恒常性B細胞誘引性ケモカイン1(BCA−1)(他にはCXCL13(またはANGIE、BLC、BLR1L、ANGIE2もしくはScyb13)として知られる)は、二次リンパ器官(例えば脾臓、リンパ節およびパイエル板)において濾胞樹状細胞(FDC)およびマクロファージにより構成的に発現される。Gunnら、Nature391:799〜803頁(1998)およびCarlsenら、Blood104(10):3021〜3027頁(2004)を参照されたい。CXCL13は、主に、Gタンパク質共役型CXCR5受容体(バーキットリンパ腫受容体1)を介して作用する。CXCR5は、例えば成熟Bリンパ球、CD4+濾胞ヘルパーT細胞(Thf細胞)、CD8+T細胞のわずかな部分集合および活性化扁桃腺Treg細胞上で発現される。それぞれ全体として引用することにより本明細書の一部をなす、Leglerら、J.Exp.Med.187:655〜660頁(1998);Forsterら、Blood84:830〜840頁(1994);Fazilleauら、Immunity30:324〜335頁(2009);Anselら、J.Exp.Med.190:1123〜1134頁(1999);Limら、J.Clin.Invest.114(11):1640〜1649頁(2004);およびR.Forster、Chapter in Academic Press Cytokine Reference、2000年8月、を参照されたい。CXCL13は、例えば活性化T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、樹状細胞および中型から大型血管の内皮細胞により発現される別のケモカイン受容体であるCXCR3を介してシグナル伝達することもできる(Jenhら、Cytokine15:113〜121頁(2001);Garcia−Lopezら、Laboratory Investigation81:409〜418頁(2001)(これらはそれぞれ全体として引用することにより本明細書の一部をなす))。
本明細書で用いる場合、用語「CXCL13」および「CXCL13ポリペプチド」は、相互に交換可能なものとして用いられる。ある種の実施形態では、CXCL13は、完全サイズのCXCL13もしくはその断片、またはCXCL13バリアントポリペプチドを含んでよく、ここで、CXCL13の断片またはCXCL13バリアントポリペプチドは、完全サイズのCXCL13のいくらかまたは全ての機能的特性を保持する。ヒトCXCL13ポリペプチドおよびポリヌクレオチド配列(それぞれ配列番号1および2)は記載されており、例えばLeglerら、J.Exp.Med.187(4):655〜660頁(1998)を参照されたい。マウスCXCL13ポリペプチドおよびポリヌクレオチド配列(それぞれ配列番号3および4)は記載されており、例えばGunnら、Nature391(6669):799〜803頁(1998)を参照されたい。さらに、カニクイザルCXCL13ポリペプチド配列は、配列番号5に示すように、記載されている。
本明細書で用いる場合、用語「CXCR5」および「CXCR5ポリペプチド」は、相互に交換可能なものとして用いられる。ある種の実施形態では、CXCR5は、完全サイズのCXCR5もしくはその断片、またはCXCR5バリアントポリペプチドを含んでよく、ここで、CXCR5の断片またはCXCR5バリアントポリペプチドは、完全サイズのCXCR5のいくらかまたは全ての機能的特性を保持する。用語「CXCR5」および「CXCR5ポリペプチド」は、可溶型のCXCR5も包含する。本明細書で用いる場合、用語「可溶型のCXCR5」は、細胞膜と結合していない形態のCXCR5である。全長CXCR5は、7回膜貫通型受容体である。よって、可溶型のCXCR5の非限定的な例は、細胞外ドメイン(例えば最初の約60アミノ酸)から本質的になるCXCR5の断片を含む。ヒトCXCR5ポリヌクレオチドおよびポリペプチド配列は、当技術分野において知られており、本明細書においてそれぞれ配列番号6および7として示す。マウスCXCR5ポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、当技術分野において知られており、本明細書においてそれぞれ配列番号8および9として示す。
本明細書で用いる場合、用語「CXCR3」および「CXCR3ポリペプチド」は、相互に交換可能なものとして用いられる。ある種の実施形態では、CXCR3は、完全サイズのCXCR3もしくはその断片、またはCXCR3バリアントポリペプチドを含むことがあり、ここで、CXCR3またはCXCR3バリアントポリペプチドの断片は、完全サイズのCXCR3のいくつかまたは全ての機能的特性を保持する。用語「CXCR3」および「CXCR3ポリペプチド」は、可溶型のCXCR3も包含する。本明細書で用いる場合、用語「可溶型のCXCR3」は、細胞膜と結合していない形態のCXCR3である。全長CXCR3は、7回膜貫通型受容体である。よって、可溶型のCXCR3の非限定的な例は、細胞外ドメインから本質的になるCXCR3の断片を含む。ヒトCXCR3配列は、当技術分野において知られており、本明細書において配列番号22および23として示すものは、それぞれヒトCXCR3バリアント1およびバリアント3である。
本明細書で示すように、CXCL13活性の阻害は、シェーグレン症候群のマウスモデルにおける唾液腺炎症を低減し、唾液腺に存在するB細胞数の減少を導く。いずれの理論または作用機序に束縛されるものではないが、CXCL13は、シェーグレン症候群において唾液腺組織へのB細胞の移動を駆動すると考えられる。よって、必要とする対象へのCXCL13活性を阻害する薬剤の投与による、シェーグレン症候群を含むがそれに限定されない炎症性疾患、特にB細胞媒介炎症性疾患の治療のための方法が提供される。
今回開示する方法は、炎症性疾患およびCXCL13発現細胞に関連する免疫系の機能不全もしくは障害の治療または防止を対象とする。「CXCL13発現細胞」により、CXCL13抗原を発現する正常および悪性細胞を意図する。細胞においてCXCL13発現を検出するための方法は当技術分野において公知であり、それらに限定されないが、PCR技術、免疫組織化学、フローサイトメトリー、ウェスタンブロット、ELISAなどを含む。
炎症性疾患は、炎症および組織破壊またはその組み合わせを特徴とする。「抗炎症活性」により、炎症の低下または防止を意図する。「炎症性疾患」は、開始イベントまたは免疫応答の標的が例えば同種抗原、異種抗原、ウイルス抗原、細菌抗原、未知抗原またはアレルゲンを含む(1以上の)非自己抗原に関与する任意の炎症性免疫媒介プロセスを含む。
一実施形態では、炎症性疾患は、末梢または中枢神経系の炎症性障害である。
いくつかの実施形態では、炎症性疾患は、B細胞媒介炎症性疾患である。本明細書で用いる場合、用語「B細胞媒介炎症性疾患」は、本明細書で記載する炎症性疾患であり、ここで、該疾患の病原、進行または病原および進行の両方は、B細胞の活性に主に依存する。B細胞媒介炎症性疾患の非限定的な例は、自己抗体の生成を特徴とするものを含む。
「B細胞」は、骨髄中で成熟するリンパ球であり、ナイーブB細胞、メモリーB細胞またはエフェクターB細胞(形質細胞)を含む。B細胞は、本明細書では、正常または非悪性B細胞であってよい。
「B細胞表面マーカー」または「B細胞表面抗原」は、該抗原と結合するアンタゴニストが標的にできるB細胞の表面上に発現される抗原である。例示的なB細胞表面マーカーは、例えば、CD10、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD24、CD37、CD40、CD53、CD72、CD73、CD74、CDw75、CDw76、CD77、CDw78、CD79a、CD79b、CD80、CD81、CD82、CD83、CDw84、CD85およびCD86ならびにCXCR5を含む。特に対象とするB細胞表面マーカーは、哺乳動物の他の非B細胞組織と比較してB細胞上で優先的に発現され、前駆B細胞および成熟B細胞の両方で発現されることがある。本発明で好ましいB細胞表面マーカーは、CD19およびCXCR5である。本発明の目的のために、用語「炎症性疾患」は、それらに限定されないが「自己免疫疾患」を含む。本明細書で用いる場合、用語「自己免疫」は、「自己」抗原に関わる炎症性免疫媒介プロセスを包含すると一般的に理解される。自己免疫疾患において、(1以上の)自己抗原は、宿主免疫応答を引き起こす。
一実施形態では、本発明の抗CXCL13結合分子、例えば抗体または抗原結合断片は、シェーグレン症候群を治療または予防するために用いられる。
本明細書で用いる場合、乾燥症候群としても知られる「シェーグレン症候群」は、免疫細胞が、涙および唾液を生成する腺を攻撃する自己免疫疾患または障害である。この障害の際立った症状は、口内乾燥およびドライアイである。さらに、シェーグレン症候群は、皮膚、鼻および膣の乾燥を引き起こすことがあり、腎臓、血管、肺、肝臓、膵臓および脳を含む体の他の器官に影響することがある。シェーグレン症候群は、原発性障害(「原発性シェーグレン症候群」)、または関節リウマチ、全身性ループス、多発性筋炎、強皮症および自己免疫性肝炎のようなリウマチ性障害、非ホジキンリンパ腫のようなリンパ腫ならびに甲状腺炎のような内分泌障害に関連し、かつ/もしくはそのような障害に対して続発性である続発性障害(「続発性シェーグレン症候群」)として存在できる。用語「シェーグレン症候群」は、本明細書で用いる場合、診断が行われていることを条件として、原発性および続発性の両方のシェーグレン症候群を含む段階が何であっても、また、いかなる症状が現れていても、シェーグレン症候群に対して適用する。症候群についての診断は、以下に述べるものを含む。これは、全身性の顕在化なしで中等度から重度の乾燥症状を示す対象および全身性の症状を示す対象も含む。
ある種の実施形態では、異所性リンパ系濾胞もしくは胚中心の存在または患部組織へのB細胞の動員を特徴とする炎症性疾患の治療のために、必要とする対象に薬剤が投与される。これらの実施形態のいくつかでは、CXCL13活性を阻害する薬剤は、異所性リンパ系濾胞または胚中心の形成を阻害する。
一実施形態では、治療は、患者へのCXCL13活性を阻害する薬剤(例えば抗CXCL13、抗CXCR5または抗CXCR3結合分子)の施用もしくは投与、または患者からの単離組織もしくは細胞株への薬剤の施用もしくは投与を含み、ここで、患者は、疾患、疾患の症状または疾患に対する素因を有する。別の実施形態では、治療は、患者へのCXCL13活性を阻害する薬剤(例えば抗CXCL13、抗CXCR5または抗CXCR3結合分子)を含む医薬組成物の施用もしくは投与、または疾患、疾患の症状もしくは疾患に対する素因を有する患者からの単離組織もしくは細胞株への薬剤を含む医薬組成物の施用もしくは投与を含むことも意図する。
本発明の方法に従って、CXCL13活性を阻害する少なくとも1つの薬剤(例えば抗CXCL13、抗CXCR5または抗CXCR3結合分子)は、自己免疫疾患および/または炎症性疾患の治療または防止に関する正の治療応答を促進するために用いられる。自己免疫疾患および/または炎症性疾患に関する「正の治療応答」により、投与した薬剤の抗炎症活性、抗血管新生活性、抗アポトーシス活性などに関連する疾患の改善および/または疾患に関連する症状の改善を意図する。つまり、抗増殖効果、CXCL13発現細胞のさらなる増殖の防止、それらに限定されないが、炎症性サイトカイン、接着分子、プロテアーゼ、免疫グロブリン(例えばCXCL13を有する細胞がB細胞である場合)、それらの組み合わせの分泌の低下などを含む炎症性応答の低減、抗炎症性タンパク質の生成の増加、自己反応性細胞の数の低下、免疫寛容の増加、自己反応性細胞生存の阻害、アポトーシスの低下、内皮細胞移動の低下、自発的単球移動の増加、異所性リンパ系濾胞数の低減、患部組織に存在するB細胞数の低減、患者組織へのB細胞の移動の低減、CXCL13発現細胞の刺激により媒介される1もしくは複数の症状の低下および/または減少が観察できる。このような正の治療応答は、投与経路に限定されず、ドナー、ドナー組織(例えば臓器灌流)、ホスト、それらの任意の組み合わせなどへの投与を含み得る。臨床応答は、磁気共鳴イメージング(MRI)スキャン、X線撮影イメージング、コンピュータ断層撮影(CT)スキャン、フローサイトメトリーまたは蛍光標示式細胞分取(FACS)分析、組織学的検査、肉眼所見、およびそれらに限定されないがELISA、RIA、クロマトグラフィーなどにより検出可能な変化を含む血液化学のようなスクリーニング技術を用いて評価できる。これらの正の治療応答に加えて、CXCL13活性を阻害する薬剤(例えば抗CXCL13、抗CXCR5または抗CXCR3結合分子)を用いる治療を受ける対象は、疾患に関連する症状の改善の有益な効果を経験し得る。
本明細書で用いる場合、用語「治療する」または「治療」は、治療的処置および予防的または防止的措置の両方のことをいい、ここで、目的は、シェーグレン症候群の進行のような望ましくない生理的変化もしくは障害を遅くする(少なくする)か、該変化もしくは障害の悪化を低減するか、または該変化もしくは障害の再発を防止することである。有益なまたは所望の臨床的結果は、それらに限定されないが、検出可能または検出不可能な、症状の軽減、疾患の程度の減少、疾患の状態の安定化(すなわち悪化しない)、疾患進行の遅延または減速、疾患状態の改善もしくは一次的緩和および寛解(部分的または完全のいずれか)を含む。「治療」は、治療を受けない場合に予期される生存と比較して延長された生存も意味し得る。治療を必要とするものは、状態または障害を既に有するもの、および状態もしくは障害を有する傾向にあるものまたは状態もしくは障害を妨げようとするものを含む。
「対象」または「個体」または「動物」または「患者」または「哺乳動物」により、それについての診断、予後または治療が所望される任意の対象、特に哺乳動物対象を意味する。哺乳動物対象は、ヒト、家畜、畜産動物ならびに動物園、スポーツまたはペット動物、例えばイヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、ウマ、ウシなどを含む。
本明細書で用いる場合、「CXCL13活性を阻害する薬剤の投与により利益を受け得る対象」および「治療を必要とする動物」のような句は、例えば治療、すなわち疾患の一次的緩和もしくは防止のために、CXCL13活性を阻害する薬剤(例えば抗CXCL13、抗CXCR5または抗CXCR3抗体)の投与から利益を受け得る哺乳動物対象のような対象を含む。本明細書でより詳細に記載するように、抗CXCL13、抗CXCR5または抗CXCR3抗体は、非コンジュゲート形態で用いることができるか、または例えば薬物、プロドラッグもしくは同位体にコンジュゲートできる。
CXCL13活性の阻害のために有用な薬剤は、小分子、ポリペプチドおよびポリヌクレオチドを含む。ある種の実施形態では、薬剤は、その受容体とのCXCL13の結合を遮断する。いくつかの実施形態では、薬剤は、CXCL13とCXCR5との間の相互作用を遮断する。他の実施形態では、薬剤は、CXCL13とCXCR3との間の相互作用を遮断する。特定の実施形態では、薬剤は、CXCL13、CXCR5またはCXCR3と特異的に結合する特異的結合分子である。これらの実施形態のいくつかでは、薬剤は、抗CXCL13、抗CXCR5抗体または抗CXCR3抗体である。他の実施形態では、薬剤は、可溶型のCXCR5またはCXCR3である。
本明細書で用いる場合、用語「ポリペプチド」は、単数の「ポリペプチド」および複数の「ポリペプチド」を包含することを意図し、アミド結合(ペプチド結合としても知られる)により直鎖状に連結されたモノマー(アミノ酸)で構成される分子のことをいう。用語「ポリペプチド」は、2以上のアミノ酸の任意の1または複数の鎖のことをいい、特定の長さの生成物のことをいわない。つまり、ペプチド、ジペプチド、トリペプチド、オリゴペプチド、「タンパク質」、「アミノ酸鎖」または2以上のアミノ酸の1もしくは複数の鎖のことをいうために用いられる任意のその他の用語は、「ポリペプチド」の定義の中に含まれ、用語「ポリペプチド」は、これらの任意の用語の代わりにまたは相互に交換可能に用いることができる。用語「ポリペプチド」は、限定することなくグリコシル化、アセチル化、リン酸化、アミド化、既知の保護/遮蔽基による誘導体化、タンパク質分解切断または非天然アミノ酸による修飾を含むポリペプチドの発現後修飾の生成物のことをいうことも意図する。ポリペプチドは、自然の生物学的供給源に由来するか、または組換え技術により生成できるが、指定する核酸配列から翻訳される必要はない。これは、化学合成を含む任意の方法で作製してよい。
今回開示する方法において有用なポリペプチドは、約3以上、5以上、10以上、20以上、25以上、50以上、75以上、100以上、200以上、500以上、1,000以上または2,000以上のアミノ酸のサイズのものであってよい。ポリペプチドは、規定された三次元構造を有してよいが、そのような構造を有する必要はない。規定された三次元構造を有するポリペプチドは、折り畳まれたといい、規定された三次元構造を有さないがむしろ多数の異なる高次構造を採用できるポリペプチドは、折り畳まれていないという。本明細書で用いる場合、用語「糖タンパク質」は、少なくとも1の炭水化物部分(これは、タンパク質に、アミノ酸残基、例えばセリン残基またはアスパラギン残基の酸素含有または窒素含有側鎖により付着する)に結合したタンパク質のことをいう。
「単離」ポリペプチドまたはその断片、バリアントもしくは誘導体により、その自然環境にないポリペプチドを意図する。特定のレベルの精製は必要とされない。例えば、単離ポリペプチドは、その天然または自然の環境から取り出すことができる。宿主細胞中で発現された組換え生成ポリペプチドおよびタンパク質は、任意の適切な技術により分離、分画、または部分的もしくは実質的に精製された天然または組換えポリペプチドと同様に、本発明の目的のために単離されたとみなされる。
今回開示する方法において有用なポリペプチドとして、ポリペプチドの断片、誘導体、類似体、バリアント、およびそれらの任意の組み合わせも含まれる。用語「断片」、「バリアント」、「誘導体」および「類似体」は、抗CXCL13、抗CXCR5または抗CXCR3抗体または抗体ポリペプチドのことをいう場合、対応する抗体または抗体ポリペプチドの少なくともいくらかの抗原結合特性を保持する任意のポリペプチドを含む。ポリペプチドの断片は、タンパク質分解断片および欠失断片を、本明細書の他の場所で論じる特異的抗体断片に加えて含む。抗CXCL13、抗CXCR5または抗CXCR3抗体のバリアントは、上記の断片、およびアミノ酸置換、欠失または挿入によるアミノ酸配列の変更を有するポリペプチドを含む。バリアントは、自然に存在するかまたは自然に存在しないものであってよい。自然に存在しないバリアントは、当技術分野において既知の突然変異誘発技術を用いて生成できる。バリアントポリペプチドは、保存的もしくは非保存的アミノ酸置換、欠失または付加を含んでよい。バリアントポリペプチドは、本明細書において「ポリペプチド類似体」ということもある。本明細書で用いる場合、抗CXCL13、抗CXCR5または抗CXCR3抗体または抗体ポリペプチドの「誘導体」は、官能性側基の反応により化学的に誘導体化した1または複数の残基を有する主題ポリペプチドのことをいう。「誘導体」として、20の標準的アミノ酸の1または複数の自然に存在するアミノ酸誘導体を含有するペプチドも含まれる。例えば、4−ヒドロキシプロリンは、プロリンを置換でき、5−ヒドロキシリシンは、リシンを置換でき、3−メチルヒスチジンは、ヒスチジンを置換でき、ホモセリンは、セリンを置換でき、オルニチンは、リシンを置換できる。抗CXCL13、抗CXCR5および抗CXCR3抗体および抗体ポリペプチドの誘導体は、参照抗体または抗体ポリペプチドにおいて見出されないさらなる特徴を示すように変更されたポリペプチドを含んでよい。
ポリペプチドの関係において、「直鎖状配列」または「配列」は、アミノ末端からカルボキシル末端方向でのポリペプチド中のアミノ酸の順序であり、ここで、配列中で互いに隣にある残基は、ポリペプチドの一次構造において連続的である。
用語「ポリヌクレオチド」は、単数の核酸および複数の核酸を包含することを意図し、単離核酸分子または構築物、例えばメッセンジャーRNA(mRNA)またはプラスミドDNA(pDNA)のことをいう。ポリヌクレオチドは、通常のホスホジエステル結合または通常でない結合(例えばペプチド核酸(PNA)において見出されるようなアミド結合)を含んでよい。用語「核酸」は、ポリヌクレオチド中に存在する任意の1または複数の核酸セグメント、例えばDNAまたはRNA断片のことをいう。「単離」核酸またはポリヌクレオチドにより、その天然の環境から取り出された核酸分子、DNAまたはRNAを意図する。例えば、ベクターに含まれる、抗CXCL13、抗CXCR5または抗CXCR3結合分子、例えば抗体またはその抗原結合断片をコードする組換えポリヌクレオチドは、本発明の目的のために単離されたとみなされる。単離ポリヌクレオチドのさらなる例は、異種宿主細胞において維持される組換えポリヌクレオチドまたは溶解している(部分的または実質的)精製ポリヌクレオチドを含む。単離RNA分子は、本発明のポリヌクレオチドのインビボまたはインビトロのRNA転写産物を含む。本発明による単離ポリヌクレオチドまたは核酸は、合成的に生成されたこのような分子をさらに含む。さらに、ポリヌクレオチドまたは核酸は、プロモーター、リボソーム結合部位または転写ターミネーターのような調節エレメントであるかまたはそれを含んでよい。
本明細書で用いる場合、「コード領域」は、アミノ酸に翻訳されるコドンからなる核酸の一部である。「停止コドン」(TAG、TGAまたはTAA)はアミノ酸に翻訳されないが、これは、コード領域の一部とみなすことができ、しかし、任意のフランキング配列、例えばプロモーター、リボソーム結合部位、転写ターミネーター、イントロンなどは、コード領域の一部でない。今回開示する方法において有用な2以上のコード領域は、単一のポリヌクレオチド構築物、例えば単一のベクター上または別々のポリヌクレオチド構築物、例えば別々の(異なる)ベクター上に存在できる。さらに、ベクターはいずれも単一のコード領域を含有するか、または2以上のコード領域を含んでよく、例えば単一のベクターは、免疫グロブリン重鎖可変領域および免疫グロブリン軽鎖可変領域を別々にコードしてよい。さらに、今回開示する方法において有用なベクター、ポリヌクレオチドまたは核酸は、抗CXCL13、抗CXCR5または抗CXCR3抗体またはその断片、バリアントもしくは誘導体をコードする核酸と融合したかまたは融合していない異種コード領域をコードできる。異種コード領域は、限定することなく、分泌シグナルペプチドまたは異種機能性ドメインのような専門のエレメントまたはモチーフを含む。
ある種の実施形態では、今回開示する方法において有用なポリヌクレオチドまたは核酸は、DNAである。DNAの場合、ポリペプチドをコードする核酸を含むポリヌクレオチドは、通常、1または複数のコード領域に作動可能に会合したプロモーターおよび/またはその他の転写もしくは翻訳制御エレメントを含んでよい。作動可能な会合は、遺伝子生成物、例えばポリペプチドのコード領域が、遺伝子生成物の発現を調節配列の影響または制御の下におくような様式で1または複数の調節配列と会合する場合である。2つのDNA断片(例えばポリペプチドコード領域とそれと会合するプロモーター)とは、プロモーター機能の誘発が所望の遺伝子生成物をコードするmRNAの転写をもたらし、2つのDNA断片間の結合の性質が遺伝子生成物の発現を駆動する発現調節配列の能力に干渉しないかまたは転写されるDNA鋳型の能力に干渉しないならば、「作動可能に会合」している。つまり、プロモーター領域は、プロモーターが核酸の転写を可能にできるならば、ポリペプチドをコードする核酸と作動可能に会合している。プロモーターは、所定の細胞においてのみDNAの実質的な転写を駆動する細胞特異的プロモーターであってよい。プロモーター以外のその他の転写制御エレメント、例えばエンハンサー、オペレーター、リプレッサーおよび転写終結シグナルは、ポリヌクレオチドに作動可能に会合して、細胞特異的転写を駆動できる。適切なプロモーターおよびその他の転写制御領域は、本明細書に開示する。
様々な転写制御領域が当業者に知られている。これらは、限定することなく、脊椎動物細胞において機能する転写制御領域、例えばそれらに限定されないが、サイトメガロウイルス(イントロンAを伴う最初期プロモーター)、サルウイルス40(初期プロモーター)およびレトロウイルス(例えばラウス肉腫ウイルス)からのプロモーターおよびエンハンサーセグメントを含む。その他の転写制御領域は、脊椎動物遺伝子に由来するもの、例えばアクチン、熱ショックタンパク質、ウシ成長ホルモンおよびウサギβグロビン、ならびに真核細胞における遺伝子発現を制御できるその他の配列を含む。さらなる適切な転写制御領域は、組織特異的プロモーターおよびエンハンサー、ならびにリンホカイン誘導性プロモーター(例えばインターフェロンまたはインターロイキンにより誘導できるプロモーター)を含む。
同様に、様々な翻訳制御エレメントが当業者に知られている。これらは、それらに限定されないが、リボソーム結合部位、翻訳開始および終結コドン、ならびにピコルナウイルスに由来するエレメント(特に配列内リボソーム進入部位またはIRES、CITE配列ともよばれる)を含む。
他の実施形態では、今回開示する方法において有用なポリヌクレオチドは、例えばメッセンジャーRNA(mRNA)の形態のRNAである。
今回開示する方法において有用なポリヌクレオチドおよび核酸コード領域は、本発明のポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドの分泌を駆動する分泌またはシグナルペプチドをコードするさらなるコード領域と会合してよい。シグナルの仮説によると、哺乳動物細胞により分泌されるタンパク質は、成長するタンパク質鎖が粗面小胞体を横切って一旦輸送され始めると成熟タンパク質から切断されるシグナルペプチドまたは分泌リーダー配列を有する。当業者は、脊椎動物細胞により分泌されるポリペプチドが、通常、ポリペプチドのN末端に融合したシグナルペプチドを有し、これは、完全または「全長」ポリペプチドから切断されて分泌または「成熟」形態のポリペプチドを生成することを理解している。ある種の実施形態では、天然シグナルペプチド、例えば免疫グロブリン重鎖もしくは軽鎖シグナルペプチド、または作動可能に会合したポリペプチドの分泌を駆動する能力を保持するその配列の機能的誘導体を用いる。代わりに、異種哺乳動物シグナルペプチドまたはその機能的誘導体を用いてよい。例えば、野生型リーダー配列は、ヒト組織プラスミノゲン活性化因子(TPA)またはマウスβ−グルクロニダーゼのリーダー配列で置換してよい。
用語「発現」は、本明細書で用いる場合、遺伝子が生化学的物質、例えばポリペプチドを生成するプロセスのことをいう。このプロセスは、限定することなく、遺伝子ノックダウンならびに一過性発現および安定的発現の両方を含む、細胞内での遺伝子の機能的存在の任意の顕れを含む。これは、限定することなく、メッセンジャーRNA(mRNA)への遺伝子の転写、およびポリペプチドへのそのようなmRNAの翻訳を含む。所望の最終生成物が生化学的物質であるならば、発現は、その生化学的物質と任意の前駆体の創出を含む。遺伝子の発現は「遺伝子生成物」を生成する。本明細書で用いる場合、遺伝子生成物は、核酸、例えば遺伝子の転写により生成されるメッセンジャーRNA、または転写産物から翻訳されるポリペプチドのいずれかであり得る。本明細書で記載する遺伝子生成物は、転写後修飾、例えばポリアデニル化された核酸、または翻訳後修飾、例えばメチル化、グリコシル化、脂質付加、他のタンパク質サブユニットとの会合、タンパク質分解切断などを受けたポリペプチドをさらに含む。
「結合分子」または「抗原結合分子」は、その広い意味において、抗原決定基に特異的に結合する分子のことをいう。一実施形態では、結合分子は、CXCL13(BCA−1ともよばれる)に特異的に結合する。別の実施形態では、結合分子は、CXCR5に特異的に結合する。別の実施形態では、結合分子は、CXCR3に特異的に結合する。また別の実施形態では、今回開示する方法において有用な結合分子は、抗体またはその抗原結合断片、例えば抗CXCL13、抗CXCR5または抗CXCR3抗体である。別の実施形態では、結合分子は、抗体分子の少なくとも1の重鎖または軽鎖CDRを含む。別の実施形態では、結合分子は、1または複数の抗体分子からの少なくとも2つのCDRを含む。別の実施形態では、結合分子は、1または複数の抗体分子からの少なくとも3つのCDRを含む。別の実施形態では、結合分子は、1または複数の抗体分子からの少なくとも4つのCDRを含む。別の実施形態では、結合分子は、1または複数の抗体分子からの少なくとも5つのCDRを含む。別の実施形態では、結合分子は、1または複数の抗体分子からの少なくとも6つのCDRを含む。ある種の実施形態では、1または複数のCDRは、MAb5261、MAb5378、MAb5080、MAb1476または3D2からである。
いくつかの実施形態では、今回開示する方法は、ある抗CXCL13、抗CXCR5もしくは抗CXCR3抗体またはその抗原結合断片、バリアントもしくは誘導体を含む。自然に存在する抗体のような完全サイズ抗体と特異的に言及しない限り、用語「抗CXCL13抗体」、「抗CXCR5抗体」および「抗CXCR3抗体」は、完全サイズ抗体およびそのような抗体、例えば自然に存在する抗体もしくは免疫グロブリン分子の抗原結合断片、バリアント、類似体または誘導体、あるいは抗体分子と同様の様式で抗原に結合する遺伝子工学的に作製された抗体分子または断片を包含する。
本明細書で用いる場合、「ヒト」または「完全ヒト」抗体は、ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を有する抗体を含み、ヒト免疫グロブリンライブラリーからまたは1もしくは複数のヒト免疫グロブリンについてトランスジェニックであり、内因性免疫グロブリンを発現しない動物から単離された抗体(以下および例えばKucherlapatiらによる米国特許第5,939,598号に記載されるような)を含む。「ヒト」または「完全ヒト」抗体は、少なくとも重鎖の可変ドメインまたは少なくとも重鎖および軽鎖の可変ドメインを含む抗体も含み、ここで、(1または複数の)可変ドメインは、(1または複数の)ヒト免疫グロブリン可変ドメインのアミノ酸配列を有する。
「ヒト」または「完全ヒト」抗体は、本明細書で記載する公知の抗CXCL13、抗CXCR5または抗CXCR3抗体分子のバリアント(誘導体を含む)(例えばVH領域および/またはVL領域)(該抗体またはその断片は、CXCL13、CXCR5またはCXCR3ポリペプチドまたはその断片もしくはバリアントに特異的に結合する)を含むか、本質的にそれからなるかまたはそれからなる上記の「ヒト」または「完全ヒト」抗体も含む。それらに限定されないが、アミノ酸置換をもたらす部位特異的突然変異誘発およびPCR媒介突然変異誘発を含む当業者に知られる標準的な技術を用いて、ヒト抗CXCL13、抗CXCR5または抗CXCR3抗体をコードするヌクレオチド配列に変異を導入できる。好ましくは、バリアント(誘導体を含む)は、参照VH領域、VHCDR1、VHCDR2、VHCDR3、VL領域、VLCDR1、VLCDR2またはVLCDR3に対して50未満のアミノ酸置換、40未満のアミノ酸置換、30未満のアミノ酸置換、25未満のアミノ酸置換、20未満のアミノ酸置換、15未満のアミノ酸置換、10未満のアミノ酸置換、5未満のアミノ酸置換、4未満のアミノ酸置換、3未満のアミノ酸置換または2未満のアミノ酸置換をコードする。
ある種の実施形態では、アミノ酸置換は、以下にさらに論じる保存的アミノ酸置換である。あるいは、変異は、例えば飽和突然変異誘発によりコード配列の全体または一部にわたって無作為に導入でき、得られた変異体は、生物活性についてスクリーニングして、活性(例えばCXCL13、CXCR5またはCXCR3ポリペプチド、例えばヒト、マウスまたはヒトおよびマウス両方のCXCL13、CXCR5またはCXCR3に結合する能力)を保持する変異を同定できる。「ヒト」または「完全ヒト」抗体のこのようなバリアント(またはその誘導体)は、「最適化」または「抗原結合について最適化」されたヒトまたは完全ヒト抗体ということもでき、抗原に対する親和性が改善された抗体を含む。
用語「抗体」および「免疫グロブリン」は、本明細書において相互に交換可能なものとして用いられる。抗体または免疫グロブリンは、少なくとも重鎖の可変ドメインを含み、通常、少なくとも重鎖および軽鎖の可変ドメインを含む。脊椎動物系における基本的な免疫グロブリン構造は、比較的よく理解されている。例えばHarlowら(1988)Antibodies:A Laboratory Manual(第2版;Cold Spring Harbor Laboratory Press)を参照されたい。
以下により詳細に論じるように、用語「免疫グロブリン」は、生化学的に区別できる様々な広いクラスのポリペプチドを含む。当業者は、重鎖が、ガンマ、ミュー、アルファ、デルタまたはイプシロン(γ、μ、α、δ、ε)に、それらのうちのいくつかのサブクラス(例えばγ1〜γ4)とともに分類されることを認識する。抗体の「クラス」をIgG、IgM、IgA IgGまたはIgEにそれぞれ決定するのは、この鎖の性質である。免疫グロブリンサブクラス(アイソタイプ)、例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1などは、十分に特徴決定され、機能的専門性を与えることが知られている。当業者は、これらのクラスおよびアイソタイプのそれぞれの改変バージョンを本開示の観点で容易に認識でき、よって、これらの改変バージョンは本発明の範囲内である。全ての免疫グロブリンクラスは、明らかに本発明の範囲内であり、以下の議論は、免疫グロブリン分子のIgGクラスを全般的に対象とする。IgGに関して、標準的な免疫グロブリン分子は、およそ23,000ダルトンの分子量の2つの同一の軽鎖ポリペプチドと、53,000〜70,000の分子量の2つの同一の重鎖ポリペプチドとを含む。4つの鎖は、典型的に、ジスルフィド結合により「Y」形状につながれ、ここでは、軽鎖が、「Y」の口から開始して可変領域全体に継続して重鎖を囲む。
軽鎖は、カッパまたはラムダ(κ、λ)のいずれかとして分類される。各重鎖クラスは、カッパまたはラムダ軽鎖のいずれかと結合できる。一般的に、軽鎖および重鎖は、互いに共有結合しており、2つの重鎖の「尾」部分は、共有ジスルフィド結合または免疫グロブリンがハイブリドーマ、B細胞または遺伝子工学で作製された宿主細胞のいずれかにより作製される場合に非共有結合により互いに結合する。重鎖において、アミノ酸配列は、Y形状の分かれた端のN末端から、各鎖の底のC末端までに及ぶ。
軽鎖および重鎖はともに、構造的および機能的相同性の領域に分けられる。用語「定常」および「可変」は、機能的に用いられる。この点に関して、軽鎖(VLまたはVK)および重鎖(VH)部分の両方の可変ドメインが抗原認識および特異性を決定することが認識される。逆に、軽鎖(CL)および重鎖(CH1、CH2またはCH3)の定常ドメインは、分泌、経胎盤移動性、Fc受容体結合、補体結合などのような重要な生物学的特性を与える。慣例的に、定常領域ドメインの番号付けは、それらが抗体の抗原結合部位またはアミノ末端から遠ざかるにつれて増加する。N末端部分は可変領域であり、C末端部分は定常領域である。CH3およびCLドメインは、実際に、それぞれ重鎖および軽鎖のカルボキシ末端を含む。
上述したように、可変領域は、抗体が抗原上のエピトープを選択的に認識してそれに特異的に結合することを可能にする。つまり、抗体のVLドメインおよびVHドメイン、またはこれらの可変ドメインの相補性決定領域(CDR)の部分集合は、組み合わされて、三次元抗原結合部分を規定する可変領域を形成する。この4つの要素からなる抗体構造は、Yの各腕の端に存在する抗原結合部位を形成する。より具体的には、抗原結合部位は、VHおよびVL各鎖上の3つのCDRにより規定される。いくつかの場合、例えばラクダ種に由来するかまたはラクダ免疫グロブリンに基づいて遺伝子工学的に作製されたある免疫グロブリン分子において、完全免疫グロブリン分子は、軽鎖を有さず重鎖のみからなることがある。例えばHamers−Castermanら、Nature363:446〜448頁(1993)を参照されたい。
自然に存在する抗体において、各抗原結合ドメインに存在する6つの「相補性決定領域」または「CDR」は、抗体が水性環境中で三次元形状をとるように抗原結合ドメインを形成するように特異的に配置されているアミノ酸の短い不連続配列である。「フレームワーク」領域とよばれる抗原結合ドメイン中の残りのアミノ酸は、分子間変動性がより低い。フレームワーク領域は、大部分がβシート高次構造を採用し、CDRは、βシート構造をつなぎ、その一部を形成する場合もあるループを形成する。つまり、フレームワーク領域は、鎖間非共有相互作用によりCDRを正しい向きに配置するための足場を形成するように作用する。配置されたCDRにより形成される抗原結合ドメインは、免疫反応性抗原上のエピトープに対する表面相補性を規定する。この相補的表面は、抗体のその同族エピトープへの非共有結合を促進する。当業者は、CDRおよびフレームワーク領域を含むアミノ酸をそれぞれ、任意の与えられた重鎖または軽鎖可変ドメインについて容易に同定できる。なぜなら、これらは精密に定義されているからである(以下を参照されたい)。
ある用語について当技術分野において用いられかつ/または受け入れられている2以上の定義がある場合、本明細書で用いる用語の定義は、そうでないと明示的に述べない限り、全てのそのような意味を含むことを意図する。具体例は、重鎖および軽鎖ポリペプチドの両方の可変領域内で見出される、不連続抗原結合部位を記載するための用語「相補性決定領域」(「CDR」)の使用である。この特定の領域は、Kabatら(1983)U.S.Dept.of Health and Human Services、「Sequences of Proteins of Immunological Interest」ならびにChothiaおよびLesk、J.Mol.Biol.196:901〜917頁(1987)(これらは引用することにより本明細書の一部をなすものとする)により記載され、ここで、これらの定義は、互いに比較した場合にオーバーラップまたはアミノ酸残基の部分集合を含む。それにもかかわらず、抗体またはそのバリアントのCDRに言及するためのどちらの定義を用いることも、本明細書で定義され用いられる用語の範囲内であることを意図する。上記の引用した参考文献のそれぞれにより定義されるCDRを包含する適当なアミノ酸残基を、比較のために以下の表1に示す。特定のCDRを包含する正確な残基数は、CDRの配列およびサイズに依存して変動する。当業者は、抗体の可変領域アミノ酸配列に鑑みて、どの残基が特定のCDRを含むかを慣例的に決定できる。
Kabatらは、いずれの抗体にも用いることができる可変ドメイン配列についての番号付けシステムを定義した。当業者は、「Kabat番号付け」のこのシステムを、任意の可変ドメイン配列に、配列自体を超えるいずれの実験データにも依存することなく、明確に割り当てることができる。本明細書で用いる場合、「Kabat番号付け」は、Kabatら(1983)U.S.Dept.of Health and Human Services、「Sequence of Proteins of Immunological Interest」に示される番号付けシステムのことをいう。そうでないと明記しない限り、本発明の抗CXCL13抗体またはその抗原結合断片、バリアントもしくは誘導体中の特定のアミノ酸残基の位置の番号付けについての言及は、Kabat番号付けシステムに従う。
今回開示する方法において有用な抗体またはその抗原結合断片、バリアントもしくは誘導体は、それらに限定されないが、ポリクローナル、モノクローナル、多重特異性、ヒト、ヒト化、霊長類化またはキメラ抗体、単鎖抗体、エピトープ結合断片、例えばFab、Fab’およびF(ab’)2、Fd、Fv、単鎖Fv(scFv)、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、VLもしくはVHドメインのいずれかを含む断片、Fab発現ライブラリーにより生成される断片、および抗イディオタイプ(抗Id)抗体(例えば抗CXCL13、抗CXCR5または抗CXCR3抗体に対する抗Id抗体を含む)を含む。ScFv分子は、当技術分野において知られており、例えば米国特許第5,892,019号に記載されている。本発明の免疫グロブリンまたは抗体分子は、任意のタイプ(例えばIgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgY)、クラス(例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2など)またはサブクラスの免疫グロブリン分子であり得る。
本明細書で用いる場合、用語「重鎖部分」は、免疫グロブリン重鎖に由来するアミノ酸配列を含む。重鎖部分を含むポリペプチドは、CH1ドメイン、ヒンジ(例えば上部、中間および/または下部ヒンジ領域)ドメイン、CH2ドメイン、CH3ドメインまたはそのバリアントもしくは断片の少なくとも1つを含む。例えば、本発明で用いるための結合ポリペプチドは、CH1ドメインを含むポリペプチド鎖;CH1ドメインとヒンジドメインの少なくとも一部分とCH2ドメインとを含むポリペプチド鎖;CH1ドメインとCH3ドメインとを含むポリペプチド鎖;CH1ドメインとヒンジドメインの少なくとも一部分とCH3ドメインとを含むポリペプチド鎖またはCH1ドメインとヒンジドメインの少なくとも一部分とCH2ドメインとCH3ドメインとを含むポリペプチド鎖を含んでよい。別の実施形態では、今回開示する方法において有用なポリペプチドは、CH3ドメインを含むポリペプチド鎖を含む。さらに、今回開示する方法で用いるための結合ポリペプチドは、CH2ドメインの少なくとも一部分(例えばCH2ドメインの全てまたは一部)を欠いてよい。上述したように、当業者は、自然に存在する免疫グロブリン分子からアミノ酸配列が変動するようにこれらのドメイン(例えば重鎖部分)を改変できることを理解している。
本明細書で開示するある抗CXCL13、抗CXCR5または抗CXCR3抗体またはその抗原結合断片、バリアントもしくは誘導体において、マルチマーのあるポリペプチド鎖の重鎖部分は、該マルチマーの第2のポリペプチド鎖上のものと同一である。代わりに、本発明の重鎖部分含有モノマーは、同一でない。例えば、各モノマーは、例えば二重特異性抗体を形成する異なる標的結合部分を含んでよい。
本明細書で開示する治療方法において用いるための結合分子の重鎖部分は、異なる免疫グロブリン分子に由来してよい。例えば、ポリペプチドの重鎖部分は、IgG1分子に由来するCH1ドメインと、IgG3分子に由来するヒンジ領域とを含んでよい。別の例では、重鎖部分は、部分的にIgG1分子と部分的にIgG3分子とに由来するヒンジ領域を含むことができる。別の例では、重鎖部分は、部分的にIgG1分子と部分的にIgG4分子とに由来するキメラヒンジを含むことができる。
本明細書で用いる場合、用語「軽鎖部分」は、免疫グロブリン軽鎖、例えばカッパまたはラムダ軽鎖に由来するアミノ酸配列を含む。好ましくは、軽鎖部分は、VLまたはCLドメインの少なくとも1つを含む。
今回開示する方法において有用な抗CXCL13、抗CXCR5または抗CXCR3抗体またはその抗原結合断片、バリアントもしくは誘導体は、抗原のエピトープ(複数でもよい)または一部分(複数でもよい)、例えばそれらが認識または特異的に結合する本明細書で開示する標的ポリペプチド(例えばCXCL13、CXCR5またはCXCR3)の点で記載または特定することがある。抗体の抗原結合ドメインと特異的に相互作用する標的ポリペプチドの一部分は、「エピトープ」または「抗原決定基」である。標的ポリペプチドは、単一のエピトープを含んでよいが、典型的には、少なくとも2つのエピトープを含み、抗原のサイズ、高次構造およびタイプに依存して、任意の数のエピトープを含むことができる。さらに、標的ポリペプチド上の「エピトープ」は、非ポリペプチド要素であってよいかまたはそれを含んでよく、例えばエピトープは、炭水化物側鎖を含んでよいことに注意すべきである。
抗体についてのペプチドまたはポリペプチドエピトープの最小サイズは、約4〜5アミノ酸であると考えられる。ペプチドまたはポリペプチドエピトープは、好ましくは、少なくとも7、より好ましくは少なくとも9、最も好ましくは少なくとも約15から約30の間のアミノ酸を含有する。CDRは、抗原性ペプチドまたはポリペプチドをその三次形状について認識できるので、エピトープを含むアミノ酸は連続的である必要はなく、同じペプチド鎖上にない場合さえある。今回開示する方法において有用な抗CXCL13、抗CXCR5または抗CXCR3抗体が認識するペプチドまたはポリペプチドエピトープは、CXCL13、CXCR5またはCXCR3の少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、より好ましくは少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25または約15から約30の間の連続または不連続アミノ酸の配列を含有してよい。
「特異的に結合する」により、全般的に、抗体がエピトープにその抗原結合ドメインを介して結合し、該結合が抗原結合ドメインとエピトープとの間のいくらかの相補性を必然的に伴うことを意味する。この定義に従って、抗体がエピトープに、その抗原結合ドメインを介して、抗体が無作為で無関係のエピトープに結合するよりも容易に結合する場合に、該抗体はエピトープに「特異的に結合する」という。用語「特異性」は、本明細書において、ある抗体があるエピトープに結合する相対的親和性を述べるために用いられる。例えば、抗体「A」は、抗体「B」よりも所与のエピトープについてより高い特異性を有すると考えることができるか、または抗体「A」は、関係するエピトープ「D」についてそれが有するよりも高い特異性でエピトープ「C」に結合するということができる。
「優先的に結合する」により、抗体がエピトープに、抗体が関係する、同様の、相同のまたは類似のエピトープに結合するよりも容易に、特異的に結合することを意味する。よって、所与のエピトープに「優先的に結合する」抗体は、そのエピトープに、関係するエピトープよりも結合する可能性が高いが、そのような抗体は、関係するエピトープと交差反応し得る。
非限定的な例として、第2のエピトープについての抗体の解離定数(KD)未満のKDで抗体が第1のエピトープに結合するならば、抗体は第1のエピトープに優先的に結合すると考えてよい。別の非限定的な例では、第2のエピトープについての抗体のKDより少なくとも1桁小さいKDで抗体が第1のエピトープに結合するならば、抗体は第1の抗原に優先的に結合すると考えてよい。別の非限定的な例では、第2のエピトープについての抗体のKDよりも少なくとも2桁小さいKDで抗体が第1のエピトープに結合するならば、抗体は第1のエピトープに優先的に結合すると考えてよい。
別の非限定的な例では、第2のエピトープについての抗体のオフレート(k(off))未満のk(off)で抗体が第1のエピトープに結合するならば、抗体は第1のエピトープに優先的に結合すると考えてよい。別の非限定的な例では、第2のエピトープについての抗体のk(off)より少なくとも1桁小さいk(off)で抗体が第1のエピトープに結合するならば、抗体は第1のエピトープに優先的に結合すると考えてよい。別の非限定的な例では、第2のエピトープについての抗体のk(off)より少なくとも2桁小さいk(off)で抗体が第1のエピトープに結合するならば、抗体は第1のエピトープに優先的に結合すると考えてよい。本明細書で開示する抗体または抗原結合断片、バリアントもしくは誘導体は、本明細書で開示する標的ポリペプチド(例えばCXCL13、CXCR5またはCXCR3、例えばヒト、マウスまたはヒトおよびマウス両方のCXCL13、CXCR5またはCXCR3)またはその断片もしくはバリアントに、5×10−2sec−1、10−2sec−1または5×l0−3sec−1以下のオフレート(k(off))で結合するということができる。ある種の実施形態では、k(off)は、約3×10−2以下であり、例えばここで抗体は3D2であり、CXCL13はヒトまたはマウスである。別の実施形態では、k(off)は、約3×10−3以下であり、例えばここで抗体はMAb5261であり、CXCL13はヒトまたはマウスである。別の実施形態では、k(off)は、約4×10−3以下であり、例えばここで抗体はMAb5378であり、CXCL13はヒトまたはマウスである。一実施形態では、本発明の抗体は、本明細書で開示する標的ポリペプチド(例えばCXCL13、例えばヒト、マウスまたはヒトおよびマウス両方のCXCL13)またはその断片もしくはバリアントに、5×10−4sec−1、10−4sec−1、5×10−5sec−1または10−5sec−1、5×10−6sec−1、10−6sec−1、5×10−7sec−1または10−7sec−1以下のオフレート(k(off))で結合するということができる。
本明細書で開示する方法において有用な抗体または抗原結合断片、バリアントもしくは誘導体は、本明細書で開示する標的ポリペプチド(例えばCXCL13、CXCR5またはCXCR3、例えばヒト、マウスまたはヒトおよびマウス両方のCXCL13、CXCR5またはCXCR3)またはその断片もしくはバリアントに、103M−1sec−1、5×103M−1sec−1、104M−1sec−1、5×104M−1sec−1、105M−1sec−1、5×105M−1sec−1、106M−1sec−1または5×106M−1sec−1以上のオンレート(k(on))で結合するということができる。ある種の実施形態では、k(on)は、約5×105以上であり、例えばここで抗体は3D2であり、CXCL13はヒトであるか、またはk(on)は、約1×105以上であり、例えばここで抗体は3D2であり、CXCL13はマウスである。別の実施形態では、k(on)は、約1×106以上であり、例えばここで抗体はMAb5261であり、CXCL13はヒトまたはマウスである。別の実施形態では、k(on)は約1×106以上であり、例えばここで抗体はMAb5378であり、CXCL13はヒトまたはマウスである。一実施形態では、本発明の抗体は、本明細書で開示する標的ポリペプチド(例えばCXCL13、例えばヒト、マウスまたはヒトおよびマウス両方のCXCL13)またはその断片もしくはバリアントに、105M−1sec−1、5×105M−1sec−1、106M−1sec−1または5×106M−1sec−1または107M−1sec−1以上のオンレート(k(on))で結合するということができる。
抗体がある程度エピトープへの参照抗体の結合を遮断する程度に抗体がエピトープに優先的に結合するならば、抗体は、所与のエピトープへの参照抗体、例えば抗CXCL13、抗CXCR5または抗CXCR3抗体との結合を、競合的に阻害するという。競合阻害は、当技術分野において知られる任意の方法、例えば競合ELISAアッセイにより決定できる。抗体は、所与のエピトープへの参照抗体の結合を、少なくとも90%、少なくとも80%、少なくとも70%、少なくとも60%または少なくとも50%競合的に阻害するということができる。
本明細書で用いる場合、用語「親和性」は、免疫グロブリン分子のCDRとの個別のエピトープの結合の強度の尺度のことをいう。例えば、Harlowら(1988)Antibodies:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory Press、第2版)27〜28頁を参照されたい。本明細書で用いる場合、用語「結合活性」は、免疫グロブリンの集団と抗原との間の複合体の全体的な安定性、すなわち抗原と免疫グロブリン混合物とが機能的に組み合わさる強度のことをいう。例えば、Harlowの29〜34頁を参照されたい。結合活性は、特定のエピトープとの集団中の個別の免疫グロブリン分子の親和性と、免疫グロブリンと抗原との価数との両方に関する。例えば、二価モノクローナル抗体と、高反復性エピトープ構造を有する抗原、例えばポリマーとの間の相互作用は、高い結合活性の1つである。
今回開示する方法において有用な抗CXCL13、抗CXCR5または抗CXCR3抗体またはその抗原結合断片、バリアントもしくは誘導体は、それらの交差反応性の点で記載または特定することもできる。本明細書で用いる場合、用語「交差反応性」は、ある抗原に特異的な抗体が第2の抗原と反応する能力のことをいい、2つの異なる抗原性物質間の関係性の尺度である。つまり、その形成を誘発したエピトープ以外のエピトープに抗体が結合するならば、抗体は交差反応性である。交差反応性エピトープは、通常、誘導エピトープと同じ相補性構造特徴の多くを含有し、いくつかの場合では、元のものよりもよりうまく適合することが実際にある。
例えば、ある抗体は、関係するが同一でないエピトープ、例えば参照エピトープと少なくとも95%、少なくとも90%、少なくとも85%、少なくとも80%、少なくとも75%、少なくとも70%、少なくとも65%、少なくとも60%、少なくとも55%および少なくとも50%の同一性(当技術分野において知られ、本明細書で記載する方法を用いて算出される)を有するエピトープと該抗体が結合するという、ある程度の交差反応性を有する。抗体は、参照エピトープと95%未満、90%未満、85%未満、80%未満、75%未満、70%未満、65%未満、60%未満、55%未満および50%未満の同一性(当技術分野において知られ、本明細書で記載する方法を用いて算出される)を有するエピトープと抗体が結合しないならば、ほとんどまたは全く交差反応性を有さないということができる。抗体は、あるエピトープのいずれのその他の類似体、オーソログまたはホモログにも抗体が結合しないならば、抗体は該エピトープについて「高度に特異的」であると考えることができる。
抗CXCL13、抗CXCR5または抗CXCR3結合分子、例えば今回開示する方法において有用な抗体またはその抗原結合断片、バリアントもしくは誘導体は、本発明のポリペプチド、例えばCXCL13、CXCR5またはCXCR3、例えばヒト、マウスまたはヒトおよびマウス両方のCXCL13、CXCR5またはCXCR3に対するそれらの結合親和性の点で記載または特定することもできる。ある種の実施形態では、本発明の結合親和性は、5×10−2M、10−2M、5×10−3M、10−3M、5×10−4M、10−4M、5×10−5M、10−5M、5×10−6M、10−6M、5×10−7M、10−7M、5×10−8M、10−8M、5×10−9M、10−9M、5×10−10M、10−10M、5×10−11M、10−11M、5×10−12M、10−12M、5×10−13M、10−13M、5×10−14M、10−14M、5×10−15Mまたは10−15M未満または以下の解離定数またはKdを有するものを含む。一実施形態では、抗CXCL13、抗CXCR5または抗CXCR3結合分子、例えば本発明の抗体またはその抗原結合断片は、ヒトCXCL13、CXCR5またはCXCR3に、約5×10−9M〜約5×10−10M未満のKdで結合し、例えばここで抗体はMAb5261であり、Kdは約5×10−9M以下である。別の実施形態では、抗CXCL13、抗CXCR5または抗CXCR3結合分子、例えば本発明の抗体またはその抗原結合断片は、マウスCXCL13、CXCR5またはCXCR3に、約5×10−7M〜約9×10−9M未満のKdで結合し、例えばここで抗体はMAb5261であり、Kdは約8×10−9M以下である。
今回開示する方法において有用な抗CXCL13、抗CXCR5または抗CXCR3抗体またはその抗原結合断片、バリアントもしくは誘導体は、「多重特異的」、例えば二重特異的、三重特異的またはそれより多い多重特異性であってよく、これは、これが1または複数の異なる抗原(例えばタンパク質)上に存在する2以上の異なるエピトープを同時に認識してそれに結合することを意味する。つまり、抗CXCL13、抗CXCR5または抗CXCR3抗体が「単一特異的」または「多重特異的」、例えば「二重特異的」であるかは、結合ポリペプチドが反応する異なるエピトープの数のことをいう。多重特異的抗体は、本明細書で記載する標的ポリペプチドの異なるエピトープに特異的であるか、または標的ポリペプチドおよび異種エピトープ、例えば異種ポリペプチドもしくは固体支持体材料に特異的であってよい。
本明細書で用いる場合、用語「価数」は、結合ポリペプチドまたはCXCL13、CXCR5またはCXCR3結合分子、例えば抗体もしくはその抗原結合断片中に存在する、可能性のある結合ドメイン、例えば抗原結合ドメインの数のことをいう。各結合ドメインは、1のエピトープに特異的に結合する。結合ポリペプチドまたはCXCL13、CXCR5またはCXCR3結合分子が1より多い結合ドメインを含む場合、各結合ドメインは、同じエピトープ(2つの結合ドメインを有する抗体について「二価単一特異性」と称する)または異なるエピトープ(2つの結合ドメインを有する抗体について「二価二重特異性」と称する)に特異的に結合してもよい。抗体またはその抗原結合断片は、二重特異性で、各特異性について二価であってもよい(「二重特異性四価抗体」と称する)。別の実施形態では、四価ミニボディまたはドメイン欠失抗体を作製できる。
二重特異性二価抗体およびそれらを作製する方法は、例えば米国特許第5,731,168号;第5,807,706号;第5,821,333号;ならびに米国特許出願公開第2003/020734号および第2002/0155537号(これら全ての開示は、引用することにより本明細書の一部をなす)に記載される。二重特異性四価抗体およびそれらを作製する方法は、例えばWO02/096948およびWO00/44788(これらの開示はともに、引用することにより本明細書の一部をなす)に記載される。全般的に、PCT公報WO93/17715;WO92/08802;WO91/00360;WO92/05793;Tuttら、J.Immunol.147:60〜69頁(1991);米国特許第4,474,893号;第4,714,681号;第4,925,648号;第5,573,920号;第5,601,819号;Kostelnyら、J.Immunol.148:1547〜1553頁(1992)を参照されたい。
以前に示したように、様々な免疫グロブリンクラスの定常領域のサブユニット構造および三次元形状は、公知である。本明細書で用いる場合、用語「VHドメイン」は、免疫グロブリン重鎖のアミノ末端可変ドメインを含み、用語「CH1ドメイン」は、免疫グロブリン重鎖の最初(最もアミノ末端側)の定常領域ドメインを含む。CH1ドメインは、VHドメインに隣接し、免疫グロブリン重鎖分子のヒンジ領域に対してアミノ末端側である。
本明細書で用いる場合、用語「CH2ドメイン」は、従来の番号付けスキームを用いて、抗体の例えば約244残基〜360残基(残基244〜360、Kabat番号付けシステム;および残基231〜340、EU番号付けシステム;Kabat EAらを参照されたい)にわたる重鎖分子の一部分を含む。CH2ドメインは、別のドメインと密接に対形成しない点で、独特である。むしろ、2つのN連結分岐炭水化物鎖が、インタクトな天然IgG分子の2つのCH2ドメインの間に介在する。CH3ドメインが、CH2ドメインからIgG分子のC末端まで広がり、およそ108残基を含むことも十分に実証されている。
本明細書で用いる場合、用語「ヒンジ領域」は、CH1ドメインとCH2ドメインとをつなぐ重鎖分子の一部分を含む。このヒンジ領域は、およそ25残基を含み、フレキシブルであり、よって、2つのN末端抗原結合領域が独立して動くことを可能にする。ヒンジ領域は、3つの別個のドメイン:上部、中間および下部ヒンジドメインに細分化できる(Rouxら、J.Immunol.161:4083頁(1998))。
本明細書で用いる場合、用語「ジスルフィド結合」は、2つの硫黄原子の間に形成される共有結合を含む。アミノ酸システインは、第2のチオール基とジスルフィド結合またはブリッジを形成できるチオール基を含む。最も多く自然に存在するIgG分子において、CH1領域とCL領域とは、ジスルフィド結合により連結され、2つの重鎖は、Kabat番号付けシステムを用いて239および242に相当する位置(226位または229位、EU番号付けシステム)にて2つのジスルフィド結合により連結される。
本明細書で用いる場合、用語「キメラ抗体」は、免疫反応性領域または部位が第1の種から得られるかまたはそれに由来し、定常領域(これは、インタクト、部分的または本発明に従って改変されていることがある)が第2の種から得られる任意の抗体を意味するために用いられる。ある種の実施形態では、標的結合領域または部位は、非ヒト供給源(例えばマウスまたは霊長類)からであり、定常領域はヒト(例えば本明細書で記載するモノクローナル抗体(MAb)1476)である。
本明細書で用いる場合、用語「遺伝子工学的に作製された抗体」は、重鎖もしくは軽鎖または両方のいずれかにおける可変ドメインが、既知の特異性の抗体からの1または複数のCDRの少なくとも部分的な置き換えにより、そして必要であれば、部分的フレームワーク領域置き換えおよび配列変更により変更された抗体のことをいう。CDRは、フレームワーク領域が由来する抗体とクラスまたはサブクラスでさえが同じ抗体に由来できるが、CDRは、異なるクラスの抗体、そして好ましくは異なる種の抗体に由来することが構想される。既知の特異性の非ヒト抗体からの1または複数の「ドナー」CDRが、ヒト重鎖または軽鎖フレームワーク領域中にグラフトされた遺伝子工学的に作製された抗体は、本明細書において「ヒト化抗体」という。ある可変ドメインの抗原結合能力を別のものに移すために、全てのCDRをドナー可変ドメインからの完全CDRに置き換える必要はないことがある。むしろ、標的結合部位の活性を維持するために必要な残基を移すことだけが必要になり得る。ある種の実施形態では、ヒト化抗体は、ドナー可変重鎖ドメインからの1、2または3つのCDRを含む。別の実施形態では、ヒト化抗体は、ドナー可変軽鎖ドメインからの1、2または3つのCDRを含む。
ヒト化抗体の重鎖もしくは軽鎖または両方における可変ドメイン中のフレームワーク領域が、ヒト起源の残基のみを含み得ることがさらに認識され、この場合、ヒト化抗体のこれらのフレームワーク領域は、「完全ヒトフレームワーク領域」という。代わりに、ドナー可変ドメインのフレームワーク領域(複数でもよい)の1または複数の残基を、ヒト化抗体の重鎖もしくは軽鎖または両方における可変ドメインのヒトフレームワーク領域(複数でもよい)の対応する位置内で必要であれば遺伝子工学的に作製して、CXCL13、CXCR5またはCXCR3抗原との適当な結合を維持するかまたは亢進できる。この様式で遺伝子工学的に作製されたヒトフレームワーク領域は、よって、ヒトおよびドナーのフレームワーク残基が混合されており、本明細書において「部分的ヒトフレームワーク領域」という。
例えば、抗CXCL13、抗CXCR5または抗CXCR3抗体のヒト化は、Winterおよび共同研究者(Jonesら、Nature321:522〜525頁(1986);Riechmann、Nature332:323〜327頁(1988);Verhoeyenら、Science239:1534〜1536頁(1988))の方法に従って、げっ歯類もしくは変異げっ歯類CDRまたはCDR配列をヒト抗CXCL13、抗CXCR5または抗CXCR3抗体の対応する配列に置換することにより、本質的に行うことができる。米国特許第5,225,539号;第5,585,089号;第5,693,761号;第5,693,762号;および第5,859,205号(引用することにより本明細書の一部をなす)も参照されたい。得られるヒト化抗CXCL13、抗CXCR5または抗CXCR3抗体は、ヒト化抗体の重鎖および/または軽鎖の可変ドメインの完全ヒトフレームワーク領域内に、少なくとも1つのげっ歯類または変異げっ歯類CDRを含み得る。いくつかの場合では、ヒト化抗CXCL13、抗CXCR5または抗CXCR3抗体の1または複数の可変ドメインのフレームワーク領域内の残基は、対応する非ヒト(例えばげっ歯類)残基で置き換えられ(例えば米国特許第5,585,089号;第5,693,761号;第5,693,762号;および第6,180,370号を参照されたい)、この場合、得られるヒト化抗CXCL13、抗CXCR5または抗CXCR3抗体は、重鎖および/または軽鎖の可変ドメイン内に部分的ヒトフレームワーク領域を含み得る。
さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体またはドナー抗体において見出されない残基を含んでよい。これらの改変は、抗体性能をさらに改良するため(例えば所望の親和性を得るため)に作製される。一般的に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含み、ここで、全てまたは実質的に全てのCDRは、非ヒトヒト免疫グロブリンのものに対応し、全てのまたは実質的に全てのフレームワーク領域は、ヒト免疫グロブリン配列のものである。ヒト化抗体は、場合によって、免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的にヒト免疫グロブリンのものの少なくとも一部分も含む。さらなる詳細について、Jonesら、Nature331:522〜525頁(1986);Riechmannら、Nature332:323〜329頁(1988);およびPresta、Curr.Op.Struct.Biol.2:593〜596頁(1992)(引用することにより本明細書の一部をなすものとする)を参照されたい。よって、このような「ヒト化」抗体は、インタクトなヒト可変ドメインより実質的に少ないものが、非ヒト種からの対応する配列で置換された抗体を含み得る。実際上、ヒト化抗体は、典型的に、いくつかまたは全てのCDR残基およびおそらくいくつかのフレームワーク残基が、げっ歯類抗体の類似部位からの残基で置換されたヒト抗体である。例えば米国特許第5,225,539号;第5,585,089号;第5,693,761号;第5,693,762号;および第5,859,205号を参照されたい。米国特許第6,180,370号および国際公報第WO01/27160号も参照されたい(ここでは、ヒト化抗体および所定の抗原に対する親和性が改善されたヒト化抗体を生成する技術が開示されている)。
CXCL13に結合する市販の抗体、例えばラット抗マウスMAb470(R&D Systems)およびマウス抗ヒトMAb801(R&D Systems)は、当技術分野において開示されている。さらに、マウス抗CXCL13抗体は、米国特許出願公開第2008 0227704A1号(これは、全体として引用することにより本明細書の一部をなすものとする)に開示されている。モノクローナル抗CXCL13抗体MAb5261、MAb5378、MAb5080、MAb1476および3D2は、「抗CXCL13抗体およびそれを用いる方法」との名称の国際出願第PCT/US2011/050177号(これは、2011年9月1日に出願され、2011年5月2日に出願された米国特許仮出願第61/481,645号および2011年9月2日に出願された米国特許仮出願第61/379,672号(それぞれは、全体として引用することにより本明細書の一部をなすものとする)の優先権を主張する)に開示されている。
モノクローナル抗体5261は、配列番号14に示す配列を有する可変重鎖(VH)ドメインと、配列番号19に示す配列を有する可変軽鎖(VL)ドメインとを含む。MAb5261は、その重鎖内にヒトIgガンマ1−Fアロタイプ定常領域と、その軽鎖内にヒトカッパ定常領域とを含む。モノクローナル抗体5378は、配列番号14に示す配列を有する可変重鎖(VH)ドメインと、配列番号19に示す配列を有する可変軽鎖(VL)ドメインとを含む。MAb5378は、その重鎖内にマウスIgG2a定常領域と、その軽鎖内にマウスカッパ定常領域とを含む。MAb5080は、配列番号14に示す配列を有するVHドメインと、配列番号21に示す配列を有するVLドメインとを含む。MAb5080は、その重鎖内にヒトIgG1定常領域と、その軽鎖内にヒトカッパ定常領域とを含む。モノクローナル抗体1476は、配列番号10に示す配列を有するVHドメインと、配列番号15に示す配列を有するVLドメインとを含む。MAb1476は、その重鎖内にヒトIgG1定常領域と、その軽鎖内にヒトカッパ定常領域とを含む。モノクローナル抗体3D2は、配列番号10に示す配列を有するVHドメインと、配列番号15に示す配列を有するVLドメインとを含む。MAb 3D2は、その重鎖内にマウスIgG1定常領域と、その軽鎖内にマウスカッパ定常領域とを含む。
いくつかの実施形態では、今回開示する方法は、MAb5261、MAb5378、MAb5080、MAb1476または3D2抗CXCL13モノクローナル抗体を使用する。
いくつかの実施形態では、今回開示する方法において使用される抗体は、抗CXCL13抗体、またはCXCL13に結合するその抗原結合断片、バリアントもしくは誘導体を含む。ある種の実施形態では、抗CXCL13抗体は、ヒト、霊長類、マウスまたはヒトおよびマウス両方のCXCL13に結合する。ある種の実施形態では、本発明の抗CXCL13抗体は、ヒト化されている。他の実施形態では、抗CXCL13抗体は、その受容体、例えばCXCR5またはCXCR3へのCXCL13の結合を遮断する。ある種の実施形態では、本発明の抗CXCL13抗体は、MAb5261、MAb5378、MAb5080、MAb1476または3D2、またはその抗原結合断片、バリアントもしくは誘導体である。一実施形態では、今回開示する方法は、参照抗体、例えばMAb5261、MAb5378、MAb5080、MAb1476または3D2と同じCXCL13、CXCR5またはCXCR3エピトープに特異的に結合する単離結合分子、例えば抗体またはその抗原結合断片、バリアントおよび誘導体を使用する。別の実施形態では、今回開示する方法は、CXCL13に特異的に結合し、参照抗体、例えばMAb5261、MAb5378、MAb5080、MAb1476または3D2が、CXCL13、例えばヒト、霊長類、マウスまたはヒトおよびマウス両方のCXCL13に特異的に結合することを競合的に阻害する単離結合分子、例えば抗体またはその抗原結合断片を含む。
ある種の実施形態では、今回開示する方法において有用な結合分子は、抗CXCL13参照抗体分子についてのアミノ酸配列の少なくとも約80%、約85%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%または約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する。さらなる実施形態では、結合分子は、参照抗体と少なくとも約96%、約97%、約98%、約99%または100%の配列同一性を共有する。ある種の実施形態では、参照抗体は、MAb5261、MAb5378、MAb5080、MAb1476または3D2である。
別の実施形態では、今回開示する方法は、免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(VHドメイン)を含むか、本質的にそれからなるかまたはそれからなる抗体またはその抗原結合断片を使用し、ここで、VHドメインのCDRの少なくとも1つは、配列番号10または14のCDR1、CDR2またはCDR3と少なくとも約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%または同一であるアミノ酸配列を有する。
別の実施形態では、本発明は、免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(VHドメイン)を含むか、本質的にそれからなるかまたはそれからなる単離抗体またはその抗原結合断片を提供し、ここで、VHドメインのCDRの少なくとも1つは、配列番号11、12または13と少なくとも約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%または同一であるアミノ酸配列を有する。
別の実施形態では、今回開示する方法は、免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(VHドメイン)を含むか、本質的にそれからなるかまたはそれからなる単離抗体またはその抗原結合断片を使用し、ここで、VHドメインは、配列番号10または14と少なくとも約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%または同一のアミノ酸配列を有する。
別の実施形態では、今回開示する方法は、免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(VHドメイン)を含むか、本質的にそれからなるかまたはそれからなる抗体またはその抗原結合断片を使用し、ここで、VHドメインのCDRの少なくとも1つは、配列番号10または14のCDR1、CDR2またはCDR3と1、2、3、4または5の保存的アミノ酸置換を除いて同一であるアミノ酸配列を有する。
別の実施形態では、今回開示する方法は、免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(VHドメイン)を含むか、本質的にそれからなるかまたはそれからなる抗体またはその抗原結合断片を使用し、ここで、VHドメインのCDRの少なくとも1つは、配列番号11、12または13と1、2、3、4または5の保存的アミノ酸置換を除いて同一であるアミノ酸配列を有する。
別の実施形態では、今回開示する方法は、免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(VLドメイン)を含むか、本質的にそれからなるかまたはそれからなる抗体またはその抗原結合断片を使用し、ここで、VLドメインのCDRの少なくとも1つは、配列番号15、19または21のCDR1、CDR2またはCDR3と少なくとも約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%または同一であるアミノ酸配列を有する。
別の実施形態では、今回開示する方法は、免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(VLドメイン)を含むか、本質的にそれからなるかまたはそれからなる抗体またはその抗原結合断片を使用し、ここで、VLドメインのCDRの少なくとも1つは、配列番号16、17、18または20と少なくとも約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%または同一であるアミノ酸配列を有する。
別の実施形態では、今回開示する方法は、免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(VLドメイン)を含むか、本質的にそれからなるかまたはそれからなる抗体またはその抗原結合断片を使用し、ここで、VLドメインは、配列番号15、19または21と少なくとも約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%または同一であるアミノ酸配列を有する。
別の実施形態では、今回開示する方法は、免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(VLドメイン)を含むか、本質的にそれからなるかまたはそれからなる抗体またはその抗原結合断片を使用し、ここで、VLドメインのCDRの少なくとも1つは、配列番号15、19または21のCDR1、CDR2またはCDR3と1、2、3、4または5の保存的アミノ酸置換を除いて同一であるアミノ酸配列を有する。
別の実施形態では、今回開示する方法は、免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(VLドメイン)を含むか、本質的にそれからなるかまたはそれからなる抗体またはその抗原結合断片を使用し、ここで、VLドメインのCDRの少なくとも1つは、配列番号16、17、18または20と1、2、3、4または5の保存的アミノ酸置換を除いて同一であるアミノ酸配列を有する。
さらなる実施形態では、今回開示する方法は、配列番号15、19または21と少なくとも約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%または100%同一であるアミノ酸配列を有するVLドメインを含むか、本質的にそれからなるかまたはそれからなる抗体またはその抗原結合断片を使用し、ここで、コードされるVLドメインを含む抗CXCL13抗体は、CXCL13に特異的または優先的に結合する。
ある種の実施形態では、今回開示する方法は、配列番号14に示すアミノ酸配列を有するVHドメインと、配列番号19に示すアミノ酸配列を有するVLドメインとを含むか、本質的にそれらからなるかまたはそれらからなる抗体またはその抗原結合断片を利用する。これらの実施形態のいくつかでは、抗体は、その重鎖内にヒトIgG1定常領域と、その軽鎖内にヒトカッパ定常領域とを含む。
特定の実施形態では、今回開示する方法は、配列番号11に示すアミノ酸配列を有するCDR1と、配列番号12に示すアミノ酸配列を有するCDR2と、配列番号13に示すアミノ酸配列を有するCDR3とを含むVHドメインと、配列番号20に示すアミノ酸配列を有するCDR1と、配列番号17に示すアミノ酸配列を有するCDR2と、配列番号18に示すアミノ酸配列を有するCDR3とを含むVLドメインとを含むか、本質的にそれらからなるかまたはそれらからなる抗体またはその抗原結合断片を利用する。これらの実施形態のいくつかでは、抗体は、その重鎖内にヒトIgG1定常領域と、その軽鎖内にヒトカッパ定常領域とを含む。
抗CXCL13、抗CXCR5または抗CXCR3参照抗体の適切な生物活性バリアントを、本発明の方法において用いることができる。このようなバリアントは、親の抗CXCL13、抗CXCR5または抗CXCR3抗体の所望の結合特性を保持する。抗体バリアントを作製する方法は、当技術分野において一般的に利用可能である。
突然変異誘発およびヌクレオチド配列変更の方法は、当技術分野において公知である。例えば、WalkerおよびGaastra編(1983)Techniques in Molecular Biology(MacMillan Publishing Company、New York);Kunkel、Proc.Natl.Acad.Sci.USA82:488〜492頁(1985);Kunkelら、Methods Enzymol.154:367〜382頁(1987);Sambrookら(1989)Molecular Cloning:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor、N.Y.);米国特許第4,873,192号;およびその中で引用される参考文献(引用することにより本明細書の一部をなすものとする)を参照されたい。対象とするポリペプチドの生物活性に影響しない適当なアミノ酸置換についての手引きは、Atlas of Protein Sequence and Structure(Natl.Biomed.Res.Found.、Washington,D.C.)、345〜352頁(全体として引用することにより本明細書の一部をなすものとする)中のDayhoffら(1978)のモデルで見出すことができる。Dayhoffらのモデルは、点許容変異(PAM)アミノ酸相似マトリクス(PAM250マトリクス)を用いて、適切な保存的アミノ酸置換を決定する。あるアミノ酸を同様の特性を有する別のアミノ酸に交換するような保存的置換が好ましいことがある。DayhoffらのモデルのPAM250マトリクスにより教示される保存的アミノ酸置換の例は、それらに限定されないが、Gly←→Ala、Val←→Ile←→Leu、Asp←→Glu、Lys←→Arg、Asn←→GlnおよびPhe←→Trp←→Tyrを含む。
抗CXCL13、抗CXCR5もしくは抗CXCR3結合分子、例えば抗体もしくはその抗原結合断片、または対象とするポリペプチドのバリアントの構築において、バリアントが継続して所望の特性を有するように、例えばCXCL13、CXCR5またはCXCR3、例えばヒト、霊長類、マウスまたはヒトおよびマウス両方のCXCL13、CXCR5またはCXCR3に特異的に結合できるように改変を作製する。明らかに、バリアントポリペプチドをコードするDNA中に作製されるいずれの変異も、リーディングフレームから外れて配列を配置してはならず、好ましくは、mRNA二次構造を生成し得る相補領域を創出しない。例えば欧州特許第EP0075444B1号を参照されたい。
抗CXCL13、抗CXCR5または抗CXCR3結合分子、例えば抗体またはその抗原結合断片の結合特異性を測定する方法は、それらに限定されないが、標準的競合結合アッセイ、T細胞またはB細胞による免疫グロブリン分泌をモニタリングするアッセイ、T細胞増殖アッセイ、アポトーシスアッセイ、ELISAアッセイなどを含む。例えばWO93/14125;Shiら、Immunity13:633〜642頁(2000);Kumanogohら、J Immunol169:1175〜1181頁(2002);Watanabeら、J Immunol167:4321〜4328頁(2001);Wangら、Blood97:3498〜3504頁(2001);およびGiraudonら、J Immunol172(2):1246〜1255頁(2004)(これらは全体として引用することにより本明細書の一部をなすものとする)に開示されるアッセイを参照されたい。
参照ポリペプチドの定常領域、CDR、VHドメインまたはVLドメインを含む任意の特定のポリペプチドが、別のポリペプチドと少なくとも約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%または約100%さえ同一であるかを本明細書で論じる場合、%同一性は、それらに限定されないが、BESTFITプログラム(Wisconsin Sequence Analysis Package、Unix(登録商標)用バージョン8、Genetics Computer Group、University Research Park,575 Science Drive,Madison,Wis.53711)のような当技術分野において知られる方法およびコンピュータプログラム/ソフトウェアを用いて決定できる。BESTFITは、SmithおよびWaterman(1981)Adv.Appl.Math.2:482〜489頁の局所的相同性アルゴリズムを用いて、2つの配列間の相同性の最良のセグメントを見出す。BESTFITまたは任意のその他の配列アラインメントプログラムを用いて特定の配列が、本発明による参照配列と例えば95%同一であるかを決定する場合、パラメータは、もちろん、同一性のパーセンテージが参照ポリペプチド配列の全長にわたって算出され、参照配列中のアミノ酸の総数の5%までの相同性におけるギャップが許容されるように設定される。
本発明の目的のために、パーセント配列同一性は、12のギャップ開始ペナルティ、2のギャップ伸長ペナルティ、62のBLOSUMマトリクスでアフィンギャップ検索を用いるSmith−Waterman相同性検索アルゴリズムを用いて決定してよい。Smith−Waterman相同性検索アルゴリズムは、SmithおよびWaterman(1981)Adv.Appl.Math.2:482〜489頁に教示されている。バリアントは、例えば、わずか1〜15のアミノ酸残基、1〜10、例えばわずか6〜10のアミノ酸残基、わずか5、4、3、2またはわずか1のアミノ酸残基だけ、抗CXCL13参照抗体(例えばMAb5261、MAb5378、MAb5080、MAb1476または3D2)、抗CXCR5または抗CXCR3抗体と異なってよい。
CXCL13、CXCR5またはCXCR3に特異的に結合でき、所望のCXCL13遮断活性を保持するポリペプチドの精密な化学構造は、いくつかの因子に依存する。イオン化可能なアミノおよびカルボキシル基が分子中に存在するので、特定のポリペプチドは、酸性もしくは塩基性の塩としてまたは中性の形態で得ることができる。適切な環境条件においた場合にそれらの生物活性を保持する全てのこのような調製物は、本明細書で用いる場合の抗CXCL13、抗CXCR5または抗CXCR3抗体の定義に含まれる。さらに、ポリペプチドの1次アミノ酸配列は、糖部分(グリコシル化)または脂質、リン酸塩、アセチル基などの他の補助分子を用いる誘導体化により増強してよい。これは、糖とのコンジュゲーションにより増強してもよい。このような増強のある態様は、生成宿主の翻訳後プロセシングシステムにより達成される。その他のこのような改変は、インビトロで導入してよい。いずれの場合でも、このような改変は、抗CXCL13、抗CXCR5または抗CXCR3抗体の所望の特性が損なわれない限り、本明細書で用いる抗CXCL13、抗CXCR5または抗CXCR3抗体の定義に含まれる。このような改変は、様々なアッセイにおいて、ポリペプチドの活性を亢進または減少させることにより、活性に量的または質的に影響し得ることが予期される。さらに、鎖中の個別のアミノ酸残基は、酸化、還元またはその他の誘導体化により改変されることがあり、ポリペプチドは、活性を保持する断片を得るために切断されることがある。所望の特性(例えばCXCL13、CXCR5またはCXCR3についての結合特異性、結合親和性および/またはCXCL13遮断活性)を損なわないこのような変更は、ポリペプチド配列を、本明細書で用いる対象とする抗CXCL13、抗CXCR5または抗CXCR3抗体の定義から除去しない。
当技術分野は、ポリペプチドバリアントの調製および使用に関して実質的な手引きを提供する。抗CXCL13、抗CXCR5または抗CXCR3結合分子、例えば抗体またはその抗原結合断片、バリアントの調製において、当業者は、天然タンパク質のヌクレオチドまたはアミノ酸配列に対するどの改変が、本発明の方法において用いる医薬組成物の治療活性成分として用いるために適切なバリアントをもたらすかを容易に決定できる。
抗CXCL13、抗CXCR5または抗CXCR3参照抗体の定常領域は、いくつかの様式で、エフェクター機能を変更するために変異させてよい。例えば、米国特許第6,737,056B1号および米国特許出願公開第2004/0132101A1号(これらは、Fc受容体との抗体結合を最適化するFc変異を開示する)を参照されたい。
ある抗CXCL13、抗CXCR5または抗CXCR3抗体では、Fc部分は、当技術分野において知られる技術を用いて、エフェクター機能を減少させるために変異させてよい。例えば、定常領域ドメインの欠失または不活性化(点突然変異またはその他の手段による)は、循環改変抗体のFc受容体結合を低下させ、そのことにより腫瘍局在化を増加させることがある。他の場合では、これは、本発明と一貫する定常領域改変が、補体結合を和らげ、よって血清半減期およびコンジュゲートした細胞毒の非特異的会合を低減することであり得る。定常領域のさらに別の改変を用いてジスルフィド結合またはオリゴ糖部分を改変してよく、このことは、抗原特異性または抗体フレキシビリティの増加により局在化の亢進を可能にする。改変の結果として得られる生理的プロフィール、バイオアベイラビリティーならびに腫瘍局在化、生体分布および血清半減期のようなその他の生化学的影響は、過度の実験を行うことなく、公知の免疫学的技術を用いて容易に測定および定量できる。
全般的に、今回開示する方法において有用なCXCR5またはCXCR3結合分子は、CXCR5またはCXCR3受容体を活性化しない(すなわち該受容体のアゴニストでない)。
本発明の抗CXCL13、抗CXCR5または抗CXCR3抗体は、例えばその同族エピトープに対する抗体の特異的な結合を妨げないような、抗体への任意の型の分子の共有結合により改変された誘導体も含む。例えば、しかし限定することなく、抗体誘導体は、例えばグリコシル化、アセチル化、peg化、リン酸化、アミド化、既知の保護基/遮蔽基による誘導体化、タンパク質分解切断、細胞性リガンドまたはその他のタンパク質との結合などにより改変された抗体を含む。任意の多数の化学的改変を、それらに限定されないが、特異的化学的切断、アセチル化、ホルミル化などを含む既知の技術により行うことができる。さらに、誘導体は、1または複数の非伝統的アミノ酸を含有してよい。
「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が、類似の電荷を有する側鎖を有するアミノ酸残基で置き換えられるものである。同様の電荷を有する側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当技術分野において定義されている。これらのファミリーは、塩基性側鎖(例えばリシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えばアスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えばグリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えばアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、ベータ分岐側鎖(例えばトレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖(例えばチロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸を含む。代わりに、飽和突然変異誘発によるようにコード配列の全体または一部にわたって変異を無作為に導入でき、得られた変異体を生物活性についてスクリーニングして、活性(例えばCXCL13、CXCR5またはCXCR3についての結合特異性、結合親和性および/またはCXCL13遮断活性)を保持する変異体を同定できる。
例えば、抗体分子のフレームワーク領域のみまたはCDR領域のみに変異を導入することが可能である。導入された変異は、サイレントまたは中立ミスセンス変異であってよく、すなわち抗原と結合する抗体の能力に対して全くまたはほとんど影響しない。これらの型の変異は、コドン使用を最適化するためまたはハイブリドーマの抗体生成を改善するために有用であり得る。代わりに、非中立ミスセンス変異は、抗原と結合する抗体の能力を変更し得る。ほとんどのサイレントおよび中立ミスセンス変異の場所は、フレームワーク領域内であることが多いが、ほとんどの非中立ミスセンス変異の場所は、CDR内であることが多い(しかし、これは絶対的な要件でない)。当業者は、抗原結合活性に変更がないかまたは結合活性に変更がある(例えば抗原結合活性の改善または抗体特異性の変化)ことのような所望の特性を有する変異体分子を設計して試験できる。突然変異誘発の後に、コードされるタンパク質を慣例的に発現させ、コードされたタンパク質の機能的および/または生物学的な活性(例えばCXCL13、CXCR5またはCXCR3ポリペプチドの少なくとも1つのエピトープに免疫特異的に結合する能力)を、本明細書に記載される技術を用いてまたは当技術分野において知られる技術を慣例的に改変することにより決定できる。
ある種の実施形態では、本発明の今回開示する方法において有用な抗CXCL13、抗CXCR5または抗CXCR3抗体は、抗CXCL13、抗CXCR5または抗CXCR3参照抗体と比較して、少なくとも1つの最適化相補性決定領域(CDR)を含む。「最適化CDR」により、CDRが改変され、最適化配列が、結合親和性および/もしくは最適化CDRを含む抗CXCL13、抗CXCR5または抗CXCR3抗体に与えられる抗CXCL13活性の持続または改善に基づいて選択されることを意図する。
様々な免疫細胞(例えばB細胞、濾胞ヘルパーT細胞および最近活性化されたT細胞)上で見出されるその受容体であるCXCR5を介して、CXCL13は、免疫系恒常性の維持、リンパ器官形成、白血球のやり取りおよび化学走性移動ならびに二次リンパ組織(例えば胚中心)の発達に必要な細胞内変化を誘発する。よって、「抗CXCL13活性」または「CXCL13遮断活性」は、CXCL13と関連する以下の活性の1または複数を調節する活性を含み得る。その受容体(例えばCXCR5またはCXCR3)とのCXCL13の相互作用の遮断、B細胞および濾胞BヘルパーT細胞が炎症性組織に移動することの阻害、胚中心形成の阻害(例えば自己免疫疾患の場合)、二次もしくは異所性リンパ系濾胞の阻害;がん細胞増殖および腫瘍学的障害へ広がる能力の阻害、またはCXCL13発現細胞に関連する任意のその他の活性。抗CXCL13活性は、それらに限定されないが、ある型の自己免疫疾患(例えば多発性硬化症、関節炎(例えば関節リウマチ)、慢性胃炎、胃リンパ腫、移植片拒絶、シェーグレン症候群(SS)、全身性エリテマトーデス(SLE)、C型肝炎ウイルス感染における活動性混合型クリオグロブリン血症(MC)血管炎、若年性皮膚筋炎および重症筋無力症)およびある種のがん(例えばバーキットリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、MALTリンパ腫(例えば胃MALTリンパ腫)、癌(例えば結腸、前立腺、乳、胃、食道および膵臓)および慢性リンパ性白血病(CLL))ならびにその他の炎症性疾患、例えばヘリコバクター感染誘発性炎症性疾患、例えば胃炎、潰瘍および胃粘膜病変を含むCXCL13発現に関連する疾患の発生率または重症度の減少に起因すると考えることもできる。本明細書の他の場所でより詳細に論じるように、抗CXCL13、抗CXCR5もしくは抗CXCR3結合分子、または可溶性CXCR5もしくはCXCR3は、さらに、N末端もしくはC末端にて異種ポリペプチドと組換えにより融合できるか、またはポリペプチドもしくはその他の組成物と化学的にコンジュゲート(共有的および非共有的コンジュゲーションを含む)できる。例えば、抗CXCL13、抗CXCR5もしくは抗CXCR3抗体、または可溶性CXCR5もしくはCXCR3は、検出アッセイにおいて標識として有用な分子および異種ポリペプチド、薬物、放射性核種もしくは毒素のようなエフェクター分子と組換えにより融合またはコンジュゲートできる。例えば、PCT公報WO92/08495;WO91/14438;WO89/12624;米国特許第5,314,995号;およびEP396,387を参照されたい。
本明細書で用いる場合、用語「連結された」、「融合された」または「融合」は、相互に交換可能なものとして用いられる。これらの用語は、2以上の要素または成分を、化学的コンジュゲーションまたは組換え手段を含むいずれかの手段によりつなぐことをいう。「インフレーム融合」は、元のORFの正しい翻訳リーディングフレームを維持する様式で、2以上のポリヌクレオチドオープンリーディングフレーム(ORF)をつないで、連続するより長いORFを形成することをいう。つまり、組換え融合タンパク質は、元のORFによりコードされるポリペプチドに対応する2以上のセグメント(これらのセグメントは、自然では、通常、そのようにつながれていない)を含有する単一タンパク質である。リーディングフレームは、このようにして、融合されたセグメント全体を通して連続的にされるが、セグメントは、例えばインフレームリンカー配列により物理的または空間的に分けられてよい。例えば、免疫グロブリン可変領域のCDRをコードするポリヌクレオチドは、インフレームで融合できるが、「融合された」CDRが連続的ポリペプチドの一部として同時翻訳される限り、少なくとも1つの免疫グロブリンフレームワーク領域またはさらなるCDR領域をコードするポリヌクレオチドにより分けられてよい。
今回開示する方法において有用な抗CXCL13、抗CXCR5または抗CXCR3抗体は、改変された誘導体を含むことができ、すなわちCXCL13、CXCR5またはCXCR3に結合する抗体を共有的付着が妨げないような抗体への任意の型の分子の共有的付着による。例えば、限定されないが、抗体誘導体は、例えばグリコシル化、アセチル化、peg化、リン酸化、アミド化、既知の保護基/遮蔽基による誘導体化、タンパク質分解切断、細胞性リガンドまたはその他のタンパク質との結合などにより改変された抗体を含む。任意の多数の化学的改変を、それらに限定されないが、特異的化学的切断、アセチル化、ホルミル化などを含む既知の技術により行うことができる。さらに、誘導体は、1または複数の非伝統的アミノ酸を含有してよい。
抗CXCL13、抗CXCR5または抗CXCR3結合分子、例えば抗体またはその抗原結合断片、バリアントもしくは誘導体は、ペプチド結合または改変ペプチド結合により互いにつながれたアミノ酸、すなわちペプチドアイソスターで構成でき、遺伝子によりコードされる20のアミノ酸以外のアミノ酸を含有してよい。例えば抗CXCL13、抗CXCR5または抗CXCR3抗体は、翻訳後プロセシングのような自然のプロセスにより、または当技術分野において公知の化学改変技術により改変できる。このような改変は、基本的な参考書およびより詳細な研究論文ならびに多数の研究文献に十分に記載されている。改変は、ペプチド主鎖、アミノ酸側鎖およびアミノもしくはカルボキシル末端または炭水化物のような部分を含む抗CXCL13、抗CXCR5または抗CXCR3結合分子の任意の場所で生じることができる。所与の抗CXCL13、抗CXCR5または抗CXCR3結合分子中のいくつかの部位にて同じまたは変動する程度の同じ型の改変が存在できることが認識される。また、所与の抗CXCL13、抗CXCR5または抗CXCR3結合分子は、多くの型の改変を含有してよい。抗CXCL13、抗CXCR5または抗CXCR3結合分子は、例えばユビキチン化の結果として分岐してよく、これらは、分岐を有してまたは有さずに環状であってよい。環状、分岐状、および、分岐状かつ環状の抗CXCL13、抗CXCR5または抗CXCR3結合分子は、翻訳後の自然のプロセスの結果であってよいか、または合成的方法により作製してよい。改変は、アセチル化、アシル化、ADP−リボシル化、アミド化、フラビンの共有的付着、ヘム部分の共有的付着、ヌクレオチドもしくはヌクレオチド誘導体の共有的付着、脂質もしくは脂質誘導体の共有的付着、ホスホチジルイノシトールの共有的付着、架橋、環化、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、共有的架橋の形成、システインの形成、ピログルタメートの形成、ホルミル化、ガンマ−カルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、ヒドロキシル化、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化、酸化、peg化、タンパク質分解プロセシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化、硫酸化、アルギニン化のようなタンパク質へのアミノ酸のトランスファー−RNA媒介付加ならびにユビキチン化を含む(例えばProteins−Structure and Molecular Properties、T.E.Creighton、W.H.Freeman and Company、NY;第2版(1993);Johnson編(1983)Posttranslational Covalent Modification of Proteins(Academic Press、NY)、1〜12頁;Seifterら、Meth.Enzymol.182:626〜646頁(1990);Rattanら、Ann.NY Acad.Sci.663:48〜62頁(1992)を参照されたい)。
今回開示する方法は、抗CXCL13、抗CXCR5もしくは抗CXCR3抗体またはその抗原結合断片、バリアントもしくは誘導体と、異種ポリペプチドとを含む融合タンパク質の使用を包含する。抗体と融合する異種ポリペプチドは、機能のために有用であり得るか、または抗CXCL13、抗CXCR5もしくは抗CXCR3ポリペプチド発現細胞を標的にするために有用である。
一実施形態では、本発明の融合タンパク質は、抗CXCL13、抗CXCR5もしくは抗CXCR3抗体の任意の1もしくは複数のVHドメインのアミノ酸配列、または抗CXCL13、抗CXCR5もしくは抗CXCR3抗体の任意の1もしくは複数のVLドメインのアミノ酸配列あるいはその断片もしくはバリアントと、異種ポリペプチド配列とを有するポリペプチドを含むか、本質的にそれからなるかまたはそれからなる。
別の実施形態では、本明細書で開示する治療方法において用いるための融合タンパク質は、抗CXCL13、抗CXCR5もしくは抗CXCR3抗体のVHドメインの任意の1、2、3のCDRのアミノ酸配列またはその断片、バリアントもしくは誘導体および/あるいは抗CXCL13、抗CXCR5もしくは抗CXCR3抗体のVLドメインの任意の1、2、3のCDRのアミノ酸配列またはその断片、バリアントもしくは誘導体と、異種ポリペプチド配列とを有するポリペプチドを含むか、本質的にそれからなるかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、融合タンパク質のVHおよびVLドメインは、CXCL13、CXCR5またはCXCR3の少なくとも1つのエピトープに特異的に結合する、単一供給源の抗体(またはscFvもしくはFab断片)に相当する。いくつかの実施形態では、VHドメインまたはVLドメインの2,3、4、5、6以上のCDR(複数でもよい)は、本発明の単一供給源の抗体(またはscFvもしくはFab断片)に相当する。
文献において報告されている例示的な融合タンパク質は、T細胞受容体(Gascoigneら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA84:2936〜2940頁(1987));CD4(Caponら、Nature337:525〜531頁(1989);Trauneckerら、Nature339:68〜70頁(1989);Zettmeisslら、DNA Cell Biol.USA9:347〜353頁(1990);およびByrnら、Nature344:667〜670頁(1990));L−セレクチン(ホーミング受容体)(Watsonら、J.Cell.Biol.110:2221〜2229頁(1990);およびWatsonら、Nature349:164〜167頁(1991));CD44(Aruffoら、Cell61:1303〜1313頁(1990));CD28およびB7(Linsleyら、J.Exp.Med.173:721〜730頁(1991));CTLA−4(Lisleyら、J.Exp.Med.174:561〜569頁(1991));CD22(Stamenkovicら、Cell66:1133〜1144頁(1991));TNF受容体(Ashkenaziら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA88:10535〜10539頁(1991);Lesslauerら、Eur.J.Immunol.27:2883〜2886頁(1991);およびPeppelら、J.Exp.Med.174:1483〜1489頁(1991));およびIgE受容体a(RidgwayおよびGorman、J.Cell.Biol.第115巻、アブストラクト第1448号(1991))の融合体を含む。
本明細書の他の場所で論じるように、抗CXCL13、抗CXCR5または抗CXCR3結合分子、例えば抗体またはその抗原結合断片、バリアントもしくは誘導体は、異種ポリペプチドと融合させて、ポリペプチドのインビボ半減期を増加させるか、または当技術分野において知られる方法を用いるイムノアッセイにおいて用いることができる。例えば、一実施形態では、PEGを本発明の抗CXCL13、抗CXCR5または抗CXCR3抗体にコンジュゲートして、それらの半減期をインビボにおいて増加させることができる。Leongら、Cytokine16:106頁(2001);Adv.in Drug Deliv.Rev.54:531頁(2002);またはWeirら、Biochem.Soc.Transactions30:512頁(2002)を参照されたい。
さらに、抗CXCL13、抗CXCR5または抗CXCR3結合分子、例えば抗体またはその抗原結合断片、バリアントもしくは誘導体は、それらの精製または検出を容易にするためのペプチドのようなマーカー配列と融合できる。ある種の実施形態では、マーカーアミノ酸配列は、なかでもpQEベクター(QIAGEN,Inc.、9259 Eton Avenue,Chatsworth,Calif.,91311)において提供されるタグのようなヘキサヒスチジンペプチドである(これらの多くは市販で入手可能である)。Gentzら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA86:821〜824頁(1989)に記載されるように、例えば、ヘキサヒスチジンは、融合タンパク質の簡便な精製をもたらす。精製に有用なその他のペプチドタグは、それらに限定されないが、「HA」タグ(これは、インフルエンザヘマグルチニンタンパク質に由来するエピトープに相当する(Wilsonら、Cell37:767頁(1984)))および「フラッグ」タグを含む。
融合タンパク質は、当技術分野において公知の方法を用いて調製できる(例えば米国特許第5,116,964号および第5,225,538号を参照されたい)。融合が作製される精密な部位は、融合タンパク質の分泌または結合の特徴を最適化するために経験的に選択できる。融合タンパク質をコードするDNAを、次いで、発現のために宿主細胞にトランスフェクトする。
抗CXCL13、抗CXCR5または抗CXCR3結合分子、例えば抗体またはその抗原結合断片、バリアントもしくは誘導体は、コンジュゲートされていない形態で用いることができるか、あるいは例えば分子の治療特性を改善するため、標的検出を容易にするためまたは患者のイメージングもしくは治療のために様々な分子の少なくとも1つとコンジュゲートできる。抗CXCL13、抗CXCR5または抗CXCR3結合分子、例えば抗体またはその抗原結合断片、バリアントもしくは誘導体は、精製の前もしくは後または精製を行うときに標識またはコンジュゲートできる。
特に、抗CXCL13、抗CXCR5もしくは抗CXCR3抗体またはその抗原結合断片、バリアントもしくは誘導体は、治療剤、プロドラッグ、ペプチド、タンパク質、酵素、ウイルス、脂質、生物学的応答修飾物質、薬剤またはPEGとコンジュゲートできる。
当業者は、コンジュゲートさせる選択された物質に依存して様々な技術を用いてコンジュゲートを組み立てることもできることを認識している。例えば、ビオチンとのコンジュゲートは、例えば、結合ポリペプチドをビオチンN−ヒドロキシスクシンイミドエステルのようなビオチンの活性化エステルと反応させることにより調製される。同様に、蛍光マーカーとのコンジュゲートは、カップリング剤、例えば本明細書で列挙するものの存在下で、またはイソチオシアネート、好ましくはフルオレセイン−イソチオシアネートとの反応により調製できる。抗CXCL13、抗CXCR5もしくは抗CXCR3抗体またはその抗原結合断片、バリアントもしくは誘導体のコンジュゲートは、類似の様式で調製される。
抗CXCL13、抗CXCR5または抗CXCR3結合分子、例えば抗体またはその抗原結合断片、バリアントもしくは誘導体は、細胞毒、治療剤または放射活性金属イオンのような治療部分とコンジュゲートできる。細胞毒または細胞傷害作用物質は、細胞にとって有害な任意の物質を含む。
様々な部分を抗体、例えば抗CXCL13、抗CXCR5もしくは抗CXCR3抗体またはその抗原結合断片、バリアントもしくは誘導体にコンジュゲートするための技術は公知であり、例えばMonoclonal Antibodies and Cancer Therapy、Reisfeldら編(Alan R.Liss,Inc.)、243〜56頁中のAmonら(1985)「Monoclonal Antibodies for Immunotargeting of Drugs in Cancer Therapy」;Controlled Drug Delivery、Robinsonら編(第2版;Marcel Dekker,Inc.)、623〜53頁中のHellstromら(1987)「Antibodies for Drug Delivery」;Monoclonal Antibodies ’84:Biological and Clinical Applications、Pincheraら編、475〜506頁中のThorpe(1985)「Antibody Carriers of Cytotoxic Agents in Cancer Therapy:A Review」;Monoclonal Antibodies for Cancer Detection and Therapy、Baldwinら編、Academic Press、303〜16頁(1985)中の「Analysis,Results,and Future Prospective of the Therapeutic Use of Radiolabeled Antibody in Cancer Therapy」;およびThorpeら、Immunol.Rev.62:119〜58頁(1982)を参照されたい。
必要とする対象にCXCL13活性を阻害する薬剤(例えば抗CXCL13、抗CXCR5または抗CXCR3結合分子)を調製して投与する方法は、当業者に公知であるかまたは当業者により容易に決定する。CXCL13活性を阻害する薬剤(例えば抗CXCL13、抗CXCR5または抗CXCR3結合分子)の投与経路は、例えば、経口、非経口、吸入によるかまたは局所的であってよい。用語「非経口」は、本明細書で用いる場合、例えば静脈内、動脈内、腹腔内、筋内、皮下、直腸または膣投与を含む。これらの全ての投与の形態は本発明の範囲内であると明確に考えられるが、投与の形態の例は、注射用、特に静脈内もしくは動脈内注射または点滴用の液剤である。通常、注射用の適切な医薬組成物は、緩衝剤(例えば酢酸塩、リン酸塩またはクエン酸塩緩衝剤)、界面活性剤(例えばポリソルベート)、場合によって安定化剤(例えばヒトアルブミン)などを含み得る。しかし、本明細書における教示に適合するその他の方法において、CXCL13活性を阻害する薬剤(例えば抗CXCL13、抗CXCR5または抗CXCR3結合分子)は、有害な細胞集団の部位に直接送達することにより、疾患組織が治療剤により多く曝露されるようにできる。
本明細書で論じるように、CXCL13活性を阻害する薬剤(例えば抗CXCL13、抗CXCR5または抗CXCR3結合分子)は、シェーグレン症候群を含むB細胞媒介炎症性疾患のようなCXCL13発現細胞媒介疾患のインビボ治療のための薬学的有効量で投与できる。この点について、CXCL13活性を阻害する薬剤は、投与を容易にし、かつ活性作用物質の安定性を促進するように処方される。ある種の実施形態では、本発明に従う医薬組成物は、食塩水、非毒性緩衝剤、防腐剤などのような薬学的に許容される非毒性の滅菌担体を含む。本出願の目的のために、CXCL13活性を阻害する薬剤(例えば抗CXCL13、抗CXCR5または抗CXCR3結合分子)の薬学的有効量は、標的との有効な結合を達成するため、および利益、例えば疾患もしくは障害の症状を改善するかまたは物質もしくは細胞を検出することを達成するために十分な量を意味するために用いられる。
本発明で用いる医薬組成物は、例えばイオン交換物質、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質、例えばヒト血清アルブミン、緩衝物質、例えばリン酸塩、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩もしくは電解質、例えば硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛の塩、コロイダルシリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースに基づく物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂を含む薬学的に許容される担体を含む。
非経口投与用の調製物は、滅菌水性または非水性の液剤、懸濁剤および乳剤を含む。非水性溶剤の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、例えばオリーブ油および注射用有機エステル、例えばオレイン酸エチルである。水性担体は、例えば食塩水および緩衝溶媒を含む水、アルコール性/水性溶液、乳化物、懸濁物を含む。主題の発明において、薬学的に許容される担体は、それらに限定されないが、0.01〜0.1M、例えば0.05Mのリン酸塩緩衝液または0.8%食塩水を含む。その他の一般的な非経口媒体は、リン酸ナトリウム溶液、リンゲルブドウ糖、ブドウ糖および塩化ナトリウム、乳酸加リンゲルまたは不揮発性油を含む。静脈内用の媒体は、流体および栄養補充剤、電解質補充剤、例えばリンゲルブドウ糖に基づくものなどを含む。例えば抗菌剤、抗酸化剤、キレート化剤および不活性ガスなどのような防腐剤およびその他の添加物も存在してよい。
より具体的には、注射用に適切な医薬組成物は、滅菌水性液剤(水溶性の場合)または分散剤、および滅菌注射用液剤または分散剤の即時調製用の滅菌散剤を含む。このような場合、組成物は滅菌でなければならず、容易に注射できる程度に流動性であるべきである。これは、製造および貯蔵の条件下で安定であるべきであり、好ましくは、細菌および真菌のような微生物の汚染作用に対向して保存される。担体は、例えば水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコールなど)およびそれらの適切な混合物を含有する溶媒または分散媒であり得る。適当な流動性は、例えば、レシチンのようなコーティングを用いることにより、分散剤の場合に要求される特定のサイズを維持することにより、および界面活性剤を用いることにより維持できる。本明細書で開示する治療方法で用いるための適切な製剤は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Publishing Co.)第16版(1980)に記載されている。
微生物の作用の防止は、様々な抗菌および抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどにより達成できる。あるいくつかの場合では、等張剤、例えば糖類、ポリアルコール、例えばマンニトール、ソルビトールまたは塩化ナトリウムを組成物中に含めることが好ましい。注射用組成物の持続吸収性は、吸収を遅らせる物質、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを組成物中に含めることによりもたらすことができる。
いずれの場合でも、滅菌注射用液剤は、活性化合物(例えばそれ自体またはその他の活性作用物質との組み合わせでの抗CXCL13、抗CXCR5もしくは抗CXCR3抗体またはその抗原結合断片、バリアントもしくは誘導体)を必要量で、適当な溶剤中に、必要であれば本明細書で列挙する1または組み合わせでの成分とともに組み込み、その後、ろ過滅菌することにより調製できる。一般的に、分散剤は、活性化合物を、基本的な分散媒および上で列挙したものからの必要なその他の成分を含有する滅菌媒体中に組み込むことにより調製される。滅菌注射用液剤の調製のための滅菌散剤の場合、好ましい調製方法は、真空乾燥および凍結乾燥であり、これにより、予めろ過滅菌された溶液から活性成分と任意のさらなる所望の成分との粉末が得られる。注射用の調製物は、加工され、アンプル、バッグ、瓶、シリンジまたはバイアルのような容器に充填され、当技術分野において知られる方法に従って無菌的条件下で密閉される。さらに、調製物は、米国特許出願第09/259,337号に記載されるもののようなキットの形態で包装および販売できる。このような製品は、好ましくは、関連する組成物が、疾患もしくは障害に罹患しているかまたはその素因がある対象を治療するために有用であることを示すラベルまたは包装挿入物を有する。
非経口製剤は、単回ボーラス用量、注入または負荷ボーラス用量、その後に維持用量であってよい。これらの組成物は、特定の固定もしくは変動性の間隔で、例えば1日1回、または「必要に応じて」投与してよい。
本発明で用いるあるいくつかの医薬組成物は、例えばカプセル剤、錠剤、水性懸濁剤または液剤を含む許容される剤形で経口投与してよい。あるいくつかの医薬組成物は、鼻エアロゾルまたは吸入により投与してもよい。このような組成物は、ベンジルアルコールもしくはその他の適切な防腐剤、バイオアベイラビリティーを亢進するための吸収促進剤および/またはその他の従来の可溶化もしくは分散化剤を用いる食塩水中の溶液として調製してよい。
単一剤形を生成するために担体材料と組み合わせることができるCXCL13活性を阻害する薬剤(例えば抗CXCL13、抗CXCR5または抗CXCR3結合分子)の量は、治療されるホストおよび具体的な投与形態に依存して変動する。組成物は、単回用量、複数回用量または注入で確立された期間にわたって投与してよい。投与計画も、最適な所望の応答(例えば治療または予防応答)を提供するように調整してよい。
本開示の範囲と一致して、CXCL13活性を阻害する薬剤(例えば抗CXCL13、抗CXCR5もしくは抗CXCR3抗体またはその抗原結合断片、バリアントもしくは誘導体)は、ヒトまたはその他の動物に、上記の治療の方法に従って、治療効果をもたらすために十分な量で投与してよい。CXCL13活性を阻害する薬剤(例えば抗CXCL13、抗CXCR5もしくは抗CXCR3抗体またはその抗原結合断片、バリアントもしくは誘導体)は、そのようなヒトまたはその他の動物に、活性作用物質を従来の薬学的に許容される担体または希釈剤と既知の技術に従って組み合わせることにより調製される従来の剤形で投与できる。薬学的に許容される担体または希釈剤の形態および特徴は、それが組み合わされる活性成分の量、投与経路およびその他の公知の変数により指図されることが当業者により認識される。当業者は、さらに、1または複数種のCXCL13活性を阻害する薬剤(例えば抗CXCL13、抗CXCR5または抗CXCR3結合分子)を含むカクテルが特に効果的であると証明され得ることを認識する。
「治療有効用量または量」または「有効量」により、投与されたときに、治療される疾患を有する患者の治療に関して正の治療応答をもたらすCXCL13活性を阻害する薬剤(例えば抗CXCL13、抗CXCR5または抗CXCR3結合分子)の量を意図する。
B細胞媒介炎症性疾患、例えばシェーグレン症候群のようなCXCL13発現細胞媒介疾患の治療についてのCXCL13活性を阻害する薬剤の治療有効用量は、投与の手段、標的部位、患者の生理的状態、患者がヒトまたは動物であるか、投与されるその他の薬物療法および治療が予防的または治療的であるかを含む多くの異なる因子に依存して変動する。通常、患者はヒトであるが、トランスジェニック哺乳動物を含む非ヒト哺乳動物も治療できる。治療投与量は、安全性および効力を最適化するために、当業者に知られる慣例的な方法を用いて用量設定できる。
投与される少なくとも1つのCXCL13活性を阻害する薬剤(例えば抗CXCL13、抗CXCR5または抗CXCR3結合分子)の量は、本発明の開示に鑑みて、過度の実験を行うことなく当業者により容易に決定される。少なくとも1つのCXCL13活性を阻害する薬剤(例えば抗CXCL13、抗CXCR5または抗CXCR3結合分子)の投与形態およびそれぞれの量に影響する因子は、それらに限定されないが、疾患の重症度、疾患の履歴、ならびに治療を受ける個体の年齢、身長、体重、健康状態および身体状態を含む。同様に、投与されるCXCL13活性を阻害する薬剤(例えば抗CXCL13、抗CXCR5または抗CXCR3結合分子)の量は、投与の形態および対象がこの作用物質の単回用量または複数回用量を受けるかに依存する。
いくつかの実施形態では、投与されるCXCL13活性を阻害する薬剤(例えば抗CXCL13、抗CXCR5または抗CXCR3結合分子)の投与量は、それらに限定されないが約0.1mg/kg、約0.2mg/kg、約0.3mg/kg、約0.4mg/kg、約0.5mg/kg、約0.6mg/kg、約0.7mg/kg、約0.8mg/kg、約0.9mg/kg、約1mg/kg、約1.5mg/kg、約2mg/kg、約2.5mg/kg、約3mg/kg、約3.5mg/kg、約4mg/kg、約4.5mg/kg、約5mg/kg、約5.5mg/kg、約6mg/kg、約6.5mg/kg、約7mg/kg、約7.5mg/kg、約8mg/kg、約8.5mg/kg、約9mg/kg、約9.5mg/kgおよび約10mg/kgを含む約0.1mg/kgから約100mg/kgまでの範囲である。ある種の実施形態では、投与される投与量は、約1mg/kgから約10mg/kgまでの範囲である。特定の実施形態では、約4mg/kgから約5mg/kgのCXCL13活性を阻害する薬剤(例えば抗CXCL13、抗CXCR5または抗CXCR3結合分子)が、それを必要とする対象に投与される。これらの実施形態のいくつかでは、薬剤は、腹腔内注射により投与される。
本発明は、シェーグレン症候群を含むB細胞媒介炎症性疾患を治療するための医薬品に製造における、CXCL13活性を阻害する薬剤(例えば抗CXCL13、抗CXCR5または抗CXCR3結合分子)の使用も提供する。
本発明の実施は、そうでないと記載しない限り、細胞生物学、細胞培養、分子生物学、トランスジェニック生物学、微生物学、組換えDNAおよび免疫学の従来の技術を採用し、これらは当業者の熟練の範囲内である。このような技術は、文献に完全に説明されている。例えば、Sambrookら編(1989)Molecular Cloning A Laboratory Manual(第2版;Cold Spring Harbor Laboratory Press);Sambrookら編(1992)Molecular Cloning:A Laboratory Manual(Cold Springs Harbor Laboratory、NY);D.N.Glover編(1985)DNA Cloning、第IおよびII巻;Gait編(1984)Oligonucleotide Synthesis;Mullisら、米国特許第4,683,195号;HamesおよびHiggins編(1984)Nucleic Acid Hybridization;HamesおよびHiggins編(1984)Transcription And Translation;Freshney(1987)Culture Of Animal Cells(Alan R.Liss,Inc.);Immobilized Cells And Enzymes(IRL Press)(1986);Perbal(1984)A Practical Guide To Molecular Cloning;the treatise、Methods In Enzymology(Academic Press,Inc.、N.Y.);MillerおよびCalos編(1987)Gene Transfer Vectors For Mammalian Cells(Cold Spring Harbor Laboratory);Wuら編、Methods In Enzymology、第154および155巻;MayerおよびWalker編(1987)Immunochemical Methods In Cell And Molecular Biology(Academic Press、London);WeirおよびBlackwell編、(1986)Handbook Of Experimental Immunology、第I〜IV巻;Manipulating the Mouse Embryo、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.、(1986);ならびにAusubelら(1989)Current Protocols in Molecular Biology(John Wiley and Sons、Baltimore,Md.)を参照されたい。
抗体工学の全般的な原理は、Borrebaeck編(1995)Antibody Engineering(第2版;Oxford Univ.Press)に示されている。タンパク質工学の全般的な原理は、Rickwoodら編(1995)Protein Engineering,A Practical Approach(IRL Press at Oxford Univ.Press、Oxford,Eng.)に示されている。抗体および抗体−ハプテン結合の全般的な原理は、Nisonoff(1984)Molecular Immunology(第2版;Sinauer Associates、Sunderland,Mass.);およびSteward(1984)Antibodies,Their Structure and Function(Chapman and Hall、New York,N.Y.)に示されている。さらに、当技術分野において知られ具体的に記載されない免疫学における標準的な方法は、Current Protocols in Immunology、John Wiley&Sons、New York;Stitesら編(1994)Basic and Clinical Immunology(第8版;Appleton&Lange、Norwalk,Conn.)ならびにMishellおよびShiigi(編)(1980)Selected Methods in Cellular Immunology(W.H.Freeman and Co.,NY)に全般的に従う。
免疫学の全般的な原理を示す標準的な参照研究は、Current Protocols in Immunology、John Wiley&Sons、New York;Klein(1982)J.Immunology:The Science of Self−Nonself Discrimination(John Wiley& Sons、NY);Kennettら編(1980)Monoclonal Antibodies,Hybridoma:A New Dimension in Biological Analyses(Plenum Press,NY);Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology、Burdenら編、(Elsevere、Amsterdam)中のCampbell(1984)「Monoclonal Antibody Technology」;Goldsbyら編(2000)Kuby Immunnology(第4版;H.Freemand&Co.);Roittら(2001)Immunology(第6版;London:Mosby);Abbasら(2005)Cellular and Molecular Immunology(第5版;Elsevier Health Sciences Division);KontermannおよびDubel(2001)Antibody Engineering(Springer Verlan);SambrookおよびRussell(2001)Molecular Cloning:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Press);Lewin(2003)Genes VIII(Prentice Hall2003);HarlowおよびLane(1988)Antibodies:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Press);DieffenbachおよびDveksler(2003)PCR Primer(Cold Spring Harbor Press)を含む。
用語「1つの(a)」または「1つの(an)」実体は、1または複数の実体のことをいうことに注意されたい。例えば、「抗CXCL13抗体」は、1または複数の抗CXCL13抗体を表すと理解される。したがって、用語「1つの(a)」(または「1つの(an)」)、「1または複数」および「少なくとも1つの」は、本明細書において相互に交換可能なものとして用いることができる。
本明細書で用いる全ての技術的および科学的用語は、同じ意味を有する。用いる数(例えば量、温度など)に関して正確を期するようにしているが、いくらかの実験誤差および偏差が許容される。
本明細書および特許請求の範囲を通して、「含む(comprise)」、「含む(comprises)」および「含む(comprising)」は、文脈がそうでないことを要求する場合以外は非排他的な意味で用いられる。
本明細書で用いる場合、数値に言及する場合の用語「約」は、いくつかの実施形態では明記する量から±50%、いくつかの実施形態では±20%、いくつかの実施形態では±10%、いくつかの実施形態では±5%、いくつかの実施形態では±1%、いくつかの実施形態では±0.5%およびいくつかの実施形態では±0.1%の変動を包含することを意味する(そのような変動は、開示する方法を行うかまたは開示する組成物を採用するために適当であるので)。
数値の範囲を示す場合、該範囲の上限と下限との間の、文脈がそうでないことを明らかに指図しない限り下限の単位の10分の1までのそれぞれの介在する値、および言及する範囲内の任意のその他の言及または介在する値は、本明細書に包含されると理解される。より小さいレーンジャー内に独立して含まれ得るこれらの小範囲の上限および下限も、言及する範囲内の任意の具体的に除外される限界次第で、本発明に包含される。言及する範囲が一方または両方の限界を含む場合、これらの含まれる限界のいずれかまたは両方を除外する範囲も、本発明に含まれる。
以下の実施例は、限定のためではなく説明のために提供される。
<シェーグレン症候群についてのマウスモデルにおける抗CXCL13抗体の評価>
シェーグレン症候群のマウスモデル。雌性NOD/ShiLtJ(NOD)マウスを用いて、シェーグレン症候群における抗CXCL13抗体の影響を評価した。マウスを、100μgのマウス抗CXCL13モノクローナル抗体(MAb)5378(n=9)または対照IgG2a(n=8)で、4週齢から開始して12週間、毎週3回処置した。抗体は、腹腔内注射により投与した。全てのマウスを16週齢で犠死させた。
NODマウスからの血清を処置の前および最初の抗CXCL13または対照IgG2a注射の後50日間隔で採集した。唾液腺組織を、安楽死の後に採集した。簡単に述べると、マウスを安楽死させ、唾液腺組織を露出させた。全ての組織を外科的に取り出し、5%胎仔ウシ血清ならびに1%ペニシリンおよびストレプトマイシンを補ったRPMI1640培地(Mediatech Cellgro)に細胞選別のために入れた。組織を、免疫組織化学(IHC)およびmRNA分析のためにそれぞれホルマリン中で固定するかまたは凍結した。
RNAを全顎下組織から、RNeasyプラスMiniキット(Qiagen)を用いて単離した。cDNA合成を、iScriptキット(BioRad)を用いて行った。転写物レベルを定量するために、以前に記載されるようにして(Lee,B.P.ら、(2006)J Immunol176:5276〜5283頁;Zhong,X.ら、(2007)Eur J Immunol37:2405〜2410頁)SYBRグリーンを用いてマウス唾液腺組織に対してqPCRを行った。プライマーは、以下のとおりであった。
CXCL13:フォワード:5’TGG CTG CCC CAA AAC TGA3’、リバース:TGG CAC GAG GAT TCA CAC AT3’、
CXCR5:フォワード5’TGG GCT CCA TCA CAT ACA AT3’、リバース:5’GGG AAT CTC CGT GCT GTT AC3’(Schiffer,L.ら、(2008)J Immunol 180:1938〜1947頁)
CD19:フォワード5’ACC AGT ACG GGA ATG TGC TC3’、リバース:5’GAC TTG AAT GCG TGG ATT T3’、および
CD4:フォワード:5’TTC GCC TTC GCA GTT TGA TC3’、リバース:5’CAC CCA CAA CTC CAC CTC CT3’。
全ての試料について二重で行い、発現は、アクチンに対して標準化した。スチューデントのT検定を用いて統計的有意性を決定した。
抗CXCL13抗体処置は、マウスにおける唾液腺炎症を低下させる。図1Aは、16週齢で犠死させた3匹の代表的なアイソタイプ対照(左のパネル)処置マウスおよび3匹の代表的な抗CXCL13抗体(右のパネル)処置マウスからの唾液腺組織のH&E染色画像を示す。顎下組織におけるリンパ球性増殖巣の数を、アイソタイプ対照および抗CXCL13抗体試料について計数した。結果を図1Bに示す。これらの結果は、抗CXCL13抗体で処置したマウスでは、対照抗体で処置したマウスと比較した場合に、H&E染色により示されるとおり、顎下組織におけるリンパ球性増殖巣の数の低下を示す。この差は、統計的に有意である(p<0.05)。
マウスにおける顎下唾液腺組織中のCXCR5発現。抗CXCL13抗体およびアイソタイプ対照で処置したマウスにおけるCXCR5のmRNA発現を、図2に示す。抗CXCL13抗体で処置したマウスは、対照を受けたマウスと比較して、顎下唾液腺組織におけるCXCR5受容体の数の低下を示す。この差は、統計的に有意である(p<0.05)。CXCR5はB細胞マーカーであるので、抗CXCL13抗体での処置の後のCXCR5発現の低下は、CXCL13が、シェーグレン症候群においてB細胞を唾液腺組織に向ける役割を演じ得ることを示唆する。
マウスにおける顎下唾液腺組織中のCD19発現。抗CXCL13抗体およびアイソタイプ対照で処置したマウスにおけるCD19のmRNA発現を、図3に示す。結果は、アイソタイプ対照で処置したマウスと比較して、抗CXCL13で処置したマウスにおけるCD19発現の有意な低下(p<0.05)を示す。これらの結果は、抗CXCL13抗体での処置の後の唾液腺組織においてB細胞浸潤が低下されることを証明する。CD19はB細胞マーカーであるので、抗CXCL13抗体での処置の後のCD19発現の低下は、CXCL13が、シェーグレン症候群においてB細胞を唾液腺組織に向ける役割を演じ得ることを示唆する。
マウスにおける顎下唾液腺組織中のCD4発現。抗CXCL13抗体およびアイソタイプ対照で処置したマウスにおけるCD4のmRNA発現を、図4に示す。結果は、CD4の発現が、アイソタイプ対照で処置したマウスと比較して、抗CXCL13抗体で処置したマウスにおいて著しく変化しないことを示す。これらの結果は、CD4転写物レベルにより決定されるように、抗CXCL13抗体の存在下で顎下組織のT細胞浸潤が有意に低下しないことを証明する。
具体的な実施形態についての上記の記載は、本発明の全般的な性質を完全に明らかにするので、他者は、当技術分野における熟練の範囲内の知識を用いることにより、過度の実験を行うことなく、本発明の全般的な概念から逸脱することなく、このような具体的な実施形態の様々な応用について容易に改変および/または改作できる。よって、このような改作および改変は、本明細書で示す教示および手引きに基づいて、開示される実施形態の等価物の意味および範囲内であることを意図する。本明細書における言葉使いおよび術語は、説明を目的とし、限定を目的としないので、本明細書の術語または言葉使いは、教示および手引きに鑑みて当業者により解釈されると理解される。
本発明の広さおよび範囲は、上記の例示的な実施形態のいずれによっても限定されないが、以下の特許請求の範囲およびその等価物に従ってのみ定義される。
本明細書で言及する全ての出版物および特許出願は、本発明が属する当該技術における当業者の水準を示す。全ての出版物および特許出願は、各個別の出版物または特許出願が具体的かつ個別に参照により組み込まれるように示されるのと同じ程度に、引用することにより本明細書の一部をなすものとする。