JP2007100633A - エンジンの上死点検出装置およびエンジン制御装置 - Google Patents

エンジンの上死点検出装置およびエンジン制御装置 Download PDF

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康宏 西山
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Abstract

【課題】低コストでエンジンの噴射タイミング精度を向上することができるエンジンの上死点検出装置およびエンジン制御装置を提供する。
【解決手段】エンジン1に取り付けられ、そのエンジン1の気筒の振動を検出するための振動検出手段10と、その振動検出手段10で検出した振動出力信号に基づいて、上記気筒の上死点を算出する算出手段3とを備え、上記算出手段3は、上記エンジン1を燃料無噴射状態で回転させたときに上記振動検出手段10により検出される振動出力信号をフィルタ処理して、上記気筒内の圧力の一階微分に相当する処理信号を求めると共に、その処理信号が0クロスする点を上記気筒の上死点と判断するものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、エンジンの上死点を検出する上死点検出装置および、その上死点検出装置により検出された上死点に基づいて上死点位相を補正するエンジン制御装置に関するものである。
近年、ディーゼルエンジンなどが電子制御化されてきており、例えば、燃料噴射時期(燃料噴射タイミング)の制御などがエンジン制御装置(以下、ECUという)により行われるようになっている。
一般に、ECUは、燃料噴射タイミングの決定を、クランク角センサからのクランク角信号や、カムセンサからのカム信号をベースに行っている。例えば、ECUは、クランク角信号をカウントすることで、燃料噴射タイミングの基準となる上死点を算出するようにしている。
そのクランク角信号と上死点の位相差精度は、噴射時期(噴射タイミング)の制御に影響する。例えば、クランク軸やコンロッドなどの寸法誤差や組み付け誤差が存在すると、クランク角信号から算出される上死点と実際の上死点とがズレて、その結果、燃料の噴射タイミングにもズレが生じる。
これまでの排ガス規制では、クランク軸などの寸法が設計上の公差内に収まっていれば、十分であり、クランク角信号をベースに噴射タイミングを決定しても排ガス規制の基準を満たすことができた。しかし、近年、排ガス規制がより強化される傾向にあることから、より高い噴射タイミング精度がさらに要求されるようになっている。噴射タイミングを機械的誤差によるズレを含むクランク角信号から決定したのでは、より厳しくなる排ガス規制の基準を満たすのに、十分でない。噴射タイミング精度は、エンジン個体間の寸法などのばらつきや、シリンダ間のばらつきに影響される。
噴射タイミング精度を向上させるには、パーツの寸法精度を高めることや、機械的誤差の影響を受けない手段により真の上死点を検出して、位相補正を行うことが考えられる。
例えば、特許文献1には、エンジンに筒内圧力センサを搭載し、その出力信号から真の上死点を検出して補正することが提案されている。
エンジンに筒内圧力センサを搭載すれば、より精度の高い上死点を検出するのは容易である。筒内圧力で定義される上死点は、燃焼していない状態でエンジンを回転させたときに、筒内圧力がピークをとるときのタイミングである。
特開平11−210546号公報
しかしながら、筒内圧力センサは、それ自体が高価であり、また筒内圧力センサは燃焼室に取り付けられるので取付に手間がかかり、その結果、エンジンの製造コストが増大してしまうという問題があった。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、低コストで正確な上死点を検出することができ、エンジンの噴射タイミング精度を向上することができるエンジンの上死点検出装置およびエンジン制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明は、エンジンに取り付けられ、そのエンジンの気筒の振動を検出するための振動検出手段と、その振動検出手段で検出した振動出力信号に基づいて、上記気筒の上死点を算出する算出手段とを備え、上記算出手段は、上記エンジンを燃料無噴射状態で回転させたときに上記振動検出手段により検出される振動出力信号をフィルタ処理して、上記気筒内の圧力の一階微分に相当する処理信号を求めると共に、その処理信号が0クロスする点を上記気筒の上死点と判断するものである。
好ましくは、上記算出手段は、上記気筒で発生した振動が上記振動検出手段の検出位置に達するまでの伝播遅れ分を、上記処理信号が0クロスする点から減算して、上記気筒の上死点を算出するものである。
上記目的を達成するために本発明は、上記エンジンの上死点検出装置で検出した上死点により、クランク角検出手段またはカム角検出手段の出力信号から算出した上死点の位相を補正するものである。
本発明によれば、低コストで正確な上死点を検出し、エンジンの噴射タイミング精度を向上することができるという優れた効果を発揮するものである。
以下、本発明の好適な一実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
本実施形態のエンジンの上死点検出装置は、気筒内の圧力に基づく正確な上死点を検出するためのものであり、例えば、車両のディーゼルエンジンなどに適用される。
まず、図1および図2に基づき本実施形態のエンジンを説明する。
図1に示すように、本実施形態のエンジン1は、複数(図例では4つ)の気筒(図1ではその燃焼室6のみを示す)を有するエンジン本体2と、そのエンジン本体2を制御するエンジン制御装置(以下、ECUという)3とを備える。
エンジン本体2は、各気筒の燃焼室6を形成するシリンダブロック4およびシリンダヘッド(図示せず)と、図示しないクランク軸を支持するクランクケースとを備える。各燃焼室6には、燃焼室6内に燃料を噴射するための燃料噴射弁8が各々設けられる。それら燃料噴射弁8には、コモンレール9から燃料が供給され、そのコモンレール9の圧力がECU3により制御される。
シリンダブロック4には、各気筒の振動を検出するための振動検出手段をなす振動センサが設けられる。具体的には、振動センサはノックセンサ10からなり、そのノックセンサ10はシリンダブロック4の側部に取り付けられる。本実施形態では、ノックセンサ10により検出されたシリンダブロック4の振動を、ECU3が後述するクランク角センサ11やカムセンサの出力により気筒判別を行って、各気筒の振動として検出する。
シリンダブロック4には、クランク軸の回転角度を検出するためのクランク角センサ(クランク角検出手段)11が設けられる。また、シリンダヘッドには、カム軸の回転角度を検出するためのカムセンサ(カム角検出手段)が設けられる(図示せず)。それらクランク角センサ11やカムセンサの出力信号から、後述するデータサンプリングトリガ信号の生成が行われる。
図2に示すように、ECU3は、上記ノックセンサ10、クランク角センサ11、カムセンサなどのセンサ類の出力信号を受信するI/O部分21と、そのI/O部分21で受信した信号を処理するCPU部分22と、CPU部分22からの指令により、上記燃料噴射弁8、EGRバルブ、スロットルバルブ、過給器などのアクチュエータ類を駆動する駆動回路部分23とを備える。
ECU3は、例えば、上記燃料噴射弁8の噴射タイミングや噴射量を制御する。基本的には、ECU3は、クランク角センサ11からのクランク角信号をカウントして上死点(以下、クランク角センサ上死点という)を算出し、そのクランク角センサ上死点を基準に燃料の噴射タイミング信号を求めて、燃料噴射弁8を開弁制御する。
本実施形態では、その燃料噴射タイミング信号の精度を向上すべく、詳しくは後述するが、上述のノックセンサ10で間接的に各気筒の筒内圧力を検出し、その筒内圧力に基づく上死点(以下、筒内圧力上死点という)を求めて噴射タイミング信号を補正する。つまり、本実施形態のエンジン1は、ノックセンサ10の検出値から筒内圧力上死点を求める上死点検出装置を備える。
その上死点検出装置は、エンジン1に取り付けられエンジン1の気筒の振動を検出する上記ノックセンサ10と、そのノックセンサ10で検出した振動出力信号に基づいて、上記気筒の筒内圧力上死点を算出する算出手段とを備える。上記ECU3が算出手段をなす。上死点検出装置は、図2の構成により、エンジンECU3でノックセンサ10のサンプリングを行う。
算出手段をなすECU3は、上記エンジン1を燃料無噴射状態で回転させたときにノックセンサ10により検出される振動出力信号から、燃料無噴射状態での上記気筒内の圧力を求めると共に、その圧力がピークに達した点を上記気筒の筒内圧力上死点と判断する。より具体的には、振動出力信号をフィルタ処理して、上記気筒内の圧力の一階微分に相当する処理信号を求めると共に、その処理信号が0クロスする点を上記気筒の上死点と判断する。さらに、ECU3は、上記気筒で発生した振動がノックセンサ10の検出位置に達するまでの伝播遅れ分を、上記処理信号が0クロスする点から減算して、上記筒内圧力上死点を算出する。
また、ECU3は、上記上死点検出装置で検出した筒内圧力上死点により、クランク角検出手段11により検出されたクランク角あるいはカム角検出手段により検出されたカム角から算出したクランク角センサ上死点の位相を補正する。ECU3は、筒内圧力上死点とクランク角センサ上死点との位相差を補正量として、燃料噴射タイミング信号などの制御タイミング信号を補正する。
この点を、図7に基づき以下に説明する。
図7は、燃料無噴射状態(燃料を燃焼させない状態)でエンジン1を回転させたときの気筒状態を示すグラフであり、ラインEはECU3内部の上死点信号(TDC信号)、ラインPは筒内圧力、ラインKはノックセンサ10の出力信号を各々示す。
図7において、横軸は、クランク角センサ上死点を原点とした角度である。0点[deg]は、ECU3内部での上死点(クランク角センサ上死点)位置(TDC位置)である。Tp[deg]は、筒内圧力が最高となる点であり、この点が筒内圧力上死点となる。Tk[deg]は、ノックセンサ10の出力信号が0クロスする点である。ECU3内部の上死点(クランク角センサ上死点)は0点[deg]であるが、真の上死点(筒内圧力上死点)はECU3内部から見ればTp[deg]の位置にある。
図7に示すように、ノックセンサ10などの振動センサをシリンダブロック4などに搭載すると、筒内圧力と相関のある振動信号(ラインK)が検出される。その振動信号の波形は、筒内圧力信号(ラインP)に対し、一階微分相当の信号である。つまり、ノックセンサ10の出力信号には、筒内圧力の一階微分に相当する振動波形が含まれている。この振動波形から筒内圧力上死点Tpを求めるには、振動波形が筒内圧力の一階微分であることから、振動波形の値が0となる点Tkを求めればよいことになる。
燃料無噴射でエンジン1を回転させた時のノックセンサ10の信号をサンプリングすると、そのサンプリングされた波形が0クロスするTk点が得られる。そのTk点がノックセンサ10(振動センサ)で得られる上死点(以下、振動センサ上死点という)となる。
実際には、ノックセンサ10がシリンダブロック4の外壁に取り付けられていることから、ノックセンサ10による振動センサ上死点Tkは、筒内圧力センサによる筒内圧力上死点Tpに対して、圧力が振動としてシリンダブロック4を伝わる時間分(Tk−Tp)だけ遅れて観測されることになる。ノックセンサ10による振動センサ上死点Tkを検出し、振動が伝播する遅れ分を補正すれば、信頼性が高い筒内圧力上死点の位相(図例では、ECU3内部の角度)を算出することができる。
このように、本実施形態では、ガソリンエンジンで広く普及しているノックセンサ10を利用して上死点検出を行うことができる。
さらに、この算出された筒内圧力上死点と、ECU3内部での上死点信号(これは前述したように機械的な公差が原因の誤差を持つ)との位相差(具体的には、Tp[deg]−0[deg])による補正を、燃料噴射タイミング信号などに適用することにより、ズレなく希望するタイミングで燃料噴射制御を行うことができる。
次に、本実施形態の上死点検出装置を用いた筒内圧力上死点の検出方法を説明する。
まず、上死点検出方法の概略を説明する。
本実施形態の上死点検出方法は、気筒の振動を検出するための振動センサ(例えば、ノックセンサ10)をシリンダブロック4などに取り付け、そのエンジン1を燃料無噴射状態で回転させると共に、上記ノックセンサ10により検出される上記気筒の振動出力信号をフィルタ処理して、上記気筒内の圧力の一階微分に相当する処理信号を求めて、その処理信号が0クロスする点(つまり、振動センサ上死点)を求め、その求められた振動センサ上死点を、上記気筒で発生した振動が上記ノックセンサ10の検出位置に達するまでの伝播遅れ分に基づき補正して筒内圧力上死点を求めるものである。
本実施形態では、予め開発時のエンジンベンチなどで、エンジンに気筒内の圧力を検出するための筒内圧力センサとノックセンサ10とを取り付け、そのエンジン1を燃料無噴射状態で回転させて、上記筒内圧力センサにより検出された圧力がピークに達するピーク点から、上記ノックセンサ10の振動出力信号が0クロスする点を引いて、上記伝播遅れ分を求める。
より具体的には、製品用のエンジン1(以下、製品エンジン1という)を、出荷前に燃料無噴射状態で回転させると共に、ノックセンサ10を用いて振動波形データ(振動出力信号)をサンプリングする。その後、サンプリングされた振動波形データから製品エンジン1の振動センサ上死点を求める。
他方、予め対象とする製品エンジン1と同型の試験用のエンジン(以下、試験エンジンという)に、筒内圧力センサを取り付けて試験エンジンの筒内圧力上死点を求めると共に、ノックセンサを取り付けて試験エンジンの振動センサ上死点を求める。その試験エンジンの振動センサ上死点から試験エンジンの筒内圧力上死点を減算することで、伝播遅れ分を予め求めておく。
その予め求めておいた伝播遅れ分を上記製品エンジン1の振動センサ上死点から減算して、製品エンジン1の筒内圧力上死点を求める。
その後、製品エンジン1の通常運転時などには、求められた筒内圧力上死点と、ECU3がクランク角センサ11から算出したクランク角センサ上死点との差を補正量として、燃料噴射タイミング信号を補正する。
これにより、製品エンジン1に筒内圧力センサを搭載することなく、高い精度の燃料噴射タイミング信号を得ることができる。
次に、図3から図6に基づき、上死点検出装置を用いた上死点検出方法の一例を説明する。
図3から図6のルーチンは、例えば、エンジン1の組み立て終了後などに実行される。
まず、図3に基づき振動波形データ(振動出力信号)をサンプリングする前に行われる補正処理判定処理について説明する。
この図3のルーチンは、燃料無噴射状態を判断してデータサンプリングを開始するためのものである。具体的には、燃料を噴射していない状態の振動波形データを取得するために、燃料噴射量の有無をステップS31で判断して、燃料噴射量が0のときに、ステップS32でA/D(アナログ/デジタル)変換終了割り込み処理を有効(enable)にする。一方、燃料噴射量が0でないときは、ステップS33で変換終了割り込み処理を無効にする。また、この図3のルーチンは、一定周期ごとに実行される。
次に、図4に基づき振動波形データのサンプリングを行うA/D変換終了割り込み処理について説明する。
この図4のルーチンは、A/D変換終了割り込みが有効、すなわちデータサンプリングを行う状態になったとき、一定周期で起動されるルーチンである。ステップS41では、ノックセンサ10の振動出力信号が読み込まれてECU3のメモリーに記憶される。その振動出力信号のデータは、データサンプリングトリガが0になるまで(ステップS42で0と判断されるまで)一定周期でサンプリングされる。そのデータサンプリングトリガは、例えば、図8に示すように、クランク角上死点を中心とした所定区間(図例では、クランク角上死点の前後30°の区間)で0以外(例えば1)の値、上記所定区間以外の区間では0が設定される。
次に、図5に基づきサンプリングされた振動波形データの信号処理について説明する。この図5のルーチンは、データサンプリングの終了後に起動されるルーチンである。
ステップS51では、図4のルーチンで取得された振動波形データをフィルタ処理する。具体的には、振動波形データから筒内圧力と相関のある成分(筒内圧力の一階の微分信号相当)を抽出すべく、必要な特定の周波数帯域を取り出す(バンドパスフィルタ処理を行う)。フィルタ処理としては、ノックセンサ10の出力をディジタル化した後に、ECU3内部でディジタルフィルタリング処理を行うようにしても良く、或いは、ディジタル化前にノックセンサ10とのI/O部分22でアナログ回路にて行うようにしても良い。
ステップS52では、上死点算出処理を行って、フィルタ処理後の振動波形データから筒内圧力センサ上死点を求める。
その上死点算出(信号校正)処理を、図6および図7に基づき説明する。
ステップS61では、フィルタ処理後の振動波形データ(筒内圧力の一階の微分信号相当)が、0クロスするタイミングを算出して、振動出力信号による振動センサ上死点Tkを求める。Tkは、ECU3内部のTDC信号を基準とした角度である。
ステップS62では、ステップS61で求められた振動センサ上死点Tkを、振動伝播による遅れに基づいて補正し、筒内圧力上死点Tpを求める。ここで、筒内圧力上死点Tpと振動センサ上死点Tkとの関係は、工場出荷前、あるいは開発時のエンジンベンチで実験的に調べておき、その関係(または、その関係から求まる振動伝播による遅れ分)をECU3のメモリー内に記憶しておく。
以下に、筒内圧力上死点Tpと振動センサ上死点Tkとの関係式について述べる。
筒内圧力上死点Tp[deg]は、筒内圧力センサの出力信号から求められ、本実施形態ではECU3内部のTDC信号を基準とした角度である。
その筒内圧力上死点Tpと振動センサ上死点Tkの関係(差)は、ノックセンサ10から気筒の壁までの距離x、およびエンジン回転数ne[rpm]に応じた関数をfとして、式(1)のように算出される。
Tk−Tp=f(x、ne) (1)
関数fは、ノックセンサ10が取り付けられるエンジン構造体(具体的には、シリンダブロック4)を振動が伝わる速度をv[m/sec]、伝播遅れ時間をt[sec]とすると、後述する式(3)となる。
ここで、伝播遅れ時間tは次式(2)となる。
t=x/v (2)
式(1)の次元は角度である。式(2)tの次元は時間である。式(2)の時間を角度に換算すると関数fは次式(3)のように記述できる。
f(x、ne)=x/v×ne×360/60 (3)
エンジン構造体を振動が伝わる速度vは、そのエンジン構造体の複雑さから単純に距離に応じた形で定義することが難しい。そこで、速度の逆数1/vを、実際には係数kで置き換え、その係数kをあらかじめ気筒ごとに実験的に算出しておく必要がある。その場合にはkは気筒ごとに設ける。この係数kを用いることによって、関数fは、
f(x、ne)=k×x×ne×6 (4)
であり、式(1)および式(4)によって、筒内圧力上死点Tpは次式(5)
Tp=Tk−k×x×ne×6 (5)
となる。
ここで、回転数neは、データサンプリング時にエンジン1を燃料無噴射状態で回転させる回転数と同じ値であり、その回転数neはECU3内のメモリーに記憶される。また、各気筒の係数kとノックセンサ10から各気筒の壁までの距離xも、各気筒ごとにECU3のメモリーに各々記憶される。
ステップS62で筒内圧力上死点Tpを求めるときは、ステップS61で求められた振動センサ上死点Tkと、ECU3のメモリーに予め記憶された係数k、回転数ne、およびノックセンサ10から気筒の壁までの距離xとを、式(5)に代入して求める。
以上により、ノックセンサ10の振動出力信号から、筒内圧力上死点Tpが算出される。
次に、算出した筒内圧力上死点Tpを、燃料噴射弁のタイミング補正などに適用する一例を説明する。
例えば、メイン噴射タイミングTmainに対しては、次式(6)に示すように、クランク角上死点を基準にして算出された指示噴射タイミングTmainに対し、補正量Tp(=筒内圧力上死点−クランク角センサ上死点)を加算し、最終出力指令をTmain_outとして設定すればよい。
Tmain_out=Tmain+Tp (6)
次に、図8に示すECU3内部処理タイミングチャートを説明する。なお、図8では気筒別に処理を分けていないが、実際にはそれぞれの気筒ごとの処理となる。
図8において最上段(一段目)はTDC信号を示す。TDC信号は、クランク角信号をカウントして設定されたECU3内部のタイミングであり、上述したように、真の上死点信号(筒内圧力上死点信号)とは位相差が存在する。
二段目は、振動センサ信号をサンプリングする区間を決めるためのトリガ信号(データサンプリングトリガ)を示す。そのトリガ信号は、ECU3によりクランク信号及びカム信号から生成される。本実施形態では、クランク信号及びカム信号からカウントされた各気筒のTDC信号前後±30度の区間で、サンプリングが行われるようにトリガ信号が生成される。三段目は、A/D変換終了割り込みを示し、四段目は、信号処理を示す。五段目は、筒内圧力信号を示し、六段目は、振動センサ信号を示す。なお、筒内圧力信号は、工場出荷エンジン1の実機には搭載されず、工場出荷前、あるいはエンジンベンチでの実験時に搭載され、筒内圧力上死点と振動センサ上死点の関係を求めるのに利用されるだけである。
このように、本実施形態では、ノックセンサ10から筒内圧力上死点を求めることができる。さらに、その筒内圧力上死点により、燃料噴射タイミング信号を補正することで、噴射制御のタイミング精度を向上することができる。
その結果、燃料噴射タイミングのエンジン個体間のばらつきを解消することができる。また、燃料噴射タイミングのシリンダ間のばらつきを解消することができる。
その他に、ノックセンサ10を上死点検出装置の振動検出手段と共用することで、別途振動センサを用いる場合に比べて、部品数の増加を抑えることができる。
なお、本発明は上述の実施形態に限定されず、様々な変形例や応用例が考えられるものである。
例えば、振動センサの取り付け位置は、シリンダブロック4に限定されず、気筒内の圧力変化による振動が伝達する位置であればよく、例えば、シリンダヘッドでもよい。
また、振動センサを各気筒毎に設けるようにしてもよい。
また、上述した実施形態では、ECUに、上死点位相検出のための処理を組み込み、上死点位相補正を行うようにしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、工場のライン上に、算出手段をなす上死点校正装置(例えば、PCなど)を設け、その上死点校正装置を、ラインを流れるエンジンの振動センサおよびクランク角センサに直接(またはECUを介して)接続し、その振動センサの出力信号から上記処理信号を求めるためのフィルタ処理、その処理信号が0クロスする点を求める処理、および0クロス点から伝播遅れ分を減算する処理などを、上記上死点校正装置により行って、筒内圧力上死点を検出するようにしてもよい。さらに、上記上死点校正装置によりクランク角センサ上死点を求めると共に、そのクランク角センサ上死点の位相を、検出しておいた筒内圧力上死点により補正し、その補正値(位相差)をECUに送信するようにしてもよい。この場合、ECUに上死点位相検出のための処理を組み込む必要がなくなり、ECU処理の負担を軽減することができる。
また、振動センサを、上死点の検出後にエンジンから取り外すようにしてもよい。例えば、振動センサを工場のライン側に用意しておき、その振動センサを、ラインを流れる各エンジンに取付・取外して使用するようにしてもよい。
本発明の一実施形態に係るエンジンの上死点検出装置の構成図である。 本実施形態のエンジン制御装置のシステム図である。 本実施形態の上死点検出方法のフロー図である。 本実施形態の上死点検出方法のフロー図である。 本実施形態の上死点検出方法のフロー図である。 本実施形態の上死点検出方法のフロー図である。 本実施形態の気筒の状態を示した図である。 本実施形態のECUの内部処理タイミングチャート図である。
符号の説明
1 エンジン
2 エンジン本体
3 ECU
4 シリンダブロック
6 燃焼室
8 燃料噴射弁
9 コモンレール
10 ノックセンサ
11 クランク角センサ

Claims (3)

  1. エンジンに取り付けられ、そのエンジンの気筒の振動を検出するための振動検出手段と、その振動検出手段で検出した振動出力信号に基づいて、上記気筒の上死点を算出する算出手段とを備え、
    上記算出手段は、上記エンジンを燃料無噴射状態で回転させたときに上記振動検出手段により検出される振動出力信号をフィルタ処理して、上記気筒内の圧力の一階微分に相当する処理信号を求めると共に、その処理信号が0クロスする点を上記気筒の上死点と判断することを特徴とするエンジンの上死点検出装置。
  2. 上記算出手段は、上記気筒で発生した振動が上記振動検出手段の検出位置に達するまでの伝播遅れ分を、上記処理信号が0クロスする点から減算して、上記気筒の上死点を算出する請求項1記載のエンジンの上死点検出装置。
  3. 請求項1または2に記載のエンジンの上死点検出装置で検出した上死点により、クランク角検出手段またはカム角検出手段の出力信号から算出した上死点の位相を補正することを特徴とするエンジン制御装置。
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