される基布と、基布に織り込まれてロール状に形成されたブラシ部材とから構成されるループブラシである。金属製の軸は、例えば、鉄製で外径6mmである。また、ブラシ部材は導電性アクリルの繊維太さ3T(デシテックス)、繊維密度150kF/平方インチの繊維からなるループ形状のブラシである。抵抗値は104〜1010オーム、または、106〜108オームとすることが好ましい。清掃補助ローラー153の金属製の軸は接地電位に接続されている。繊維は厚さ約0.5mmの基布に織り込まれ、基布からの突出部の繊維長さは約2.5mmである。したがって、清掃補助ローラー153の外径は約12mmになる。
清掃補助ローラー153は、感光体10に接触しながら、感光体10と異なる周速度で回転するように駆動される。この清掃補助ローラー153の下方に所定の隙間を隔てて受け部材154が設けられている。受け部材154は、清掃ブレード151で感光体10から掻き落とされた転写残トナーを受けるように配置されている。受け部材154と清掃補助ローラー153との隙間は、最も狭い部分で、0.5〜2mm程度の隙間が確保されている。
また受け部材154の上面154aは、清掃補助ローラー153の外周面に沿って円弧状の断面形状に形成され、上面154aのトナー流入側端部154b(即ち、清掃ブレード151側の端部)が清掃補助ローラー153の中心軸より下方に位置していることが望ましい。トナー流入側端部154b近くの上面の傾斜は、トナーの安息角を考慮して決められる。また、受け部材154は清掃補助ローラー153の長手方向に延びており、その長さは、現像装置13の現像幅及び清掃ブレード151の幅の大きい方より長い。
清掃ブレード151で感光体10から掻き落とされた転写残トナーは受け部材154に受けられ、貯留される。画像形成に伴って受け部材154に貯留されたトナーの量が増加し、所定量を超えると、受け部材154のトナー流入側端部154bからトナーがあふれ出て、矢印線で示す排出経路EP1を通って落下し、廃トナー搬送スクリュー155aを有する廃トナー搬送部155に排出される。廃トナー搬送部155に排出されたトナーは、廃トナー搬送スクリュー155aより移送され廃トナー容器(図示せず)に排出される。
受け部材154に貯留されたトナーは清掃補助ローラー153の外周のブラシに接触して再付着する。清掃補助ローラー153の回転に伴って、清掃補助ローラー153のブラシに付着したトナー(及び外添剤)によって感光体10の滑剤被膜が研磨されリフレッシュされる。清掃ブレード151で掻き落とされた転写残トナーを受け部材154が受けた時点で感光体10の軸方向にトナー量の増減変化があっても、トナーの山部が自然に崩れ、さらには清掃補助ローラー153との接触・撹乱によって崩されるので、画像の帯部と背景部(白部)との境界に対応するトナー量変化が緩和されてエッジが無くなる。この状態で清掃補助ローラー153のブラシにトナーが再付着するので、形成された画像における前述のような濃度ムラの発生が防止される。
画像形成装置(画像形成ユニット)が初めて使用される場合のように受け部材154に十分な量のトナーが貯留されていない場合や、帯模様の画像が続く場合は、画像形成を一旦中断し、あるいは非画像形成期間に、全面ベタのダミー潜像及びトナー像を感光体10に形成し、受け部材154にトナーを供給するようにしても良い。この場合でも受け部材154が無い場合に比べて、そのような全面ベタのトナー像を形成する頻度を少なくすることができるので、トナー消費量及び廃トナー量の抑制が可能である。
前述のように、受け部材154に貯留されたトナーが所定量になると、受け部材154のトナー流入側端部154bからトナーがあふれ出て、矢印線で示す排出経路EP1を通って落下し、廃トナー搬送部155に排出される。このとき、排出経路EP1の途中にトナー溜まりが形成されることなく速やかに排出されることが重要である。排出経路EP1の途中にトナー溜まりが形成されると、トナー溜まり内の粉圧が高くなる。多くの場合、粉圧の上昇によってトナーが押し出されるので、経路中でトナーが詰まって清掃ブレード151側にあふれ出て清掃不良に至るようなことはない。しかしながら、トナー溜まりでの粉圧上昇によってトナー凝集が引き起こされる場合がある。
特に、清掃補助ローラー153の近くで高い粉圧が発生すると、清掃補助ローラー153による撹乱力で転写残トナーの粒子同士がこすられる際に、トナーの凝集や外添剤の凝集が発生しやすくなる。転写残トナーはストレスを受けて一部の外添剤が離脱しているので、現像前のトナーに比べ凝集が発生しやすい。発生した凝集塊は粉圧により排出経路EP1に導かれるが、一部の凝集塊が清掃補助ローラー153に付着し、感光体10の表面が清掃補助ローラー153に付着した凝集塊で擦られることがある。
凝集塊は通常のトナーより研磨力が高いため、感光体10の表面の滑剤被膜を筋状に剥離して筋状ノイズを引き起こす。また、凝集塊は感光体への付着力が高いため、凝集塊が感光体に付着し、感光体10と清掃ブレード151との隙間をすりぬける過程で感光体10の表面に凝集塊が固着し、この固着物を核としてより大きな固着物に成長することがある。この場合、固着物が露光を遮ることによって、部分的に電位が低下しない白斑点、あるいは固着物自体が現像される黒斑点といった画像ノイズが引き起こされる。
また、清掃ブレード151の表面にトナー溜まりが形成されると、そのトナー溜まりによって感光体滑剤被膜が研磨されたり、滑剤の清掃ブレード151への供給が阻害されたりして、有効な滑剤被膜の形成を阻害し、やはり画像ノイズが発生することになる。
上記のような画像ノイズの発生を防止するために、排出経路EP1におけるトナー溜まり(ひいては粉圧上昇)の発生を防ぐ必要がある。本実施形態の清掃装置15では、受け部材154の上面154aのトナー流入側端部154bと清掃補助ローラー153の外周面との距離であるトナー流入側開口幅Laに比べて、排出経路EP1の最狭部間隔Lbが広くなるように設計されている。最狭部間隔Lbは、排出経路EP1において経路幅が最も狭くなる箇所の間隔を意味する。例えば、図2に示す本実施形態の構造では、受け部材154の上面154aのトナー流入側端部154bと清掃ブレード151の下面との距離が最狭部間隔Lbに相当する。また、図3に示す変形例の構造では、受け部材154の(清掃ブレード側の)側面154cと清掃ブレード151との距離が最狭部間隔Lbに相当する。
上記のように、排出経路EP1の最狭部間隔Lbが、受け部材154のトナー流入側端部154bと清掃補助ローラー153の外周面との距離であるトナー流入側開口幅Laより大きくなるように設定することにより、前述のような問題が生じにくくなる。つまり、受け部材154のトナー流入側端部154bからトナーがあふれ出て、排出経路EP1を通って落下する際に、排出経路EP1の途中でトナー溜まり、ひいては凝集塊が形成される現象が発生しにくくなる。その結果、形成画像に前述のような画像ノイズが生じにくくなる。
また、受け部材154に貯留されたトナーが所定量に達して、受け部材154のトナー流入側端部154bからトナーがあふれ出るようになった後は、清掃ブレード151で掻き取られた転写残トナーのほとんどが排出経路EP1を通って落下することになる。したがって、排出経路EP1の排出能力は、清掃ブレード151で掻き取られる最大転写残トナー量以上となるように設計されている。最大転写残トナーは、例えば、全面ベタ画像のトナー付着量と転写効率を考慮して決定される。
また、受け部材154のトナー流入側(清掃ブレード側)と反対の側にも、受け部材154に貯留されたトナーがあふれ出て排出される経路を設けることが望ましい。つまり、図2中に矢印線で示す第2の排出経路EP2が設けられている。これにより、受け部材154に貯留されたトナーの粉圧が高くなるのを防ぐことができるので、この部分での凝集塊の発生が防止され、ひいては前述の画像ノイズの発生を防止できる。
前述のように、排出経路EP1の最狭部間隔Lbが、受け部材154のトナー流入側開口幅Laより大きくなるように設定することの効果を確認するために、以下のような評価実験を行った。本実施形態の清掃装置15として、排出経路EP1の最狭部間隔Lbを4mm、受け部材154のトナー流入側開口幅Laを3mmに設定した(b>aの条件を満たす)。また、比較例として、排出経路EP1の最狭部間隔Lbを3mm、受け部材154のトナー流入側開口幅Laを3mmに設定したものも用意した(b=aであり、b>aの条件を満たさない)。
上記のような本実施形態の清掃装置15が装着された画像形成装置(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製bizhubc6500(A4Y65枚/分))と、比較例の清掃装置が装着された同じ画像形成装置を用いて、温度30°C、相対湿度80%の環境で、画像カバレッジ25%相当の副走査方向に帯状の画像を連続100枚プリントした後、ハーフトーン画像をプリントして評価を行った。
その結果、比較例の清掃装置が装着された画像形成装置で形成された画像には、わずかな筋ムラ(濃度ムラ)と明らかな斑点状ノイズが見られたが、本実施形態の清掃装置15が装着された画像形成装置では筋ムラも斑点状ノイズも見られなかった。また、本実施形態の清掃装置15が装着された画像形成装置において、転写不良を想定して一次転写出力をオフにした状態で、全面ベタ画像100枚のプリントを行った後、ハーフトーン画像をプリントして評価を行ったところ、画像ノイズは発生していなかった。
次に、本発明の第2実施形態に係る清掃装置15を図4に示す。この清掃装置15が第1実施形態の清掃装置15と異なる点は、清掃補助ローラーの回転方向が異なることと、清掃補助ローラーに付着したトナーの一部を掻き落とすフリッカー部材が設けられていることである。
まず、第1実施形態の清掃装置15の清掃補助ローラー153と感光体10とが反対方向に回転する(接触部で周速度の大きさは異なるが方向は同じ)のに対して、第2実施形態の清掃装置15の清掃補助ローラー153と感光体10は同一方向に回転する(接触部で周速度の方向が逆になる)。前者の関係をウイズ回転、後者の関係をカウンタ回転と称する。本実施形態のカウンタ回転では、清掃補助ローラー153と感光体10が接触部で互いに逆方向に移動するので、感光体10の滑剤被膜の研磨が第1実施形態のウイズ回転に比べてより効果的に行われる。
この時、清掃補助ローラー153の回転方向下流側から清掃ブレード151で掻き落とされた転写残トナーが流入するため、受け部材154に貯留したトナーをくみ上げるところに掻き落とされたトナーが流入してくる。このため、カウンタ回転の場合、ウイズ回転に比べて、受け部材154からあふれた転写残トナーが速やかに排出経路を伝わって排出されることが一層重要となる。即ち、受け部材154に貯留されたトナーの量が所定量に達した時、実施形態1で説明したように、排出経路EP1の最狭部間隔Lbが、受け部材154のトナー流入側端部154bと清掃補助ローラー153の外周面との距離であるトナー流入側開口幅Laより大きくなるように設定することが重要である。さもなければ、開口幅Laの近辺に溜められたトナーがあふれるように動かされると同時にトナーが流入するため、トナー溜まりが形成されてしまい、トナー溜まりに粉圧が発生する。その結果、凝集塊が発生し、この部分のトナーが感光体10に送られることにより、前述のような画像ノイズが発生する。
また、受け部材154に貯留されたトナーが所定量に達した後、清掃ブレード151で掻き取られた転写残トナーのほとんどが排出経路EP1を通って落下するので、排出経路EP1の排出能力を、清掃ブレード151で掻き取られる最大転写残トナー量以上となるように設計すべきである点も実施形態1と同様である。実施形態1において行った評価実験を実施形態2の条件、つまり清掃補助ローラー153を逆方向に回転させる条件でも実行し、実施形態1と同様の良好な結果が得られた。
次に、清掃補助ローラー153に付着したトナーの一部を掻き落とすフリッカー部材について説明する。図4に示すように、本実施形態の清掃装置15では、清掃補助ローラー153と感光体10との接触部に対して、清掃補助ローラー153の回転方向下流側に、フリッカー部材156が設けられている。フリッカー部材156は板状の部材であり、その先端部156aが清掃補助ローラー153の外周部のブラシに当たるように設置されている。
清掃補助ローラー153の外周部のブラシは、清掃補助ローラー153の回転に伴って、フリッカー部材156の先端部156aに当たって弾性的に撓んだ後に元に戻るような動きをする。このような動作によって、ブラシに付着していたトナーの一部が跳ね飛ばされるようにして掻き落とされる。この後、清掃補助ローラー153の外周部のブラシは受け部材154に貯留されたトナーに接触し、トナーがブラシに付着する。このようにして、清掃補助ローラー153の外周部のブラシに付着したトナーが入れ替えられるので有効な研磨効果が維持される。また、入力画像のパターンに依存する前述のようなトナー付着量の不均一さが更に緩和される。また、実施形態1と同様に、第2の排出経路EP2が形成されており、フリッカー部材156で掻き落とされたトナーは、第2の排出経路EP2から廃トナー搬送部155へ排出される。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記の実施形態に限らず、これらの実施形態を様々に変形して実施することが可能である。例えば、清掃補助ローラー153は、実施形態のようなブラシローラに限らず、ポリウレタン発泡ローラー等を用いてもよい。但し、ブラシローラを使用すれば、より小さな当接力で感光体10の滑剤被膜を研磨することができる。また、感光体10の表面に滑剤を塗布する方法は、実施形態のように滑剤をトナーに外添する方法に限らず、例えば固形滑剤を直接あるいはブラシローラを介して感光体10の表面に塗布する機構を設けてもよい。