以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
本発明の一実施形態による反応装置1は、いわゆるマイクロリアクタである。この反応装置1は、図1に示すように、反応器2と、第1原料供給ヘッダ4と、第2原料供給ヘッダ6と、反応流体排出ヘッダ8と、温調供給ヘッダ10と、温調排出ヘッダ12と、第1供給配管62と、第2供給配管64と、反応流体排出配管66と、温調供給配管68と、温調排出配管70と、を備える。
反応器2は、原料流体同士の反応をその内部で生じさせるための直方体状の構造体である。反応器2は、多数の反応流路22(図2参照)と、多数の温調流路42(図3参照)とを内部に備える。反応器2は、図1に示すように、複数の反応流路基板14と、複数の温調流路基板16と、複数の封止板18とからなる。反応器2は、反応流路基板14と温調流路基板16とがそれらの間に封止板18を挟みつつ交互に積層され、それら各板14,16,18同士が接合されることによって形成されている。本実施形態では、反応器2は、各板14,16,18の積層方向が上下方向に一致するように配置されているものとする。
反応器2は、4つの側面を有する。すなわち、反応器2は、第1側面2a、第2側面2b、第3側面2c及び第4側面2dを有する。これらの側面2a,2b,2c,2dは、各板14,16,18の積層方向における反応器2の両端面、すなわち上下面に対して垂直に配置されている。第1側面2aと第3側面2cは、互いに反対側の側面である。第2側面2bと第4側面2dは、第1側面2a及び第3側面2cに対して垂直に配置され、互いに反対側の側面である。
反応流路基板14(図2参照)は、複数の反応流路22が形成される矩形状の平板である。この反応流路基板14は、本発明による反応流路層の一例である。反応流路基板14は、例えばステンレス鋼等によって形成されている。反応流路22は、本実施形態では2つの異なる原料流体を流通させながらそれらの原料流体同士を反応させる微細流路(マイクロチャネル)である。1つの反応流路基板14に形成された全ての反応流路22は、その反応流路基板14の板面に沿って並列に配置されている。各反応流路22は、微細な流路幅(数μm〜数mm)を有する。各反応流路22は、図2に示すように、第1供給流路部24と、第2供給流路部26と、反応流路部28と、合流部30とを有する。
第1供給流路部24は、上記2つの異なる原料流体のうちの一方の原料流体である第1原料流体が導入される部分であり、その導入された第1原料流体を対応する合流部30へ供給する部分である。第1供給流路部24は、その第1供給流路部24内へ第1原料流体を導入するための第1導入口24a(図2参照)をその一端に有する。第1導入口24aは、反応器2の第1側面2a(図1参照)において開口している。第1導入口24aは、第1側面2aのうち第2側面2bに隣接した領域に配置されている。第1供給流路部24(図2参照)は、第1導入口24aから第1側面2aに対して垂直に反応器2の内部へ延びている。
第2供給流路部26(図2参照)は、上記2つの異なる原料流体のうちのもう一方の原料流体である第2原料流体が導入される部分であり、その導入された第2原料流体を対応する合流部30へ供給する部分である。第2供給流路部26は、その第2供給流路部26内へ第2原料流体を導入するための第2導入口26a(図2参照)をその一端に有する。第2導入口26aは、反応器2の第2側面2b(図1参照)において開口している。第2導入口26aは、第2側面2bのうち第1側面2aに隣接した領域に配置されている。第2供給流路部26(図2参照)は、第2導入口26aから対応する第1供給流路部24に対して垂直に反応器2の内部へ延び、前記積層方向から見て対応する第1供給流路部24と重なる位置で直角に屈曲してその第1供給流路部24に沿って下流側へ延びている。
合流部30(図2参照)は、対応する第1及び第2供給流路部24,26の下流側の端部に繋がっている。合流部30は、対応する第1供給流路部24から流入する第1原料流体と対応する第2供給流路部26から流入する第2原料流体とを合流させる部分である。
反応流路部28(図2参照)は、対応する合流部30の下流側に繋がっている。反応流路部28は、合流部30で合流した第1原料流体と第2原料流体が流入し、それらの原料流体を流通させながら互いに反応させる部分である。反応流路部28は、対応する合流部30から対応する第1供給流路部24の延長線上に延び、その後、折り返されて第1側面2a(図1参照)と第3側面2c(図1参照)との間で繰り返し往復するように蛇行した形状に形成されている。
反応流路部28は、当該反応流路部28を流れた原料流体及び反応生成物を排出するための反応流路排出口32を有する。反応流路排出口32は、反応流路部28のうち合流部30と反対側の端部である下流側の端部に設けられている。反応流路排出口32は、反応器2の第1側面2a(図1参照)において開口している。反応流路排出口32は、第1側面2aのうち第4側面2d(図1参照)に近い領域に配置されている。
各反応流路基板14の厚み方向における一方の板面である各反応流路基板14の上面には、各反応流路22の第1供給流路部24及び反応流路部28を形成するための複数の微細な第1反応溝34(図2参照)がエッチング等により形成されている。各反応流路基板14の厚み方向における他方の板面である各反応流路基板14の下面には、各反応流路22の第2供給流路部26を形成するための複数の微細な第2反応溝36(図2参照)がエッチング等により形成されている。また、各反応流路基板14には、複数の貫通穴38がその反応流路基板14を厚み方向に貫通するように形成されている。貫通穴38は、各第2反応溝36の第2導入口26aと反対側の端部の位置に設けられ、その第2反応溝36の端部と対応する第1反応溝34とを繋いでいる。この貫通穴38によって、合流部30が形成されている。
各反応流路基板14の上面と下面には、それぞれ封止板18(図1参照)が積層されて接合されている。各反応流路基板14の上面に形成された第1反応溝34(図2参照)の開口がその上面に接合された封止板18によって封止されることにより、その反応流路基板14の各反応流路22の第1供給流路部24及び反応流路部28が形成されている。また、各反応流路基板14の下面に形成された第2反応溝36の開口がその下面に接合された封止板18によって封止されることにより、その反応流路基板14の各反応流路22の第2供給流路部26が形成されている。
温調流路基板16(図3参照)は、複数の温調流路42が形成される矩形状の平板である。この温調流路基板16は、本発明による温調流路層の一例である。温調流路基板16は、反応流路基板14と同じ素材によって形成されているとともに、反応流路基板14と同じ外形を有する。温調流路42は、反応流路22(図2参照)を流れる原料流体の温度を調節するための温調流体を流通させる微細流路(マイクロチャネル)である。反応流路22での原料流体同士の反応が発熱反応である場合には、冷却のために低温の温調流体が各温調流路42に流される。低温の温調流体(冷媒)としては、水、アセトン、液化窒素、又は、ブライン等が用いられる。一方、反応流路22での原料流体同士の反応が吸熱反応である場合には、加熱のために高温の温調流体が各温調流路42に流される。1つの温調流路基板16(図3参照)に形成された全ての温調流路42は、その温調流路基板16の板面に沿って並列に配置されている。各温調流路42は、図3に示すように、2つの第1温調流路部44と、1つの第2温調流路部46とを有する。
第1温調流路部44は、温調流路42の上流側の前半部分に相当し、第2温調流路部46は、温調流路42の下流側の後半部分に相当する。各温調流路42は、当該温調流路42内へ温調流体を導入するための温調導入口48(図3参照)をその一端に有し、当該温調流路42から温調流体を排出するための温調排出口52(図3参照)をその他端に有する。
温調導入口48は、各第1温調流路部44の上流側の端部に設けられている。温調導入口48は、反応器2の第3側面2c(図1参照)において開口している。温調導入口48は、第1側面2aでの第1導入口24aの配置領域と対応する第3側面2cの領域に配置されている。すなわち、温調導入口48は、第3側面2cのうち第2側面2bに隣接した領域に配置されている。
各第1温調流路部44は、温調導入口48から第1側面2a(図1参照)側へ延び、その後、折り返されて第1側面2aと第3側面2cとの間で繰り返し往復するように蛇行した形状に形成されている。第1温調流路部44(図3参照)のうち温調導入口48から第1側面2a側へ直線的に延びる部分は、前記積層方向において隣接する反応流路22(図2参照)の合流部30から下流側の反応流路部28の直線的に延びる部分に沿って延びている。換言すれば、第1温調流路部44(図3参照)のうち温調導入口48から第1側面2a側へ直線的に延びる部分は、前記積層方向から見て、隣接する反応流路22(図2参照)のうちの合流部30から反応流路部28の第3側面2c側へ直線的に延びる範囲と重なり且つ平行に配置されている。
また、第1温調流路部44(図3参照)は、温調導入口48から第1側面2a側へ直線的に延びる部分以外に、第1側面2aと第3側面2cとの間でそれら両側面2a,2cに対して直交する方向に直線的に延びる複数の部分を有する。これらの直線部分も、前記積層方向において隣接する反応流路部28の対応する各直線部分に沿って延びている。各温調流路42の2つの第1温調流路部44は、互いに間隔をあけて並列に配置されている。また、隣り合う温調流路42の第1温調流路部44同士も同様の間隔をあけて並列に配置されている。
第2温調流路部46(図3参照)は、対応する第1温調流路部44の下流側の端部に繋がっている。第2温調流路部46は、第1温調流路部44から連続して第1側面2aと第3側面2cとの間で繰り返し往復するように蛇行した形状に形成されている。第2温調流路部46は、第1側面2aと第3側面2cとの間でそれら両側面2a,2cに対して直交する方向に直線的に延びる複数の部分を有する。これらの直線部分は、前記積層方向において隣接する反応流路部28(図2参照)の対応する各直線部分に沿って延びている。隣り合う温調流路42の第2温調流路部46同士は、互いに間隔をあけて並列に配置されている。温調排出口52(図3参照)は、各第2温調流路部46の下流側の端部に設けられている。温調排出口52は、反応器2の第4側面2d(図1参照)において開口している。
各第1温調流路部44は、当該第1温調流路部44での温調流体の流通方向に対して直交する方向の断面(以下、単に第1温調流路部44の断面という)として、図4に示すような断面を有する。また、各第2温調流路部46は、当該第2温調流路部46での温調流体の流通方向に対して直交する方向の断面(以下、単に第2温調流路部46の断面という)として、図5に示すような断面を有する。
1つの第2温調流路部46の断面の面積は、1つの第1温調流路部44の断面の面積よりも大きい。また、各温調流路42が有する1つの第2温調流路部46の断面の面積は、その温調流路42が有する2つの第1温調流路部44の断面の合計の面積よりも大きい。従って、反応器2に設けられた全ての第2温調流路部46の断面の合計の面積は、反応器2に設けられた全ての第1温調流路部44の断面の合計の面積よりも大きい。この全ての第2温調流路部46の合計の断面積が全ての第1温調流路部44の合計の断面積よりも大きいことにより、第2温調流路部46では、第1温調流路部44に比べて温調流体の流速が小さくなる。
温調流路基板16の厚み方向における一方の板面である上面には、各第1温調流路部44を形成するための複数の微細な第1温調溝54(図3及び図4参照)と、各第2温調流路部44を形成するための複数の微細な第2温調溝56(図3及び図5参照)とがエッチング等により形成されている。温調流路基板16の上面には、封止板18(図4及び図5参照)が積層されて接合されている。温調流路基板16の上面に形成された各第1温調溝54の開口がその上面に接合された封止板18によって封止されることにより、その温調流路基板16の各第1温調流路部44が形成されている。また、温調流路基板16の上面に形成された各第2温調溝56の開口がその上面に接合された封止板18によって封止されることにより、その温調流路基板16の各第2温調流路部46が形成されている。
第1原料供給ヘッダ4(図1参照)は、全ての第1導入口24a(図2参照)を一括して覆うように反応器2の第1側面2a(図1参照)に取り付けられている。第1原料供給ヘッダ4には、当該第1原料供給ヘッダ4へ第1原料流体を供給する第1供給配管62が接続されている。第1原料供給ヘッダ4は、第1供給配管62から供給された第1原料流体を各第1導入口24aへ分配して供給する。
第2原料供給ヘッダ6(図1参照)は、全ての第2導入口26a(図2参照)を一括して覆うように反応器2の第2側面2b(図1参照)に取り付けられている。第2原料供給ヘッダ6には、当該第2原料供給ヘッダ6へ第2原料流体を供給する第2供給配管64が接続されている。第2原料供給ヘッダ6は、第2供給配管64から供給された第2原料流体を各第2導入口26aへ分配して供給する。
反応流体排出ヘッダ8(図1参照)は、全ての反応流路排出口32(図2参照)を一括して覆うように反応器2の第1側面2a(図1参照)に取り付けられている。反応流体排出ヘッダ8には、反応流体排出配管66(図1参照)が接続されている。反応流体排出ヘッダ8は、各反応流路排出口32から排出される原料流体及び反応生成物を受け、それらをまとめて反応流体排出配管66へ流す。
温調供給ヘッダ10(図1参照)は、全ての温調導入口48(図3参照)を一括して覆うように反応器2の第3側面2c(図1参照)に取り付けられている。温調供給ヘッダ10には、当該温調供給ヘッダ10へ温調流体を供給する温調供給配管68が接続されている。温調供給ヘッダ10は、温調供給配管68から供給された温調流体を各温調導入口48へ分配して供給する。
温調排出ヘッダ12(図1参照)は、全ての温調排出口52(図3参照)を一括して覆うように反応器2の第4側面2d(図1参照)に取り付けられている。温調排出ヘッダ12には、温調排出配管70(図1参照)が接続されている。温調排出ヘッダ12は、各温調排出口52から排出される温調流体を受け、それらをまとめて温調排出配管70へ流す。
次に、反応装置1を用いた本発明の一実施形態による反応方法について説明する。
本実施形態による反応方法では、第1原料流体が第1供給配管62(図1参照)から第1原料供給ヘッダ4を介して各反応流路22(図2参照)の第1供給流路部24へ供給されるとともに、第2原料流体が第2供給配管64(図1参照)から第2原料供給ヘッダ6を介して各反応流路22(図2参照)の第2供給流路部26へ供給される(原料供給工程)。
各第1供給流路部24に供給された第1原料流体と各第2供給流路部26に供給された第2原料流体とは、対応する合流部30(図2参照)で合流して対応する反応流路部28へ流入し、その反応流路部28を下流側へ流れながら互いに反応する(反応工程)。これにより、反応生成物が生成される。反応流路部28での反応工程では、第1原料流体と第2原料流体との重合反応が行われる。具体的には、付加重合反応、重縮合反応、又は、重付加反応が行われる。
第1原料流体と第2原料流体との反応の過程では、反応熱が発生する。特に、合流部30での第1原料流体と第2原料流体との合流直後に大きな反応熱が発生する。
一方、前記原料供給工程及び前記反応工程と並行して、各温調流路42(図3参照)に温調流体を流通させることにより各反応流路22(図2参照)の反応流路部28に流れる原料流体の温度を調節するとともに原料流体同士の反応時の温度を調節する温調工程が行われる。
温調工程では、温調流体が、温調供給配管68から温調供給ヘッダ10(図1参照)を介して各温調流路42(図3参照)の温調導入口48へ供給される。温調流体は、予め、上記の反応によって生じる反応熱を打ち消すような温度に調節された状態で供給される。すなわち、第1原料流体と第2原料流体との反応が発熱反応である場合には、温調流体は低温に調節されており、第1原料流体と第2原料流体との反応が吸熱反応である場合には、温調流体は高温に調節されている。
各温調導入口48へ供給された温調流体は、その各温調導入口48から対応する第1温調流路部44に導入されて下流側へ流れる。この第1温調流路部44を温調流体が流れる過程で、合流部30で第1原料流体と第2原料流体が合流して発生した大きな反応熱と、反応流路部28の中間地点までの第1及び第2原料流体の流通過程で発生する反応熱とが除熱される。上流側の前半の領域では、断面積の小さい多数の第1温調流路部44が並列に配置されているため、第1原料流体と第2原料流体の合流直後に発生する大きな反応熱は効果的に除熱される。第1原料流体と第2原料流体との反応が発熱反応である場合には、各温調流路42に低温の温調流体が流されるため、反応熱による温度の上昇が抑制される。一方、第1原料流体と第2原料流体との反応が吸熱反応である場合には、各温調流路42に高温の温調流体が流されるため、反応熱による温度の低下が抑制される。このような温度変化の抑制により、第1原料流体と第2原料流体との反応における副生成物の生成が抑制される。
各第1温調流路部44を流れた温調流体は、対応する第2温調流路部46へ流入する。具体的には、各温調流路42において2つの第1温調流路部44からそれらの第1温調流路部44に繋がる1つの第2温調流路部46へ温調流体が流入する。各反応流路部28のうち第1温調流路部44の下流側の端部と第2温調流路部46の上流側の端部との接続箇所50に対応する地点では、既に原料流体同士の反応がかなり進行しており、それに伴って、発生する反応熱が小さくなっている。下流側の後半の領域では、断面積の大きい少数の第2温調流路部46しか配置されておらず、上流側の第1温調流路部44が設けられた領域よりも除熱効果が低いが、当該後半の領域で発生する反応熱が小さいことから、当該領域で発生する反応熱は十分に除熱されて温度変化が抑制される。
各反応流路部28を流れた第1及び第2原料流体とそれらの原料流体同士の反応により生成された反応生成物は、各反応流路排出口32から反応流体排出ヘッダ8へ排出され、その反応流体排出ヘッダ8から反応流体排出配管66を通じて回収される。また、各温調流路42の第2温調流路部46を流れた温調流体は、各温調排出口52から温調排出ヘッダ12へ排出され、その温調排出ヘッダ12から温調排出配管70へ排出される。
本実施形態による反応方法は、以上のようにして行われる。
本実施形態では、反応流路22のうちの合流部30から下流側の反応流路部28の特定の範囲に沿って延びる部分を有し、断面積の小さい第1温調流路部44が、その第1温調流路部44の下流側の端部に繋がる第2温調流路部46よりも多数設けられている。このため、大きな反応熱が発生する反応流路22の合流部30から下流の所定の位置までの部位付近において、第1温調流路部44を流れる温調流体による除熱効果を高めることができ、大きな反応熱による温度変化を抑制できる。
さらに、本実施形態では、第1温調流路部44の下流側に繋がる第2温調流路部46が、第1温調流路部44よりも少数であるとともに第1温調流路部44の断面積よりも大きい断面積を有するため、当該第2温調流路部46における圧力損失を低減できる。このため、断面積の小さい第1温調流路部44において圧力損失が増加したとしても、第2温調流路部46での圧力損失の低減により温調流路42全体での圧力損失の増大を抑制できる。その結果、温調流路42に温調流体を流すために必要となるエネルギコストの増大を抑制できる。
また、第2温調流路部46が設けられた下流側の領域では、反応流路部28での原料流体同士の反応が既に進行していて、発生する反応熱が小さくなっている。このため、断面積が大きく且つ少数の第2温調流路部46が設けられることによりその第2温調流路部46を流れる温調流体による除熱効果が第1温調流路部44での除熱効果に比べて小さくなったとしても、反応流路部28の下流側の領域での反応熱による温度変化を十分に抑制できる。従って、本実施形態では、原料流体の合流直後の大きな反応熱が発生する領域及びその後反応が進行して反応熱が小さくなった領域のいずれにおいても適宜十分な除熱効果を発揮して温度変化を抑制でき、主生成物の反応収率の低下を抑制できる。
また、本実施形態では、反応器2に設けられた全ての第2温調流路部46の合計の断面積は、反応器2に設けられた全ての第1温調流路部44の合計の断面積よりも大きいため、第2温調流路部46における圧力損失をより低減できる。このため、温調流路42に温調流体を流すために必要となるエネルギコストの増大をより抑制できる。
また、本実施形態の反応器2では、並列に配置された複数の反応流路22がそれぞれ設けられた反応流路基板14と、並列に配置された複数の温調流路42がそれぞれ設けられた温調流路基板16とが、封止板18をそれらの間に挟みながら交互に積層されている。このため、反応器2全体での原料流体同士の反応による主生成物の生産量を増加できるとともに、その反応によって生じる反応熱を効果的に除熱して温度変化を抑制し、主生成物の反応収率の低下を抑制できる。
また、本実施形態では、上記のような反応器2を有する反応装置1を用いて各反応流路部28で原料流体同士を重合反応させることにより、重合反応による生成物を良好な収率で得ることができる。
[反応の具体例]
上記実施形態による反応器2内で行われる反応の具体例について以下に説明する。すなわち、反応器2内で行われる付加重合反応及び重付加反応のそれぞれの具体例と、その各反応において用いられる第1原料流体及び第2原料流体の具体例について説明する。
付加重合反応として、例えばラジカル共重合体を生成する反応が行われる。この場合、第1原料流体としてラジカル重合性単量体を含むモノマー原料溶液が用いられ、第2原料流体としてラジカル重合開始剤を含む開始剤原料溶液が用いられる。
前記ラジカル重合性単量体の具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルなどの(メタ)アクリル酸およびそのエステル;(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル塩酸塩および(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルp−トルエンスルホン酸塩などの(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキルおよびその塩;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドなどのアクリルアミド誘導体;酢酸ビニル、ビニルステアレート、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルカルバゾールなどのビニル基含有単量体;N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニル−5−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピペリドン、N−ビニル−5−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−ε−カプロラクタム、N−ビニル−7−メチル−ε−カプロラクタムなどのN−ビニル環状ラクタム化合物;エチレン、プロピレン、イソプレンなどのオレフィン誘導体;スチレン、α−メチルスチレン、p−スチレンスルホン酸などのスチレン誘導体;アリルアミンおよびその誘導体;アクリロニトリルおよびその誘導体などが挙げられる。ここで、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸またはメタクリル酸のことである。
前記ラジカル重合開始剤としては、前記モノマー原料溶液に含まれるラジカル重合性単量体や、重合溶媒の種類などに応じて適宣選択したものを使用できる。そのラジカル重合開始剤の種類としては、有機過酸化物、アゾ化合物、レドックス系開始剤、過硫酸塩などが挙げられる。
前記有機過酸化物の具体例としては、例えば、tert−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、p−メンタンヒドロペルオキシド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロペルオキシド、1,1,3,3−テトラメチルヒドロペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、ジ−3,5,−トリメチルヘキサノイルペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルペルオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルペルオキシジカーボネート、tert−ブチルペルオキシピバレート、tert−ブチルペルオキシネオデカノエート、アセチルシクロヘキシルスルホニルペルオキシド、ジサクシニックアシッドペルオキシドなどが挙げられる。
前記アゾ化合物の具体例としては、例えば、2,2’−ジアミジニル−2,2’−アゾプロパン・一塩酸塩、2,2’−ジアミジニル−2,2’−アゾブタン・一塩酸塩、2,2’−ジアミジニル−2,2’−アゾペンタン・一塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−メチル−4−ジエチルアミノ)ブチロニトリル・塩酸塩、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)などが挙げられる。
前記レドックス系開始剤としては、例えば、過酸化物と還元剤とを組み合わせたものなどが挙げられる。この場合、過酸化物の具体例としては、例えば、過酸化水素、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイドなどが挙げられ、還元剤の具体例としては、例えば、亜硫酸ナトリウムなどの亜硫酸塩、硫酸水素ナトリウムなどの硫酸水素塩、硫酸第一銅、硫酸第一鉄などの金属塩、L−アスコルビン酸、還元糖などが挙げられる。
また、前記モノマー原料溶液及び前記開始剤原料溶液に用いられるラジカル重合反応溶媒の具体例としては、水、アルコール(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなど)、ケトン(アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)、エーテル(ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランなど)、エステル(酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトンなど)、アルキレングリコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテートなど)、スルホン酸エステル(ジメチルスルホキシドなど)、炭酸エステル(ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなど)、脂環式炭酸エステル(エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなど)、炭化水素(ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなど)、ハロゲン化炭化水素(クロロホルム、四塩化炭素、塩化メチレンなど)が挙げられる。
また、付加重合反応として、触媒を用いないカチオン重合反応が行われる。この場合には、例えば、第1原料流体としてカチオン重合性単量体を含む流体が用いられ、第2原料流体としてカチオン前駆体の電解酸化により生じたカチオンを含む流体が用いられる。
前記カチオン重合性単量体の具体例としては、例えば、ビニル誘導体が挙げられ、このビニル誘導体の代表的なものとしては、エチレン骨格がアルキル基やアリール基により置換された単量体、例えば、イソブチレン、スチレン、α−メチルスチレンを始めとする誘導体、ヘテロ原子を介して置換されたビニルエーテル類、ビニルスルフィド類、N−ビニルカルバゾールなどの誘導体が挙げられる。これらの中で特にカチオン重合性の高い単量体としては、イソブチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、メチルビニルスルフィド、N−ビニルカルバゾール、α−メチルスチレンなどが挙げられる。
また、別のカチオン重合反応では、例えば、第1原料流体としてカチオン重合性単量体を含む流体が用いられ、第2原料流体としてカチオン重合開始剤を含む流体が用いられる。
この場合のカチオン重合性単量体の具体例としては、例えば、ビニル誘導体が挙げられ、このビニル誘導体の代表的なものとしては、エチレン骨格がアルキル基やアリール基により置換された単量体(例えば、イソブチレン、スチレン、α−メチルスチレン等)、イソブチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、ヘテロ原子を介して置換されたビニルエーテル類、メチルビニルスルフィド等のビニルスルフィド類、N−ビニルカルバゾール等の誘導体が挙げられる。これらのうち、イソブチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、α−メチルスチレン、メチルビニルスルフィド、N−ビニルカルバゾールなどが好適なカチオン重合性単量体として挙げられる。
また、他のカチオン重合性単量体の具体例として、テトラヒドロフラン、1,3−オキソラン、1,3−ジオキセパン、アジリジン(エチレンイミン)、N―(t−ブチル)アジリジン、N―(2−テトラヒドロピラニル)アジリジン、アゼチジン(トリメチレンイミン)、2−オキサゾリン、ε−カプロラクトン、1,3−ジオキサン−2−オン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサンなどが挙げられる。
また、前記カチオン重合開始剤の具体例としては、プロトン酸、又は、ルイス酸とカチオンを生成する化合物とを組み合わせたものが挙げられる。
前記プロトン酸の具体例としては、塩酸、硫酸、メチル硫酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、フルオロスルホン酸、クロロスルホン酸、過塩素酸などが挙げられる。
前記ルイス酸の具体例としては、トリフルオロホウ素、塩化アルミニウム、四塩化チタン、四塩化スズ、塩化鉄、アルキルアルミニウムジクロライドなどが挙げられる。
ルイス酸と組み合わされるカチオン生成化合物の具体例としては、水、アルコール、酸、エーテル、ハロゲン化アルキル等が挙げられる。
また、付加重合反応として、ラジカル重合性単量体同士をラジカル重合させてラジカル重合体を生成するラジカル重合反応が行われる場合には、例えば、第1原料流体としてラジカル重合性単量体を含む流体が用いられ、第2原料流体としてラジカル重合開始剤を含む流体が用いられる。
この場合のラジカル重合性単量体の具体例としては、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレンなどのオレフィン類;アクリル酸、メタクリ酸などの不飽和モノカルボン酸類;マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸、イタコン酸などの不飽和ポリカルボン酸類及びその酸無水物類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリ酸メチル、メタクリ酸エチル、メタクリ酸ブチル、メタクリ酸2−エチルヘキシル、メタクリ酸ドデシル、メタクリ酸2−ヒドロキシエチルなどの(メタ)アクリル酸エステル類;アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリ酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジメチルアミノエチル塩酸塩、メタクリ酸ジメチルアミノエチル塩酸塩、アクリル酸ジメチルアミノエチルp−トルエンスルホン酸塩、メタクリル酸ジメチルアミノエチルp−トルエンスルホン酸塩などの(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキル及びその付加塩;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びそのナトリウム塩などのアクリルアミド系単量体;スチレン、α−メチルスチレン、p−スチレンスルホン酸及びそのナトリウム塩、カリウム塩などのスチレン系単量体;その他アリルアミン及びその付加塩、酢酸ビニル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、N−ビニルピロリドン、さらにはフッ化ビニル、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレンなどの含フッ素単量体等の油溶性又は水溶性の単量体が挙げられる。
また、この場合のラジカル重合開始剤の具体例としては、例えば、有機過酸化物、アゾ化合物、ジスルフィド化合物、レドックス系開始剤、過硫酸塩などが挙げられる。一般的には、重合溶媒が水性媒体である場合には、水溶性有機過酸化物、水溶性アゾ化合物、レドックス系開始剤、過硫酸塩などが好ましく用いられ、重合溶媒が有機溶媒である場合には、油溶性有機過酸化物及び油溶性アゾ化合物などが好ましく用いられる。
前記水溶性有機過酸化物の具体例としては、t−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、p−メンタンヒドロペルオキシド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロペルオキシド、1,1,3,3−テトラメチルヒドロペルオキシドなどが挙げられる。また、水溶性アゾ化合物の例としては、2,2’−ジアミジニル−2,2’−アゾプロパン・一塩酸塩、2,2’−ジアミジニル−2,2’−アゾブタン・一塩酸塩、2,2’−ジアミジニル−2,2’−アゾペンタン・一塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−メチル−4−ジエチルアミノ)ブチロニトリル・塩酸塩などが挙げられる。
前記レドックス系開始剤としては、例えば、過酸化水素と還元剤とを組み合わせたものなどが挙げられる。この場合、還元剤としては、二価の鉄イオンや銅イオン、亜鉛イオン、コバルトイオン、バナジウムイオンなどの金属イオン、アスコルビン酸、還元糖などが用いられる。過硫酸塩としては、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムなどが挙げられる。
前記油溶性有機過酸化物の具体例としては、ジベンゾイルペルオキシド、ジ−3,5,5−トリメチルヘキサノイルペルオキシド、ジラウロイルペルオキシドなどのジアシルペルオキシド類、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルペルオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルペルオキシジカーボネートなどのペルオキシジカーボネート類;t−ブチルペルオキシピバレート、t−ブチルペルオキシネオデカノエートなどのペルオキシエステル類;あるいはアセチルシクロヘキシルスルホニルペルオキシド、ジサクシニックアシッドペルオキシドなどが挙げられる。
また、前記油溶性アゾ化合物の具体例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)などが挙げられる。
また、付加重合反応として、環状オレフィンモノマー同士を重合させて環状オレフィンポリマーを生成する重合反応が行われる場合には、第1原料流体及び第2原料流体として、重合の対象となる環状オレフィンモノマーを含む流体がそれぞれ用いられる。
前記環状オレフィンモノマーの具体例としては、例えば、シクロヘキセン、シクロオクテン等の単環体、ノルボルネン、ノルボルナジエン、ジシクロペンタジエン、ジヒドロジシクロペンタジエン、テトラシクロドデセン、トリシクロペンタジエン、ジヒドロトリシクロペンタジエン、テトラシクロペンタジエン、ジヒドロテトラシクロペンタジエン等の多環体、これらのモノマーに官能基が結合した置換体などが挙げられる。
前記ノルボルネンのモノマーの具体例としては、ノルボルネンのほかに、以下のようなものが挙げられる。
アルキル基を有するノルボルネンモノマーとして、5−メチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−プロピル−2−ノルボルネン、5−ブチル−2−ノルボルネン、5−ペンチル−2−ノルボルネン、5−ヘキシル−2−ノルボルネン、5−ヘプチル−2−ノルボルネン、5−オクチル−2−ノルボルネン、5−ノニル−2−ノルボルネンおよび5−デシル−2−ノルボルネンなどが挙げられる。
アルケニル基を有するノルボルネンモノマーとして、5−アリル−2−ノルボルネン、5−メチリデン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−(2−プロペニル)−2−ノルボルネン、5−(3−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(1−メチル−2−プロペニル)−2−ノルボルネン、5−(4−ペンテニル)−2−ノルボルネン、5−(1−メチル−3−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン、5−(1−メチル−4−ペンテニル)−2−ノルボルネン、5−(2,3−ジメチル−3−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(2−エチル−3−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(3,4−ジメチル−4−ペンテニル)−2−ノルボルネン、5−(7−オクテニル)−2−ノルボルネン、5−(2−メチル−6−ヘプテニル)−2−ノルボルネン、5−(1,2−ジメチル−5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン、5−(5−エチル−5−ヘキセニル)−2−ノルボルネンおよび5−(1,2,3−トリメチル−4−ペンテニル)−2−ノルボルネンなどが挙げられる。
アルキニル基を有するノルボルネンモノマーとして、5−エチニル−2−ノルボルネンなどが挙げられる。アリール基を有するノルボルネンモノマーとして、5−フェニルー2−ノルボルネン、5−ナフチル−2−ノルボルネンおよび5−ペンタフルオロフェニル−2−ノルボルネンなどが挙げられる。
アラルキル基を有するノルボルネンモノマーとして、5−ベンジル−2−ノルボルネン、5−フェネチル−2−ノルボルネン、5−ペンタフルオロフェニルメタン−2−ノルボルネン、5−(2−ペンタフルオロフェニルエチル)−2−ノルボルネンおよび5−(3−ペンタフルオロフェニルプロピル)−2−ノルボルネンなどが挙げられる。
アルコキシシリル基を有するノルボルネンモノマーとして、5−トリメトキシシリル−2−ノルボルネン、5−トリエトキシシリル−2−ノルボルネン、5−(2−トリメトキシシリルエチル)−2−ノルボルネン、5−(2−トリエトキシシリルエチル)−2−ノルボルネン、5−(3−トリメトキシプロピル)−2−ノルボルネン、5−(4−トリメトキシブチル)−2−ノルボルネン、5−トリメチルシリルメチルエーテル−2−ノルボルネンおよびジメチルビス((5−ノルボルネン−2−イル)メトキシ))シランなどが挙げられる。
シリル基を有するノルボルネンモノマーとして、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチル−1,5−ジメチルビス((2−(5−ノルボルネン−2−イル)エチル)トリシロキサンなどが挙げられる。
ヒドロキシル基、エーテル基、カルボキシル基、エステル基、アクリロイル基またはメタクリロイル基を有するノルボルネンモノマーとして、5−ノルボルネン−2−メタノール、及びこのアルキルエーテル、酢酸5−ノルボルネン−2−メチルエステル、プロピオン酸5−ノルボルネン−2−メチルエステル、酪酸5−ノルボルネン−2−メチルエステル、吉草酸5−ノルボルネン−2−メチルエステル、カプロン酸5−ノルボルネン−2−メチルエステル、カプリル酸5−ノルボルネン−2−メチルエステル、カプリン酸5−ノルボルネン−2−メチルエステル、ラウリン酸5−ノルボルネン−2−メチルエステル、ステアリン酸5−ノルボルネン−2−メチルエステル、オレイン酸5−ノルボルネン−2−メチルエステル、リノレン酸5−ノルボルネン−2−メチルエステル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸、5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチルエステル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸エチルエステル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸t−ブチルエステル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸i−ブチルエステル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸トリメチルシリルエステル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸トリエチルシリルエステル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸イソボニルエステル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸2−ヒドロキシエチルエステル、5−ノルボルネン−2−メチル−2−カルボン酸メチルエステル、ケイ皮酸5−ノルボルネン−2−メチルエステル、5−ノルボルネン−2−メチルエチルカルボネート、5−ノルボルネン−2−メチルn−ブチルカルボネート、5−ノルボルネン−2−メチルt−ブチルカルボネート、5−メトキシ−2−ノルボルネン、(メタ)アクリル酸5−ノルボルネン−2−メチルエステル、(メタ)アクリル酸5−ノルボルネン−2−エチルエステル、(メタ)アクリル酸5−ノルボルネン−2−n−ブチルエステル、(メタ)アクリル酸5−ノルボルネン−2−n―プロピルエステル、(メタ)アクリル酸5−ノルボルネン−2−i−ブチルエステル、(メタ)アクリル酸5−ノルボルネン−2−i−プロピルエステル、(メタ)アクリル酸5−ノルボルネン−2−ヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸5−ノルボルネン−2−オクチルエステルおよび(メタ)アクリル酸5−ノルボルネン−2−デシルエステルなどが挙げられる。
エポキシ基を有するノルボルネンモノマーとして、5−メチルグリシジルエーテル−2−ノルボルネンおよび5−[(2,3−エポキシプロポキシ)メチル]−2−ノルボルネンなどが挙げられる。
また、テトラシクロ環から成るノルボルネンモノマーとして、8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−n−プロピルカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−i−プロピルカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−(2−メチルプロポキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−(1−メチルプロポキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−t−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−シクロヘキシロキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−(4’−t−ブチルシクロヘキシロキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−フェノキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−テトラヒドロフラニロキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−テトラヒドロピラニロキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−メチル−8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−メチル−8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−メチル−8−i−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−メチル−8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−メチル−8−(2−メチルポロポキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−メチル−8−(1−メチルポロポキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−メチル−8−t−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−メチル−8−シクロヘキシロキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−メチル−8−(4’−t−ブチルシクロヘキシロキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−メチル−8−フェノキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−メチル−8−テトラヒドロフラニロキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−メチル−8−テトラヒドロピラニロキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−アセトキシテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8,9−ジ(メトキシカロボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8,9−ジ(エトキシカロボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8,9−ジ(n−プロポキシカロボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8,9−ジ(i−プロポキシカロボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8,9−ジ(n−ブトキシカロボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8,9−ジ(t−ブトキシカロボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8,9−ジ(シクロへキシロキシカロボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8,9−ジ(フェノキシロキシカロボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8,9−ジ(テトラヒドロフラニロキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8,9−ジ(テトラヒドロピラニロキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8,9−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン−8−カルボン酸、8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン−8−カルボン酸、8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.01,6]ドデック−3−エン、8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,12]ドデック−3−エン、8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10.01,6]ドデック−3−エンなどが挙げられる。
また、環状オレフィンポリマーを生成する重合反応において反応を促進させるために第1原料流体と第2原料流体に触媒が含まれていることが好ましい。この触媒としては、単一成分触媒と多成分系触媒とが挙げられる。
前記単一成分触媒の具体例としては、例えば下記の化学式で表されるものが挙げられる。
ここで、上記化学式において、MはNiまたはPdを表わし、L1,L2およびL3はMの配位子を表わす。L1,L2およびL3のうち1個の配位子のみが、σ結合を有し、全ての配位子が全体として2または3個のπ結合を有する。また、上記化学式において、CA-は、溶媒中にカチオンを溶解するように選択された対アニオンを表わす。
上記化学式で表される触媒において、MがNiまたはPdを表わし、そして弱く配位した中性の供与性配位子L1〜L3が、シクロ(C8−C12)アルカジエン、ノルボナジエン、シクロ(C10−C20)トリエン、ベンゼン、トルエン、キシレンおよびメシチレンからなる群から選択されることが好ましい。
弱く配位したアニオンCA-がBF4 −、PF6 −AlF3O3SCF3 −、SbF6 −、SbF3SOF−、B[C6F3]4 −、およびB[C6H3(CF3)2]4 −からなる群から選択されることが好ましい。
前記多成分系触媒の具体例としては、例えば、8,9,10族遷移金属化合物;有機アルミニウム化合物、ルイス酸、強ブレンステッド酸、ハロゲン化合物、および電子供与化合物などが挙げられる。多成分とは、8族遷移金属化合物、有機アルミニウム化合物、ルイス酸、強ブレンステッド酸、ハロゲン化合物、および電子供与化合物、及びこれらの組み合わせや混合物から触媒が選択されることを意味する。
前記ルイス酸は、BF3、エテラート、TiCl3、SbF5、BCl3、B(OCH2CH3)3およびトリス(パーフルオロフェニル)ボロン、からなる群から選択されることが好ましい。
前記強ブレンステッド酸は、HSbF6、HPF6、CF3CO2H、FSO3H・SbF3、H2C(SO2CF)2、CF3SO3Hおよびパラトルエンスルホン酸からなる群より選択される。
前記ハロゲン化化合物は、ヘキサクロロアセトン、ヘキサフルオロアセトン、3−ブテン酸−2,2,3,4,4−ペンタクロロブチルエステル、ヘキサフルオログルタール酸、ヘキサフオロイソプロパノールおよびクロラニルからなる群より選択される。
前記電子供与化合物としては、脂肪族、および脂環族ジオレフィン類、ホスフィン類、および亜リン酸塩類、並びにこれらの混合物から選択されることが好ましい。
前記8,9,10族遷移金属化合物としては、1座配位、2座配位および多座配位のイオン性または中性配位子ならびにこれらの混合物からなる群より選択される1種以上の骨格と結合した8,9,10族遷移金属イオンを含んでいるものが挙げられる。
遷移金属化合物を構成する遷移金属元素としては、ニッケルアセチルアセトネート類、ニッケルカルボキシレート類、ニッケルジメチルグリオキシム、ニッケルエチルヘキサノエート、コバルトネオデカノエート、鉄ナフテナート、パラジウムエイルヘキサノエート、NiCl2(PPh3)2、NiCl2(PPh2CH2)2、ニッケル(II)ヘキサフルオロアセチルアセトネートテトラハイドレート、ニッケル(II)トリフルオロアセチルアセトネートダイハイドレート、ニッケル(II)アセチルアセトネートテトラハイドレート、ビスアリルニッケルブロミド、ビスアリルニッケルクロリド、ビスアリルニッケルアイオダイド、トランスPdCl2(PPh3)2、パラジウム(II)ビス(トリフルオロアセテート)、パラジウム(II)(ビスアセチルアセトネート)、バラジウム(II)2−エチルヘキサノエート、Pd(アセテート)2(PPh3)2、パラジウム(II)ブロマイド、パラジウム(II)クロライド、パラジウム(II)アイオダイド、パラジウム(II)オキサイド、モノアセトニトリルトリス(トリフェニルホスフィン)パラジウムテトラフルオロボート、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム(II)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム(Ii)、鉄(II)クロライド、鉄(III)クロライド、鉄(II)ブロマイド、鉄(III)ブロマイド、鉄(II)アセテート、鉄(III)アセチルアセトネート、フェロセン、ニケロセン、ニッケル(II)アセテート、ニッケルブロマイド、ニッケルクロライド、ジクロロヘキシルニッケルアセテート、ニッケルクテート、ニッケルオキサイド、ニッケルテトラフルオロボレート、コバルト(II)アセテート、コバルト(II)アセチルアセトネート、コバルト(III)アセチルアセトン、コバルト(II)ベンゾエート、コバルトコクロライド、コバルトブロマイド、シクロヘキシルコバルトアセテート類、コバルト(II)テトラフルオロボレート、ビス(アリル)ニッケル、ビス(シクロペンタジエニル)ニッケル、パラジウムアセチルアセトネート、パラジウム(アセトニトリル)ジクロライド、パラジウムビス(ジメチルスルホキシド)ジクロライド、白金ビストリエチルホスフィンハイドロブロマイド、ルテニウムトリス(トリフェニルホスフィン)ジクロライド、ルテニウムトリス(トリフェニルホスフィン)ハイドライドクロライド、ルテニウムトリクロライド、ルテニウムテトラキス(アセトニトリル)ジクロライド、ルテニウムテトラキス(ジメチルスルホキシド)ジクロライド、ロジウムクロライド、ロジウムトリス(トリフェニルホスフィン)トリクロライドの群から選択されることが好ましい。遷移金属元素は1種類でもよく、必要に応じて2種類以上組み合わせて使用することができる。
前記有機アルミニウム化合物としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−プロピニルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−t−ブチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリ(2−メチルペンチル)アルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、メチルアルミニウムセスキクロライド、イソブツルアルミニウムセスキクロライド、ジ−t−ブチルアルミニウムクロライド、ジイソプロピルアルミニウムクロライド、ジペンチルアルミニウムクロライド、メチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムクロライド、イソブチルアルミニウムジクロライド、t−ブチルアルミニウムジクロライド、イソプロピルアルミニウムクロライド、ペンチルアルミニウムジクロライドを好ましいものとして挙げることができる。
前記ハロゲン化化合物は、ヘキサクロロアセトン、ヘキサフルオロアセトン、3−ブテン酸、2,2,3,4,4−ペンタクロロブチルエステル、ヘキサフルオログルタール酸、ヘキサフルオロイソプロパノールおよびクロラニル並びにこれらの混合物からなる群から選択されることが好ましい。
また、付加重合反応として、樹脂微粒子を作成するために原料流体中の重合性単量体を重合させる反応が行われる場合には、第1原料流体として重合性単量体を含む流体が用いられ、第2原料流体として重合開始剤を含む流体が用いられる。
この樹脂微粒子の作成に用いられる重合性単量体の具体例としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンの様なスチレン或いはスチレン誘導体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル誘導体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル誘導体、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等のビニルエステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン等のビニルケトン類、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物、ビニルナフタレン、ビニルピリジン等のビニル化合物類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸、メタクリル酸誘導体、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル、スチレンスルホン酸、アリルスルフォコハク酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート、3−クロロ−2−アシッドホスホオキシプロピルメタクリレートなどが挙げられる。
また、架橋構造の樹脂微粒子を作成する場合には、重合性単量体の具体例として、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート等の多官係数性ビニル類などが挙げられる。
また、樹脂微粒子の作成のために用いられる重合開始剤としては、油溶性重合開始剤と水溶性重合開始剤が挙げられる。
前記油溶性重合開始剤の具体例としては、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系又はジアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンペルオキサイド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキサイド、t−ブチルヒドロペルオキサイド、ジ−t−ブチルペルオキサイド、ジクミルペルオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキサイド、ラウロイルペルオキサイド、2,2−ビス−(4,4−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、トリス−(t−ブチルペルオキシ)トリアジンなどの過酸化物系重合開始剤や、過酸化物を側鎖に有する高分子開始剤などが挙げられる。
前記水溶性重合開始剤の具体例としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、アゾビスアミノジプロパン酢酸塩、アゾビスシアノ吉草酸及びその塩、過酸化水素などが挙げられる。
また、付加重合反応として、フルオロモノマーをラジカル重合させてフルオロポリマーを生成する反応が行われる場合には、第1原料流体としてフルオロモノマーを含む流体が用いられ、第2原料流体としてラジカル重合開始剤を含む流体が用いられる。
前記フルオロモノマーの具体例としては、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、ビニリデンフルオライド、トリフルオロエチレン、1,2−ジフルオロエチレン、フッ化ビニル、トリフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、3,3,3−トリフルオロプロペン、2−トリフルオロメチル−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン、パーフルオロ(ブチルエチレン)等のフルオロオレフィン、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル))等のパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)、パーフルオロ(1,3−ジオキソール)、パーフルオロ(ブテニルビニルエーテル)等のパーフルオロ(アルケニルビニルエーテル)、パーフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)、パーフルオロ−(2−メチレン−4−メチル−1,3−ジオキソラン)等のエーテル性酸素原子含有環状パーフルオロオレフィン、(パーフルオロブチル)エチルアクリレート、(パーフルオロヘキシル)エチルアクリレート、(パーフルオロヘプチル)メチルアクリレート、(パーフルオロオクチル)エチルアクリレート等の(パーフルオロアルキル)エチルアクリレート、(パーフルオロブチル)エチルメタクリレート、(パーフルオロヘキシル)エチルメタクリレート、(パーフルオロヘプチル)メチルメタクリレート、(パーフルオロオクチル)エチルメタクリレート等の(パーフルオロアルキル)エチルメタクリレート、α−フルオロスチレン、β−フルオロスチレン、α,β−ジフルオロスチレン、β,β−ジフルオロスチレン、α,β,β−トリフルオロスチレン、α−トリフルオロメチルスチレン、2,4,6−トリ(トリフルオロメチル)スチレン、2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレン、パーフルオロ(スチレン)、2,3,4,5,6−ペンタフルオロ−α−メチルスチレン等のフルオロスチレンなどが挙げられる。
また、このフルオロモノマーの重合反応に用いられるラジカル重合開始剤の具体例としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の無機過酸化物、過硫酸アンモニウム−硫酸第一鉄、過硫酸アンモニウム−亜硫酸水素アンモニウム等のレドックス系開始剤、過硫酸ジサクシノイル等の水溶性有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、ビスベンゾイルパーオキシド、ジペンタフルオロプロピオニルパーオキシド等のジアシルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシイソブチレート等のパーオキシエステル、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキシド等のヒドロパーオキシド、コハク酸パーオキシド等の酸パーオキシド、ビスパーフルオロプロピオニルパーオキシド、ビスパーフルオロベンゾイルパーオキシド等のパーフルオロパーオキシドなどが挙げられる。
また、付加重合反応として、ラジカル重合体と無機微粒子の複合化微粒子からなる乳化分散体を製造するための反応が行われる場合には、第1原料流体としてラジカル重合性単量体を含む流体が用いられ、第2原料流体として例えば水溶性ラジカル重合開始剤を含む流体が用いられる。
この乳化分散体の製造のために用いられるラジカル重合性単量体の具体例としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜30のアルキル(メタ)アクリレート類のアクリル系不飽和単量体;例えば、スチレン,メチルスチレン,ジメチルスチレン,トリメチルスチレン,エチルスチレン,ジエチルスチレン,トリエチルスチレン,プロピルスチレン,ブチルスチレン,ヘキシルスチレン,ヘプチルスチレン及びオクチルスチレン等のアルキルスチレン;フロロスチレン,クロルスチレン,ブロモスチレン,ジブロモスチレン,クロルメチルスチレン等のハロゲン化スチレン;ニトロスチレン,アセチルスチレン,メトキシスチレン、α−メチルスチレン,ビニルトルエン等のスチレン系不飽和単量体;(メタ)アクリル酸、イタコン酸またはそのモノエステル、マレイン酸またはそのモノエステル、フマル酸またはそのモノエステル、イタコン酸またはそのモノエステル、クロトン酸、p−ビニル安息香酸などのカルボン酸基含有不飽和単量体およびこれらの塩;2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、スルホエチル(メタ)アクリレート、スルホプロピル(メタ)アクリレート、α−メチルスチレンスルホン酸などのスルホン酸基含有不飽和単量体およびこれらの塩;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ビニルピロリドン、N−メチルビニルピリジウムクロライド、(メタ)アリルトリエチルアンモニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド等の第3級または第4級アミノ基含有不飽和単量体;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の水酸基含有不飽和単量体;(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N、N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、ビニルラクタム類などアミド基含有不飽和単量体;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和二塩基酸のジエステル類、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−クロロスチレン、クロルメチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族不飽和単量体、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル系不飽和単量体;ブタジエン、イソプレン等の共役ジオレフィン不飽和単量体;ジビニルベンゼン、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、メタクリル酸アリル、フタル酸ジアリル、トリメチロールプロパントリアクリレート、グリセリンジアリルエーテル、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート等の多官能不飽和単量体;エチレン、プロピレン、イソブチレン等のビニル系不飽和単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、オクチルビニルエステル、ベオバ9、ベオバ10、ベオバ11(ベオバ:登録商標)等のビニルエステル不飽和単量体;エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のビニルエーテル不飽和単量体;エチルアリルエーテル等のアリルエーテル不飽和単量体;塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン、クロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)、パーフルオロアルキルアクリレート、フルオロメタクリレート等のハロゲン含有不飽和単量体等;(メタ)アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジルなどのエポキシ基含有不飽和単量体;ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のビニルシラン系不飽和単量体;アクロレイン、ダイアセトンアクリルアミド、ビニルメチルケトン、ビニルブチルケトン、ダイアセトンアクリレート、アセトニトリルアクリレート、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、ビニルアセトフェノン、ビニルベンゾフェノン等のカルボニル基含有不飽和単量体などが挙げられる。
また、この乳化分散体の製造のために用いられる水溶性ラジカル重合開始剤の具体例としては、例えば、水溶性有機過酸化物、水溶性アゾ化合物、レドックス系開始剤、過硫酸塩などが挙げられる。
前記水溶性有機過酸化物の具体例としては、t−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、p−メンタンヒドロペルオキシド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロペルオキシド、1,1,3,3−テトラメチルヒドロペルオキシドなどが挙げられる。
前記水溶性アゾ化合物の具体例としては、2,2’−ジアミジニル−2,2’−アゾプロパン・一塩酸塩、2,2’−ジアミジニル−2,2’−アゾブタン・一塩酸塩、2,2’−ジアミジニル−2,2’−アゾペンタン・一塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−メチル−4−ジエチルアミノ)ブチロニトリル・塩酸塩などが挙げられる。
前記レドックス系開始剤の具体例としては、例えば過酸化水素と還元剤とを組み合わせたものなどが挙げられる。この場合、還元剤としては、二価の鉄イオンや銅イオン、亜鉛イオン、コバルトイオン、バナジウムイオンなどの金属イオン、アスコルビン酸、還元糖などが用いられる。
前記過硫酸塩の具体例としては、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
また、付加重合反応として、α、β−エチレン性不飽和モノマーをラジカル重合させてポリマーを生成する反応が行われる場合には、第1原料流体としてα、β−エチレン性不飽和モノマーを含む流体が用いられ、第2原料流体として重合開始剤を含む流体が用いられる。
この場合に用いられるα、β−エチレン性不飽和モノマーは、例えば、モノエチレン性不飽和のカルボン酸、スルホン酸、及びホスホン酸、α,β−エチレン性不飽和のモノ−及びジカルボン酸とC1−C20−アルカノールのエステル、ビニル芳香族化合物、ビニルアルコールとC1−C30−モノカルボン酸とのエステル、エチオレン性不飽和のニトリル、ハロゲン化ビニル、ビニリデンハライド、α,β−エチレン性不飽和のモノ−及びジカルボン酸とC2−C30−アルカンジオールのエステル、α,β−エチレン性不飽和のモノ−及びジカルボン酸と(第1級又は第2級アミノ基を有する)C2−C30−アミノアルコールのアミド、α,β−エチレン性不飽和のモノカルボン酸とN−アルキル、及びこれらのN,N−ジアルキル誘導体の第1級アミド、N−ビニルラクタム、開鎖N−ビニルアミド化合物、アリルアルコールとC1−C30−モノカルボン酸のエステル、α,β−エチレン性不飽和のモノ−及びジカルボン酸とアミノアルコールのエステル、α,β−エチレン性不飽和のモノ−及びジカルボン酸と(少なくとも1つの第1級又は第2級のアミノ基を有する)ジアミンのアミド、N,N−ジアリルアミン、N,N−ジアリル−N−アルキルアミン、ビニル−及びアリル置換された窒素ヘテロ環、ビニルエーテル、C2−C8−モノオレフィン、共役二重結合を少なくとも2個有する非芳香族炭化水素、ポリエーテル(メト)アクリレート、ウレア基を有するモノマー、及びこれらの混合物から選ばれる。
エチレン性不飽和のカルボン酸、スルホン酸、及びホスホン酸、又はこれらの誘導体の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、α−クロロアクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、アコニット酸フマル酸、4〜10個、好ましくは4〜6個の炭素原子を有するモノエチレン性不飽和のジカルボン酸のモノエステル、例えばモノメチルマーレート、スルフォプロピルアクリレート、スルフォプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピルスルホン酸、2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルホスホン酸、及びアリルホスホン酸などが挙げられる。また、酸性基を含むモノマーを、遊離酸の状態、又は部分的又は完全に中和された状態で、重合するために使用することができる。
前記α,β−エチレン性不飽和のモノ−及びジカルボン酸とC1−C20−アルカノールのエステルの具体例としては、メチル(メト)アクリレート、メチルエタクリレート、エチル(メト)アクリレート、エチルエタクリレート、n−プロピル(メト)アクリレート、イソプロピル(メト)アクリレート、n−ブチル(メト)アクリレート、sec−ブチル(メト)アクリレート、tert−ブチル(メト)アクリレート、tert−ブチルエタクリレート、n−ヘキシル(メト)アクリレート、n−ヘプチル(メト)アクリレート、n−オクチル(メト)アクリレート、1,1,3,3−テトラメチルブチル(メト)アクリレート、エチルヘキシル(メト)アクリレート、n−ノニル(メト)アクリレート、n−デシル(メト)アクリレート、n−ウンデシシル(メト)アクリレート、トリデシル(メト)アクリレート、ミリスチル(メト)アクリレート、ペンタデシル(メト)アクリレート、パルミチル(メト)アクリレート、ヘプタデシル(メト)アクリレート、ノナデシル(メト)アクリレート、アラキニル(メト)アクリレート、ベヘニル(メト)アクリレート、リグノセリル(メト)アクリレート、セロチニル(メト)アクリレート、メリシニル(メト)アクリレート、パルミトレオニル(メト)アクリレート、オレイル(メト)アクリレート、リノイル(メト)アクリレート、リオレニル(メト)アクリレート、ステアリル(メト)アクリレート、ラウリル(メト)アクリレート、及びこれらの混合物が挙げられる。
前記ビニル芳香族化合物の具体例としては、スチレン、2−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−(n−ブチル)スチレン、4−(n−ブチル)スチレン、4−(n−デシル)スチレンなどが挙げられる。このうち最も好ましいのは、スチレンである。
前記のビニルアルコールとC1−C30−モノカルボン酸とのエステルの具体例としては、例えば、ビニルフォルメート、ビニルアセテート、ビニルプロピネート、ビニルブチレート、ビニルラウレート、ビニルステアレート、ビニルプロピネート、ビニルベルサテート、及びこれらの混合物が挙げられる。
前記エチレン性不飽和ニトリルの具体例としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、及びこれらの混合物が挙げられる。
前記ハロゲン化ビニルおよび前記ハロゲ化ビニリデンの具体例としては、ビニルクロリド、ビニリデンクロリド、ビニルフルオリド、ビニリデンフルオリド、及びこれらの混合物が挙げられる。
前記のα,β−エチレン性不飽和モノ−及びジカルボン酸とC2−C30−アルカンジオールのエステルの具体例としては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルエタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシブチルアクリレート、3−ヒドロキシブチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、6−ヒドロキシヘキシルアクリレート、6−ヒドロキシヘキシルメタクリレート、3−ヒドロキシ−2−エチルヘキシルアクリレート、3−ヒドロキシ−2−エチルヘキシルメタクリレートなどが挙げられる。
前記のα,β−エチレン性不飽和モノマルボン酸とN−アルキル及びこれらのN,N−ジアルキル誘導体の適切な第1級アミンの具体例としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチル(メト)アクリルアミド、N−エチル(メト)アクリルアミド、N−プロピル(メト)アクリルアミド、N−(n−ブチル)(メト)アクリルアミド、N−(tert−ブチル)(メト)アクリルアミド、N−(n−オクチル)(メト)アクリルアミド、N−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)(メト)アクリルアミド、N−エチルヘキシル(メト)アクリルアミド、N−(n−ノニル)(メト)アクリルアミド、N−(n−デシル)(メト)アクリルアミド、N−(n−ウンデシル)(メト)アクリルアミド、N−トリデシル(メト)アクリルアミド、N−ミルスチル(メト)アクリルアミド、N−ペンタデシル(メト)アクリルアミド、N−パルメチル(メト)(メト)アクリルアミド、N−ヘプタデシル(メト)アクリルアミド、N−ノナデシル(メト)アクリルアミド、N−アラキニル(メト)アクリルアミド、N−ベヘニル(メト)アクリルアミド、N−リグノセリル(メト)アクリルアミド、N−セロチニル(メト)アクリルアミド、N−メリシニル(メト)アクリルアミド、N−パルミトレオニル(メト)アクリルアミド、N−オレイル(メト)アクリルアミド、N−リノイル(メト)アクリルアミド、N−リノレニル(メト)アクリルアミド、N−ステアリル(メト)アクリルアミド、N−ラウリル(メト)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メト)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メト)アクリルアミド、モルホリニル(メト)アクリルアミドなどが挙げられる。
前記のN−ビニルラクタム及びこれらの誘導体の具体例としては、例えば、N−ビニルピロリドン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニル−5−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−5−エチル−2−ピロリドン、N−ビニル−6−メチル−2−ピペリドン、N−ビニル−6−エチル−2−ピペリドン、N−ビニル−7−メチル−2−カプロラクタム、N−ビニル−7−エチル−2−カプロラクタムなどが挙げられる。
前記開鎖N−ビニルアラミド化合物の具体例としては、例えば、N−ビニルホルムアミド、N−ビニル−N−メチルホルムアラミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N−ビニル−N−エチルアセトアミド、N−ビニルプロピオンアミド、N−ビニル−N−メチルプロピオンアミド、及びN−ビニルブチルアミドなどが挙げられる。
前記のα,β−エチレン性不飽和モノ−及びジカルボン酸とアミノアルコールのエステルの具体例としては、N,N−ジメチルアミノメチル(メト)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メト)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メト)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メト)アクリレート、及びN,N−ジメチルアミノシクロヘキシル(メト)アクリレートなどが挙げられる。
前記のα,β−エチレン性不飽和モノ−及びジカルボン酸と少なくとも1つの第1級アミノ又は第2級アミノ基を含むジアミンとのアミドの具体例としては、N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]アクリアミド、N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]メトアクリルアミド、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メトアクリルアミド、N−[4−(ジメチルアミノ)ブチル]アクリルアミド、N−[4−(ジメチルアミノ)ブチル]メトアクリルアミド、N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]アクリルアミド、N−[4−(ジメチルアミノ)シクロヘキシル]アクリルアミド、N−[4−(ジメチルアミノ)シクロヘキシル]メトアクリルアミドなどが挙げられる。
適切なモノマーは、N,N−ジアリルアミン及びN,N−ジアリル−N−アルキルアミン及びこれらの酸添加塩、及び四級化生成物である。ここで、アルキルは、C1−C24のアルキルが好ましい。具体的には、モノマーとして、N,N−ジアリル−N−メチルアミン及びN,N−ジアリル−N,N−ジメチルアンモニウム化合物、例えばクロリド及びブロミドが好ましい。
また、適切なモノマーは、ビニル及びアリル置換の窒素ヘテロ環、ビニル及びアリル置換の芳香族化合物、及びこれらの塩である。ビニル及びアリル置換の窒素ヘテロ環は、例えば、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾールである。ビニル及びアリル置換の芳香族化合物は、例えば、2−及び4−ビニルピリジン、2−及び4−アリルピリジンである。
前記C2−C8−モノオレフィン及び前記共役二重結合を少なくとも2個有する非芳香族炭化水素の具体例としては、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン、イソプレン、ブタジエンなどが挙げられる。
また、重付加反応の例としては、例えば、重付加系モノマーと、その重付加系モノマーと反応し得る別の重付加系モノマーとを溶媒中で反応させてポリウレタン微粒子やポリウレア微粒子、ポリアミック酸微粒子等のポリマー微粒子を製造するために行われる重付加反応がある。この場合には、第1原料流体として一方の重付加系モノマーを含む流体が用いられ、第2原料流体としてその一方の重付加系モノマーと反応し得る他方の重付加系モノマーを含む流体が用いられる。
ポリウレタン微粒子を製造する場合に行う重付加反応では、例えば、一方の重付加系モノマーとしてジオール類が用いられ、他方の重付加系モノマーとしてジイソシアネート類が用いられる。
ジオール類の具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、オクタンジオール、1,4−ブチンジオール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の飽和もしくは不飽和の各種公知の低分子グリコール類、ダイマー酸を水素化して得られるジオール、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物、ポリエーテルポリオール類、ポリエステルポリオール類、ポリカーボネートポリオール類、ポリブタジエンポリオール類などが挙げられる。
ジイソシアネート類の具体例としては、メチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、ブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸が有するカルボキシル基をイソシアネート基に置換したダイマージイソシアネートなどの鎖状脂肪族ジイソシアネート;シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4´−ジイソシアネート、1,3−ジ(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネートなどの環状脂肪族ジイソシアネート;4,4´−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネートなどのジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルテトラメチルメタンジイソシアネートなどのテトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4´−ジベンジルイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート;リジンジイソシアネートなどのアミノ酸ジイソシアネートなどが挙げられる。
ポリウレア微粒子を製造する場合に行う重付加反応では、例えば、一方の重付加系モノマーとしてジアミン類が用いられ、他方の重付加系モノマーとしてジイソシアネート類が用いられる。
ジアミン類の具体例としては、4,4´−ジアミノジフェニルメタン(DDM)、4,4´−ジアミノジフェニルエーテル(DPE)、4,4´−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル(BAPB)、1,4´−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE−Q)、1,3´−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE−R)、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、3,4´−ジアミノジフェニルエーテル、4,4´−ジアミノジフェニルスルフォン、3,4−ジアミノジフェニルスルフォン、3,3´−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4´−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)、3,3´−ジメチル−4,4´−ジアミノビフェニル、4,4´−ジアミノジフェニルスルフィド、2,6´−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノクロロベンゼン、1,2−ジアミノアントラキノン、1,4−ジアミノアントラキノン、3,3´−ジアミノベンゾフェノン、3,4−ジアミノベンゾフェノン、4,4´−ジアミノベンゾフェノン、4,4´−ジアミノビベンジル、R(+)−2,2´−ジアミノ−1,1´−ビナフタレン、S(+)−2,2´−ジアミノ−1,1´−ビナフタレン等の芳香族ジアミン;1,2−ジアミノメタン、1,4−ジアミノブタン、テトラメチレンジアミン、1,10−ジアミノドデカン等の脂肪族ジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、4,4´−ジアミノジシクロヘキシルメタン等の脂環族ジアミンのほか、3,4−ジアミノピリジン、1,4−ジアミノ−2−ブタノンなどが挙げられる。
また、ポリウレア微粒子を製造する場合に用いるジイソシアネート類の具体例としては、上記ポリウレタン微粒子を製造する場合に用いるジイソシアネート類の具体例と同様のものが挙げられる。
ポリアミック酸微粒子を製造する場合に行う重付加反応では、例えば、一方の重付加系モノマーとして無水テトラカルボン酸類が用いられ、他方の重付加系モノマーとしてジアミン類が用いられる。
無水テトラカルボン酸類の具体例としては、3,3´,4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、3,3´,4,4´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3´,4´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、1,3−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,4−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、2,3,3´,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2´,3,3´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2´,3,3´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2´,6,6´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ナフタレン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、アントラセン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物、フェナンスレン−1,8,9,10−テトラカルボン酸二無水物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物;ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物等の脂肪族テトラカルボン酸二無水物;シクロブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物等の脂環族テトラカルボン酸二無水物;チオフェン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、ピリジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸無水物等の複素環族テトラカルボン酸二無水物などが挙げられる。
また、ポリアミック酸微粒子を製造する場合に用いるジアミン類の具体例としては、上記ポリウレア微粒子を製造する場合に用いるジアミン類の具体例と同様のものが挙げられる。
なお、今回開示された実施形態及び実施例は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、また、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更を含む。
例えば、各温調流路42が有する1つの第2温調流路部46の断面積は、その温調流路42が有する2つの第1温調流路部44の断面積と同じであってもよい。すなわち、各温調流路42において2つの第1温調流路部44から第2温調流路部46に移行しても、断面積が変化せず、一定となる。図6には、この構成における第2温調流路部46の断面が示されている。この構成では、温調流路基板16の板面に沿う方向における第2温調流路部46の流路幅が、同方向における上記実施形態の第2温調流路部46(図5参照)の流路幅よりも小さい。この構成によれば、反応器2に設けられた全ての第2温調流路部46の合計の断面積が、反応器2に設けられた全ての第1温調流路部44の合計の断面積と同じになる。
この構成では、全ての第1温調流路部44の合計の断面積と全ての第2温調流路部46の合計の断面積とが同じであるが、第2温調流路部46の数が第1温調流路部44の数よりも少なくなっていることにより、第2温調流路部46における圧力損失を低減できる。このため、上記実施形態に比べて効果は小さいが、温調流路42に温調流体を流すために必要となるエネルギコストの増大を抑制できる。
以下、この構成について具体的な一例(以下、実施例という)の条件を設定して圧力損失の低減効果を調べるために行ったシミュレーションの結果について説明する。
実施例の条件は、以下の通りである。温調流路の全長は、6000mmとする。第1温調流路部の長さは3000mm、第1温調流路部の流路幅は2mm、温調流路基板の厚み方向における第1温調流路部の深さは1mmとする。この場合、1つの第1温調流路部の断面積は、1.57×10−6m2となる。また、第1温調流路部の数は、6つとする。この場合、6つの第1温調流路部の合計の断面積は、9.42×10−6m2となる。また、第2温調流路部の長さは3000mm、第2温調流路部の流路幅は4mm、温調流路基板の厚み方向における第2温調流路部の深さは1mmとする。この場合、1つの第2温調流路部の断面積は、3.57×10−6m2となる。また、第2温調流路部の数は、3つとする。この場合、3つの第2温調流路部の合計の断面積は、2.14×10−5m2となる。
一方、比較例として、各温調流路が全長6000mmに亘って実施例の第1温調流路部と同じ流路幅及び深さを有し、そのような温調流路が6つ設けられている場合を設定する。すなわち、この比較例では、1つの温調流路の断面積が1.57×10−6m2であり、6つの温調流路の合計の断面積が9.42×10−6m2である。
そして、粘度が0.001Pa・sの温調流体を3.6L/hの流速で実施例及び比較例の温調流路に流すものとする。この場合、実施例では、第1温調流路部での流速は0.106m/sになり、6つの第1温調流路部での合計の圧力損失は6.821kPaとなる。また、実施例では、第2温調流路部での流速は0.047m/sになり、3つの第2温調流路部での合計の圧力損失は1.835kPaとなる。結果、全ての第1温調流路部及び第2温調流路部の合計の圧力損失は、8.656kPaとなる。
一方、比較例では、各温調流路の全体で流速は0.106m/sになる。また、実施例の第1温調流路部に対応する比較例の温調流路の前半部分での合計の圧力損失は、6.821kPaとなる。また、実施例の第2温調流路部に対応する比較例の温調流路の後半部分での合計の圧力損失も、同様に6.821kPaとなる。結果、全ての温調流路の合計の圧力損失は、13.642kPaとなる。
以上の結果から、実施例の構成によれば、全ての温調流路の合計の圧力損失を比較例の構成に対して60%程度に抑制できることが判る。
また、図4に示した第1温調流路部44から図6に示した第2温調流路部46に繋がり、さらにその第2温調流路部46から図5に示した上記実施形態の第2温調流路部46と同じ断面形状を有する第3温調流路部に繋がるように温調流路が形成されていてもよい。この場合には、第1温調流路部44に比べて第2温調流路部46での圧力損失が小さくなり、その第2温調流路部46に比べて第3温調流路部での圧力損失がさらに小さくなる。
また、第1温調流路部44の下流側の端部と第2温調流路部46の上流側の端部との接続箇所50の位置は、図3に示した位置に必ずしも限定されず、様々な位置に変更可能である。
また、上記実施形態では原料流体同士の重合反応を行う例について説明したが、本発明による反応器を用いた反応方法は、必ずしも重合反応を行うものに限定されない。例えば、重合反応以外の化学反応を行う反応方法にも、本発明による反応器を用いた反応方法を適用できる。
また、反応流路の形状及び温調流路の形状として、上記実施形態で示した形状以外に様々な形状を適用可能である。例えば、反応流路の反応流路部及び温調流路は、上記したような蛇行形状ではなく、直線的に延びていてもよい。
また、各反応流路が有する供給流路部の数は、3つ以上であってもよい。この場合には、供給流路部の数に応じた3種類以上の原料流体を個別に各供給流路部に供給してもよい。
また、上記実施形態では、各温調流路において2つの第1温調流路部に1つの第2温調流路部が繋がっているが、必ずしもこの形態に限定されるものではない。例えば、各温調流路において3つ以上の第1温調流路部に1つの第2温調流路部が繋がっていてもよい。また、各温調流路が3つ以上の第1温調流路部を有する場合には、その第1温調流路部よりも少数で且つ複数の第2温調流路部が前記3つ以上の第1温調流路部に繋がっていてもよい。
また、反応器及び反応装置が配置される向きは、上記実施形態で示した向きに必ずしも限定されない。例えば、上記実施形態で示した反応器が上下逆に配置されるように反応装置を配置してもよく、又、上記実施形態で示した反応器の上下面が上下以外の種々の方向を向くように反応装置を配置してもよい。