JP2013084778A - 不揮発性記憶装置の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】酸素不足度の異なる遷移金属酸化物層を積層して抵抗変化層に用いた不揮発性記憶装置において、素子特性のばらつきを従来よりもさらに抑制する。
【解決手段】第1電極層を形成する工程(A)と、第1電極層の上に酸素不足型の遷移金属酸化物で構成される第1抵抗変化層を形成する工程(B)と、第1抵抗変化層の上端面を液体の酸化剤で化学的に酸化処理して中間酸化層を形成する工程(C)と、中間酸化層をさらに酸化し、第1抵抗変化層の上に第1抵抗変化層を構成する遷移金属酸化物よりも酸素不足度が少ない遷移金属酸化物で構成される第2抵抗変化層を形成する工程(D)と、第2抵抗変化層の上に、第2電極層を形成する工程(E)と、を有する、不揮発性記憶装置の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、電圧パルスの印加により、抵抗値が変化する抵抗変化型の不揮発性記憶装置の製造方法に関する。
近年、デジタル技術の進展に伴って携帯情報機器や情報家電等の電子機器がより一層高機能化している。これらの電子機器の高機能化に伴い、使用される半導体素子の微細化及び高速化が急速に進んでいる。その中でも、フラッシュメモリに代表されるような大容量の不揮発性メモリの用途が急速に拡大している。さらに、このフラッシュメモリに置き換わる次世代の新型不揮発性メモリとして、いわゆる抵抗変化型素子を用いた不揮発性記憶装置の研究開発が進んでいる(例えば、特許文献1参照)。
ここで、抵抗変化型素子とは、電気的信号によって抵抗値が可逆的に変化する性質を有し、さらにはこの抵抗値に対応した情報を不揮発的に記憶することが可能な素子のことをいう。具体的には、抵抗変化型素子は、第1電極層と第2電極層との間に抵抗変化層を備えた構成をしている。バイポーラ型の抵抗変化型素子の場合、抵抗変化型素子の第1電極層と第2電極層に極性が異なるパルス電圧を印加すると、抵抗変化層に抵抗変化現象が発現する。すなわち、例えば、負電圧パルスを電極間に印加した場合、抵抗変化層は低抵抗状態となる。逆に、正電圧パルスを電極間に印加した場合、抵抗変化層は低抵抗状態から高抵抗状態に変化する。抵抗変化型素子を用いた不揮発性記憶装置は、抵抗変化層の高抵抗状態と低抵抗状態の少なくとも2値(2状態)を利用して、記録の書き込み、読み出しを行う記憶装置である。
特許文献1では、不揮発性記憶装置の抵抗変化層に関し、酸素含有率の異なるタンタル酸化物層を積層して抵抗変化層に用いた抵抗変化型素子が開示されている。
国際公開第2008/149484号
図7は、特許文献1に開示されている不揮発性記憶装置の概略構成の一例を示す断面図である。該不揮発性記憶装置は、酸素含有率の異なるタンタル酸化物層を積層して抵抗変化層を形成した抵抗変化型素子を備えている。ここで、酸素含有率とは、タンタル酸化物を構成する総原子数に対する酸素原子数の比である。また、酸素不足度とは、それぞれの遷移金属において、その化学量論的組成の酸化物を構成する酸素の量に対し、不足している酸素の割合をいう。
図7に示すように、不揮発性記憶装置20は、第1配線201が形成された基板200と、この基板200上に第1配線201を覆うように形成された第1層間絶縁層202と、第1層間絶縁層202を貫通する第1コンタクトホール203の内部に埋め込まれた第1コンタクトプラグ204とを有している。そして、第1コンタクトプラグ204を被覆するように、第1層間絶縁層202上には、第1電極層205と、抵抗変化層206と、第2電極層207とで構成される抵抗変化型素子212が形成されている。第1コンタクトプラグ204を介して、第1配線201と第1電極層205とが電気的に接続されている。
さらに、この抵抗変化型素子212を被覆するように、第2層間絶縁層208が形成され、この第2層間絶縁層208を貫通する第2コンタクトホール209の内部には、第2コンタクトプラグ210が形成されている。第2コンタクトプラグ210を被覆して、第2層間絶縁層208上には、第2配線211が形成されている。第2コンタクトプラグ210を介して、第2電極層207と第2配線211とが電気的に接続されている。
抵抗変化層206は、第1タンタル酸化物層206aと第2タンタル酸化物層206bとの積層構造で構成される。第2タンタル酸化物層206bの酸素含有率は、第1タンタル酸化物層206aより高い。ここで、第2タンタル酸化物層206bを構成する材料は、例えば2.1≦yを満足するTaOで表される組成を有している。また、第1タンタル酸化物層206aを構成する材料は、例えば0.8≦x≦1.9を満たすTaOで表される組成を有する。第2タンタル酸化物層206bの酸素含有率は、第1タンタル酸化物層206aの酸素含有率よりも高いため、第2タンタル酸化物層206bの抵抗率は第1タンタル酸化物層206aの抵抗率よりも高い。
このような従来の不揮発性記憶装置の製造方法において、形成直後の第1タンタル酸化物層206aの表面は、酸素、炭素に代表されるような原子と反応しやすい活性な状態となっている。例えばクリーンルーム内で放置した場合、酸素、炭素に代表される原子が第1タンタル酸化物層206aの表面に付着する。そうすると、第1タンタル酸化物層表面には不純物を含む自然酸化膜が形成される。その後の工程で、例えばプラズマ酸化等により第2タンタル酸化物層を形成する際、第2タンタル酸化物層の仕上がり膜厚は上記した自然酸化膜の影響を受けやすく、ばらつきやすくなる。また、自然酸化膜は不純物が反応を起こして欠陥を生じさせる為、結果的に抵抗変化特性の悪化及びばらつきが増大するという課題がある。
本発明は、酸素不足度の異なる遷移金属酸化物層を積層して抵抗変化層に用いた不揮発性記憶装置において、素子特性のばらつきを従来よりも抑制することを目的とする。
本発明者らは、酸素不足度の異なる遷移金属酸化物層を積層して抵抗変化層に用いた不揮発性記憶装置において、素子特性のばらつきを抑制すべく、鋭意検討を行った。その結果、抵抗変化層を構成する下層側の第1抵抗変化層の上端面を液体の酸化剤で処理することで、自然酸化膜の影響を低減でき、素子の特性ばらつきを抑制できることを見出した。液体の酸化剤で化学的に酸化処理することで、第1抵抗変化層の上端面が酸化され、中間酸化層が形成される。これにより、自然酸化膜の発生を抑制できる。液体の酸化剤での処理により、第1抵抗変化層の表面に付着した不純物が除去されると、さらに、素子の特性ばらつきが抑制される。
すなわち上記課題を解決するために、本発明に係る不揮発性記憶装置の製造方法は、第1電極層を形成する工程と、前記第1電極層の上に酸素不足型の遷移金属酸化物で構成される第1抵抗変化層を形成する工程と、前記第1抵抗変化層の上端面を液体の酸化剤で化学的に酸化処理して中間酸化層を形成する工程と、前記中間酸化層をさらに酸化し、前記第1抵抗変化層の上に当該第1抵抗変化層を構成する遷移金属酸化物よりも酸素不足度が少ない遷移金属酸化物で構成される第2抵抗変化層を形成する工程と、前記第2抵抗変化層の上に、第2電極層を形成する工程と、を有する。
係る構成では、素子特性のばらつきを従来よりもさらに抑制することができる。
「中間酸化層をさらに酸化し」とは、中間酸化層のみを酸化する場合のみならず、中間酸化層に加え、その下側にある第1抵抗変化層の一部をも酸化する場合を含む。
上記不揮発性記憶装置の製造方法において、前記第2抵抗変化層を形成する工程は、前記中間酸化層をプラズマ酸化する工程であってもよい。
上記不揮発性記憶装置の製造方法において、前記液体の酸化剤が、SPM、APM、Hを含む薬液、Oを含む薬液からなる群から選ばれた少なくとも一つを含む薬液であってもよい。
上記不揮発性記憶装置の製造方法において、前記遷移金属酸化物が、タンタル酸化物、ハフニウム酸化物、ジルコニウム酸化物からなる群から選ばれた少なくとも一つの遷移金属酸化物であってもよい。
上記不揮発性記憶装置の製造方法において、前記遷移金属酸化物はタンタル酸化物であり、前記第1抵抗変化層を構成する遷移金属酸化物をTaO、前記第2抵抗変化層を構成する遷移金属酸化物をTaOとするとき、0.8≦x≦1.9、及び、x<yを充足してもよい。
上記不揮発性記憶装置の製造方法において、前記第2抵抗変化層を構成する遷移金属酸化物が絶縁物であってもよい。
本発明の上記目的、他の目的、特徴、及び利点は、添付図面参照の下、以下の好適な実施態様の詳細な説明から明らかにされる。
本発明に係る不揮発性記憶装置の製造方法では、酸素不足度の異なる遷移金属酸化物層を積層して抵抗変化層に用いた不揮発性記憶装置において、素子特性のばらつきを従来よりもさらに抑制できる。
図1は、第1実施形態に係る不揮発性記憶装置の製造方法の一例を示したフローチャートである。 図2Aは、第1実施形態の第1実施例に係る不揮発性記憶装置の製造方法において、基板上に第1配線を形成する工程を示す図である。 図2Bは、第1実施形態の第1実施例に係る不揮発性記憶装置の製造方法において、基板上に、第1配線を覆うように第1層間絶縁層を形成する工程を示す図である。 図2Cは、第1実施形態の第1実施例に係る不揮発性記憶装置の製造方法において、第1層間絶縁層を貫通して第1配線を露出するように第1コンタクトホールを形成する工程を示す図である。 図2Dは、第1実施形態の第1実施例に係る不揮発性記憶装置の製造方法において、第1コンタクトホールを充填するように導電性材料層を堆積する工程を示す図である。 図2Eは、第1実施形態の第1実施例に係る不揮発性記憶装置の製造方法において、第1層間絶縁層の上端面よりも上側にある導電性材料を除去して第1コンタクトプラグを形成する工程を示す図である。 図2Fは、第1実施形態の第1実施例に係る不揮発性記憶装置の製造方法において、第1コンタクトプラグを覆うように、第1電極層と第1抵抗変化層とを形成する工程を示す図である。 図2Gは、第1実施形態の第1実施例に係る不揮発性記憶装置の製造方法において、第1抵抗変化層の上端面を液体の酸化剤で化学的に酸化処理して中間酸化層を形成する工程を示す図である。 図2Hは、第1実施形態の第1実施例に係る不揮発性記憶装置の製造方法において、中間酸化層をさらに酸化して第2抵抗変化層を形成する工程を示す図である。 図2Iは、第1実施形態の第1実施例に係る不揮発性記憶装置の製造方法において、第2抵抗変化層の上に第2電極層を形成する工程を示す図である。 図2Jは、第1実施形態の第1実施例に係る不揮発性記憶装置の製造方法において、第1電極層と、第1抵抗変化層と、第2抵抗変化層と、第2電極層とをパターニングして不揮発性記憶素子を形成する工程を示す図である。 図2Kは、第1実施形態の第1実施例に係る不揮発性記憶装置の製造方法において、不揮発性記憶素子を覆うように第2層間絶縁層を形成する工程を示す図である。 図2Lは、第1実施形態の第1実施例に係る不揮発性記憶装置の製造方法において、第2層間絶縁層中に形成された第2コンタクトホール中に第2コンタクトプラグを充填し、第2コンタクトプラグの上に第2配線を形成する工程を示す図である。 図3は、第1実施形態の第1実験例において、中間酸化層を形成した場合と、中間酸化層を形成しなかった場合とで、第2抵抗変化層の厚みばらつきの違いを示す図である。 図4は、第1実施形態の第2実験例において、中間酸化層を形成した場合と、中間酸化層を形成しなかった場合とで、第2抵抗変化層形成前後のTa層膜厚とクリーンルーム内での放置時間との関係を示す図である。 図5は、第1実施形態の第3実験例において、中間酸化層を形成した場合と、中間酸化層を形成しなかった場合とで、素子の初期抵抗値のばらつきを示す図である。 図6は、第1実施形態の第3実験例において、中間酸化層を形成した場合の素子の抵抗変化特性を示す図である。 図7は、特許文献1に開示されている不揮発性記憶装置の概略構成の一例を示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る不揮発性記憶装置の製造方法の一例を示したフローチャートである。
図1に示すように、第1実施形態に係る不揮発性記憶装置の製造方法は、第1電極層を形成する工程(A)と、第1抵抗変化層を形成する工程(B)と、中間酸化層を形成する工程(C)と、第2抵抗変化層を形成する工程(D)と、第2電極層を形成する工程(E)とを備えている。
第1電極層を形成する工程(A)において、第1電極層の材料は特に限定されない。具体的には例えば、タンタル窒化物(TaN)、タングステン(W)、及びニッケル(Ni)等を第1電極層の材料として用いることができる。第1電極層の材料の標準電極電位は、第2電極層の材料の標準電極電位よりも低いのが好ましい。
第1電極層の形成には、例えば、スパッタ法(Sputtering)、CVD法(Chemical Vapor Deposition)、ALD法(Atomic Layer Deposition)などを用いることができる。
第1抵抗変化層を形成する工程(B)は、第1電極層の上に酸素不足型の遷移金属酸化物で構成される第1抵抗変化層を形成する工程である。
酸素不足型の遷移金属酸化物とは、化学量論的な組成を有する酸化物よりも酸素含有率の低い酸化物を言う。酸素含有率とは、例えば、酸化物を構成する総原子数に対する酸素原子数の比として定義されうる。
遷移金属酸化物の種類は特に限定されない。具体的には例えば、タンタル酸化物、ハフニウム酸化物、ジルコニウム酸化物からなる群から選ばれた少なくとも一つの遷移金属酸化物が好適に用いられる。遷移金属酸化物としてタンタル酸化物を用いる場合、第1抵抗変化層を構成する遷移金属酸化物をTaO(x:Ta原子数を1としたときのO原子数)とするとき、0.8≦x≦1.9を充足することが好ましい。
第1抵抗変化層は、第1電極層と物理的に接触していなくてもよい。例えば、コンタクトホール内に導電性材料が充填されたビアを介して、第1電極層と第1抵抗変化層とが接続されていてもかまわない。ただし、第1抵抗変化層は、第1電極層と物理的に接触していることが好ましい。
第1抵抗変化層の形成には、例えば、スパッタ法、CVD法、ALD法などを用いることができる。
中間酸化層を形成する工程(C)は、第1抵抗変化層の上端面を液体の酸化剤で化学的に酸化処理(chemical oxidation treatment)して中間酸化層を形成する工程である。
中間酸化層が形成されることで、空気中の酸素等による第1抵抗変化層の自然酸化が抑制される。
中間酸化層の形成では、例えば、液体の酸化剤を第1抵抗変化層の上端面に接触させつつ流し、第1抵抗変化層の表面を酸化すると共に、洗浄する。
液体の酸化剤の種類は、特に限定されない。具体的には例えば、APM(Ammonia hydroxide/hydrogen Peroxide Mixture)、SPM(Sulfuric acid hydrogen Peroxide. Mixture)、Hを含む薬液、Oを含む薬液からなる群から選ばれた少なくとも一つを含む薬液が好適に用いられる。薬液は水溶液であることが好ましい。液体の酸化剤は、洗浄及び酸化の両方の機能を備えていることが好ましい。
第2抵抗変化層を形成する工程(D)は、中間酸化層をさらに酸化し、第1抵抗変化層の上に第1抵抗変化層を構成する遷移金属酸化物よりも酸素不足度が少ない遷移金属酸化物で構成される第2抵抗変化層を形成する工程である。
ここで、工程(D)は、中間酸化層のみを酸化する場合のみならず、中間酸化層に加え、その下側にある第1抵抗変化層の一部をも酸化する場合を含む。なお、工程(D)では、中間酸化層の全部が酸化されて第2抵抗変化層となることが好ましい。中間酸化層の全部に加え、第1抵抗変化層の一部までが酸化されて第2抵抗変化層となることがさらに好ましい。
中間酸化層を酸化する方法は特に限定されない。具体的には例えば、中間酸化層をプラズマ酸化する方法が好適に用いられる。このとき、プラズマ酸化により、中間酸化層のみならず、その下側にある第1抵抗変化層の一部まで酸化されてもよい。中間酸化層を、プラズマ酸化ではなく、熱酸化法により酸化してもよい。
第2抵抗変化層は、第1抵抗変化層を構成する遷移金属酸化物よりも酸素不足度が少ない。例えば、第2抵抗変化層が第1抵抗変化層と同一の遷移金属の酸化物で構成される場合には、第2抵抗変化層は第1抵抗変化層を構成する遷移金属酸化物よりも酸素含有率の高い遷移金属酸化物で構成されるが、この場合の酸素含有率は特に限定されない。具体的には例えば、遷移金属酸化物が絶縁物となる酸素含有率であってもよい。言い換えると、第2の抵抗変化層の酸素不足度は、第1抵抗変化層の酸素不足度よりも少ない。酸素不足度とは、それぞれの遷移金属において、その化学量論的組成の酸化物を構成する酸素の量に対し、不足している酸素の割合をいう。例えば、遷移金属がタンタル(Ta)の場合、化学量論的な酸化物の組成はTaであるので、TaO2.5と表現できる。TaO2.5の酸素不足度は0%である。例えばTaO1.5の組成の酸素不足型のタンタル酸化物の酸素不足度は、酸素不足度=(2.5−1.5)/2.5=40%となる。これに対して、酸素含有率とは、当該遷移金属酸化物を構成する総原子数に対する含有酸素原子数の比率である。Taの酸素含有率は、総原子数に占める酸素原子数の比率(O/(Ta+O))であり、71.4atm%となる。したがって、酸素不足型のタンタル酸化物は、酸素含有率は0より大きく、71.4atm%より小さいことになる。
第1抵抗変化層及び第2抵抗変化層を構成する遷移金属酸化物としてタンタル酸化物を用いる場合、第1抵抗変化層を構成する遷移金属酸化物をTaO(x:Ta原子数を1としたときのO原子数)とし、第2抵抗変化層を構成する遷移金属酸化物をTaO(y:Ta原子数を1としたときのO原子数)とするとき、x<yを充足することが好ましい。
第2電極層を形成する工程(E)は、第2抵抗変化層の上に、第2電極層を形成する工程である。第2電極層の材料は特に限定されない。具体的には例えば、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、金(Au)、銅(Cu)及び銀(Ag)等を第2電極層の材料として用いることができる。第2電極層は、例えば、白金(Pt)、イリジウム(Ir)など、第2抵抗変化層となる遷移金属酸化物を構成する遷移金属及び第1電極層を構成する材料と比べて標準電極電位がより高い材料で構成する。また、第1電極層は、第2電極層より標準電極電位が低い材料(例えばTaN(タンタルナイトライド)等)を主成分とする電極材料で構成する。具体的には、第1抵抗変化層や第2抵抗変化層にタンタル酸化物を用いた場合、第1電極層は、TaN、W、Ni、Ta、Ti、Al等で構成される群から選択される材料で構成されることが望ましく、第2電極層は、Pt、Ir、Pd、Ag、Cu、Au等で構成される群から選択される材料で構成されることが望ましい。このような構成とすることにより、第2電極層と第2抵抗変化層の界面近傍の第2抵抗変化層中において、選択的に酸化還元反応が発生し、安定した抵抗変化現象が得られる。
第2電極の形成には、例えば、スパッタ法、CVD法、ALD法などを用いることができる。
第2電極層は、第2抵抗変化層と物理的に接触していなくてもよい。例えば、コンタクトホール内に導電性材料が充填されたビアを介して、第2電極層と第2抵抗変化層とが接続されていてもかまわない。ただし、第2電極層は、第2抵抗変化層と物理的に接触していることが好ましい。
本実施形態の不揮発性記憶装置に含まれる素子、すなわち不揮発性記憶素子は、それぞれの層を積層させたあとで、パターニングすることで形成されてもよいし、層間絶縁層に形成されたスルーホールの内部に各層が順次に形成されてもよい。複数の層の一部がスルーホールの外部に形成され、他の一部がスルーホールの内部に形成されてもよい。
工程(A)、工程(B)、工程(C)、工程(D)及び工程(E)は、この順で実行される。ただし、工程(A)〜工程(E)は必ずしも連続して行われる必要はなく、個々の工程の間に別の工程が行われてもよい。工程(A)〜工程(E)は必ずしも同一場所で行われる必要はなく、個々の工程が別々の場所で行われてもよい。
第1電極層、第1抵抗変化層、第2抵抗変化層及び第2電極層は、この順に積層されるが、それぞれの層の間に他の層が存在してもよい。例えば、第1電極層と第1抵抗変化層との間に、第1抵抗変化層を構成する遷移金属酸化物と酸素含有率の異なる遷移金属酸化物で構成される第3抵抗変化層が形成されていてもよい。あるいは例えば、第2抵抗変化層と第2電極層との間に第2抵抗変化層を構成する遷移金属酸化物と酸素含有率の異なる遷移金属酸化物で構成される第3抵抗変化層が形成されていてもよい。
本実施形態の不揮発性記憶装置は、ReRAM等の不揮発性記憶システムとして実施してもよい。
[第1実施例]
図2A〜2Lは、第1実施形態の第1実施例に係る不揮発性記憶装置の製造方法を示す工程図である。以下、図2A〜2Lを参照しつつ、本実施例の製造方法を説明する。
図2Aは、基板100上に第1配線101を形成する工程を示す図である。基板100は、例えば、シリコン基板が用いられる。第1配線101は、例えば、アルミニウムで構成される。第1配線101は、例えば、スパッタ法により第1配線材料層(厚さ400〜600nm)を形成後、所望のマスクとドライエッチングとを用いたパターニングにより、所望の形状に加工される。具体的には例えば、第1配線101の幅は0.25μm、厚さは450nmとしうる。
図2Bは、基板100上に、第1配線101を覆うように第1層間絶縁層102を形成する工程を示す図である。第1層間絶縁層102は、例えば、TEOS(オルトケイ酸テトラエチル)で構成される。第1層間絶縁層102は、例えば、CVD法により堆積され、CMPを用いて平坦化されることで形成される。具体的には例えば、第1層間絶縁層102の厚みは500〜1000nmとしうる。層間絶縁層102の材料としては、他にも、配線間の寄生容量を低減するという意味において、フッ素含有酸化物等(例えば、FSG:Fluorinated Silicate Glass)のlow−k材料(低誘電率材料)が好適に用いられる。
図2Cは、第1層間絶縁層102を貫通して第1配線101を露出するように第1コンタクトホール103を形成する工程を示す図である。第1コンタクトホール103は、例えば、所望のマスクとドライエッチングとを用いたパターニングを用いて形成される。具体的には例えば、第1コンタクトホール103の直径は50〜300nmとしうる。第1コンタクトホール103の直径は、第1配線101の幅よりも小さいことが好ましい。係る構成により、パターニングの際にマスク合わせずれが生じても、第1配線101と第1コンタクトプラグ104との接触面積を一定に保つことができる。その結果、例えば、接触面積のばらつきにより生じる、セル電流の変動を抑制できる。
図2Dは、第1コンタクトホール103を充填するように導電性材料層104Mを堆積する工程を示す図である。導電性材料層104Mは、例えば、以下の方法で形成される。まず、拡散バリアとして機能するチタン窒化物層(TiN層)を、厚さが5〜30nmとなるように、スパッタ法により形成する。次に、密着層として機能するチタン層(Ti層)を、厚さが5〜30nmとなるように、CVD法により形成する。さらに、コンタクトプラグの主たる構成要素となるタングステンを、厚さが200〜400nmとなるように、CVD法により形成する。これにより、第1コンタクトホール103が、積層構造の導電性材料層104M(W/Ti/TiN構造)で充填される。
図2Eは、第1層間絶縁層102の上端面よりも上側にある導電性材料を除去して第1コンタクトプラグ104を形成する工程を示す図である。導電性材料の除去は、例えば、CMPにより実行される。
図2Fは、第1コンタクトプラグ104を覆うように、第1電極層105Mと第1抵抗変化層106aFとを形成する工程を示す図である。第1電極層105Mは、例えば、タンタル窒化物(TaN)で構成される。第1抵抗変化層106aFは、例えば、TaO(0.8≦x≦1.9)で構成される。第1電極層105Mは、例えば、スパッタ法により形成される。第1抵抗変化層106aFは、例えば、タンタルで構成されるスパッタ法ターゲットを用いて酸素を含む雰囲気中でスパッタリングする反応性スパッタ法により形成される。
反応性スパッタ法の条件は、具体的には例えば、電源出力1000W、成膜圧力0.05Pa、アルゴン流量20sccm、酸素ガス流量21sccmである。同条件で形成した厚さ50nmの第1抵抗変化層106aFをRBS法により測定した結果、第1抵抗変化層106aFの組成(TaOにおけるxの値)は、x=1.22であった。以下、同条件で作成したTaO層の組成を、TaO1.22と表記する。また、組成分析を行ったものと同じ試料を用い、4端子測定法による抵抗値測定を行ったところ、第1抵抗変化層層106aFの抵抗率は3mΩcmであった。
第1電極層105Mの厚さは、例えば、20〜50nmとしうる。第1抵抗変化層106aFの厚さは、例えば、分光エリプソメトリ法を用いた測定値で、20〜50nmとしうる。
図2Fに示す工程は、第1実施形態における工程(A)及び工程(B)に相当する。
図2Gは、第1抵抗変化層106aFの上端面を液体の酸化剤で化学的に酸化処理して中間酸化層106bFを形成する工程を示す図である。中間酸化層106bFの厚さは、例えば、2〜3nmとしうる。
液体の酸化剤は、例えば、硫酸(HSO)と過酸化水素水(H)の混合液であるSPMが用いられる。SPM溶液におけるHSO:Hの体積比は、例えば、4:1としうる。SPM溶液は加熱して用いてもよい。例えば、SPM溶液の温度は、摂氏80度としうる。処理時間は5分としうる。上記条件で処理した、TaO1.22で構成される厚さ50nmの第1抵抗変化層106aF上のTa層を、分光エリプソメトリで測定した結果、厚さは2.4nmであった。
本実施例では、SPM溶液で処理することで、第1抵抗変化層106aFの上端面が洗浄されると共に、酸化される。中間酸化層106bFが形成されることで、空気中の酸素等による第1抵抗変化層106aFの自然酸化が抑制される。
図2Gに示す工程は、第1実施形態における工程(C)に相当する。
図2Hは、中間酸化層106bFをさらに酸化して第2抵抗変化層106cFを形成する工程を示す図である。第2抵抗変化層106cFの厚さは、例えば、4〜7nmとしうる。中間酸化層106bFの酸化は、例えば、酸素プラズマで基板表面を処理するプラズマ酸化により行われる。処理条件は、例えば、RF電源出力50W、基板温度270℃、O流量0.3SLMである。第2抵抗変化層106cFは、例えば、絶縁物であるTa(酸素含有率=71.4%)に近い組成で構成される。
供給されたプラズマは、中間酸化層106bFに注入されると共に、中間酸化層106bFの中を拡散し、第1抵抗変化層106aFにも注入される。このため、中間酸化層106bF及び第1抵抗変化層106aFの酸素濃度は表面側(上方)から上昇する。よって、以下の工程では、酸素濃度が上昇した中間酸化層106bFと、酸素濃度が上昇した第1抵抗変化層106aFとを、第2抵抗変化層106cFとする。
TaO1.22で構成される厚さ50nmの第1抵抗変化層106aFを、上記条件でプラズマ酸化して得られた第2抵抗変化層106cFの抵抗率を4端子測定法により測定しようとしたが、測定可能な上限値(10Ω/sq.)を超えていた。したがって、抵抗率は少なくとも5×10mΩ・cm以上と考えられた。
図2Hに示す工程は、第1実施形態における工程(D)に相当する。
図2Iは、第2抵抗変化層106cFの上に第2電極層107Mを形成する工程を示す図である。第2電極層107Mは、例えば、イリジウム(Ir)で構成される。第2電極層107Mは、例えば、スパッタ法により形成される。第2電極層107Mの厚さは、例えば、80nmとすることができる。
図2Iに示す工程は、第1実施形態における工程(E)に相当する。
図2Jは、第1電極層105Mと、第1抵抗変化層106aFと、第2抵抗変化層106cFと、第2電極層107Mとをパターニングして不揮発性記憶素子112を形成する工程を示す図である。パターニングは、例えば、所望のマスクとドライエッチングとを用いたパターニングを用いて実行される。
図2Kは、不揮発性記憶素子112を覆うように第2層間絶縁層108を形成する工程を示す図である。第2層間絶縁層108は、第1層間絶縁層102と同様の方法で形成されうる。第2層間絶縁層108を形成後、第2層間絶縁層108の残留応力を緩和すること、及び、第2層間絶縁層108に残留する水分を除去することを目的として、例えば、摂氏400度に加熱された加熱炉の中で、第2層間絶縁層108を10分間熱処理する。
図2Lは、第2層間絶縁層108中に形成された第2コンタクトホール109中に第2コンタクトプラグ110を充填し、第2コンタクトプラグ110の上に第2配線111を形成する工程を示す図である。第2コンタクトホール109と、第2コンタクトプラグ110と、第2配線111とは、第1コンタクトホール103と、第1コンタクトプラグ104と、第1配線101と同様の方法で形成されうる。
第2配線111を形成した後、第2配線を構成するアルミニウムの腐食を抑制することを目的として、例えば、摂氏400度に加熱された加熱炉の中で、素子を10分間熱処理することで、不揮発性記憶装置10が完成する。
[第1実験例]
第1実験例では、第1抵抗変化層の上に第2抵抗変化層を形成する場合において、中間酸化層を形成せずに第2抵抗変化層を形成する場合(中間酸化層無し、以下同様)と、中間酸化層を形成した後で第2抵抗変化層を形成する場合(中間酸化層有り、以下同様)とで、第2抵抗変化層の膜厚のばらつきを比較した。
素子の作成方法は、以下の通りとした。
まず、シリコン基板の上に、タンタルで構成されるスパッタ法ターゲットを用いて酸素を含む雰囲気中で反応性スパッタ法により、タンタル酸化物で構成される第1抵抗変化層を形成した。反応条件は電源出力1000W、成膜圧力0.05Pa、アルゴン流量20sccm、酸素ガス流量21sccmとした。第1抵抗変化層の膜厚は50nmとした。タンタル酸化物の酸素含有率は、RBS法で測定した結果、55%(原子比)であった。このタンタル酸化物をTaOで表すと、x=1.22となる。
第1抵抗変化層を形成してから2時間が経過した後、摂氏80度のSPM溶液(HSO:Hの体積比=4:1)を110秒、7回ウェハ上に吐出させることで、第1抵抗変化層の表面を洗浄及び酸化した。TaO1.22で構成される厚さ50nmの第1抵抗変化層上に形成された中間酸化層であるTa層を、分光エリプソメトリ(KLA TENCOR製UV−1250、以下各実験例につき同様)で測定した結果、厚さは2.4nmであった。
中間酸化層を形成してから2時間が経過した後、表面に中間酸化層が形成された第1抵抗変化層を、中間酸化層側から酸素プラズマで処理した。処理条件は、RF電源出力50W、ウェハ温度270℃、O流量0.3SLM、30秒とした。
これにより得られた第2抵抗変化層であるTa層の膜厚を、分光エリプソメトリで測定し、そのばらつきを計算した結果、3σ(σは標準偏差)の平均値に対する割合(%)は3.96%(ウェハ面内48点測定)であった。この結果を、「中間酸化層有り」とした。
「中間酸化層無し」では、第1抵抗変化層を形成してから4時間が経過した後、SPM溶液による処理を行わず、そのまま酸化プラズマ処理を行った。プラズマ処理の方法は「中間酸化層有り」と同条件とした。これにより得られた第2抵抗変化層であるTa層の膜厚を、分光エリプソメトリで測定し、そのばらつきを計算した結果、3σ(σは標準偏差)の平均値に対する割合は4.28%(ウェハ面内48点測定)であった。この結果を、「中間酸化層有り」とする。
図3は、第1実施形態の第1実験例において、中間酸化層を形成した場合と、中間酸化層を形成しなかった場合とで、第2抵抗変化層の厚みばらつきの違いを示す図である。図3に示すように、中間酸化層を形成することで、第2抵抗変化層の膜厚のばらつきを抑制することができた。
[第2実験例]
第2実験例では、第1抵抗変化層の上に第2抵抗変化層を形成する場合において、第1抵抗変化層を形成後、中間酸化層を形成せずにクリーンルームでウェハを3種類の異なる時間(2時間、1日、8日)だけ放置した場合(中間酸化層無し、以下同様)における、自然酸化で形成されるTa層の膜厚及び第2抵抗変化層形成後のTa層の膜厚と上記放置時間との関係と、第1抵抗変化層上に中間酸化層を形成した後にクリーンルームでウェハを3種類の異なる時間(2時間、1日、8日)だけ放置した場合(中間酸化層有り、以下同様)における、自然酸化で形成されるTa層の膜厚及び第2抵抗変化層形成後のTa層の膜厚と上記放置時間との関係とを比較した。
素子の作成方法は、以下の通りとした。
まず、シリコン基板の上に、タンタルで構成されるスパッタ法ターゲットを用いて酸素を含む雰囲気中で反応性スパッタ法により、タンタル酸化物で構成される第1抵抗変化層を形成した。反応条件は電源出力1000W、成膜圧力0.05Pa、アルゴン流量20sccm、酸素ガス流量21sccmとした。第1抵抗変化層の膜厚は50nmとした。タンタル酸化物の酸素含有率は、RBS法で測定した結果、55%(原子比)であった。このタンタル酸化物をTaOで表すと、x=1.22となる。
第1抵抗変化層を形成してから2時間後、摂氏80度のSPM溶液(HSO:Hの体積比=4:1)を110秒、7回ウェハ上に吐出させることで、第1抵抗変化層の表面を洗浄及び酸化した。TaO1.22で構成される厚さ50nmの第1抵抗変化層上に形成された中間酸化層であるTa層を、分光エリプソメトリで測定した結果、厚さは2.41nmであった。また、中間酸化層形成後のサンプルを1日クリーンルーム内で放置した場合に、中間酸化層であるTa層を、分光エリプソメトリで測定した結果、厚さは2.45nmであった。また、同様のサンプルを8日間クリーンルーム内で放置した場合に、中間酸化層であるTa層を、分光エリプソメトリで測定した結果、厚さは2.46nmであった。これらの結果を、「中間酸化層有り、第2抵抗変化層形成前」とした。
中間酸化層を形成した後に、クリーンルーム内で2時間放置したサンプル、中間酸化層を形成した後に、クリーンルーム内で1日放置したサンプル、及び、中間酸化層を形成した後に、クリーンルーム内で8日放置したサンプルのそれぞれについて、表面に中間酸化層が形成された第1抵抗変化層を、中間酸化層側から酸素プラズマで処理した。処理条件は、RF電源出力50W、ウェハ温度270℃、O流量0.3SLM、30秒とした。
これにより得られた第2抵抗変化層であるTa層の膜厚を、分光エリプソメトリで測定した。中間酸化層を形成してから2時間後に第2抵抗変化層を形成したサンプルのTa層の膜厚は4.54nmであった。また、中間酸化層を形成してから1日後に第2抵抗変化層を形成したサンプルのTa層の膜厚は4.58nm、中間酸化層を形成してから8日後に第2抵抗変化層を形成したサンプルのTa層の膜厚は4.59nmであった。この結果を、「中間酸化層有り、第2抵抗変化層形成後」とした。
「中間酸化層無し」では、第1抵抗変化層を形成してからクリーンルーム内で2時間放置した後、自然酸化膜であるTa層を、分光エリプソメトリで測定した結果、厚さは1.37nmであった。また、同様のサンプルで、第1抵抗変化層を形成してからクリーンルーム内で1日放置した後、自然酸化膜であるTa層を、分光エリプソメトリで測定した結果、厚さは1.61nmであった。また、同様のサンプルで、第1抵抗変化層を形成してからクリーンルーム内で8日放置した後、自然酸化膜であるTa層を、分光エリプソメトリで測定した結果、厚さは2.09nmであった。これらの結果を、「中間酸化層無し、第2抵抗変化層形成前」とした。
また、第1抵抗変化層を形成してから2時間が経過したサンプル、第1抵抗変化層を形成してから1日が経過したサンプル、及び、第1抵抗変化層を形成してから8日が経過したサンプルのそれぞれについて、SPM溶液による処理を行わず、そのまま酸化プラズマ処理を行った。プラズマ処理の方法は「中間酸化層有り」と同条件とした。これにより得られた第2抵抗変化層であるTa層の膜厚を、分光エリプソメトリで測定した結果、第1抵抗変化層を形成してから2時間後に第2抵抗変化層を形成したサンプルのTa層の膜厚は4.59nmであった。また、中間酸化層を形成してから1日後に第2抵抗変化層を形成したサンプルのTa層の膜厚は4.63nm、中間酸化層を形成してから8日後に第2抵抗変化層を形成したサンプルのTa層の膜厚は4.69nmであった。これらの結果を、「中間酸化層無し、第2抵抗変化層形成後」とした。
図4は、第1実施形態の第2実験例において、中間酸化層を形成した場合と、中間酸化層を形成しなかった場合とで、第2抵抗変化層形成前後のTa層の膜厚とクリーンルーム内での放置時間との関係を示す図である。図4に示すように、中間酸化層を形成することで、第2抵抗変化層形成前のTa層膜厚、及び第2抵抗変化層形成後のTa層膜厚のクリーンルーム内放置による変動を抑制することができた。
[第3実験例]
第3実験例では、中間酸化層無しの場合と、中間酸化層有りの場合とで、実際に不揮発性記憶素子を形成し、初期抵抗のばらつきを比較すると共に、抵抗変化動作を確認した。
素子の作成方法は、以下の通りとした。
まず、シリコン基板の上に、スパッタ法により、アルミニウムで構成される第1配線(厚さ400〜600nm)を形成した。第1配線は、マスクとドライエッチングとを用いたパターニングにより、所望の形状に加工した。第1配線の幅はここでは0.25μmとした。
次に、基板上に形成された第1配線を覆うように、TEOSを用いてCVD法により、第1層間絶縁層(厚さ500〜1000nm)を形成し、第1層間絶縁層の上端面をCMPにより平坦化した。
次に、第1層間絶縁層に第1コンタクトホール(直径260nm)を、第1配線の上面が開口するように形成し、第1コンタクトホール内を、W/Ti/TiN構造により充填して、第1コンタクトプラグとした。Ti層と、TiN層の厚さはそれぞれ5〜30nmとなるように、それぞれ、スパッタ法及びCVD法により形成した。また、W層は、CVD法により形成した。
次に、第1コンタクトプラグを覆うように、第1電極層(厚さ400〜600nm)を形成した。第1電極層の上に、タンタルで構成されるスパッタ法ターゲットを用いて酸素を含む雰囲気中で反応性スパッタ法により、タンタル酸化物で構成される第1抵抗変化層を形成した。反応条件は電源出力1000W、成膜圧力0.05Pa、アルゴン流量20sccm、酸素ガス流量21sccmとした。第1抵抗変化層を構成するタンタル酸化物の酸素含有率は、第1実験例の結果から、約55%となり、このタンタル酸化物をTaOで表すと、x=1.22となる。
第1抵抗変化層を形成してから2時間が経過した後、摂氏50度のSPM溶液(HSO:Hの体積比=4:1)を110秒、7回ウェハ上に吐出させることで、第1抵抗変化層の表面を洗浄及び化学的に酸化した。
中間酸化層を形成してから2時間が経過した後、表面に中間酸化層が形成された第1抵抗変化層を、中間酸化層側から酸素プラズマで処理した。処理条件は、RF電源出力50W、ウェハ温度270℃、O流量0.3SLM、30秒とした。第1実験例の結果から、第2抵抗変化層の膜厚は、約4.3nmとなる。
次に、第2抵抗変化層の上に、スパッタ法により、イリジウムで構成される第2電極(厚さ約80nm)を形成した。
次に、マスクとドライエッチングにより個々の素子を分離した。個々の素子の大きさは5μm×5μmの略正方形とした。得られた素子は、44個であった。
次に、全ての素子を覆うように、TEOSを用いてCVD法により、第2層間絶縁層(厚さ500〜1000nm)を形成した。上端面はCMPにより平坦化した。
最後に、スパッタ法により、アルミニウムで構成された第2配線(厚さ400〜600nm)を形成した。マスクとドライエッチングとを用いたパターニングにより、所望の形状に加工した。第2配線の幅は0.25μmとした。
それぞれの素子について、初期抵抗を測定し、これを「中間酸化層有り」とした。
「中間酸化層無し」では、第1抵抗変化層を形成してから2時間が経過した後、SPM溶液による処理を行わず、そのまま酸化プラズマ処理を行った。プラズマ処理の方法は「中間酸化層有り」と同条件とした。また、他の製造条件についても、「中間酸化層有り」と同じとした。得られた素子は、44個であった。それぞれの素子について、初期抵抗を測定し、これを「中間酸化層無し」とした。
図5は、第1実施形態の第3実験例において、中間酸化層を形成した場合と、中間酸化層を形成しなかった場合とで、素子の初期抵抗値のばらつきを示す図である。図5に示すように、中間酸化層を形成した場合の方が、素子の初期抵抗値のばらつきが小さい。
すなわち、初期抵抗値のばらつき(標準偏差)は、中間酸化層無しでは87700Ωであり、中間酸化層有りでは70870Ωとなった。初期抵抗の平均値(中間酸化層無し:305928Ω、中間酸化層有り:295421Ω)に対する比率(標準偏差/平均値)は、中間酸化層無しでは28.7%であったのに対し、中間酸化層有りでは24.0%と低くなった。このように、中間酸化層を形成することで、初期抵抗値のばらつきも低くすることができた。
図6は、第1実施形態の第3実験例において、中間酸化層を形成した場合の素子の抵抗変化特性を示す図である。実験は、第1電極層と第2電極層との間に、パルス幅が100nsで極性が異なる2種類の電気的パルスを交互に印加し、印加後に抵抗値を測定することにより行った。
電極間に2種類の電気的パルスを交互に印加することにより、抵抗変化層の抵抗値は可逆的に変化した。具体的には、負電圧パルス(電圧−1.5V、パルス幅100ns)を電極間に印加した場合、抵抗変化層の抵抗値が減少して約10000Ω(10Ω、低抵抗値)となった。正電圧パルス(電圧+2.4V、パルス幅100ns)を電極間に印加した場合、抵抗変化層の抵抗値が増加して100000Ω(10Ω、高抵抗値)となった。なお、電圧は、第1電極を基準として第2電極の電位が高い場合を正電圧と表記している。
以上の結果から、中間酸化層を形成した場合でも、素子は安定して抵抗変化動作を示すことが分かった。
[第4実験例]
第4実験例では、素子のエンデュランス特性を評価した。
第3実験例と同様な方法で、ウェハ3枚分、ウェハ1枚あたり128個の素子を、中間酸化層有りと中間酸化層無しのそれぞれの場合について形成した。
1回のサイクル動作で、負電圧パルス(電圧−1.5V、パルス幅100ns)と正電圧パルス(電圧+2.4V、パルス幅100ns)を順次1回ずつ印加することとし、10万回(10回)のサイクル動作を行った後、抵抗変化動作を示すもの(上記電圧パルスを印加することで抵抗の変化が見られたもの)の割合(パス率)を求めた。
その結果、3枚のウェハにつき、中間酸化層無しの場合のパス率の平均値を1とすると、中間酸化層有りの場合のパス率の平均値は2.2であった。また、3枚のウェハにおけるパス率の標準偏差は、中間酸化層無しの場合で0.13であり、中間酸化層有りの場合で0.4であった。
以上の結果から、中間酸化層を形成した後で第2抵抗変化層を形成することにより、エンデュランス特性も向上することが分かった。
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態の創出がなされ得る。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
本発明の不揮発性記憶装置は、酸素不足度の異なる遷移金属酸化物層を積層して抵抗変化層に用いた不揮発性記憶装置において、素子特性のばらつきを従来よりもさらに抑制できる不揮発性記憶装置として有用である。
10 不揮発性記憶装置
100 基板
101 第1配線
102 第1層間絶縁層
103 第1コンタクトホール
104 第1コンタクトプラグ
104、104M 導電性材料層
105、105M 第1電極層
106a、106aF 第1抵抗変化層
106b、106bF 中間酸化層
106c、106cF 第2抵抗変化層
107、107M 第2電極層
108 第2層間絶縁層
109 第2コンタクトホール
110 第2コンタクトプラグ
111 第2配線
200 基板
201 第1配線
202 第1層間絶縁層
203 第1コンタクトホール
204 第1コンタクトプラグ
205 第1電極層
206 抵抗変化層
206a 第1タンタル酸化物層
206b 第2タンタル酸化物層
207 第2電極層
208 第2層間絶縁層
209 第2コンタクトホール
210 第2コンタクトプラグ
211 第2配線

Claims (6)

  1. 第1電極層を形成する工程と、
    前記第1電極層の上に酸素不足型の遷移金属酸化物で構成される第1抵抗変化層を形成する工程と、
    前記第1抵抗変化層の上端面を液体の酸化剤で化学的に酸化処理して中間酸化層を形成する工程と、
    前記中間酸化層をさらに酸化し、前記第1抵抗変化層の上に当該第1抵抗変化層を構成する遷移金属酸化物よりも酸素不足度が少ない遷移金属酸化物で構成される第2抵抗変化層を形成する工程と、
    前記第2抵抗変化層の上に、第2電極層を形成する工程と、
    を有する、不揮発性記憶装置の製造方法。
  2. 前記第2抵抗変化層を形成する工程は、前記中間酸化層をプラズマ酸化する工程である、請求項1に記載の不揮発性記憶装置の製造方法。
  3. 前記液体の酸化剤が、SPM、APM、Hを含む薬液、Oを含む薬液からなる群から選ばれた少なくとも一つを含む溶液である、請求項1または2に記載の不揮発性記憶装置の製造方法。
  4. 前記遷移金属酸化物が、タンタル酸化物、ハフニウム酸化物、ジルコニウム酸化物からなる群から選ばれた少なくとも一つの遷移金属酸化物である、請求項1ないし3のいずれかに記載の不揮発性記憶装置の製造方法。
  5. 前記遷移金属酸化物はタンタル酸化物であり、前記第1抵抗変化層を構成する遷移金属酸化物をTaO、前記第2抵抗変化層を構成する遷移金属酸化物をTaOとするとき、0.8≦x≦1.9、及び、x<yを充足する、請求項1ないし3のいずれかに記載の、不揮発性記憶装置の製造方法。
  6. 前記第2抵抗変化層を構成する遷移金属酸化物が絶縁物である、請求項1ないし5のいずれかに記載の不揮発性記憶装置の製造方法。
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