JP6191987B2 - 無機質中空粒子及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、携帯電子機器、自動車等の樹脂成形部品、部材、各種建築材料等の充填材、電線被覆材、半導体封止材などに有用な無機質中空粒子及びその製造法に関する。
各種樹脂成形部品等の充填材として無機質中空粒子が用いられており、そのような中空粒子としては、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア等の金属酸化物粒子(特許文献1、2)、炭酸カルシウム粒子(特許文献3)、リン酸カルシウム粒子(特許文献4)等が報告されている。しかしながら、これらの中空粒子の製造法は、特殊な構造を有する装置を使用する、核となる有機物を高温で焼却する、1000℃以上の高温での焼結工程を必要とする等の問題がある。
一方、本発明者は噴霧乾燥法により、簡便に炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の中空粒子が得られることを報告している(非特許文献1、2)。
国際公開第2009/110514号パンフレット 特開昭48−15798号公報 特開平6−127938号公報 特開2007−70211号公報
無機マテリアル学会第113回学術講演会講演要旨集p40−41(2006年) 無機マテリアル学会第123回学術講演会講演要旨集p96−97(2011年)
しかしながら、前記従来の無機質中空粒子は、高温処理、特殊な装置を必要とする等の点で工業的に量産できるものではない。一方、噴霧乾燥法は大量生産に適した方法ではあるが、従来の方法では炭酸カルシウムや炭酸マグネシウムで形成された中空粒子を得ることは可能であるが、その強度は十分ではなかった。
従って、本発明の課題は、簡便な手段により得られる、強度の高い無機質中空粒子及びその製造法を提供することにある。
そこで本発明者は、噴霧乾燥法により強度の高い無機質中空粒子を得るべく検討した結果、水に対する溶解性の低い無機酸アルカリ土類金属塩と、水に対する溶解性の比較的高いケイ酸アルカリ金属塩の両者を水に溶解し、得られた水溶液を噴霧乾燥すれば、優れた強度を有する無機質中空粒子が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は次の〔1〕〜〔12〕を提供するものである。
〔1〕無機酸アルカリ土類金属塩及びケイ酸アルカリ金属塩を含む多層殻又は複合殻を有する無機質中空粒子。
〔2〕外層に無機酸アルカリ土類金属塩を含み、内層にケイ酸アルカリ金属塩を含む多層殻を有するものである〔1〕記載の無機質中空粒子。
〔3〕無機酸アルカリ土類金属塩及びケイ酸アルカリ金属塩を含有する水溶液を噴霧乾燥することにより得られる〔1〕又は〔2〕記載の無機質中空粒子。
〔4〕平均粒子径が0.1〜100μmであり、嵩密度が0.02〜0.5g/cm3であり、球形度が0.85以上である〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の無機質中空粒子。〔5〕多層殻又は複合殻の外層側が無機酸アルカリ土類金属塩を主成分とする層であり、内層側がケイ酸アルカリ金属塩を主成分とする層である〔2〕〜〔4〕のいずれかに記載の無機質中空粒子。
〔6〕無機酸アルカリ土類金属塩が、炭酸、リン酸及び硫酸から選ばれる酸のカルシウム塩、バリウム塩又はマグネシウム塩であり、ケイ酸アルカリ金属塩が、ケイ酸のナトリウム塩、カリウム塩又はリチウム塩である〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の無機質中空粒子。
〔7〕無機酸アルカリ土類金属塩及びケイ酸アルカリ金属塩を含有する水溶液を噴霧乾燥することを特徴とする、無機酸アルカリ土類金属塩及びケイ酸アルカリ金属塩を含む多層殻又は複合殻を有する無機質中空粒子の製造法。
〔8〕得られる無機質中空粒子が、外層に無機酸アルカリ土類金属塩を含み、内層にケイ酸アルカリ金属塩を含む多層殻又は複合殻を有する無機質中空粒子である〔7〕記載の製造法。
〔9〕噴霧乾燥温度が80〜200℃である〔7〕又は〔8〕記載の製造法。
〔10〕無機質中空粒子の平均粒子径が0.1〜100μmであり、嵩密度が0.02〜0.5g/cm3であり、球形度が0.85以上である〔7〕〜〔9〕のいずれかに記載の製造法。
〔11〕多層殻又は複合殻の外層側が無機酸アルカリ土類金属塩を主成分とする層であり、内層側がケイ酸アルカリ金属塩を主成分とする層である〔8〕〜〔10〕のいずれかに記載の製造法。
〔12〕無機酸アルカリ土類金属塩が、炭酸、リン酸及び硫酸から選ばれる酸のカルシウム塩、バリウム塩又はマグネシウム塩であり、ケイ酸アルカリ金属塩が、ケイ酸のナトリウム塩、カリウム塩又はリチウム塩である〔7〕〜〔11〕のいずれかに記載の製造法。
本発明によれば、噴霧乾燥法という簡便な手法で、強度の高い無機質中空粒子が得られ、得られた無機質中空粒子は球状であり、強度が向上していることから、断熱用、遮熱用、或いは低誘電率材料用等の各種材料の充填材、軽質粉末、化粧品用粉体等として有用である。
ケイ酸カリウム溶液添加量と平均膜厚との関係を示す図である。 本発明無機質中空粒子の断面のSEM像(a)及びEPMAマッピング(b)を示す。赤:Si。緑:Ca。 本発明無機質中空粒子の圧縮強さを示す。 本発明無機質中空粒子の水に対する安定性を示す。 水中に浸漬前後の本発明無機質中空粒子の圧縮強さの変化を示す。 炭酸カルシウム及びケイ酸カリウムによる本発明無機質中空粒子の平均粒子径、ケイ酸カリウム添加量、膜厚の関係を示す。
本発明の無機質中空粒子は、2種の成分により形成される外層と内層とを有する多層殻、又は2種の成分からなる複合殻を有し、それらの2種の成分は無機酸アルカリ土類金属塩及びケイ酸アルカリ金属塩を含む。このうち、多層殻を有する形態が好ましく、さらに外層に無機酸アルカリ土類金属塩を含み、内層にケイ酸アルカリ金属塩を含む多層殻を有する形態が好ましい。
多層殻構造においては、外層は無機酸アルカリ土類金属塩を含有すればよいが、無機酸アルカリ土類金属塩を主成分とする層であるのが好ましい。ここで主成分とするとは、無機酸アルカリ土類金属塩を60〜100質量%含有することをいう。
無機酸アルカリ土類金属塩の無機酸としては、炭酸、リン酸、硫酸等が挙げられ、このうち炭酸、リン酸が特に好ましい。またアルカリ土類金属塩としては、カルシウム、バリウム、マグネシウム、ストロンチウムが挙げられるが、カルシウム、バリウム、マグネシウムがより好ましく、カルシウムが特に好ましい。具体的には、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、硫酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、リン酸マグネシウム、炭酸バリウム、リン酸バリウム、硫酸バリウムが挙げられ、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムが特に好ましい。
多層殻構造においては、内層はケイ酸アルカリ金属塩を含有すればよいが、ケイ酸アルカリ金属塩を主成分とする層であるのが好ましい。ここで、主成分とするとは、ケイ酸アルカリ金属塩を60〜100質量%含有することをいう。
ケイ酸アルカリ金属塩としては、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウムが挙げられる。
複合殻構造においては無機酸アルカリ土類金属塩とケイ酸アルカリ金属塩が複合化した構造を有する。一方、多層殻構造においては、無機酸アルカリ土類金属塩層とケイ酸アルカリ金属塩層とが外層と内層とを形成しているが、外層に無機酸アルカリ土類金属塩が、内層にケイ酸アルカリ金属塩が存在するのが好ましい。外層と内層の界面は、無機酸アルカリ土類金属塩層とケイ酸アルカリ金属塩層とが明確に分離している必要はなく、それらの一部が互いに混在している状態、すなわち組成傾斜型になっていてもよい。
なお、本発明の無機質中空粒子が、中空状になっていること及び複合殻や多層殻を有していることは、中央部断面の走査式電子顕微鏡(SEM)及び電子線マイクロアナリシス(EPMA)により確認することができる。例えば、SEMとEPMAを行い、SEM画像をEPMAマッピングすれば、中空部分、外層(Caが緑色)、内層(Siが赤色)が確認できる。
無機酸アルカリ土類金属塩(A)とケイ酸アルカリ金属塩(B)との質量比(A:B)は、目的とする強度、溶解度等により適宜調整可能であり、100:1〜1:10が好ましく、50:1〜1:1がより好ましく、10:1〜1:1がさらに好ましい。かかる質量比は、原料として用いる無機酸アルカリ土類金属塩及びケイ酸アルカリ金属塩の水溶液の濃度等によって調整可能である。
本発明の無機質中空粒子の平均粒子径は、噴霧乾燥機のノズル径、乾燥温度、噴霧圧力により調整可能であり、粉体としての取り扱い性、充填材として混合した製品表面の平滑性の点から、0.1〜100μmが好ましく、さらに0.1〜50μmが好ましく、さらに0.3〜50μmが好ましい。
本発明の無機質中空粒子の嵩密度は、強度、断熱性、軽量性、誘電性等の点から、0.02〜0.5g/cm3が好ましく、0.03〜0.20g/cm3がより好ましく、0.05〜0.15g/cm3がさらに好ましい。この嵩密度は、中空粒子の中空率と逆相関する。なお、嵩密度はタップ法により測定できる。
本発明の多層殻又は複合殻の膜厚は、断面のSEM像から測定可能であり、100〜400nmの範囲とすることができ、200〜300nm、特に250nmであるのが好ましい。
本発明の無機質中空粒子の形状は、噴霧乾燥法で製造される限り、球状であり、樹脂などの基材に混合したときの分散性、混合性や流動性の点から、平均球形度は0.85以上であるのが好ましい。
ここで、平均球形度は、走査型電子顕微鏡写真から粒子の投影面積(A)と周囲長(PM)を測定し、周囲長(PM)に対する真円の面積を(B)とすると、その粒子の球形度はA/Bとして表される。そこで、試料粒子の周囲長(PM)と同一の周囲長を持つ真円を想定すると、PM=2πr、B=πr2であるから、B=π×(PM/2π)2となり、この粒子の球状度は、球形度=A/B=A×4π/(PM)2として算出される。100個の粒子について球形度を測定し、その平均値でもって平均球形度とする。なお、本発明の無機質中空粒子は、噴霧乾燥法で製造する限り、平均球形度は、改めて測定するまでもなく0.85以上、好ましくは0.90以上である。
本発明の無機質中空粒子の圧縮強度は、無機酸アルカリ土類金属塩で形成された単層の中空粒子に比べて数十倍向上している。圧縮強度は、ケイ酸アルカリ金属塩の添加量により調整可能である。
本発明の無機質中空粒子は、無機酸アルカリ土類金属塩及びケイ酸アルカリ金属塩を含有する水溶液を噴霧乾燥することにより製造することができる。本発明においては、これらの成分を含有する水溶液を噴霧乾燥することが、多層殻又は複合殻を有する中空粒子を得るうえで重要である。これらの2成分を含有するスラリーを噴霧乾燥すると、固形分が核となって粒子が成長するため中空粒子は得られない。本発明で用いる無機酸アルカリ土類金属塩は一般に水に対する溶解度が低いので最初に噴霧された液滴の外側で析出し、その内部に閉じこめられたケイ酸アルカリ金属塩が後に析出し、その結果、多層殻を有する中空粒子が形成されるものと推定される。2成分の溶解度が近似する場合は複合殻を有する中空粒子が形成される。
より詳細には、無機酸アルカリ土類金属とケイ酸金属塩を含有する水溶液を微細な液滴にして、乾燥機内に噴霧し、乾燥機内で熱風と接触させながら乾燥させて、中空粒子を製造する。水溶液を微細な液滴にする方法として、二流体ノズル、加圧ノズル、回転円盤ノズルなどを用いた噴霧器が使用でき、このときノズルは二流体ノズル、加圧ノズルなどが粒径制御可能なため好ましい。
噴霧乾燥に用いる噴霧器又はスプレーノズルの口径の調整により、粒子径を制御することができる。また、無機酸アルカリ土類金属塩濃度とケイ酸アルカリ金属塩濃度の調整により、これらの成分の質量比を制御することができる。好ましい無機酸アルカリ土類金属塩濃度は0.1〜10.0g/Lであり、ケイ酸アルカリ金属塩濃度は0.05〜3.00g/Lが好ましい。なお、無機酸アルカリ土類金属塩の溶解度は低いため高濃度の溶液を調製することは困難であるが、二酸化炭素を吹き込み炭酸水素塩とすることで溶解度を高めることが可能である。一方、ケイ酸アルカリ金属塩の溶解度は高いので広い範囲から選択可能である。
噴霧乾燥の温度は、乾燥性、収率、強度、球状殻の形成性、球状粒子の収率の点から、80〜200℃が好ましく、さらに90〜120℃が好ましい。また噴霧乾燥の圧力は50〜500kPaが好ましい。
噴霧乾燥により得られた中空粒子は非常に軽いため、サイクロンにて全量回収することはできない。そこで、本発明における回収方法としては、バグフィルターが好適に用いられる。また、サイクロンとバグフィルターを直列で用いることにより、粗粒子はサイクロンで、微粒子はバグフィルターでそれぞれ回収できることから、粒度の調整も行われ、用途展開がしやすくなる。
得られた本発明の無機質中空粒子は、噴霧乾燥法を採用しているため、粒度分布が小さく、粒子径が制御された粒子を効率良く得られる。また、強度も高いため、プラスチック充填用機能性フィラー、軽量粉末、化粧品用粉体断熱用、遮熱用、或いは低誘電率材料用などの各種材料の充填材等の分野で広く利用することができる。
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
実施例1
純水1リットル中にケイ酸カリウム水溶液(SiO2/K2Oモル比=4.0、濃度35wt%)を0〜5.0g添加し、この水溶液にCa/P原子比1.67となるように炭酸カルシウムとリン酸−水素カルシウム二水和物(DCPD)を加え、懸濁液濃度0.1mass%の懸濁液を調製した。この懸濁液に二酸化炭素を流量1dm3・min-1で1時間吹き込みながら溶解させ、ろ過することで濃度約0.5g/Lのリン酸カルシウム水溶液を得た。また、この水溶液を二流体ノズル(ノズル径0.71mm)により噴霧溶液とし、乾燥温度100℃、噴霧圧力200kPa、送液流量500cm3/h、乾燥空気量0.75m3/minの条件で噴霧乾燥を行うことで粉体試料を得た。
得られた試料のキャラクタリゼーションはX線回折、走査型電子顕微鏡(SEM)観察、電子線マイクロアナライザー(EPMA)を用いて行った。また、粒子径の測定はSEM観察により行い、写真法にて粒子100個以上を計測することにより行った。中空粒子の膜厚測定は粒子をエポキシ樹脂に含浸させ、ミクロトームにて切断し、SEM観察により行った。かさ密度の測定はタップ法により測定した。また、得られた生成物の圧縮強さはダイナミック超微小硬度計により粒子1粒の圧縮強さを測定した。
(1)ケイ酸カリウム水溶液添加量の異なる水溶液を噴霧乾燥して得られた生成物はいずれも球状中空粒子であり、その粒径は噴霧乾燥条件が同一条件ならばほぼ同じ4μmであり、球形度は0.90以上と球状粒子の外観にもほとんど相違は見られなかった。しかし、球状中空粒子の膜厚はケイ酸カリウム水溶液無添加(0g)のときには200nm程度であったが、添加量の増大に伴い膜厚は増加する傾向が見られ、添加量5.0g/Lでは300nmにまで増加した(図1)。かさ密度は、0.11g/cm3であった。
(2)つぎに、ケイ酸カリウム水溶液添加量3.0g/Lのときの生成物のSEM写真及びEPMAマッピングを図2に示す。平均粒径約4μm、平均膜厚約500nmの粒子(図2(a))のSiとCaについてマッピングを行ったところ、球状中空粒子の中空壁中にはCa及びSiが含有していることがわかった(図2(b))。さらに、中空壁の外側にはCaが多く含有しており、内側にはSiが多く含有していることから、この粒子は組成傾斜粒子であることが確認できた。
(3)得られた組成傾斜型球状粒子1粒の圧縮強さを測定したところ、無添加では約0.6MPaであった圧縮強さはケイ酸カリウムを添加することで増大し、3.0g添加では約16.9MPaと無添加のときの約26倍も増大していることが確認でき、中空粒子でありながらHAp中実体とほぼ同様の強さを示した(図3)。HAp中実体は、水酸化カルシウム懸濁液にリン酸水溶液をCa/P原子比が1.67となるように加えて調整したリン酸カルシウム懸濁液を噴霧乾燥して作製したものを使用した。
(4)得られた中空粒子を、水に1週間浸漬することにより、水に対する安定性を検討した。すなわち、リン酸カルシウム単層(ケイ酸カリウム無添加)の中空粒子は水に浸漬すると短時間で崩壊してしまうが(図4(a))、本発明の中空粒子は1週間水中で浸漬しても形状を保持していた(図4(b))。また、1週間水中に浸漬してもその圧縮強度はほとんど変化しなかった(図5)。
実施例2
純水に試薬炭酸カルシウムを懸濁液濃度0.15質量%となるよう懸濁させ、3℃の恒温水槽内でCO2ガスを流量1dm3・min-1で1時間吹き込むことにより炭酸カルシウムを溶解させた。その後、この懸濁液をろ過することでCa2+イオン濃度約400ppm(0.01mol・dm-3)の炭酸水素カルシウム過飽和溶液を得た。さらに、この溶液にケイ酸カリウムを0〜0.40質量%となるよう添加したものを噴霧溶液とした。この噴霧溶液を乾燥温度100〜200℃、噴霧圧力50〜200kPa、送液流量0.5dm3・h-1、乾燥空気量0.75m3・min-1の条件下で噴霧乾燥を行い、組成傾斜型球状中空粒子を作製した。
実施例1と同様にして、得られた中空粒子の特性を評価した。
(1)ケイ酸カリウム添加量が多くなると、粒子の形状は歪となり表面は多孔質となるため、球状を維持できる最大添加量は0.25質量%であった。また、図6に球状中空粒子の平均粒径と膜厚に及ぼすケイ酸カリウム添加量の影響および内部構造を示す。添加量の増加に伴い球状中空粒子の膜厚は約0.17μmから0.31μmに増加したが、平均粒径は変化せず2.0μm程度だった。一方、内部構造はEPMAマッピングから、中空壁の外側にCaが多く存在しており、内部にかけてSiが組成傾斜しながら析出した構造を有しているのが確認できた。つぎに、乾燥温度について検討したところ、温度を高くすると平均粒径は大きくなり、粒度分布が広くなる傾向がみられた。また、粒子の形状は100℃ではきれいな球状中空粒子が得られるが、乾燥温度が高くなると形状は歪で、かつ多孔質になる傾向がみられた。一方、噴霧圧力が高いほど平均粒径は小さくなり、膜厚も減少した。
(2)X線回折結果からは、ケイ酸カリウム無添加の球状中空粒子はカルサイト型炭酸カルシウムの単一相であるが、ケイ酸カリウムを添加するとバテライト型の生成が認められ、添加量の増大に伴い結晶性は低下し、0.35質量%以上では非晶質となった。また、乾燥温度100および125℃ではバテライト型の生成が確認されたが、150℃以上では非晶質となった。さらに、作製した組成傾斜型球状中空粒子の圧縮強さを測定したところ、圧縮強さは13.7MPaであり、ケイ酸カリウム無添加のものと比べて50%ほど強度が向上した。

Claims (9)

  1. 無機酸アルカリ土類金属塩及びケイ酸アルカリ金属塩を含む多層殻を有する無機質中空粒子であって、
    多層殻の外層側が無機酸アルカリ土類金属塩を主成分とする層であり、内層側がケイ酸アルカリ金属塩を主成分とする層であり、外層と内層の界面が無機酸アルカリ土類金属塩とケイ酸アルカリ金属塩の一部が互いに混在している組成傾斜型を形成している無機質中空粒子。
  2. 平均粒子径が0.1〜100μmであり、嵩密度が0.02〜0.5g/cm3であり、球形度が0.85以上である請求項1記載の無機質中空粒子。
  3. 無機酸アルカリ土類金属塩が、炭酸、リン酸及び硫酸から選ばれる酸のカルシウム塩、バリウム塩又はマグネシウム塩であり、ケイ酸アルカリ金属塩が、ケイ酸のナトリウム塩、カリウム塩又はリチウム塩である請求項1又は2記載の無機質中空粒子。
  4. 無機酸アルカリ土類金属塩及びケイ酸アルカリ金属塩を含有する水溶液を噴霧乾燥することを特徴とする、無機酸アルカリ土類金属塩及びケイ酸アルカリ金属塩を含む多層殻又は複合殻を有する無機質中空粒子の製造法。
  5. 得られる無機質中空粒子が、外層に無機酸アルカリ土類金属塩を含み、内層にケイ酸アルカリ金属塩を含む多層殻を有する無機質中空粒子である請求項記載の製造法。
  6. 噴霧乾燥温度が80〜200℃である請求項又は記載の製造法。
  7. 無機質中空粒子の平均粒子径が0.1〜100μmであり、嵩密度が0.02〜0.5g/cm3であり、球形度が0.85以上である請求項4〜6のいずれか1項記載の製造法。
  8. 多層殻又は複合殻の外層側が無機酸アルカリ土類金属塩を主成分とする層であり、内層側がケイ酸アルカリ金属塩を主成分とする層である請求項5〜7のいずれか1項記載の製造法。
  9. 無機酸アルカリ土類金属塩が、炭酸、リン酸及び硫酸から選ばれる酸のカルシウム塩、バリウム塩又はマグネシウム塩であり、ケイ酸アルカリ金属塩が、ケイ酸のナトリウム塩、カリウム塩又はリチウム塩である請求項4〜8のいずれか1項記載の製造法。
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