以下、本発明の実施形態について説明する。図1に示すカラオケシステムは、ホスト装置1とカラオケ装置2と有しており、これらの装置が伝送路4を通じて通信可能に接続されている。カラオケ装置2は、例えばカラオケ店KBの各カラオケルームRMに設置されており、ホスト装置1との間で常時通信可能に接続されている。また、各カラオケルームRMは拠点に相当し、伝送路4を通じたデュエット歌唱(以下、通信デュエットという)を行う場合、対象となるカラオケ装置2同士が伝送路4を介して相互に接続される。以下、各装置について説明する。
ホスト装置1は、サーバーとして機能し、顧客情報などの各種情報を蓄積して管理する。図2に示すように、ホスト装置1は、ホスト側制御部11と、ホスト側通信部12と、ホスト側記憶部13と、ホスト側モニタ14とを有している。
ホスト側制御部11は、ホスト装置11における制御の中心となる部分であり、CPU11aやメモリ11bを有している。CPU11aは、メモリ11bに記憶された動作プログラムに従って各種の制御を実行する。メモリ11bは、CPU11aに実行されるプログラムを記憶したり、プログラムの実行時に各種情報を一時的に記憶したりする記憶素子である。ホスト側通信部12は、ホスト装置1を伝送路4(後述する汎用伝送路4A)に接続するためのインタフェースを提供する。
ホスト側記憶部13は、大容量の情報を記憶する記憶装置であり、ハードディスクドライブ等によって構成されている。ホスト側記憶部13の一部領域は、利用者(歌唱者)の個人情報や履歴データが記憶される顧客情報記憶領域として用いられている。この顧客情報記憶領域には、個人情報、来店履歴、歌唱履歴等を示すデータが利用者IDに対応付けられた状態で記憶される。
そして、ホスト側記憶部13における別の領域は、装置ID記憶領域として用いられる。この装置ID記憶領域には、各カラオケルームRMに設置されたカラオケ装置2を識別するための装置IDが、店舗を示す店舗ID、カラオケルームRMを示すルームID、カラオケ装置2の機種を示す機種ID等に対応付けられた状態で記憶される。また、装置IDには、対応するカラオケ装置2の使用状態を示す使用状態情報も対応付けられている。例えば、カラオケ装置2が通常のカラオケに使用されたり、通信デュエットに使用されたりしている場合には、使用期間に亘ってその旨を示す情報(例えば使用フラグ)が設定される。
また、ホスト側記憶部13におけるさらに別の領域は、伝送遅延データ記憶領域、及び判定結果記憶領域として用いられる。そして、これらの記憶領域を有するホスト側記憶部13は、判定結果記憶手段に相当する。
伝送遅延データ記憶領域には、ホスト装置1(サーバー)とカラオケ装置2との間の伝送遅延を示す伝送遅延データが、装置ID等に関連付けられた状態で記憶されている。後述するように、この伝送遅延データは、コマンドの送受信に要する伝送時間であり、通信テストによって各カラオケ装置2について取得され、記憶される。本実施形態における伝送遅延データは、通信テストが行われる毎に蓄積されて履歴データとして記憶されているが、少なくとも最新のデータが記憶されていればよい。
判定結果記憶領域には、ホスト装置1とカラオケ装置2とを接続する伝送路4(汎用伝送路4A)に関し、通信状態が通信デュエットに適しているか否かを示す判定結果が記憶されている。後述するように、この判定結果は、伝送遅延データ等に基づいて各カラオケ装置2について取得され、記憶される。本実施形態における判定結果は、通信デュエットに適していることを示す「OK」データと、適さないことを示す「NG」データの2種類である。この判定結果は、伝送遅延データと同様に、通信テストが行われる毎に蓄積されるが、少なくとも最新のデータが記憶されていればよい。
ホスト側モニタ14は、ホスト装置1で扱われる各種情報を表示する部分である。例えば、ホスト側モニタ14には、伝送遅延データ記憶領域に蓄積された伝送遅延データ(伝送時間の履歴データ)や、伝送路4の通信状態に関する判定結果が表示される。そして、伝送時間の履歴データを表示するとき、ホスト側モニタ14は、伝送時間の履歴を報知する履歴報知手段として機能する。
次に、カラオケ装置2について説明する。カラオケ装置2は、カラオケ演奏等を行うものであり、例えば図3に示すように、カラオケ本体21と、スピーカ22と、本体側モニタ23と、歌唱マイク24と、マイク付カメラ25と、リモコン装置26と、第1通信端末27と、第2通信端末28と、パワーアンプ29とを有している。
カラオケ本体21は、選択されたカラオケ楽曲の演奏制御、歌詞及び背景映像の表示制御、歌唱マイク24で生成されたマイク信号の処理といった、カラオケ歌唱に関する各種の制御を行う部分である。このカラオケ本体21については、後で詳しく説明する。
スピーカ22は、パワーアンプ29及び第1通信端末27を介してカラオケ本体21に接続されており、パワーアンプ29で増幅された放音信号に基づいて放音する。例えば、個々のカラオケルームRMで行われる通常のカラオケ歌唱では、歌唱マイク24で生成されたマイク信号とカラオケ本体21で生成されたカラオケ演奏音信号の混合音信号が、第1通信端末27を通じてパワーアンプ29に入力される。このため、スピーカ22からは、各カラオケルームRMで歌唱する歌唱者の歌唱音とカラオケ演奏音とが放音される。なお、通常のカラオケ歌唱において、混合音信号を第1通信端末27を経ずに直接パワーアンプ29に入力してもよい。
また、2つのカラオケルームRM(拠点)同士を通信可能に接続して行われる通信デュエットでは、後述するように、或るカラオケルームRMの歌唱マイク24で生成されたマイク信号と、他のカラオケルームRMの歌唱マイク24で生成され伝送路4(第1専用伝送路4B)を通じて受信されたマイク信号と、カラオケの演奏音信号とが、第1通信端末27を介してパワーアンプ29に入力される。このため、スピーカ22からは、各歌唱者の歌唱音とカラオケ演奏音が放音される。
本体側モニタ23は、カラオケ本体21に接続されており、カラオケ本体21からの映像信号に基づいて、歌唱対象のカラオケ楽曲における歌詞や背景映像等を表示させる。また、通信デュエットでは、自室側映像や相手側映像を歌詞テロップとともに表示させる。歌唱マイク24もカラオケ本体21に接続されており、歌唱者の音声等を歌唱信号に変換してカラオケ本体21に入力させる。
マイク付カメラ25は、自室内を撮影することで映像信号を生成する。生成された映像信号は第2通信端末28に入力され、カラオケ本体21に出力されたり、伝送路4(第2専用伝送路4C)を介して相手側へ送信されたりする。なお、この通信カラオケシステムでは、マイク付カメラ25が備えるマイクは無効化されており、映像信号のみが取り扱いの対象になっている。
リモコン装置26は、カラオケ本体21との間で情報を送受信するための双方向通信可能な短距離無線通信部を備えており、カラオケ楽曲の予約時などに操作される。カラオケ楽曲の予約時において、リモコン装置26からは、演奏対象の楽曲を識別するための楽曲IDを含んだ操作信号が送信される。
また、本実施形態のリモコン装置26は、通信デュエットにおける開始信号を送信する開始信号送信手段としても機能する。通信デュエットを行うに際し、或るカラオケ装置2が有するリモコン装置26からの開始信号がホスト装置1へ送信され、ホスト装置1から各カラオケ本体21に送信される。このとき、開始信号は、汎用伝送路4Aを通じて送受信される。
第1通信端末27は、カラオケ本体21とパワーアンプ29との間に介在し、音に関する各種信号を取り扱う。例えば、通常のカラオケ歌唱において、第1通信端末27は、カラオケ本体21から直接入力される歌唱信号及び演奏音信号を混合した混合音信号の音量を調整し、パワーアンプ29に出力する。また、通信デュエット歌唱において、第1通信端末27は、第1専用伝送路4Bを通じて入力された信号(相手側歌唱信号)と、自室側でのカラオケ歌唱で生成された混合音信号との入力バランスを調整し、パワーアンプ29に出力する。
第2通信端末28は、カラオケ本体21とマイク付カメラ25との間に介在し、映像に関する各種信号を取り扱うものであり、本実施形態ではセットトップボックスによって構成されている。通信デュエット歌唱において、第2通信端末28は、マイク付カメラ25で生成された自室側の映像信号、及び、第2専用伝送路4Cを通じて入力された相手側の映像信号を合成し、カラオケ本体21に出力する。カラオケ本体21は、第2通信端末28から入力された合成後の映像信号を本体側モニタ23に出力する。これにより、本体側モニタ23には、自室側映像及び相手側映像が表示される。
通信デュエットの実行時において、カラオケ本体21、第1通信端末27、及び第2通信端末28は、相手側カラオケルームRMのカラオケ本体21、第1通信端末27、及び第2通信端末28と通信可能に接続される。また、通信デュエットが行われていない期間において、カラオケ本体21は、ホスト装置1と通信可能に接続される。
このため、カラオケ本体21、第1通信端末27、及び第2通信端末28は、何れもルーター装置RTに接続されている。このルーター装置RTにより、カラオケ本体21は汎用伝送路4Aに接続され、第1通信端末27は第1専用伝送路4Bに接続され、第2通信端末28は第2専用伝送路4Cに接続される。
ここで、汎用伝送路4Aは、例えばインターネット回線や無線LAN等の汎用性を有する伝送路である。また、第1専用伝送路4B及び第2専用伝送路4Cは、規定の通信速度が得られるように品質管理された専用回線である。本実施形態では、第2専用伝送路4Cとしてテレビ電話用の伝送路を用いている。このため、複数の第2通信端末28のそれぞれには電話番号が割り当てられており、通話状態にすることで一対の第2通信端末28が、ルーター装置RT及び第2専用伝送路4Cを介して通信可能に接続される。第1専用伝送路4Bは、次世代型のネットワークなど、第2専用伝送路4Cよりも高品質な通信が可能な専用の伝送路である。各第1通信端末27にも電話番号が割り当てられており、通話状態にすることで一対の第1通信端末27が、ルーター装置RT及び第1専用伝送路4Bを介して通信可能に接続される。
汎用伝送路4Aは、通信デュエットの開始信号を他のカラオケ本体21に送信する際に使用される。また、汎用伝送路4Aは、各種のデータをホスト装置との間で送受信する際にも使用される。そして、第1専用伝送路4Bは、通信デュエット歌唱を行うに際し、マイク信号を送受信するために用いられる。また、第2専用伝送路4Cは、通信デュエット歌唱を行うに際し、マイク付カメラ25で生成された映像信号を送受信するために用いられる。
次に、カラオケ本体21について詳細に説明する。図4に示すように、カラオケ本体21は、本体側制御部31と、本体側通信部32と、本体側記憶部33と、音源部34と、音響処理部35と、表示処理部36と、映像入力部37と、操作部38とを有している。そして、これらの各部がバスBSを介して通信可能な状態に接続されている。
本体側制御部31は、カラオケ本体21における制御の中心となる部分であり、CPU31aやメモリ31bを有している。CPU31aは、メモリ31bに記憶された動作プログラムに従って各種の制御を実行する。例えば、操作部38からの操作を受け付ける操作入力処理やシーケンサとして動作するシーケンサ処理を行う。メモリ31bは、CPU31aに実行されるプログラムを記憶したり、プログラムの実行時に各種情報を一時的に記憶したりする記憶素子である。
本体側通信部32は、ルーター装置RTを介してカラオケ本体21を汎用伝送路4Aに接続するためのインタフェースを提供する。このため、本体側通信部32は、ルーター装置RTとの間で情報の送受信を行う。そして、本体側通信部32は、本体側制御部31によって動作が制御される。
本体側記憶部33は、各種のデータを記憶する大容量の記憶装置であり、例えばハードディスクドライブによって構成されている。この本体側記憶部33には、例えば、楽曲データ記憶領域や背景映像データ記憶領域が設けられる。楽曲データ記憶領域には、リモコン装置26で選択されたカラオケ楽曲を演奏するための楽曲データ(MIDIデータ,歌詞データ)が記憶され、背景映像データ記憶領域には、モニタに背景映像を表示させるための背景映像データが記憶される。
音源部34は、MIDIデータに基づいて演奏音信号を生成する部分であり、CPU34aと、メモリ34bと、波形メモリ34cとを有している。CPU34aは、メモリ34bに記憶された動作プログラムに従って各種の制御を実行する。メモリ34bは、CPU34aに実行されるプログラムを記憶したり、プログラムの実行時に各種情報を一時的に記憶したりする記憶素子である。波形メモリ34cは、対象楽器が奏でた様々な音の波形データを読み出し可能に記憶する記憶素子である。この音源部34は、本体側制御部31がシーケンサ処理を行うと、MIDIデータに応じて波形データを加工し、加工後の楽音信号を音響処理部35に出力する。
音響処理部35は、カラオケ楽曲の演奏制御、歌唱マイク24で生成されたマイク信号の処理、及び、第1通信端末27を通じて入力されたマイク信号の処理を行う部分である。例えば、カラオケ楽曲の演奏制御において、音響処理部35は、音源部34から出力された楽音信号をアナログ変換し、演奏音信号として第1通信端末27へ出力する。また、歌唱マイク24からのマイク信号が入力されると、このマイク信号を第1通信端末27へ出力する。マイク信号を第1通信端末27へ出力するに際し、音響処理部35は、マイク信号にエコー成分を付加する等の処理を行う。
表示処理部36は、カラオケ演奏時における背景映像の表示等の制御を行う。カラオケ演奏時において、表示処理部36には背景映像データが入力されており、この背景映像データのデコードが行われる。そして、表示処理部36は、デコードで生成された背景映像の映像信号に歌詞テロップを合成し、合成後の映像信号を本体側モニタ23に出力する。その際、表示処理部36は、本体側制御部31でのシーケンサ処理で出力される歌詞データに基づき、歌詞テロップを合成する。また、シーケンサ処理で出力される色替え命令に従って、歌詞テロップの表示色を変更する。その結果、本体側モニタ23には、背景映像に歌詞テロップが重ねられた映像が表示され、かつ、カラオケ楽曲の進行にあわせて歌詞テロップの表示色が変更される。
映像入力部37は、第2通信端末28からの映像信号を取り込む部分であり、例えばインタフェース回路によって構成されている。通信デュエットが行われる期間において、第2通信端末28からは、自室側及び相手側の映像信号が出力される。そして、映像入力部37は、入力された映像信号を表示処理部36へ出力する。
操作部38は、パネルスイッチやリモコン受信回路などからなっており、利用者によるパネルスイッチやリモコン装置26の操作に応じた操作信号を本体側制御部31に対して出力する。本体側制御部31は、操作入力処理を行うことで操作信号を検出し、対応する処理を実行する。なお、パネルスイッチやリモコン装置26は、操作を選択するための種々のキースイッチ(図示せず)を備えている。そして、リモコン装置26を通じた操作により、通常のカラオケ歌唱や通信デュエットを選択して実行できる。
次に、上記構成を有するカラオケシステムの動作について説明する。図5は、伝送路4を通じて接続された4台のカラオケ装置2(第1カラオケ装置2A〜第4カラオケ装置2D)とホスト装置1を説明するブロック図である。なお、実際には多数のカラオケ装置2が伝送路4を通じて接続されているが、便宜上、4台に絞って説明を行うことにする。そして、通信デュエットを行う場合には、多数のカラオケ装置2の中から一部のカラオケ装置2が選択され、第1専用伝送路4B及び第2専用伝送路4Cを通じてマイク音や映像信号が送受信される。
このカラオケシステムでは、サーバーとして機能するホスト装置1と、各カラオケ装置2A〜2Dとの間で通信テストが行われる。そして、汎用伝送路4Aの通信状態が通信デュエットに適しているか否かについて判定される。この判定結果に基づいて、通信デュエットに適さない旨が報知されたり、通信デュエットを要求したカラオケ装置2A〜2Dに対して判定結果が送信したりする。以下、通信テストを中心に、カラオケシステムの動作を説明する。
図6は、ホスト装置1から各カラオケ装置2A〜2Dへ送信されるコマンドの送信経路を説明するブロック図である。なお、同図において、第3,第4カラオケ装置2C,2Dは、第1,第2カラオケ装置2A,2Bと同様に構成されているので記載を省略している。また、第1,第2カラオケ装置2A,2Bが有する各部に関し、便宜上符号A,Bを付して示している。
このカラオケシステムにおいて、ホスト装置1は、使用状態判別手段として機能し、各カラオケ装置2A〜2Dが、現在使用されているか否かを判別する。本実施形態における使用状態とは、楽曲演奏や動画データのダウンロード等の動作を行っている状態を意味する。一方、非使用状態とは、曲間CMの出力時や楽曲の予約待ち等の待機状態といったように、利用者がいない状態や楽曲配信を受けていない状態を意味する。各カラオケ装置2A〜2Dは、楽曲演奏等を行う際に、ホスト装置1へその旨を示す実行情報を送信するので、ホスト装置1は、この実行情報に基づいて使用されているか否かを判別する。
次に、ホスト装置1は、通信テスト実行手段として機能し、使用されていないと判別された非使用カラオケ装置2A〜2Dとホスト装置1(サーバー)との間で、汎用伝送路4Aに対する通信テストを実行させる。本実施形態において、ホスト装置1は、非使用カラオケ装置2A〜2Dへping(コマンド)を送信することで通信テストを行っている。例えば、ホスト装置1は、20秒間にpingを10回送信し、非使用カラオケ装置2A〜2Dからのpingの戻りの有無、送受信に要する時間、及び送受信時間のばらつきを取得する。なお、pingの送信回数は10回に限られない。取得されるばらつきの精度に応じて定められた所定回数であればよい。
次に、ホスト装置1は、通信状態判定手段として機能し、通信テストの結果に基づき、汎用伝送路4Aの通信状態が通信デュエットに適しているか否かを判定する。例えば、片道の通信遅延が100ms(送受信に要する時間では200ms)以内であり、片道の通信遅延の平均値が30ms以下であり、かつ、通信遅延の標準偏差が7ms以内である場合に、通信状態が通信デュエットに適していると判定する。
すなわち、通信デュエットの実行時には、この汎用伝送路4Aを通じて開始信号が送受信される。そして、汎用伝送路4Aの通信状態が前述の条件を満たす場合、ホスト装置1を経由して送信される開始信号は、通信デュエットを行う各カラオケ装置2A〜2Dに対して極めて小さな伝送遅延の差をもって受信される。これにより、各カラオケ装置2A〜2Dでは、ほぼ同時に通信デュエット歌唱を開始させることができる。
以下、図7のフローチャートを参照して、ホスト装置1(サーバー)による上記の制御を詳しく説明する。
ホスト装置1は、まず通信テストのタイミングが到来したか否かを判断する(S1)。本実施形態では、通信テストを30分〜2時間程度の周期で繰り返し行っている。このため、ホスト装置1は、前回のテストタイミングからの経過時間を取得し、繰り返し周期に相当する時間に達した場合に、テストタイミングが到来したと判断する。なお、この処理は、テストタイミングが到来するまで、繰り返し行われる。
テストタイミングが到来したならば、ホスト装置1は、テスト対象とするカラオケ装置2を選択する(S2)。この選択は、ホスト側記憶部13の装置ID記憶領域に記憶された装置IDに基づき行われる。例えば、装置IDの若い順に、カラオケ装置2が選択される。
カラオケ装置2を選択したならば、ホスト装置1は、選択したカラオケ装置2が、現在使用されているか否かを判別する(S3)。前述したようにホスト装置1は、使用されているか否かの判別を、各カラオケ装置2が送信する実行情報に基づいて行っている。実行情報を受信するとホスト装置1は、ホスト側記憶部13の装置ID記憶領域に使用フラグを設定するので、この使用フラグの有無で判断を行う。
なお、カラオケ装置2が使用されているか否かを判別できれば、実行情報に基づく方法に限られない。例えば、選択されたカラオケ装置2に対し、ホスト装置1から現在の使用状況を問い合わせ、このカラオケ装置2からの回答に基づいて判別してもよい。
選択されたカラオケ装置2が、使用されていないと判別された非使用カラオケ装置であった場合、ホスト装置1は、通信テストを実行する(S4)。本実施形態では前述したように、ホスト装置1からカラオケ装置2に対し、20秒間にpingを10回送信することで通信テストを行っている。そして、ホスト装置1は、カラオケ装置2からのpingの戻りの有無、送受信に要する時間、及び送受信時間のばらつきを取得する。なお、通信テストの内容(pingの送信期間や回数等)は上記に限られない。
通信テストを行ったならば、ホスト装置1は、テスト結果を記録する(S5)。図8に示すように、本実施形態では、本体側記憶部33の伝送遅延データ記憶領域に、テスト日時、伝送遅延(平均値)、及び標準偏差のデータを、装置IDに関連付けて記憶している。そして、伝送遅延と標準偏差に基づいて通信状態が通信デュエットに適しているか否かを判定し、本体側記憶部33の判定結果記憶領域に、判定結果(OK,NG)、及びテスト日時のデータを、装置IDに関連付けて記憶している。
次に、ホスト装置1は、判定結果を参照し(S6)、NGであった場合には警告処理を行う(S7)。例えば、伝送遅延データが表示されているホスト側モニタ14に、通信状態が通信デュエットに適していない旨を示す警告表示を表示させる。このステップS6の処理において、ホスト装置1は警告手段として機能する。この警告表示により、メンテナンス等の必要な対応を行うことができる。なお、警告処理に関し、通信状態が通信デュエットに適していない旨を通知できれば、他の方法を採ってもよい。
そして、選択されたカラオケ装置2が使用されていた場合(S3でN)、判定結果がOKであった場合(S6でN)、警告処理を終えた場合には、各カラオケ装置2について通信テストが一巡されたか否かを判定する(S8)。そして、一巡していない場合には、ステップS2に移行して次のカラオケ装置2を選択する。また、一巡した場合には、ステップS1に移行して次のテストタイミングが到来するまで待機する。
以上の手順で取得された通信状態の判定結果は、通信デュエットが行われる前に、伝送路4の通信状態が通信デュエットに適しているか否かを確認するために用いられる。
例えば、デュエット相手が決まっている歌唱者同士の間で通信デュエットを行う場合、リモコン装置26の操作に応じて、各カラオケ装置2A〜2Dからホスト装置1に対して通信デュエットの実行要求が送信される。この実行要求を受信したホスト装置1(判定結果送信手段)は、本体側記憶部33の判定結果記憶領域(判定結果記憶手段)に記憶された最新の判定結果を、このカラオケ装置2A〜2Dに送信する。
カラオケ装置2A〜2Dは、受信した判定結果の内容に応じた処理を行う。例えば、判定結果が、通信デュエットに適している「OK」の場合には、各カラオケ装置2A〜2Dの利用者への通知は行わず、各専用伝送路4B,4Cの接続操作、マイク音量の調整、及び映像の調整を継続させる。一方、判定結果が、通信デュエットに適していない「NG」の場合には、例えば図9(a)に示すように、通信遅延のためデュエットができない旨の表示を行う。これにより、利用者は、通信デュエットを行うことを早期に断念でき、無駄な準備等を行わなくても済む。
なお、図9(a)は、デュエット相手が決まっている歌唱者同士での通知例であったが、デュエット相手が決まっていない場合(ユーザーマッチングの場合)には、例えば図9(b)に示すように、デュエット相手を募集している候補者の情報と回線状態の情報を表示指せるようにしてもよい。
そして、図10に示すように、このカラオケシステムでは、通信デュエットの開始に際して、或るカラオケ装置2が有するリモコン装置26から開始信号が送信されると、この開始信号は、汎用伝送路4Aを通じてホスト装置1へ送信される。そして、ホスト装置1から各カラオケ装置2A〜2Dへ開始信号が送信され、各カラオケ装置2A〜2Dがこの開始信号を受信すると、通信デュエットが開始される。その際、伝送路4の通信状態が良好であることが確認済みなので、各カラオケ装置2が開始信号を受信するタイミングが揃い、通信デュエットを支障なく行うことができる。
このように、このカラオケシステムでは、使用されていないと判別されたカラオケ装置2(非使用カラオケ装置)とホスト装置1(サーバー)との間で通信テストが実行され、通信テストの結果に基づいて汎用伝送路4Aの通信状態が通信デュエットに適しているか否かが判定される。このため、汎用伝送路4Aの通信状態が通信デュエットに適しているか否かを、通信デュエットが行われる前に確認することができる。その結果、無駄な準備等を避けることができ、通信デュエットの興趣を高めることができる。
また、通信テストは、各カラオケ装置2A〜2Dとホスト装置1との間で、ping(コマンド)の送受信を判定期間に亘って複数回行うものであり、ホスト装置1(通信状態判定手段)は、コマンドの送受信に要する伝送時間のばらつきが閾値未満の場合に、通信デュエットに適した通信状態と判定している。このように、コマンドの送受信に要する伝送時間を測定することで汎用伝送路4Aの通信状態を確認しているので、確認処理を簡素化できる。
また、ホスト装置1(履歴報知手段)は、本体側記憶部33の伝送遅延データ記憶領域(履歴データ記憶手段)に、pingの送受信に要する伝送時間の履歴データをカラオケ装置2毎に記憶させ、この履歴データに基づいて伝送時間の履歴を報知している。これにより、汎用伝送路4Aの通信状態に関する経時的な評価を行うことができる。
また、ホスト装置1は、通信デュエットに適した通信状態ではないと判定した場合に、適した通信状態ではない旨をホスト側モニタ14で警告している。これにより、汎用伝送路4Aのメンテナンスといった対応を事前に行うことができる。
さらに、ホスト装置1は、汎用伝送路4Aの通信状態に関する最新の判定結果を、通信デュエットの実行を要求するカラオケ装置2A〜2Dに対して送信している。これにより、そのカラオケ装置2A〜2Dの利用者は、汎用伝送路4Aが通信デュエットに適さない通信状態であれば、早期に通信デュエットの実行を断念できる。その結果、無駄な準備等を避けることができる。
以上の実施形態の説明は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に本発明にはその等価物が含まれる。例えば、次のように構成してもよい。
まず、通信デュエットを行うカラオケ装置2は、2台に限られない。3台以上のカラオケ装置2を用いて通信デュエットを行うようにしてもよい。
通信テストにおいて、ホスト装置1からpingを送信するように構成したが、各カラオケ装置2からpingを送信してもよい。その際、各カラオケ装置2A〜2Dが自己の通信テストの結果(pingの送受信に要する伝送時間の履歴データと判定結果)を記憶し、利用者による通信カラオケの実行要求の際に、通信テストの結果を利用してもよい。