JP6191816B2 - 高油分水中油型乳化物 - Google Patents

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本発明は、高油分水中油型乳化物に関し、さらに詳細には調理、製菓、製パン、飲料等の食品用途全般に亘って、濃厚な乳風味、コク味を付与することができ、且つ広範囲なpH、塩濃度及び/又は加熱による高温度下の条件においても安定な乳化状態が維持出来る、添加、又は混合用の高油分水中油型乳化物及びその製造法に関する。
食品全般において、水中油型乳化物はこれまで食感をまろやかにする、白く仕上げる、風味にコク味を出す等の理由で広く使用されてきた。具体的には、生クリームや牛乳をはじめとする乳製品や、油脂分を植物性油脂に置換した、いわゆる合成クリームが使用されてきた。食品に乳味やコク味を付与するという点において、生クリームが効率的で広く使用されているが、生クリームについては総油分が30〜48重量%のものがほとんどであであった。生クリームを始めとして市販されている水中油型乳化物は、油分が50重量%以下であり、総油分が総水分を下回るため、食品に多量に添加、又は混合すると相対的に食品中の水分量が多くなり、食感が悪くなったり、風味が薄くなったり、或いはコク味を付与し難い等の欠点があった。
総油分を高めたクリームとして、イギリスの伝統的なクリームであるダブルクリームやクロテッドクリームが知られている。ダブルクリームは油分が48〜51重量%であり、クロテッドクリームは油分が60〜70重量%である。これらのクリームは牛乳を原料として、加熱・濃縮することによって製造されている。牛乳を原料としている関係で油脂は乳脂肪から構成されており、価格としても高いものである。
特許文献1では、食用油脂を脂肪源とする油相と乳成分を主な水溶性成分とする水相とをポリグリセリン脂肪酸エステルとコハク酸脂肪酸エステルとを乳化剤として用いて乳化して得られる乳化物よりなり、全体が加熱殺菌されている、加熱耐性を有する料理用クリームが提案されている。
特許文献1に記載された料理用クリームの油分は30重量%であり低油分の水中油型乳化物であり、食感の濃厚感やコク味の付与に限界があった。
特許文献2では、水、油脂、糖質、乳化剤を含有してなる水中油型乳化組成物において、前記油脂の含有量が35〜75重量%、前記糖質が少なくともソルビトールを含み、その含有量が10〜50重量%、及び前記乳化剤の含有量が水相(水と乳化剤との合計量)に対して5〜25重量%であることを特徴とする高油分水中油型乳化組成物が提案されている。この提案は油分が35〜75重量%と高いものであるが、糖質を多く含み、又本願発明とは課題が異なっていた。
特許文献3では、脂肪、乳成分、乳化剤、並びにリン酸二ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム及びクエン酸ナトリウムからなる群から選択される2種以上のリン酸塩等混合物を、乳化、均質化、殺菌及び冷却することにより得られる水中油型乳化食品。さらに、酸性調理素材を添加してなる前記水中油型乳化食品が提案されているが、油分が30〜50重量%であった。
特許文献4では、一分子中にベヘン酸残基を一個以上含むトリ飽和グリセリドを油脂成分の一部として含有する油脂と蛋白質成分を含む水相及び必須の乳化剤としてリゾレシチンを含有し、総油分が総水分を上回ることを特徴とする高油分水中油型乳化物が提案されている。
しかしながら、特許文献4の乳化物では、低pHで塩濃度が高いソースに添加した場合、強い加熱条件で、乳化が破壊され油分離が起こるという問題があった。
また、先に述べた、油分が48〜51重量%のダブルクリームや、油分が60〜70重量%のクロテッドクリームでは更に、乳化の破壊程度が激しく食感が悪くなったり、色調が黄色くなり過ぎるという欠点があった。
特開平04−020256号公報 特開平06−078672号公報 特開平07−274824号公報 特開2000−093108号公報
本発明の目的は、調理、製菓、製パン、飲料の食品全般に亘って使用可能であり、濃厚な乳風味、コク味、優れた食感、口どけ、色調、ツヤを付与することができる油分が50〜72重量%の高油分水中油型乳化物であって、pHが2〜9の広範囲な食品特に酸性域の食品、塩分含有量の多い食品に添加、又は混合しても安定な乳化状態が維持出き、煮詰め工程、レトルト殺菌工程の食品製造の加熱工程や鍋加熱、オーブン加熱、電子レンジ加熱の調理時の加熱においても安定な乳化状態が維持出きる高油分水中油型乳化物及びその製造法を提供する事にある。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、油分が50〜72重量%の高油分水中油型乳化物に発酵セルロース複合体を配合することで、本願発明の目的が達成されるという知見に至ったものである。
即ち本発明の第1は、油脂、蛋白質、乳化剤及び水を含む水中油型乳化物であって、油分が50〜72重量%であり、発酵セルロース複合体を含むことを特徴とする高油分水中油型乳化物である。第2は、乳化剤としてリゾレシチン及びポリグリセリン脂肪酸エステルを含む、第1記載の高油分水中油型乳化物である。第3は、リゾレシチンが卵黄由来のものである、第2記載の高油分水中油型乳化物である。第4は、ポリグリセリン脂肪酸エステルとして、全構成脂肪酸中の80重量%以上が飽和脂肪酸であり、飽和脂肪酸としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸及びリグノセリン酸から1種以上選択されたものである、第2記載の高油分水中油型乳化物である。第5は、ポリグリセリン脂肪酸エステルとして、グリセリンの平均重合度が2〜10であり、且つ脂肪酸との平均エステル化率が5〜90%である、第2記載の高油分水中油型乳化物である。第6は、油脂中にベヘン酸を含有するトリ飽和脂肪酸グリセリドを含む、第1記載の高油分水中油型乳化物である。第7は、油脂を構成する全構成脂肪酸組成中にベヘン酸残基を2〜30重量%含む、第6記載の高油分水中油型乳化物である。第8は、油脂、蛋白質、乳化剤及び水を主要原料として、発酵セルロース複合体を混合後、油分を50〜72重量%に調整し、予備乳化、殺菌又は滅菌処理する高油分水中油型乳化物の製造法である。
本発明により、調理、製菓、製パン、飲料の食品全般に亘って使用可能であり、耐酸性、耐塩性、耐加熱性に優れ、濃厚な乳風味、コク味、優れた食感、口どけ、色調、ツヤを付与することができる油分が50〜72重量%の高油分水中油型乳化物を提供することが可能となった。
特に、酸性域の食品、塩分含有量の多い食品に添加、又は混合しても安定な乳化状態が維持出きるという点で、調理用途に好適な高油分水中油型乳化物を提供することが可能となった。
更に高油分水中油型乳化物の製造に際しては、予備乳化工程、殺菌又は滅菌工程及び冷却工程を経ても乳化状態が安定な油分が50〜72重量%の高油分水中油型乳化物を提供することが可能となった。
本発明の高油分水中油型乳化物の製造法は、油脂、蛋白質、乳化剤及び水を主要原料として、発酵セルロース複合体を混合後、油分を50〜72重量%に調整し、予備乳化、殺菌又は滅菌処理し冷却する製造法である。
油分が50〜72重量%と高いので、予備乳化工程、殺菌又は滅菌工程及び冷却工程において安定な乳化状態を得ることが一般的に難しいとされているが、本発明の製造法によってこれらの製造工程を経ても乳化状態が安定な高油分水中油型乳化物を得ることができる。
本発明の目的である高油分からすれば、油分は50〜72重量%であり、好ましくは50〜70重量%であり、更に好ましくは52〜70重量%である。油分が低すぎると食品素材に添加、又は混合した際に、効率的に乳味やコクを付与することが難くなる。油分が高すぎると、高油分水中油型乳化物の製造過程や流通、保管時に乳化状態を安定化するのが難しくなる。又、食品素材への使用に際しても安定な乳化状態の維持が難しくなる。
本発明の高油分水中油型乳化物は、調理、製菓、製パン、飲料の食品全般に亘って使用可能であり、これらの食品素材に添加、若しくは混合して、又は添加、若しくは混合後加熱処理しても、濃厚な乳風味、コク味、優れた食感、口どけ、色調、ツヤを付与することができるものである。
具体的な食品素材としては、チーズ、クリーム、ヨーグルトの乳製品類(品温5℃でpHが2〜9)、トマト、玉葱、人参、ニンニクの野菜類をミジン切り状、ペースト状、又は液状にしたもの(品温5℃でpH5〜7)が例示できる。
そして、酸性域の食品としては、レモン、リンゴ、オレンジの果実類をミジン切り状、ペースト状、又は液状にしたもの(品温5℃でpH5〜7)が例示できる。
塩分濃度の高い食品として、ホワイトソース、ブラウンソース、ベシャメルソース、モルネーソース、トマトソース、ウスターソース、カレーソース、中華スープ、醤油、コンソメ、ブイヨン、梅干しペーストの調理素材が例示できる。
そして、甘味系の食品である、カスタード、チョコレートソース、フルーツソースと言った製菓、製パン、飲料の素材にも適用することが可能である。
上記食品素材は何れもpHが2〜9の広範囲であり、塩濃度も広範囲なものである。
本発明の高油分水中油型乳化物は、これらの食品素材に添加、又は混合しても、乳化状態が安定である。
更に添加、又は混合処理後、煮詰め工程、レトルト殺菌工程、撹拌工程における食品製造工程での加熱工程、又は、鍋加熱、オーブン加熱、電子レンジ加熱の調理加熱においても容易に乳化破壊しない安定な乳化物を得ることができる。
本発明の高油分水中油型乳化物は、油脂、蛋白質、乳化剤及び水を含む水中油型乳化物であって、油分が50〜72重量%であり、発酵セルロース複合体を含む必要がある。 本発明の発酵セルロース複合体とは、発酵セルロースとカルボキシメチルセルロース又はその塩、キサンタンガム及びグァーガムから選ばれる1種又は2種以上の高分子物質とを複合化したものである。
発酵セルロースは、セルロース生産菌が生産するセルロースであればよく、特に限定されない。通常、発酵セルロースは、セルロース生産菌を既知の方法、例えば特開昭61−212295号公報、特開平3−157402号公報、特開平9−121787号公報に記載される方法に従って培養し、得られた培養物からセルロース生産菌を単離するか、または所望に応じて適宜精製することによって製造することができる。
セルロース生産菌としては、アセトバクター属、シュードモナス属、アグロバクテリウム属等に属する細菌が挙げられるが、好適にはアセトバクター属である。発酵セルロースを生産するアセトバクター属の細菌として、より具体的には、アセトバクター・パスツリアヌス株(例えば、ATCC10245等)、アセトバクター・エスピーDA株(例えば、FERMP−12924等)、アセトバクター・キシリナム株(例えば、ATCC23768、ATCC23769、ATCC10821、ATCC1306−21等)を挙げることができる。好ましくは、アセトバクター・キシリナム株である。
発酵セルロース複合体は、商業上入手可能であり、例えば三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製のサンアーティスト[登録商標]PN(キサンタンガムおよびCMCのナトリウム塩と発酵セルロースとの複合体の製剤)、サンアーティスト[登録商標]PG(グァーガムおよびCMCのナトリウム塩と発酵セルロースとの複合体の製剤)などを挙げることができる。
発酵セルロース複合体は、水中油型乳化物全体に対して、0.05〜0.7重量%、好ましくは0.1〜0.7重量%、更に好ましくは0.1〜0.6重量%配合することにより、水中油型乳化物の乳化状態を安定に保つことができる。
配合量が少なすぎると水中油型乳化物の乳化状態を安定に保つ効果は不十分となる。配合量が多すぎると、粘度が高くなりすぎたり、セルロース特有のザラついた食感を感じやすくなる。
本発明においては、乳化剤としてリゾレシチン及びポリグリセリン脂肪酸エステルを含むのが好ましい。
リゾレシチンは大豆や鶏卵等を原料とし、これらから抽出したレシチンを酵素処理または化学的処理して得られるが、かかるリゾレシチンを使用することにより、高油分水中油型乳化物の製造時のみならず、各種食品に適用した場合の乳化力をも強力に保持することができる。リゾレシチンは水中油型乳化物全体に対して、0.05〜0.5重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜0.5重量%であり、更に好ましくは0.1〜0.4重量%である。
配合量が少なすぎると水中油型乳化物の乳化状態を安定に保つ効果は不十分となる。
配合量が多すぎると、特有の風味や刺激臭を感じやすくなり、また色調も黄色くなりすぎる。
本発明においては、リゾレシチンの中でも卵黄由来のものが、水中油型乳化物の乳化状態を安定に保ち且つ風味にコクを付与できるという点で好ましい。
本発明の卵黄リゾレシチンとは卵黄レシチンをフォスフォリパーゼやリパーゼ等の酵素で処理したものであって、リン脂質のグリセロールの1位または2位に結合している脂肪酸1分子がとれたものであり、具体的には、リゾレシチン(リゾホスファチジルコリン)、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルセリン、リゾホスファチジルグリセロール、リゾホスファチジルイノシトール、リゾホスファチジン酸などを挙げることができる。これらは単独で、あるいはこれらの混合形態で、あるいはまた、これらを主成分とする形態で配合しうる。実際には、卵黄リゾレシチンとして市販されている、例えば、「卵黄レシチンLPL20S」(キューピー株式会社製:リゾレシチン20重量%含有品:リゾレシチンの組成はリゾホスファチジルコリン80%、リゾホスファチジルエタノールアミン20%)が好ましく用いられるが、これに限定されるものではない。
本発明のポリグリセリン飽和脂肪酸エステルはポリグリセリンと飽和脂肪酸がエステル化したものであり、飽和脂肪酸がカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸及びリグノセリン酸から1種以上選択されたものであり、好ましくはミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸及びベヘン酸から1種以上選択されたものであり、更に好ましくはパルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸及びベヘン酸から1種以上選択されたものであり、最も好ましくはパルミチン酸、ステアリン酸及びアラキジン酸から1種以上選択されたものである。
そして、本発明のポリグリセリン飽和脂肪酸エステルは全構成脂肪酸中の80重量%以上が飽和脂肪酸であるのが好ましく、より好ましくは90重量%以上が飽和脂肪酸であり、更に好ましくは95重量%以上が飽和脂肪酸である。
本発明のポリグリセリン飽和脂肪酸エステルはグリセリンの平均重合度が2〜10であるのが好ましく、グリセリン重合度が低すぎると水中油型乳化物の乳化状態を安定に保つことが難しくなる。グリセリン重合度が高すぎると水中油型乳化物に雑味を感じやすくなる。
本発明のポリグリセリン飽和脂肪酸エステルはポリグリセリンと飽和脂肪酸との平均エステル化率が5〜90%であるのが好ましく、より好ましくは5%〜85%である。平均エステル化率が低すぎると水中油型乳化物の乳化状態を安定に保つことが難しくなる。平均エステル化率が高すぎると水中油型乳化物の粘度が高くなり、食品に添加又は混合する際の作業性が悪くなる。
ポリグリセリン飽和脂肪酸エステルは水中油型乳化物全体に対して、0.05〜3.0重量%、好ましくは0.1〜3.0重量%、更に好ましくは0.1〜2.5重量%である。 配合量が少なすぎると水中油型乳化物の乳化状態を安定に保つことが難しくなる。配合量が多すぎると、水中油型乳化物に特有の雑味を感じやすくなる。
本願発明のリゾレシチン、ポリグリセリン飽和脂肪酸エステル以外の乳化剤として水中油型乳化物を調製する際に通常使用する乳化剤を適宜選択使用することが出来る。例えば、モノグリセリド、有機酸モノグリセリド、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等の合成乳化剤が例示でき、これらの乳化剤の中から1種又は2種以上を選択して適宜使用することが出来、好ましくは有機酸モノグリセリド、ショ糖脂肪酸エステルを適宜使用することが出来る。
本発明の高油分水中油型乳化物に使用する油脂としては、動植物性油脂及びそれらの硬化油脂の単独又は2種以上の混合物或いはこれらのものに種々の化学処理又は物理処理を施した油脂が例示できる。かかる原料油脂としては、大豆油、綿実油、コーン油、サフラワー油、オリーブ油、パーム油、菜種油、米ぬか油、ゴマ油、カポック油、ヤシ油、パーム核油、乳脂、ラード、魚油、鯨油等の各種の動植物油脂及びそれらの硬化油、分別油、エステル交換油等の加工油脂が例示できる。好ましくは風味、健康の点で大豆油、綿実油、コーン油、サフラワー油、オリーブ油、パーム油、菜種油、米ぬか油、ヤシ油、パーム核油、乳脂が例示できる。
本発明においては油脂成分として、油脂中にベヘン酸を含有するトリ飽和脂肪酸グリセリドを含むのが好ましく、更に油脂を構成する全構成脂肪酸組成中にベヘン酸残基を2〜30重量%含むのが好ましい。
当該油脂を使用することによって、水中油型乳化物の乳化状態を安定に保つことが出来る。特に加熱した際の乳化破壊を抑えることが出来る。
ベヘン酸を含有するトリ飽和脂肪酸グリセリドを含む油脂としては、例えばエルシン酸を含む油脂を水素添加により通常沃素価1以下、融点60℃以上にすることにより得ることができる。(不飽和のエルシン酸を硬化すれば、飽和のベヘン酸を得ることができる。)エルシン酸を30%以上含む油脂としては高エルシン酸の菜種油、からし油、クランベ油、うぜんばれん種子油等が挙げられるが、容易に入手可能な高エルシン酸の菜種油が好ましい。またトリ飽和脂肪酸グリセリドとはトリグリセリドの構成脂肪酸が全て飽和脂肪酸よりなるトリグリセリドである。
本発明においては油脂成分として、油相中の10重量%以上、より好ましくは40重量%以上、更に好ましくは40〜80重量%に乳脂を含むのが好ましい。乳脂肪を含む高油分水中油型乳化物は乳味を与える点で好ましい。
本発明での乳脂は、牛乳、生クリーム、バター等の乳由来の乳脂はもちろんのこと、これらの原料を加工処理して得られるバターオイルも含むのもである。
本発明の高油分水中油型乳化物は、油脂、蛋白質、乳化剤及び水を含む水中油型乳化物であって、蛋白質としては、乳蛋白質、卵蛋白質、大豆蛋白質が挙げられ、好ましくは乳蛋白質であり、更に好ましくは無脂乳固形分由来の蛋白質である。
具体的には、生乳、牛乳、脱脂乳、生クリーム、濃縮乳、無糖練乳、加糖練乳、全脂粉乳、脱脂粉乳、バターミルクパウダー、ホエー蛋白、酸カゼイン、レンネットカゼイン、若しくはカゼインナトリウム、カゼインカルシウム、カゼインカリウム等のカゼイン類、またはトータルミルクプロテイン乳由来の蛋白質が例示できる。卵蛋白質としては、液状あるいは乾燥された卵黄、卵白、全卵及びこれらより分離される単一(単純)蛋白質、例えばオボアルブミン、コンアルブミン、オボムコイド、オボグロブリン等がある。大豆蛋白質としては、豆乳、脱脂大豆粉、濃縮大豆蛋白、分離大豆蛋白、脱脂豆乳粉末、大豆蛋白加水分解物等がある。
無脂乳固形分由来の蛋白質としては生乳、牛乳、脱脂乳、生クリーム、濃縮乳、無糖練乳、加糖練乳、全脂粉乳、脱脂粉乳、バターミルクパウダー、ホエー蛋白が例示できる。 蛋白質の使用量は0.3〜5重量%が好ましく、より好ましくは0.3〜4重量%であり、更に好ましくは0.5〜3重量%である。蛋白質が少なすぎると水中油型乳化物の乳化安定性が悪くなる。蛋白質が多すぎると殺菌工程で風味劣化を起こりやすくなる。
そして、無脂乳固形分の場合の使用量は0.5〜10重量%が好ましく、より好ましくは1〜8重量%であり、更に好ましくは2〜8重量%となる。
本発明の高油分水中油型乳化物については、発酵セルロース複合体以外の多糖類を使用するのが好ましく、ジェランガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、プルラン、グァーガム、サイリウムシードガム、水溶性大豆多糖類、カラギーナン、タマリンド種子ガム及びタラガムから選択される1種又は2種以上の多糖類が好ましく、更にジェランガム、キサンタンガム、プルラン、グァーガム、サイリウムシードガム、水溶性大豆多糖類、カラギーナン及びタマリンド種子ガムから選択される1種又は2種以上の多糖類が好ましい。
本発明の高油分水中油型乳化物については、各種塩類を使用するのが好ましく、ヘキサメタリン酸塩、第2リン酸塩、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸塩、重曹等を単独又は2種以上混合使用することが好ましい。
本発明の本発明の高油分水中油型乳化物の製造法は、油脂、蛋白質、乳化剤及び水を主要原料として、発酵セルロース複合体を混合後、油分を50〜72重量%に調整し、予備乳化、殺菌又は滅菌処理し冷却する製造法である。
乳化物の保存性の点で滅菌処理することが好ましい。
滅菌処理には、間接加熱方式と直接加熱方式の2種類があり、間接加熱処理する装置としてはAPVプレート式UHT処理装置(APV株式会社製)、CP−UHT滅菌装置(クリマティー・パッケージ株式会社製)、ストルク・チューブラー型滅菌装置(ストルク株式会社製)、コンサーム掻取式UHT滅菌装置(テトラパック・アルファラベル株式会社製)等が例示できるが、特にこれらにこだわるものではない。また、直接加熱式滅菌装置としては、超高温滅菌装置(岩井機械工業(株)製)、ユーペリゼーション滅菌装置(テトラパック・アルファラバル株式会社製)、VTIS滅菌装置(テトラパック・アルファラバル株式会社製)、ラギアーUHT滅菌装置(ラギアー株式会社製)、パラリゼーター(パッシュ・アンド・シルケーボーグ株式会社製)等のUHT滅菌装置が例示でき、これらの何れの装置を使用してもよい。
以下に本発明の実施例を示し本発明をより詳細に説明するが、本発明の精神は以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中、%及び部は、いずれも重量基準を意味する。また、結果については以下の方法で評価した。
A 水中油型乳化物の評価方法
(1)粘度: 粘度の測定は、品温5℃でB型粘度計(VISCOMETER TV−10、TOKI SANGYO CO,LTD製)にて、3号ローター、60rpmで測定を開始し、30秒後の粘度を測定結果とした。
(2)風味の評価: 20人のパネラーに、風味評価の指標として、乳脂肪分60重量%のクロテッドクリーム(高梨乳業株式会社製)を用いて、品温5℃の水中油型乳化物2gを直食してもらい以下の基準で評価し、平均を算出した。
◎乳のコクを非常に強く感じる。
○乳のコクを強く感じる。
△乳のコクを感じるが不十分。
×乳味を感じるがコクが不十分。
(3)モルネーソースを用いたテスト
モルネーソースの配合を表1に示した。
Figure 0006191816


モルネーソースは以下の方法で調製し評価した。
薄力粉7部、バター4部、牛乳20部、ブイヨン20部、パルメザンチーズ2部、塩1部、水26部をフードプロセッサー(MK−Z40、パナソニック株式会社製)にて2分間撹拌して品温20℃のモルネーソース原体を得た。これを容量3L、ステンレス製の鍋に入れ、ガスコンロを用いて弱火にて撹拌しながら加熱する。3分後、80℃に達温したところで水中油型乳化物を添加し、撹拌しながら弱火にて加熱する。90℃に達温した時点で加熱を止めモルネーソースを得た。水中油型乳化物を添加してから90℃に達温するまでの時間を測定し、これを作業時間の指標とした。
得られたモルネーソースの、油分離状態と色調を以下の基準で評価した。
得られたモルネーソースは品温20℃においてpH5〜5.5であった。また塩分濃度は1.5%であった。
・油分離状態
◎:油分離は全く見られない。
○:鍋の淵近辺で少量の油分離が起き始めている。
△:鍋の淵近辺で油分離が起こっている。
×:鍋の淵近辺で多量の油分離が起こっている。
××:鍋淵近辺だけでなく、中心部付近においても多量の油分離が起こっている。
・色調
◎白さが保たれており良好。
○若干黄色みがある。
△黄色みが強くなっている。
×黄色みが強すぎ、食欲をそがれる。
(4)レトルト耐性のテスト
容量100mlのレトルトパック(株式会社生産日本社製 ラミジップスタンドタイプLZ−10)に水中油型乳化物を水で3倍希釈したものを加え、レトルト殺菌釜(HISAKA WORKS,LTD製 第一種圧力容器 TYPE RCS−40RTGN)にて121℃、30分の条件でレトルト殺菌を行い、1週間20℃にて静置した。凝集物の有無、分離状態、褐変度合について以下の基準で評価した。
・凝集物の有無
○凝集物は全く見られない。
△若干の凝集物が見られる。
×凝集物が多い
・分離状態
○分離は全く見られない。
△若干の分離が見られる。
×分離が激しい。
・褐変度合
○褐変が少なく白さを保っている。
△褐変し若干変色している。
×褐変し激しく変色している。
(5)耐酸性のテスト
容量100mlのプラスチック製容器に、水中油型乳化物を水で3倍希釈したものを60g加え、クエン酸10%水溶液を6g添加し撹拌した後、20℃にて24時間静置した。分離度合について以下の基準で評価した。pHはすべて3.0であった。
・凝集物の有無
○凝集物は全く見られない。
△若干の凝集物が見られる。
×凝集物が多い
・分離状態
○分離は全く見られない。
△容器の底付近で若干の分離が見られる。
×完全に二層に分離している。
(6)耐塩性のテスト
容量100mlのプラスチック製容器に、水中油型乳化物を水で3倍希釈したものを60g加え、食塩を12g添加し撹拌した後、20℃にて24時間静置した。分離度合について以下の基準で評価した。
・凝集物の有無
○凝集物は全く見られない。
△若干の凝集物が見られる。
×凝集物が多い
・分離状態
○分離は全く見られない。
△容器の底付近で若干の分離が見られる。
×完全に二層に分離している。
(油相の融点)
融点の測定法は、日本油化学協会基準油脂分析試験法(1996年版)2.2.4.2融点(上昇融点)に規定の方法に準じて測定した。
本願発明の実施例及び比較例を次に示すが、これらに使用した主な原材料は以下の通りである。
菜種硬化油:融点61℃(構成脂肪酸中のベヘン酸含量45重量%)
パーム油 :融点31℃
卵黄リゾレシチン:卵黄レシチンLPL−20S、キユーピー(株)製
デカグリセリンモノステアレート:SYグリスターMSW−7S、HLB値=13.4、阪本薬品工業(株)製
テトラグリセリンモノステアレート:SYグリスターMS−3S、HLB値=8.4、阪本薬品工業(株)製
テトラグリセリンペンタステアレート:SYグリスターPS−3S、HLB値=2.6、阪本薬品工業(株)製
ジグリセリンモノステアレート:ポエムDS100A、HLB値=8.0、理研ビタミン(株)製
クエン酸三ナトリウム:クエン酸三ナトリウム(結晶)、磐田化学工業(株)製
発酵セルロース複合体:サンアーティストPG、三栄源エフ・エフ・アイ(株)製
実施例1
60L容の撹拌機付き円筒堅型三重式タンクに、70℃の水39.3部を投入し、撹拌しながら、脱脂粉乳3部、卵黄リゾレシチン1部、クエン酸三ナトリウム0.5部、発酵セルロース複合体0.2部、デカグリセリンモノステアレート1部を添加し、分散・溶解し水相とする。これとは別に菜種硬化油6部、パーム油24部、バターオイル25部を80℃に加温し、油相とする。水相と油相を混合し75℃で15分間、撹拌し予備乳化した後、148℃において6秒の直接加熱方式による滅菌処理を行った。その後、15MPa の均質化圧力で均質化して、直ちに10℃に冷却した。冷却後約24時間エージングして、実施例1に基づく高油分水中油型乳化物を得た。得られた高油分水中油型乳化物を評価法に従って評価し結果を表2に纏めた。
実施例2
実施例1のデカグリセリンモノステアレート1部をテトラグリセリンモノステアレート1部に代えた以外は実施例1と同様な処理を行い、実施例2に基づく高油分水中油型乳化物を得た。得られた高油分水中油型乳化物を評価法に従って評価し結果を表2に纏めた。
実施例3
実施例1の水39.3部を44.3部、パーム油24部を19部に代えた以外は実施例1と同様な処理を行い、実施例3に基づく高油分水中油型乳化物を得た。得られた高油分水中油型乳化物を評価法に従って評価し結果を表2に纏めた。
参考例1
参考例として、市販品の乳脂肪分47%の生クリーム(よつば乳業株式会社製)を評価法に従って評価し結果を表2に纏めた。
実施例1〜実施例3及び参考例1の内容と評価結果を表2に纏めた。
Figure 0006191816
実施例4
実施例1の菜種硬化油6部を除き、パーム油24部を30部に代えた以外は実施例1と同様な処理を行い、実施例4に基づく高油分水中油型乳化物を得た。得られた高油分水中油型乳化物を評価法に従って評価し結果を表3に纏めた。
実施例5
実施例1の菜種硬化油6部を除き、パーム油24部を30部に、デカグリセリンモノステアレート1部をテトラグリセリンモノステアレート1部に代えた以外は実施例1と同様な処理を行い、実施例5に基づく高油分水中油型乳化物を得た。得られた高油分水中油型乳化物を評価法に従って評価し結果を表3に纏めた。
実施例6
実施例1の菜種硬化油6部を除き、パーム油24部を25部に、水39.3部を44.3部に代えた以外は実施例1と同様な処理を行い、実施例6に基づく高油分水中油型乳化物を得た。得られた高油分水中油型乳化物を評価法に従って評価し結果を表3に纏めた。
実施例7
実施例1の菜種硬化油6部を除き、パーム油24部を30部に、卵黄リゾレシチン1部を2部に、水39.3部を38.3部に代えた以外は実施例1と同様な処理を行い、実施例7に基づく高油分水中油型乳化物を得た。得られた高油分水中油型乳化物を評価法に従って評価し結果を表3に纏めた。
実施例4〜実施例7の内容と評価結果を表3に纏めた。
Figure 0006191816
比較例1
実施例1のパーム油24部を14部に、水39.3部を49.3部に代えた以外は実施例1と同様な処理を行い、比較例1に基づく高油分水中油型乳化物を得た。得られた高油分水中油型乳化物を評価法に従って評価し結果を表4に纏めた。
比較例2
60L容の撹拌機付き円筒堅型三重式タンクに、70℃の水19.3部を投入し、撹拌しながら、脱脂粉乳3部、卵黄リゾレシチン1部、クエン酸三ナトリウム0.5部、発酵セルロース複合体0.2部、デカグリセリンモノステアレート1部を添加し、分散・溶解し水相とする。これとは別に菜種硬化油6部、パーム油44部、バターオイル25部を80℃に加温し、油相とする。水相と油相を混合し75℃で15分間、撹拌混合したところ、調合液が転相し油中水型乳化物となり、粘度は測定不能であった。結果を表4に纏めた。
比較例3
実施例1の発酵セルロース複合体を除き、水39.3部を39.5部に代えた以外は実施例1と同様な処理を行い、比較例3に基づく高油分水中油型乳化物を得た。得られた高油分水中油型乳化物を評価法に従って評価し結果を表4に纏めた。
参考例2
参考例として、市販品の乳脂肪分60重量%のクロテッドクリーム(高梨乳業株式会社製)を評価法に従って評価し結果を表4に纏めた。
比較例1〜比較例3及び参考例2の内容と評価結果を表4に纏めた。
Figure 0006191816
実施例8
実施例1のパーム油24部を39部に、水39.3部を24.3部に代えた以外は実施例1と同様な処理を行い、実施例8に基づく高油分水中油型乳化物を得た。得られた高油分水中油型乳化物を評価法に従って評価し結果を表5に纏めた。
実施例9
実施例1のデカグリセリンモノステアレート1部をジグリセリンモノステアレート1部に代えた以外は実施例1と同様な処理を行い、実施例9に基づく高油分水中油型乳化物を得た。得られた高油分水中油型乳化物を評価法に従って評価し結果を表5に纏めた。
実施例10
実施例1のデカグリセリンモノステアレート1部をテトラグリセリンペンタステアレート1部に代えた以外は実施例1と同様な処理を行い、実施例10に基づく高油分水中油型乳化物を得た。得られた高油分水中油型乳化物を評価法に従って評価し結果を表5に纏めた。
実施例11
実施例1のバターオイル25部をパームに代えて、パーム油を49部とし、それ以外は実施例1と同様な処理を行い、実施例11に基づく高油分水中油型乳化物を得た。得られた高油分水中油型乳化物を評価法に従って評価し結果を表5に纏めた。
実施例8〜実施例11の内容と評価結果を表5に纏めた。
Figure 0006191816
実施例12
容量100mlのレトルトパック(株式会社生産日本社製 ラミジップスタンドタイプLZ−10)に実施例1で得た高油分水中油型乳化物を水で3倍希釈したものを加え、レトルト殺菌釜(HISAKA WORKS,LTD製 第一種圧力容器 TYPE RCS−40RTGN)にて121℃、30分の条件でレトルト殺菌を行い、1週間20℃にて静置した。凝集物の有無、分離状態、褐変度合について評価法に基づき評価し結果を表6に纏めた。
実施例13
実施例1で得た高油分水中油型乳化物を実施例8で得た高油分水中油型乳化物に代えた以外は実施例12と同様な処理を行い、凝集物の有無、分離状態、褐変度合について評価法に基づき評価し結果を表6に纏めた。
参考例3
実施例1で得た高油分水中油型乳化物を参考例1の生クリームに代えた以外は実施例12と同様な処理を行い、凝集物の有無、分離状態、褐変度合について評価法に基づき評価し結果を表6に纏めた。
参考例4
実施例1で得た高油分水中油型乳化物を参考例2のクロテッドクリームに代えた以外は実施例12と同様な処理を行い、凝集物の有無、分離状態、褐変度合について評価法に基づき評価し結果を表6に纏めた。
実施例12、実施例13、参考例3及び参考例4の内容と評価結果を表6に纏めた。
Figure 0006191816
実施例14
容量100mlのプラスチック製容器に、実施例1で得た高油分水中油型乳化物を水で3倍希釈したものを60g加え、クエン酸10%水溶液を6g添加し撹拌した後、20℃にて24時間静置した。凝集物の有無、分離度合について評価法に基づき評価し結果を表7に纏めた。
実施例15
実施例1で得た高油分水中油型乳化物を実施例8で得た高油分水中油型乳化物に代えた以外は実施例14と同様な処理を行い、凝集物の有無、分離状態について評価法に基づき評価し結果を表7に纏めた。
参考例5
実施例1で得た高油分水中油型乳化物を参考例1の生クリームに代えた以外は実施例14と同様な処理を行い、凝集物の有無、分離状態について評価法に基づき評価し結果を表7に纏めた。
参考例6
実施例1で得た高油分水中油型乳化物を参考例2のクロテッドクリームに代えた以外は実施例14と同様な処理を行い、凝集物の有無、分離状態について評価法に基づき評価し結果を表7に纏めた。
実施例14、実施例15、参考例5及び参考例6の内容と評価結果を表7に纏めた。
Figure 0006191816
実施例16
容量100mlのプラスチック製容器に、実施例1で得た高油分水中油型乳化物を水で3倍希釈したものを60g加え、食塩を12g添加し撹拌した後、20℃にて24時間静置した。凝集物の有無、分離度合について評価法に基づき評価し結果を表8に纏めた。
実施例17
実施例1で得た高油分水中油型乳化物を実施例8で得た高油分水中油型乳化物に代えた以外は実施例16と同様な処理を行い、凝集物の有無、分離状態について評価法に基づき評価し結果を表8に纏めた。
参考例7
実施例1で得た高油分水中油型乳化物を参考例1の生クリームに代えた以外は実施例16と同様な処理を行い、凝集物の有無、分離状態について評価法に基づき評価し結果を表8に纏めた。
参考例8
実施例1で得た高油分水中油型乳化物を参考例2のクロテッドクリームに代えた以外は実施例16と同様な処理を行い、凝集物の有無、分離状態について評価法に基づき評価し結果を表8に纏めた。
実施例16、実施例17、参考例7及び参考例8の内容と評価結果を表8に纏めた。
Figure 0006191816
本発明は、高油分水中油型乳化物に関し、さらに詳細には調理、製菓、製パン、飲料等の食品用途全般に亘って、濃厚な乳風味、コク味を付与することができ、且つ広範囲なpH、塩濃度及び/又は加熱による高温度下の条件においても安定な乳化状態が維持出来る高油分水中油型乳化物及びその製造法に関する。

Claims (6)

  1. 油脂、蛋白質、乳化剤及び水を含む水中油型乳化物であって、油分が50〜72重量%であり、発酵セルロース複合体を含み、乳化剤としてリゾレシチン並びに全構成脂肪酸中の80重量%以上が飽和脂肪酸であり、飽和脂肪酸としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸及びリグノセリン酸から1種以上選択されたものであるポリグリセリン脂肪酸エステルを含む、ことを特徴とする高油分水中油型乳化物。
  2. リゾレシチンが卵黄由来のものである、請求項1記載の高油分水中油型乳化物。
  3. ポリグリセリン脂肪酸エステルとして、グリセリンの平均重合度が2〜10であり、且つ脂肪酸との平均エステル化率が5〜90%である、請求項1記載の高油分水中油型乳化物。
  4. 油脂中にベヘン酸を含有するトリ飽和脂肪酸グリセリドを含む、請求項1記載の高油分水中油型乳化物
  5. 油脂を構成する全構成脂肪酸組成中にベヘン酸残基を2〜30重量%含む、請求項4記載の高油分水中油型乳化物。
  6. 油脂、蛋白質、乳化剤及び水を主要原料として、発酵セルロース複合体、乳化剤としてリゾレシチン並びに全構成脂肪酸中の80重量%以上が飽和脂肪酸であり、飽和脂肪酸としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸及びリグノセリン酸から1種以上選択されたものであるポリグリセリン脂肪酸エステルを混合後、油分を50〜72重量%に調整し、予備乳化、殺菌又は滅菌処理する高油分水中油型乳化物の製造法。
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