JP6190634B2 - プリディストータ、プリディストータの制御方法 - Google Patents
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Description
分配器210は、入力端子100から入力された信号を線形伝達経路220と3次歪発生経路230に分配する。
線形伝達経路220は、遅延器を含み、3次歪発生経路230で生じる遅延時間だけ信号伝達を遅延させる。
3次歪発生経路230は、3次歪発生器231、3次歪ベクトル調整器232、3次歪周波数特性補償器233を含む。3次歪発生器231は、3次歪発生器231に入力する信号を3乗し、3次歪成分を生成する。3次歪ベクトル調整器232は、3次歪成分の振幅と位相を調整する。3次歪周波数特性補償器233は、周波数領域にて予め定めた帯域幅毎に3次歪ベクトル調整器232の出力の振幅と位相を調整し、3次歪ベクトル調整器232の出力に周波数特性を与える。
合成器240は、線形伝達経路220の出力と3次歪発生経路230で生成した歪補償成分とを合成する。
DAC250は、合成器240の出力をディジタル信号からアナログ信号に変換する。
増幅装置300は、DAC250からの出力を直交変調する直交変調器310と、直交変調器の出力を所定の周波数となるように信号を周波数変換するアップコンバータ320と、アップコンバータ320の出力を所定の電力となるように信号を増幅する電力増幅器330とを含む。電力増幅器330の出力は出力端子500から、例えば図示していないデュープレクサを介してアンテナに供給される。
帰還信号生成装置400は、電力増幅器330の出力の一部を取り出す方向性結合器410と、方向性結合器410の出力を所定の周波数まで周波数変換するダウンコンバータ420と、ダウンコンバータの出力を直交復調する直交復調器430とを含む。
ADC260は、帰還信号生成装置400の出力であるアナログ信号をディジタル信号に変換する。
歪測定器270は、ADC260の出力から増幅装置300の電力増幅器330で発生した歪成分の電力を予め定めた任意の帯域幅毎に測定する。
制御器280は、歪測定器270の測定結果に基づいて電力増幅器330で発生する歪成分を補償するように3次歪ベクトル調整器232の振幅と位相と、3次歪周波数特性補償器233の振幅と位相を、それぞれ制御する。
図4に、第1実施形態のプリディストータ30000およびその周辺装置のブロック図を示す。従来のプリディストータ200との違いは、3次歪発生器23110と制御器28000である。第1実施形態のプリディストータ30000は、制御器28000の指示に従ってACLRを改善するように3次歪発生器23110が動作する点で、従来技術と異なる。
制御器28000は、3次歪発生器23110を制御する3次歪発生器制御部28100と、3次歪ベクトル調整器232を制御する3次歪ベクトル調整器制御部28200と、3次歪周波数特性補償器233を制御する3次歪周波数特性補償器制御部28300と、歪発生経路制御部28400とを含む。
S/P1710は、加算器1400の出力をシリアルパラレル変換する。FFT1711は、S/P1710の出力をフーリエ変換によって時間領域から周波数領域に変換する。電力測定器1712は、制御器28100の指示に従って予め定めた複数の帯域幅内の電力を測定し、測定結果を制御器28100に伝達する。
歪発生経路制御部28400は、3次歪発生器23110で発生する歪成分による干渉が予め定めた範囲内となるように3次歪発生器制御部28100に指示する。3次歪発生器制御部28100は、後述する図10に示す方法を用いてベクトル調整器1321に与える振幅値と位相値の調整量を調整する。3乗算器1100で発生する歪成分による干渉が予め定めた範囲内となった場合、3次歪発生器制御部28100はベクトル調整器1321の調整が完了したことを歪発生器制御部28400に通知する。
歪発生経路制御部28400は、電力増幅器330で発生する3次歪成分のうち上側帯域もしくは下側帯域どちらか一方の成分を低減するように3次歪ベクトル調整器制御部28200に指示する。3次歪ベクトル調整器制御部28200は、従来の手法である摂動法(参考文献:T. Nojima and T. Konno, “Cuber Predistortion Linearizer for Relay Equipment in 800 MHz Band Land Mobile Telephone System,”IEEE Transactions on vehicular technology, Vol. 34 , Issue 4, pp. 169-177, 1985.))や2次関数近似を用いた方法(上記非特許文献2)を用いて3次歪ベクトル調整器232に与える振幅値と位相値の調整量を調整する。
異なるL1点(L1は3以上の整数)の振幅(A1,A2,…,AL1)にてそれぞれ指定した帯域内の電力(P1,P2,…,PL1)を測定し、用いた振幅(A1,A2,…,AL1)と測定した電力(PD,1,PD,2,…,PD,L1)から最小2乗法により振幅値に対する指定した帯域内電力の依存性を示す2次関数(PD=a2A2+a1A+a0)の係数(a2,a1,a0)を求める。a2,a1,a0においてPDを最小にする振幅値AMIN(=−a1/2a2)を3次歪ベクトル調整器232に設定する。位相値についても同様である。ここでは、2次関数を例として説明したが、位相値に対するPDの依存性として2次関数の係数ではなく三角関数(PD=b2cos(b1−X)+b0、Xは位相値)の係数(b2,b1,b0)を最小2乗法により求めてもよい。得られた三角関数において指定した帯域の電力を最小にする(即ち、b1−X=π)位相値を3次歪ベクトル調整器232の位相値XMIN(=b1−π)として設定する。
2次関数近似を用いた計算方法において、係数a2が0以下となる場合または2次関数の係数が求まらない場合、PDを最小にする振幅値が0以下になる場合、測定した電力のうち最も電力を低くした振幅値をAMINとしてもよい。
歪発生経路制御部28400は、ACLRを測定するように歪測定器270に指示する。歪測定器270は、測定したACLRを歪発生経路制御部28400に通知する。ACLRは、ディジタルプリディストータ30000に入力される信号の無線通信方式に定められた規格に応じて設定する。例えばディジタルプリディストータ30000に入力される信号が下りのLTE 5MHzの場合、送信帯域4.515MHz内の電力と中心周波数から+/−5MHz離調点における4.515MHz帯域内の電力との比である。以下、中心周波数に対して高い周波数となるACLRを上側ACLR、低い周波数となるACLRを下側ACLRという。加えて、次隣接のACLRも測定してもよい。この場合、下りのLTE 5MHzの場合、送信帯域4.515MHz内の電力と+/−10MHz離調点における4.515MHz帯域内の電力との比である。5次歪成分の帯域は3次歪成分に比べ広帯域であるため、5次歪成分を補償する場合は次隣接のACLRを測定することが望ましい。
歪発生経路制御部28400は、歪測定器270から通知された上側/下側ACLRがどちらも予め定めた目標値以下となる場合、処理を終了する。ACLRが予め定めた目標値を超える場合、以下に示すステップS304に遷移する。
歪発生経路制御部28400は、ステップS301と同じ帯域側の歪成分を低減するように3次歪発生器制御部28100に指示する。3次歪発生器制御部28100は、電力増幅器330で発生する3次歪成分を低減するように従来の手法である摂動法や2次関数近似を用いた方法を用いてベクトル調整器1321に与える振幅値と位相値の調整量を調整する。3次歪発生器制御部28100は、ベクトル調整器1321の調整に必要となる電力増幅器330で発生する3次歪成分の電力について歪発生経路制御部28400を介して歪測定器270から得てもよく、直接歪測定器270から得てもよい。このステップでは、歪測定器270の結果を用いることで電力増幅器330にて発生する3次歪成分を低減するようにベクトル調整器1321の振幅と位相の調整量を調整する。
ベクトル調整器1321の調整が完了した場合、3次歪発生器制御部28100は調整が完了したことを歪発生経路制御部28400に通知する。
ステップS301bの処理を再度行ってもACLRが目標値を超える場合、ステップS305に遷移する。
歪発生経路制御部28400は、電力増幅器330で発生する3次歪成分を低減するように3次歪周波数特性補償器制御部28300に指示する。3次歪周波数特性補償器制御部28300は、従来の手法である摂動法や2次関数近似を用いた方法を用いて3次歪周波数特性補償器233の分割した各帯域に与える振幅値と位相値の調整量を調整する。3次歪周波数特性補償器制御部28300は、3次歪周波数特性補償器233の調整に必要となる電力増幅器330で発生する3次歪成分の電力を、歪発生経路制御部28400を介して歪測定器270から得る。3次歪周波数特性補償器233の調整が完了した場合、3次歪周波数特性補償器制御部28300は調整が完了したことを歪発生経路制御部28400に通知する。
ステップS305の後、ステップS302cとS303cの各処理を行う。ステップS302cはステップS302と同じであり、ステップS303cはステップS303と同じである。ステップS303cの処理においてACLRが目標値を超える場合、ステップS304の処理に戻る。この一連の処理を予め定めた回数繰り返してもACLRが目標値を超える場合は処理を終了してもよい。
3次歪発生器制御部28100はベクトル調整器1321に与える振幅の調整量の調整から開始する。これは、3次歪発生器23110の特性上、位相値を初期値0のままとし振幅値を調整するだけで干渉を低減できる場合があり、ベクトル調整器1321の調整時間を短縮できるためである。具体的な調整方法は後述する。
3次歪発生器制御部28100は、BWs0とBWd0の電力をそれぞれ測定するように電力測定部1701に指示する。電力測定部1701は測定した結果を3次歪発生器制御部28100に伝達する。3次歪発生器制御部28100は、得られた電力からレベル差Rd=(10 log10(BWs0/BWd0))計算する。ここでレベル差をデシベルとしているが、比(BWs0/BWd0)でもよく、差(BWs0−BWd0)でもよい。以下では、レベル差をデシベルとした場合を例に説明する。なお、信号処理能力や演算時間等の観点から適した単位を用いることが好ましい。
計算したレベル差Rdが予め定めた範囲内(例えば、−0.5<Rd<0.5)である場合、処理を終了する。レベル差Rdが当該範囲内ではない場合、位相の調整(ステップS103)に遷移する。
線形伝達経路220の出力の成分(これは遅延差を除くと分配器1000の出力と同じである)は3次歪成分と重なり合うため、電力測定部1701にて3乗算器1100の出力からは線形伝達経路220の出力の成分を0に低減できたか否かを判別しえない。このため、レベル差Rdを0近傍にすることによって、線形伝達経路220の出力の成分を少なくともBWd0のレベル以下にすることができ、BWs0で生じる干渉を低減できる。
振幅の簡易な設定方法として、レベル差Rdが最も小さくなるときの振幅値を設定するようにしてもよい。すなわち、BWs0がBWd0に対して最も小さくなるようにしてもよい。これは、3次歪成分の帯域特性が台形状となる場合、BWs0の電力がBWd0の電力を下回ることはないためである。
3次歪発生器制御部28100はベクトル調整器1321に与える位相の調整量の調整を行う。具体的な調整方法は後述する。ステップS103の処理を行った後、ステップS101の処理を再び行う(ステップS101a)。
ステップS102の処理と同様に、計算したレベル差Rdが予め定めた範囲内である場合、処理を終了する。範囲内ではない場合には、ステップS100の処理に戻る。
ここで、S104の処理が予め定められた回数繰り返された場合には、処理を終了してもよい。この場合、3次歪発生器制御部28100は、レベル差Rdが最も良い結果(言い換えると、予め定められた範囲に最も近い結果)となる振幅と位相の調整量をベクトル調整器1321に設定する。このためには、これまでに設定された振幅と位相に対応するレベル差を記憶しておくのがよい。
ステップS100の処理にてレベル差Rdが予め定めた範囲内に入った場合には、ステップS101の処理を省略してもよい。これによって、レベル差の測定回数を減らすことで計算時間の短縮が図れる。
ステップS110からS115に示すように異なる3点の振幅値(Y0,Y1,Y2)においてBWs0の電力(P0,P1,P2)をそれぞれ測定し、記憶する。次いで、最小二乗法により振幅値とBWs0の関係を示す2次関数(P=a2Y2+a1Y+a0)の係数(a2,a1,a0)を求める。求めた2次関数においてP=BWd0となるYADJを導出する。2次関数であるため、2つのYADJが求まるが、YADJは振幅値であり、負の値は存在しないことから正となる値とする(S116)。最後に求めたYADJをベクトル調整器に設定する(S117)。
ステップS112においてBWs0の電力だけでなくBWd0の電力も合わせて測定してもよい。BWs0とBWd0の電力からレベル差を求め、レベル差が予め定めた範囲内になった場合、設定した振幅値をYADJとしてもよい。これにより、振幅値の調整に要する時間を短縮できる。
位相値についても同様の処理を行ってもよい。この場合、2次関数ではなく三角関数(P=b2sin(Z−b1)+b0)の係数(b2,b1,b0)を求めてもよい。ただしZは位相値である。
図13に第2実施形態のプリディストータ40000とその周辺装置のブロック図を示す。第1実施形態との違いは、5次歪発生経路43100が追加されている点と、歪測定器271と制御器28001のそれぞれの構成にある。
5次歪発生経路43100は、5次歪発生器43110、5次歪ベクトル調整器43120、5次周波数特性補償器23430を備える。5次歪発生器43110は、5次歪発生器43110に入力する信号を5乗し、5次歪成分を生成する。5次歪ベクトル調整器43120は、5次歪発生器43110の出力の振幅と位相をそれぞれ調整する。5次周波数特性補償器23430は、5次歪ベクトル調整器43120の出力を時間領域から周波数領域に変換し、予め定めた帯域毎に5次歪ベクトル調整器43120の出力の振幅と位相をそれぞれ調整してから時間領域に戻し、時間領域に戻された信号を加算器240へ出力する。
加算器240は、線形伝達経路220、3次歪発生経路23100、5次歪発生経路43100の各出力を合成し、DAC250に出力する。
ステップS1000は、ステップS300、S301、302を含み、ステップS1100は、ステップS400、S401、S302を含み、ステップS1200は、ステップS301、S304、S302を含み、ステップS1300は、ステップS401、S402、S302を含み、ステップS1400は、ステップS305、S302を含み、ステップS1500は、ステップS403、S302を含む。
ステップS300、S301、S302、S303は第1実施形態と同じであるため説明を省略する。ただし、5次歪成分を補償するため、ステップS302では次隣接のACLRの測定、ステップS303では次隣接も含めたすべてのACLRを測定する。また、ステップS303において、測定したすべてのACLRが予め定めた目標値以下となる場合に処理を終了する。このとき、次隣接のACLRの目標値と隣接のACLRの目標値は異なる値でもよい。隣接のACLRの目標値よりも次隣接のACLRの目標値を無線通信方式の規格値を満たす範囲で緩和することによって、プリディストータ40000の調整にかかる時間を短縮できる場合がある。
歪発生経路制御部28401は、1回目のステップS303でACLRが目標値以下とならない場合、5次歪発生器43110で発生する歪成分による干渉が予め定められた範囲内になるように5次歪発生器制御部28120に指示する。5次歪発生器制御部28120は、後述する方法を用いてベクトル調整器1322,1331に与える振幅値と位相値の調整量を調整する。干渉が予め定められた範囲内となった場合、5次歪発生器制御部28120はベクトル調整器1322,1331の調整が完了したことを歪発生器制御部28401に通知する。
歪発生経路制御部28401は、電力増幅器330で発生する5次歪成分のうち上側帯域もしくは下側帯域どちらか一方の成分を低減するように5次歪ベクトル調整器制御部28220に指示する。ここでは、3次歪ベクトル調整器の調整で選んだ帯域と反対側の帯域を選択した場合、歪成分を十分に低減できない懸念があるため、3次歪ベクトル調整器の調整で選んだ帯域と同じ側の帯域を調整対象にすることが望ましい。5次歪ベクトル調整器制御部28220は、上述した摂動法や2次関数近似を用いた方法を用いて5次歪ベクトル調整器43120に与える振幅値と位相値の調整量を調整する。5次歪ベクトル調整器制御部28220は、5次歪ベクトル調整器43120の調整に必要となる電力増幅器330で発生する5次歪成分の電力を、歪発生経路制御部28401を介して歪測定器271から得る。5次歪ベクトル調整器43120の調整が完了した場合、5次歪ベクトル調整器制御部28220は調整が完了したことを歪発生経路制御部28401に通知する。
歪発生経路制御部28401は、ステップS401で選択された帯域と同じ側の帯域の歪成分を低減するように5次歪発生器制御部28120に指示する。5次歪発生器制御部28120は、電力増幅器330で発生する5次歪成分を低減するように従来の手法である摂動法や2次関数近似を用いた方法を用いてベクトル調整器1322,1331に与える振幅値と位相値の調整量を調整する。5次歪発生器制御部28120は、ベクトル調整器1322,1331の調整に必要となる電力増幅器330で発生する5次歪成分の電力を、歪発生経路制御部28401を介して歪測定器271から得る。ベクトル調整器1322,1331の調整が完了した場合、5次歪発生器制御部28120は調整が完了したことを歪発生経路制御部28401に通知する。ステップS402の処理では、ベクトル調整器1331,1322の順に調整することが好ましい。また、電力増幅器330の特性によってベクトル調整器1331,1321に与える振幅値と位相値の調整量を繰り返し調整することによって、より5次歪成分を低減できる場合には、調整を繰り返し行うことが好ましい。
ステップS402の処理の後、ステップS302とS303の各処理を行う。ステップS303の処理においてACLRが目標値を超える場合にはステップS1400の処理を行う。
ステップS1400はS305とS302の処理を有する。ステップS1400の処理を経たステップS303の処理においてACLRが目標値以下とならない場合にはステップS1500の処理を行う。
ステップS1500の処理はステップS403とS302の処理を有する。
歪発生経路制御部28401は、電力増幅器330で発生する5次歪成分を低減するように5次周波数特性補償器制御部28320に指示する。5次周波数特性補償器制御部28320は、従来の手法である摂動法や2次関数近似を用いた方法を用いて5次周波数特性補償器23430の分割した各帯域に与える振幅値と位相値の調整量を調整する。5次周波数特性補償器制御部28320は、5次周波数特性補償器23430の調整に必要となる電力増幅器330で発生する5次歪成分の電力を、歪発生経路制御部28401を介して歪測定器271から得る。5次周波数特性補償器23430の調整が完了した場合、5次周波数特性補償器制御部28320は調整が完了したことを歪発生経路制御部28401に通知する。
信号処理の回数を減らして調整時間を短縮するため、ステップS1200におけるS301の後、S302とS303の各処理を行ってもよい。ステップS1300の処理についても同様である。
LTE-Advancedといった無線通信方式において、複数の周波数帯域(以下、コンポーネントキャリアともいう)を同時に使用するキャリアアグリゲーション(以下、CAともいう)と呼ばれる技術がある。本実施形態ではCAに対応するプリディストータの構成とその制御法を説明する。図17に2個のコンポーネントキャリアを不連続に配置した例を示すが、連続に配置する場合もある。この実施形態では、図17に示すように信号帯域Abと信号帯域Bbが離れた帯域にある場合のCAに対応するプリディストータを示している。ここでは、信号帯域Abと信号帯域Bbにそれぞれ1つのコンポーネントキャリアを割り当てた場合について説明するが、信号帯域Abと信号帯域Bbにそれぞれ複数のコンポーネントキャリアを割り当てた場合や、信号帯域Abと信号帯域Bb以外の第3の信号帯域を用いる場合についても同様の考え方で構成を拡張して実施できる。また、本実施形態では周波数特性補償器を示していないが、上述の方法と同様に周波数特性補償器を追加してもよい。
ここでは、3次歪成分を用いた場合について説明するが、5次以上の高次歪成分を用いた場合についても同様の考え方で構成を拡張して実施できる。
歪補償信号発生経路909は、3次歪信号|s1|2s1を発生する3次歪発生器9092A1と3次歪信号|s1|2s1のベクトル係数(振幅と位相)の調整を行う3次歪ベクトル調整器9092A2を含む歪信号生成部9092Aと、3次歪信号|s2|2s2を発生する3次歪発生器9092B1と3次歪信号|s2|2s2のベクトル係数(振幅と位相)の調整を行う3次歪ベクトル調整器9092B2を含む歪信号生成部9092Bと、相互変調歪信号2|s2|2s1と2|s1|2s2を発生する相互変調歪生成部30950と相互変調歪信号2|s2|2s1のベクトル係数(振幅と位相)の調整を行う副3次歪ベクトル調整器90951と相互変調歪信号2|s1|2s2のベクトル係数(振幅と位相)の調整を行う副3次歪ベクトル調整器90952とを含む副歪信号生成部3095と、分配器302Aからの信号を歪信号生成部9092Aと副歪信号生成部3095にそれぞれ分配する信号分配部9091Aと、分配器302Bからの信号を歪信号生成部9092Bと副歪信号生成部3095にそれぞれ分配する信号分配部9091Bと、歪信号生成部9092Aの出力と副歪信号生成部3095の出力と歪信号生成部9092Aの出力とを合成する信号合成部3093を含む。信号合成部3093の出力は信号加算器303の入力となる。3次歪ベクトル調整器9092A2、3次歪ベクトル調整器9092B2、副3次歪ベクトル調整器90951、副3次歪ベクトル調整器90952のそれぞれで調整するベクトル係数の値は制御器307の指示に基づく。3次歪発生器9092A1の構成は、3次歪発生器23110と同じである。3次歪発生器9092B1の構成は、3次歪発生器23110と同じである。
計算回路309501Bは、信号分配部9091A,9091Bからの出力信号から3次歪成分(上式の2|s1|2s2)を生成する。ベクトル調整回路309502Bは、3次歪発生器制御部3071からの制御情報に基づいて信号分配部9091Bからの出力の振幅と位相を調整する。合成回路309503Bは、計算回路309501Bからの信号とベクトル調整回路309502Bからの信号を合成し、副3次歪ベクトル調整器90952へ出力する。電力測定回路309504Bは、3次歪発生器制御部3071からの指示に従い合成回路309503Bの出力における電力を測定するとともに測定した電力を3次歪発生器制御部3071に通知する。
歪発生経路制御部3075は、ステップS300の処理と同様の処理によって干渉が予め定められた範囲内となるように3次歪発生器9092A1,9092B1、ベクトル調整回路309502A,309502Bを調整するように3次歪発生器制御部3071に指示し、3次歪発生器制御部3071の制御の下でそれぞれの位相と振幅が調整される(S300p,S300q,S300r,S300s)。ここで、3次歪発生器9092A1,9092B1、ベクトル調整回路309502A,309502Bを順番に制御してもよいものの、同時並行的に行うことによって高速化を図れる場合がある。
歪発生経路制御部3075は、歪測定器306から通知された送信帯域Ab,Bbの上側/下側ACLRがどちらも予め定めた目標値以下となる場合、処理を終了する。ACLRが予め定めた目標値を超える場合、以下に示すステップS2200に遷移する。
歪発生経路制御部3075は、ステップS2000で選択された歪成分を低減するように3次歪発生器制御部3071と3次歪ベクトル調整器制御部3072にそれぞれ指示する。3次歪発生器制御部3071は、ステップS304の処理と同様の処理によって3次歪発生器9092A1,9092B1、ベクトル調整回路309502A,309502Bを制御する。3次歪ベクトル調整器制御部3072は、ステップS301の処理と同様の処理によって3次歪ベクトル調整器9092A2,9092B2、副3次歪ベクトル調整器90951,90952を制御する(S301p,S301q,S301r,S301s)。
ACLRが目標値以下となる場合、処理を終了する。ACLRが予め定めた目標値を超える場合、ステップS2200の処理を繰り返し行う。
Claims (6)
- 電力増幅器で発生する歪成分を打ち消すような歪補償信号を入力信号に予め付加するプリディストータであって、
Kを予め定められた2以上の整数として、
上記入力信号を遅延伝達する線形伝達経路と、
上記入力信号の(2K−1)次歪信号を生成する(2K−1)次歪発生器と、当該(2K−1)次歪信号の振幅と位相を調整する(2K−1)次歪ベクトル調整器とを含み、上記歪補償成分を出力する歪発生経路と、
上記線形伝達経路の出力と上記歪発生経路の出力とを合成する合成器と、
上記合成器の出力に対して電力増幅を行う上記電力増幅器の出力に含まれる隣接チャネル漏洩電力を測定する歪測定器と、
上記歪測定器の測定結果に基づいて上記歪発生経路の制御を行う制御器と
を含み、
上記(2K−1)次歪発生器は、上記入力信号から上記(2K−1)次歪信号および(2K−1)次未満の各信号を生成するとともに、当該(2K−1)次未満の各信号の振幅と位相を調整し、
上記制御器は、上記電力増幅器の出力に含まれる隣接チャネル漏洩電力が予め定められた基準を満たすように、上記(2K−1)次未満の各信号の振幅と位相の調整量を決定する
ことを特徴とするプリディストータ。 - 請求項1に記載のプリディストータであって、
上記(2K−1)次歪発生器は、
K=2の場合:
上記入力信号を用いて(2K−1)次歪信号を発生する(2K−1)乗算器と、
上記入力信号の振幅と位相を調整するベクトル調整器と、
上記ベクトル調整器の出力と上記(2K−1)乗算器の出力を加算し、加算結果を上記(2K−1)次歪発生器の出力とする加算器とを含み、
K>2の場合:
jは2≦j<Kを満たす各整数を表すとして、
上記入力信号を用いて(2K−1)次歪信号を発生する(2K−1)乗算器と、
上記入力信号の振幅と位相を調整するベクトル調整器と、
上記入力信号を用いて(2j−1)次歪信号を発生する(2j−1)乗算器と、上記(2j−1)次歪信号の振幅と位相を調整する(2j−1)次ベクトル調整器と、
上記(2j−1)次ベクトル調整器の出力と上記ベクトル調整器の出力と上記(2K−1)乗算器の出力を加算し、加算結果を上記(2K−1)次歪発生器の出力とする加算器を含み、
上記制御器は、
K=2の場合:
上記ベクトル調整器に与える振幅と位相の調整量を決定し、
K>2の場合:
上記ベクトル調整器に与える振幅と位相の調整量と、上記(2j−1)次ベクトル調整器のそれぞれに与える振幅と位相の調整量を決定する
ことを特徴とするプリディストータ。 - 請求項1または請求項2に記載のプリディストータであって、
上記(2K−1)次歪ベクトル調整器による上記調整は、上記(2K−1)次未満の各信号の振幅と位相の調整を経た上記(2K−1)次歪信号の振幅と位相に対して行われる
ことを特徴とするプリディストータ。 - 電力増幅器で発生する歪成分を打ち消すような歪補償信号を、複数のコンポーネントキャリアを含む入力信号に予め付加するプリディストータであって、
Kを予め定められた2以上の整数として、
上記コンポーネントキャリアの信号を遅延伝達する線形伝達経路と、
上記コンポーネントキャリアごとに当該コンポーネントキャリアの信号だけを用いて得られる(2K−1)次の自己歪信号を生成する(2K−1)次自己歪信号発生器と、互いに異なる二つ以上の上記コンポーネントキャリアの信号を用いて得られる相互変調歪信号のうち少なくとも一部(以下、自己歪信号と相互変調歪信号のうち少なくとも一部を歪信号と総称する)のそれぞれを生成する相互変調歪信号生成器と、これら歪信号それぞれに対応して設けられており、対応する歪信号の振幅と位相を調整するベクトル調整器とを含み、上記歪補償信号を出力する歪発生経路と、
上記線形伝達経路の出力と上記歪補償信号発生経路の出力とを合成する合成器と、
上記合成器の出力に対して電力増幅を行う上記電力増幅器の出力に含まれる隣接チャネル漏洩電力を測定する歪測定器と、
上記歪測定器の測定結果に基づいて上記歪発生経路の制御を行う制御器と
を含み、
上記(2K−1)次自己歪信号発生器は、上記(2K−1)次自己歪信号および当該(2K−1)次自己歪信号の生成に用いた上記コンポーネントキャリアの信号だけを用いて得られる(2K−1)次未満の各信号を生成するとともに、当該(2K−1)次未満の各信号の振幅と位相を調整し、
上記相互変調歪信号生成器は、上記相互変調歪信号生成器に入力される信号の振幅と位相を調整し、
上記制御器は、上記電力増幅器の出力に含まれる隣接チャネル漏洩電力が予め定められた基準を満たすように、上記(2K−1)次未満の各信号の振幅と位相の調整量と、上記相互変調歪信号生成器に入力される信号の振幅と位相の調整量を決定する
ことを特徴とするプリディストータ。 - 電力増幅器で発生する歪成分を打ち消すような歪補償信号を入力信号に予め付加するプリディストータの制御方法であって、
上記プリディストータは、
Kを予め定められた2以上の整数として、
上記入力信号を遅延伝達する線形伝達経路と、
上記入力信号の(2K−1)次歪信号を生成する(2K−1)次歪発生器と、当該(2K−1)次歪信号の振幅と位相を調整する(2K−1)次歪ベクトル調整器とを含み、上記歪補償成分を出力する歪発生経路と、
上記線形伝達経路の出力と上記歪発生経路の出力とを合成する合成器と、
上記合成器の出力に対して電力増幅を行う上記電力増幅器の出力に含まれる隣接チャネル漏洩電力を測定する歪測定器と、
上記歪測定器の測定結果に基づいて上記歪発生経路の制御を行う制御器と
を含み、
上記制御方法は、
上記(2K−1)次歪発生器が、上記入力信号から上記(2K−1)次歪信号および(2K−1)次未満の各信号を生成するとともに、当該(2K−1)次未満の各信号の振幅と位相を調整するステップと、
上記制御器が、上記電力増幅器の出力に含まれる隣接チャネル漏洩電力が予め定められた基準を満たすように、上記(2K−1)次未満の各信号の振幅と位相の調整量を決定するステップと
を有することを特徴とするプリディストータの制御方法。 - 電力増幅器で発生する歪成分を打ち消すような歪補償信号を、複数のコンポーネントキャリアを含む入力信号に予め付加するプリディストータの制御方法であって、
上記プリディストータは、
Kを予め定められた2以上の整数として、
上記コンポーネントキャリアの信号を遅延伝達する線形伝達経路と、
上記コンポーネントキャリアごとに当該コンポーネントキャリアの信号だけを用いて得られる(2K−1)次の自己歪信号を生成する(2K−1)次自己歪信号発生器と、互いに異なる二つ以上の上記コンポーネントキャリアの信号を用いて得られる相互変調歪信号のうち少なくとも一部(以下、自己歪信号と相互変調歪信号のうち少なくとも一部を歪信号と総称する)のそれぞれを生成する相互変調歪信号生成器と、これら歪信号それぞれに対応して設けられており、対応する歪信号の振幅と位相を調整するベクトル調整器とを含み、上記歪補償信号を出力する歪発生経路と、
上記線形伝達経路の出力と上記歪補償信号発生経路の出力とを合成する合成器と、
上記合成器の出力に対して電力増幅を行う上記電力増幅器の出力に含まれる隣接チャネル漏洩電力を測定する歪測定器と、
上記歪測定器の測定結果に基づいて上記歪発生経路の制御を行う制御器と
を含み、
上記制御方法は、
上記(2K−1)次自己歪信号発生器が、上記(2K−1)次自己歪信号および当該(2K−1)次自己歪信号の生成に用いた上記コンポーネントキャリアの信号だけを用いて得られる(2K−1)次未満の各信号を生成するとともに、当該(2K−1)次未満の各信号の振幅と位相を調整するステップと、
上記相互変調歪信号生成器が、上記相互変調歪信号生成器に入力される信号の振幅と位相を調整するステップと、
上記制御器が、上記電力増幅器の出力に含まれる隣接チャネル漏洩電力が予め定められた基準を満たすように、上記(2K−1)次未満の各信号の振幅と位相の調整量と、上記相互変調歪信号生成器に入力される信号の振幅と位相の調整量を決定するステップと
を有することを特徴とするプリディストータの制御方法。
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