JP6190674B2 - 銅合金板材及びその製造方法 - Google Patents
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Description
特許文献3の様に鋳造法の工夫によれば、幾分冷間加工性が担保される。しかしながら、該特許文献の段落[0018]記載の様にSn量が10%を超える場合には、鋳造割れの問題が顕著になる。また、Ni/Sn成分比を比較的Snが多い組成にした場合にも、冷間加工性が不十分であることが分かった。
本発明は、冷間加工性に優れる高強度な銅合金板材及びその製造方法を提供することを目的とする。
(1)Niを10質量%を超えて25質量%以下、Snを10質量%を超えて14質量%以下、及びMnを0.0〜1.0質量%含有し、Ni/Sn(質量%比)が1以上であって、残部がCuおよび不可避不純物からなり、
圧延方向の0.2%耐力が1200MPa以上であって、
圧延方向と平行な断面(圧延方向(RD)及び板厚方向(ND)とで作る材料断面)での観察において見られる母相の結晶粒の長径a(μm)と短径b(μm)の比a/bが17以上である加工組織を有することを特徴とする銅合金板材。
(2)Mnを0.05〜1.0質量%含有する(1)項に記載の銅合金板材。
(3)Niを10質量%を超えて25質量%以下、Snを10質量%を超えて14質量%以下、及びMnを0.0〜1.0質量%含有し、Ni/Sn(質量%比)が1以上であって、残部がCuおよび不可避不純物からなる合金組成を与える合金原料から、溶湯温度1170〜1210℃、冷却速度100〜600℃/秒でロールキャスト法にて鋳塊をストリップ状に形成した後に続けて、加工温度750〜900℃で熱間加工を施してストリップを得て、
75%を超える加工率での冷間圧延、および
冷間圧延後に溶体化熱処理を施さずに、300〜500℃、0.5〜10時間の時効処理
の各工程をこの順に行い、
圧延方向の0.2%耐力が1200MPa以上であって、
圧延方向と平行な断面(圧延方向(RD)及び板厚方向(ND)とで作る材料断面)での観察において見られる母相の結晶粒の長径a(μm)と短径b(μm)の比a/bが17以上である加工組織を有する銅合金板材の製造方法。
(4)Mnを0.05〜1.0質量%含有する(3)項に記載の銅合金板材の製造方法。
本発明における加工組織とは、具体的には、Cu−Ni−Sn系合金母相の結晶の長径と短径の比で定義される。すなわち、本発明において加工組織とは、圧延方向と平行な断面(圧延方向(RD)及び板厚方向(ND)とで作る材料断面)での観察において見られる母相の結晶粒の長径a(μm)と短径b(μm)の比a/bが17以上であることをいう。この比a/bを本書においてはアスペクト比ともいう。アスペクト比a/bを17以上とすることで、時効処理におけるスピノーダル分解を促進させる効果を得ることができる。時効処理前の冷間加工(冷間圧延)における加工率が高い場合には、前記短径のbが判別、測定できなくなる程小さくなる場合もあるが、その場合はアスペクト比a/bが無限大であると判断する。つまり、本発明において、アスペクト比の上限値には特に制限はない。時効処理においては母相の結晶粒径は変化しないので、時効前後でアスペクト比a/bの値は変化しない。また、時効処理後に仕上げ冷間圧延加工を加えた場合には、アスペクト比a/bは時効前の値から増加するので、時効処理前におけるアスペクト比a/bが17以上であれば、最終製造物におけるアスペクト比a/bは17以上になる。
このように、本発明における加工組織は、再結晶組織とは、アスペクト比の観点から明確に区別されるものである。
図1に、単ロール鋳造装置の模式図を示す。図示したように、注入口1から溶湯2を冷却ロール3上に注ぎ、冷却ロール3上で凝固・冷却させる。次いで、対向するワークロール4、4間を通すことによって、鋳塊5を得る。得られた鋳塊(5)に対して、前記鋳造後に続けて、圧延ロール(図示しない)などによって熱間加工(例えば熱間圧延)を行う。なお、ワークロールによって熱間加工(熱間圧延)をしても良い。すなわち、ワークロールが熱間圧延ロール等であっても良い。
図2には、双ロール鋳造装置の模式図を示す。図示したように、注入口11から溶湯12を対向する冷却ロール13、13上に注ぎ、冷却ロール13、13間で凝固・冷却させる。次いで、対向するワークロール14、14間を通すことによって、鋳塊15を得る。得られた鋳塊(15)に対して、前記鋳造後に続けて、圧延ロール(図示しない)などによって熱間加工(例えば熱間圧延)を行う。
ここで、加工率(または冷間加工率)は次の式によって定義される値である。
加工率(%)=(t1−t2)/t1×100
式中、t1は圧延加工前の厚さを、t2は圧延加工後の厚さをそれぞれ表わす。
表1に示す本発明で規定する組成を与える銅合金(発明例1−1〜1−7、1−9〜1−10)の原料を溶解炉にて溶解後、溶湯を温度1190℃に保持し、これを図1に示す単ロール鋳造装置にてストリップ状に鋳造した。鋳造時の冷却速度は約300℃/秒であった。その鋳造ラインの直後に加工ロール(圧延ロール、図示せず)を設置し、鋳造直後に連続で圧延し、厚さ約2.5mm、幅200mmのストリップを得た。その時の加工温度は放射温度計で約850℃であった。
得られたストリップを厚さ約2mmまで面削して加工率85%の冷間加工を施した。冷間加工割れ等は無かった。
その後325℃にて2時間の時効処理を施して各板材(板厚:0.3mm)を得た。
0.2%耐力は、各板材から圧延平行方向に切り出したJIS Z2201−13B号の試験片をJIS Z2241に準じて3本測定し、その平均値で示した。値は整数1の位を丸め、10の位で表記した。
b.導電率(EC):
各板材の供試材について、20℃(±0.5℃)に保たれた恒温漕中で四端子法により比抵抗を計測して導電率を算出した。なお、端子間距離は100mmとした。
導電率5%以上を合格とし、5%未満を不合格とした。
c.母相の結晶粒径(GS)とアスペクト比(a/b):
母相の結晶粒径の測定は、各板材の供試材について圧延平行方向の断面を樹脂で包埋後、バフ研磨にて鏡面仕上げし、その後、クロム酸にてエッチングを行い、光学顕微鏡にて観察して行った。1つのサンプルについて100個の結晶粒の長径および短径を測定して、それぞれ算術平均値を求め、長径をa(μm)、短径をb(μm)として、アスペクト比a/bの値を算出した。
結果を表1に示す。
これに対して、比較例1−1では、Niの含有量が本発明で規定する量よりも下回って少なかった為、強度が劣った。比較例1−2では、Snの含有量が本発明で規定する量よりも下回って少なかった為、強度が劣った。比較例1−5では、Mnの含有量が本発明で規定する量よりも上回って多かった為、導電率が著しく低下した。
表2に示す本発明で規定する範囲内の組成の銅合金板材について、製造条件が金属組織に及ぼす影響を検討した。具体的には、成分組成を固定し、製造条件を変更して各発明例および各比較例の板材を作成し、それらの結果を比較したものである。
発明例2−2〜2−4については、実施例1の発明例1−1〜1−7、1−9〜1−10と同様の工程で、それぞれ厚さ約2mmまで面削されたストリップを得た。これらの面削されたストリップに対して、発明例2−1(加工率85%)と同様にして、発明例2−2は冷間加工率を80%、発明例2−3は冷間加工率を90%、発明例2−4は冷間加工率を98%として、各々冷間加工を施した。その後、それぞれ325℃にて2時間の時効処理を施して、各板材(板厚:発明例2−2、0.4mm;発明例2−3、0.2mm;発明例2−4、0.04mm)を得た。
発明例2−7については、実施例1の発明例1−1〜1−7、1−9〜1−10と同様の工程で、厚さ約2mmまで面削されたストリップを得た。この面削されたストリップに対して、加工率80%の冷間加工を施した後、325℃にて2時間の時効処理を施して板材(板厚:0.4mm)を得た。
d.粒界反応型析出の有無:
粒界反応型析出相は、実施例1で記載の前記c.と同様にして各板材供試材の断面をクロム酸でエッチング後に観察した場合、黒色に覆われた組織として観察されるため、スピノーダル分解を起こしている部位と区別することができる。そこで、母相の結晶粒径とアスペクト比の測定(実施例1で記載の前記c.)時に、併せて、粒界反応型析出の有無を観察し、黒色の部位が観察された場合は粒界反応型析出が「有」(劣)と、これが観察されない場合は「無」(良)として評価した。
結果を表2に示す。
これに対して、比較例2−8〜2−12および2−15では、十分な冷間加工を行っておらず、加工組織(アスペクト比a/bが所定の値)ではなかったため、強度が劣った。比較例2−13では、時効処理の温度が本願の規定外で高すぎ、粒界反応型析出相が生成してスピノーダル分解が不十分であった為、強度が劣った。比較例2−14では、時効処理の温度が本願の規定外で低すぎ、スピノーダル分解が不十分であった為、強度に劣った。また、比較例2−14と比較例2−15では、導電率も劣った結果であった。
2、12 溶湯
3、13 冷却ロール
4、14 ワークロール
5、15 鋳塊
Claims (4)
- Niを10質量%を超えて25質量%以下、Snを10質量%を超えて14質量%以下、及びMnを0.0〜1.0質量%含有し、Ni/Sn(質量%比)が1以上であって、残部がCuおよび不可避不純物からなり、
圧延方向の0.2%耐力が1200MPa以上であって、
圧延方向と平行な断面(圧延方向及び板厚方向とで作る材料断面)での観察において見られる母相の結晶粒の長径a(μm)と短径b(μm)の比a/bが17以上である加工組織を有することを特徴とする銅合金板材。 - Mnを0.05〜1.0質量%含有する請求項1に記載の銅合金板材。
- Niを10質量%を超えて25質量%以下、Snを10質量%を超えて14質量%以下、及びMnを0.0〜1.0質量%含有し、Ni/Sn(質量%比)が1以上であって、残部がCuおよび不可避不純物からなる合金組成を与える合金原料から、溶湯温度1170〜1210℃、冷却速度100〜600℃/秒でロールキャスト法にて鋳塊をストリップ状に形成した後に続けて、加工温度750〜900℃で熱間加工を施してストリップを得て、
75%を超える加工率での冷間圧延、および
冷間圧延後に溶体化熱処理を施さずに、300〜500℃、0.5〜10時間の時効処理
の各工程をこの順に行い、
圧延方向の0.2%耐力が1200MPa以上であって、
圧延方向と平行な断面(圧延方向及び板厚方向とで作る材料断面)での観察において見られる母相の結晶粒の長径a(μm)と短径b(μm)の比a/bが17以上である加工組織を有する銅合金板材の製造方法。 - Mnを0.05〜1.0質量%含有する請求項3に記載の銅合金板材の製造方法。
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