JP6192317B2 - ブロック共重合体およびその製造方法 - Google Patents

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本発明は、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位からなる重合体ブロックおよび共役ジエンに由来する構造単位からなる重合体ブロックを含むブロック共重合体に関し、詳細には新規な末端構造を有する前記ブロック共重合体およびその製造方法に関する。
従来、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位からなる重合体ブロックおよび共役ジエンに由来する構造単位からなる重合体ブロックを含むブロック共重合体は、ゴム弾性体、粘接着剤、相溶化剤等に用いられている。かかるブロック共重合体の末端の部分構造(末端構造)を種々の構造に変性することで、新たな機能を付与できることが知られている(特許文献1〜3参照)。例えば、靭性付与、柔軟性付与といった樹脂改質剤としての機能を最大限に発揮するには、改質させようとする樹脂と化学的に結合しうる官能基をブロック共重合体の末端に導入することが効果的である(特許文献3、非特許文献1参照)。
新たな機能付与によって樹脂の高性能化を図る観点から、樹脂改質剤として有用な新規な末端構造を有する上記ブロック共重合体が望まれている。
特開平7−331023号公報 特開平9−124862号公報 特開2007−84711号広報
高性能ポリマーアロイ(高分子学会編、丸善)p258−259
本発明の目的は、新規な末端構造を有する芳香族ビニル化合物に由来する構造単位からなる重合体ブロックおよび共役ジエンに由来する構造単位からなる重合体ブロックを含むブロック重合体およびその製造方法を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成すべく、以下の発明を提供する。
即ち本発明は、以下の様態からなる。
[1]少なくとも一方の末端に下記一般式(1)で示される部分構造(以下、「部分構造(1)」と称する)を有し、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位からなる重合体ブロック(以下、「重合体ブロック(S)」と称する)および共役ジエンに由来する構造単位からなる重合体ブロック(以下、「重合体ブロック(D)」と称する)を含むブロック共重合体(以下「ブロック共重合体(A)」と称する)。
Figure 0006192317

(式中、RおよびRは、それぞれ独立して炭素数1〜5の一価の炭化水素基を表すか、両者が結合して炭素数2〜10の二価の炭化水素基を表す。)
[2]芳香族ビニル化合物および共役ジエンを順次添加し、リビングアニオン重合する第1工程;
前記第1工程の系内に、下記一般式(2)で表される化合物(以下、「化合物(2)」と称する)を添加し、前記リビングアニオン重合を停止させる第2工程;
を含む、前記ブロック共重合体(A1)の製造方法。
Figure 0006192317

(式中、nは1〜10の整数を表し、RおよびRは、それぞれ独立して炭素数1〜5の一価の炭化水素基を表すか、両者が結合して炭素数2〜10の二価の炭化水素基を表し、Rは水素原子、または炭素数1〜5の一価の炭化水素基を表す。)、
[3]前記第2工程の後に水素添加反応を行う第3工程;
を含む前記ブロック共重合体(A2)の製造方法、
に関する。
本発明により、樹脂改質剤として有用な、靭性および柔軟性付与効果に優れた新規な末端構造を有するブロック共重合体を提供することができる。
ブロック共重合体(A)の少なくとも一方の末端に有する部分構造(1)は、下記一般式(1)で示される。
Figure 0006192317

(式中、RおよびRは、それぞれ独立して炭素数1〜5の一価の炭化水素基を表すか、両者が結合して炭素数2〜10の二価の炭化水素基を表す。)
一般式(1)中の、RおよびRが表す一価の炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。また、RとRが結合した二価の炭化水素基としては、エチレン基、1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基等が挙げられる。
中でも、樹脂改質剤として使用した場合、改質させようとする樹脂との化学結合形成しやすさの観点から、RおよびRとしては、メチル基、エチル基または、RとRが結合してなるエチレン基が好ましい。
としては、例えば水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。これらの中でも水素原子、メチル基が好ましい。
重合体ブロック(S)は、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位からなる。
かかる、芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、4−ビニルピリジン等が挙げられ、中でもスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレンが好ましい。これらの芳香族ビニル化合物は1種単独であっても、2種以上であってもよい。
重合体ブロック(S)における芳香族ビニル化合物に由来する構造単位の含有量は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。
重合体ブロック(S)は、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位の他に、アニオン重合可能な他の単量体に由来する他の構造単位を含んでいてもよい。かかる他の単量体としては、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−シクロヘキサジエン、β−ミルセン、β−ファルネセン等の共役ジエン、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル等の(メタ)アクリ酸エステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。これら他の単量体は1種単独であっても、2種以上であってもよい。
重合体ブロック(S)は、上記した芳香族ビニル化合物および任意成分である上記した他の単量体を単量体としてアニオン重合することで得られる。重合体ブロック(S)の製造において、アニオン重合する単量体が複数種である場合、これらは混合して用いる。
重合体ブロック(S)の数平均分子量(M)は、1,000〜100,000の範囲内にあることが好ましい。
なお、本明細書において、Mはゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、標準ポリスチレン検量線から求めた値を意味する。
重合体ブロック(D)は、共役ジエンに由来する構造単位からなる。
かかる共役ジエンとしては、ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−シクロヘキサジエン、β−ミルセン、β−ファルネセン等が挙げられ、中でもブタジエン、イソプレンが好ましい。これらの化合物は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
重合体ブロック(D)における共役ジエンに由来する構造単位の含有量は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。
重合体ブロック(D)は、共役ジエンに由来する構造単位の他に、アニオン重合可能な他の単量体に由来する他の構造単位を含んでいてもよい。かかる他の単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、4−ビニルピリジン等の芳香族ビニル化合物、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル等の(メタ)アクリ酸エステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。これら他の単量体は1種単独であっても、2種以上であってもよい。
重合体ブロック(D)は、上記した共役ジエンおよび任意成分である上記した他の単量体を単量体としてアニオン重合することで得られる。重合体ブロック(D)の製造において、アニオン重合する単量体が複数種である場合、これらは混合して用いる。
重合体ブロック(D)の製造において、共役ジエンをアニオン重合すると、重合温度、重合中の単量体の濃度、重合開始剤の種類、重合溶媒の極性等によって、共役ジエンに由来する二重結合が重合体ブロックの主鎖、および/あるいは側鎖に二重結合が残存する。かかる二重結合の重合体中の位置が異なるものを、重合体ブロック(D)としてもよい。
重合体ブロック(D)の製造において、共役ジエンをアニオン重合すると、通常、共役ジエンに由来する二重結合が残存する。かかる二重結合を水素添加反応によって飽和結合にしたものを、重合体ブロック(D)としてもよい。
重合体ブロック(D)のMは、2,000〜500,000の範囲内にあることが好ましい。
ブロック共重合体(A)における重合体ブロック(S)と重合体ブロック(D)との配列に特に制限はないが、重合体ブロック(S)を(S)、重合体ブロック(D)を(D)、xを自然数とすると、[(S)−(D)]、[(S)−(D)−(S)]、[(D)−(S)−(D)]などの配列が挙げられる。自然数xは生産性の観点から、通常1〜3の範囲である。ブロック共重合体(A)は、上記した配列の少なくとも一方の末端に部分構造(1)を有する。ブロック共重合体(A)の部分構造(1)を有さない末端がある場合、該末端は通常、開始剤残基である。ブロック共重合体(A)が複数の部分構造(1)を有する場合、通常、上記のように配列した重合体ブロックが開始剤残基を介して結合している。
本発明のブロック共重合体(A)の製造方法は、芳香族ビニル化合物および共役ジエンを順次添加し、リビングアニオン重合する第1工程;
前記第1工程の系内に、下記一般式(2)で示される化合物(2)を添加し、前記リビングアニオン重合を停止させる第2工程;
Figure 0006192317

(式中、nは1〜10の整数を表し、RおよびRは、それぞれ独立して炭素数1〜5の一価の炭化水素基を表すか、両者が結合して炭素数2〜10の二価の炭化水素基を表し、Rは水素原子、または炭素数1〜5の一価の炭化水素基を表す。)
を含む。
第1工程は、芳香族ビニル化合物および共役ジエンを順次添加して、リビングアニオン重合することにより、末端にリビングアニオンを有するブロック共重合体を製造する工程である。芳香族ビニル化合物および共役ジエンの添加順序に制限はない。また、芳香族ビニル化合物および共役ジエンは、それぞれ1回で添加しても、2回以上に分けて添加してもよい。
上記順次添加する芳香族ビニル化合物としては、上記した重合体ブロック(S)の構造単位の由来となる芳香族ビニル化合物が挙げられる。これらの芳香族ビニル化合物は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記芳香族ビニル化合物は他の単量体と混合した単量体混合物として添加してもよい。かかる他の単量体としては、重合体ブロック(S)が含んでいてもよい他の構造単位の由来として上記した他の単量体が挙げられる。かかる単量体混合物は、80質量%以上の芳香族ビニル化合物を含むことが好ましく、90質量%以上の芳香族ビニル化合物を含むことが好ましい。
上記順次添加する共役ジエンとしては、上記した重合体ブロック(D)の構造単位の由来となる共役ジエンが挙げられる。これらの共役ジエンは1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
共役ジエンは他の単量体と混合した単量体混合物として添加してもよい。かかる他の単量体としては、重合体ブロック(S)が含んでいてもよい他の構造単位の由来として上記した他の単量体が挙げられる。かかる単量体混合物は、80質量%以上の芳香族ビニル化合物を含むことが好ましく、90質量%以上の芳香族ビニル化合物を含むことが好ましい。
第1工程において、リビングアニオン重合は、通常の方法に従い、重合開始剤を用い、有機溶媒中で芳香族ビニル化合物および共役ジエンを反応させることによって行うことができる。
上記第1工程のリビングアニオン重合のリビングアニオン重合で用いる重合開始剤としては、リビングアニオン重合が可能なものであれば特に制限はなく、例えば、有機リチウム、有機ナトリウムなどの有機アルカリ金属化合物等を用いることができる。この中でも取扱性および工業的経済性の観点から有機リチウム化合物が好ましく、重合性モノマーとの反応性の観点からアルキルリチウム、アリールリチウムがより好ましい。上記重合開始剤は、メチルリチウムのようなモノアニオン型重合開始剤のみならず、m−ジイソプロペニルベンゼンのジリチオ化物のような二官能のジアニオン型開始剤等の多官能重合開始剤を用いることができる。
上記アルキルリチウムの例としては、メチルリチウム、エチルリチウム、プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、イソブチルリチウム、ヘキシルリチウム、オクチルリチウム、テトラメチレンジリチウム、m−ジイソプロペニルベンゼンのジリチオ化物等が挙げられ、上記アリールリチウムの例としては、フェニルリチウム、トリルリチウム等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよく、取扱性および工業的経済性の観点から、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウムが好ましく、モノマーとの反応性の観点から、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウムがより好ましい。
上記第1工程のリビングアニオン重合で用いる有機溶媒としては、重合の進行を妨げない非極性の有機溶媒であれば特に制限はなく、例えば、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の飽和脂肪族炭化水素化合物、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素化合物等が挙げられ、これらは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記第1工程のリビングアニオン重合に際し、例えば、リビングポリマーにおけるモノマー単位の結合形態を制御する等のために、必要に応じ、重合の進行を妨げない範囲において、反応系内に少量の極性化合物を添加してもよい。極性化合物としては、水酸基、カルボキシル基、カルボニル基等のカルボアニオンと反応する官能基を有さず、かつ酸素原子や窒素原子を有する化合物を用いることができ、例えば、ジエチルエーテル、モノグライム、ジグライム、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等を挙げることができる。
上記第1工程のリビングアニオン重合における反応温度としては、特に制限されるものではなく、−100℃〜100℃の範囲であることが好ましく、工業的な観点からは−15〜70℃の範囲であることがより好ましい。
上記第1工程のリビングアニオン重合におけるその他の反応条件としては、例えば、副反応を抑制する等の観点から、予め十分に脱水及び乾燥された化合物を用いることが好ましく、反応系内に湿気や酸素等が存在しない不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
第2工程は、第1工程で行ったリビングアニオン重合系内に化合物(2)を反応させてブロック共重合体の末端に部分構造(1)を導入する工程である。
詳細には、第1工程で得られる末端にリビングアニオンを有するブロック共重合体のリビングアニオンと化合物(2)を反応させることで、下記一般式(3)で示される部分構造がブロック共重合体の末端に導入される。
Figure 0006192317

(式中、R、R、R、nは上記一般式(2)と同様である)
第1工程で得られるブロック共重合体の有するリビングアニオンの数に応じて、導入される部分構造(1)の数を調節できる。
上記第2工程で添加する上記一般式(2)で表される化合物のnとしては、化合物(2)の入手容易性および上記第1工程で得られるリビングポリマーとの反応性の観点から、1〜6が好ましい。
また、化合物(2)中のRおよびRが表す一価の炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。また、RとRが結合した二価の炭化水素基としては、エチレン基、1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基等が挙げられる。
中でも、樹脂改質剤として使用した場合、改質させようとする樹脂との化学結合形成しやすさの観点から、RおよびRとしては、メチル基、エチル基または、RとRが結合してなるエチレン基が好ましい。
また、化合物(2)中のRとしては、例えば水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。
これらの中でも上記第2工程で得られるリビング共重合体との反応性の観点から、Rとしては、水素原子、メチル基が好ましい。
第2工程で添加する化合物(2)は、上記第一工程のリビングアニオン重合で用いる重合開始剤の使用量に対して、モル比で1〜20当量、好ましくは1〜10当量添加する。化合物(2)の添加量が1当量未満であると、第1工程で得られたリビング共重合体に上記式(1)で示される部分構造を効率的に導入できない。一方、化合物(2)の添加量が10当量を超えると、後述する第3工程の水素添加反応を阻害、あるいは遅延させるので工業生産上望ましくない。
第2工程の反応は、第1工程で行ったリビングアニオン重合系内に、化合物(2)または化合物(2)を含有する有機溶媒溶液を添加し、これらを攪拌混合することによって行うことができる。反応効率の観点から、化合物(2)を有機溶媒で希釈せずに添加することが好ましい。
第2工程における反応温度、必要に応じて用いる有機溶媒の種類は、本発明の効果を損わない範囲内であれば特に制限されず、工業的経済性の観点から、上記の第1工程で採用した反応条件に合わせることが好ましい。
第2工程では、化合物(2)を反応させた後、リビングアニオン重合を停止させるため、メタノール、水、酢酸、塩酸等の停止剤を加えることが好ましい。
第2工程で得られるブロック共重合体を本発明の目的とするブロック共重合体(A)とすることができる。一方、本発明の製造方法では、前記第2工程の後に水素添加反応を行う第3工程を行ない、かかる水素添加反応によって得られるブロック共重合体を本発明の目的とするブロック共重合体(A)としてもよい。
第3工程は、第2工程で得られたブロック共重合体中に残存する共役ジエンに由来する二重結合の一部または全部を水素添加する工程である。
上記の水素添加方法は特に限定されず、例えば、アルキルアルミニウム化合物とコバルト、ニッケルなどからなるチーグラー触媒、パラジウムチャコール、ロジウムチャコールなどの活性炭に坦持された金属、チタノセン化合物等のメタロセン触媒、ラネーニッケルなどの水添触媒の存在下に共役ジエン化合物からなる重合体ブロックを有するポリマーと水素とを反応させる方法等が挙げられる。
該水素添加反応において、第2工程で得られたブロック共重合体中に残存する共役ジエンに由来する二重結合のうち、飽和結合になる割合(水添率)は、80%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましい。なお、水添率は、ヨウ素価滴定法、赤外分光スペクトル測定、核磁気共鳴スペクトル(H−NMRスペクトル)測定等の分析手段を用いて算出することができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例により何ら限定されるものではない。また、以下の実施例において使用した薬品は常法により乾燥精製し、移送および供給は窒素雰囲気下で行った。なお、実施例中の数平均分子量(M)、分子量分布(M/M)、共重合体末端への官能基導入率、共重合体の水素添加率の測定は、以下の方法により測定した。
[数平均分子量(M)、分子量分布(M/M)の測定]
機器:東ソー社製ゲルパーミエーションクロマトグラフ(HLC−8220)
カラム:東ソー社製TSKgel SuperMultiporeHZ−M(2本)を直列に連結
溶離液:テトラヒドロフラン、流量0.36mL/分
カラム温度:40℃
サンプル濃度:0.1wt/vol%(THF)
検出方法:示差屈折率(RI)
検量線:測定した保持時間を、ジーエルサイエンス(株)製、標準ポリスチレン(Mp=900,000;271,800; 132,900;72,450; 29,510;10,110;3,070;575)を用いて較正した。
[共重合体末端への官能基導入率、共重合体の水素添加率の測定]
機器:日本電子社製核磁気共鳴装置(JNM−LA400)
観測核:
温度:25℃
溶媒:重クロロホルム
<官能基導入率>:
第2工程で得られた(水素添加前の)ブロック共重合体のH−NMRを測定し、δ:0.80−0.52のプロトンの積分値(SI)とδ:3.70−3.42のプロトンの積分値(Sf)を求め、式:
[(Sf×6)/(SI×4)]×100
を用いて計算した。
<水素添加率>:
第2工程で得られた(水素添加前の)ブロック共重合体のH−NMRを測定し、δ:6.90−6.30のプロトンの積分値(Ia)とδ:5.25−4.90のプロトンの積分値(Ib)を求め、第3工程で得られたブロック共重合体の1H−NMRを測定し、δ:6.90−6.30のプロトンの積分値(Ha)とδ:5.25−4.90のプロトンの積分値(Hb)を求め、式:
100−[(Hb×Ia)/(Ha×Ib)]×100
を用いて計算した。
製造例1(1,1−ジエトキシ−7,8−エポキシオクタンの製造)
アルゴン置換した300mL三口フラスコにモレキュラーシーブスで脱水したエタノール(150mL)を加えた。そして7−オクテナール(12.6g、100mmol)と塩化アンモニウム(64mg、1.2mmol)をフラスコに加え、アルゴン雰囲気下、75℃で30分攪拌した。30分経過後、飽和重曹水溶液(15mL)を加えて反応を終了させ、その後、反応溶液をろ過し、エタノールを留去した。濃縮物を水(100mL)で希釈し、ジエチルエーテル(100mL×3)で抽出した。有機層を飽和食塩水(50mL)で洗浄後、硫酸ナトリウムにより乾燥し、溶媒を留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、1,1−ジエトキシ−7−オクテンを得た(収量:8.2g)。
H−NMR(400MHz、CDCl、TMS)δ:5.83−5.71(m,1H)、4.97(d,1H)、4.90(d,1H)、4.45(t,1H)、3.65−3.41(m,4H)、2.05−1.98(m,2H)、1.64−1.55(m,2H)、1.41−1.20(m,6H)、1.18(t,6H)。
続いてアルゴン置換した300mL三口フラスコにモレキュラーシーブスで脱水したジクロロメタン(50mL)と上記で得られた1,1−ジエトキシ−7−オクテン(6.0g、30mmol)を加え、0℃に冷却した。ここにm−クロロ過安息香酸(純度65%品11.9g、45mmol)のジクロロメタン溶液(100mL)をアルゴン雰囲気下、0℃で滴下後、0℃で1時間攪拌した。その後、反応溶液を室温に戻し、16時間経過後、ジクロロメタンを留去し、ジエチルエーテル(100mL)で希釈した。有機層を飽和重曹水溶液(100mL×2)と飽和食塩水(100mL×1)で洗浄した後、硫酸ナトリウムにより乾燥し溶媒を留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、1,1−ジエトキシ−7,8−エポキシオクタンを得た(収量:6.0g)。
H−NMR(400MHz、CDCl、TMS)δ:4.43(t,1H)、3.63−3.40(m,4H)、2.87(m,1H)、2.70(t,1H)、2.41(m,1H)、1.62−1.28(m,10H)、1.17(t,6H)。
実施例1
窒素置換した1Lオートクレーブ容器に、シクロヘキサン(350mL)を投入し、50℃に昇温後、sec−ブチルリチウム(0.9Mヘキサン溶液1.1mL)を添加した。ここにスチレン(3.0mL、26.2mmol)を7分間で滴下後、1.5時間撹拌し、ついでイソプレン(10mL、100mmol)を20分間で滴下後、2.5時間撹拌し、最後にスチレン(3.0mL、26.2mmol)を7分間で滴下後、1.5時間撹拌した。ここに1,1−ジエトキシ−7,8−エポキシオクタン(1.08g、5.00mmol)を投入し、20分間撹拌し、メタノール(160mg、5.00mmol)を添加して反応をクエンチし、部分構造(1)を一方の末端に有するブロック共重合体のシクロヘキサン溶液を得た。有機層を抽出し、メタノール(100mL)に投入して末端に1、1−ジエトキシ−7−ヒドロキシオクチル基を持つ(ポリスチレン)−(ポリイソプレン)−(ポリスチレン)トリブロック共重合体(「ブロック共重合体(A1−1)」と称する)を得た。ブロック共重合体(A1)における最初のスチレン添加で得られたポリスチレンブロックのMは2000、ポリイソプレンブロックのMnは13700、2度目のスチレン添加で得られたポリスチレンブロックのMは1800であり、ブロック共重合体の分子量分布は1.04、官能基導入率は79.3%であった。
実施例2
実施例1と同様にしてブロック共重合体(A1−1)のシクロヘキサン溶液を得た後、パラジウムチャコール(10g)を添加し、水素圧0.1MPaで50℃、12時間撹拌した。パラジウムチャコールを濾過して反応を停止させ、シクロヘキサンを減圧で留去して末端に1,1−ジエトキシ−7−ヒドロキシオクチル基を持つブロック共重合体(「ブロック共重合体(A2−1)」と称する)を得た。
得られたブロック共重合体(A2−1)のMは18900、分子量分布は1.05、官能基導入率は79.3%、水素添加率は98.2%であった。
本発明により、部分構造(1)を有するポリマーおよびこれらの製造方法が提供される。本発明のブロック共重合体は相容化剤、靭性向上用の改質剤などに有用である。
本発明により得られるブロック共重合体は、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、ブチラール樹脂等の水酸基を有する樹脂、ならびにポリエステル樹脂等の末端に水酸基を有する樹脂用の改質剤などに利用可能である。

Claims (5)

  1. 少なくとも一方の末端に下記一般式(1)で示される部分構造を有し、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位からなる重合体ブロックおよび共役ジエンに由来する構造単位からなる重合体ブロックを含むブロック共重合体。
    Figure 0006192317
    (式中、RおよびRは、それぞれ独立して炭素数1〜5の一価の炭化水素基を表すか、両者が結合して炭素数2〜10の二価の炭化水素基を表す。)
  2. 一方の末端のみに下記一般式(1)で示される部分構造を有し、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位からなる重合体ブロックおよび共役ジエンに由来する構造単位からなる重合体ブロックを含むブロック共重合体。
    Figure 0006192317
    (式中、R およびR は、それぞれ独立して炭素数1〜5の一価の炭化水素基を表すか、両者が結合して炭素数2〜10の二価の炭化水素基を表す。)
  3. 少なくとも一方の末端に下記一般式(3)で示される部分構造を有し、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位からなる重合体ブロックおよび共役ジエンに由来する構造単位からなる重合体ブロックを含むブロック共重合体。
    Figure 0006192317
    (式中、nは1〜10の整数を表し、R およびR は、それぞれ独立して炭素数1〜5の一価の炭化水素基を表すか、両者が結合して炭素数2〜10の二価の炭化水素基を表し、R は水素原子、または炭素数1〜5の一価の炭化水素基を表す。)
  4. 芳香族ビニル化合物および共役ジエンを順次添加し、リビングアニオン重合する第1工程;
    前記第1工程の系内に、下記一般式(2)で表される化合物を添加し、前記リビングアニオン重合を停止させる第2工程;
    を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のブロック共重合体の製造方法。
    Figure 0006192317
    (式中、nは1〜10の整数を表し、RおよびRは、それぞれ独立して炭素数1〜5の一価の炭化水素基を表すか、両者が結合して炭素数2〜10の二価の炭化水素基を表し、Rは水素原子、または炭素数1〜5の一価の炭化水素基を表す。)
  5. 前記第2工程の後に水素添加反応を行う第3工程;
    を含む請求項に記載の製造方法。
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