JP6194524B2 - ノイズ電流を抑制したフォトダイオード及びそれを形成する方法 - Google Patents

ノイズ電流を抑制したフォトダイオード及びそれを形成する方法 Download PDF

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本発明は、光電流を利用したpn接合を有する受光素子に関するものであり、特にチップ端面から入る光により生じるキャリアによって発生するノイズ電流を抑制するフォトダイオードに関する。
光電流を利用したフォトダイオードは受光素子として、光検出センサ、撮像素子、フォトカプラーなど種々の用途に使用されている。このフォトダイオードにおいて、光照射により半導体(たとえば、シリコン)基板中に発生した電子・正孔対は、フォトダイオードのpn接合部に逆方向電界を印加したときに生じる空乏層における電位ポテンシャルにより正電極または負電極へ移動して光電流を生じる。フォトダイオードは、たとえば図6(a)に示すように、高濃度のN型不純物層(たとえばアンチモン(Sb)層)102上に低濃度のn型不純物層(たとえば、リン(P)層)をエピタキシャル成長したnエピ(n−epi)層103から構成されるn型シリコン半導体基板101のnエピ層103内に高濃度のp型不純物領域(たとえば、ボロン(B)領域)104が形成される。また、nエピ層103内にn型基板101の電極層である高濃度n型不純物領域(たとえば、リン(P)領域)105が形成される。この結果、n型基板101内にp型領域104のpn接合が形成される。
フォトダイオードでは、通常p型領域104の電極Aは負に、n型領域105の電極Bは正になるように逆バイアスされ、p型領域104の周囲に空乏層107が形成される。半導体チップの上方から光L0が照射されると、光電効果により半導体基板101、特にnエピ層103内で電子−正孔対が発生する。空乏層107で発生した電子−正孔対のうち、正孔は負にバイアスされたp側電極Aに流れ、電子は正にバイアスされたn側(基板側)電極Bに流れ、光電流(V電流)が生じる。空乏層107の周辺の低濃度n型不純物層であるnエピ層103においても電子−正孔対が発生し、電子や正孔は拡散により移動していき、正孔の一部が空乏層107に達し、逆バイアスの電界によって加速されてp型領域104に入り光電流(W電流)が流れる。W電流は拡散電流であるから、V電流よりも遅れて流れるため、光L0がパルス信号の場合、入射光が消えた後も流れ、信号(光)電流の立下りが遅くなり、いわゆる裾引き電流(あるいはノイズ電流)が発生する。光L0がアナログ信号の場合、信号(光)電流歪を生じる。
これらを防止する一つの方法として、n型半導体基板101の表面領域において、フォトダイオードの周辺領域をたとえばアルミニウム等の金属膜で覆い、フォトダイオードの周辺領域において光L0がn型半導体基板101の表面領域に入らないようにする。しかし、チップ端面(スクライブラインである)を金属膜で被覆することは困難であるため、この半導体基板101が露出したチップ端面108から光L1が入射していき、低濃度のn型不純物層103内に電子―正孔対を発生させて、やはりノイズ電流が発生する。特に実装基板において、フォトダイオードチップの隣に光源(たとえば、LED)を配置する場合は顕著にノイズ電流が生じる。
これを防止するために、図6(b)に示すように、チップ周辺領域に高濃度のp型(不純物)領域106(拡散遮蔽部と呼ぶ)を形成し、このp型領域106とn側電極105の間に逆バイアスを印加することによって、空乏層109を生じさせる。チップ端面108から入射した光L1により、チップ周辺部において正孔−電子対が発生する。この領域はn型領域であるから、多数キャリアである電子は移動しないが、少数キャリアである正孔は密度の勾配が生じ拡散により移動する。正孔が空乏層109に進入すると逆バイアスによる電界によって加速されてp型領域106に引き寄せられ、電極Cを通して電流が流れる。このように、チップ端面108からシリコン基板101内に入射した光L1により発生したキャリア(正孔)は、フォトダイオードを構成するp型領域104からなるフォトダイオード領域の周囲に形成し逆バイアスされたp型領域(拡散遮蔽層)106に補足されるので、ノイズ電流を抑制することができる。(特許文献1)
特開2000−12889
特許文献1における拡散遮蔽層p型領域106は濃度が高いため(1018〜1019/cm)p型領域側には空乏層が殆ど形成されず、nエピ側だけに空乏層が形成されるため全体の空乏層幅が小さい。(たとえば、基板濃度1014/cmのとき、3V逆バイアスで約5μm)従って、低濃度n型層であるnエピ層103が8μm以上あるときは、(p型領域の深さが3μm以下のときであるが、通常のp型領域は1〜2μm以下である)p型領域106に逆バイアスを印加しても空乏層109が高濃度n型領域102と接触しないので、チップ周辺で発生した正孔は空乏層109と高濃度n型層102の間を拡散していき、フォトダイオードを構成するp型領域104に達して、ノイズ電流(裾引き電流)を生じる。低濃度n型層(nエピ層)103は通常10μm以上あるので、この現象がより顕著に現われる。逆バイアス電圧を高くすれば空乏層幅も大きくなるが、昇圧回路が必要となり、単純なフォトダイオードでは構成できなくなる。フォトダイオード以外のトランジスタを含む場合でも、大きなサイズの昇圧回路が必要となりチップサイズが増大してしまう。p型領域106を深くする方法もあるが、たとえば、p型領域106をイオン注入で形成する場合、高電流でかつ高エネルギーのイオン注入装置が必要となるので、装置導入費用が高くなり、しいてはチップのコストアップを招く。さらに、特許文献1は化合物半導体(InP)に関する発明であり、シリコン半導体に関する記載や示唆もない。
上記課題を解決するために、本発明はシリコン半導体チップの周辺部にフォトダイオード領域を取り囲むpウエル領域を形成し、pウエルとnエピ層とのpn接合に逆方向電圧を印加して空乏層を発生させる。この空乏層は低濃度のnエピ層の下に存在する高濃度のn型基板と接触させるようにする。また、pウエルとなるべき領域にトレンチを形成し、トレンチを通してpウエルを形成する。以上が概要であるが、具体的には本発明は以下の構成からなる。
(1)本発明は、高不純物濃度を有するn型シリコン半導体基板上にエピタキシャル成長した低不純物濃度を有するn型シリコンエピタキシャル層を形成したシリコン半導体チップにおいて、前記n型シリコンエピタキシャル層の表面側にフォトダイオードを構成する高不純物濃度のp型領域(第1p型領域)を有し、前記第1p型領域を取り囲み、前記シリコン半導体基板チップの端面から離間してチップ周辺領域において前記n型シリコンエピタキシャル層の表面側に形成された低不純物濃度のpウエルおよび前記pウエル内の表面側に形成された高不純物濃度のp型領域(第2p型領域)を有し、前記第2p型領域と前記n型シリコン半導体基板とは逆バイアスに印加され、前記シリコン半導体チップの端面からの入射光により前記シリコン半導体チップの周辺部のn型シリコンエピタキシャル層で発生したキャリアを前記逆バイアスによってpウエルとn型シリコンエピタキシャル層とのpn接合に生じた空乏層により除去し、フォトダイオードのノイズ電流を抑制することを特徴とするフォトダイオードであり、高不純物濃度を有するn型シリコン半導体基板のn型不純物濃度は1018/cm以上であり、n型シリコンエピタキシャル層のn型不純物濃度は1015/cm以下であり、pウエルのp型不純物濃度は1015〜1017/cmであり、第1p型領域のp型不純物濃度は1018/cm以上であることを特徴とする。さらに、第2p型領域を含むpウエルからn型シリコンエピタキシャル層側に伸びる空乏層は、高不純物濃度を有するn型シリコン半導体基板に達していることを特徴とする。
(2)本発明は、(1)に加えて、pウエルは、高エネルギーイオン注入装置を用いて1000kev以上の加速エネルギーでBをイオン注入してn型シリコンエピタキシャル層の表面側にイオン注入層を形成後にpウエル拡散熱処理を行ない形成したものであることを特徴とする。あるいは、pウエルは、n型シリコンエピタキシャル層の表面側にトレンチを形成後に前記トレンチを通してB等のp型不純物イオンをイオン注入してトレンチ側壁および底部の周りにイオン注入層を形成後にpウエル拡散熱処理を行ない形成したものであり、さらに、トレンチの深さをk、トレンチ底部からのpウエルの深さをh、pウエルの底からn型エピタキシャル層側の空乏層深さをd、n型シリコンエピタキシャル層の厚みをmとしたとき、m≦k+h+dであることを特徴とする。また、前記第2p型領域は、前記pウエルを形成後に前記トレンチを通してp型イオンをイオン注入してトレンチ側壁および底部の周りにイオン注入層を形成後に活性化用熱処理を行ない形成したものであり、さらに前記トレンチ内に導電体膜を積層して充填し、前記導電体膜とトレンチ表面に形成された第2p型領域とは電気的に接続し、前記充填した導電体膜を通してpウエルに逆バイアス電圧を印加してpウエルとn型エピタキシャル層とのpn接合に空乏層を生じさせることを特徴とする。また、前記n型シリコンエピタキシャル層との電気的接続は、前記シリコン半導体チップの裏面側または前記n型シリコンエピタキシャル層に形成された高不純物濃度を有するn型領域を通して行なわれることを特徴とする。
本発明のフォトダイオードは、フォトダイオード領域とチップ端面との間にpウエルが存在し、フォトダイオード領域がpウエルにより囲まれているので、チップ端面から入射した光の吸収により発生したキャリアがチップ中央側に拡散していくが、拡散したキャリアは逆方向バイアスされたpウエルとnエピ層のpn接合に生じる空乏層により吸い上げられ、フォトダイオード領域まで達する拡散キャリアが減少して、フォトダイオードのノイズ電流を抑制することができる。さらに、この空乏層を高濃度n型基板側と接触させることによって、フォトダイオード領域は、周囲が空乏層によって、下部が高濃度n型基板側によって完全に包囲されているので、拡散キャリアは殆ど全部空乏層により吸収でき、ノイズ電流を殆どなくすことが可能となる。
nエピ層が厚いときでも、高エネルギーイオン注入装置を用いて高エネルギーでBをイオン注入することによって深いpウエルを形成できるので、拡散キャリアのフォトダイオード領域への拡散をかなり抑制することができる。また、空乏層を高濃度n型基板側と接触させることも容易となるので、高い逆方向バイアスを使用せずに済み、昇圧回路や外付けの特別の電源を使用する必要はなく、またpウエルを高温長時間の熱処理により長く伸ばす必要はないので、チップサイズや実装サイズの増大やプロセスコストの増大は少なくて済む。あるいは、トレンチを形成してpウエルを作ることによって、nエピ層の厚みに応じてnエピ層表面からのpウエル深さを任意に調節できるので、空乏層を高濃度n型基板側に近づけ、または接触させることも容易である。この方法により、高価な高エネルギーイオン注入装置及びそれに付随した複雑なプロセスを行なう必要がなくなる。
図1は、本発明のノイズ電流抑制用pウエルを有するフォトダイオードの構造を示す図である。 図2は、本発明のフォトダイオードの製造方法を示す図である。 図3は、トレンチを用いた本発明のフォトダイオードの製造方法を示す図である。 図4は、本発明のpウエルを有するフォトダイオードのレイアウトを示す図である。 図5は、本発明の実施例の効果を示す図である。 図6は、従来のフォトダイオードの構造を示す図である。
本発明は、チップ端面やチップ周辺からシリコン半導体チップに入射する光によりn型シリコン半導体基板内に生じる電子−正孔対の少数キャリアである正孔がフォトダイオードを構成するpn接合付近へ拡散して生じるノイズ電流を抑制する構造およびその製造方法に関する。図1は本発明のノイズ電流抑制用pウエルを有するフォトダイオードの構造を示す模式断面図である。簡単のために、説明に不要な薄膜等は省略して示している。基板11は、フォトダイオードの受光感度を確保しつつクロストークを低減させるため、高濃度のアンチモン(Sb)やヒ素(As)をドープした高濃度n型シリコン半導体基板12上に低濃度のリン(P)やヒ素(As)等をドープしたn型エピタキシャル層(nエピ層)13を積層した構造である。nエピ層13は、フォトダイオード部のpn接合から発生する空乏層を広がりやすくするため、低濃度(n型不純物濃度1015/cm以下)になっている。空乏層が広がることにより受光領域が大きくなり受光感度を高めることができる。高濃度n型基板12は高濃度(1018/cm以上)であるため、表面から深い領域で光吸収により発生したキャリアのライフタイムは短くなり、クロストークを低減できる。
低濃度のnエピ層13内にフォトダイオードを構成するp型領域15が形成される。このp型領域15は、高濃度(表面濃度1018/cm以上、好適には1019/cm以上)のp型不純物元素B等をドープした拡散層であり、拡散深さは約0.5μm〜2.0μmである。平面的には、矩形形状のp型領域が離間(nエピ層の濃度や印加される逆方向電圧等にもよるが、10μm〜50μm程度)してストライプ状やアレイ状に複数並んだ形状でも良いし、あるいは同心円状に離間して並んだ形状でも良いし、円形状や矩形状、あるいは多角形状でも良く、フォトダイオードの用途により適宜選択される。各p型領域15には電極Aが配線され、外部から電圧を印加できる。p型領域15の外側にはp型領域15から離間して高濃度(表面濃度1018/cm以上、好適には1019/cm以上)のn型不純物元素PやAs等をドープした拡散層であるn型領域17が形成される。この高濃度n型領域17には電極Bが配線され、外部から電圧を印加できる。このn型領域17は、フォトダイオードの受光に影響しない程度にp型領域(第1p型領域)15から離間(nエピ層の濃度や印加される逆方向電圧等にもよるが、10μm〜50μm程度)して形成されるが、高濃度基板12の裏面側に電極を設けて、省略することもできる。ただし、n型半導体基板の表面上にフォトダイオード以外のトランジスタ等の能動素子を形成する場合、高濃度n型領域や高濃度p型領域が必要であるから、同時にこのn型領域17やp型領域15を形成することもできる。
本発明のフォトダイオードは、さらにチップ周辺部に低濃度(1014〜1018/cm、好適には1015〜1017/cm)のp型不純物元素B等をドープしたpウエル14およびpウエル14内に高濃度(1018/cm以上、好適には1019/cm以上)のp型不純物元素Bをドープしたp型領域(第2p型領域)16(このp型領域16を第2p型領域16と呼ぶ。フォトダイオードを構成する前記のp型領域15を第1p型領域15と呼ぶ。)を形成する。第2p型領域16は第1p型領域15と同時に形成しても良い。第2p型領域16には電極Cが配線され、外部から電圧を印加できる。従来は、図6(b)に示すように、p型領域106は1018/cm以上の高濃度であるから、イオン注入時のBの打ち込みイオン注入量(ドーズ量)は1015/cm以上必要となる。このような高ドーズ量を打ち込む高電流イオン注入装置の加速エネルギーは最大で100keV程度であるから、Bのシリコン基板への注入深さ(飛程)は0.3μm程度となる。これを熱処理によって約1μmのpn接合を形成するには、約1000℃で約100minの熱処理が必要である。このような高温長時間の熱処理を行なう場合、浅いpn接合はできないので、p型領域106の形成とトランジスタのソース・ドレイン形成とは兼用することができないから、p型領域106形成のイオン注入工程および熱処理工程を増加する必要がある。従って、高価なイオン注入装置に負荷がかかるだけでなくプロセス増となり製造コストが増加する。しかも上記の方法により余り深いpn接合を作製することは、イオン注入装置の制約や熱処理の制約上困難である。
これに対して、本発明のフォトダイオードでは、低濃度(1014〜1018/cm、好適には1015〜1017/cm)のpウエルを形成するので、イオン注入のドーズ量は1012〜1014/cm程度であり、高エネルギー(加速エネルギー1000kev以上)のイオン注入装置を使用することができ、かつ高温長時間の熱処理も使用でき、3μm〜6μm、あるいはそれ以上の深さのpウエルを形成することができる。たとえば、2000kevの加速エネルギーでBをイオン注入した場合、Bのシリコン基板への注入深さ(飛程)は3μm程度となりかなり深くなる。これを1100℃で300min程度熱処理することによって約6μmのpウエル(ドーズ量1013/cm)を形成できる。pウエルの形成は、フォトダイオードを構成する第1p型領域15の形成とは異なるプロセス(第1p型領域15の形成前に行なう)となるが、たとえば、CMOSプロセスを使用するトランジスタも搭載するフォトダイオードであれば、CMOSプロセスにおけるpウエル形成と同時に本発明のpウエル14を形成できるので、(イオン注入もCMOSプロセスにおけるpウエル形成用と同時に行なうことができる場合)プロセスの増加にはならずコスト増にはならない。CMOSプロセスで使用するpウエルよりも深いpウエル14が必要な場合は、加速エネルギーを変える必要があるが、熱処理は兼用できるのでプロセスの増加は最小限に抑えることができる。
本発明のフォトダイオードでは、pウエル内に第2p型領域16をさらに形成する。第2p型領域16は、高濃度(表面濃度1018/cm以上、好適には1019/cm以上)のp型領域であり、電極Cと接続するために必要な領域である。第1p型領域15と同時に形成することもできる。第2p型領域16は、電極Cを通して負にバイアスし、n型領域17は、電極Bを通して正にバイアスする。従って、pウエル14も第2p型領域16を通して負にバイアスされ、pウエル14とn−エピ層13で形成されるpn接合は逆バイアスされる。この結果、この逆バイアスされたpn接合にはnエピ層側に幅d1の空乏層(図1における19)およびpウエル側に幅tの空乏層が形成される。pn接合にかかる印加電圧をVとすると、
d1=[εVNa/{eNd(Nd+Na)}]1/2
t=[εVNd/{eNa(Nd+Na)}] 1/2
n側、p側の濃度が小さいほど空乏層幅(深さ)d1、tが大きくなるので、pウエルを形成することによって、全体の空乏層幅d1+tは大きくなり、空乏層によって捕獲できるキャリアが増大する。
チップ側面の端面20はダイシングにより切断されるので、通常シリコン基板11が露出している。従って、チップ端面から照射される光L1はシリコン基板11中へ進入し、電子―正孔対が多数できる。電子は多数キャリアであるから、殆ど移動しないが、少数キャリアである正孔は濃度勾配により拡散しチップ中心側へ移動する。これらの正孔はpウエル14により形成されたpn接合が逆バイアスされて生じた空乏層19に進入すると、逆バイアス電界によってpウエル14を通して第2p型領域16により引かれて、電極Cから除去される。
また、拡散により高濃度のn型基板12に進入した正孔は多数キャリアである電子により即座に再結合し消滅するので、この高濃度のn型基板12を通してフォトダイオード領域(pウエル14よりチップ内側の光電流の発生に寄与する領域)側へ拡散する正孔は殆ど存在しない。本発明のフォトダイオードでは、空乏層19を高濃度のn型基板12と接触させるので、フォトダイオード領域はpウエルのpn接合にかかる逆バイアスにより生じる空乏層19および高濃度のn型基板12によって完全に包囲されている。従って、チップ端面から照射された光L1によって発生したすべての正孔は、空乏層19か高濃度のn型基板12に進入する。前述のように、高濃度のn型基板12に進入した正孔は即座に再結合し消滅し、また空乏層19に進入した正孔は電極Cから除去されるので、チップ端面(側面)から照射された光L1によって発生した正孔はフォトダイオード領域には入らないから、ノイズ電流や裾引き電流は生じない。空乏層19が高濃度のn型基板12と接触しない場合でも、本発明のフォトダイオードはpウエル14を有し、空乏層19を高濃度のn型基板12にかなり近づけることができるので、ノイズ電流等を減少させることが可能となる。
低濃度nエピ層の厚みをm(プロセス中に高濃度n型層がnエピ層に拡散する(湧き上がり拡散)ので、正確に言えば、プロセス終了後におけるnエピ層13の低濃度領域の深さ、すなわち低濃度n型層の厚みである)、pウエル14の深さをh1、n側の空乏層の厚さ(幅)をd1としたとき、m≦h1+d1となるように、pウエルの深さおよび逆方向印加電圧を決定する。このようにすることによって、フォトダイオード領域は完全にpウエルおよびpウエル周辺の空乏層によって包囲され、チップ側面端面からの光入射によりチップ周辺で生じるキャリアのフォトダイオード領域への拡散を抑制できる。空乏層19が高濃度n型層12に接触しなくても、pウエルの形成によってより近くに近づくので、やはりチップ側面端面からの光入射によりチップ周辺で生じるキャリアのフォトダイオード領域への拡散を抑制できる。
長波長の光はシリコン表面からかなり深くまで入射する。たとえば、660nmの波長の光は、シリコン表面から10μmまでの所で90%以上吸収されるが、850nmの波長の光は、シリコン表面から10μmまでの所で55%程度しか吸収されずに、シリコン表面から20μmまでの所でも20%程度は吸収されない。このことは、m=10μmとすれば、長波長の光は光電流として余り活用されないことを意味している。逆に言えば、長波長までの光を有効に電流に変換するためには、mを大きくした方が良い。たとえば、mを20μm〜30μmにすれば、かなり長波長の光の大部分が低濃度n型エピタキシャル層において電子−正孔対の発生に寄与できるので、光の変換効率を高めることができる。しかし、mを大きくすると図1(a)に示す方法では、pウエルの深さh1を深くしなければならず、たとえばより高いエネルギーでイオン注入を行う必要があり、イオン注入装置のコストが大幅に増加する。さらに、イオン注入時のマスクとなる感光性膜を厚くしなければならず、材料費が増大するだけでなく、厚い感光性膜形成技術やその窓開け技術が困難となりプロセス難度が増大する。あるいは、イオン注入後のpウエル形成用熱処理の温度を高くしたり、または長時間の熱処理が必要となる。あるいは、空乏層の厚みd1を大きくしなければならず、より高い逆方向電圧を印加する必要があるので、(外部からの接続)電源を増加するか、または昇圧回路を設ける必要があり、チップサイズの増大、周辺部品等の増設なども必要となる。いずれにしても大幅なコストの増大となる。
そこで、本発明のフォトダイオードでは、図1(b)に示すように、トレンチ21(シリコン表面からの深さk2)を形成し、トレンチ21を通してpウエル用のイオン注入を行なう。これにより、高エネルギーのイオン注入装置を用いずに通常エネルギーのイオン注入装置を用いて(または、イオン注入のエネルギーをそれほど高くすることなく)、pウエル形成用のイオン注入を行ない、その後のpウエル形成用の拡散熱処理も高温長時間の熱処理を行なう必要がなく、高濃度n型基板12にpウエルを近づけて(pウエルの深さ、すなわちトレンチの底部からのpウエルの深さh2)、通常の逆バイアス電圧をかけて通常深さd2を有する空乏層19を作り、この空乏層19を高濃度n型基板12に接触させることができる。すなわち、m≦k2+h2+d2を実現できる。トレンチ深さk2を調節すれば、mが大きくなってもmが小さいときのイオン注入条件およびpウエル形成用の熱処理条件を採用できる。この結果、フォトダイオード領域はpウエル14の周囲に形成される空乏層19により完全に包囲されるので、チップ側面端面からの光入射によりチップ周辺部で発生したキャリア(正孔)もフォトダイオード領域に進入することがなく、ノイズ電流を生じないようにすることができる。空乏層19を高濃度n型基板12に接触できなくても、トレンチ21の形成によって空乏層19を高濃度n型基板12により近づけることができ、やはりフォトダイオードのノイズ電流を抑制できる。
図2は、本発明のフォトダイオードの製造方法を示す図である。図2(a)に示すように、高濃度のn型シリコン基板12上に低濃度のn型エピ層(nエピ層)13(厚みm)をエピタキシャル成長させたn型シリコン半導体基板11の表面に絶縁膜31を形成する。この絶縁膜31は、厚みが約0.1μm〜1.0μmのシリコン酸化膜やシリコン窒化膜等で、CVD法や熱酸化法で形成する。絶縁膜31上にフォトレジスト等の感光性膜32を形成し、pウエルを形成すべき部分33を露光法により開口する。この開口部33から、B等のp型イオン34をイオン注入して、p型不純物イオン注入層35を形成する。開口部33以外のシリコン半導体基板11の表面にはイオン注入しないようにするために、絶縁膜31および感光性膜32の全体厚みを充分厚くする。たとえば、Bイオンを加速エネルギー1000kevでイオン注入する場合(シリコン中の飛程は約1.8μm)、絶縁膜31および感光性膜32の全体厚みを2.5μm以上にする。
次に図2(b)に示すように、感光性膜32をリムーブした後熱処理を行ないp型不純物イオン注入層35からBを拡散させ、pウエル14を形成する。熱処理温度が高く長時間であれば、高濃度n型基板12からの湧き上がり拡散もあり、そのときはmが小さくなる(従って、mは正確にはn型シリコン半導体基板11の低濃度n型領域の深さである)。たとえば、1100℃30時間の熱処理で約4μm、pウエルを伸ばすことができる。従って、イオン注入によって形成するp型不純物層35の深さをn、熱処理により拡散する長さ(拡散長)をqとすれば、pウエルの深さh=n+qとなり、pウエルの深さは、主として、pウエル形成用のイオン注入の加速エネルギーおよびpウエル形成用の熱処理温度・時間により決定される。すなわち、イオン注入の加速エネルギーを上げて、熱処理をより高温・長時間で行なうことによって、より深いpウエルを形成できる。
次に図2(c)に示すように、n型半導体基板11上に絶縁膜36を形成した後、フォトリソ法を用いて第1p型領域15および第2p型領域16形成用のパターニングを行ない、これらの領域における感光性膜を開口して、それらの感光性膜の開口部からB等のp型イオンをイオン注入し、第1p型不純物イオン注入層および第2p型イオン注入層を形成し、活性化熱処理および/または拡散用熱処理を行ない、第1p型領域15および第2p型領域16を形成する。第2p型領域16にpウエルに印加される電源ラインCが接続されるので、第2p型領域16はpウエル14内に入るように形成され、pウエル14に効果的に電圧(逆方向電圧)が印加されるようにする。第1p型領域15は、フォトダイオードを構成するp型領域であり、フォトダイオード領域内において第1p型領域15の周囲にpn接合による空乏層18(逆方向電圧印加時)が形成される。第1p型領域15および第2p型領域16のイオン注入は同一条件で同時に行なうこともできる。
さらに、フォトリソ法を用いてn型シリコン半導体基板11に電圧印加用の高濃度n型領域17形成用のパターニングを行ない、これらの領域17における感光性膜を開口して、リン(P)、As等のn型イオンをイオン注入し、n型イオン注入層を形成し、活性化熱処理および/または拡散用熱処理を行ない、高濃度n型領域17を形成する。第1p型領域15および第2p型領域16形成用の熱処理は、高濃度n型領域17形成用の熱処理と同時に行なうこともできる。絶縁膜36は、厚みが約0.1μm〜1.0μmのシリコン酸化膜やシリコン窒化膜等で、CVD法や熱酸化法で形成する。この絶縁膜36は、絶縁膜31を除去した後に絶縁膜36を形成しても良いし、絶縁膜31上に新たに絶縁膜を形成しても良いし、あるいは絶縁膜31と兼用しても良い。
次に図2(d)に示すように、シリコン酸化膜やシリコン酸窒化膜等の層間絶縁膜39を積層した後、フォトリソ法を用いて感光性膜に窓開けを行ない、この窓開けした所から絶縁膜36および39をエッチング除去し、第1p型領域15、第2p型領域16、および高濃度n型領域17とのコンタクト孔41を形成する。次に図2(e)に示すように、多結晶シリコン膜、アルミニウム、シリサイド膜、銅膜等の導電体膜を積層して、必要なパターニングを行ない配線・電極43を形成する。第1p型領域15と接続する配線・電極43は電極A、高濃度n型領域17と接続する配線・電極43は電極B、第2p型領域16と接続する配線・電極43は電極Cとなる。層間絶縁膜39および絶縁膜36は、配線・電極43と半導体基板11との短絡を防止するための絶縁膜であるが、絶縁膜36で充分であれば層間絶縁膜39を積層しなくても良い。層間絶縁膜39および絶縁膜36の全体厚みは0.2μm〜1.0μmあれば充分であり、余り厚くするとシリコン基板に入る光量を遮るので、フォトダイオードの適用用途によって絶縁膜の種類や膜厚を適宜選択するのが良い。また、配線・電極43を形成後、保護膜としてシリコン酸化膜、シリコン酸窒化膜、あるいはシリコン窒化膜を積層することもできる。
図3は、トレンチを用いた本発明のフォトダイオードの製造方法を示す図である。使用する基板は、図2に示したものと同様で、高濃度のn型基板12上に厚さmの低濃度n型層13のnエピ層をエピタキシャル成長したn型シリコン半導体基板11である。図3(a)に示すように、このn型シリコン半導体基板11の表面にシリコン酸化膜等の絶縁膜31を形成後、フォトリソ法を用いて、pウエルを形成する領域において感光性膜51にトレンチ形成用の開口部52を形成する。この開口部52から絶縁膜31をエッチングし、さらにシリコン基板11をエッチングしトレンチ21を形成する。pウエル形成領域を広く取れるときは、絶縁膜31やシリコン基板11をウエットエッチングや等方性ドライエッチングでエッチングすることもできるが、通常pウエル形成領域は余り広くないので、異方性ドライエッチングにより深さ方向に略垂直(基板面の法線に対して平均傾斜角度10度以下、好適には5度以下、最適には1度以下)な形状であるトレンチ21を形成する。トレンチ21のn型シリコン半導体基板11の表面からの深さk2は、nエピ層13の厚みm、pウエルの深さ(トレンチ底部からの深さ)h2、pウエルに印加される逆方向電圧により生じる空乏層の厚みd2から決定できる。(m≦k2+h2+d2)
異方性ドライエッチングに用いられるエッチングガスは、たとえば、SF、CF、CHF、CCl、CFCl、SiCl、Cl、Br、HBr等のハロゲン系ガスが挙げられる。所定深さのトレンチ21が形成された後で、トレンチ21の底部およびトレンチ側壁側面に開口部52を通して、pウエル形成用のp型不純物イオン(たとえば、B)34をイオン注入し、トレンチ21の底部および側壁側面にp型イオン注入層53を形成する。トレンチエッチングにマスクとして用いた感光性膜51は、このpウエルエッチング時にもイオン注入のマスクとなる。ドライエッチング時に感光性膜51もある程度エッチングされるので、トレンチ21だけにイオン注入し他の感光性膜51で被われた部分にイオン注入しないように、初期の感光性膜51の厚みを確保しておく。本発明のフォトダイオードにおいて、トレンチ21を形成する場合は、p型不純物イオンをそれほど深くイオン注入する必要はなく、イオン注入の加速エネルギーを余り高くする必要はないので、感光性膜51の厚みもそれほど厚くする必要はない。
通常イオン注入はチャネリング防止のために半導体基板11面の法線方向に対して少し傾けて(たとえば、7度)行なうので、トレンチ底部およびトレンチ側壁にイオン注入するために、トレンチ幅、トレンチ深さ、絶縁膜31の厚み、感光性膜51の厚みを選択する。また、トレンチ21は通常直方体形状の溝であるから、トレンチ側壁にイオン注入するために4つの各側壁に向けて対向する方向からイオン注入する。あるいは、回転イオン注入を行ない、4つの各側壁を有するトレンチ側壁の側面へ満遍なくイオン注入することができる。尚トレンチが円筒形またはその他の形状であっても90度ずつ異なる方向から4回イオン注入したり、あるいは回転イオン注入したりすることにより、トレンチ側壁へ満遍なくイオン注入することができる。また、これらの方法によりトレンチ底部へのイオン注入も充分に行なうことができる。
次に図3(b)に示すように、pウエル形成用の熱処理を行ない、p型イオン注入層53からp型不純物元素を拡散させpウエル14を形成する。熱処理条件(温度、時間)は、p型イオン注入層53の深さから最終的なpウエル深さh2になるように選択する。次に図3(c)に示すように、フォトリソ法を用いて絶縁膜31上に感光性膜をパターニングし、p型領域(第1、第2)15、16を形成すべき領域を開口し、それらの開口部分から高濃度のp型不純物イオンをイオン注入し、p型不純物イオン注入層を形成し、その後の活性化および拡散熱処理により第1p型領域15および第2p型領域16を形成する。第2p型領域はトレンチ21の底部および側壁側面に形成される。従って、トレンチ21の部分は感光性膜が開口しており、p型イオン注入は、トレンチ21を通ってその底部および側壁側面に打ち込まれる。pウエル14は既に大きく伸びているので、第2p型領域はpウエル14の内側に形成される。さらに、フォトリソ法を用いて絶縁膜31上に感光性膜をパターニングし、高濃度のn型領域17を形成すべき領域を開口し、その開口部分から高濃度のn型不純物イオンをイオン注入し、n型不純物イオン注入層を形成し、その後の活性化および拡散熱処理により高濃度のn型領域17を形成する。これらのp型不純物イオン注入層の活性化および拡散熱処理とn型不純物イオン注入層の活性化および拡散熱処理は兼用することもできる。
次に図3(d)に示すように、トレンチ21内を導電体膜22で充填する。この導電体膜22は、高濃度の不純物を含有した(ドープした)PolySi膜、WSix膜等のシリサイド膜、Al、銅、金、タングステン等の金属膜である。これらの導電体膜22がトレンチ底部および側壁側面の高濃度の第2p型領域と直接接触しているので、導電体膜22とpウエル14は電気的に接続する。トレンチ21内を導電体膜22で充填する方法はこれまでに実施または提案された種々の方法を適用できる。たとえば、PolySi膜やシリサイド膜をCVD法等で積層すれば、トレンチ21の内部にも積層し、一定膜厚以上のPolySi膜等の積層でトレンチ内を充填できる。シリコン半導体基板11上の絶縁膜31上にも積層するので、全面エッチング(異方性ドライエッチングが良い)すれば、トレンチ21内だけPolySi膜等を充填できる。あるいは、選択CVD法を用いてトレンチ内をW等の金属膜で充填できる。あるいは、めっき法を用いて、トレンチ内に選択的にCu、Au等の金属を充填できる。
次に図3(e)に示すように、絶縁膜31上に絶縁膜39を積層し、第1p型領域15、トレンチ21を充填した導電体膜22、およびn型領域17との接続孔(コンタクト孔)を形成し、導電体膜を積層して、所定のパターニングを行なって電極・配線41を形成する。第1p型領域15と接続する電極・配線41が電極A、n型領域17と接続する電極・配線41が電極B、トレンチ21を充填した導電体膜22と接続する電極・配線41が電極Cとなる。このようにトレンチを形成する本発明のフォトダイオードは、トレンチ形成プロセスは増えるものの、高価な高エネルギーイオン注入装置を使用しなくとも、確実にフォトダイオード領域をpウエルおよびその周りに形成した空乏層により包囲することができ、フォトダイオード特性に有害なノイズ電流を確実に抑制できる。
図4は本発明のpウエルを有するフォトダイオードのレイアウト(平面図)の一例を示す図である。図4(a)は、円形状の第1p型領域15から離間して、その第1p型領域を包囲する矩形形状のpウエル14を有するフォトダイオードである。pウエル14はチップ端面20から離間(nエピ層の不純物濃度や逆方向電圧にもよるが、10μm〜100μm程度)して配置される。pウエル14がチップ端面まで達すると、チップ端面にpn接合が露出するので、この部分から電荷が漏れて接合が不完全となり逆方向電圧を印加してもpウエルのpn接合に充分に電圧が印加できない。図示していないが、pウエル14の内側に第2p型領域が形成される。第1p型領域15とpウエル14の間にn型領域17が配置される。n型領域17は基板11とのコンタクト部であるが、nエピ層のn型不純物濃度が低いときは、n型領域17を広く取って充分な(フォトダイオード特性に影響を与えない程度に)コンタクト面積を確保することが望ましい。空乏層18は、円形状の第1p型領域の外側(および下側)に形成される。pウエル14の空乏層19はpウエル14の周囲に形成される。
図4(b)は、第1p型領域が円形状のストライプ(縞状または円形帯状)パターンとなっている場合の一例である。各ストライプパターンに電極Aが配線され同じ電圧が印加され、各円形状パターンの外側および下部にに空乏層が形成される。pウエル14の形状は矩形状で図4(a)と同じで、フォトダイオード領域を取り囲んでいる。フォトダイオード領域内の第1p型領域の形状は、矩形形状や多角形状、あるいは格子状であっても良く用途に応じて適宜選択すれば良い。本発明のpウエル領域は、チップ端面とフォトダイオード領域との間に配置するだけでなく、フォトダイオード以外の他のデバイス(トランジスタや他の種々の回路)を一緒に搭載するICの場合には、他のデバイス領域とフォトダイオード領域との間に配置することも有効であり、光が他のデバイス領域にも入射してその領域で電子―正孔対を発生する場合でも、発生したキャリア(正孔)がフォトダイオード領域に進入するのを防止することができる。尚、pウエル14はフォトダイオード領域を囲んでいることが重要なので、図4に示すような矩形状である必要はなく、円形状、楕円状、多角形状でも良く、また、チップ端面20からの距離は大きくても良い(ただし、大きいとチップサイズも大きくなる。)
種々のフォトダイオードを有するチップ端面(側面)から光を照射して、それらのフォトダイオードにおいて発生する光電流を比較した。nエピ層の厚みが12μmのn型基板内に、チップ端面からa(a=100、400)μm、a+70μmおよびa+150μmの距離に形成した第1p型領域のフォトダイオードA1、A2およびA3を配置したフォトダイオードチップにおいて、チップ端面から60μmの距離の所に形成したpウエルの効果を調べた。pウエルの深さは約6μmで、pウエルおよび第1p型領域(A1、A2、A3)に5Vの逆方向電圧を印加し、チップ端面から波長850μmの光を照射して、フォトダイオードA1、A2、A3に流れる電流をシミュレーションした。比較のためにpウエルがないもの、高濃度基板のない通常基板も使用した。図5にその結果を示す。通常基板の場合、pウエルを設けることにより1/4〜1/5程度フォトダイオードA1の電流値が小さくなるが、エピ基板の場合、pウエルを設けることによって特にpウエルに近いA1のフォトダイオードの電流値を2桁〜5ケタ程度小さくすることができる。このように特にエピ基板の場合は、pウエルを付加することによってノイズ電流を大幅に小さくすることができる。
以上説明した様に、本発明は、フォトダイオード領域とチップ端面との間にpウエルを配置するとともに、このpウエルに逆方向バイアスを印加して広い空乏層を発生させて、この空乏層を高濃度n型基板と接触させる。フォトダイオード領域はpウエルのpn接合に生じる空乏層と下部の高濃度n型基板に囲まれているので、チップ端面から入射する光によって発生するキャリアのフォトダイオード領域への進入を抑制できる。本発明のpウエルは、さらにpウエル領域に形成したトレンチを通してイオン注入およびその後のpウエル形成用熱処理により形成されるので、高エネルギーイオン注入装置等の特殊で高価な装置や複雑なプロセスを使用することなく、さらにより高温長時間の熱処理を使用することなく、pウエルのpn接合に生じる空乏層を高濃度n型基板に接触させることができる。
本発明のフォトダイオードは、高濃度n型基板上にn型エピ層をエピタキシャル成長したエピウエハを用いたが、これまでに記載した内容について、n型とp型を逆にした場合にも適用できる。すなわち、高濃度p型基板上にp型エピ層をエピタキシャル成長したエピウエハを用い、フォトダイオードとして高濃度n型領域によるpn接合を用いて、フォトダイオード領域をnウエルで包囲する構造についても本発明を適用することができる。尚、明細書の各部分に記載し説明した内容を記載しなかった他の部分においても矛盾なく適用できることに関しては、当該他の部分に当該内容を適用できることは言うまでもない。さらに、上記実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施でき、本発明の権利範囲が上記実施形態に限定されないことも言うまでもない。
本発明は、フォトダイオード単独デバイスだけでなく、フォトダイオード内蔵のフォトIC等の各種デバイスにも適用することができる。
11・・・n型シリコン半導体基板、12・・・高濃度n型シリコン半導体基板、
13・・・n型エピタキシャル層、14・・・pウエル、15・・・第1p型領域、
16・・・第2p型領域、17・・・高濃度n型領域、18・・・空乏層、
19・・・空乏層、20・・・チップ端面

Claims (9)

  1. 高不純物濃度を有するn型シリコン半導体基板上にエピタキシャル成長した低不純物濃度を有するn型シリコンエピタキシャル層を形成したシリコン半導体チップにおいて、前記n型シリコンエピタキシャル層の表面側にフォトダイオードを構成する高不純物濃度のp型領域(第1p型領域)を有し、
    前記第1p型領域を取り囲み、前記シリコン半導体チップの端面から離間してチップ周辺領域において前記n型シリコンエピタキシャル層よりも浅くかつ前記n型シリコンエピタキシャル層の表面側に形成された低不純物濃度のpウエル、および前記pウエル内の表面側に形成された高不純物濃度のp型領域(第2p型領域)を有し、
    前記第2p型領域と前記n型シリコン半導体基板とは、前記pウエルと前記n型シリコンエピタキシャル層とのpn接合に生じる空乏層が前記n型シリコン半導体基板に達するように逆バイアスに印加され、前記シリコン半導体チップの端面からの入射光により前記シリコン半導体チップの周辺部のn型シリコンエピタキシャル層で発生したキャリアを前記逆バイアスによって生じた前記空乏層により除去し、フォトダイオードのノイズ電流を抑制することを特徴とするフォトダイオード。
  2. 高不純物濃度を有するn型シリコン半導体基板のn型不純物濃度は1018/cm以上であり、n型シリコンエピタキシャル層のn型不純物濃度は1015/cm以下であり、pウエルのp型不純物濃度は1015〜1017/cmであり、第1p型領域のp型不純物濃度は1018/cm以上であることを特徴とする請求項1に記載のフォトダイオード。
  3. 前記第1p型領域を取り囲み、前記シリコン半導体チップの端面から離間して、チップ周辺領域において前記n型シリコンエピタキシャル層よりも浅いトレンチを有し、前記トレンチの下部に前記pウエルおよび前記p型領域(第2p型領域)が存在することを特徴とする、請求項1または2に記載のフォトダイオード。
  4. 前記トレンチの深さをk、前記トレンチ底部からの前記pウエルの深さをh、前記pウエルの底から前記n型エピタキシャル層側の空乏層深さをd、前記n型シリコンエピタキシャル層の厚みをmとしたとき、
    m≦k+h+dであることを特徴とする請求項3に記載のフォトダイオード。
  5. 前記トレンチ内には充填した導電体膜が存在し、前記導電体膜を通してpウエルに逆バイアス電圧を印加することにより、前記pウエルと前記n型エピタキシャル層とのpn接合に空乏層が生じることを特徴とする請求項3または4に記載のフォトダイオード。
  6. 高濃度のn型シリコン基板上に低濃度のn型エピ層をエピタキシャル成長する工程、
    pウエルを形成すべき部分にp型イオンをイオン注入して、p型不純物イオン注入層を形成する工程、
    熱処理を行ないp型不純物イオン注入層からp型不純物を拡散させ、pウエルを形成する工程、
    第1p型領域および第2p型領域を形成すべき部分において、p型イオンをイオン注入し、第1p型不純物イオン注入層および第2p型イオン注入層を形成する工程、および
    活性化熱処理および/または拡散用熱処理を行ない、第1p型領域および第2p型領域を形成する工程、
    を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかの項に記載のフォトダイオードを形成する方法。
  7. 高濃度のn型シリコン基板上に低濃度のn型エピ層をエピタキシャル成長する工程、
    pウエルを形成する領域においてトレンチを形成する工程、
    トレンチの底部およびトレンチ側壁側面にトレンチ開口部を通して、pウエル形成用のp型不純物イオンをイオン注入し、トレンチの底部および側壁側面にp型イオン注入層を形成する工程、
    熱処理を行ない、p型不純物イオン注入層からp型不純物を拡散させ、pウエルを形成する工程、
    第1p型領域および第2p型領域を形成すべき部分において、トレンチの底部およびトレンチ側壁側面にトレンチ開口部を通して、p型イオンをイオン注入し、第1p型不純物イオン注入層および第2p型イオン注入層を形成する工程、および
    活性化熱処理および/または拡散用熱処理を行ない、第1p型領域15および第2p型領域を形成する工程、
    を含むことを特徴とする、請求項3〜5のいずれかの項に記載のフォトダイオードを形成する方法。
  8. pウエル形成用のイオン注入、並びに第1p型領域および第2p型領域形成用のイオン注入は回転イオン注入を用いて行なうことを特徴とする、請求項7に記載のフォトダイオードを形成する方法。
  9. トレンチ開口部内を導電体膜で充填する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項7または8に記載のフォトダイオードを形成する方法。

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