JP6191029B2 - 筒外燃焼モニタ用センサ - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、エンジンの気筒における筒内圧センサから得られる筒内圧信号のレベルに基づいてエンジンを制御するエンジン制御装置であって、所定クランク角またはクランク角期間に対応する筒内圧信号の特定サンプル値に応じた基準値を設定する基準値設定手段と、基準値と筒内圧信号のサンプル値との差に応じた値を筒内圧信号のレベルとする読取手段と、を有する制御装置が開示されている。
また、例えば非特許文献1には、シリンダヘッドの点火プラグ取り付け面とその点火プラグ座金部との間に挟み込また、点火プラグワッシャー型筒内圧センサを用いた点火時期制御システムが開示されている。
また、出力端子部を有し、調節部が出力端子部であり、内燃機関に取り付ける際に、測定主軸周りの周方向における出力端子部の位置を変更することにより、センサ部の横感度による出力信号への影響を調節するので、特別な部品を追加することなく、センサ部の出力端子部を利用して低コストかつ容易に調節することができる。
また、出力端子部を有し、調節部が出力端子部であり、内燃機関に取り付ける際に、測定主軸周りの周方向における出力端子部の位置を変更することにより、センサ部の横感度による出力信号への影響を調節するので、特別な部品を追加することなく、センサ部の出力端子部を利用して低コストかつ容易に調節することができる。
以下、本発明の第一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、第一実施形態に係る筒外燃焼モニタ用センサ50が装着されたエンジン2(請求項の「内燃機関」に相当。)を示すブロック図である。
エンジン2は、エンジン制御装置1(以下、「ECU1」)という)によって制御される。ECU1は、データを受け入れる入力インターフェース1aと、エンジン2の制御を行うための演算を実行するCPU1bと、読み取り専用メモリ(ROM)およびランダムアクセスメモリ(RAM)を有するメモリ1cと、制御信号を送る出力インターフェース1dと、を備えている。メモリ1cのROMには、エンジン2の制御を行うためのプログラムおよび各種のデータが格納されている。エンジン2を制御するためのプログラムは、該ROMに格納される。ROMは、EPROMのような書き換え可能なROMでもよい。RAMには、CPU1bによる演算のための作業領域が設けられる。エンジン2を制御するために送り出す制御信号は、RAMに一時的に記憶される。
CRK信号は、所定のクランク角(例えば15度)で出力されるパルス信号である。ECU1は、CRK信号に応じ、エンジン2におけるクランクシャフト11の回転数NEを算出する。
上述のように構成されたエンジン2のシリンダ8の外部には、エンジン2の燃焼状態を検知するための筒外燃焼モニタ用センサ50が取り付けられている。筒外燃焼モニタ用センサ50は、例えば加速度センサが採用される。
図2に示すように、本実施形態の筒外燃焼モニタ用センサ50は、シリンダブロック34の外面であって、吸気管4の下方かつエンジン2の幅方向における中間部(すなわち2番シリンダと3番シリンダとの間)に取り付けられている。筒外燃焼モニタ用センサ50には、ECU1(図1参照)から延設されたハーネス13が接続されている。これにより、筒外燃焼モニタ用センサ50は、ECU1とハーネス13を介して互いに電気的に接続されるので、ECU1に対して出力信号を送ることができる。
図3に示すように、筒外燃焼モニタ用センサ50は、センサ部51と、本体部53と、出力端子部58と、ボルト60と、により構成されている。
センサ部51は、リング状に形成された部材であり、筒外燃焼モニタ用センサ50に入力される振動を電圧に変換可能な圧電効果を利用した受動素子であって、例えば半導体圧電素子が採用される。
センサ部51は、その中心軸と同軸に測定主軸Oを有しており、例えば測定主軸Oに沿う振動を検知して出力信号を出力する。また、センサ部51は、測定主軸Oと交差する方向の振動を検知する、いわゆる横感度を有している。横感度の詳細については後述する。
なお、センサ部51は、半導体圧電素子に限定されることはなく、例えば圧電セラミックス等であってもよい。また、センサ部51は、筒外燃焼モニタ用センサ50に入力される振動や加速度、荷重等に対応して出力信号を出力できればよく、例えば歪みゲージ等であってもよい。
また、センサ部51のシリンダブロック34への取付方法は、上述のボルト60による締結固定に限定されることはなく、例えば接着剤を用いて接着固定してもよい。また、例えば、点火プラグにセンサ部51を埋め込んだ埋め込み型センサとし、シリンダヘッド35ごとセンサ部51をシリンダブロック34に固定してもよい。
なお、調節部70は、複数の手法で出力信号への影響を調節しても良い。
例えば、図4のグラフにおける振幅比について、筒外燃焼モニタ用センサ50をX方向およびY方向へ加振した場合、いずれの場合も測定主軸Oとは異なる方向の振動が入力されているため、本来振幅比の出力信号は0となるはずである。しかしながら、筒外燃焼モニタ用センサ50をX方向およびY方向へ加振した場合のそれぞれの振幅比の出力信号は、0とはなっていない。特に、周波数帯域が、50Hzの近傍にあっては、Y方向へ加振した場合の振幅比の出力信号は、Z方向へ加振した場合の振幅比の出力信号とほぼ同一となっている。
このように、図4のグラフによれば、筒外燃焼モニタ用センサ50は、センサ部51が横感度を有しており、本来検知できないはずの測定主軸Oと交差するX方向およびY方向の振動を検知していることが明らかである。これは、ボルト60の頭部63の慣性質量により、X方向およびY方向の振動が入力された場合であっても、測定主軸Oに沿うZ方向の振動が発生するためと考えられる。
以下の条件のもと、ボルト60の頭部63の軸長Lを変更して頭部63の慣性質量を変更した時の、センサ部51の出力波形の変化を検証した。
(1)測定対象のエンジン2
直列4気筒のエンジン2を使用した。
(2)筒外燃焼モニタ用センサ50の取り付け位置
シリンダブロック34の外面であって、吸気管4の下方かつエンジン2の幅方向における中間部(すなわち2番シリンダと3番シリンダとの間)に取り付けた。
(3)回転数
エンジン2の回転数NEは、1500rpmであった。
(4)ボルト60
呼び径がM12のフランジボルトを使用した。ボルト60のシリンダブロック34への締結トルクは、25N・mとした。また、ボルト60のフランジ部61と筒外燃焼モニタ用センサ50の本体部53との間にワッシャ(図2および図3において不図示)を介して、筒外燃焼モニタ用センサ50の本体部53をボルト60によりシリンダブロック34へ締結固定した。
[比較例]
ボルト60の頭部63の軸長L=15mmとした。このときのボルト60の頭部63、フランジ部61およびワッシャの合計の慣性質量M=44.0gであった。
[実施例1]
ボルト60の頭部63を切削加工することにより、ボルト60の頭部63の軸長L=11mmとした。このときのボルト60の頭部63、フランジ部61およびワッシャの合計の慣性質量M=36.3gであった。
[実施例2]
ボルト60の頭部63を切削加工することにより、ボルト60の頭部63の軸長L=7mmとした。このときのボルト60の頭部63、フランジ部61およびワッシャの合計の慣性質量M=28.7gであった。
なお、比較例、実施例1および実施例2の慣性質量Mは、実測値ではなく計算値となっている。
図5は、ボルト60の頭部63の軸長L=15mmとした比較例に係るセンサ部51の出力波形の変化を表すグラフであり、図5(a)は、ローパスフィルタを介さないときのセンサ部51の出力波形であり、図5(b)は、1kHzのローパスフィルタを介したときのセンサ部51の出力波形である。
図6は、ボルト60の頭部63の軸長L=11mmとした実施例1に係るセンサ部51の出力波形の変化を表すグラフであり、図6(a)は、ローパスフィルタを介さないときのセンサ部51の出力波形であり、図6(b)は、1kHzのローパスフィルタを介したときのセンサ部51の出力波形である。
図7は、ボルト60の頭部63の軸長L=7mmとした実施例2に係るセンサ部51の出力波形の変化を表すグラフであり、図7(a)は、ローパスフィルタを介さないときのセンサ部51の出力波形であり、図7(b)は、1kHzのローパスフィルタを介したときのセンサ部51の出力波形である。
なお、図5から図7のグラフは、いずれも縦軸が出力信号の電圧(V)となっており、横軸がクランク角(deg)となっている。また、図5から図7における#1〜#4は、それぞれシリンダ8の番数に対応している。
また、図5(b)、図6(b)および図7(b)を比較するとわかるように、ボルト60の頭部63の軸長Lが短くなるにつれて、3番シリンダおよび2番シリンダ相当の振動に対応する出力信号の電圧降下がとりわけ大きくなっている。
このように、ボルト60の頭部63の軸長L(すなわち慣性質量)を変更することにより、センサ部51の横感度による出力信号への影響度合いが変化し、異なる特性を有する出力信号が得られる。すなわち、ボルト60の頭部63は、センサ部51の横感度による出力信号への影響を調節する調節部70として機能している。
続いて、本発明の第二実施形態について、図面を参照して説明する。
第一実施形態では、筒外燃焼モニタ用センサ50のボルト60の頭部63が調節部70として機能していた。
これに対して、第二実施形態では、測定主軸O周りの周方向における出力端子部58の位置を変更することにより、筒外燃焼モニタ用センサ50の出力端子部58が調節部70として機能する点で、第一実施形態とは異なっている。なお、以下では、第一実施形態と同一の構成については、説明を省略している。
[実施例1]
測定主軸O周りの周方向における出力端子部58の位置を変更し、出力端子部58が上方を指向した状態で、筒外燃焼モニタ用センサ50をシリンダブロック34へ取り付けた(図8(a)参照)。
[実施例2]
測定主軸O周りの周方向における出力端子部58の位置を変更し、出力端子部58が下方を指向した状態で、筒外燃焼モニタ用センサ50をシリンダブロック34へ取り付けた(図8(b)参照)。
[実施例3]
測定主軸O周りの周方向における出力端子部58の位置を変更し、出力端子部58が左方を指向した状態で、筒外燃焼モニタ用センサ50をシリンダブロック34へ取り付けた(図8(c)参照)。
[実施例4]
測定主軸O周りの周方向における出力端子部58の位置を変更し、出力端子部58が右方を指向した状態で、筒外燃焼モニタ用センサ50をシリンダブロック34へ取り付けた(図8(d)参照)。
図9は、出力端子部58が上方を指向した実施例1に係るセンサ部51の出力波形の変化を表すグラフであり、図9(a)は、ローパスフィルタを介さないときのセンサ部51の出力波形であり、図9(b)は、1kHzのローパスフィルタを介したときのセンサ部51の出力波形である。
図10は、出力端子部58が下方を指向した実施例2に係るセンサ部51の出力波形の変化を表すグラフであり、図10(a)は、ローパスフィルタを介さないときのセンサ部51の出力波形であり、図10(b)は、1kHzのローパスフィルタを介したときのセンサ部51の出力波形である。
図11は、出力端子部58が左方を指向した実施例3に係るセンサ部51の出力波形の変化を表すグラフであり、図11(a)は、ローパスフィルタを介さないときのセンサ部51の出力波形であり、図11(b)は、1kHzのローパスフィルタを介したときのセンサ部51の出力波形である。
図12は、出力端子部58が右方を指向した実施例4に係るセンサ部51の出力波形の変化を表すグラフであり、図12(a)は、ローパスフィルタを介さないときのセンサ部51の出力波形であり、図12(b)は、1kHzのローパスフィルタを介したときのセンサ部51の出力波形である。
なお、図9から図12のグラフは、いずれも縦軸が出力信号の電圧(V)となっており、横軸がクランク角(deg)となっている。また、図9から図12における#1〜#4は、それぞれシリンダ8の番数に対応している。
これに対して、図10(b)に示す出力端子部58が下方を指向したときに得られるセンサ部51の出力信号、および図11(b)に示す出力端子部58が左方を指向したときに得られるセンサ部51の出力信号は、それぞれ図9(b)および図12(b)に示す出力信号と比較して、出力電圧が低下している。特に、図11(b)において、3番シリンダ相当の振動および2番シリンダ相当の振動に対応する出力信号は、クランクシャフト11の回転にともない、大きく低下しているのがわかる。
このように、測定主軸O周りの周方向における出力端子部58の位置を変更することにより、本体部53の慣性質量のバランスを変更できる。これにより、センサ部51の横感度による出力信号への影響度合いが変化し、出力端子部58の位置に対応して異なる特性を有する出力信号が得られる。すなわち、出力端子部58は、センサ部51の横感度による出力信号への影響を調節する調節部70として機能する。
図13は、他の実施形態に係る筒外燃焼モニタ用センサ50の分解斜視図である。
図13に示すように、他の実施形態に係る筒外燃焼モニタ用センサ50は、出力端子部58と本体部53との隅部に、出力端子部58と本体部53とを接続する補強部56を設けてもよい。
この構成によれば、筒外燃焼モニタ用センサ50に振動や加速度等が入力された場合であっても、出力端子部58の振れを抑制できる。したがって、例えば、出力端子部58を調節部70として機能させた場合であっても、出力端子部58自身の振れに起因する測定主軸Oと交差する方向の振動や加速度等の発生を抑制できるので、センサ部51の横感度による出力信号への影響を確実に低減できる。
また、図14に示すように、筒外燃焼モニタ用センサ50は、ボルト60により本体部53に固定され、測定主軸Oと交差する方向に沿って突出する突出片66を有するブラケット65を備えていてもよい。
ブラケット65は、例えば鉄等の金属材料により板状に形成されており、測定主軸Oから離れるにつれて本体部53側からボルト60の頭部63側に向かって傾斜する突出片66を有している。
ブラケット65の取付部67には、ボルト60のネジ部62が挿通される貫通孔67aが設けられている。ブラケット65は、シリンダブロック34(図2参照)に本体部53をボルト60により締結固定した際に、測定主軸O周りの周方向における突出片66の位置を変更することにより、ブラケット65の慣性質量のバランスを変更できる。これにより、センサ部51の横感度による出力信号への影響度合いが変化し、突出片66の位置に対応して異なる特性を有する出力信号が得られる。すなわち、ブラケット65は、センサ部51の横感度による出力信号への影響を調節する調節部70として機能する。
図15に示すように、筒外燃焼モニタ用センサ50の本体部53の一部53aを切除することにより、本体部53の慣性質量のバランスを変更し、センサ部51の横感度による出力信号への影響を調節してもよい。この場合においては、筒外燃焼モニタ用センサ50の本体部53が調節部70として機能する。なお、図15では、切除された本体部53の一部53aを二点鎖線で図示している。
この構成によれば、本体部53の一部53aを切除することにより、本体部53の慣性質量のバランスを変更して、センサ部51の横感度による出力信号への影響を容易に調節することができる。また、特別な部品を追加することなく、筒外燃焼モニタ用センサ50の本体部53を利用して、センサ部51の横感度による出力信号への影響を低コストかつ容易に調節することができる。
筒外燃焼モニタ用センサ50の本体部53の形状は、上述の各実施形態におけるリング状に限定されない。したがって、図16に示すように、筒外燃焼モニタ用センサ50は、本体部53の形状が直方体状であってもよい。
また、図17に示すように、筒外燃焼モニタ用センサ50は、出力端子部58を複数本(図17の例では二本)備えていてもよい。この場合においても、測定主軸O周りの周方向における出力端子部58,58の位置を変更することにより、本体部53の慣性質量のバランスを変更できる。したがって、二本の出力端子部58,58は、センサ部51の横感度による出力信号への影響を調節する調節部70,70として機能できる。
8 シリンダ(燃焼室)
50 筒外燃焼モニタ用センサ
51 センサ部
53 本体部
56 補強部
58 出力端子部
60 ボルト
63 頭部
65 ブラケット
66 突出片
70 調節部
O 測定主軸
Claims (4)
- 内燃機関における燃焼室の外部に取り付けられて、前記内燃機関の燃焼状態を検知するための筒外燃焼モニタ用センサであって、
所定方向に測定主軸を有し、前記測定主軸に沿う振動を検知して出力信号を出力するセンサ部と、
前記センサ部を支持する本体部と、
前記センサ部の横感度による前記出力信号への影響を調節可能な調節部と、
を備え、
前記本体部から前記測定主軸と交差する方向に沿って突出され、前記センサ部からの前記出力信号を外部に出力するための出力端子部を有し、
前記調節部は、前記出力端子部であり、
前記内燃機関に取り付ける際に、前記測定主軸周りの周方向における前記出力端子部の位置を変更することにより、前記センサ部の横感度による前記出力信号への影響を調節することを特徴とする筒外燃焼モニタ用センサ。 - 請求項1に記載の筒外燃焼モニタ用センサであって、
前記出力端子部と前記本体部との隅部には、前記出力端子部と前記本体部とを接続する補強部が設けられていることを特徴とする筒外燃焼モニタ用センサ。 - 請求項1または2に記載の筒外燃焼モニタ用センサであって、
前記調節部は、前記本体部であり、
前記本体部の慣性質量を変更することにより、前記センサ部の横感度による前記出力信号への影響を調節することを特徴とする筒外燃焼モニタ用センサ。 - 請求項1から3のいずれか1項に記載の筒外燃焼モニタ用センサであって、
前記本体部は、前記測定主軸を中心軸とするリング状に形成され、
前記本体部に挿通されて前記本体部を前記内燃機関に固定するボルトと、
前記ボルトにより前記本体部に固定され、前記測定主軸と交差する方向に沿って突出する突出片を有するブラケットと、
を備え、
前記調節部は、前記ブラケットであり、
前記測定主軸周りの周方向における前記ブラケットの前記突出片の位置を変更することにより、前記センサ部の横感度による前記出力信号への影響を調節することを特徴とする筒外燃焼モニタ用センサ。
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